※この作品はR-18です。

下級生の性教育係なTS娘ちゃんが受精するまでの1日   作:ゆきかお

8 / 10
汗の臭いって男の子だよなということで初投稿です。


4時間目(フェラ)後編

 

(……うん。今日だ。

 …………今日、なんだ)

 

 今日が転換点とするのならば。

 このまま、甘えているわけにはいかない。

 進んでいく皆の足を、引っ張りたくない。

 

 ミトはそう決意し、自身の腰に置かれていたコウキの手を、自身の手で柔らかく握って。

 もう充分だよ、と温情の念を伝えると。

 彼の手が、ゆっくりと離れていった。

 

 そうして、うつ伏せに寝ころんだままの状態から、腰をひねって起き上がると。

 暗く沈んだ様子のコウキへ向き合って、心の底からの言葉を贈る。

 

「……コウキ。オレはいっぱい、コウキに頼ってるつもりだよ。

 ほら、今もお前に頼ったから、そのお陰で、だいぶ楽になった。

 皆だって、ずっと助けてくれてるからさ。ほんとに、ありがたいんだ」

「……」

 

 コウキにとっては、遠からず近からずの。

 核心を遠ざけて、煙に巻いたように感じられる、ミトの回答。

 けれど、そこに込められた親愛は間違いなく本物で。

 それ以上の追求を、コウキは口をつぐんで止めた。

 

「だから、さ。その分、オレが頑張らないといけないから。

 ……先輩を、やらせて。ね?」

 

 そう言ってミトは、彼に手を差し伸べる。

 

 コウキにとっては、まだ大きく。

 まだ近くある、少女の手のひら。

 

 おずおずと、コウキはそれに己の手を重ねて。

 彼女の手を、包んで。

 

「……っ!」

 

 そして、ぐっと自らの内に、引き寄せた。

 

「────え、わっ」

 

 膝立ちだった彼女の体勢は、コウキの想定以上に強い力で引っ張られたことで、崩れてしまい。

 膝を支点にした前がかりな姿勢になって、その勢いのまま彼の胸元に引き寄せられ。

 そこに、顔を押し当てる形となってしまった。

 

「ん……っ」

 

 ぽすんと、コウキのシャツ越しの、引き締まって固い胸板に、顔を埋めるミト。

 彼の意図が読めずに当惑して、直ちに元の姿勢に戻ろうとする。

 そして、慢性的な興奮状態にあって、肺に酸素を多く求めていた彼女は。

 姿勢を戻す前に、必然的に呼吸をするため、コウキの体操服のシャツを、嗅ぐことになる。

 

「…………えっ?あっ……ち……ちがっ……!ごめ、ごめん……っ!

 そんなつもりじゃ、なくてっ。何で、おれっ…………!」

 

 ミトの鼻腔を埋めていく、知っている臭い。

 彼のシャツが吸い込んでいた、多量の彼の汗の、臭い。

 少しだけ、お日様の匂いもする、それは。

 目一杯運動してきた男の子の、脂ぎってない、若さに満ちている臭いで。

 

 活発で、快活で、爽快で────。

 

(あ────)

 

 ────そして、どうしようもなく、切ない臭い。

 

 急速に、カッと燃え上がるような情炎の熱が、ミトの胸の中心、そして下腹部に生じて。

 耳鳴りのように、ぷつりと周囲の音が掻き消えて、自身の鼓動しか聞こえなくなる。

 大小様々な思考が浮かんでいた脳裏が、真っ白になって。

 目の前にいる、雄のこと以外が全て、色褪せていく。

 

 自分の内で、処理できる許容を超えてしまった。

 自分の内の、何か知らないスイッチが、勝手に、強制的に入ってしまった。

 そうとしか形容のできない、状態。

 そして、高揚。

 

「……は……はっ……」

「…………先、輩?どう、したの……」

 

 小さく、短く、荒い呼吸の音。

 頭を下げていて、伺えない表情。

 先ほどまでの、少し気だるげではあったが。

 平常通りだったのとは異なる、明らかにおかしな様子。

 

 無意識の内に、自分が強引に引き寄せてしまったことへの罪悪感で。

 押し潰れそうになっていたコウキは。

 恐る恐る、自身の胸元に顔を沈めている、ミトの肩に触れることで。

 彼女の状態を確認しようと、して。

 

