男の俺は聖女になれませんが……聖女の力を覚醒させるチ××はあります! 作:elly
第一話
(こんなところに一人で取り残されて、一体、どうすればいいんだ!)
ルパート・ヘイヴァースの目の前には、背の高い頑丈な門が聳え立っている。
門には、〈ルズベリー女学園〉と学校銘板が設置されている。
〈ルズベリー女学園〉は、国内きっての全寮制の名門聖女養成学校である。その名門女学園に、ひょんなことから男のルパートが入学することになったのだ――。
一週間前のことだった――。
「大変です! クレア様が……!」
ルパートの双子の姉クレアを起こしに行ったメイドが、血相を変えて飛び込んできた。
クレアは、書置きを残して家出をしてしまったのである。
書置きには、聖女になりたくない、好きな男と恋をして、普通に暮らしたい。探さないで――と書かれていた。
クレアの家出により、ヘイヴァース家は大騒動になった。
ヘイヴァース家は、数多くの大聖女を輩出している名家である。聖女としての高い素質を持って生まれるヘイヴァース家の娘たちは、年頃になると、〈ルズベリー女学園〉に入学することが義務付けられている。
クレアも例に漏れず、一週間後に〈ルズベリー女学園〉に入学するはずだった。
ヘイヴァース家の娘が、自らの責任を放棄して逃げ出すとは言語道断。絶対に外部には知られてはならない。
クレアの捜索は、極秘裏に行われた。世間知らずの箱入り娘の家出だ。その日の内にクレアは見つかるだろうと高を括っていた。
だが予想に反し、捜索は難航した。クレアが見つからないまま、出発前日の夜を迎えてしまったのだ。
第二話
「今、何て……?」
両親に呼び出されたルパートは耳を疑った。
「お前がクレアの代わりに<ルズベリー女学園>に行くんだ」
「いや、だって俺、男だし……」
父親の言っていることは無茶苦茶だ。女子校に男が入れるわけがない。
「女の格好をして、クレアとして行きなさい」
母親は、当然であるかのように、顔色一つ変えずに言う。
「へ……?」
言葉が出ない。
「安心なさい。あくまでクレアが見つかるまでの間です。もし、クレアと入れ替わる前にあなたの正体が知られるようなことになれば……我が家は破滅です。絶対に知られてはなりません!」
「さ、これで終わりです」
「……!」 .
かつらをつけ終わり、鏡で自分の姿を見て驚いた――そこにはクレアがいたのだ。
「誰が見てもクレア様ですわ」
準備を手伝ってくれたメイドは、自信満々の様子だ。
(確かに、見た目はクレアそのものだけど……こんなのすぐにバレるに決まっている……)
大きなため息をつき、ルパートは両手を胸のふくらみにあてた。
「よくできてるなあ……これ」
ルパートは服の下に、作り物の乳房がついたベストのようなものを着ており、それは、服の上から見れば、ごくごく自然で豊かなバストラインを描いている。
(でもちょっと大きすぎないか? クレアのはもっと控えめなんだが……)