※この作品はR-18です。

もしもワンピースの世界にプロメテウスが転移していたら……   作:カチコミ侍ニン任にん

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第三話 ‶デービーバックファイト″

 

 

 

 

 

 『アラバスタ王国』にて‶王下七武海狂″である『サー・クロコダイル』を倒した後島を出発した海賊『麦わらの一味』は、空島伝説が伝えられている島『ジャヤ』と実在した伝説の島『空島‶スカイピア″』での冒険を終え、再び青海(地上)での冒険を続けていた。

 

 

 

 

 

 

 そんな『麦わらの一味』が次に辿り着いたのは、『ロングリングロングランド』という島。

 その島は、元々はドーナッツ状の島であったが海面の上昇により10個の陸地に分かれたことで年に一度の大きな引き潮の時のみ本来の姿を現すと言う、常識では考えられないことが多い『偉大なる航路/グランドライン』においては、そこまで異常ともいえない特徴を持つ島である。

 

 そんな島で補給を行うことにした『麦わらの一味』は、そこでとある一人の老人と出会った。老人の名前は『トンジット』と言い、この『ロングリングロングランド』に住んでいる先住民族であり、3年に一度村人全員で引き潮のタイミングに合わせて隣の島に移動する遊牧民の一人だ。

 だが、本来なら村の者たちと一緒にいるはずの彼の周りには村人どころか人っ子一人いない。トンジットがなぜ一人なのかというと、それは『世界一長い竹馬』に挑戦したいということで実際に作り乗ったまではいいものの、地上からでは頂上が見られないほど高かったことで怖くて降りたくとも降りられずにいたのだ。その月日はルフィたちに竹馬を折ってもらうまで10年にも及んでおり、あまりの理由の馬鹿さ加減と年月に一味の中で最も無謀かつ無鉄砲なルフィですらも『大馬鹿か!!?』と発言したほどである。そんな事情があり、トンジットは他の皆に置いて行かれて一人になってしまっているのだ。

 

 そしてそんな話を聞いて良くも悪くもトンジットのことを気に入ったルフィが、彼と彼の愛馬である『シェリー』を村人たちがいる島へと送り届けると宣言したのだ。

 だが、島へ行くことを一番強く思っているトンジットは、この10つの島が元々は一つの島であったことで他の島へ行く際には‶記録指針/ログポース″が使えないと言う船移動での大変さを知っていたためルフィからの提案に遠慮していたが、一度決めたことを彼が変えるなどと言うことはなく、仲間達もそのことを知っているのと彼等としても10年もの間一人ぼっちであったトンジットのことを何とかしてあげたいと思っていたため、大変でも彼のことを送ることが決定した。

 

 

 

 そうして荷物をまとめて意気揚々と出発した『麦わらの一味』。

 

 しかし、彼等は忘れてしまっていた。これまでの旅で立ち寄った島において、事件や厄介事にいつも巻き込まれていると言うことに。

 

 

 そして————今回においても、それは例外ではないと言うことに。

 

 

 

………

……

…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうして、トンジットの記憶を頼りに4つ隣の島へと移動を続けていくことおよそ6時間。途中で海獣に襲われたり、大きな渦潮に巻き込まれそうになったりなどといった困難に遭ったものの、何とか目的の島までやってくることに成功した『麦わらの一味』。

 

 島に到着したことで、10年ぶりに仲間や家族に会えると泣いて喜ぶトンジットは、足早に島へと上陸すると村があると思われる中心部へとシェリーに乗って向かっていった。『麦わらの一味』は、泣いて喜ぶ彼の様子を見てほっこりとしながらゆっくりとした足取りで、彼の後に続いて島の中心部へと歩いて行った。

 『麦わらの一味』は、今頃トンジットは家族や仲間との再会に感動しているだろうと思っており、その考えを助長させるように彼の泣き声が聞こえてきたことで、その考えをより強固なものとしていた。

 

 

 

 

 

 

 しかし、実際に到着してみると、そこには彼らが想像していたこととはまるで違う光景が広がっていた。

 

 その光景とは————トンジットが使っていたような『ゲル』がいくつも破壊されるか炎上しており、その周りには彼と似た服装を血まみれとしている生気のない人々が倒れていて、そんな人たちの前にトンジットが崩れ落ちて号泣しているものであった。

 

 『麦わらの一味』は、この光景を見て目を見開いた。なぜならトンジットから聞いていた話では、ここには彼の仲間や家族がおり幸せに暮らしていると言うことだったのに、これではまるでどこかから襲撃を受けた後のようになっていたためだ。

 『麦わらの一味』は、その光景を見ながらどういうことだと考えていたが、その考えは続けられずに途中で止めることとなった。

 

 

 

 なぜなら、今度は彼らの耳に『ドォン!! ドォン!!』と、2発の銃声が響いたからだ。

 

 『麦わらの一味』は、銃声が聞こえた瞬間にこれまでの冒険の経験から敵襲だと全員が察し、武器を構えたり頭を抱えてしゃがんだりとそれぞれが行動をしたが、自分たちの誰も怪我どころか近くに銃弾が飛んできてすらいないことに疑問を感じた。しかし、その疑問は直ぐに解消されることとなる。

 

 なぜなら、今度はトンジットが叫び声を上げて肩を抑えながら倒れ、彼の愛馬である『シェリー』も鳴き声を上げながら口から血を噴いて倒れたからだ。『麦わらの一味』は、今の銃声はトンジットとシェリーを狙ったものであると理解し、船医であるチョッパーはすぐさま2人の傍に駆け寄って怪我の具合の確認を行った。

 

 すると近くの草むらから狙撃銃を持った明らかにガラの悪い者たちが現れた。トンジットとシェリーに対して悪い笑みを浮かべていることから『麦わらの一味』はそいつらが犯人だと察し、ルフィがその者たちに向けて「誰だ!?」と叫んだ。

 

 その者たちは堂々とした態度で、『おれたちは、泣く子も黙る【イケロス海賊団】の者だ!!』と自分たちが何者なのかを答えた。そして、聞いてもいないのにこの村を襲ったのは自分たちであり、ここの村人たちは売るために死んでいる奴以外は連れ去ったと下卑た笑みを浮かべながら言い、ルフィ達やトンジット、シェリーのことも半殺しにして売ってやると言い放った。その者たちにとっては、ルフィたちが何者であろうともいつものように攫って売り払うことが仕事のためそう言ったのだが、それがいけなかった。ルフィが最も嫌いなことは、『仲間・友達・知り合い・家族に手を出されること』である。そんな彼の目の前で、‶友達″と分類されたトンジットとシェリーを撃ち、それに加えて自身の仲間を売り払うなどと言われてルフィが黙っていることなどあるわけもなく、『イケロス海賊団』の下っ端たちを完膚なきまでにボコボコにしたのだ。

 そして下っ端をのした後は、トンジットのためにイケロスの奴らをぶっ飛ばして村人たちを助けると仲間に言い放ったルフィ。仲間たちはルフィのその言葉に対して、誰一人として反対の言葉を口にしなかった。他の皆にとってもイケロス海賊団の行ったことは到底許せるはずもなく、先程の下っ端の話では女子供が奴隷として売られるなどと聞いて黙っていられることなど出来なかったのだ。

 また、この時の彼らは相手のことを無意識の内に侮っていたのだ。だが、それも無理はないこと。彼らはこれまでの航海の中で、【王下七武海】や『悪魔の実』の中で最強種と言われる『‶自然(ロギア)系″の能力者』などと戦い勝ち抜いてきたのだから、今回においても勝つことは出来ると思っても無理のないことであろう。

 

 

 

 

 

 その『侮り』が、この『偉大なる航路/グランドライン』においてどのような‶結果″を及ぼすのかを知らずに……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、下っ端たちを尋問(脅し)したことでボスや幹部たち、村人たちが居る場所を聞きだしたルフィ達は、さっさと終わらせようと思いすぐさまその場所へと直行した。

 そうして聞き出した場所へ辿り着いたルフィたちの視線の先では、下っ端たちから聞いた通り連れてこられて檻に入れられた村人たちと3隻のガレオン船へと次々に荷物を運んでいくイケロス海賊団の者たちの姿があった。

 

 村人たちの姿を確認した彼らは、「まずは村人たちを逃がしましょう」とのくいなからの発言にほとんどの者が頷いていたが、たった一人だけそれを理解していなかった者が存在していた。それは何を隠そうルフィであり、難しいことを考えるのが苦手な彼は取り敢えず目の前の奴らをぶっ飛ばせばトンジットの仲間・家族を取り返すことが出来るということのみは分かっていたため、くいなや他の仲間からの静止の言葉を聞かずに敵の前に現れて暴れ始めたのだ。

 仲間たち…特にくいなは、人の話を聞かないルフィの無鉄砲さに頭と胃が痛くなる思いであったが、暴れ始めてしまった以上はもう隠密など出来るはずもないと諦めて、ルフィに続くようにイケロス海賊団の者たちを倒し始めた。

 そうしてルフィたちが暴れ始めてから少しすると、外の喧騒からか一隻のガレオン船の中から下っ端たちとは明らかに雰囲気が違う3人の男が降りてきた。

 

 その3人は何を隠そうこの『イケロス海賊団』の船長、そして彼を支える両翼である幹部であった。

 

 

 

    『 イケロス海賊団 【船長】 

       ‶蛮行″ イケロス 

     懸賞金 1億9700万ベリー 』

 

 

    『 イケロス海賊団 【幹部】 

      ‶カチ割り″ グラン

      懸賞金 7300万ベリー 』

 

 

    『 イケロス海賊団 【幹部】

      ‶足蹴″ シュールズ

      懸賞金 7300万ベリー 』

 

 

 

 『麦わらの一味』……特に主力である3人は、船から降りて来た3人が只者でないことをこれまでの経験から養われた直観から感じとっており、それは良くも悪くも正しいものであった。

 

 

 

 ルフィ、ゾロ、サンジの主力3人は、船から降りて来た3人の纏う雰囲気から他の仲間では勝つことは難しいと感じ取り、彼等の元へと向かっていったことで船長である『ディックス』とはルフィ、幹部2名はゾロが『グラン』、サンジが『シュールズ』と相対することとなった。

 そうして戦闘になるわけだが、最初の内は三人ともディックスたちとほぼ互角の勝負をすることが出来ていた。ディックス達も‶偉大なる航路/グランドライン“で海賊をするだけあって中々に強いが、総合的な面(特に体力や筋力)で言えばルフィたちの方に分があり、それは3人も何となく理解していたためこのまま押し切れると思っていた。

 

 

 

 

 

 

 ————だが、そうはならなかった。

 

 その理由は、船長であるディックスが『悪魔の実の能力者』であったことだ。彼が食べた『悪魔の実』の名は【ヨワヨワの実】といい、その能力は自身の半径50m圏内の人間を任意に弱体化できる‶弱体化人間″であったのだ。

 

 さて、ここで問題である。

 自身が本来の実力の半分ほどまで弱くなった状態で、本来の自分と同じくらいの相手に無策かつ真正面から戦って勝つことは出来るだろうか?

