「ふふっ、財布ないです」
その日も毎週末恒例のファミレス一人デザートをバイト帰りに決めていた僕は、ドリンクバーでオリジナルブレンドを作って席に戻ろうとレジの横を通った時、自己紹介の時に一目惚れしたクラスメイトがスタイリッシュ無銭飲食宣言を放つシーンに出くわした。
―浅倉さん?
「ん?あー、えっと…誰だっけ?」
クラスメイトじゃなかったかもしれない。そりゃ話したことはないけど、まさか覚えられていないとは。
「…あ、確か後ろの方の」
よかった。覚えられていないんじゃなくて忘れられていただけみたいだ。…よかったのか?改めて名乗り、さっきの無銭飲食宣言について尋ねる。
「やらかしたね」
―……どうするの?
「どうしよっか」
教室ではオーラに気圧されて誰も話しかけないからわからなかったけど、浅倉さんってこんなマイペースな人だったのか。クールな姿に憧れている学校の男子が知ったら幻滅しそうだ。いや逆に人気に火が付くな。なにしろ僕がそうだ。ただでさえ美人なのにこんなギャップがあるなんてずるい。
―あの、よかったら僕が出しておくけど。
「え、でも」
―来週返してくれたらいいよ。
アピールしようという下心を隠そうとしてちょっとぶっきらぼうになってしまったかもしれない。今から誰かに財布を持ってきてもらうにしろ、もう22時近い。女の子が一人で歩くのは少し危ない、となけなしのフォローをしておく。
ましてや浅倉さんみたいな美人なら襲われるリスクは跳ね上がるだろう。彼女を一度犯す代わりに残りの人生を刑務所で過ごすことになったとしても天秤が釣り合うほどに浅倉透という存在は女として完成していた。
それだけで人生の難易度がベリーイージーに設定されるぐらい整った顔。さらに透き通るような肌にスレンダーなモデル体型のおまけつきだ。天は二物を与えずとはなんなのか。一物すら与えられない僕みたいなやつもいるのに。
―最近この辺りで不審者が出たって話もあったし、一人なら早く帰った方がいいよ。
スマートなイケメンならここで家まで送るよとでも言うのだろうが、チキンな僕は今こうして話しているだけでも心臓がバクバクしてしょうがないのでとてもじゃないがそんなことは口にできない。幸いまだ明かりも多いので今から帰れば何事もなく帰れるだろう。
「わかった、ここはお言葉に甘える。来週、忘れずに返すから」
話がまとまったので席に戻って財布を持ってくる。そしてレジ前で突如始まったやり取りを淡々と眺めていたお姉さんに一言謝り、浅倉さんの代金を支払った。
―それじゃ、僕はこれで。気をつけて帰りなよ。
「うん。――君、今日はありがとう」
この一言を聞けただけで勇気を出して話しかけた甲斐があったというものだ。なんならさっきのは奢りでもいいぐらいだ。浅倉さんが家へ帰るのを見送って、僕は自分の席へ戻った。その日のパフェはいつもより美味しく感じた。
週が明けて月曜日。いつも通りの時間に家を出て、いつも通りの時間に教室に入る。道中友人におはようと声をかけて席に着く。
一歩入った瞬間教室の喧騒が一瞬凪ぎ、徐々に元の騒がしさを取り戻す。思わず会話を止め、目が引き込まれるのだ。浅倉透という圧倒的存在感を放つ少女に。彼女は自分が原因でそれが引き起こされていることにとっくに気づいているだろうに、少しも気に掛けることはない。そしていつも通り自分の席へと向かう―ことはなく。教室の後方へと歩みを進める。
待て。まさかここで渡すつもりか?いやここでなければどこで渡すのかという話になるが、まだ彼女にちらちらと目を向けている連中がいる中でこっちに来たら注目されること間違いなしだ。
別の場所にしようという念を込めて見つめるも、視線に気づいた彼女はにこりと微笑むだけだ。かわいい。そして周りから注目される中、彼女は僕の前まで来て口を開いた。
「や、おはよ」
―お、おはよう。
「なんでそんな緊張してるの?変なの」
上ずった声で挨拶を返した僕、それをおかしそうにくすっと笑う浅倉さん。それを見守るクラスメイト。
「この間は助かったよ。お金返すね」
周囲の視線なんてまるで気にしていないかのようにバッグから財布を取り出そうとする浅倉さん。