「────コウ、キ……っ」

 

 彼女が名を呼んだ。

 縋りついて、媚びるような、湿った鳴き声で。

 彼女がこちらを見上げた。

 瞳孔が開き、とろんと眉が下がった、色に濡れた眼差しで。

 

 彼女を認識した途端に、魅入られたように、体が動かなくなるコウキ。

 確かな情の温もりがあった、色香のかけらもない自然のままだった空気を。

 水に墨汁を垂らしたかのように媚香が渦巻いて、染め上げていく。

 

「え……ぁ……」

 

 蕩けた声色。潤んだ瞳。上気した頬。

 ミトの発する全てに纏った、艶めいた雌の臭いがする空気に。

 コウキは抵抗することが出来ず、心臓の鼓動が加速度的に早まって、一定だった呼吸を乱す。

 彼の中に確かにある理性も、負い目も、思慕も。

 全て、溶けていく。

 

 たまらなくなって、手に入れたくなって。

 コウキは、ミトがそうしたように。

 彼女の名を、呼んだ。

 

「…………せん、ぱいっ」

 

 本能が求めたことによる、生殖欲求の発露が、麻薬のように染み渡って。

 情欲に曇った瞳で見つめ合う。声も忘れて、焦がれるぐらいに、互いを。

 恋しい。たまらなく、相手が恋しい、と。

 そればかりが、まだ成熟しきっていない青い彼女らの頭の中を、赤黒く塗りつぶした。

 

「はぁ……ぁ……コウキっ……んぅ────」

 

 そうして、2人は。

 示し合わせるでもなく、そうすることが決まっていたかのように。

 見惚れあったまま、互いの指を引き合わせて、両手を固く結んで。

 互いの唇を、奪い合った。

 

「んむっ…………ちゅるっ、んんっ……じゅうう……」

 

 0になった距離。

 相手の睫毛の本数まで、はっきりと分かるぐらいに、密着しあって。

 蹂躙するような、滅茶苦茶で、なりふり構わない、乱暴なディープキス。

 一回じゃ足りずに、何度も、何度も、互いの唇を食んでは。

 舌と粘膜を擦りつけ合う、深い口づけを繰り返す。

 

 けれど、享楽に過ぎた接吻に、酸欠になりかけて。

 思わずミトが唇を離した際に。

 互いの涎が綯い交ぜになったが、朝露に濡れた蜘蛛の銀糸のように落ちた。

 

「……ん、んっ……ぷはっ!……はーっ……は……」

「っぷぁ、……せんぱい、せんぱいっ……!」

「…………んっ……っ!」

 

 彼の体の感触を求めて、ミトがコウキを力強く、抱き締める。

 激しく、性急な抱擁。

 2人の体臭がふわりと、巻き上がって。

 甘ったるい雌の臭いと、力強い雄の臭いに、包まれる。

 

「……っ、んん……は……」

「ふぅ、は、はっ……ぅ……」

 

 熱を帯びた呼気が、互いの耳元を掠め合って。

 身体の内を激しく打つ、互いの心音を教え合う。

 何もかも、求めるままに、全部委ねてしまいそうになる程に、心地がいい。

 そして、ミトは自分の下腹部に押し付けられている。

 コウキの熱く、漲る性衝動に、意識を向けて、触れようとする。

 だが。

 

(……っあ、や……待っ、て……)

 

 瞬間的に沸き上がり、濁流となって押し寄せた衝動的な感情の中で。

 ミトの内にほんの僅かに流されず、残っていた、理性の一片。

 それがどうにか彼女を、足枷か首輪かのように、一瞬引き留めて。

 性教育係として、先導する年上の「先輩」としての責任を、思い出させた。

 

(して、あげなきゃ……)

 

 ────手じゃない。胸じゃない。

 もっと、もっと、深く、はっきりと感じられる場所で、してあげないと。

 ……ちがう、違う。自分のことばっかに、しちゃいけない。

 コウキがしたいやり方で、しなきゃダメ。

 いやっ、でも、でも、何が────。

 

「……ねぇ……コウキっ……」

「ふぇ……?」

 

 ぐちゃぐちゃで、折り合いのつかない、散文めいた熟思と、曖昧模糊な葛藤の末に。

 ミトはコウキの耳元で、飴を転がすような、うっとりとした声音で。

 誑かすように、囁いた。

 