 

 ……その答えは決まりきっており、それは『不可能』である。

 

 

 

 

 

 その答えを証明するかの如く、ルフィ、ゾロ、サンジの3人はディックスたちの手により敗北を喫してしまった。ただでさえ勝負において反則級に強い能力であるのに、それをルフィたちは戦闘中に不意打ちの形でくらってしまっていたことから、彼等はその場面ではディックスたちに勝てるはずもなかった。

 そしてルフィ達が負けてしまったことで勢いが落ちてしまったくいなたちも、数の差と3人の実力により敗北してしまうこととなった。その際に世間的にも珍しい見た目であるチョッパーと、持っていた所持品から『古代文字』を読めることがバレてしまったカヤが、戦利品としてディックス達に村人と一緒に連れ去られてしまうこととなった。

 

 

 

 それから数時間ほどの時間が経って意識が戻ったルフィ達は、負けたことを悔しがりながらも、カヤとチョッパー、トンジットの仲間・家族を諦めることなど出来ず、先程のした『イケロス海賊団』の下っ端たちにディックス達の本拠地への道案内をさせて、仲間たちを取り戻すために再び動き出したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ——そこから時は進み、約12時間後。

 

 

 

 場所はディックスたち『イケロス海賊団』のナワバリとしている無人島。

 

 

 本来なら捕まえて来た人間や珍獣・猛獣を入れておく檻と『イケロス海賊団』の者たちが住む家が散在し、それらの泣き声やそれを売るイケロス海賊団の者たちの下卑た笑い声に包まれている島は、今は予想外の襲撃に遭って襲撃者と逃げ出した人間・獣たちにより混乱の最中であった。

 

 その島を襲撃したのは仲間を連れ去られて怒り心頭の『麦わらの一味』であり、つい半日前まではボロボロであったとは思えない程の暴れっぷりを見せていた。

 

 

 

 そして現在は、『イケロス海賊団』の幹部であるグランとシュールズの2人は『麦わらの一味』のゾロとサンジとの死闘の末に敗北しており、500人いる下っ端たちもほとんどが倒されているため、『イケロス海賊団』側の残る戦力は船長であるディックス一人のみと言える状態であった。

 

 そして、その最後の戦力であるディックスは、同じく船長である『‶麦わら″のルフィ』と死闘を演じており、互いに満身創痍の状態であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ……ハァ……!! 一体……いつになったら死ぬんだァ!!? この死にぞこないが……!!!」

 

「ハァ……! グフ……ッ!? ————おれは、負けねぇ……!!!」

 

 ディックスとルフィは、無人島の頂上付近で戦闘を行っており、その周りは建物や森があったとは思えない程ボロボロの状態であり、戦闘の激しさを表しているようであった。

 

 ディックスは何度も自身の槍の攻撃を受けて全身傷まみれとなっているにも関わらず、なおも立ち上がり自分へ攻撃をしてくるルフィの異常とも言えるタフさに、ストレスが積もっていたこと怒りを露わにしながらそう叫んだ。

 

 そんなルフィは、ディックスにダメージを負わせることは出来ているものの、それ以上に彼からの攻撃を受けているために立っているのさえ困難な状態であった。しかし、それでも仲間のためにと気力を振りしぼり、ボクサーのようにファイティングポーズを取りながらまた立ち上がる。

 

 傍から見ると、弱体化した状態でありながらも『ロングリングロングランド』では手も足も出なかったルフィが、ここまで戦えているのか不思議に思えるだろう。

 それはルフィが両手に括り付けている‶ある物″が深く関わっている。

 

 

 

 ルフィの拳に括り付けられているのは『衝撃貝/インパクト・ダイヤル』といい、空島での冒険の際に『麦わらの一味』で狙撃手であるウソップが調達していた物であり、‶衝撃″を取り込むという習性を持っており、取り込み口付近で受けた衝撃の一切を吸収してそれを開放することができるというもの。これは攻撃にも利用でき、軽く数回叩いた程度でも樽が木端微塵に吹き飛ぶほどの威力を持っていることから、急所に当たれば一般人程度なら一撃で死に至らしめる事ができるほどだ。

 

 だがこれもディックスの『ヨワヨワの実』の能力で効かないかと思うだろうが、この悪魔の実にも2つの弱点があり、その一つは『弱体化できるのは‶生き物のみ″』というものであり、無機物は弱体化させることが出来ないのだ。つまり、『衝撃貝/インパクト・ダイヤル』によって生まれる衝撃波も‶弱体化させることが出来ない″ということだ。

 このことに気付いたのはウソップであり、彼は遠くからディックスを狙撃にて狙った際にルフィやサンジの攻撃は余裕そうな顔で‶わざと″受けてたのに、自身の火薬星の攻撃は避けていたことから、『無機物は弱体化できないのではないか?』と疑問に思ったことで、ルフィの拳にこの『衝撃貝/インパクト・ダイヤル』を装着したのだ。そのウソップの予測は大当たりであり、ディックスはルフィの衝撃波が上乗せされた攻撃を受けてダメージを受けたのだ。今のルフィの攻撃力は、通常時以上の破壊力を持っていたのだ。

 

 

 

 だがここでも疑問に思うことがあるだろう。相手を弱体化できるのなら、『今以上にルフィの方を‶弱体化″させればいいのではないか』、と。

 

 ——だがこれも出来ない。なぜなら、『ヨワヨワの実』の2つ目の弱点が、『半分以上は‶弱体化″させることが出来ない』というものだからだ。

 

 

 

 こういう『ヨワヨワの実』の弱点もあったことで、ルフィはここまでディックスとほぼ互角の戦闘を繰り広げることが出来ているのだ。

 だがしかし、ディックスも2億近くの懸賞金をかけられているだけのことはあり、ルフィの攻撃力が通常時以上となっても持ち前の身体能力と槍捌きをもって彼のことを追い込んでいる。

 

「お前は……!! ハァ…ハァ……何度やったって、おれには勝てねェ……!! それが分からねぇのか、このクソガキがァ……!!?」

 

「うるせぇ……!! ハァ……ハァ……!! ————おれの仲間は、死んでもやらん……!!!!」

 

 ディックスは俺には勝てないと断言し、さっさと死ぬことをルフィに言い聞かせているが、戦いにおいてルフィが負けを認めるなどと言うことはなく、立っているだけでも辛いであろうに大声で言い返している。

 

 ルフィがそう言うと、ディックスは戦闘中だと言うのに彼をバカにするように笑い声を上げた。

 

「ハァ…ハァ…ッ。ハハハハハ…!! お前はおれに既に一回負けている! ハァ……それなのに、よくもまぁそんなことを恥ずかしげもなく言えるもんだ……!! お前の部下たちは不憫だなァ!! こんな弱いクソガキが船長でよォ!! おい!!? ハハハハハ……!!」

 

 ディックスはルフィのことを挑発するかの如き言葉を次々に挙げていき、彼のことを蔑んだ。ここまで言ったのはディックスの作戦であり、こうすることでルフィをわざと怒らせて攻撃を単調にさせ、戦いを自分に有利なものにしようという意図があったのだ。

 

 ……だが、ディックスの作戦は失敗することとなる。

 

「——そうだな……今のおれは弱ぇ。このままじゃあ側にいて欲しい仲間を守れねぇ。——だからこそ、お前に勝って!! おれは仲間を守る……!!!!」

 

 ルフィはディックスからの言葉に一部は肯定しつつも、それでも仲間を守るためにもお前に勝つと改めて断言し、その想いをより強いものとさせることとなった。

 

 そう言い終わると、再び攻防が始まる2人。しかし、互いに自身の限界が近いことは当然の如く分かっていた。そのためこのままじりじりとやり合っていては時間がかかる上に負ける可能性が高くなることを両者ともに察したことから、自ずと『次の一撃で決める』という結論に互いが行きつくこととなった。

 

 数回の衝突をした後にディックスはルフィから距離を取ると、槍に自身が今出せる全ての力を込め、これで仕留めると彼に宣言した。

 

「これで終わりだァ!? ‶麦わら″ァァァアアアア!! ‶弱肉強食/ボルケニオン″…………!!!」

 

「! ——‶ゴムゴム″の~~~…………!!!」

 

 そしてそれを聞いたルフィもこれを最後の攻撃とすべく、渾身の一撃を放つために両腕に残りの力全てを集めて腕を限界まで後ろに伸ばして攻撃の準備を始めた。

 

 そうしてくしくも準備が完了したタイミングが一致したため、当然の如く攻撃を繰り出すタイミングも一緒となった。

 

「——‶粉砕槍/ランスショット″ォォォオオオオオオッッッ!!!!」

 

「——‶インパクト・バズーカ″ァァァアアアアアアアアアアッッッ!!!!」

 

 ディックスは槍の突きによって鉄すら貫く衝撃波を、ルフィはゴムを縮ませる勢いに『衝撃貝/インパクト・ダイヤル』の衝撃を上乗せした両手による掌底を放った。

 

 それがぶつかり合って、その衝撃によりただでさえ壊れてしまっている2人の周りが、更に壊れ始める。

 

 ぶつかり合ったそれは、第三者目線からするとディックスの方が優勢であり、そのままであれば彼の方が勝つことになるであろう。

 だが、ここでディックスにとっては想定外のことが起こる。それは港の方で闘っていた『麦わらの一味』やトンジットの家族・仲間によるルフィへの声援であった。

 

 ディックスは「それを聞いて何になる」と内心にてそんな無駄なことをする彼らのことを嘲笑っていたが、それがこの勝負の命運を決めた。

 

 ディックスは一瞬とはいえ、‶敵から意識を割いた″のだ。

 実力が拮抗している場合は、どちらか一方が一瞬でも‶隙″を作ってしまえば、勝負結果に左右するほどの弱点となる。

 

 

 

 

 

 ——そしてそれは、この場においても例外ではない。

 

 この時のルフィは、ディックスによる衝撃波に押されていく中で少しずつ意識が遠のいていく感覚を味わっていたが、大切な仲間達からの声援で「負けられない」という‶強い想い″から完全に意識を取り戻していた。

 そしていざ意識が完全に戻ると、敵であるディックスが仲間たちの方に顔を向けていることでほんの少しであるが衝撃波の威力が落ちていたのだ。通常時であれば他に意識が向いていても技の威力が落ちると言うことはそうそうないが、‶今のディックス″はルフィと同じく満身創痍であることから、無意識の内に彼に対して隙を与えることとなってしまったのだ。

 

 そしてそれをルフィが見逃すはずなく、全身から無理矢理力を振り絞ってディックスの衝撃を打ち破らんとした。すると徐々に衝撃波を押し返し始め、ディックスもそれに気づいたがもう既に手遅れであり、ルフィが叫び声を上げながら両手を更に押し出すと、衝撃波を弾き飛ばしたうえで両手の掌底がディックスの腹部に叩きつけられた。

 

 ルフィの渾身の一撃はこれまでの攻撃以上の破壊力を有しており、その両手が腹部に叩きつけられた際にディックスの肋骨は何本も折れ内臓にもダメージが届いており、それはこの勝負の結果を決めることとなった。

 

「グ……ッ!!? ゴハ…………ッ!!!(この、おれが……っ。こんな、クソ……ガキ…にぃ…………っ!!!?)」

 

 ディックスはあまりの威力に意識が闇に沈んでいく中で、骨が折れていく音や臓器が軋む感覚を感じながらも目の前のルーキーに負けたことを受け入れることが出来ないでいた。

 

 ——しかし、どんなに受け入れづらい事であったとしても、‶結果″は覆らない。

 

 ディックスは吹き飛ばされながらも負けを認めることが出来ないまま、意識を失ったのだった。

 

 そして、ディックスがルフィの技により吹き飛んでいく姿を見て、戦いの結末を見守っていた両陣営はどちらも大声を上げた。

 

 ディックス側である『イケロス海賊団』は、自分たちのボスである彼が敗北したことによる悲鳴を。

 

 ルフィ側である『麦わらの一味』及びトンジットの家族・仲間たちは、彼が勝利したことによる歓声を。

 

『ディックス様(さん)~~~~!!!?』

 

『ルフィ(麦わらさん)~~~~!!!!』

 

 

 

 こうして『麦わらの一味』は、海軍すら手を焼いていた密猟・人身売買を生業とする『イケロス海賊団』を倒すことが出来たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、時間は飛んで1時間後。

 

 

 あの後『イケロス海賊団』に勝利した『麦わらの一味』は、敵のガレオン船を一隻強奪してトンジットたちと一緒に『ロングリングロングランド』への帰路についていた。

 

 

 

 

 

「おまえたち、ありがとう……! おまえたちのお陰で、仲間と家族は助かった! この恩は一生忘れねぇ……!!」

 

「にししっ♪ 気にすんな、馬のおっさん! おれたちがやりたくてやったことだからよぉ!」

 

 家族や仲間達を助けてもらったトンジットは、『麦わらの一味』の船である‶ゴーイングメリー号″にて、ルフィ達に対して土下座をしながら感謝の意を述べていた。

 トンジット一人では仲間たちを助けるどころか辿り着くことすら出来なかったことを理解しているため、たった数時間ほど一緒にいただけの自分のために命を懸けて助けてくれたことに、心から感謝していたのだ。

