新・嗜虐西遊記─北遊記/ビ・ク城篇【終了】 作:ドン・ドナシアン
「か、痒いです、痒いわあ──」
寝台に転がしているコク・ジョは、顔を左右に揺すりながら、見栄も外聞もかなぐり捨てたかのような悲鳴をあげ続ける。
自白を強要する薬液を服用させて、訊きたいことをあらかた聞き終わった後は、ビク・トの要望もあり、毒消しの魔道をかけて正気に戻し、このコク・ジョでしばらく愉しむことになった。
コク・ジョは、ハク・エンの子飼いの侍女であり、男勝りで気丈な性質で有名だったが、ビク・トはこういう強い女を徹底的になぶり抜くのが実は大好きだ。
女皇帝の妹ハク・エンの大事な部下とういうことで、これまでは手は出さなかったものの、ずっとビク・トが性奴隷として狙っていたことには、ハク・コも気がついていた。
だが、まさか、ハク・エンの大事な部下を犯すわけにもいかず、好色者のビク・トでも手は出さなかったのだ。
ハク・エンの夫であり、北帝国の有力将軍のひとりであり、さらに東帝国との戦争で軍功を得た南征将軍であるとはいえ、ビク・ト自身は、自分が所詮は一介の軍人でしかないと考えているようだ。だから、皇族のひとりである妻のハク・エンに遠慮している傾向がある。
嗜虐好きのビク・トなのだが、妻のハク・エンにだけは、ほかの愛人のように性奴隷化の調教をしないのである。
おそらく、おかしなことをすると、姉である女皇帝になにをされるか見当もつかないからだろうというのもあるが、身分の高すぎる妻に気後れしているというのが第一の理由だろう。
もっとも、ハク・コにいわせれば、だから、一年以上も夫婦として性行為を行わずに、ハク・コを含めたほかの女を愛人ばかりに手を出している現状は、むしろ最悪ではないかと思うのだが、ビク・トとしては、それなりにハク・エンを大事にしているつもりではあるのだろう。
まあ、どうでもいいが……。
しかし、事がここに至っては、ビク・トも腹が決まったようだ。
コク・ジョへの訊問の結果、このビ・ク軍塞から帝都に送る淫丹石と霊胆石の数量を誤魔化して、私的に使っていたことがばれてしまった。
しかも、ハク・エンには、それを報告し終わっていて、コク・ジョに真偽の確認と証拠固めを指示した真っ最中だという。
このままなにもせず、帝都に告発されてしまえば、ビク・トとハク・コは終わりだ。
夫人であるハク・エンも罪には問われると思うが、告発者であるということと、皇帝の実の妹という立場が彼女を守ってくれる。
それに比べれば、ビク・トとハク・コは間違いなく処刑される。
病に侵されている女皇帝の治療に必要な丹石を不当に流用するというのは、それほどに重い罪なのである。
いずれにしても、コク・ジョから、帝都への納付品の流用を知られてしまった以上、この軍塞内のハク・エン派を一気に一層することに決まった。
このコク・ジョなぶりは、その景気づけのようなものだ。
「まあ、そうなの? そんなに痒いの?」
ハク・コは、手に持っている刷毛で寝台の上で転がるコク・ジョの陰毛をくすぐってやる。
いまのコク・ジョには四肢が付け根から消滅している。
ハク・コの魔道で一時的に消しているのだ。
コク・ジョは侍女ではあるが、武人でもあり、鍛えられた逞しいからだをしている、それが手足を付け根から失って胴体と頭だけになっているのだから、哀れな姿だろう。
この後宮内の結界内だからこそできることであるものの、元に戻すには、四肢を消したときに発生する五個の水晶玉を同じ場所に集めるしかない。しかし、それができないように、四肢を出したり消したりする鍵となる四個には含まない五個目だけは、ハク・コが大切に亜空間に収納しているのだ。
五個の玉はもともと、放っておけば勝手に一緒になろうとする性質があり、四肢消滅の魔道を掛けたままで保持するのは難しいところがあるのだが、亜空間に隠している限り、絶対に勝手に一緒にはならない。
だから、五個目を亜空間に隠して置きさえすれば、なにがあっても完全に自由を奪えるということだ。
魔道でさえも、使うことができなくなる。
つまりは、それを亜空間の外に出さない限り、魔道で繋いでいるこの部屋から四肢を存在させたまま、コク・ジョが外に出ることはできないのだ。
そして、いまのコク・ジョは、その手足を消滅させている。
頭と胴体しかないコク・ジョの股間に、ハク・コとビク・トはたっぷりと掻痒剤を塗りたくってやったのだ。
だから、コク・ジョは七転八倒しているというわけである。
「痒ければ、もっと腰を振らんか」
