新・嗜虐西遊記─北遊記/ビ・ク城篇【終了】 作:ドン・ドナシアン
「あひいいっ、いやああっ」
顎を宙に突きあげ、四つん這いの身体を弓のようにたわめて、沙那は絶頂した。
もう、何度目の連続絶頂かのかもわからない。
さすがに、その場に身体を崩れ落としてしまった。
「また、姿勢を崩したね……」
コク・ジュが呆れたように、電撃棒を持って、後ろで待ち構えている女官に合図する。
沙那ははっとした。
「ま、待って……。立つ。立ちますから……」
慌てて身体を引き起こす。
身体を崩せば、電撃鞭の懲罰だと言い渡されているのだ。
しかし、肘と膝でそれぞれに折り曲げて革帯を巻かれている四肢には、まったく力が入らないし、数回の失禁のうえに、おびただしいほどの汗が垂れている床はぬるぬるだ。
うまく踏ん張れない。
「おごおおおっ」
狙ったように陰核に直接に電撃を打ち込まれた。
悶絶した沙那は、遠くなる意識に身を委ねて、そのまま気を失った。
だが、続けざまに電撃を股間に流されて、すぐに覚醒させられる。
「いがああっ、もおうやめてええ」
沙那は泣き叫んだ。
貢ぎ物奴隷として潜入を果たしたばかりのビ・クの要塞だ。
そこで沙那は、ここで奴隷としての役割を果たす準備という拷問を受けていた。
四肢を全部折りたたんで革帯を嵌められ、犬のように四つん這いの姿勢を強要された状態で、数名の電撃棒を持った女官たちから、よってたかって電撃棒を浴びせられている拷問を受けているのだ。
最初に床に固定されていた首の留め具こそなくなったが、その代わりに、幾度も幾度も、奴隷の誓いを叫ばせられ、奴隷の姿勢という恥ずかしい格好を強要されたりした。
いまは、四つん這いのまま電撃棒の先端を振動されて、その愛撫を受けさせられていた。この電撃棒は、懲罰として電撃も流せるが、女の身体を淫らに愛撫ができることもできるみたいだ。
媚薬を飲んだこともあり、ちょっとした刺激で何度も嘲笑されながら絶頂した。
だが、四つん這いの姿勢を崩せば、電撃の罰と言い渡されていて、連続絶頂が五回目くらいをすぎると、そのたびに身体を崩れさせるようになった。
すると、身体のあちこちを振動の刺激を与えている電撃棒がたちまちに沙那を懲罰する武器になるということだ。
さすがに、沙那も息も絶え絶えだ。
「もう、その辺でよいだろう。サナ、さすがに己の立場がわかったな?」
離れた場所から食事をしながら、沙那が責められるのを見物していたハク・エン夫人だ。
この軍塞の司令官であるビク・ト将軍の正妻であり、この軍塞に集められている貢ぎ物奴隷たちの管理者は彼女になるようだ。
「は、はい……。わ、わかりました……。もう生意気は言いません……。心から皆様に従います。二級奴隷としての勤めを一生懸命に果たします──」
沙那は叫んだ。
「どれ、コク・ジュ、サナの淫丹石の色をお見せ」
ハク・エンが声を掛けた。
そして、食事を中断して、立ちあがって、こっちにやってくる。
淫丹石というのは、このお仕置き調教の洗礼の途中で、お尻の穴に入れられた長細い捻り石のことだろう。
それはいまでも、沙那のお尻の中に存在感を示し、沙那が身じろぎしたり、悶え動いたりするたびに、淫らで異様な感覚で沙那を狂わせる。
ただでさえ強力な媚薬のうえに、このお尻の刺激もあり、局部を振動責めにされて、幾度も繰り返し絶頂の醜態を晒すことになったのである。
「奥様に向かって、三番姿勢だ──」
コク・ジュが沙那の横腹を蹴った。
「は、はい──」
奴隷の姿勢は一番から五番まであり、電撃を受けながら身体で覚えさせられた。