「口で、しても、いいっ……?」

「は、えっ……ぁ……」

 

 びくんと、魅惑的な要求に、反射的にコウキの分身が反応して。

 彼の思考も、自ずと、ミトの唇のことに移る。

 薔薇のつぼみを彷彿とさせる、薄くありつつも、張りがあって、血色のいい彼女のそれ。

 触れるのを躊躇ってしまうように、綺麗で、無垢で。

 どこまでも、自分のものにしたくなると、独占欲に駆られるそれ。

 

「……いっぱいっ、気持ちよくする、から……っ」

「あ、ぅ……っ」

 

 彼女のそれを手折るように汚そうとする、自分の肉棒。

 そして、拒絶するのではなく、優しく受け入れて。

 甲斐甲斐しく、一生懸命に自分のそこをフェラチオをする、ミトの姿が過って。

 急激に催した、強い劣情のあまり、荒くなった息が喉元で詰まって。

 はっきりと、声が出せない。返せない。

 このままじゃ、ダメだと、焦って、逸って。

 

 だから、コウキは────。

 

「…………っ!……っ!」

 

 ────浅ましく、頷くことで。

 ミトの淫猥な誘いに、堕ちた。

 

「っうん……立ってっ……コウキ」

「……っ、あ……ふぅ、ふぅ……」

 

 言われるがままに、震える足で立ち上がるコウキ。

 しなだれるように顔を寄せて、股間の前に跪くミト。

 

 脱がすよ、なんて許可を求めることなく。

 緩慢な手つきで、体操服のズボンと、内のパンツを纏めて降ろしていくと。

 狭苦しそうに、ズボンの生地で傘を張って、引っ掛かっていたそれが。

 ミトの眼前にで、剥き出しになる。

 

「っ、あ……」

「…………っ」

 

 日焼けした肌とは異なる、無垢さを表すかのように真っ白で。

 亀頭の中ほどまで包皮の剥けた、10㎝弱の、コウキの陰茎。

 それはぴんと直立して、期待に打ち震えるように、ひくひくと今も大きくなりつつあって。

 先端の鈴口には、もう先走りが染みのように滲んでいた。

 

(…………凄い、におい……)

 

 そして鼻先に掠める、根元に生えた産毛が、発汗の熱で蒸れたことで。

 コウキの体臭をもっと濃くした、立派で、魅力的な雄の淫臭。

 くらりと、ミトの脳が揺れる。

 明朗だったとは言えない脳裏が、淫情に霞んでいく。

 

 溢れんばかりの、どうしようもない情動に、突き動かされていこうとするが。

 己をどうにか抑制させて、ミトは包装を解いたコンドームを彼の先端に宛がうと。

 するする、と包皮を剥きつつ、手早く慣れた仕草で身につけさせた。

 

(これで、もう……)

 

 後はもう、雄を悦ばせて、射精させるという。

 雌の本懐を果たす、だけ。

 

 ピンクの鞘を身に纏ったコウキのそれに。

 触れるか、触れないかの距離まで、顔を近づけるミト。

 大きく息を取り込むために口で呼吸していた、熱情的なミトの吐息が当たる度に。

 彼の竿が小さく痙攣した。

 

「ふっ、ふぅ……」

 

 そうして、手はまだ、膝に置いたままに。

 彼の桃色の先っぽに、ミトが唇を寄せると。

 

────ちゅうっ。

 

「あ、っう……く……っ」

 

 口先を窄めての、慕情と、愛情を込めた。

 唇の跡を焼き付けるような、亀頭へのキスを、繰り返す。

 意図せずして大きく鳴った、蠱惑的なリップ音がコウキの鼓膜を揺らす。

 むっちりと押し付けられる唇の官能的な感触と、耳を犯す肉感に満ちた音。

 それが、まだ第二次性徴すら来ていない少年を昏く、悦ばせる。

 

「ちゅ……ちゅ……」

 

 亀頭から唇を下らせて、まんべんなく、ミトはコウキの局部に自分の跡を付けていく。

 ミトが口紅を付けていたのなら、その花弁が咲き乱れ、彩られたであろう程に。

 その彼女の愛撫は最早、マーキングだった。

 

「はっ、はぁ……っ」

 

