「あ、ありがとうございました、のじゃ」
お礼を告げ自動ドアをくぐる。冷えた空調から一転、肌に焼き付くような熱気が群がる。季節は春時々夏位のシーズンで、今日はどうやら猛暑日だったらしい。朝早くに家を出発したものの役所手続きと朝ご飯を済ませるとかなりの時間が経ったらしく、既に陽が頭の上に昇っていた。自然とベロが垂れて、「ヘッヘッ」と熱を発散している。
「こんだけ暑いと死ぬじゃろ……ほんとにバカ……」
行き場の無い憤りに不平を漏らしつつ、スマホで現在の気温を確認する。35度と表示された液晶を見て、7・8月辺りの気温を想像すると憂鬱な気分になる。
ポーチからスポドリを取り出し、落ち込んだ気分を一緒に飲み干してしまおうと一息に仰ぐと、肺に侵入してしまったようで整った鼻筋から逆流してしまった。
「んンッ……! おッ……!? カハッ……!!」
天才美少女狐っ娘に有るまじき奇声を発した所で、胸板をドンドンと叩いて肺の水気を取り出そうとする。時間にして1分ほどではあるが、体感10分くらいの格闘の末、何とか呼吸を取り戻す事に成功する。
「あ゛ー……ほんとに死ぬ……スポドリで死にかけるし、暑いし、巫女服じゃし……ついて無さすぎじゃろ……」
立て続けの不運の連鎖に心が折れそうになる。生死の境を垣間見た事で本来困り眉をしたそのご尊顔は体液でぐちゃぐちゃになっており、見るも無残な顔立ちになっていた。
その後、化粧室で汚れを落とすと、用事も済んだので帰路に着く。すると道中に大型のゲームセンターを発見する。そういえば久しく遊んでないな、と思った頃には既に店舗の扉を開けた所だった。
△△
「あ……くっさ……♡ これじゃよこれ、やっぱゲーセンは煙草の臭いがすごいのう♡」
ゲームセンターに入るとスゥ、と店舗の壁にまで深く染み付いているであろう、煙草の臭いが直接脳まで伝わってくる。
手前にはクレーンゲーム、奥には格ゲーやら競馬やらの筐体が所狭しと並べられている。近年ではスマホや据え置き、パソコンでオンラインを通じて様々なゲームが遊べるようになったが、この直接ゲームセンターに足を運んで遊ぶアナログな感覚は個人的に好きである。
「へー……色んなゲームがあるんじゃなぁ。え、『リズムな天国』ってアーケードであるのか?! 知らんかったぁ……」
「えっ!!? 『オレノカードバトル』は!?? 終わったのか???!」
「『龍玉英雄伝』は相変わらずか……安心……何じゃこのキャラ??!」
「うそじゃ……久しく来てない間に変わりすぎじゃろ……儂は浦島太郎じゃったか……」
店内に設置されたベンチの背もたれに身を預け、ぐでーっとなりながら時間の流れに思いを馳せる。思えば、ゲームセンターに最後に訪れたのは中学生頃だったのだろうか、当時少ないお小遣いの中でメダルを増やす事に全力を注いでいたのは記憶に懐かしい。
折角なら何かゲームして遊ぼうという事で、かつてエンジョイ勢程度にプレイしていた音ゲーの筐体の前に立ったのだが……。
(背が……届かんじゃと……?)
筐体のボタン位置に背伸びしてようやくお手手が届くかといった程度で、安定したプレイを求めるのであればもう20cmほど身長が足りない。
(うそじゃ、儂がちんちくりんなどと……天才美少女狐っ娘じゃぞ?)