沙那は、やってくるハク・エンにお尻を向けるようにその場で回転し、領腕を前に伸ばして顔を床につけ、折り曲げられている両脚を拡げて、お尻を高くあげた。
これが三番姿勢だ。
「ほう、もう桃色から赤に変わりかけているわねえ。この感じなら、兵たちに犯させれば、二日ほどで淫気の充満が終わるかもしれないわねえ」
「愛撫を開始してからだけでなく、電撃棒の苦痛のときだけでも、すでに淫丹石は色づきはじめておりました。苦痛や屈辱を快感に変える素質もあるようです。慰安奴隷として使うのに合わせて、苦役や恥辱を併用するのもありかもしれません。効率のいいやり方を模索していきます」
コク・ジュだ。
よくわからないが、沙那のお尻の穴を眺めながら話している。
色というのはわからないが、お尻に埋められている淫丹石は根元部分が拡がっていて、肛門栓のようになっている。
それの色について、話している気配だ。
「頼むわ。二日に一個に淫丹石が完成できるなら、都への納品がかなり楽になるわ。拾い物だったわね。三級は搾り取れば終わりだから、ニ級で量産できるなら、それに越したことはないからねえ。とにかく、頼むわ、コク・ジュ」
「わかりました……。ところで、もうさがられますか?」
「いえ、今日は一級候補も確保できたから、そっちの状況も確認してくるわ。まあ、二、三日で結果も出ると思うから、もしも、一級から外れれば、あの赤毛も二級にまわすわね。そのときは改めて鍛えてやって。あの赤毛……ええっと……なんていう個体名だったかしら?」
「ソンです」
「そうだわ。ソンだわ。そっちの指示が終わったら、コク・ジュもソンを躾けている部屋に来てくれるかしら」
「承知いたしました」
コク・ジュが応じる。
ソンというのは、孫空女のことだと思った。
一級候補の意味は不明だが、孫空女もまた、生き残っているのだろう。
沙那はほっとした。
そして、ハク・エンがそのまま部屋を立ち去る気配がする。そのあいだ、沙那はすっとお尻を高くあげる姿勢をとり続けていた。
「さて、じゃあ、サナ、早速、二級としての役割を果たしてもらうわよ……。さて、性給施設は、いま三番小屋が空きだったわね。連れていって教え込みなさい」
コク・ジュが沙那の周りにいる女官たちに指示を与え始める。
いずれにしても、この部屋での拷問は終わったのだろう。
「姿勢一番──」
やがて、突然に声がかかった。
一番は、通常の四つん這いだ。
基本姿勢らしく、沙那は教え込まされたように、背筋を真っ直ぐにした四つん這いになる。
すると、首に首輪を掛けられた。
その首輪には、鎖が繋がっている。
「ひあっ」
それはともかく、その首輪を装着された瞬間に、急に身体が重くなって、全身に強い気怠さが襲いかかってきた。
沙那は思わず悲鳴をあげてしまった。
「お前の筋力を十分の一にする魔道具よ。それを装着されている限り、お前の力は三歳くらいの子供程度ということよ。さあ、連れて行きなさい──。今夜は最低三人の精を受けさせなさい。明日の朝に結果を報告」
コク・ジュが女官たちに指示を残して去っていく。
さっき、孫空女の方に向かうようなことを会話していたので、ハク・エンに合流して、孫空女の方に行くのだろう。
向こうはどうなっているのか……。
「ついてきなさい」
首輪が鎖で引っ張られた。
「ぐっ、わ、わかったわ。い、行くから……」
首輪を引かれ、四人の女官に囲まれて四つん這いでついていく。
どこに連れて行かれるのだろうかと思ったが、しばらくすると、廊下でちらほらと男兵たちとすれ違うようになった。