「?あー…ふふっ」
だがしばらく待っても財布は出てこず、やがて何かに納得したかのようにバッグを閉じた。まさか…
「ごめん、財布ないわ」
嘘だろ…。
その後どんな関係かと聞いてくるクラスメイトに納得のいく説明をさせられ、今はなんと浅倉さんと並んで歩き、彼女の家へと向かっていた。忘れたなら明日でもいいと僕は言ったのだが、今日返すからと家まで来て欲しいと言われた。気になっている女の子に家に誘われて断れるはずもなく、僕はうっきうきで彼女の隣を歩いているというわけだ。
にしても、本当に顔がいいな。一日中見ていても飽きない造形美だ。横目で彼女の横顔を盗み見しながら彼女の家に着いた。バスで隣に座った時肩が少し触れあってめっちゃどきどきした。
「ちょっと待ってて。ただいまー。おかーさーん、私の財布知らなーい?」
言葉通り、浅倉さんは少しすると家から出てきて、今度こそ財布をその手に握っていた。
「お待たせ。いくらだっけ?」
あの日のレシートを出して1円の違いもなく彼女からお金を受け取る。これで僕と浅倉さんとの間にできた縁も切れた。明日からはまたいつもの同じ教室にいるだけの他人に戻る。残念だけど、どうしようもない。浅倉さんと僕じゃ、住んでいる世界が違う。
―それじゃ、僕はこれで。
「うん」
浅倉さんに背を向けて帰路に就く。今日はコンビニでちょっとお高いスイーツを買って帰ろう。それで明日からは浅倉さんと帰ったという思い出を胸に残りの高校生活を過ごそう。
「――君」
そんなことを考えていると、浅倉さんに呼び止められた。まだ家から10歩も離れていない。何かあったっけと思いつつも、少しでも長く彼女と繋がっていたくて振り返る。
「また明日」
何もなかった。ただ彼女は交わしていなかった別れの挨拶をするために声をかけてくれただけだ。それでも沈んでいた僕の心は快晴の空のように晴れ渡っていた。
―また明日!
明日は僕から声をかけよう。そう心に決めて今度こそ僕は帰路に就いた。コンビニには寄らなかった。
次の日、緊張しながらも教室に入ってきた彼女におはようと声をかけると、一瞬きょとんとしつつも、微笑んでおはようと返してくれた。何人かの女子が心臓を抑えた。
それから毎朝彼女と挨拶を交わすようになり、気づけば他のクラスメイトも声をかけるようになり、クラスの中で浮いていた浅倉さんは「えげつない美人だけど実は抜けたところがあるマイペースガール」として馴染むようになっていた。
そうして少しずつ浅倉さんと仲良くなっていく中、ある日僕はコンビニで新発売のスイーツを見かけて衝動的に購入し、家に帰るのも待ちきれずに帰り道にある公園に寄ってベンチで味わっていた。
「あれ、――君じゃん」
―浅倉さん?
「何してんの、こんなところで」
―いや、新商品が出てたから…
一人でスイーツ食べている所を見られると何か恥ずかしい。
「買っちゃったんだ」
当然のように隣に腰かけてくる。そして近い。僕の方が背が高いから、上から見下ろす形になる。結果、ボタンを2つほど開けているブラウスの隙間から谷間の始まりが見えることになり、血流が一部分に向かい始める。これはいかんと、僕はスイーツに意識を集中させる。
「…おいしい?」
―うん
「そっか。…」
物凄い見てくる…。美人に見つめられるのって凄い緊張するんだな…。
―…1つ食べる?
ついつい3つほど買ってしまったから1つぐらいならいいかと思って聞いてみる。これが友達とかなら絶対あげないけど淺倉さんだとなんかあげたくなっちゃうんだよな。学校でも女子からお菓子とかよく貰ってるみたいだしそういう雰囲気でもあるのかもしれない
「いいの?ありがと。今度何かおすそ分けしなくちゃだ」
この笑顔だけでこっちがもらった気持ちにまでさせるのがずるいんだよなぁ。
「わ、いいねこれ。気に入った」
そうして少しの間、二人並んで放課後のスイーツタイムに没頭した。なんかデートみたいでいいな、これ。こんなご褒美があるならスイーツぐらい安いものだ。食べ終わって一息ついたので、ずっと気になっていたことを聞いた。
―浅倉さんは、どうしてこの公園に?
