新・嗜虐西遊記─北遊記/ビ・ク城篇【終了】 作:ドン・ドナシアン
ああっ、おおお、あがああっ──。
もう、何十回目の絶頂なのか見当もつかない。
全身の性感という性感が燃えあがって、沙那の身体を峻烈な絶頂感が襲い掛かっている。
しかし、激しく身悶えするはずの身体もなければ、叫んでも自分の声は聞こえない。そもそも、視覚もなければ、聴覚もない。
あらゆる感覚が消滅している。
一切が無だ──。
唯一の感覚は股間の陰核だけだ。
そこには外気を感じる。
触感もある。
触れられている指の感覚──。
くすぐられる筆のようなものの感覚──。
痛みもあれば、薬品を塗られたらしく、発狂しそうな掻痒感もある。
ほかの五感が消滅しているのに、陰核だけの触感が残り、そこを延々と誰かに刺激をされ続けているのである。
全身の感覚という感覚がその一点だけに集中していた。
そこをなぶられている──。
まさに性の地獄だ。
おそらく、貢物奴隷として、この軍塞への潜入を果たしたときに、沙那たちを出迎えたハク・エン夫人が沙那たちを閉じ込めた不思議な籠壺なのだと思う。
ああいう霊具は、これまでにも接したことあるが、その不思議な壺を向けられたときに、沙那は身体をその籠壺の中に吸い取られたような感覚に襲われた。
そして、陰核の一点のみを残して、全ての感覚が消え去った。
どういう状況なのかは想像するしかないが、多分、股間の陰核だけが、籠壺の小さな口に部分から出た状態で身体を封印されたに違いない。
あのとき、先に消滅した孫空女たち四人が次々に消えるのを見ていたから、多分間違いないだろう。
そして、ハク・エンは、その壺の口から外に出ている部分をずっと刺激させているのだと思う。
繰り返す絶頂は、逆に苦しみの極致だ。
だが、なんという陰湿な仕打ちを……。
屈辱感と怒りが沙那を包む。
しかし、なんの抵抗もできない。
抗議の言葉さえも、口にできない。
とにかく、それからずっとこの拷問が続いている。
ひたすらに、陰核をいたぶられ続ける性の拷問である。
そうかと思えば、強烈な痒み液を塗ったまま放置もされた。
それもまた地獄の苦しみだ。
無の世界の中で、限界を越える痒みをそのままにされるというあまりもの苛酷ないたぶりに狂いそうになると、突然に淫具らしきものの愛撫が始まったり、いやらしくくすぐったりする。
そして、放置……。
そうかと思えば、意識を保つのも難しいくらいの連続絶頂責め──。
さすがの沙那も、すでに息も絶え絶えだ。
だが、その息をする身体もない。
なんのためにそんなことをさせているのかわからないが、貢物奴隷として軍塞に連れてこられた女たちが、こんな目に遭わされるとは予想もしていなかった。
孫空女は、大丈夫だろうか……?
仲間だと知られると、お互いを人質にされる可能性もあるし、この軍塞のどこかに監禁されているらしい宝玄仙との関係を悟られる懸念もあったから、殊更、仲が悪い素振りまでしてみせたりしたが、もっと慎重に手を打つべきだったか……。
これでは、宝玄仙を助けるどころの話ではない。
頼みの綱は、変身術が使えたので、城で働く老婆に入れ替わって潜入することにさせた朱姫か……。
うまく宝玄仙と接触できただろうか?
そもそも、宝玄仙はどういう状況なのか……?
毎回毎回、用心なしの気儘で大騒ぎを起こすが、生きているのか、死んでいるのか……。
まあ、もし殺されれば、隷属をされている沙那たちにもわかるだろうから、死んではいないのだろうが、あの宝玄仙の能力をもってして脱出できないのだがら、相当の目に遭っていると考えて間違いないだろう。
だけど、なんで、あの人は次から次へと失敗しても失敗しても、それに懲りないのだろう。
それにしても……。
行方不明になった宝玄仙を三人で散々に探し回って、どうやら、ビク・トという将軍の支配する軍塞の中にいるらしいとわかり、意を決して潜入したのだが、果たして失敗だったのだろうか……。
朱姫の潜入は成功しているのは直前に確認したので、最悪の状況になっても、なんとかなるとは思うのだが……。
ああっ、また……。
よくわからないが、またもや肉芽を繰り返し、筆でいじくられて、淫らな衝撃が突きあがった。
沙那は声にならない声を放って、存在しない全身を硬直させつつ、またしても絶頂をしてしまった。
すると、急に意識を保てなくなり、沙那は引き込まれる深淵の闇の底に身を委ねた。
「次は五番だ。出てきな──」
大きな声が掛けられた。
沙那は眼を覚ました。
だが、身体に違和感があった。
すぐに、四肢のすべてが折り曲げられて、それぞれに革帯のようなもので固く締めつけられていることに気がついた。
つまりは、腕は肘で折り曲げられ、脚は膝で曲げて、まったく伸ばすことができないようになっているのだ。
だが、存在しなかった身体はちゃんとある。眼も見えれば、耳も聞こえる。
四肢に革帯を巻かれている以外は、完全な全裸だったが、意識を失うまでの封印状態ではないようだ。
また、意識が戻らないまま、殺処分にされるということもなかったみたいだ。
あのまま狂うまで放置でもない。
それについてはほっとした。
だが、どういう状況だろう?