揶揄する言葉や奇異な視線を向けられて、沙那はあまりの屈辱と羞恥で気が遠くなりそうになる。
なにしろ、沙那は素っ裸だ。
女官たちが囲んでいるせいで、手を出す男はいなかったが、無遠慮に裸体を観察される。
時折、質問を受けて、今夜から小屋で性便所として働くとか説明をしたりもしていた。
ただ、すでに時間は夜のようだ。
垣間見える窓の外は真っ暗だった。
眩暈さえ覚える羞恥の中で、やっと目的地らしき部屋に辿り着いた。
同じような頑丈そうな木製の扉が嵌まっている土檻が並んでいる。
全体が待合室のような広い部屋になっていて、談笑をしたり、酒を飲んでいる男兵が十数人いた。
土檻の扉は十個ほどあって、幾つかには男兵が並んでいる。
「アビ・ト、今夜から、このサナが二級奴隷として、性給に入るわ。しばらくしたら、三人ほど入れるからよろしく」
沙那を鎖で引っ張っている女官が管理人らしき男に声を掛けた。
「三人だな。一度にか、順番にか?」
すると、アビ・トと呼ばれた小太りの男が笑う。
「三人同時にやらせましょうよ。それで、あたしたちも早く帰れるじゃないですか。もういい時間ですし」
後ろにいる女官が言った。
すると、ほかの女官も同意し、三人一度にということになった。こうなると、さすがに沙那も、これからなにをされるのかはわかってきた。
ここは、兵たちが性欲を発散するための施設なのだと思う。
二級奴隷というのは、その性の相手をする性奴隷ということだろう。ただ、お尻に入れられた淫丹石がどうのこうのと口にしていたので、それに淫気とやらを溜める役割もあるのかもしれない。
沙那は男兵たちが騒いでいる卓の周りを練り歩くように移動させられたあと、ひとつの土檻に連れて行かれた。
下には大きな布が敷いてあり、部屋そのものは小さかった。大人が五人も入れば、いっぱいいっぱいという感じだ。
扉と反対側の奥側に、丸い穴が空いている板が設置されている。
女官たちが板を上下に開き、丸い穴の中に首を置かされる。
板が戻され、沙那は板のあいだに、首を固定されてしまった。
「説明はあたしがするわ。皆さんはもう帰っていいですよ。残りの仕事はあたしがやっておきます。報告書も任せてください」
すると、四人のうち、ひとりの女官が声をあげた。
ほかの三人が戸惑うのがわかった。
「いや、そういうわけにはいかないわよ。コク・ジュ様の指示もあるから……」
「ええ、そもそも、指示はわたしがします。急に出しゃばらないでよ」
「ほんと……」
三人がその女官をたしなめる言葉を告げた。
だが、その女官は大きく手を二度打つ。
「はい──。見ざる、言わざる、聞かざるです。皆さんは、あたしの言葉に応じます。ほかにはなにも考えません。この土小屋を出ていき、一切を忘れてください──」
女官が笑いながら言った。
その途端、ほかの三人がすっと身体を伸ばすのがわかった。
そして、その三人が無言のまま出ていく。
再び扉が閉まり、部屋でその女官と二人だけになる。
「じゃあ、二級奴隷で性給奴隷のサナ──。ここでのことを教えますね。もうおわかりと思いますけど、ます、ここでするのは、外にいた男兵たちとの性交です。でもよかったですねえ。サナが淫乱だったから、二級奴隷になれたんですよ。三級奴隷の判定だと、生命力を搾り取られて、残りの肉体は破棄処分ですから」
女官が四つん這いの沙那の内腿に手を伸ばし、すっすっといやらしく局部近くを撫でてきた。
ぞわぞわと快感が湧きあがる。
沙那は身体を竦めた。
「う、うるさい──。そんなことよりも、ご主人様には接触できたの、朱姫──?」
沙那は怒鳴った。