 

 そんなトンジットからの感謝の言葉に対し、重症により体中に包帯を巻いているルフィが笑みを浮かべて気にするなと言った。実際ルフィ達にとってもチョッパーとカヤの2人を連れ去られたことで『イケロス海賊団』をぶっ飛ばすことは確定事項だった。だからこそルフィはそう言ったのだ。

 

 トンジットはルフィからの言葉を聞き、これ以上言うのも野暮であると感じたため感謝の言葉を言うのを辞めたが、それでも内心では『麦わらの一味』への感謝念が止まらずに、どうにかして恩返ししないといけないと思っていた。

 

そんな風に船の中は『イケロス海賊団』から解放されたことによる喜びに溢れていたが、そんな中でたった一人だけ暗い表情をしている者がいた。

それはトンジットの仲間の一人であり、彼は不安さを隠せていない表情でルフィ達に話しかけた。

 

「で、でも大丈夫なのか? あんたたち…」

 

「ああ? 何がだよ、おっちゃん?」

 

 男からの言葉に返事を返したのはウソップであり、彼としては『イケロス海賊団』から解放されたのに何でここまで怯えた様子なのかが不思議であり、それは他の仲間達も同じであったため皆が男の方へと目線を向けている。

 

 男は言いづらそうにしていたが、皆からの目線に観念したのかゆっくりとではあるが、自身が檻にいた頃に聞いたことを話し始めたのだ。

 

 そしてそれは、ここにいる全員にとって驚愕するほどのものであった。

 

「……捕まっている時に聞いたんだ! あいつら————あの‶狂帝″とつながりがあるって……!!」

 

『な、何だと(ですって)……!!!?』

 

 『‶狂帝″との繋がりがある』。この言葉を聞いたら、たった一人を除き全員が驚きの声を上げた。

 中には‶狂帝″という言葉を聞いただけで顔を青ざめている者もおり、この反応だけでもプロメテウスが世間にどれ程の影響を与えているのかが如実に示しているであろう。

 

 そんな中ただ一人だけ‶狂帝″のことが分かっていない者がおり、それはルフィであった。

 ルフィはなぜ皆がここまで驚いたりビビッたりしているのかが分からなかったため、一味の中で最も情報通であるくいなに対して、自身の疑問を告げた。

 

「きょう、てい……? くいな~。‶きょうてい″って何だ~?」

 

「あんたそんな事まで知らないの!!?」

 

 ルフィからの発言に驚きのあまり大声を上げてしまうくいな。だがこの反応は仕方がなく、世間のことをあまり知らない幼馴染のゾロですら‶狂帝″のことを知っているのだから、知らない彼の方がおかしいのだ。

 

 しかし、ルフィに対して常識を期待するだけ無駄というのをくいなはこれまでの冒険の中で分かっていたため、溜め息を吐くと‶狂帝″について話し始めた。

 

「いいルフィ!? ‶狂帝″っていうのは、この『大海賊時代』において海賊たちの中で‶皇帝″のように君臨していることから【五皇】と呼ばれる5人の海賊の中でも、最大規模かつその埒外の強さから‶世界最強の海賊″って言われるほどの男よ!!」

 

「「ええ~~~~~~~~~~!!? そんなにヤバい奴なのかァ~~~~~~~~~~~~!!!?」」

 

 くいなから話を聞いて反応を示したのはルフィではなく、ウソップとチョッパーの2人であった。2人はルフィとは違い‶狂帝″のことを知ってはいたが、彼女ほど詳しくはなかったため、それを聞いて大声で驚いてしまったのだ。

 

 だがそんな2人の声を無視してくいなはさらに続けた。これを知ることは自分たちの今後の冒険の際にも必要になってくると思っているからだ。

 

「‶狂帝″に楯突いた者は、まずまともに死ぬことは出来ないと言われているわ。噂では拷問の限りを尽くされた後に、奴隷として一生飼い殺しにされるって言われる。海軍や商人とかだと、『もし‶狂帝″に捕まったなら、すぐに自害しろ』って教えられるほどよ。その方がよっぽどマシだからって」

 

「いや~~~~~!? 怖すぎるーーーー!! どうすんだ!? どうすればいいんだァ、おい!?」

 

「イダダダ……っ!!? おいウソップ!! 揺らすんじゃねェ……!?」

 

「おれ拷問はいやだぞ~~~~!!?」

 

 くいながそう言い終わると、ウソップは叫び声を上げながら右往左往してつい怪我人であるゾロに抱き着いて「どうすればいい」と聞きまくっている。

 チョッパーは拷問との言葉を聞いて、脳内にて‶どんなこと″をさせられるのかと想像してしまったことで、そうはなりたくないと強く思ったため目に涙を浮かべながら叫んでいる。

 

 他の仲間達も2人ほどではないにしても、冷や汗をかいたり身体を震わせたり刀を握る力が思わず強くなったりと言った風に、それぞれが‶狂帝″のヤバさを再確認していった。

 

 そしてくいなは‶狂帝″について話す原因となったルフィへと顔を向けた。いくら頭が悪いルフィでも、ここまで‶狂帝″の恐ろしさを説明すれば事態の深刻さが理解できたであろうと思い、反応を見たくてそちらを向いたのだ。

 他の者たちも話を聞いていた最中ずっと黙っていたルフィの反応が気になるのか、目線が彼へと集まっている。

 

 さてそんなルフィの反応はというと————

 

 

………

……

…

 

 

 

 

 

 

「————ふ~ん……で?」

 

『……はぁ!!?』

 

 

 ——欠片ほどもビビっている様子はなく、普段と変わらぬ態度でそう言った。

 

 

「で、って!? あんた状況分かってんのかい、麦わらの人ぉ!? 相手はあの‶狂帝″なんだぞ……!?」

 

「関係ねぇよ、そんなの」

 

 ルフィから言葉を聞いた村人の男は、信じられないものを見つめる目線で彼に対して本当に話を聞いていたのかと詰め寄っており、チョッパーにウソップ、くいなの3人もその男の意見に賛同しているため首を何度も縦に振っている。

 

 するとルフィが関係ないとはっきりと述べた。そして、次にこう言葉を発した。

 

「相手が誰であろうと、向かってくるならぶっ飛ばすだけだ!!!」

 

『!!』

 

 ルフィからの言葉を聞いてトンジットたちは勿論のこと『麦わらの一味』も、目や口を開きながら唖然となった。あの‶狂帝″の恐ろしい話を聞いてもなお、このように相手がだれであれ倒すというのだから、そのような反応をしてしまうのも無理はない。

 

 そして『麦わらの一味』の中で、ルフィの言葉を聞いたゾロとカヤ、サンジの3人は、あまりにも彼らしい言葉からむしろ笑みを浮かべてそれぞれがそれを肯定するかの如き言葉を発していった。

 

「へっ! 当然だな…!」

 

「うふふふっ。ルフィさんらしい♪」

 

「まぁ、どの道いずれやり合うことになるんだ。それが早まっただけのこと」

 

 そんな発言を聞いたことで、村人たちは海賊とはこういう者なのかと思っており、多少の不安はあるが無人島での戦いを思い出したことで「こいつらなら大丈夫か」と、ほとんどの者が心配はいらないかと思うようになっている。

 

「い、いや……! それでも……!?」

 

 だが、そんな3人の発言を聞いても安心しきっていないものがおり、それはトンジットであった。

 トンジットとしては、『麦わらの一味』は仲間と家族を救ってくれた恩人であるため、そんな恩人たちに危険な敵が迫っているのであれば不安に思ってしまうのも仕方のないことだ。

 

 だが、そんなトンジットの心配も、ルフィが笑いながら発した言葉により解消されることとなる。

 

「心配ありがとな、馬のおっさん。でもおれ強ぇから気にすんな! それに……おれには頼りになる仲間がいるから問題ねぇ! にししっ♪」

 

 ルフィがそう言うと、彼の仲間であるチョッパー、ウソップ、サンジの3人が後頭部に手をやりながら照れてそんなことはないと嬉しそうに謙遜している。

 

「「「いやいや、そんなそんな///」」」

 

「何照れてんのよ、そこのアホ3人組ィ!!」

 

 照れている3人にツッコミを入れたのはくいなであり、彼女はルフィが肝が据わっていると言っていいのかそれともただの能天気といっていいのか分からなくなった。

 それでも他の皆が少なからず覚悟を決めているのに、自分だけが騒いでいたってしょうがないと、何とか内心の不安感を振り払ったくいなであったが、それでもやはりルフィの発言・行動には溜め息が出てしまう。

 

「はぁ~……。(まぁでも、仮に報復に来るとしても今すぐではないはず…。それにわざわざ戦わなくても、こっちには逃げるって選択もあるんだし……) ——希望がないこともない、か……。はぁ~……」

 

 くいなはそう自身に言い聞かせると、まずはトンジットたちを『ロングリングロングランド』に送り返すことのみに今は意識を向けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ——だが、彼等は気が付かなかった。実は既に自分たちでは認識できない上空から‶狂帝海賊団″の監視を受けていたことなど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ——‶デービーバックファイト″

 

 

 その名は、‶偉大なる航路/グランドライン″後半の海——別名『新世界』に存在する海賊達の楽園と言われる島、【海賊島‶ハチノス″】にて発祥したゲームのものである。

 

 それは、古代において最も強欲な海賊と言われた‶デービー・ジョーンズ″にちなんで行われる海賊同士のゲームであり、試合は参加する海賊団の船長同士が試合数に応じたコインを海に投げ込み、銃を天に向けて発砲することで開始される。これは【船長命令】のため、仮に船員のあずかり知らぬところで開始の儀式が行われたとしても、船員は必ず参加しなければならない。

 また、他の海賊から挑まれたこのゲームを拒否するという事は、『ゲームから逃げた臆病者』というレッテルを張られることを意味し、それは海賊として生き恥を晒すことと同義である。海賊の世界においては、‶面子″は一般のそれとは一線を画すほど大きな意味を持つ。

 

 例を挙げるとすると、新世界において君臨する『5人の皇帝たち』は、自身の強さと所有する軍事力、そして悪名を世間に轟かせることによって【五皇】と認められ、その評判により恐れられることで一々ちょっかいを受けることなく、さらに勢力を拡大させたり世界を自分の思い通りにしようとすることが出来る。だが、もしも世間から恐れられているのにもかかわらず、不様を晒すようなことがありそれを世間に知られたら、どうなるであろうか?