ビク・トが反対側から、ハク・コと同じように刷毛でコク・ジョの股間をくすぐる。
女とはいえ、武芸百般に秀でる最強の女戦士と称されてるコク・ジョであるものの、さすがに手足がなくては抵抗することもできずに、ハク・コたちのされるがままだ。
いまも、激しく暴れているが、ハク・コが片手で押えるだけで、寝返りさえもできない。
「こ、殺して──。もう殺して──。ああ、もういっそ──」
コク・ジョは狂乱状態だ。
薬物で朦朧としている女をいたぶっても面白くないというビク・トの言葉により、薬物で正気に戻したが、すでに情報を口に出し、ハク・エンに不利なことを喋ってしまったことは認識していて、さっきから、もう殺してと二言目には泣くばかりだ。
「いっそ殺して欲しいの? それとも、もっとお願いしたことがあるんじゃないの?」
ハク・コは一度刷毛を横に置くと、今度は張形を取り出す。ただし、かなりの細いもので、太さは男の親指くらいでしかない。
それをコク・ジョに見えるように、目の前で掻痒液を塗っていく。
その淫具をゆっくりと埋めていく。
「ほら、欲しいものですよ。少しは気分が収まりましたか?」
ハク・コは笑いながら声を掛けた。
しかし、全身を揺さぶるほどの痒み地獄に襲われているコク・ジョがこんなに細い淫具で我慢できるわけがない。
「ああ、じ、じれったいわ──。も、もっと太いのを──」
コク・ジョが狂乱して叫ぶ。
「太いものとはなんだ? もっとはっきり言わんか」
すると、ビク・トが指をコク・ジョの肛門に埋めていった。
そこにも、たっぷりと掻痒液を塗りこめているが、痒み責めを開始してから、まだ一度も刺激を与えていなかった場所だ。
「ほおおおっ、いいいいい──」
コク・ジョが奇声をあげて、四肢のない胴体を震わせる。
だが、すぐにビク・トは指を引き抜いていく。
それに合わせて、ハク・コも張形を徐々に抜いていく。
「ああ、抜かないで──。これ以上は我慢できません」
コク・ジョは必死に張形と指を追うように腰を浮かせたが、愛液の糸を伸ばしながら指と淫具が離れる。
その体液の糸もぱちんと切れる。
「ひどいです──。いやあっ」
コク・ジョは泣き叫んだ。
「死にたいと言ったり、もっとと
ビク・トは大喜びだ。
本当に、ビク・トはコク・ジョのような気丈な女を苛めるのが好きなのだ。そういう意味では、ハク・エンなどビク・トにはお似合いなのに、なぜか、遠慮してずっと手を出さなかった。
一方で、ハク・エンは自分には手を出さないビク・トが、ほかの女に手を出すのを目の当たりにして、嫉妬で狂ったりしている。それは、ハク・コから見て明白だ。
ハク・コに言わせれば、ビク・トが遠慮をなくせば。この夫婦はうまくいく気がするのだがと思ったりしている。
「ああ、か、痒いいい──」
胴体と頭だけの姿のコク・ジョが筋肉質の身体を揺さぶって泣き叫ぶ。
コク・ジョも何度もそれで責めてもらっているが、腰骨にまで貫くような凄まじい痒みなのだ。
これだけの強い女が悶え啼くくらいの……。
「痒いか、コク・ジョ?」
ビク・トはすっかりと相好を崩している。
やはり、ビク・トはこういう責めが好きなのだ。
コク・ジョほどの女傑ともなれば、その哀れに泣く姿に接するのは格別なのだろう。
横にいるハク・コも苦笑してしまう。
「か、痒いです──。ビク・ト様、もうお許しを……。助けてください──」
「ほう、こんな仕打ちをしているのは、わしだというのに。そのわしに助けを求めるのか。これは愉快だ」
ビク・トが哄笑した。
ハク・コは、さっき抜いた細目の張形をまた取り出す。
もちろん、改めて掻痒液をどっぷりと足す。
それをコク・ジョの股間に再び埋めていく。
「あ、ああああ……」
コク・ジョが切なそうな声をあげた。
「ふふふ……、お父様は、もう一度、お尻に指を挿入していてください……。じゃあ、コク・ジョ様、しばらく、このままにしてあげますね。痒みをご自分で解決してください、大きく腰を揺すって……。手足のない生活をこれから送らなければならないから練習です」
「ああ、そんな……」
「あら、じゃあいいですよ。しばらく、放っておくことにしましょうか……」
ハク・コは、挿入した細目の張形を抜く仕草をする。
「ああっ、だめええ、やります──。やりますから──」
コク・ジョが慌てたように、腰を振り始めた。
「そうそう……、じゃあ、頑張ってくださいね。折角の痒み止めですし」
「あああっ、ああっ」
躊躇ったような腰の動きが激しいものに変化したのはすぐだった。