「え?あー…うん、君ならいいか。人探し」
―へー。それって誰を探してるのか聞いてもいい感じ?
「誰だろ。私も知らないんだ」
―知らないのに探してるの?
「うん。私が小さい時にこの近くで一度会っただけの男の人。顔はうっすらと覚えてるんだけどね」
それってもしかしなくても初恋の人を探してるとかそういうアレか?ずきりと胸が痛む。あの日、また明日と言ってくれた日から、僕はどんどん浅倉さんのことが好きになっていた。それは顔がいいからとかだけじゃなくて、ふと見せる微笑みとか、授業中にたまに目が合うと手を振ってくれるところとか、色んな浅倉さんに触れて本当に好きになったんだ。
―もしかしてここによく来てるの?
「うん。気が向いたらここに来て、しばらくぼーっとしてから帰るんだ」
それって待っている間は退屈じゃないか?疑問に思ったことをそのまま尋ねてみた。
「退屈だよ。でも今日はそうでもないかな。いいこともあったしね」
空になったスイーツの容器を見せつけてくる浅倉さん。
―僕でよかったら付き合うけど。
「え。なんで?」
―いや、ここ人通りも少ないし、一人でいると心配っていうか…その、僕も放課後ぶらぶらしてること多いから。バイトに行くまでだったら、時間潰しにもちょうどいいし。
どうみても一緒にいたいがための苦し紛れの言い訳だったが、浅倉さんは納得してくれたらしい。
「バイトしてるんだ、大人だね。でも、そっか。それなら付き合ってもらおうかな」
そう言ってスマホを取り出す。スマホ持ってたんだ…。
「?君もスマホ出してよ。毎日来るわけじゃないし、ここに来る時は連絡入れるよ」
それはつまり学校の男子皆が知りたがっている浅倉さんの連絡先を教えてくれるということか。勇気を出してよかった…!こうして僕は、思いがけず浅倉さんと連絡先を交換し、週に3日ぐらいの頻度でこの公園で過ごすことになった。
浅倉さんと連絡先を交換してから3か月ほどが経った。いつの間にか交互にお菓子を準備し、もう片方が話題を提供する流れになっていた。そのせいで僕は話したこともない浅倉さんの幼馴染に詳しくなってしまった、隣のクラスの樋口さんが芸人の1発ネタで噴き出したこととか。樋口さんって隣のクラスのあの冷たそうな人だよね?僕が知ってることを知られたら殺されそうなんだけど。
だけどいつまで経っても浅倉さんの探し人が現れる様子はない。浅倉さんがずっと探してるのに見つからないんだから当然と言えば当然だ。だからと言ってここ以外に手がかりもないらしい。時折バス亭に目を向けながら彼女はそう言った。
その男の人に会いたそうに話す浅倉さんの横顔を見ながら、僕はその男の人がずっと現れなければいいのにと思っていた。好きな子と放課後二人きりで過ごす、という高校生なら誰もが羨むこの状況が少しでも長く続いて欲しかった。
そんなことを考えていたからだろうか。その時は突然訪れた。その日は浅倉さんがお菓子を準備する日だった。先に公園に着いた僕は、ジャングルジムの前に誰かが立っているのに気づいた。この公園に僕ら以外の人がいるのはこれが初めてだ。かといって別におかしい事でもないので気にすることなくいつものベンチに向かおうとした時、反対側の入り口から女の人がやってくるのが見えて反射的に隠れてしまった。
なぜ隠れたのかは自分でもわからないが、この時の僕はなぜか隠れないといけないと直感的に思ったのだ。そして、それは結果的に僕らの関係を大きく変えることになった。
やって来た女の人はおっとりとした美人で、とんでもないスタイルをしていた。大きく突き出た胸にきゅっとしたウエスト。そして遠目にもわかる大きなお尻。まるでグラビアアイドルだ。ていうかどこかで見たことあるような…?男の方もかなりのイケメンで美男美女とはこういうことをいうのか、と考えているといつの間にか来ていた淺倉さんに声をかけられた。
「こそこそ隠れて何してるの?……え」
浅倉さんは隠れている僕を見てとりあえず隠れないといけないと思ったのか身体を寄せてほぼ密着してきた。だから、好きな女の子との急接近にどきどきしていた僕は2人を見た浅倉さんの顔色が変わったのに気づけなかった。
「ごめんなさい、お待たせしましたか?」
「いや、まだ時間に余裕はあるから平気だよ」
「そうですか、よかったです。ところで、ジャングルジムをそんなに見つめていましたけど、どうかされたんですか?」