 その想像は容易く、世間はその者のことを‶大したことがない奴″と侮り、海軍や海賊たちにしてみたら実際は無理であろうとも、その知れ渡った‶不様さ″から『これなら倒すことができそうだ』と、ちょっかいを出され続けることとなるであろう。そうなれば、相手が大したことがない奴らにしても、【五皇】からしたらそんな奴らの対応を逐一しなければならず、色々と行動において制限が掛かってしまうこととなる

 そういった面倒があるため、【デービーバックファイト】は受ける受けないの判断は自由とされているものの、‶面子″のためにも実際は挑まれた以上は受けるしかないという‶回避不能のゲーム″なのである。

 

 そして、そのゲームに勝利した側が得られるのは、敗者である海賊たちの‶仲間″や誇りである‶海賊旗/ジョリー・ロジャー″、‶物資″などといった相手の『所有物』だ。

 

 【デービーバックファイト】にて奪われた物は、同じく‶デービーバックファイト″でしか取り返すことしか出来ないとの【絶対のルール】があるため、もしも‶仲間“が相手の海賊に取られた状態のままゲームが終わってしまった場合、その仲間は永遠に元の海賊団に戻ることは出来ずに奪った側の海賊団に加入し、そこの船長に絶対の忠誠を誓わなければならない。

 因みに、奪った物は奪い返せると言ったが‶海賊旗″のみは例外であり、もしも一度でも相手に奪われたのならば、その旗は一生掲げることが出来なくなり相手側が描いた旗を今後永遠に掲げなければならない。

 

 それがたとえどんなにふざけたものであったとしても、だ。

 

 

 

 それが現代まで残っている海賊たちが『プライド』と『所有物』を賭けるゲーム、【デービーバックファイト】なのだ。

 

 

 

 

 

 

 そして、そんなゲームが今まさに【偉大なる航路/グランドライン】前半——別名『海賊の楽園』と呼ばれる海のとある海域において、それが行われていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ——【偉大なる航路/グランドライン】前半の海 ‶タイフーン島″

 

 

 そこは【偉大なる航路/グランドライン】の前半に存在する無人島であり、島の名前にあるように日に数度の大型台風が発生することが特徴の島である。

 

 

 

 そんな島に現在、2つの海賊団(正確に言うと3つ)の姿があった。普通であれば、海賊同士が相まみえたのならば戦いに発展するものだが、その件の海賊たちは戦いにはなっていなかった。

 

 なぜなら、その2つの海賊団は正に、海賊たちのゲームである【デービーバックファイト】を行っていたからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フェ~フェッフェッフェ~~!! さぁ、ゲームは俺たちの勝ちだァ!! 俺たちの要求は呑んでもらうぞ……!?」

 

「くっ……!」

 

 2つの海賊団におけるゲームの勝者は、マスクと帽子が一体となった物を被っている者たちであり、名を『フォクシー海賊団』といった。

 

 そして、その『フォクシー海賊団』の船長であるフォクシーが、相手の船長に対して‶デービーバックファイト″の要求を突きつけた。

 

 

 

    『 フォクシー海賊団 【船長】

      ‶銀ギツネ″ フォクシー

      懸賞金 4900万ベリー 』

 

 

 

 

「そうだな~……よし! そいつとあいつ! それと最後は~……籏だ! お前たちの海賊旗を差し出してもらおう!! まさか嫌とは、言わねぇよなァ~? フェ~フェッフェッフェ!!」

 

 フォクシーは3回のゲームに勝ったため3つの物を要求する権利があり、少々何にするのかを考えた後に2名のクルーと相手の誇りである‶海賊旗″を引き渡すように言い放った。‶デービーバックファイト″では、勝った者の要求を敗者は絶対に呑まなければならないため、フォクシーや彼の部下たちはニヤニヤとあくどい笑みを浮かべながら笑い声を上げる。

 

 しかし、そこでフォクシーたちにとっては予想外のことが起きた。

 

 それは——

 

「——ふざけんなァ……!!!」

 

「フェ? ——ゴパァ!!?」

 

『オヤビン~~~~!!?』

 

 

 ——相手の船長がフォクシーたちの要求を拒否し、彼を殴り飛ばしたことだ。

 

 フォクシーは海賊になる前はボクシング選手であったことから殴られることへの耐性はあるが、それでも彼は身体が強い方ではないため死んでこそいないが、殴られた痛みにより立ち上がることが出来ずにいた。

 そんなフォクシーのことを慕っている下っ端たちは、彼の元へと集まり怪我は大丈夫かと心配そうにしている。

 

 そしてフォクシーを殴った船長とその部下たちはというと、それぞれが所持している銃やカトラスなどといった得物を手に取って戦闘態勢を整えていた。

 

「何がゲームだ!? 馬鹿馬鹿しい…!! 初めからこうしてればよかったぜ! ……おい、野郎ども!! このふざけたキツネ野郎を殺して、何もかも奪っちまえ!!!」

 

『お~~~~!!!!』

 

 この相手方の船長はゲームの途中からフォクシーたちがいつもの反則すれすれ(実際にはアウト)の卑怯な戦法を行っているのを見て、こいつらに勝つことは難しいことを察しており、その時点でゲームの約束を反故にする気満々であったのだ。

 ゲーム途中でそれを行わなかったのは最低限とはいえ海賊としてのプライドがあったことと、競技中だと皆殺しにすることが出来ずに自身の醜態が世間にバレてしまうことを恐れたためだ。

 

 そして相手方の船長が命令を出したことで、その部下たちもフォクシー海賊団に攻撃を仕掛けようとした正にその時、そんな彼等に声をかける者がいた。

 

「————おいおい。そりゃあ、いけないなァ~?」

 

『!?』

 

 それは相手方の海賊団の者でも『フォクシー海賊団』の者ではなかったが、その人物は世間的に知らない者はいないと言ってもいいほどの有名人であり、それを見た負けた方の海賊団の者たちは目と舌が飛び出してしまう程に驚いた。

 

 なぜなら———

 

 

『えええ~~~~!!? きょ、きょきょきょ、‶狂帝″ィ~~~~~!!?』

 

 

 ——その人物とは、海賊たちの中で『世界最強の海賊』と名高い【五皇】の『‶狂帝″プロメテウス・バーキュラー』であったからだ。

 

 彼らは目の前に‶狂帝″がいることが信じられずに、各々が困惑の言葉を発している。

 

「ほ、本物なのか!?」

 

「あ、ああっ! 確かに手配書と同じ顔だ……!!」

 

「な、なんで【五皇】がこんな所にいるんだよォ~!?」

 

「俺は初めからいたぞォ? お前らがただ気付かなかっただけでなァ…! カハハハハハハハ…!」

 

 プロメテウスは相手方の船員の質問にそう答えると、笑い声を上げる。彼の言う通り彼はずっとこの場にいたのだ、彼らがフォクシー海賊団と‶会った瞬間″からだ。現に、フォクシー海賊団側はそれを知っており、プロメテウスの姿を見て安堵の表情を浮かべている。

 

 なぜフォクシー海賊団がプロメテウスを見て安堵するのかというと、それは『フォクシー海賊団』が【五皇‶狂帝海賊団″】の傘下であるからだ。

 プロメテウスが他の海賊団を‶傘下″に加えるにあたっての条件は、『海賊団の質が高いか数が多い事』と『プロメテウスが面白いと思うか』である。『フォクシー海賊団』は質はともかく人数は1000人近くと多く、船長を含め船員それぞれがコント集団かと思うほど個性と面白さに溢れている。そのため彼らは『狂帝海賊団』の‶傘下″となることが出来たのだ。

 そして、プロメテウスは『フォクシー海賊団』が‶デービーバックファイト″をする時には、仕事などの用事がない時は必ずと言っていいほど見学している。彼らの様々な‶お邪魔作戦″のことを凄く気に入っているからだ。そのため今回においても、姿は見えない要しつつも、部下を連れてゲーム観戦をしていたのだ。

 

 因みに、『フォクシー海賊団』は‶傘下″の中では珍しくプロメテウスの方から声をかけた海賊たちであり、そのことからもプロメテウスがどれ程彼らのことを気に入っているかが理解できるであろう。

 

 

 

 ——場面を戻そう

 

 

 

 

 先程までは戦意を高ぶらせていた海賊団の者たちは、プロメテウスの登場により船長を含めた全員が彼の恐ろしい話を今までの人生で多く聞いてきたためしり込みしてしまっている。

 そんな彼らに対して、プロメテウスは‶デービーバックファイト″を始める前に誓った‶鉄の公約″について述べ始めた。

 

「カハハハハハハハ。まぁ、俺のことはどうでもいいんだよ。それよりも……初めに言ったよな~? ゲームを受諾した以上は、『たとえ‶どんな結果″になっても受け入れる』ってよォ」

 

「うっ!?」

 

「…だ、だが! あんな卑怯だらけのゲーム結果に納得できるわけ……!?」

 

 プロメテウスがそう言うと、海賊団の船長は図星であるため苦虫を嚙み潰したような顔になっている。すると、海賊団の一人がフォクシーたちが行った様々な‶お邪魔″のことを持ち出し、勝負の結果は無効だと言い出したのだ。

 

 しかし、そんな言い訳染みたことでプロメテウスが納得することなどなく、それを聞いて内心ガッカリしながらも海賊業界における‶常識″を言い放った。

 

「卑怯~? カハハハハハハハハハハハハ!! ……おいおい、何寝ぼけたこと言ってやがる? お前ら聖人君主とでも戦ってたつもりかァ。カハハハハハハハ。——お前らもあいつらも‶海賊″だろうがァ!!? 海賊の勝負に『卑怯』もへったくれもねぇ、『結果』だけが全てなんだよォ……!!!!」

 

 それは何一つ間違っているものではなく、300年以上‶海賊″として生きて来た経験からもそれを知っているプロメテウスが言うと説得力が段違いであり、彼に意見した海賊団の船員たちは何も反論することが出来なかった。

 

「よって! このゲームの結果を受け入れねぇっていうんなら…………この‶狂帝(おれ)″が許さねぇ…!!」

 

『……っ!?』

 

 プロメテウスはゲーム結果が不変のものであると宣言し、それに逆らう者は容赦しないと言い放つと、海賊団の者たちが耐えられる程度に調節した【覇王色の覇気】をぶつけた。

 

 そうするとこれまでビビりながらも武器を構えていた海賊団の船員たちは、その迫力から悲鳴を上げて腰を抜かしたり、武器を手放してしまう者が続出した。

 

「さぁ、どうする? 俺とやり合うかぁ? 俺はそれでも全く構わないけどなァ。カハハハハハハハ♪」

 

 プロメテウスはそんな不様を晒す海賊団の者たちにどうするのかと凶悪な笑みを浮かべながら問いかけた。

 

 賢い者であるのならここは敵対をしないのが最良の判断であるのだが、海賊団の中で唯一恐怖を感じながらも武器を手放さず腰も抜かさなかった船長が、身体を震わせながらも何とか勇気を振り絞って声を上げた。

 

「お、俺は……‶海賊王″になる男なんだ…! お前なんかに、ビビッてたまるかよ…!? ——い、いくぞ野郎ども!! 俺に続けぇ~~!!!」

 

『う、うおぉぉぉおおおおおおおお!!!』

 

 船長がそう宣言したことで、戦意を失っていた者たちも『自分たちがそう言ったなら』と何とか立ち上がって武器を手にすると、船長に続き空元気ながらもプロメテウスに向けて突撃を仕掛けてきた。

 

 プロメテウスは内心にて「ルールを守る甲斐性は無いのに、威勢だけは一丁前だな」と感じていた。すると、彼の後ろに侍っていた配下たちの中にいた男女2人が、プロメテウスに声をかけた。

 

「——はぁ、馬鹿な奴らだ…! プロメテウスさん、あの雑魚共は俺と姉貴がやってもいいですか? 最近運動不足気味だったんで身体動かしたいんですよ…!」

 

「プロメテウス様に突っかかるなんて百万年早いんでごわすよクズ共!! ねぇ、プロメテウス様!! あのクソ生意気なバカ共ブチ殺していいでごわすかァ!?」

 

 この2人は実の姉弟であり、どちらも20代前半と若いながらも強者ばかりの『狂帝海賊団』の中で‶幹部″の地位に就いている実力者であった。

 

 

 

     【 五皇 狂帝海賊団 

   『十二狂典 第一席 配下(幹部)』

      ‶獣躙″ページワン

     懸賞金 2億1000万ベリー 】

 

 

 

     【 五皇 狂帝海賊団 

   『十二狂典 第一席 配下(幹部)』

       ‶頭壊″うるティ

      懸賞金 4億ベリー 】

 

 

 

 

 

 ページワンからの願いに了承しつつ、うるティにはやり過ぎないようにとくぎを刺していた。

 

「おう、それじゃあ任せたぞ2人とも。それとうるティ。あいつらには俺に逆らうってことの‶意味″を教えてやんなきゃいかんから、殺すのはまだなしだ」

 

 プロメテウスがそう言うと、うるティは明らか様に嫌そうな顔をしており一切隠す気がなかった。

 

「ええ~~~っ!? ——面倒くさっ!!!」

 

「おい、プロメテウスさんにその態度はだめだろ姉貴!? それと何だよさっきからその語尾!! また新しいブームかァ…!? 恥ずかしいから止めろっていつも言ってんだろ……!!?」

 

「あ゛あ゛ん!!? や・め・ろ、だと~~~!!! 弟ならお姉ちゃんの語尾を肯定しろよ!!!?」

 

