新・嗜虐西遊記─北遊記/ビ・ク城篇【終了】 作:ドン・ドナシアン
□登場人物紹介
【宝玄仙】(玄奘)
唐和帝国(東帝国)出身の道術師。希代の淫女にして、神がかり的な道術の能力の持ち主。
帝国において、道術師の宗教集団である教団における最も優秀な道術師に与えられる「八仙」のひとりであったが、同じ八仙の男たちの罠に掛かり、二年間にわたって彼らの慰み者にされていた経験を持つ。
その男たちへの復讐後、教団の西方行脚の旅の罠にあえて乗っかり、帝国から逃亡を図る。
旅のあいだに、沙那、孫空女、朱姫などの供を手に入れ、教団からの追手や道中で遭遇した魔族たちと戦いながら、ついに、魔族の棲む魔域に安住の地を見つけた。
しかしながら、持ち前の退屈の虫が騒ぎ、現在は三人の供を従えて、新たな旅の実行中。
なお、モチーフとなる原本の『西遊記』の登場人物である三蔵法師は名前ではなく、有能な僧侶であることを表す普通名詞です。戒名(僧侶としての名前)は「玄奘」となります。
【沙那】(沙悟浄)
元は地方軍の千人隊長。帝都から逃亡中の宝玄仙の罠に掛かり、「隷属の首輪」を嵌められて、冤罪を自白させられ、その罪滅ぼしという名目で宝玄仙に同行することになった。
宝玄仙の多淫と嗜虐趣味の犠牲者であり、旅のあいだの宝玄仙に無理矢理に調教されて、全身性感帯のような淫乱な身体にされてしまった。
頭がよく、旅の仲間の参謀的役割。剣や槍や弓など武芸全般に秀でる。
【孫空女】(孫悟空)
小さな里で育った孤児であり、童女時代に奴隷として売られそうになって里から逃亡する。その後、旅芸人をはじめ、様々な職を経由して、五行山の盗賊団の女頭領となっていた。
しかし、五行山にやってきた宝玄仙と沙那をたまたま襲撃したとき、逆に宝玄仙と捕らわれ、隷属して旅に同行することになる。
一度四肢を失ったが、宝玄仙の道術で手足を復活してもらった。また、その際、宝玄仙の霊気を身体が一体化することにより、身体が活性化されて、怪力と類まれな敏捷性を手に入れた。
手首と足首に『
宝玄仙から贈られた『
【朱姫】(猪八戒)
魔族(妖魔)の母と、人間の父の間に生まれた半妖の少女。両親とともに小さな里で暮らしていたが、母親が妖魔であることを知られて、人間の妖魔狩りで母を惨殺される。
その後、旅をしながらひとりで生きていたが、ある商家で下女として雇われてた際に、旅でやってきた宝玄仙たちを襲撃しようとして失敗し、宝玄仙から無理矢理に奴隷にされてしまう。
宝玄仙と出会ったときには、まだ道術には未熟だったが、やがて能力に開眼して、高位道術師の使い手として成長した。また、操心術の遣い手でもある。
甘えん坊で親しみのあまり、沙那や孫空女に性的な悪戯を仕掛けることがよくある。特に沙那は、たびたびの朱姫の悪戯には辟易している。
原本となる『西遊記』で猪八戒として知られる登場人物は、中国の明代において改められたものであり、元代においては「朱八戒」という名だったとされています。
朱姫は、その朱八戒の方から一文字をもらいました。
【宝玉】(玉龍)
宝玄仙の中にいるもうひとりの人格。八仙時代に性奴隷として隷属させられていた宝玄仙は、自分の中にもうひとりの宝玉という別人格が生まれることで、彼らへの反抗と復讐が可能になった。
宝玄仙とは異なり、優しくて従順な性質。
『西遊記』の西方行脚における玄奘の供は、孫悟空、猪八戒、沙悟浄だけではなく、玉龍も含まれます。ただし、普段は玄奘が乗る白馬に変身しているので、登場回数は多くはありません。宝玉は、この玉龍から名を取りました。