「え?ああ、いや。高校生ぐらいの時に一度ここに登ったなぁって思い出していたんだ。まだ残ってたんだな。バスを待っていた小さい男の子と一緒に年甲斐もなくはしゃいだなぁ。」
「ふふ、その頃のプロデューサーさんにも会ってみたかったです」
「今とあんまり変わらないよ。それより千雪、誰もいないとはいえ外でくっつくのは…」
「誰も見ていないならいいじゃないですか。最近あまり2人で会えなかったから…駄目、ですか?」
「その顔はずるいなぁ…。少しだけだぞ?」
「はいっ」
閑静な住宅街にぽつんとある公園なので2人の話し声は多少遠くてもはっきりと聞こえた。どうやら交際しているらしい。そして2人は腕を組み、僕らの定位置となっていたベンチでくつろぎ始めた。時折周囲を見渡しては誰もいないことを確認してキスまでしていた。別に僕たちだけのベンチじゃない。なのに、なぜかあのベンチがもう使えないものになってしまったように思えた。やがて時間がきたのか2人はどこかに去っていった。
―行ったみたいだね。なんだかオトナって感じの2人だったね…浅倉さん?
このままだとドキドキしてまともに話せそうにないので少し離れて振り返り浅倉さんに話しかける。だけど、いつもなら悠然と構えて「そうだね」と言うであろう彼女は、持っていたお菓子の袋も地面に落として呆然としていた。
「…はは、そっか。そうだよね。偶然会って1度遊んだだけの人をずっと探してた私の方がおかしかったんだ」
その言葉を聞いて僕はすぐにピンときた。なにしろここで会っている最大の理由だ。だけど、そんなことあるのか。こんなばっちりなタイミングで。
―浅倉さん。もしかしてさっきの男の人…
「うん。間違いないよ、私がずっと探してた人。やっと見つけたよ」
そう話す浅倉さんの顔は長年探してた人をようやく見つけたという顔ではなくて。傍で見ていた限り、あの人は浅倉さんの初恋のはずだ。幼い女の子がかっこいい年上の人に出会って憧れる、ありふれたものだとしても浅倉さんはあの人のことが好きだったはずだ。
「好き、だったはずなんだけどそうでもなかったみたい。そもそも女の子とも思われてなかったし。まあ昔はボクって言ってたししょうがないかな」
強がっているようには見えなかった。まあ、初恋なんてそんなもんだろう。1年ぶりに会う親戚のお姉さんが結婚するとか、幼稚園の先生に好きと伝えても本気に取られずそのまま卒園するとか。ただ、彼女の場合は1度だけの偶然の出会いがそのまま初恋になってしまったせいで終わるのが遅かっただけで。
彼女はきっかけを探していたのかもしれない。拗らせた初恋に区切りをつけるための。それが今日、ようやく見つかったというだけだ。けど、それはつまりここで会う口実もなくなったということだ。ここからは僕から積極的にアプローチしないと彼女との関係を進められない。正直学校の男子の中では一番仲がいいとは思うけど、それと彼女と付き合えるかは別だ。
「ねえ。私たち、付き合おっか?」
そんなことを考えていると、彼女から衝撃的な言葉が飛び出した。
「あの人の隣に女の人がいても特になんとも思わなかったのって、君がいたからだと思うんだ。君とここで過ごしていると、落ち着く。樋口達と一緒にいる時とは違う、不思議な気持ち。この気持ちを確かめたいんだ。どうかな?」
それは一切の照れも見せないあっさりとした告白だったけれど、僕にとってはとても嬉しい言葉で。彼女の気持ちを勘違いで終わらせないように頑張ろう、と心の中で思いながら差し出された彼女の手を取った。こうして僕と浅倉さんの関係は、彼女の初恋の終わりとともに形を変えることになった。
透と付き合うようになって3か月とちょっと、最初は教室どころか学校でも有名な透と僕が付き合ったことで色々とあったがそれも徐々に落ち着いてきた。樋口さんに尋問されたり、市川さんに真顔でじっと見つめられて「…ふ~ん。うん、オッケ~」と言われたり、福丸さんと思しき何かの視線を感じたりとあったけど、それも透が大切に思われているからだと思えば気にならなかった。…いや、市川さんはマジで怖かった。なんか深淵を覗いてそうな目で見つめてきたからな…。
そして、3か月といえば、恋人にとってよくそういうことの節目に言われる期間だ。僕たちもその例に漏れず、僕から言って1歩踏み込んだ関係になった。ただ、予想外だったのは―
「じゅる…んっ、んっ♡…ね、もう1回できる?」