「無茶苦茶言うな——って、ぐぇ~~~~~っ!!? あ゛ねぎ……!! はな゛せ……っ!? ぐるじい゛~~~!!?」

 

 ページワンはそんな姉の態度といつもの変な語尾に苦言を呈するが、うるティがそんなもので反省などするわけもなく、むしろ逆ギレして弟である彼の首をがっしり掴むと、力強く握って激しく揺さぶりながら自身のことを肯定するように強要していた。

 

 普通なら首を絞めつけているとなれば命の危険があるためプロメテウスが止めるべきなのだが、彼にその様子は一切見られない。なぜなら、これがこの姉弟にとっては日常であるためだ。

 

 だがそんなことを知らない海賊団の者たちにとっては、うるティとページワンの2人がふざけている様にしか見えなかったため、こちらを舐めていると思い全員が怒りを感じていた。

 

「ふざけやがって……! お前らみてぇなチビガキ直ぐに捻りつぶして、‶狂帝″も打ち取ってやる……!!」

 

「「——あ゛あ゛っ!!?」」

 

 そして、とうとう海賊団の船員の内の一人が、内心にて思っていたことを言葉として口に出してしまった。

 すると、先程まで姉弟喧嘩(じゃれ合い)をして2人は、青筋を出しながらその発言をした下手人を睨みつけた。

 そして喧嘩を止めると、「一先ずは目の前にいる雑魚共(海賊たち)をぶちのめそう」という思いを2人とも考えており、こういう所はやはり色々と似てない所が多くあっても姉弟であると感じれる部分でもある。

 

「……おい、姉貴。一先ず語尾のことは置いておいて、この身の程も分からねぇバカ共に実力差ってやつを教えてやろうぜェ……!!」

 

「そうでありんすねぇ、ペーたん…!! こつら全員誰に逆らったのかを、骨の髄まで分からせてやるでごわす……!!!」

 

 そう言い終わると、2人の身体が『メキメキ!』と音を立てながら巨大な‶何か″へと変形していった。それを目の当たりにした海賊団たちは驚きの声を上げた。

 なぜなら彼らは2人の変形するような光景をこれまでに見てきていたことでそれが‶何によって″起こされるかを知っていたからだ。そして2人の変形が終わっても驚きは収まらない。それは2人の姿が、実際には見たことがなくとも、ほとんどの者が‶それ″を図鑑などで知っているからだ。

 

「ぞ、『動物(ゾオン)系』の能力者か……!」

 

「きょ、‶恐竜″……!?」

 

「ひ、怯むな…っ!? 数はこっちが勝ってるんだ…!!」

 

 海賊端の者たちはページワンとうるティの姿が凶暴な恐竜の姿へと変わったことに怯えた声を出してはいるが、一度攻撃をすると決めた以上は引き下がれないことと人数ではこっちが圧倒的と言っていいほどに勝っていたために、何とか心が折れることなく武器を構えることが出来ていた。

 しかし、その姿は最初と比べると随分と弱弱しいものであり、とても優位の立場にある物たちが浮かべる表情ではなかった。

 

「おい、姉貴…! ‶五分″で終わらせるぞ……!!!」

 

「お前ら全員骨バキボキにしてやるでごわす……!!!」

 

 だがそんなことはどうでもいい姉弟は、さっさと片づけると宣言すると自分たちの方から彼らに向かっていき、海賊たちはそれをビビりながらも何とか倒そうと2人に向かっていった。

 

 ……だが、後に生き残った者たちはこの時のことを‶こう述べて″後悔に耽ることとなる。

 

 

 

 

 

 ————喧嘩を売る相手を誤った、と……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ——それから、僅か5分後。

 

 

 

 普通であれば、いかに凶暴な恐竜の姿になったとしても、数百人もの海賊団を相手にたった2人で勝てるはずはない、と思う人の方が多いであろう。

 

 しかし、『狂帝海賊団』の幹部であるうるティとページワンは、普通とはかけ離れた存在であるため、その予想を大きく外れさせる結果となった。

 

 

 その結果とは————

 

 

………

……

…

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゴハ……ッ!? オエ……っ」

 

「アア…………ッ」

 

「いてぇ……、いてぇよぉ……っ!!」

 

 

 

 ———数百人にも及ぶ半殺しにされた海賊たちが、血によって赤く染まった大地に転がっている姿であった。

 

 

 一般の者であれば吐き気を覚えるこの光景は、『狂帝海賊団』にとっては‶日常″であるため本人たちは勿論のことプロメテウスも他の付き人として来ていた者たちも、誰一人として驚いた様子はない。

 だが、『フォクシー海賊団』は違う。彼らは『狂帝海賊団』の‶傘下″といっても、ほとんど‶デービーバックファイト″しかやって来ていないため、『海賊』というよりは『芸人』などの分類に近い。そのため血を見ることはあっても、ここまでの光景は見たことがなかったため、改めて自分たちにとって『大親分』であるプロメテウスとその海賊団の恐ろしさが理解できた瞬間でもあった。

 

 だが『フォクシー海賊団』に恐れの目線を向けられているとは知らないうるティは、イラつきが抑えられずにいた。それは相手をした海賊団があまりにも‶弱すぎた″からだ。

 うるティとしては自分が勝つことは確定としても、少しは骨があるかと思えば結果は見ての通りである。

 うるティはこんな雑魚共に舐められていたのかと思うと怒りが収まらないため、近くに転がっている者たちを八つ当たり気味に何度も蹴ってストレス発散をしている。

 

「オラ、立てでごわす!! この程度の実力で粋がってんじゃねぇでごわす!?」

 

「ぐえ……っ!?」

 

「ゴハッ!? も、もう……やめ……——ゲハッ!?」

 

「おい姉貴、それ以上は止めとけ。雑魚過ぎて死んじまうからよ」

 

 対して弟のページワンはというと、うるティのように行動を起こすことはないが彼としても「こんな奴らがウチを舐め腐ったのか」と思っているため、呆れとともに彼も姉と同じくストレスを感じていた。

 

 兄弟がそんな風にストレスを感じていると、それまで2人の蹂躙劇を黙って見ていたプロメテウスが近づいてきて労いの言葉をかけた。

 

「カハハハハハハハ。ご苦労だったな、ページワン、うるティ」

 

「あまりに雑魚過ぎて疲れもしなかったっすけどね」

 

「わ~い、プロメテウス様~❤ あちし頑張ってごわすよ~! ご褒美が欲しいでごわす~~~❤」

 

「わかったわかった。後で褒美はくれてやるから、今は大人しくしてろ」

 

 ページワンは表面上では淡々とそう告げたが、内心では尊敬しているプロメテウスに褒められたことを満更でもないように嬉しがっている。

 対して姉のうるティはというと、弟の様に内心の嬉しさを隠すことなどなく、転がっている海賊への八つ当たりを止めてプロメテウスに近寄ると、顔を綻ばせながら彼の前でピョンピョンと跳ねている。その姿はさながら主人に褒めて欲しい犬のようであり、先程の蹂躙劇を行っていた者と同一人物であるとは思えないほど可愛らしいものである。

 

 そしてちゃっかりご褒美が欲しいと強請ると、プロメテウスは内心にて「昔からこういう所はかわらねぇなァ」と思いながらも、彼女からのお願いを受け入れつつ今は目の前の海賊団の方へと意識を向ける。

 

 そしてプロメテウスはとある男の前まで来ると、しゃがんで男の顔を覗いた。その男とはうるティとページワンの2人の手によって辺りに転がっている海賊たちの船長である男であった。今の船長はうるティにより両手足の骨と肋骨を折られているため、内心では何とか立ち上がりたいと思っているがそれが出来ずにいた。

 

 そんな不様な姿となった船長にプロメテウスが笑みを浮かべながら話しかけた。

 

「随分と不様な姿になったなァ~? んん? カハハハハハハハ…!」

 

「ハァ………ハァ…………。俺たちを…どうする……ハァ……。つもりだ……っ!」

 

 プロメテウスが嘲笑うかの如き言葉を発すると、男は悔し気に顔を歪ませながらもせめての抵抗として彼のことを睨みつける。しかし、プロメテウスとしてはそんなもの怖くもなんともないものであり、彼は「どうする気だ」という男からの質問に笑いながら答えた。

 

「カハハハハハハハ。 おいおい、さっきの話聞いていなかったかァ? お前らに『‶狂帝(おれ)″に逆らうことの意味を教えてやる』ってよォ!! ——オイ! あいつら連れてこい!!」

 

 プロメテウスがそう命じると、配下2名が一組の男女を引きづって来て彼の前に跪かせた。その男女とは、先程フォクシーがゲームの戦利品として指名した2名であり、2人ともさきほどの戦いでページワンにより負傷しているため、ろくな抵抗も出ずにここまで連れてこられたのだ。

 

 船長の男は、自身のかわいい部下たちがボロボロの姿であることに心が痛んだが、生きてはいることからそれは一旦横においておくことにすると、プロメテウスに対してどうしてこの2人を連れてきたのかを問うた。男としては、目の前にいるプロメテウスが何か企んでいるのではないかと、嫌な予感がしたためだ。

 

そしてそれは、男にとっては悪い意味で当たっていた。

 

「おい……! そいつらに…、何するつもりだ……!?」

 

「ああ? 何ってそりゃあ——————殺すに決まってんだろ?」

 

『!!?』

 

 プロメテウスが2人を殺すと言うと、プロメテウス側の者たち以外は全員が驚いた。船長の男としては、自分はゲームの『ルール』を破ったため殺される覚悟はしていた。そして、自分の命と引き換えにすれば、せめて仲間達の命は救われるだろうと思っていた。

 

 だが、現実はこうだ。男としてはプロメテウスの言葉に困惑し、どういうことかと彼に向かって叫んだ。

 

「待て……!! 何で……そいつらが、殺されるんだ…っ!?」

 

「こいつらはゲームの結果、『フォクシー海賊団』の一員となっている。——だが、こいつらはお前たちと共におれに牙を向けた!! フォクシー海賊団の一員なのにそれを行うことは、‶謀反″と同義!! おれは‶裏切り者″は絶対に許さねぇと決めている!!! よって、こいつらは今ここで‶処刑″するんだよ……!!!!」

 

 プロメテウスは怒気を纏わせながらそう言うと、船長の男は勿論のこと彼の部下たちやプロメテウスの配下であるページワンたちでさえその雰囲気に恐れを抱いてしまっている(うるティについては、そんな彼を見て目をハートマークにさせている)。

 

 そしてプロメテウスは、男にとってはこれ以上ないほどの‶残酷なやり方″で2人を殺すことにした。

 

「——って言っても………こいつらを殺すのは俺じゃなくて、‶お前″だけどなァ……! ——【その斧でこいつの頭をカチ割れ】」

 

 プロメテウスがそう言うと、船長の男がゆっくりとだが起き上がり始める。これには男本人やその部下たちは、目を見開いて驚いてしまう。なぜなら先程のうるティとページワンとの戦いで男は骨が折れており、起き上がるどころか身体を動かすことさえできていなかったのだ。それなのに本人の意思に関係なく動き出し、その手に獲物である斧をしっかりと握ると、殺すとプロメテウスに言われた部下の前まで来て手にした斧を振り上げたのだ。

 そんな船長の理解できない行動に、部下の男は困惑の声を上げた。

 

「ひいぃぃっ!? せ、船長っ!? 何を……!!」

 

「ち、違うんだ……っ!? 身体が、勝手に……っ!! や、止めてくれぇぇぇっ!!!」

 

 船長の男の言うように、これは彼がやりたくてしていることではない。ではなぜそのように勝手に身体が動くのかというと、それはプロメテウスが原因である。プロメテウスは、船長の男に対して、『オーバーロード』の世界の魔法である【支配の呪文】を使用したためだ。プロメテウスは、姿がゲームのアバターで転生したことからゲーム内にて使用できた魔法をこの世界でも使用でき、そんな彼が使ったのは相手を自身の言った言葉の通りに操る魔法である。

 そのせいで、たとえ全身の骨が折れて本来なら動かせない状態であろうとも、こうして命令通りに動かすことが出来ているのだ。

 

 しかしそんなことを知らない船長と部下は、それぞれが止まるように叫んでいるが、プロメテウスの【支配の呪文】は、そんな2人とは関係なく命令を遂行しようと身体は勝手に動いていく。

 

「止まれぇぇぇえええええええっ!! 止まってくれぇぇぇぇっ!!?」

 

「せ、船長!? 止めてくれ!! 助け———!?」

 

 

 ——バギッ!!