散々たる現実に対抗するように自身を鼓舞するものの、やはり身長が足りない事実に少しづつ心が苛まれていく。このままでは自信どころか自らを構成している人格にまで少なくない影響を及ぼすのでは無いかと悪寒が駆け巡る。故に、導き出される答えは……。
△△
ゲームセンターのある一角に少しの人溜まりがあった。ザワザワとした喧騒は天才美少女狐っ娘を取り囲むように形成されており、件の少女は音ゲーの筐体を飛び跳ねながら器用にプレイしていた。
筐体横に併設されていたディスプレイには少女のプレイ画面が映し出されており、ようやく1曲目が終わってリザルト画面が表示されている。その奇妙なプレイスタイルに反して高難度の曲を好成績でクリアした事に少女は満足そうに微笑む。
ところが、辺りを取り囲む人々の視線はディスプレイではなく、少女に注目が集まっており、次の演奏を今か今かと待ちわびている。
次の選曲が決まり画面が切り替わると、少女は流れてくるノーツに合わせて跳躍を開始した。するとどうだろう、重力に従い巫女服ミニスカートが風で捲れ上がり、内に秘めていたドスケベ下着が存在感を顕にしたのである。しかし、狐っ娘は飛び跳ねるのに夢中になっているためか、そのことに気づく気配はなかった。
「ふっ……ふっ……!」
自身の下腹部に力を込め、括約筋を引き締める。膝を曲げ、跳躍を繰り返していると自然と息が上がり始め、身体が少しづつ火照り始めてくるのを感じる。
(おおお……! 横っ腹が痛い……!! ねじ切れる……!!!)
自身の体の変調を少しでも意識してしまうと、途端に度重なる跳躍で積み重なった腹部の痛みが襲いかかる。曲の折り返し辺りで息が荒くなり始め、「ヘッ……! ヘッ……!!」と必死に酸素を吸い込む。意識が朦朧となり始め、そろそろ倒れてしまうのではないかと思い始めた頃、もっふもふのお耳にクリアのBGMが流れ込んで来る。
(おっ…………おわったか…………)
「ヘッ……ヘッ……ヘッ……」
あまりの苦しさに思わず膝にお手手を当てて前屈みの姿勢を取ってしまう。言うまでもなく少女はミニスカートであり、そのような体勢を取ってしまうとドスケベ下着が大衆の面前に晒されてしまうこととなる。
寧ろ先程の不意の遭遇よりも、前傾姿勢によってその存在は強調される所となる。
丸みを帯びた臀部だけではなく、もはやTバックとすら呼べるのか分からないほどに細いドスケベ下着からはぷっくりとした肛門がチラ見えしており、最低限の股布部分にはうっすらと筋が浮かんでいるのが見える。
「ヘッ……ヘッ……」と喘ぐ天才美少女狐っ娘とその扇情的な醜態に、何人かの男性はゴクッ、と涎を飲み込み、恐る恐るスマホで撮影を試みる。
朦朧とした意識の中、健気に呼吸を整えていると不意に「カシャッ」という無機質な音が繰り返し聞こえる。不思議に思い、振り返ってみると何人かの男性がスマホを急いでポケットや鞄にし舞い込んでいるのが目に映った。
「ヘッ……ヘッ……フゥッ……フゥッ……」
(……? な、なんじゃ……? 何か撮っておったのか……?)
横腹の痛みから、前傾姿勢のまま辺りを見渡してみるも、これといって特筆すべきものは見当たらない。筐体横のディスプレイには散々たる結末が表示されているが、そんなものを写真に収めたところでなんの意味も無いだろうと思考を追い払った。やはり、まだ息苦しい。
続けざまに「カシャッ」と音がすると、録音特有の「ピコンっ」という音も聞こえてくる。音の発生源の方を見てみると、穴が空くように、熱心にこちらを見つめながらスマホを片手に持った人達が目に映った。
(ふへ……もしかして儂を撮っておるんか……? まぁ天才美少女狐っ娘じゃもんな。その気持ちは分からんでもないが……?)
