儚き華は夜に散る 作:生魚
──あー、あー、聞こえてるかな?
──うん、ちゃんと撮れてそう。これで安心ですね。
午後十一時、都内にて。男はカメラに向かって手を振り、これから行う「撮影」のための機材に不備がないかを確認する。
薫は、それを眺めていることしかできない。なぜなら彼女の両手足は拘束され、まともに動ける状態ではないからだ。
「今日の主演は貴女ですから、ちゃんとかわいい姿見せてくださいね?」
「何を言っているんだい、子猫ちゃん……! いきなりこんなところに閉じ込めて、君は一体──」
「ああ、そうだ。服着せたまんまでしたね」
そう言って薫の拘束を外すなり、彼は薫の服を無理やり脱がせていき、最後に生まれたままの姿になった薫の首にスカーフだけを巻く。
彼女を彼女たらしめる少女の身体が全て露わになっているのに、スカーフだけが首元を飾る。その違和感に薫はひどく恐怖を抱き、逃げ出そうとするが押さえつけられたのちまた拘束されてしまう。
足を開く形で拘束されているせいで、図らずともぷっくりと膨らんだそれをカメラに見せつけるような体制になり、あまりの恥ずかしさに薫は声にならない声をあげる。
だが、男は楽しそうに笑うだけで薫を解放してくれる予兆はない。それどころか男はおもむろにバッグからピンク色のマッサージ機を取り出して。
それじゃあ、始めましょうか。そう言って、それを薫の秘部に押し当てた。
「……ひ、ぅっ!?」
その瞬間、薫の身体に電撃のような快楽が走り、薫の頭は真っ白になる。薫を弄ぶかのようなマッサージ機の振動が、薫を支配していく。
薫様、こんなに感じやすい人なんだ。男は小さくそう呟くと、少しの間考えて何かを思いつく。対する薫は感じたことのない快楽で身体を跳ねらせたりくねらせたりするだけで、彼の思惑にまで思考が回っていない。
「ひゃ、ぁ……っ」
ふと目に入った、快楽によってより主張が激しくなった桜色の突起を男が舐めてみると、薫はまた違った嬌声をあげる。
「そこ、なめちゃ、んっ、すっ、すうのは、もっと、だ、め、……あ、ぁぁっ!」
男の唾液に塗れた薫の先端を男が吸い上げると、薫は悲鳴のような喘ぎ声をあげる。薫が先端の快楽から気を逸らそうとすると、より強くなった振動に意識がいってしまい、頭が壊れそうになる。
「こねこ、ちゃ、い、や、おねが、い、だ、もう、やめて、くれ……っ、そろそろ……、んっ……! ……あ、あ……」
激しい責めに、薫が達しそうになったその瞬間、突然薫の身体を刺激していた振動が止まる。困惑する薫と、何やら満足げな男。
男が振動の止まったマッサージ機を薫から離すと、薫の秘部から溢れた愛液がマッサージ機と薫の秘部との間でねっとりと糸を引き。
まるでもっと、と言わんばかりに絡みつく愛液と、快楽を求めてくぱ、と音を立てて開閉する膣。そんな蠱惑的な薫の秘部を、男はすかさずカメラに収める。
自身のはしたない姿が撮られていることに薫は恐怖で青ざめるが、それに反するように薫の秘部はどんどんいやらしさを増していく。心は拒んでも、身体は快楽を求めてしまっていることを、暗に伝えているように見えた。
「イけなくて残念ですね、薫様」
男は笑いながら薫の秘部をなぞると、中指と人差し指を彼女の膣に押し当てた。少し押し込むだけでその指は簡単に薫の膣内に入り、彼女のヒダが彼の指に絡み付く。
そうだ、彼はそう言って二本の指で膣内を擦りながらさっき使ったマッサージ機にもう一度電源を入れて今度はその振動を薫のクリトリスに押し付ける。
「……い”っ!?」
小さなそれに当てられた振動は、すぐさま大きな快楽へと変わる。少し振動を当てられるだけで薫のクリトリスはピン、と膨れ上がりより激しい快楽を求めるようになる。
「な、なか、ごりごり、されてるのに、そこ、ぶるぶるしたら、わ、わたし……っ、あ、い、いっ、……えっ……」
膣内を擦られ、クリトリスには絶え間ない振動を当てられ。次こそ、薫が絶頂に達する……はずだった。
気づけば薫の膣内から指は抜かれ、マッサージ機も外され。先程まで薫を支配していた快楽は、どこか遠くへ行ってしまった。
「薫様のまんこ、愛液でびしょびしょすぎて俺のふやけちゃいましたよ。味見してください」
呆れたように笑う男は、薫の愛液でふやけた自身の指を薫の口に突っ込み、無理やり舐めさせる。
薫の舌はしわしわの手の触感と、甘いようなしょっぱいような愛液の味を舐めとり、その違和感に少し気持ち悪くなる。
その時、薫はようやく違和感に気づく。彼が、快楽を与えるだけ与えて、絶頂しそうになると快楽を与えるのをやめてしまうことに。
これがいわゆる寸止め状態、ということなのだろうか。うまく回らない頭で、考える。
「……君、わざとだろう」
「よくわかりましたね。薫様の切なそうな表情が可愛くて、簡単にイかせてあげられないなって」
薫が彼にそう言うと、彼はニヤリと笑ってそう答える。そんなことせずに、早く気持ち良くしてほしい、薫はそう思った。
どうして、そんなことを思った?