□原作エピソード(久丘国(第七十八回・七十九回))について
拙作『嗜虐西遊記』は、中国明代の奇書である『西遊記』をモチーフとし、玄奘(三蔵法師)の西方行脚中のエピソードを全てエロ小説に改めることをコンセプトとして描きました。
例えば、『西遊記』で久丘国のエピソードの前になるのは、「獅駝嶺の三大王」の話であり、玄奘、孫悟空、沙悟浄、猪八戒の全員が捕らわれ、孫悟空だけが逃亡するも、玄奘の救出に失敗して、玄奘を魔王に喰われてしまうというストーリになります(実際には玄奘は死んではおらず、孫悟空が思い込んだだけです)。
『嗜虐西遊記』では、それを宝玄仙以下の四人が各大王に捕えられて、奴隷(家畜)にされるエピソードに変換しました。
また、『西遊記』の久丘国の続きの「地湧夫人」の話は、人間族の女に化けて玄奘に近づいた女妖魔が、宿泊した寺で小僧たちを次々に喰い殺し、さらに玄奘に懸想して自分の棲み処に誘拐してしまうというエピソードです。
『嗜虐西遊記』では、八仙時代の宝玄仙の同僚であった女道術師が宝玄仙を東帝国に連れ戻そうと考え、地湧夫人という旅の女にやつして、沙那、孫空女、朱姫と次々に操心術でとり込んでから、宝玄仙をさらおうと企む話に変換しています。
ところで、拙作『嗜虐西遊記』の多くのエピソードの中で、唯一、エピソードを作らなかったのが、『西遊記』における「久丘国」の物語です。
今回の投稿は、その「久丘国」の物語をモチーフにしています。
『西遊記』における久丘国のエピソード(第七十八・七十九回)は、以下のようなものです。
【あらすじ】
しかし、都の大通り沿いの家々の前には、五歳から七歳くらいの子供を籠の檻に入れておいてあります。
不審に思って宿屋の主人に訊ねたところ、籠の中の子供たちは、国王の命令によって差し出す生贄だと説明を受けます。
玄奘は大変に驚き、さらに事情を訊ねます。
すると、次のような話を教えられます。
二年ほど前に、この国に道士風の老人が美少女を伴なって訪れました。その美しい少女に恋に落ちた王は、少女を寵愛して、皇后にします。
また、少女を連れてきた老人については、「国丈(皇后の父の意味)」として、王宮の高い地位を与えます。
しかし、毎夜の房事で国王は次第にやつれ、やがて病に陥ります。
国丈となった老人は、国王の病を癒すためには、千百十一人の子供の肝で作った薬が必要と説明します。
老人にそそのかされた王が子供を差し出すように、国中に命令を与えたということでした。
玄奘は、孫悟空に命じて、籠に閉じ込められていた子供を救出させます。
すると、国丈は、功徳を積んだ玄奘ひとりの肝があれば、子供たちの肝を集めたものよりも、効果のある薬を作れると説明します。
国王は、玄奘を捕えるように命令します。
玄奘が狙われていると知った孫悟空は、玄奘に変身して王宮の乗り込みます
すると、老人の道術師は妖魔の本性を現して、皇后を連れて逃亡します。
逃亡の先は、
そして、まさに残る老人を倒そうとする寸前に、天界から南極老人という神が現れ、道術師の老人は、天界で飼っていた白鹿が逃亡して、下界で妖魔になったものであると説明し、その老人(白鹿)を引き取っていきます。
一方で、皇后だった少女の正体は、白狐が変身した妖怪であることがわかりましたが、彼女については八戒が殺してしまっていました。
比丘国を妖魔から救った玄奘たちは大いに感謝され。さらに西方行脚の旅を継続します。