「先輩、おはようっす!」
「ああ、おはよう梓ちゃん」
俺の彼女の梓ちゃんは今日も健気に俺の家まで来てくれた。
彼女の名は乾梓(いぬい あずさ)。もと不良グループの一員で今は脱退している、所謂元ヤンである。
過去に色々あって今は俺の彼女になっているが説明すると長いので割愛する。
「いつもありがとう。でも無理に登校に付き合わなくても良いんだよ。梓ちゃん家からここまでかなり距離あるし」
「大丈夫っすよ~。精々走って10分程度の距離だし。まあちょっと汗ばむのがネックと言えばネックかな~」
そう言いながら制服の胸元を開きパタパタと手で仰ぐ梓ちゃん。突然のエロい光景に思わずチラ見してしまった。
「あ~先輩のえっち~。今あずの胸見たっしょ? 女の子は男の視線に敏感なんだよ」
テヘペロっと舌を可愛らしく出しながら注意する梓ちゃん。
「先輩はあずの彼氏なんだからもっと堂々と見て良いんすよ? ほーら、大きなおっパイでチュよ~」
梓ちゃんはムニムニと巨乳を両手で震わせながらいたずらっぽい目で冷やかしてくるとひらりと猫を連想させる動きで俺の前に躍り出た。
下から覗き込むようにしながら汗ばんだ胸を揉みまくっている様は朝っぱらから俺の下半身を元気にしてしまっていた。
「ちょ、ちょっと梓ちゃん。ここ人通りがあるからっ、ほら、胸閉まって!」
「え~。気にし過ぎっすよ先輩。誰も見てませんって~」
まだ朝の7時過ぎ。いつもの通学路にはスーツを着たサラリーマンや他の学生がちらほら居た。当然今日も元気な梓ちゃんは彼らの視線を一斉に浴びていた。
男の視線に敏感なんじゃなかったのかよ。
サラリーマンの男の人なんて鼻の下を伸ばしていて彼女の胸を凝視しているのが丸わかりだ。
ズキンッ!
「ん? どうしたんすか?」
「い、いや何でもない。それより急ごう」
俺は慌てて言うと少し小走りになりながら通学路を進んでいく。
……さっき何か胸に痛みが疾走ったがきっと気のせいだろう。
俺は言いようのない感情を胸に抱えながら朝の慌ただしい中、梓ちゃんと一緒に学園へと向かっていった。
「到着ー!」
いつも通り学園に着くと俺たちは校門で少し喋ることに。
この時間帯は生徒の数も多く、やはり梓ちゃんは目立っていた。
顔も可愛く、綺麗なふわっふわの髪の毛と何より大きな胸を持っている俺の彼女。当然男子たちの視線が痛いほど刺さってくる。
が、それももう慣れた。この登校風景はすでに稲村学園の風物詩となっていて多くの生徒は気にせずに素通りしていくのだ。多少の男子の視線ぐらいどうってことない。
そう、どうってことないんだ……。
「まーた先輩ったら難しい顔してる。なんか最近変っすよ先輩。悩みがあるならあずに言って下さいよ」
気がついたら梓ちゃんが俺の顔を覗き込んでいた。どうやらまた考え事をしていたようだ。
「もう、そんなボーッとしてあずのことを置いてきぼりにするような先輩にはこうだっ!」
そう叫ぶと梓ちゃんは俺の右腕に抱きついてきた。
ムニュリと俺の腕で形を変える彼女の巨乳。並の太さしかない俺の二の腕はすっかり彼女の胸でサンドイッチされその姿を隠してしまった。
「ちょ、ちょっと梓ちゃんまた! ほ、ほら皆見てるよ」
気がつくと俺らの近くを通りすがるだけだった男子たちのグループがこちらをガン見していた。
主に梓ちゃんの胸を凝視しているような気がする。
やばい。また変な注目を集めてしまっている。
「いや、大丈夫だから。ほら、いい子だから離れて」
俺はそう言うと梓ちゃんの頭を撫でてあげた。ふわっふわの髪の毛は猫の毛のようで触っていて気持ちがいい。
当の撫でられている梓ちゃんも目を細めて気持ち良さそうだ。
「もうっ! またそうやって誤魔化す~。本当に大丈夫なんですか~?」
「大丈夫、大丈夫」
俺はなるべく平然を装っていつも通りにこやかに答えた。内心の変化はきっと彼女に悟られないだろう。平凡な笑顔は得意なんだ。
「なら良いっすけど……。あ、もうこんな時間だ。あずも学園に行かなきゃ」
学校の時計を見るとたしかにもう8時10分前だ。
「うわっ! 遅刻したら大変だ。ほら、梓ちゃんも学園に行きな」
「んじゃ先輩また明日ー!」
梓ちゃんは元気よく踵を返すと颯爽と駆け出していった。
「相変わらず物凄いスピードだな。流石元江乃死魔最速、噂の健脚は伊達じゃないってことか」
俺はすでに見えなくなった彼女を見送り、自分の教室へと向かった。