僕たちがセックス、いや性行為にドはまりしたことだ。今も使い終わったコンドームから僕の精液を啜り、自分の胃の中に収めてもう1回戦を求めてくる。ちなみにこのやり取りは本日3回目である。僕の方も性欲旺盛な高校生であり、なにより可愛い彼女から求めてくれるということであれば遠慮する必要もないので、溜まった性欲を透にぶつけまくっていた。
「はむ♡ん~~~……♡んぐっ♡れぅ…♡」
今だって射精した後休んでいた僕の脚の間に来て、四つん這いで肉棒を深く咥えこんでいる。街中でデート中、僕が用を足しに少し外しただけでスカウトやナンパに遭い、その度に冷たい態度でその全てを追い払っているあの透が、自分から男の肉棒を喉奥まで迎え入れているのだ。陰毛に顔が埋まるのすら気に掛けることなく、その端正な顔を歪めて必死に奉仕してくれる透の頭を撫でる。
「んん…♡じゅる♡ぐぷっ♡」
くすぐったそうにしながらもより一層奉仕が深くなったことから喜んでいるのがわかる。無意識だろうか、この後のことを想像してきゅっとしたお尻をふりふり振って非常に可愛らしい。
「ぷはっ♡完全復活したね♡ゴム、ちょうだい」
枕元に乱雑しているコンドームを1つ手に取り、透に渡す。透はそれを慣れた手つきで開封し、精液溜まりに部分を咥えて器用に口で装着していく。
「これ、好きなんでしょ?練習したから、もう完璧だよ」
透はセックスをたくさん求めてくる代わりに、僕がやって欲しいと言ったことをほとんどやってくれる。前回頼んだものの上手くできなかった口でのゴム装着も、こうして練習してきてくれる。それが嬉しくてついつい僕からも求めることが多くなり、僕の家に親がいない時はこうしてセックス三昧になっている。
四つん這いのままの透を後ろ向きにさせて、繰り替えす抽挿によって泡立った愛液塗れれの膣に5回目の挿入を果たす。処女を失ってまだ2週間だというのに、男を受け入れるのにすっかり抵抗のなくなったそこはお待ちかねの肉棒が入ってきた瞬間に蠢き、にゅるにゅると襞を絡みつかせる。
最初は苦痛に歪んでいた表情も、今は快楽で歪んでいるだろう。後背位なので見えないが、この膣内の感触となにより―
「あ゛っ♡あ゛っ♡ん゛っ♡ん゛うっ♡」
普段の姿からは想像もつかない、低い喘ぎ声を聞けばわかる。透はスロースターターのようで、最初は喘ぎ声も漏れ出るようなものがほとんどだが、僕が射精する度にだんだんボルテージが上がり最終的にはこんな濁音混じりの喘ぎ声を一突きごとに上げる。これだけでも男としてはたまらないが、この状態になった透は非常にイきやすくなる。
「お゛っ゛っ゛♡」
こんなふうに。びくびくと身体を震わせ、一段と低い声が出るのでわかりやすい。女性は連続でイくと辛いと聞くが、透はそれに当てはまらないようでもっともっとと自分から腰を振って肉棒を迎えに来る。透のこんな姿を知っているのは彼氏である僕だけ。そのことに優越感を覚え、僕の動きもどんどん激しくなる。
「あ゛っ♡あ゛っ♡もっと♡もっとキて♡」
だけど透はそれでもまだ足りないと訴えてくる。まだ私は満足していないぞと。この程度のピストンでは私の性欲は満たされないと。その声に応えるように僕は獣欲を解放し、彼女の手首を掴んで起き上がらせ叩きつけるように腰を振る。
「ん゛お゛っ♡お゛゛っっ♡イ゛イっ♡これ、すきっ…♡」
ぱん、ぱんと僕が腰を透のお尻に叩きつける度に乾いた音が響く。結合部からは泡立った愛液が零れ落ち、ベッドを汚す。透はやがて膝だけで己を支えることができなくなり、ぐったりと倒れ込みシーツに顔を伏せて僕のピストンを受けるだけになってしまう。僕が手を捕まえているせいで無理矢理犯しているような形になってしまうが、透的には「これはこれであり」らしい。だから僕も気にすることなく透のおまんこを突き立てる。
ここまで来ると透はほとんどオナホみたいになってしまう。それもただのオナホではなく最上級のオナホだ。一突きごとに締まりが変わる、全力で精液を搾りたてるオナホ。だけども待ち望む精液が訪れることは決してない。0.01mmの壁に阻まれている以上、透が本当の意味で満たされることはない。だからこそ、透のおまんこは貪欲に吸い付いてなんとか精液を飲み干そうとし、極上の快楽を生み出す。自分で加減しなくとも勝手に最高の射精ができるようにサポートしてくれる最高のオナホ、それが透だった。
―ぐ、ぅ…!もう限界だ…!透!