沙那は周囲を確認しようとした。
鉄格子──?
まず、認識したのは、目の前の鉄格子だ。
そして、獣でも閉じ込めておくような高さのない檻の中にいる自分に気がついた。
檻の外は見知らぬ部屋だ──。
最初に連れてこられた部屋でもない。
また、周りに複数の人の気配も感じる。
どんな者たちがいるのかを確認しようとして顔をさらにあげる。
だが、お尻になにかを押しつけられたことに気がついた。
「ひがあああっ」
お尻に燃えさかる松明でも当てられたのかと思うような途轍もない衝撃が走って、沙那は絶叫した。
強い電撃をお尻から流されたのだと気がついたのは、ひっくり返ったことで後ろに視線を送ることができたからだ。
鉄格子の隙間から、細い金属の棒を向けられていた。
おそらく、電撃棒か?
沙那の剥き出しの尻たぶにそれを当てたのは、年配の女官だ。
その女官に記憶がある。
確か、最初に連行されたとき、檻車を輸送してきた護送長から報告を受けていた女だと思う。
「ぐずぐずするんじゃないよ、雌犬──。調教の時間だよ、さっさと這い出ておいで」
その女官が沙那が入れられている檻を蹴り、ぐらぐらと檻が揺れる。
とにかく、顔をあげて周囲を見回し、出られる場所を探そうとした。
すると、その女官のいる方向だけ、頭の高さほどの隙間が下側に作られていることを発見した。
そこを這い出ていけば、檻の外に行けるだろう。
そして、はっとした。
さっき怒鳴った女官以外にも、若い女官が数名、檻の周りに立っていた。全員が電撃棒と思われるものを手にしていたのだ。
また、檻の外には、その女官のほかに、少し離れた場所に身なりのいい貴族女がいて、机を挟んでこっちを見ていることにも気がついた。
その横に十四、十五歳くらいではないかと思う少女もいる。
ただ、少女が身に着けているものは粗末であり、下袍丈は短くて膝から下は剥き出しの素足だ。そして、肩の出た袖のない上衣を着ている。
さらに、壁際には武装した男の兵が十人以上並んでいた。
状況が理解できずに、沙那はちょっとばかり呆然としてしまった。
「今度は随分と薄のろだねえ。きょろきょろするばかりで動きやしない。その犬の尻に電撃棒を突っ込んで、電撃を流してやりなさい、コク・ジョ。そうすれば、命令に従う気になるでしょう」
酷薄な口調で言ったのは、離れた位置にある机の前にいる貴族女だ。
沙那は、檻車をおろされたときの記憶から、彼女がハク・エンというこの軍塞の女主人であるということを悟った。
沙那たちの肉体をあのおかしな籠壺に封印した女だ──。
だが、沙那の後ろ側から、いきなり棒の先端が当たった。
お尻の穴にだ──。
「うわっ──。出る──。出ます──。電撃を流さないで──」
慌てて、目の前の隙間に這い進む。
だが、手足を折り曲げられているので、進むにしても四つん這いで這うことしかできない。
仕方なく、肘と膝を床につけて、頭をぎりぎりまで低くして、鉄格子の下の隙間に頭を潜らせる。
「あっ、なに?」
だが、恥辱感に耐えて檻から頭を出した瞬間、上から強い圧力をかけられて、床に頭を突っ伏すことを余儀なくされた。
今度もなにが起きたのかわからなかったが、沙那が這い進んで頭を隙間から出した瞬間に、首部分に輪っかのようなものを床に嵌められたのだ。
沙那は首から先を檻の外に出し、身体側を檻の中に残して、身動きできなくなってしまった。
「まずは、お前たちには犬奴隷の心得えというものを教えてやる。二級奴隷になることに決まった淫乱馬鹿のお前だけど、とりあえず、逆らえばどんな仕打ちを受けるか徹底的に教えてやろう。肌で覚えるんだよ」
すると、動けない沙那の後ろ側から、さっきの電撃棒が突きつけられた。
「うわっ、ひあっ」
しかも、お尻の穴にだ。振り返ることはできないのだが、多分間違いない──。
沙那は、一気に全身が総毛立つのがわかった。
「いやああっ、やめてええ──」
懸命にお尻を振って棒の先端を避けようとした。
だが、次の瞬間、灼けるような衝撃がお尻の穴から全身を貫く。