 

 そして無慈悲にも、2人の叫びでも止まることのない船長の身体は、容赦なく部下の男の頭に斧を振り下ろした。そうすることで部下の頭は綺麗にスパッと2つに分かれてしまっている。

 

 船長の男は、部下を殺してしまったと言うことから恥も外見もなく涙を流しており、何とか目線だけをプロメテウスにむけると、必死に部下の命は助けてくれと懇願した。

 

「た、頼む……っ!! 殺すのなら、おれだけにしてくれ……っ!! こんなの、あんまりだァ……!?」

 

「カハハハハハハハ。おいおい、何を言ってやがる。——‶負けた奴は、全ての権利が奪われる″。そんな海賊にとっての『常識』まで知らねぇのかァ? よくもまぁそんな無知で、この海に来たもんだ…。カハハハハハハハ…!! ——【そっちの女の首を切れ】!」

 

 だがプロメテウスとしては、そんな男からの願いを聞く義理など微塵もないため、一頻り笑った後に淡々と残った女の方も殺すように【支配の呪文】にて命じた。

 

 そうすると再び船長の男の身体が勝手に動き出し、女の部下も殺さんと斧を振りかざした。船長の男は再び部下を殺すわけにはいかないと何とか身体を動かそうとするが、あくまでも今の身体は【支配の呪文】によって動いているのであって本来なら骨が折れていてとても動けるはずもないため、言うことを聞くはずがなかった。

 女の方も何とか斧から逃れようと思ったが、元から身体がボロボロの上に後ろからプロメテウスのモンスターによって拘束されていることから逃れられなかった。

 

「うわぁぁぁあああああああああああっ!! いやだぁぁぁあああああああっ!!? 止まってくれぇぇぇぇっ!!!」

 

「い、いやぁぁぁっ!? 死にたくな————!!?」

 

 ——ズドン!!

 

 そして、2人の抵抗虚しく、女の首を男の斧が切り落とした。ゴロリと地面に落ちて転がった女の首が偶然にも船長である男の目に映ってしまう。その死んだ女の顔は殺されたことへの恐怖とほんの少しの殺されることへの怒りが現れている表情であった。

 

 それを見てしまった男は、改めて大切な部下を2人……それも‶自らの手″で殺してしまったことを理解させられた。

 船長の男は、2人を殺す前の段階でうるティとページワンの姉弟に負けて『男・強者としてのプライド』は折れ、プロメテウスの恐怖を目の当たりにしたことで『海賊としてのプライド』も折れていた。しかし、それでもせめて仲間だけは助けようと言う『船長としてのプライド』だけは、まだ折れてはいなかった。

 

 

 

 ——だがしかし、その唯一残った‶心の支え″も、たった今完全に折れてしまった。

 

 男は精神が完全に壊れてしまったことで、目は虚ろとなり目からは無意識の内に涙が流れ、口からは言葉にならない声が発している。

 その姿は、仮にも一船の船長としての面影が全く見えないほどのものであった。

 

「あ、ああ…………っ」

 

「ああっ? …カハハハハハハハ! おいおい、心が折れやがったか。つまらねぇ…!」

 

「プロメテウスさん、残りの奴らはどうするんで? 殺すんですか?」

 

 そんな男の様子を見てプロメテウスは表面上は笑っているが、内心では心の底からガッカリしていた。「これが『新世界』の海賊であれば、ここまでやっても心が折れることなく、たとえ勝てなくとも勝負を仕掛けようとするだろう」とプロメテウスは思っていたことから、たった‶これだけのこと″で心が折れてしまっている男にガッカリしてしまっていたのだ。

 

 そんなプロメテウスに声をかけたのはページワンであり、彼は残りの奴らの処遇はどうするのかと問いかけた。

 すると、プロメテウスは内心でのことを完全に捨てきると、ページワンからの問いに淡々と答えた。その目には、もう目の前にいる男への興味が完全に消えている冷え切った目線をしていた。

 

「いいや、こんな奴ら‶殺す価値″もねぇさ。……だがゲームを反故にした『代償』は払ってもらう。——残った奴ら全員の両手足を切り落とせ! 後は海にでもあいつらの船にでも適当に投げ捨てておけ」

 

「分かりました」

 

「んん~~~! こんな生きる価値もない奴らを生かしてやるなんて、やっぱりプロメテウス様は‶優しい″でごわす~~~~❤」

 

 プロメテウスの命にページワンは勿論のこと配下たちの誰も異を唱えることなく、それを受け入れた。うるティに限っては、『生きる価値もない‶ゴミ″』を生かすように言っている彼へ称賛の言葉をかけている。

 

 プロメテウスは連れて来ていたモンスターたちが作業を始めるのを目にすると、その海賊団に背を向け、ページワンとうるティの2人にここの後処理を任せると言った。

 

「それじゃあおれは先に船に戻るから、ここの後始末の指揮は頼んだぞ2人とも」

 

「ええ、任せて下さい…!」

 

「ええ~~~!? あちきもプロメテウス様と一緒に戻りたいでごわす~~~!!」

 

「おいっ!! おれにだけ面倒ごと押し付けようとすんなよ姉貴っ!?」

 

 ページワンは問題ないと答えたが、姉のうるティは早く‶ご褒美″が欲しい事と単純に後処理という面倒を嫌っているため、彼からの命令も素直に嫌だとはっきりと告げた。ページワンは姉のあまりの態度に声を荒げるが、プロメテウスは手でそれを制して彼女の耳元に口を寄せると、うるティにとってやる気の出る言葉を囁いた。

 

「……この仕事頑張ったら、もっと‶ご褒美″をくれてやるがどうする?」

 

「——オラァ、そこ何ちんたらやってるでごわす!? もっとテキパキ仕事するでごわすよ!!?」

 

「調子いいなァ、おいっ!!?」

 

 『更なるご褒美』。その言葉を聞いたうるティは、先程とは態度を一変させて熱心に指揮を執り始めた。その態度の変わりようにそれはそれでどうなんだとページワンは声を荒げたが、やる気のあるうちにさっさと仕事を終わらせた方がいいかと判断し、それ以上言葉をかけることはなくプロメテウスに一言声をかけると、姉と同じく後処理の指揮を始めた。

 

「それじゃあ、ここは頼んだぞ。……おい、フォクシー! おめぇら今日は災難だったなァ。この後どうすんだ? おれと一緒に来るか!」

 

「い、いや~~~……。それは嬉しいお誘いだけど、今回は遠慮しとくぜ‶旦那″ァ! 部下たちも何人か怪我しちまってるよぉ!」

 

「そうか……。だったら後で部下にいつもの報酬渡しておくから受け取っておけ! いつもよりも色付けとくかたよォ」

 

 プロメテウスは船に戻る前にフォクシーたちに声をかけた。彼から声をかけられたことで身体をビクンと震わせたフォクシーであったが、それを悟られぬように笑みを浮かべたまま彼からの誘いを丁寧に断った。

 

 実はフォクシーがプロメテウスの誘いを断ったのは、部下が怪我をしていたからではなく船に行くことが恐ろしかったからだ。フォクシーは‶狂帝″としての姿のプロメテウスを何度も見て来たため今更過度に怯えることはない(それでも偶に怖くなることはある)。それではなぜいかないのかというと、それは彼の‶配下″たちが恐ろしいためだ。

プロメテウスは配下だろうと傘下だろうと、自身に対して敬うことを強要したりはしない。そのためフォクシーを始め、フランクな態度で接する者は多いが、中には立場や態度に厳格な者も当然の様に『狂帝海賊団』にはおり、それがフォクシーにとって恐ろしいのだ。

 特にプロメテウスのことを信仰している「アルベド」や「メアリー」などの目の前で少しでも彼に対して無礼な態度を取れば、死ぬことすら救いと思えるほどの訓練(拷問)をさせられることとなる。

 

 『フォクシー海賊団』はその訓練を以前一度だけ受けたことがあり、それがどれ程のものかを深く理解していることから断ったのだ。

 

 フォクシーがそう言うと、少々残念そうな声を上げたプロメテウスだったが、すぐに切り替えるとそれならばと宝箱などの‶報酬″をいつもよりも多くおいていくと言った。

 

 それを聞いたフォクシー海賊団の者たちは嬉しそうに声を上げ、「やはりこの人の部下になってよかった」と、改めて傘下に入ったことが正解であったことを強く感じた。

 

「お、おおおお! ありがとうございます、旦那ァ!! おめぇらも旦那に礼をしろや!!」

 

『ありがとうございやすっ!! ‶大親分″~~~~~!!!』

 

「カハハハハハハハ! 気にすんなァ!!(やっぱり、こいつらは面白れぇなァ……!!)」

 

 そしてフォクシーたちの喜ぶ姿を見てプロメテウスの方も、彼等を参加としてスカウトして正解だったと強く思っていた。

 

 

 

 そして今度こそ話すことが終わると、空中に向かって「鳴女!」と叫んだ。すると、プロメテウスの前に和式のドアが現れてそこに吸い込まれる形で落ちて行ったことで、彼は船へと戻っていったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鳴女の能力により船の自室へと戻ってきたプロメテウス。だが、そんな部屋には実は彼以外に金髪ロングで耳が長いのと蒼い瞳が特徴的で黒いスーツを着た一人の美女がいたのだが、プロメテウスがそれを気にしている様子はない。

 

 なぜなら、その美女はプロメテウスの良く知っている人物であったためだ。

 

 プロメテウスは美女の方に身体を向けると、気さくに声をかけた。

 

「おお。何だ来てたのか、アルファ」

 

「ええ、報告があってね。お邪魔させてもらってたわ」

 

 プロメテウスから言葉に美女——アルファはそう答えた。彼女はプロメテウスが所有する『暗殺組織‶蚩尤″』の長を務めている女である。本来ならば組織の本部か置いてある施設において部下たちからの報告を日夜受けてそれを整理したりしていて忙しい彼女がなぜここにいるのかというと、それはつい先程部下から来た‶とある報告″が関わっており、彼女はそれを聞いた際に「これは直接プロメテウスに報告した方が良い」と判断したことから、わざわざここまでやって来ていたのだ。

 

 アルファはソファから立ち上がって彼の傍へ行くと、仕事帰りの夫の世話をする妻の如く、彼の服に手をかけると着替えの手伝いを行っていった。

 

 本来ならこれは船に常駐しているメイドの仕事などだが、アルファのようにプロメテウスのお世話をしたいと言う配下は多いことから、彼女たち内にて『プロメテウスに用事があって側にいることになった場合は、その者が彼の身の回りの世話をする』という取り決めがなされているため、メイドの仕事を彼女がやっているのだ。

 

 そうやってアルファによって着替えを行われながら、プロメテウスは彼女に自分の元へとやって来た理由を問うた。

 

「それで? お前がここにわざわざ来たってことは、何かの報告があるからだろう。一体なんなんだ?」

 

「あら、悲しい事言うのね。まるで報告以外じゃ貴方の元に来てはいけないよう。私泣いちゃうかも」

 

「茶化すなよ。そんなこと言ったって俺が一々反応しないのは分かっているだろう」

 

 アルファはプロメテウスの言い方にショックを受けたかのように言葉を発すると、目元に手をおいて泣いている仕草をする。

 長い付き合いであるプロメテウスにとってはアルファの‶弄り″はいつものことのため、少々目を細めながら言葉を告げると、アルファは泣き真似を止めると笑みを浮かべながら謝罪の言葉を発した。

 

「うふふふっ♪ それはごめんなさいね? ……でも1年ぶりに会えて私も実は結構はしゃいでるの。だから許してね♪」

 

