新・嗜虐西遊記─北遊記/ビ・ク城篇【終了】 作:ドン・ドナシアン
全裸に後手手錠を嵌められ、ビク・トの軍装の上着だけを肩に引っ掛けた格好で、軍塞の廊下を歩いている。
さっきまでは、全裸でハク・エンの部下の女官たちの前で晒し者にされていたが、いまは廊下にすれ違う男の兵の視線に晒されながらの移動だ。
軍司令官のビク・トと司令官夫人のハク・エンの義理の娘のハク・コの顔を知らない者はいないと思うが、そのハク・コが辛うじて股間に届いているだけの上着だけを裸身に着けて、太腿を剥き出しにして歩くのだ。
それが男兵の目を引き寄せないわけがない。
すれ違う者たちの奇異の目で見られて、ハク・コは生きた心地がしなかった。
だが、同時に興奮もしている。
恥ずかしいこと……。
屈辱的なこと……。
それをされると、心の底から嫌でありながらも、半面でどうしようもなく興奮してしまう……。
それがハク・コという女だ。
辱められ、なぶり者にされて悦びを覚えるような女……。
そういう性癖を被虐癖といい、また、異国の言葉では“まぞ”とも呼ぶそうだ。
ハク・コは、自分がその“まぞ”であることを自覚している。
大人の男軍人のビク・トの上着はかなり大きい。
袖を通しているわけではないので、小さなハク・コの肩から落ちて、もしかしたら、彼らの前で裸身を晒すことになるかもしれない。
そう思うだけで、股間がじくじくと疼き、気分が高揚してしまう。
女官たちの前で、全裸で業務をさせられたときからそうだったが、すっかりと欲情して、股間はべっとりと濡れているようだ。
見るまでもなく、内腿と内腿のあいだに感じるぬるぬるとした触感がそれを教えてくれる。
「くくく、相変わらずだな、ハク・コ。さっきの執務室の様子も、隠している魔道具で見守っていたが、随分と興奮していたな。助けに入るのを
横を歩くビク・トがハク・コの腰をすっと抱いた。
「ひあっ」
思わずびくりと身体を震わせて、声をあげてしまった。
上着が大きいために、いままでかけられている上衣の裏地が肌に触れることはなかったのだが、腰を抱かれて肌に裏地が当たると、その裏地がハク・コの敏感な肌をくすぐったのだ。
おそらく、羽毛のようなものが裏地を覆っているのだろう。
ハク・コは腰が抜けかけて、その場にしゃがみ込みかけた。
だが、こんな格好で座り込めば、確実にお尻を周りに晒すことになるだろう。なにしろ、身体にかかっている上衣は、辛うじて腰部分を隠してくれるぎりぎりの丈しかないのだ。
「特別性だ。人の肌に反応して、内側の羽毛がくすぐる仕掛けになっている。短い距離だが、十分にお前を愉しませてくれるだろう」
ビク・トが懐から小さな魔石を取り出して、その上衣にかざした。
すると、大きかった上衣が縮まって、ハク・コの裸身にぴったりと当たる、すると、全身に一斉に羽毛で肌をくすぐる刺激が襲い掛かった。
「ひゃん、あんっ」
ハク・コの口から甘い声が漏れ出た。
ビク・トの姿を認めて、廊下の端に寄って敬礼をした通りすがりの若い兵卒がびっくりして目を見張るのがわかった。
慌てて口をつぐむ。
だが、羽毛のくすぐりは、人一倍性感が敏感なハク・コには甘美なざわめとなり、一気に快感を駆けあがらせる。
ただでさえ、汗にまみれていた身体に、どっと汗が吹きだすのがわかった。
とにかく、淫らな声だけは我慢しようと歯を喰いしばる。
「いつもの通りに淫らな身体だ……。ハク・エンからの苛めも随分と愉しんでいたな」
歩きながら抱いていた腰を引き寄せ、ビク・トがハク・コの耳元でささやいた。
ほんの小さな声なので、周りには聞こえないだろう。ただ、ぴったりと後ろをついている護衛の耳にも届かないと思う。
「は、はい……。いつものように……素敵でした。いまも……」
こっそりと利尿剤を飲ませて、厠に行くことを禁じて業務を命じるなど、いつもながら鬼畜な義母だ。
そして、さすがだ。
ハク・コの想像だけでは、そんな追い詰められ方は思い至らなかった。
いつもそうだが、あの「義母」は、ハク・コの予想を超える苛めという名の嗜虐をしてくれるのだ。
結局、最後まで厠に行くことを許さずに、失禁するまでハク・コをハク・エンは追い詰めてくれた。
やはり、ハク・エンは、勘どころというものを押さえている。
本当に素晴らしい……。
しかも、あのとき、インク壺をこぼしてしまったのは、絶対に彼女の罠だったと思う。
それを理由に、業務をしている執務室の衆人環境の中で全裸になることを命令されたときには、信じられないくらいに興奮した。
しかも、自分で身に着けているものを切り刻めるという底意地の悪さである。
あまりに興奮して、ハク・コを責めるあのときの言葉だけで達するかと思ったくらいだ。