なにしろ、お尻の穴の指はともかく、局部に挿入している張形は細すぎて、かなり激しく腰を動かさないと、痒みなど癒えはしない。
コク・ジョは浅ましくも嬌声あげながら、必死に手足を奪われた身体を揺らし続ける。
「もっとしっかりですよ」
「尻穴も締めつけんか」
ふたりで揶揄するが、その言葉も聞こえないくらいにコク・ジョは夢中になって腰を揺すり続けた。
しばらく狂態が続く。
やがて、コク・ジョの肌が湯気がでるばかりに、脂汗でぎらぎらしてきた。
腰の揺さぶりだけでなく、身体全体の震えも大きくなる。
「うっ、ううっ、うああ──、ああっ、あああ……」
さらに、ひと際大きな腰の躍動を示したかと思うと、眉を寄せて、ぐっと顔を仰向かせた。
コク・ジョが限界に近付いたことは明白だ。
ハク・コは、向かい合っているビク・トと頷き合う。
そして、すっと張形と指をそれぞれの穴から抜いてしまった。
「ああっ、そんなあ──」
四肢のないコク・ジョには、刺激の手段を奪われてしまえば、もう自分ではなにもできない。
狂ったように、首を左右に振って狂態を示した。
「続きは、お母様と一緒にしましょうね。主従揃って、お父様に性奴隷にしてもらいましょう……。さあ、お父様、そろそろ、行きましょうか。お母様を捕まえに行きますか。わたしを苛めてもらえる大切なお方がいなくなるのは残念ですが仕方ありません」
ハク・コは言った。
“お父様”、“お母様”などと言っているが、ハク・コはふたりが両親などとは思ってない。
そもそも、ビク・トとは十年以上の付き合いだ。愛人として連れ込むことをはばかったビク・トが、偽の縁者の経歴を作って、十五歳の少女として連れ込んだだけだ。
ハク・コとしては、ビク・トとは嗜虐の性交をする腐れ縁の仲間という関係であり、親子などではないし、恋人同士とも考えてない。
ビク・トは、ハク・コの被虐癖を満足させてくれる大切な相手であり、そういう意味では、ハク・エンもハク・コにとっては大事な嗜虐相手だ。
あれだけ、ハク・コを追い詰めて、恥辱に見舞わせてくれる者はそんなにはいない。
「ならば、ふたりでハク・エンとコク・ジョを徹底的に調教して性奴隷に落としてから、お前を最下層の奴隷にしてやろう。凄まじい仕返しがあると思うぞ」
すると、ビク・トが笑った。
つまりは、責める立場のハク・コが立場を逆転されて、またふたりから嗜虐されるということか?
想像するだけで、その状況に酔いそうになった。
なんて素晴らしいのだろう。
「お父様、素晴らしいです」
「やはり、お前は面白い」
ビク・トが大笑いした。
「ハ、ハク・エン様になにをしようというのです。そんなことは許されません──。ビク・ト様、お考え直しを──。ハク・エン様は皇女様ですよ。いくら、夫であるあなた様といえども……」
「お前は、なにも考えなくてもいいのですよ、コク・ジョ様。お母様をここで待つあいだ、股間に“ずいきの縄”というものを巻いてあげますね。生暖かいところに締めておくと、むず痒い樹液が染み出てくるという折檻用の責め具です。それを痒み液と一緒に股間に埋め込んであげますね」
ハク・コは、漆黒の縄を取り出すと、縄瘤を三つ作って、コク・ジョの陰核、局部、そして、肛門に縄瘤が喰い込むように、股縄を施してやった。
最初は諦めたように静かにしていたコク・ジョだが、すぐに大きく眼を開いて、再び左右に腰を揺さぶり始めた。
「ああ、もう殺してよおお──。こんな生き恥を晒させるなんて、あんまりよお──」
コク・ジョが号泣した。
「死ぬ方法なんてありませんよ。即死したとしても、すぐに回復できますしね。それに、恥と口にされますけど、こんなものはまだ入り口です。本当の被虐の快感は、まだまだ奥深いものです」
ハク・コは、声を掛けた。
そのときだった。
後宮の入口のところで警備をさせている護衛から、緊急の連絡が入ったのだ。
魔道による通信だ。
大きなしゃぼん玉のようなものがビク・トの顔の前に出現して、それが弾けて消える。
魔道通信なので、受領側に指定されているビク・ト以外には、「声」は聞こえない。
しかし、ビク・トには通信が、声として頭の中に響いているはずだ。
ビク・トは難しい顔になっている。
そして、ビク・トが顔をあげて、ハク・コを見た。
「ハク・コ、緊急事態だ。軍塞内で暴動が起こった──。一級奴隷ひとり、二級奴隷ひとり、さらに魔道遣いの女の三人がハク・エンを人質にして籠城している。お前を連れて来いと喚いているらしい」
ビク・トが言った。