 快感に焦がれた息が、コウキの口から垂れこめる。

 幾重もの口づけを終えて、ミトのたおやかな右手の指が、彼の不浄の根元を抑えた。

 窄められていた唇を割って、唾液の艶を帯びた彼女の赤い舌が、零れ出る。

 ミトは、耳にかかっていた髪を何となしにかき上げて。

 ふるふると、甘い絶頂を嘱望する彼の分身に、その舌を這わせた。

 

「……んっ……れぇ……」

 

 コンドーム越しにでも、血が大量に送り込まれて。

 じんと熱を持っているのが十二分に伝わってくる硬い、硬いキャンディ。

 それに触れた彼女の味蕾が、それをケミカルで、つまらない味がすると訴える。

 だけれど、その薄皮1枚越しには、精一杯に血を集め、膨らんでいる。

 愛しい、愛おしい、コウキのそれがあると、ミトの本能が鎮めさせた。

 

「んれろ……ちゅる……ぺろ……」

 

 幼児がアイスキャンディを食べるときのように、小さく短く、舐めてみたり

 じっとりと、舌のざらつきさえ覚えさせる、蛞蝓が這うような速度で、舐ってみたり。

 不規則で、脈絡がないように見えて。

 その実、どこが感じるかをつぶさに覚えようとしていた、慰めの末に。

 ミトは、べっとりと、へばりつかせた舌体でもって。

 根元から裏筋までを、一気に舐めあげた。

 

「ううっ……あ……んんんっ……」

 

 ぞくぞくとコウキの背筋が震え、甲高い声が出そうになって。

 年頃の羞恥心が大きく反応して、彼は口元を手で押さえて、聞かれないようにする。

 だが、吹き零した泡のように、恥ずかしい声が隙間から漏れ出していて。

 何の抵抗も、意味も成していなかった。

 

(こっち、も…………)

 

 竿の根元でぶら下がる、大事な精嚢を抱えた袋を、支えるように添えた左の手のひらで。

 細心の注意を払った力加減で、ゆっくり揉みしだく。

 精子を作るという、重大な仕事を成しているそれを、労うように。

 

「っう、はぁ……それっ、へんになる……っ……」

 

 ぐにゅりぐにゅり、と彼女の手によって柔軟に形を変える少年の陰嚢。

 コウキにとっては、最初はくすぐったく、ただ身をよじらせるだけだった筈のそれが。

 徐々に、じわじわと、射精欲を煽らせる物に変わっていく。

 

「はぁ、は……んぁ……」

 

 ちゅるり、とミトが舌を戻した。

 カーテンから零れた一筋の陽光が掠めている、目一杯に愛されていたコウキの肉棒は。

 彼女の唾液によるぬめりで、鈍く、艶めかしく、照りついていた。

 彼のそれに、彼女の唾液を塗られていない所は、もうない。

 

「ふぅ、ふぅ…………あむっ……」

 

 舌だけは、もういい、として。

 自分の熱を覚える吐息と、唾液で濡らされている陰茎を。

 ミトはその小さな口に、ぐぷりと、含んだ。

 

「ぁ、うぅっ────…………!」

 

 コウキの情けない声が、排熱された蒸気のように漏れ出た。

 ほかほかとした湯に、そこだけがつかっている生々しい感覚。

 喉奥から放たれた、籠ったミトの吐息がぶつかる。

 

 彼女の口内は、今に至るまで小さく舌を、多く動かしていたことで、涎で溢れていて。

 引っかかりがないぐらいにぬるぬるとしていて、別種の生物のように蠢く。

 ミトの口内を別の場所だと、収まるべき場所だと誤解した、コウキのそれが、一層に猛った。

 

(やさ、しく……)

 

 ミトの中で過る、女子だけの保健体育の授業で行われた、前戯に対する注意。

 普段の調子で、無意識に入れてしまった力が、男の子を傷つけてしまうこともある。

 どうしてか、はっきりと印象に残っていた担任の一言を、反芻する。

 

(気を、つけて……)

 

 実際に、どうにでもできてしまうコウキの大事なそれ。

 信頼と愛欲と共に預けてくれたそれを、絶対に傷つけないように。

 力を込めないようにした、柔らかい舌を絡め。

 ふんわりと甘やかすように、纏わりつかせると。

 歯を立てないように、鈴口からカリまでの短いストロークで、扱いていく。

 