ハク・エンによるハク・コへの苛めが、ハク・エンの嫉妬心から起こっていることは知っているが、ビク・トには絶対に問題を解決しないようにお願いをしている。
あんなに興奮させてくれる相手は、なかなか見つからないものなのだ。
ハク・エンは、これまでにハク・コの性癖の世話をしてくれた者の中では、一、二を争う素晴らしい「ご主人様」だと思う。
それにしても、我慢に我慢を重ねて、それでも我慢をして、ぎりぎりまで頑張って、やっと厠に行けるのかと思ったところを、覆されるなど、本当にハク・エンは、ハク・コのような被虐癖の女の扱いをわかっている。
あの絶望感の中で失禁してしまったときには、本当に恍惚となってしまった。
本当にハク・エンは素敵だ。
ビク・トもいいが、ハク・エンの苛めは興奮度が違う。
「くく……。また、さっきの遊びを反芻しているのか……。そんなによかったか?」
ビク・トが面白そうに喉の奥で笑うような声を出した。
どうやら、ハク・コが考えていることを読んだようだ。
ハク・コは、歩き進みながら、うっとりとビク・トの顔を見上げた。
「お母様は素晴らしいですわ……。いまも、おしっこが漏れそうで苦しいです……。利尿剤を飲ませてうえに、厠に行かせないなんて、追い詰め方がすごいのです……」
ハク・コもまた聞こえるか聞こえないかの小さな声で囁く。
すると、またビク・トが喉の奥で笑う。
「わかっていて、利尿剤を飲んだんではないのか?」
「まさか……。そんなことはしません。わざと辱められたいのではないのです。抵抗する手段を封じられて、心の底から逆らいたいと思っていることを無理矢理にやらされて辱められることに、わたしは興奮するのです。あんなわたしを満足させてくれるのは、お母様だけですわ……。あっ、もちろん、旦那様もすごいですよ」
「明らかに、わしについては付け足しだな。嫉妬してしまうぞ」
ビク・トは愉しそうに笑った。
やがて、業務をする棟から、私的生活の一角に着いた。
その中でも、ビク・トの「後宮」と呼ばれている一角の手前に辿りつく。頑丈な扉に阻まれた廊下の突き当りに見える場所のさらに奥側にあり、司令官としての私室の場所は、別の場所にあるのだが、ビク・トは、そっちではなく、こちら側でしか過ごさない。
向こうの居住場所は、ハク・エンとの夫婦の寝室もあるが、ハク・コが知る限り、ビク・トはそこでは寝たことないはずだ。
ここは、ビク・トが性欲の発散をする場所であり、だから、ここが「後宮」と呼ばれている。
もっとも、通称であり、本当にここに、ビク・トの愛人が集められているだけでない。
ビク・トが女を抱くときには、ここに呼び出して抱くということだ。
そのひとりがハク・コであり、美娘ということになっているハク・コの本来の部屋は、義母のハク・エンの近くなのだが、数日置きに呼び出されて調教を受けている。
ずっと後宮区域にいるのは、最近になって、一級奴隷だったひとりの女道士を気に入って、一つの部屋に監禁しているホウという女くらいだ。
随分と気が強い女らしく、それを無力化して、いたぶるのが愉しいそうだ。
心の折れない女を徹底的に凌辱することに欲情するというのが、ビク・トの性癖だ。
ビク・トに頼まれて、四肢を消滅させる魔道具を貸しているが、絶望して諦めるどころか、いまだに屈せずに幾度も脱走を図っているという。
どんな女性なのだろう。
ちょっと興味がある。
奪っている道術の力はともかく、四肢についてはハク・コが隠している鍵となる水晶球を四肢に対応している四個の玉に合わせれば戻るのだが、もしも、それを返して自由にし、彼女を囚えていたのが、ハク・コの能力だとばらせば、どうなるのだろう。
それだけ気が強くて、気性が荒いのであれば、ハク・コに逆襲をするのではないだろうか。
もしかして、殺そうとしたりして……。
考えると、また興奮していきた……。
もっとも、帝都に照会中の一級奴隷を逃がして、万が一、帝都から移送指示がきて、そのときにホウがいなければ、ハク・コどころか、ビク・トやハク・エンまで罪を問われるから、そんなことをはしない。
そもそも、あのホウについては、ビク・トが随分と気に入ったようであり、あの部屋に死ぬまで監禁することになるだろう。
ハク・コとしても、どうしても、あのホウを生きて、あそこに監禁しておかなければならない絶対の理由がある。
しかし、最終的に逃亡させないのであれば、ハク・コがホウにいる部屋に入って、ホウの鬱憤を受ける相手になってもいいかもしれない。
鍵となる玉を部屋に持っていかなければ、四肢の玉に合わさることはないから、どのみち、ホウは逃亡不可能だ。
ホウの不適合判定が正式にやってくれば、ビク・トにお願いしてみるか……。