「——で、話は戻るが…俺への報告は一体なんだ?」

 

 プロメテウスは内心にて彼女の揶揄いに対して「相変わらずだな…」と思いつつもそれを嫌がってはおらず、むしろそれは個性として冷静そうな見た目に反してギャップがあって面白いと感じている。

 

 そしてそのことを一旦置いておくと、改めて報告のことについて話を促した。すると、アルファの方も真剣なまなざしとなっており、『総督』であるプロメテウスに部下から送られて来た情報を伝えた。

 

「『ディックス』が海賊に敗れたらしいわ。その後は海軍に捕まって‶インペルダウン″に連行されたそうよ」

 

 その情報とは、時たま取引を行っている『イケロス海賊団』が‶とある海賊″により壊滅したとのものであった。

 プロメテウスもある程度は『イケロス海賊団』のディックスのことは評価しており、『新世界』では通用しないにしても『楽園』においてはそうそうやられることはないだろうと思っていた。そのためアルファからの報告は、少なからずその情報に驚いていた。

 

「ほう。あいつが『前半の海』の奴に負けるとはな…。それで、倒した海賊ってのはどこのどいつなんだ?」

 

「ふふふっ。貴方もよ~く知っている海賊よ♪」

 

「俺が? ……! まさかっ」

 

 プロメテウスがそう問うと、アルファは笑みを浮かべながらそう返した。プロメテウスは自分が良く知っている海賊ということに少々頭を悩ませたが、この細菌で自分が気に入っている海賊は一つしかないため、まさかと思いつつもその‶海賊″のことが頭の中に浮かんだ。

 そしてプロメテウスの表情を見ていたアルファは、長年の付き合いから何を考えているのかを理解することが出来、今回においても彼が考えている相手のことが誰なのかを理解したため、答えを口にした。

 

「うふふ。分かったようね。そう、ディックスを倒したのは、貴方が最近ご執心の『麦わらの一味』よ♪」

 

 そして口に出した海賊の名は、プロメテウスが予測していた者たちと同じであった。

 

 プロメテウスはそれを聞くと、顔に手を当てながら狂気に満ちた表情で笑い声を上げた。プロメテウスは自分が予想もしなかった『イケロス海賊団壊滅』をやってのけた『麦わらの一味』に対し、更なる興味と面白みを感じていた。

 

 そんなプロメテウスに、アルファは仮にも『狂帝海賊団』とつながりのある相手を倒した『麦わらの一味』をどうするのかと問うた。

 

「カハッ! カハハハハハ! カハハハハハハハハハハハハ!! そうかそうか! ディックスまで倒しやがったか!! カハハハハハハハ……!!」

 

「それでどうするの? 一応あの男もウチの取引相手の一人。‶落とし前″つけるの?」

 

「……いや。今回は‶報復″なしだ」

 

「あら、それはどうして?」

 

アルファは「なし」というプロメテウスの決定の理由を問うた。いつもであれば【十二狂典】の誰かに何隻かの艦を指揮させて狂帝海賊団に楯突いたことへの『落とし前』をつけさせているのに、今回に限ってそれがないことへの理由が気になったためだ。

 

 といっても、実はアルファはその理由について大方見当がついていた。ではなぜわざわざ理由を聞いたのかと言えば、プロメテウスがここまで楽しそうに笑っているのが随分と久しぶりであり、それを少しでも長くみたいと思っていたためであり、実際には理由がどうとかは建前であったのだ。

 

「ディックスの奴はあくまでも『取引相手の一つ』であって、俺の‶傘下″じゃない。あの野郎の尻拭いをしてやる義理はねぇさ。加えて——

 

 

 

 ——『麦わらの一味』は俺のお気に入りだからなァ!! 俺が自分の手で‶玩具″を壊すわけねぇだろ!? ……まぁそれ以外でも、今はまだ放置していた方が個人的にも海賊団としても都合がいいって俺の‶勘″が言っている! だから絶対に手を出すなよ、アルファ?」

 

 プロメテウスは未だに興奮が抜け切れていないのか笑みを浮かべたまま『総督』として、アルファに‶命令″した。

 アルファは、この‶命令″だけは背いてはいけないと感じた(まぁ、元々彼女にプロメテウスの命令に背きは毛頭ないが)。それは長年仕えてきた中でも数回しか見たことがない本気の時の‶眼″であったからだ。

 

 プロメテウスは配下たちに命令することは多々あるが、それは『命令』とは言っても‶最終的にプロメテウスが望む結果となれば過程や手段は自由″という、配下たちに選択肢を与えており、最悪命令が違反されたとしても余程のことがない限り罰すら与えない。

 だが、今回の様に『眼』が本気の時は別だ。この時のプロメテウスの命令に逆らえば、たとえお気に入りであろうともただでは済まない。『死ぬこと』が出来れば運がよく、一番最悪なのは‶生かされる″こと。アルファは見たことがあるのだ、この時の彼の命令を破った者の末路を。死ぬこともまともに生きることも出来ない中‶あえて生かされる″ことの苦しみを。

 

 そんなことを知っていたため、アルファは内心では恐ろしさを感じつつも、プロメテウスからの‶命令″に対して了承の言葉を発した。

 

「…分かってるわよ。貴方の配下で命令無視するのは……まぁ何人かいそうではあるけど。それでも貴方が‶厳命″すれば、全員が守るわ」

 

「そうか。それじゃあ後でアルベドたちに全員にそう言っといてもらわねぇとなァ」

 

 アルファがそう言うと、それなら問題ないなと判断したプロメテウスは、眼がいつもの様に戻っていた。

 

 そして話が終わると、アルファがプロメテウスの背後から彼を抱きしめたのだ。プロメテウスはこの行動自体には特に驚きもしなかったが、それをする彼女の『心意』を知っているため、大丈夫なのかと問いかけた。

 

「おい……」

 

「あら? もしかして私じゃ嫌?」

 

「そうじゃねぇがよォ……仕事はいいのかよ?」

 

 プロメテウスはアルファが‶甘える時″は大抵自分との『性行為』を望んでいる時であるが、総督である彼は勿論のこと『暗殺組織‶蚩尤″』の長であるアルファはその役職故にお互いが忙しい。彼はいつも暇そうに見えるが仕事がないわけではなく、その量は常人であれば一日かかっても終わるかどうかのものを、その優秀な頭脳をもって僅か数時間ほどで終わらせてしまっているからこのように残りの時間を自由に過ごしている。

 だが、アルファはプロメテウスの様にはいかない。プロメテウスの仕事は大半が書類仕事であるが、アルファはそれに加えて各地に潜伏・潜入させている部下たちからの報告を‶直接″受けなければならない。そのじょうほうはとても外へと流せるものではないため、自分以外の代わりを置くにしても『情報を預けるに足る信頼できる部下』がそうそうないことから、部屋を出ることも難しいのだ。

 

 そのためプロメテウスは仕事に支障が出るのではないかと危惧してそのことを聞いたのだ。プロメテウスは自由人とは言っても海賊団の『総督』ではあるため、組織への支障が出てまで自分のことは優先しないため、そうアルファに問いかけたのだ。

 

「貴方のためにわざわざ2日も時間を作ったの。それにさっきも言ったでしょ、『久しぶりに会えて、はしゃいでる』って。……だから、久しぶりに私を抱いてちょうだい❤」

 

「……そこまで言われて、抱かねぇわけにはいけねぇなァ…!」

 

 アルファから仕事のことは問題ないとの返答と、抱いて欲しいとの『女』としての要望を聞いたプロメテウスは、そこまで言わせておいて何もしないのは『上司』としても『男』としても失格のためにそれに応えようと思った。

 

 プロメテウスは自身を抱きしめるアルファを一旦剥がすと、彼女と向き合うように身体を動かすと彼女の唇に自身の唇を重ねた。

 

「ん…っ❤❤❤ んろっ…❤❤❤ んちゅぱ……❤❤❤(ああ……っ❤❤❤ 幸せ……❤❤❤)」

 

 アルファは唐突にキスをされたわけだが、嫌がる素振りを欠片ほども見せずにむしろうっとりと表情を蕩けさせると、より密着したいと言っているかの如くプロメテウスの背中と首に腕を回して抱き着いた。

 

 そのままの状態が1分ほども続いた後に、ようやく2人の唇は離れた。キス自体はただの唇同士をくっ付けるだけの軽いものであったが、至近距離によりお互いが久方ぶりとなる相手の香水や汗の匂いを嗅いでしまっていることにより十分に気分が高まってしまっていた。

 

「んあ…❤❤❤ ——うふふっ❤❤❤ こんなに硬くさせちゃって❤❤❤」

 

「お前が着替えの時に胸をわざと押し付けたからだぞ?」

 

 実際に、アルファが片手をプロメテウスの股間部にやると、そこには服の上からでもわかるほど勃起しているペニスがあった。

 だが先ほど述べたように興奮しているのはプロメテウスだけでなく、アルファもだ。余裕そうな表情をしているアルファであるが、スーツの所為で見えないが彼女の下着は興奮により溢れ出た愛液によりシミが出来てしまっている状態である。

 

「それはごめんなさい♪ それじゃあ———責任もって、『発散』させてあげるっ❤❤❤」

 

 アルファはそう言うと、プロメテウスの手を取ってベッドまで連れて行くと、彼女が上になった状態で彼のことを押し倒した。

 そのアルファの浮かべる表情は、先程までの『組織の長』としてのものではなく発情した‶雌″のものであり、目はハートマークを浮かべながらもギラついていいてまるで肉食獣のものと似ていた。

 

 アルファはプロメテウスを押し倒した流れでズボンに手をやると、ファスナーのチャックを開いてそこから彼の勃起したペニスを取り出した。

 

「うふふふっ❤❤❤ 相変わらず、大っきい……❤❤❤」

 

 アルファは取り出したペニスの大きさに硬さ、熱さにより顔を綻ばせると、自身の方もズボンとショーツを脱ぎ捨てた。

 そして既に愛液によって濡れて解れているマンコをペニスの先端に当てて照準を定めると、一気に腰を落として子宮口までプロメテウスのペニスを迎え入れた。

 

「んん~~~~~~っ❤❤❤❤(やっぱり、プロメテウスのペニス……気持ち良すぎるぅ……❤❤❤❤)」

 

「何だァ? もうイッちまったのかァ? カハハハハハ」

 

「~~~~っ/// 仕方ないじゃないっ!!/// 本当に久しぶりだったんだからッ!?///」

 

「カハハハハハ。すまんすまん。バカにしたわけじゃねぇよ。許してくれや——んっ♪」

 

「きゃっ…! ちょっと——んむっ!?❤❤❤」

 

 アルファは久方ぶりとなるプロメテウスのペニスによる子宮を突かれる快感に、まだ挿入しただけにも関わらず思わず絶頂してしまっていた。

 それを見ていたプロメテウスはどれだけ我慢をしていたんだと思ったことから、ふいに彼女のことを笑ってしまった。アルファとしてはそれが何だか自分を馬鹿にされた様に感じた様で、顔を先程とは別の意味で赤くさせながらプロメテウスに言い返した。

 

 それを聞いたプロメテウスは未だに笑いながらも、侮辱する意味はないことを説明した後に謝ると、その誠意を見せるために彼女の腕を取って身体を自身の方へと倒さした。そうすると当然彼女の顔とプロメテウスの顔が近づくこととなり、彼は目の前までアルファの顔が来ると、もう片方の手で彼女の後頭部に手をやると再びキスをした。

 

 しかし今度は、舌と舌を絡ませる濃厚なディープキスであり、アルファはつい数秒前まで羞恥心に支配されていたが、キスをされたことによりそれが快楽と幸福感によって塗りつぶされた。

 

「——ふぅ…。どうだ? 機嫌は直ったか?」

 

「んん……っ❤❤❤ ……もうっ! それで…誤魔化されないんだからっ❤❤❤」

 

 キスが終わった後にプロメテウスがそう言うと、アルファは言葉では許さないようなことを口にしているが、その表情を見れば今はもう全く気にしてはいないことが明らかであった。