「おごおおお──」
あまりもの激痛に息がとまった。
そして、脱力して檻の中に残っている身体を横に崩してしまう。
「勝手に身体を崩すんじゃないよ──。犬がハク・エン様の前に出たら、顔を床に付けて尻をあげるんだ。それが服従の姿勢だ。立て──」
前に立っている女官──コク・ジョと呼ばれた女が沙那に向かって怒鳴る。
また、鉄格子を通して差し込まれる電撃棒を後ろから突きつけられる。
今度は二本──。
お尻の穴に加えて、局部にもだ。
「はぎゃああああ──」
身体を起こそうとした瞬間に、その二本から電撃が流れる。
耐えられるものではない。
気がつくと沙那は、股間からじょろじょろと失禁をしてしまっていた。
「まったく躾のなってない犬だねえ……。ハク・コ、許しもなく、小便をした雌犬に懲罰を与えておいで」
ハク・エンだ。
沙那に対してではなく、横に立っている少女に告げた言葉だ。
辛うじて、ふたりの姿が見えるが、ハク・エンに沙那への折檻を命令されたハク・コは明らかに動揺している。
「は、はい、お母様……。で、でも、可哀想です……」
すると、ハク・コという少女が消え入るような小声でそう口にするのが聞こえた。
「なんだって、この間抜け──」
唖然とすることに、ハク・エンが立ちあがって、いきなりハク・コを平手打ちにしたのだ。
そのあまりもの勢いに、ハク・コが横倒しになって、こっちに転がってきた。
目の前まで吹っ飛ばされたので、沙那の視界にハク・コの身体がうつったが、遠目ではわからなかったが、ハク・コの手足には、無数の鞭痕のようなものがあった。
沙那は驚いてしまった。
ここに潜入する前に、ある程度のことは調べたので知っていたが、ハク・コというのは、ハク・エンの娘だ。
もっとも、実の娘ではなく、妹の娘らしく、夫のビク・ト将軍と正妻のハク・エンのあいだに子がいないので、養女として迎えたと聞いた。
だが、その養女にあんな仕打ちを……?
また、みっともなく倒れたハク・コに対して、女官たちだけでなく、壁際にいる兵たちまでくすくすと嘲笑のような声をあげた。
このことで、沙那は、このハク・コという少女が、この軍塞の中で随分と蔑まれる扱いを受けていることを悟った。
だけど、どういうことなのだろう……?
「檻を外しなさい。本格的な調教を始めて頂戴。その雌犬に、本物の服従心を植えつけて、命令に従わないどころか、勝手に放尿したり、脱糞したり、いうなれば、許可なく息を吸う権利さえないということを徹底的に教え込みなさい」
ハク・エンが座り直しながら告げた。
「かしこまりました」
コク・ジョが返事をした。
すると、女官たちが集まってきて、沙那が入っていた檻を解体して、沙那の周りからどかしてしまう。
あっという間だった。
ただ、首に嵌められた小さな嵌め具だけはそのままなので、沙那は四つん這いのまま頭をあげることはできない。
すると、脚側で太腿にあいだに短い金属の棒を挟んだ革枷を嵌められてしまった。
沙那は四つん這いの脚を閉じることができなくなった。
だが、あまりの仕打ちだ。
沙那は、我に返ってかっとなった。
「な、なによ──。い、一体全体、どういうことなのよ──。どうして、こんなことをするのか、一度くらい説明しなさいよ──」
沙那は目の前のコク・ジョに向かって、思わず悪態をついた。
「名前を言いなさい、五番」
だが、コク・ジョは沙那の頭をいきなり、強い力で踏んできた。
その力が強いので、沙那は鼻が潰されてしまいそうになる。
「うぐっ、や、やめ……」
「名前を言って、お仕置き調教を願いなさい。雌犬の服従心を身体で怯えさせてくれと言うのよ」
「な、なんで……そんなことを……」
沙那は床に顔を押しつけられたまま呻いた。
「なら、心からそれが言いたくなるまで、電撃棒を続けるわ。お前たち、連続でこの雌犬の尻の穴と、雌の穴に電撃を浴びさせなさい。左右から乳房にもよ。始め──」
コク・ジョが言った。
すると、後ろに二本、左右から二本の電撃棒が沙那の身体に押し付けられた。