ともかく、その一級奴隷というのは、この軍塞において、帝都に送るための淫丹石や霊丹石を生産するための二級、三級奴隷に対して、女帝の新しい身体を見つけるために検体候補の奴隷のことだ。
回復術では治療できない死の病に侵されている女帝陛下は、命をつなぐために、毎日大量の魔石、あるいは、魔石に準じる淫丹石や霊丹石を必要としているらしいが、それは延命処置でしかなく、本当に女帝陛下が病から脱するには、女帝の魂を移設する新しい身体が必要ならしい。
ただ、現帝ほどの魔力を移設する器を要する新しい人間の身体など、簡単には見つからないらしく、女帝の部下があちこちに散って探しているが、いまだに合致しる身体は見つからないようだ。
それで、この軍塞のように近傍から奴隷狩りをして、淫丹石や霊丹石を生産して貢ぐことを求められている施設については、その傍ら、魔道力の高い女を見つけたら、その魂の一部を検体として帝都に送らなければならないことになっているということだ。
それが一級奴隷である。
いや、むしろ、淫丹石や霊丹石の納付よりも、その女帝の新しい身体候補となる肉体を探すことが命令の第一義になっているので、この軍塞が占領地の里に求めるのも、三十歳以下の若い女が中心ということなのだ。
いずれにしても、女帝の魂を受け入れられる肉体として合致するのは、かなり諸条件が合致しなければならないようであり、こっちから検体という名の魂の一部を送っても、しばらくすると不合格の通知が送られてくる。
すると、一級奴隷として確保していた奴隷は、二級奴隷、三級奴隷として丹石生産の部屋に移動されるのだ。
ただし、二級・三級は使い捨てなので、ホウがそこに移ることはない。
「着いたぞ」
後宮区域に入る壁の前に来た。
ビク・トが壁に手をかざす。
すると、壁に「扉」が浮かんだ。
扉といっても、薄っすらと色が変わっただけだが……。
「用事があれば、いつものように伝言球を飛ばせ。一刻ほどで戻る」
護衛たちは、ここから先には入らない。
必要であれば、壁の仕掛けを通り抜けて入ることができる護符は持たされているが、それは非常時のみであり、後宮に入れるのは、ビク・トとハク・コが処置した女だけだ。
いや、女というか、老婆と呼ぶべきか……。霊丹石に生命力を充填させるために命を搾り取った若い女の成れの果てだ。隷属の首輪を嵌めたうえに、喋ることができないように舌も切断している。
長くは生きられないので、入れ替わりも激しいが、死ぬまでのあいだは、ここで召使い代わりに使用しているのである。
その他は、時折、ビク・トがほかの女を望むときに、一時的に入れるようにするくらいである。
夫人のハク・エンでさえ、まだ、ここに入れる処置はしていない。
壁で阻まれる。
変色した壁を通過して、後宮地区に入る。
両側に十個ほどの部屋があるが、住人がいるのは、最奥のホウの監禁室だけだ。
ビク・トは一番手前の「調教室」にハク・コを入れた。
すぐに、上衣を剝がされる。
部屋の真ん中に、四本脚の細長い台形上の台があり、ハク・コは上半身をその台の上にうつ伏せに倒させられた。
台の長さは調整してあり、ハク・コの首から腰までは密着する長さだ。顔の部分は、台の前に出ている。
そして、胴体を革帯で固定される。
また、両脚は足を開いて拘束される。
両手については、一度拘束を解かれて、その台の反対側の脚に縛られ直した。
「前戯はなしだ。尻は綺麗にしておるな?」
ビク・トの平手がハク・コの尻に炸裂した。
「ひゃん──。は、はい、洗っております。いつものように自分で浣腸をして、汚れ水が出なくなるまで、排便を繰り返しました」
ハク・コは痛みに歯を喰いしばりながら、返事をする。
「そうか」
ビク・トがもう一度尻を叩く。
「ひんっ」
ハク・コは身体をびくんと跳ねさせた。
そして、後ろでビク・トが
さらに、ビク・トがハク・コの尻たぶを両手で掴む。
ビク・トの怒張の先端がハク・コの菊蕾に触れたかと思うと、すぐに肛門に肉棒がめり込んできた。
潤滑油を塗ったのだろう。
抵抗もなく、奥まで一気にお尻を貫かれる。
「ひんっ、ああっ、き、気持ちいいです──。あああっ」
お尻を犯される倒錯感と快感が一気に襲い掛かり、ハク・コはよがり声をあげた。
「ところで、ハク・コ、困ったことになるかもしれない」
すると、ハク・コのお尻をゆっくりと律動しながら、ビク・トが語り掛けてきた。
「あっ、ああ……あっ、こ、困ったこととは……?」
ハク・コは応じる。
でも、お尻が気持ちいい……。
全身に開館が広がる。
腸内の敏感な粘膜をこすられて、倒錯の被虐感がかきたてられ、なにも考えられなくなる。
「ハク・エンの侍女に、わしたちが帝都に納入すべき丹石をごまかしていることがばれるかもしれない。お前の秘密もな」
「えっ?」
ハク・コは驚いてしまった。