※この作品はR-18です。

男の俺は聖女になれませんが……聖女の力を覚醒させるチ××はあります!   作:elly

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序章  『どうして俺が女子校に……?』 ③

第五話

(大きい……ものすごく……)

 ルパートはアミーリアの胸にくぎ付けだった。

 自分の偽乳と見比べてみる。

 この偽乳も結構立派な大きさだが、アミーリアのはさらに大きい。

「どうかしたのか?」

 アミーリアが、ルパートの様子をおかしいと思い始めたようだ。

「えっ、あ……」

 言葉に詰まる。

「いえ、あの、制服がお似合いだなって……」

「そうか。どうもありがとう。君もよく似合っている」

 背中を冷たい汗が伝っていく。どうやら上手く誤魔化せたようだ。

「さあ着いたぞ。ここが寮だ」

「……立派な建物ですね」

「古いのが難点だがな」 

 アミーリアはそう言うが、むしろ古さがこの建物の最大の美点であった。

 寮内は、隅々まで手入れが行き届き、ドアのノブにいたるまでピカピカに磨き上げられている。その丹念な手入れが、古い建物や調度品をより重厚なものに見せている。

「ここが君の部屋だ」

 アミーリアは親切にも、ルパートを部屋の前まで連れて行ってくれた。

「どうもありがとうございました」

「後輩の面倒を見るのは先輩の役目だ。私の部屋は向かいの建物だから、困ったことがあったら遠慮なく訪ねてきてくれ」

「は、はい! ありがとうございます!」

「君と私の仲じゃないか。そんなに緊張しなくていい」

 ルパートの緊張をほぐすように、アミーリアはルパートの肩にぽんと手を置いた。

「んっ……?」

 アミーリアは不思議そうな顔をして、ルパートの肩を撫でまわしている。

(もしかして、男だってバレた……?)

 アミーリアの手を払いのけることなどできるわけないので、ルパートはひやひやしながら、されるがままになっている。

「君は……着やせするタイプなのか? 意外と肩ががっしりしている……」

「えっ……えっと……その……そ、そうなんです! 私、こう見えても体を鍛えてまして……」

 自分でもかなり苦しい言い訳だと思った。

「なんだ、そうだったのか! どうりでいい筋肉がついていると思った。今度トレーニングのコツを教えてくれ」

 苦し紛れの言い訳だったが、アミーリアは信じてくれたらしい。

 見た目とは裏腹に、アミーリアはかなり天然なのかも知れない。

 

 

第六話

 部屋は二人部屋だった。

(これじゃあ、寝るときも気が抜けないじゃないか――)

 ルパートは現在、胸と尻にふくらみを作るために、偽物の乳房と偽物の尻肉がついた窮屈な下着を身に付けている。これをずっと身に付けていなければならないと思うと、げんなりする。

(あまり勘が鋭い子じゃなければいいけど……)

 こればかりは祈るしかなった。

 ガチャっ――。

 ドアノブを回す音がした。どうやらルームメイトが来たらしい。

 緊張が走る。一体、どんな子何だろう……?

 ガチャガチャ、ガチャっ――。

 ドアノブを回す音はすれども、一向にドアが開く気配がない。

(ひょっとして……?)

 

 

「きゃっ!」

 ルパートが普通にドアを開けると、一人の少女が倒れ込んで来て、図らずもルパートは、少女に押し倒される形となった。

「いたたたたたた……」

 背中を強く打ち付けてしまったらしい。

 一人の人間が勢いよく倒れ込んで来たのだ。体重が軽かったとしても、それなりのダメージはある。

 ルパートは起き上がろうと思い、

「ちょっと君……どいてくれるかな?」

 と上に圧し掛かっている薄ピンク色の髪の少女に声をかけた。

「はっ、はいっ! ご、ごめんなさい……」

 少女がゆっくりと顔を上げた。

「「あっ!」」

 顔を見合わせると、二人は同時に声を上げた。

 

 

第七話

「クレアちゃん……?」

「もしかしてローナ……か……?」

 今日は昔の知り合いによく出会う日だ。

 ルームメイトは、ローナ・ブラッシャーだった。

 ローナはルパートとクレアの幼馴染である。

 ローナの母親はヘイヴァース家の通いの使用人で、いつもローナを連れて仕事に来ていた。そのため、毎日のように子ども同士で遊んでいたのだ。

 家庭の都合で、ローナ一家は引っ越した。それ以来、ローナとは会っていない。

 だが、一目見てローナだとわかった。小動物のような、人懐っこそうな顔の造作は当時のままだ。目に見えて変わったのは、髪の長さくらいか――肩までの長さだった髪が、肩甲骨のあたりまで伸びている。

「その……元気だったか……?」

「うん……」

 一瞬だが、ローナの表情が暗くなった。

 何かあったのか――と思わず聞きそうになった。

「う、うん! 元気、元気! そ、そうだ! これから学校の中を見て回らない?」

「え……まあ、別に構わないけど……」

 ローナの態度にはしっくりこないが、ローナだって年頃の乙女だ。言いたくないことの一つや二つあるのだろう。

 言いたくないことがあるのは、今のルパートも同じだ。

 特に、ローナは、ルパートのこともクレアのことも知っている。どこで正体に気づくかわからない。

 せっかく久しぶりに出会えた幼馴染であったが、可能な限り距離を置こう、とルパートは考えた。

 だが、もしローナに真実を打ち明け、協力を仰ぐことができれば、この学園生活もだいぶ楽になるだろうとふと思い浮かんだが、すぐに打ち消した。

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