 

「今日は私が動くから、貴方はじっとしててね?」

 

「りょ~かい。それじゃあ俺は楽しませてもらうよ♪」

 

「ええっ❤❤❤ 私のエルフオマンコで、いっぱい気持ちよくなってね❤❤❤ ——ふっ❤❤❤ んんっ❤❤❤ えいっ❤❤❤」

 

 アルファは身体を再び起き上げると、プロメテウスの腹に両手を置くと奉仕をするべく腰ふりを始めた。

 アルファのオマンコはピッタリと言えるほどプロメテウスのペニスに密着しており、まるでその姿が本来のものと思えるほど吸着してペニスを刺激している。

 

 プロメテウスは、数百年経っても衰えるどころか年々締め付け具合が良くなっているアルファのマンコに感嘆の声を上げてしまう。

 

「おお……っ!? カハハハハハ…!! いいじゃねぇか、アルファ! その調子で頼むわァ……!?」

 

「んんっ❤❤❤ んああっ❤❤❤ あはははっ❤❤❤ それなら、よかった……わぁ……っ❤❤❤(うれ、しいぃ……っ❤❤❤ プロメテウスが、悦んでくれてる❤❤❤ それに……彼の顔をみてると、すっごくキュンキュンしちゃう❤❤❤) ——えいえいっ❤❤❤」

 

「くぅ……っ!? また締め付けが……っ!!」

 

 プロメテウスが騎乗位による奉仕が気持ちいいとアルファに伝えると、彼女は主人であり愛している彼に悦んでもらっていることに歓喜の感情に支配される。

 また、それとは別に騎乗位ならではでの男の側の表情が女側から丸見えという特徴により、マンコの締め付けの良さに顔を歪めているプロメテウスの姿を見てしまったことで、得も言えぬ快感を感じていた。アルファはSとMの両方の気質を持っており、プロメテウスからぐちゃぐちゃになるほど攻められることも好きだが、それと同等に彼を攻めることもすいているため、その表情をみて愉悦に浸ってしまっている。

 

 そしてその表情をもっと見たいと思ってしまったことで、無意識の内にただでさえキツキツに閉められているマンコが更に締まったことで、快感が倍増して彼も思わず声を上げてしまう。

 

 普段ならばここで仕返しの一つでもするものだが、今回はアルファが攻める側と始める前にきめていたため、プロメテウスは何もすることはなくただ彼女から与えられる快楽を楽しんでいる。

 

 

 

 そうしてアルファによる騎乗位が始まって10分ほどが経過した。その間に攻めている側であるアルファは何度も絶頂しながらも、プロメテウスへの奉仕のために腰の動きを止めることなく攻め続けたことでようやく彼の方も限界となったようで、彼女に対して射精することの旨を告げた。

 

「アルファ……っ!! そろそろ、射精るぞ……!?」

 

「ええ、来てッ❤❤❤!! 貴方のザーメン❤❤❤ 私の子宮に、いっぱい射精してぇぇぇえええええええっ❤❤❤❤!!?」

 

 アルファの方も何度も絶頂したことで一刻も早くプロメテウスの精液が欲しくなっていたようで、彼がそう言うと最後のもう一押しと言わんばかりにペニスが潰れて知マンではないかと思う程の締め付けを行った。

 

 それが射精することへの促しとなったことで、プロメテウスは子宮口が壊れるぐらいまでペニスを下から押し付けた状態のまま射精した。

 

「ん゛んん~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッッッ❤❤❤❤❤❤!!!?」

 

 そして、アルファの方もプロメテウスが射精したのとほぼ同時に絶頂したようで、絶頂と射精による快感の気持ちよさから身体がシャチホコの様に反り返っており、その表情は正に至福と言わんばかりにドロドロに蕩け切っていた。

 

 プロメテウスの射精は常人よりも長く量も多いことから、アルファの子宮の容量をあっという間に超えてしまい、子宮内に入りきらなかった精液と彼女の愛液が混じり合ったモノがどんどん接合部から溢れ出てきていた。

 

 

 そうしてようやく射精が治まると、プロメテウスは自身を射精へと導いてくれたアルファに褒め言葉を発した。

 

「カハハハハハハハ。滅茶苦茶気持ちよかったぜェ、アルファ……!! やっぱりお前のマンコは最高だなァ~♪ カハハハハハハハ…!!」

 

「んふふふふっ❤❤❤ 貴方が悦んでくれたのなら、光栄だわっ❤❤❤ ……ねぇ、この後はどうする? このまま騎乗位でスル❤❤❤? それとも姿勢でヤル❤❤❤?」

 

「カハハハハハハハ! そうだなァ……それじゃあ———」

 

 プロメテウスが最高に気持ちよかったと告げると、アルファはパァッと顔を綻ばせて嬉しそうにほほ笑んだ。プロメテウスに仕える女達……特に彼に対して恋愛感情等を持っている者たちにとって、彼からそう言われることは最大の栄誉であり、自身にとっても誇りとなるのだ。

 そのため普段はクールなアルファもここまで喜びを露わにしてしまっている。そしてアルファは繋がった状態のまま、この後の二回戦のことについて話始める。アルファはこの程度でプロメテウスが満足するはずがないということを知っており、実際彼はまだまだ満足しきれておらずペニスは依然に硬くて熱を帯びている。

 

 アルファからの問いに対して少し悩ませながらどうするかと考えていた正にその時、2人の耳に部屋の外から『ドドドドドドドッ!!』という何かが猛スピードで走ってくる足音が聞こえてきた。

 普通であれば『総督』のいる部屋に猛スピードで何者かが迫って来ているとあらば、部屋に一緒にいるアルファが何かしらの対処をしなければならないが、彼女は何もすることはせずに未だプロメテウスと繋がったままである。

 

 なぜ2人とも微動だにしていないかというと、それは走って来ている人物を【見聞色の覇気】により誰であるかを知っているためだ。

 

 

 その人物というのは————

 

 

 

 

「プロメテウス様~~~~~❤❤❤!! わちし頑張って仕事してきたでごわす~~~~~~!!! だから『ご褒美』を頂戴で——————って、何やっとるんじゃテメェ~~~~~~!!!?」

 

 

 ——うるティであった。

 

 

 なぜうるティがここにいるのかというと、それは彼女が口にしていたようにプロメテウスに任されていた後処理の仕事が終わり、終わった後に『ご褒美』が貰えるとの約束をしていたことで、それをしてもらおうとわざわざ部屋までやって来たのだ。

 

 うるティとしては、やりたくもない仕事を『ご褒美』……プロメテウスとのセックスのために頑張ってやって来たというのに、いざ部屋に入ってみれば自分よりも先にセックスしている女がいればキレてしまうのも無理からぬことであった。

 

「オメェ何してるでごわすか、アルファ!!?」

 

「ナニって…………セックスに決まっているでしょう♪」

 

「~~~~~~!? ふざけんなァ!!? あちしが先にプロメテウス様と約束してたのに、何抜け駆けしてるでごわすかゴラァ!? ブチ殺すぞこのエルフ女!!?」

 

 うるティはただでさえ抜け駆けされて怒っているというのに、アルファはまるで挑発するかの如き言葉を返すことで余計に彼女のストレスを刺激しており、その様子を見て笑みすら浮かべていることから更に怒り出すうるティ。

 このまま戦闘になってしまうかに思われたが、それはプロメテウスの一言により防がれることとなった。

 

「悪かったな、うるティ。そんなにキレるなよ。今からでもお前も混ざらねぇか? 3Pだと2人の時よりも更に気持ちよくて楽しいからよォ…!」

 

「——はいっ❤❤❤ セックス参加するでごわすっ❤❤❤」

 

 プロメテウスが謝った上で、3Pをするとのことでうるティを誘うと、彼女はつい今しがたまでの怒りはどこへやら、一転して機嫌がよくなると彼からの提案ににべもなく是非にと返答した。

 うるティにとってはプロメテウスとセックスすることが一番重要であるため、彼の口から誘われたことで彼女としては先ほどまでのアルファへの怒りなど遥か彼方にまで飛んで行ってしまっているのだ。

 

「お前も問題ねぇよな、アルファ?」

 

「ええ、勿論よ❤❤❤」

 

 プロメテウスはうるティが了承の返事をしたのを聞くと、未だに騎乗位のまま繋がっているアルファに目線を向け、そちらにも大丈夫かを問いかけた。

そう聞かれたアルファは全く問題ないと答える。アルファとしては、『プロメテウスと性行為』をすることが重要なのであって、誰かが一緒でも構わないし同じ男を好きな者同士仲良くしたいと思っている者の一人であるため、そう返答したのだ。

 

 プロメテウスはアルファからの返答に笑みを浮かべていると、胸に衝撃が来たことでそちら目線を動かした。そこには一瞬の間に服を脱ぎ捨てていたうるティがおり、彼の逞しい胸板に頬ずりをしながら普段の言動・行動からは考えられないほど可愛い声でプロメテウスに甘えていた。

 

「プロメテウス様ぁ…❤❤❤ あちしのオマンコ、ずっとお預けくらってた所為でもうグチョグチョなんでごわす❤❤❤ だからぁ、いっぱいオチンポで苛めて欲しいでごわすよぉ……❤❤❤」

 

「うふふふっ♪ うるティったら大胆ね♪ ——ねぇ、プロメテウス❤❤❤ うるティもそうだけど、私のこともちゃ~んと可愛がってね❤❤❤」

 

 プロメテウスは、うるティとアルファからの懇願により余計に性欲を刺激されたことで、ペニスはさらに太くなり、表情はまるで空腹の肉食獣の様な獰猛さが露わとなった笑みを浮かべている。

 そんあプロメテウスは2人の背中に手をやると、めいいっぱい抱きしめた。それは2人の豊満な胸が彼の胸板により潰れてしまう程であった。そして抱きしめたことで顔が近くなった2人に向けて、たくさん可愛がってやると宣言した。

 

「カハハハハハハハハハハハハ! 言われるまでもねぇ!! 2人ともぶっ壊れるくらい犯して頭の中セックスしか考えられねぇようにしてやるよォ……!!!」

 

「「~~~っ❤❤❤❤❤」」

 

 うるティとアルファの2人は、力強く抱きしめられたこととプロメテウスのワイルドさが露わとなった表情を見てしまったことで、これ以上ないほど女……‶雌″としての部分が刺激されてしまい子宮が疼いてしまっていた。

 

「さぁ…! 三人で楽しもうじゃねぇか……!!!」

 

 プロメテウスはそう言うと、2人を抱きしめたまま体位を変えて2人を押し倒したことで、二回戦目のゴングが鳴ることとなった。

 

 

 

 

 

 

 そして、その後の2日間において、プロメテウスの私室以外にてうるティとアルファの姿を見た者はいないのだった。

 

 

 

 

 

 

 






 今回の話で出てきた『敵キャラ』についての設定(簡易)がありますので、よかったらどうぞ見て下さい。




【敵の海賊団とキャラの設定】



『イケロス海賊団』
~密猟・人攫いをしそれを裏社会や王侯貴族に売り払うことを主な生業としているため、海賊というよりも『人身売買組織』に近い。


◎船長
・名前:ディックス
性別:男
種族:人間
悪魔の実:ヨワヨワの実 『‶弱体化″人間』
異名:‶蛮行(ばんこう)″
懸賞金:1億9700万ベリー

・【ヨワヨワの実】の弱点
➀ 半径50m圏内の人間しか‶弱体化″出来ない。
➁ 無機物を‶弱体化″することは出来ない。
 例:『ウソップの火薬星』や『狙撃の銃弾』など
➂ 最大で半分までしか‶弱体化″出来ない。



◎幹部
・名前:グラン
性別:男
種族:人間
悪魔の実:なし
異名:‶カチ割り(かちわり)″
懸賞金:7300万ベリー

・名前:シュールズ
性別:男
種族:人間
悪魔の実:なし
異名:‶足蹴(あしげ)″
懸賞金:7300万ベリー


◎一般兵
・約500人


◎元ネタ
・『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っている』から、『イケロスファミリア』。




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