────くぽっ、くぽっ、くっぽ、くぷっ。

 

 空気が混ざった、いやらしい注挿の媚音が鳴り始めた。

 ミトの唇が発達途上のカリ首のくびれに引っ掛かる度に。

 脳髄が痺れるような快楽が、コウキの内で上ってくる。

 

 溶かされているのではないか、と疑うぐらいに。

 されれば、されるほど、先端の感覚がどんどんと痺れて。

 代わりに、そこで覚えている彼女の舌の動きが、どんどんと強く鮮明になっていく。

 

「……あっ……!あ、くぁっ!……っあ……っえ……」

 

 ふと、その淫猥な往復が止んだ。

 そう、コウキが快楽でぼやけた頭で認識した瞬間に。

 緩急のように、精液だまり越しに、くりくりと。

 自分に吐き出すために作られた、ドロドロに煮詰まった精液を、出しやすいように。

 尖らせた舌先で鈴口を突っつかれて、ほじくられる。

 全くの未知の感覚に、コウキはいじらしい声を零す。

 

「ぃ、あっ……く……!はぁ、は……っ!」

「んちゅ……ん……じゅうう……れろれろっ……」

 

 つい数瞬まで尿道を穿っていた彼女の舌が。

 途端に、コウキの肉棒の周りを激しくのたうち回りだす。

 泡立った唾液が、口端から滴り落ちていき。

 ミトの体操服の胸元の布地を、じわりと汚した。

 

 暴力的な快感のあまり、このままだと、立っていられそうにない、と。

 反射的な危機感に襲われて、コウキは自身に跪いている、彼女の頭に手を置く。

 彼の手に馴染む、女性らしく、細くたおやかで上質な毛髪の束。

 

「っ、んぅ……?」

 

 何の予兆もなしに、髪を撫でられたことに、反応して。

 曇った瞳の上目遣いで、ミトがコウキの様子を伺った。

 2人の目と目が、合う。

 

「……ぅ、あ……っ!」

 

 強烈なフェラチオの快感に前後不覚となっていたコウキは。

 今更ながらに自信の置かれた状況をはっきりと理解する。

 

 座らせて、侍らせて。

 見おろして、見上げさせて。絶対的な、上下関係を作って。

 口で、させている。させてしまっている。

 それに、頭に置いた手が、彼女に強制させているようで、従わせているようで。

 

「んむっ……こうひ、ひもひ、いい……?」

「……っ!……ぅ、んっ!……や……ぁああっ!」

 

 ぞくりと沸き立つ、征服感、優越感。

 それはまだまだ幼い彼には劇的で。

 無垢とは程遠いあまりに汚れた薄暗い感情が、コウキを狂わせる。

 

「ん……ふへへ……んちゅ……れろっ……」

「ふーっ、ふっ、くっ!あっ……だめっ!それぇ……っ!」

 

 だが、実体としては、奉仕させている側に余裕などなく。

 雌を征服し、優越を覚える雄らしさなど皆目伺えないまま。

 ミトの激しい口淫に情けなく、腰をがくがくと震わせていた。

 本当はどちらが優位にあるかどうかなど、今この場においては明白だった。

 

「じゅう…………んっ、ちゅううぅ……」

「やっ、ぁ……せんぱいっ……!」

 

 雄の反応に、悦びを得たミトは頬を窄めて、淫靡に肉棒を吸い上げる。

 ミトの頬のむっちりとした粘膜が、愛おしそうに包んで、亀頭を圧迫していく。

 強烈な快楽に、腰が持っていかれそうになったコウキ。

 どうにかその場で、必死に留まろうとするが、両手でミトの頭を強く掴むわけにもいかず。

 そこしか拠り所のない両の足で、マットレスを強く踏みしめた。

 

「あ……あぁっ!……うぁ!」

 

 けれど、そんな抵抗では耐え切れずに、思わず腰をくの字に折って引いてしまい。

 彼女の口から自分のそれを、抜け出させてしまう。

 

「────ぷあっ、ふ……っむ……」

「くっ、ぁ…………ぅ、うう……はっ……はっ……」

 