「いい加減、こんなことはやめ……んっ!?」
薫が彼を説得しようと口を開いた瞬間、また容赦のない快楽が薫を襲う。嬉しくないのに、気持ちよくないのに。薫の身体は、たしかにその刺激に悦びを感じていた。
何より、さっきよりも絶頂に達しそうになるまでの時間が近い。二回寸止めされたせいで、薫の身体は、より快楽を感じ、快楽を求めるようになっていた。
「んっ、い、やっ、はやく、いき、た……ちがう、いきたく、な……い」
「そうですか、イきたくないんですね」
「あ……っ」
彼がマッサージ機を離すと、どこか名残惜しそうな声をあげる薫。いや、違う、そういうわけでは。否定したいのに、薫の頭に浮かぶ言葉は、それとは違うもので。
「素直にならないと、苦しいだけですよ?」
「あ”、っ、んんっ!」
気持ちよくなりたい。いつのまにか、その思考が薫を支配していた。彼が振動を強めると、薫の甘い吐息が激しくなり、むせかえるような雌の薫りもより強くなる。
「……ど、う、して」
だが、彼はやっぱり、薫を絶頂まで導いてくれない。本当は手を使って自身を慰めたいところだが、拘束されているせいでそれが使えるはずもなく。
今にも何もかもが崩れてしまいそうな薫とは裏腹に、彼は飄々としている。
薫が物欲しそうにしていると、胸を揉んだりクリトリスをいじったりしながらマッサージ機を当ててくれるものの、薫が達しそうになるとすぐやめてしまう。
気づけば、薫は九回も寸止めされていて。薫の身体はもう限界だった。どうして連れ去られたとか、どうして撮影されているとか、そんなことはもうすでにどうでもよかった。十回目の今回こそ、達したかった。
「……こねこちゃ、そろそろ、いかせ……」
「あんなにイきたくない、気持ちよくないって言ってたのに? 嘘は良くないですよ、薫様」
「ちがっ、わ、わたし……!」
薫の願いも虚しく、十回目も絶頂することはできなかった。こんなにも気持ちよくなりたいのに、こんなにもイきたいのに。
薫の顔は、もうすでに涙と快楽でぐちゃぐちゃだった。そこに王子様の面影などなく、彼女はただの淫らな雌に成り下がっていた。
「薫様、貴女は気持ちよくなりたいんですよね」
「……なり、たい。きみに、きもちよく、してほしい」
「それなら、おねだりしてみてください」
まるで幼子をあやすように男はそう口にする。薫はそんな彼をトロンとした目で見つめながら、ようやく本心を吐露した。
「ごめんなさい、わたし、うそ、ついたんだ、わ、わたし、き、きもちいい、の、すき、おまんこ、ぶるぶる、すき、なんだ」
「だから、わたしのこと、きもちよくして、おかして、ほしい」
そんな薫に優しく口付けをすると男は自身の肉棒をずっと快楽を待ち望んでいた薫の秘部にぐい、と押し込んだ。
長すぎる前戯でぐちょぐちょに濡れていた薫の膣内は簡単に肉棒を受け入れ、もう快楽を逃したくないとばかりにぎゅうぎゅうと締め付ける。
「あ、あっ、んっ、あっ、……っ! わたし、ず、っと、ほしかったんだ、ずっと、おちんちん、ほしかったの、きみに、たくさん、おかして、ほしく……ん”っ!」
「正直、俺も理性が限界でした。最後は一緒にイって、カメラの前で精液注がれちゃいましょうね……!」
「いいよ、そそいで、うん、ほしい……きみの、せいえき、いっぱいだしてほしい……っ!」
肉と肉のぶつかる音が激しくなる。それによって薫の嬌声がよりいやらしく、より大きくなり、二人の理性を溶かしていく。
カメラには二人の結合部が映り、薫の膣内に彼の肉棒が激しく出入りしている様子をはっきりとらえている。
「だ、だめだ、わたし、そろそろ……っ、こんどこそ、ちゃんと、イってもいい? きもちよくなっても、いい?」
「いいですよ、たっぷりイってください。俺もそろそろ、出る──」
「っ、ぁ、んんっ──!」
その時、薫はようやく初めて絶頂を迎えた。膣内に、たくさんの精液を注がれながら。二人の結合部からは愛液と精液が混ざった液体が溢れ、床にこぼれ落ちる。
「わたし、イってる、たくさん、イってる、ふふっ、きもちいいね、いま、すごく、しあわせ、なんだ……」
「たくさんいじめて、ごめんなさい。これからは、ちゃんと気持ちよくしてあげますから」
繋がったまま、二人はキスをする。甘い甘いキスを。何もかも忘れてしまいそうな、毒みたいなキスを。
やがて長いキスが終わったあと、彼はカメラを止めて、薫の拘束を解く。彼は、録画データを一通り確認すると。
「それじゃあ、可愛い薫様の姿をたくさんの王子様に見てもらいましょうね」
それを裏サイトにアップロードした。慌てる薫だが、先ほどの行為でひどく体力を消耗していたようでうまく立ち上がることすらできず、ただ自身が快楽に支配される姿が全世界に晒されるのを眺めることしかできなかった。
「それじゃあ、明日もまた新作を撮りましょうね」
そう言って薫の頭を撫でて、部屋を去る彼。あまりの出来事に何も考えられなくなった薫は現実から逃げ出すために、そこにあったピンクのマッサージ機を再び秘部に当てた。