「うん゛っ♡射精してっ♡奥にグリグリしながら、思いっきりびゅーってしてっっ♡♡お゛っ…♡」
ごりゅ、と透の求めに応じて最奥までに肉棒をねじ込んだ瞬間透が絶頂しその締まりが強まる。僕もそれに合わせるように限界を迎え、最後にするつもりでゴムが破れる勢いで射精した。
どびゅうううっ♡
ぶびゅるるる♡
びゅるっ♡びゅぶぶっ♡
どっぴゅうううううう♡♡♡
「ん゛んっ…♡」
ゴム越しにおまんこを叩きつける暴力的な射精を受けている間、透はうっとりとした声を上げて快感に浸っていた。
「ほら、手を止めるなー。もっと彼女を甘やかせー」
5回目のセックスを終えてようやく落ち着いた僕らは乱れたシーツの上で横になり、まったりとした事後タイムに入っていた。透は僕の腕を枕にして体を寄せ、僕はそんな透の可愛い命令に従い頭を優しく撫でつけていた。
セックスこそ激しく回数も多くなる傾向にある僕らだが、終わればこうして甘い雰囲気になる。
「そうそう、いい感じ。はー、今日もたくさんシたね。見てよこの精子の量。5回もシたのにこんなたくさん出す彼氏を持って大変だ」
どの口がと言いたいが、透の言う通りかなりの量がコンドームに納まっていた。透は自分の膣内で出された精子をつんつんと指でつついて満足気にした後、それを口に含んだ。そして伸びたコンドームを歯で破き、流れ出た精子を一滴余さず飲み込んだ。
「んっ、んっ♡濃厚な精子、ごちそうさま…♡」
用済みになったコンドームをゴミ箱に捨て、再び僕に体を預けてくる透。ゴミ箱には同じく先端が破れたものや使用済みなのに空っぽなものなど、いずれも精子が入っていないものだ。透はこうしてコンドームに射精した後の精子を全て飲み干していた。
―毎回飲んでくれてるけど、おいしくないでしょ?無理に飲まなくてもいいよ
「え、無理してないよ。それにね、おいしくはないけど私でこんなに出したんだって思うとむしろ飲みたくなるんだよね」
こんな可愛い彼女他にいる?いやいない。男の夢を全て叶えてくれる美人なんて透以外にいるはずがない。僕はすっかり透に溺れていた。
「あー、でも流石に疲れた。まだ時間ある?」
枕元の時計を確認すると17時前。親が帰ってくる時間まで余裕を見積もって1時間はある。
「じゃあ少し寝るね。君も休みなよ、いっぱい動いて疲れたでしょ?あ、でも腕はこのままね」
確かに倦怠感はある。透を甘やかしている間は感じなかったが、一度自覚すればもう駄目だ。腕に透の重みを感じながら僕は重たくなった瞼を閉じた。
眠りにつく寸前に透が何かを言った気がしたけど、あまりの眠さによく聞き取れなかった。
「あのね。この気持ち、勘違いなんかじゃなかったから。これからもよろしくね。大好きだよ、――君」
この後目覚ましをセットしていなかったせいで危うく親にバレるところだった。透は家まで送っていく道中ずっとご機嫌だったけど、何度聞いてもその理由を教えてくれなかった。