そう思い至ったところで、人々の視線にやけに熱が籠っていることに気がつく。普段ならば見られることの無い、けれど自身にも馴染みのある視線。呼吸が落ち着いたところで思考を回すと、自身は現在ドスケベ下着を大衆の面前に惜しげも無く晒しているのではないかと結論に行き着いた。行き着いてしまった。
(??! ぇぁ……!? う、うそじゃ……もしかしてずっとみんなに見られて……!!?)
羞恥心が身体を駆け巡り、反射的に尻尾で下着を覆い隠す。
(み……見られた……! 見られてしもうた……!! 儂のドスケベ下着……あられも無い姿……!!?)
家を発つ前、決して誰にも見せないように誓った花園が、色んな人に見られ……視姦されてしまったのである。恐らく、先のシャッター音は自身のドスケベ下着が記録媒体に残されてしまった証左であり、その無機質なサウンドが自身の脳を少しづつ犯しているのを感じた。
「とくん、とくん、とくん」と嫌に早くなった脈動の音が聞こえてくる。今まさに起きた出来事が現実のものであると、すぐには受け入れることは出来ない。少しづつ、丁寧に、情報を処理して咀嚼してようやく事実を受け入れることが出来る。そのためにも、現在進行形で少女はフリーズしているのだが……。
ところで、恋愛を成就する上で吊り橋効果が語られる。お化け屋敷や高所など、本能的に恐怖や危険を感じる事で脈拍が上昇し、それにより得られる興奮状態を利用して恋をしていると脳を錯覚させる、とされるのだが……。
天才美少女狐っ娘は混乱のさなか自身の醜態を自覚した事で脈拍を上昇させていた。ぷるっとした艶のあるお口を一文字につぐみ、目には涙を浮かべ、すべすべなお手手でミニスカートのすそを弱々しく掴み、もっふもふなお耳をぺたんと伏せて、尻尾を股の間に通すことで何とか平静さを保とうとしていた。
(が……がまんじゃ……このような醜態……あるばずが……あるはず……が……どこかで……似たような……?)
自身の状況を否定しようと試みた所、ふと、このような状況にデジャヴュを想起させる、不思議な感覚が頭をよぎった。本人にとっては自覚の無いものの、今までにこの幼い身体にもたらされた甘美な快楽は、知らず知らずのうちに彼女の脳の奥深いところを、魂を蝕んでいたのである。
「じゅわぁ……♡」と秘部が染みを生み出すと、下腹部が「きゅん♡」と疼き、次第に脳が甘い感覚に浸されていく。
(あぇ……? なんじゃ、これは……??)
徐々に身体を幸せが巡り、まず必死につぐんでいた口が自然と弛み、たらん、とベロが垂れてしまう。
(? ……??)
頭では全身に何が起きているのか理解が追いついておらず、もはや身体は快楽に身を委ねるしかなくなっていた。
続けざまに先程まで必死に裾を掴んでいたお手手が弛み、ぶらん、と宙ぶらりんになってしまう。
そして健気に身体を支えていた足腰まで幸せが広がり力を奪っていく。その結果、かくん、と足腰が緩んだことで地べたに天才美少女狐っ娘は堕ちてしまった。
(な……なんじゃ……なにが……?)
挙句の果てには再び快楽が秘部を伝い、意図せず括約筋が極限まで弛んでしまったことで尿道からは聖水が滴り、次第に「ちょろろろ♡」と束になり、だらしのない音を無様に立てながら床一面に広がってしまった。
(……♡……♡♡……♡??)
しかし、これでもなお快楽に脳をぐじゅぐじゅ♡に溶かされてしまった天才美少女狐っ娘は事態を把握することは適わず、不意の失禁に足をガクガク♡させながらその甘い幸せに身を委ねていた。
「ヘッ……おへっ……♡おへぇッ……♡♡」
ゲームセンターの一角に、天才美少女狐っ娘のあられも無い喘ぎ声が響き渡るのみであった。
4話が少しアウトかもしれなかったのでR18タグ設定したのですが、併せてR18のお話、ここの小説で書いてもよろしいでしょうか?
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大丈夫
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別のタイトルでやって欲しい