 勢いあまって口から逸れた、唾液に濡れたそれがミトの頬を這いずって、跡を残す。

 頬を擦る柔らかな感触ですら、感度が高まっているコウキにとっては、強烈な刺激。

 コウキは、自分から抜け出してしまったことを、恥じるも

 物欲しそうに、無自覚に腰を突き出して。

 自分が支配していた、されていた場所へと、戻りたがろうとする。

 今以上の新しい快感を、求めようとする。

 

「ふぁ、はぁ……れろ……ぁ、んむっ……」

 

 ミトは初めにしたように、コウキのペニスを口元にもっていくと。

 突き出した舌でそれを迎え、くるむようにして、再び咥え直す。

 そして今度は、離れないように、離さないように。

 彼の腰に両手を回し抱いて。

 喉奥まで頬張るように、飲み込んだ。

 

「ぐぶっ……んむっ、んじゅぅ……じゅぶ……」

「ひゃあぁ!?……っ!あっ、あああぁ…………っ!」

 

 ミトが、くぐもった水音を立てる。

 コウキが、雌のような嬌声を上げた。

 

「ちゅぷ……んんっ……ふ……」

 

 根元に顔を埋める以上、口で呼吸が出来ない故に。

 酸素を求める肺に応えるには、鼻で呼吸をするしかない。

 そうして息をすれば、雄のフェロモンに満ちたコウキの体臭が、ミトの鼻腔を満たす。

 呼吸の度に嗅いで、嗅がされるほどに、もっと、と欲しがって、虜になって。

 彼の生えかけの陰毛の茂みが、鼻先で擦れて。

 少しこそばゆいことすらも、愛おしい。

 

 そういった、蕩けた思考の中で。

 いつの間にかミトは、すりすりと、無意識の内に。

 自分の内ももを、擦り合わせていた。

 

────ぐっぽ、ぐぷっ、ぐぽっ、ぐぽっ。

 

 深くなった、淫穴の中にて。

 根元から先端までを、ねっとりと往復させてしゃぶりつく、ディープスロート。

 重く湿って響く、下品な水音。

 口内に溜まって、溢れ出していた自分の唾液で、口元が大きく汚れることも厭わずに。

 ミトは一心に、コウキを愛撫し続ける。

 

「これっ、もっ、むりっ……!でちゃうっ!でちゃ、うっ……!」

「んぶっ……ん、んくっ、ぐっぷ……じゅずず……」

 

 彼女の口の中で、彼のそれが跳ね出していく。

 ミトに必死の懇願が突き刺さるが、止めるつもりは微塵もなかった。

 幼気な海綿体に血を送る、健気な血管を優しく撫でるように、舌でなぞって。

 彼女は淫らな前後往復を、短く早く、繰り返す。

 それは絶頂への期待、そして熱望の表れ。

 

「あ、ああぁぁっ────!」

 

 耐えに耐えての、最大の解放を前に。

 彼の陰嚢が、きゅうと縮こまる。

 コウキはぎゅっと、涙で塗れたぐずぐずになった目を瞑って。

 剥き出しの獣欲に従うまま、自身の尊厳も、彼女への労わりも、かなぐり捨てる。

 

 柔らかくて、温かい、ミトの喉奥。

 そこを、自分の欲望を吐き出して、征服する為にある部位だと、本能が錯覚している場所を。

 コウキは己の男槍で、突いて。

 どうしようもない肉欲を、爆ぜさせた。

 

────びゅうーー♡ぶびゅうう♡びゅるるるる♡

 

「んぐっ!……っ……んっ!んん……んむ……」

 

 尿道を押し広げて、鈴口から放たれる盛んな放精を、ミトは喉奥で受け止める。

 コンドームを着けていなければ、溺れていたのではないかと思わんばかりの精液が。

 どくどくと精液溜まりに注がれて、風船のように膨張していき。

 ミトの小さな口内を、埋めていく。

 

(ぁ、あ……)

 

 今までよりも、直に、はっきりと。

 自分によって生まれた、そそられた。

 雄の劣情が、性欲が、自分に打ち付けられる感覚に。

 ミトは、陶酔していく。

 

「~~~~っ!!」

 

 コウキは吐精の度に、ピンと足を張って。

 背中を弓なりに反らせて。

 腰を抱かれていなければ、へたり込んでしまいそうになる快感と、解放感に見舞われて。

 声にならない声で、悶え続けていた。

 

────どぷっ♡びゅぅ♡びゅく♡びゅく……♡

 

 10秒以上の長い射精の末に、精子を吐き出す勢いが、ようやく落ち着く。

 裏筋を舌で扱いて、ちゅうちゅうと頬を窄めて吸い上げて。

 もう何も出ないことを、再三確認するミト。

 彼女が一拍置いて、頭を引く。

 そして、ずるり、と彼女の口から、幾重もの唾液の糸を滴らせて。

 コウキのそれが、中ほどまで引き抜かれた。

 

「────んっく、ぷはっ……ぇあ……」

「はっ、はあぁ……ぅ……ぁ……」

 

 涎に塗れた、まだ硬さを維持している、満足げにびくびくと震えるコウキのそれ。

 その先端で青臭い精液を柔軟に受け止めて、膨張した精液溜まりを、ミトは舌の上に乗せて。

 大きく口を開くことで、彼女は彼に見せつけた。

 真っ赤な舌体の上で憚る、コンドームに包まれた、ぷるぷるとしたマーブル模様の白濁のゼリー。

 それは、大人の階段を一つ上ったことの証明であり。

 まぎれもない、優秀な雄の証だ。

 

 そうやって、言葉にはせずとも。

 いやらしく、彼の自尊心をくすぐるように。

 ミトはコウキを、褒めていた。

 

「……っん……く……はずす、ねっ……」

「……っうん、は……あっ……」

「わっ……」

 

 コンドームの口を引っ張り上げられて、迫ぐるしい鞘から解放されたことで。

 口淫の終わりを自覚した体が限界を訴え、コウキは立っていられずに、膝から崩れ落ちる。

 そしてミトに向かって前のめりに倒れ込む形になり、彼女は咄嗟にコウキを受け止めた。

 ミトの体により縋りながら、息絶え絶えに、彼は謝罪の念を呟く。

 

「ふぅ……ふう……ごめんっ、せんぱいっ……。

 ……こう、させてっ……」

「いいよ……んんっ……」

 

 ゴムの口を縛り終えたミトは、コウキの背中に手を回して、掻き抱くように身を寄せた。

 その柔らかな抱擁が、彼の興奮を宥めるように作用する。

 どちらかが落ち着きを得るまで、互いの激しい心音に聞き入って、抱き締め合ったまま。

 ずっと、何かの拍子が訪れるまで、そうしていた。

 

 

 *

 

 

────キンコンカンコン。

 教室のスピーカーから電子のチャイムが鳴った。

 コウキは、ミトの肩に寄りかかっていた面を上げる。

 

「……先輩、その」

「────コウキ」

 

 彼が何かを言い出そうとする前に、ミトの笑みが向けられた。

 それはさっきまでの顔の火照りはそのままで、媚態の余香がほのめいていたが。

 日常を想起させる、朗らかで、自然な微笑だった。

 

「ほら、行かないと、ダメだよ。

 ……お腹、減ったでしょ」

「…………」

「オレは、大丈夫だから。

 しっかり食べて、5、6時間目、頑張んないと」

 

 コウキの頭に重ねられた、彼女の手。

 行われるのは、すりすり、と頭を撫でる、彼女なりの愛情表現。

 沢山に受け取ってきたものを、また新しく誰かに受け渡す手段。

 コウキは素直に、その親愛を受け入れる。

 

「待ってる、から。皆と一緒に、おいで」

「…………わかった」

 

 葛藤を信頼で絆して、忘れることで生まれた、難しい表情で。

 コウキは渋々と頷いた。

 

「立て、る?」

「っうん。…………しょっ、と……っ」

 

 スポーツ少年の地力によって、先程まで腰が抜けていたような状態にあったにも関わらず。

 ふらつきながらも、しかと両の足で彼は立ち上がった。

 そして、扉の前まで歩くと、最後に振り返る。

 

「……じゃあ、またね。先輩」

「────うん、また」

 

 コウキは、再会の約束を立てて。

 潔く廊下の向こうへと、消えていく。

 彼の退室を見送ったと共に、ミトはどうにか平常足ろうとして、作っていた笑みが崩れて。

 そのまま、マットレスに倒れ込んだ。

 

 こうして、彼女の短い一生の中で一番に長く。

 そして濃密な午前が、終わりを告げた。

 




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