「………」
姉妹と合流し、彼女達と行動していた避難民を隣接するアパートへ一時的に住まわせる事が決まった事で、世界が崩壊する中で生き残った事に対するパーティを各自の自己紹介も兼ねて行なった夜、俺は自室で現実を噛み締めていた。
まずはサーヴァント。まさか、ゲームのキャラクターだった存在が紛いなりにもこの世界に来て俺の元に来てくれた事を夢ではなく、現実として実感する事で本物だと思う事にする。色々と疑い出したら話にならないし。
次に世界が崩壊した事で多くの人が死んだ事。それによって、世界では80億人超、日本だけでも1.2億人前後の人が生活していたのにエネミーやサーヴァントの登場で大勢の命が消えた事に違いはない。
どれだけの人命が消えたのか、と言う調査はこれからだろうが精査できる組織がどれぐらい、いるのかも分からないのでざっくりとした概算しか出せないだろうな。それまでの国と言う強制力を持つ存在が崩れ去ったし。
その結果、避難民の家族や友人知人の殆どと連絡が取れない上、未だに俺達の両親とも連絡が取れていないので生存の可能性は諦めた方が良さそうな気がする。
(まぁ、と言ってもそう簡単に踏ん切りが付けば楽なんだけどねぇ)
世界が崩壊しなければ、崩壊前の日常が暫くは続いたであろう人が多いのは確かだし、俺自身もその1人だ。そう簡単に割り切れない。
もっと喋っていたかった。もっと一緒に居たかった。もっと遊びたかった。もっと
トントン
「………どうぞー」
「失礼するわ、マスター」
「両儀式、か」
そう思えて仕方がない時、ドアのノック音がしたので招くと和服姿ではなく、ラフな格好で来たので少し驚いていると勉強机の近くにあった椅子に腰掛けながら話しかけてきた。
「私じゃ、不満だったかしら?」
「そんなこたぁねぇ。ただ、ね」
「両親の事?」
「………あぁ、そうだ」
昼間とは違い、口数が少ない俺の図星を彼女に突かれて少し戸惑ってしまったが、ここで嘘を吐いても仕方ないので素直に白状すると同情してくれた。
「仕方のない事だわ、マスター。あの女神は自らの欲望の為に世界をひっくり返したのだから」
「あぁ、そうだ。そうだけれども。だからと言って………あんまりすぎるよ」
彼女の言葉に、俺は堪えていた涙が溢れ出して静かに泣いた。
確かに、彼女達に会えたのは嬉しい。だけど、だからと言って両親や友人知人を犠牲にしてまで会いたかったのかと聞かれればNOとしか言いようがない程、世界が崩壊した現状を受け入れるには重たすぎる。
そんな俺を見て、両儀式はベッドに座っていた俺の隣に座り直してそっと寄り添って肩を持ってくれたので、彼女の好意に甘える事にしよう。
「………すまんな、泣いた様子を見せて」
「構わないわ。一般人である貴方があそこまで引っ張ってくれた事に驚いてるぐらいだもの」
「まぁね。姉妹が危険な状況に置かれていたから、躊躇している暇がなかった。だからあそこまで動けたのさ」
暫くして、落ち着いた俺は彼女に謝ると意外そうな顔で昼間の事を言ってきたので理由を説明すると理解してくれた様子だった。
「そう。それじゃあ、これからどうするの?」
「分からん。ただ、避難民の安全を確保するのは確定路線だな」
「好きにすれば良いと思うわ。私は貴方のサーヴァント。余程の事がない限り、どこまでも一緒にいるわ」
「ありがとう、両儀式」
そして、今後の方針を聞かれたのだが今までにない状況なので行き当たりばったりの方針しか、取れないのだが少なくとも避難民をどこか大きめのコミュニティに引き渡せたら良いなと考えてはいる。
なんせ、状況が状況なのでサーヴァント達がいると言ってもいつでも守れるとは思えないし、警察などの執行機関がないので人間同士での諍いに遭遇しても対処に困るからだ。
その為、言い方は悪いが余計な荷物は他の人や組織に押し付けるに限ると思っていると、両儀式はくすくすと笑いながら一緒に居てくれると言ってくれたので彼女の温もりに感謝するしかない。
(つーか、こうして話してると本当に良い女だよなー。優しいし、話し方も柔らかいし、美人だし。そう言う夜の店じゃねぇんだから押したら受け入れてくれるんじゃね?)
「どうしたのかしら? 急に黙りこくっちゃって」
「いや、改めて思ったんだが両儀式って魅力的だなぁと思ってね」
「ふふっ、お世辞でもありがとう、と言うべきなんでしょうね」
「お世話じゃないんだよなぁ」
彼女が登場した作品、空の境界について詳しくは知らないのだが日常生活において主だって行動しているのは、FGOにおけるアサシンの両儀式なのだがセイバーの両儀式はその根源的な存在らしいので、アサシンの方の彼女はセイバーの方の彼女を認識できないらしい。
分かりやすい例えをするなら、記憶の共有ができない多重人格者って所だと思うのだが根源的な何かに触れる機会もなければ、多重人格者でもない一般人なのでよく分からん。
ただ、この2日間で分かったのは両儀式を始めとするマスターを慕うサーヴァントは見た目的にも性格的にも良い奴だと言う事であり、彼女達にだったら甘えちゃっても良いかなと思ったりするので軽く聞いてみる。
「こう言う状況で言うのもなんだが、襲っちゃいたいぐらいには魅力的さ」
「そう、なら丁度良かったわ。私も襲おうとしてたし」
「………マジで?」
「マジマジのマジよ。私じゃなくても伊吹童子辺りがヤりに行くって言ってたし」
「遅いか早いかの違いだな」
すると初めからヤる気だったらしく、早いうちに誰かとエッチをする事になるのは彼女の言葉から推測できたので、軽く息を吐いてから両儀式と向き合った。
一見すれば、吊り橋効果なのだろうが惰性とは言っても俺と契約するサーヴァントの中で、エミヤに次いで2番目に長く同伴させてきたサーヴァントなので彼女になら取り殺されても文句はないなと思いながら唇を重ねた。
「優しいのね、マスター」
「素人とは言え、気を使うさ」
年齢=彼女いない歴な俺でも、サーヴァントとは言っても女性の扱い方ぐらいは話のネタとしてネットで調べるぐらいの事はするので、丁寧にすると意外そうに微笑んでいた。
実際、10代半ばの男ってのは頭と下が直結しているレベルで性欲があるのが普通だと思うのだが、だからと言って前戯もなしにがっつくのはNGだろうと個人的には思っているので、崩壊前は脳内シミュレーションをしていたものだ。使う機会はなかったが。
「ぬぉう!?」
「嬉しい、私に欲情してくれるなんて」
「まーな」
とは言え、彼女と触れ合って密着してキスまでしてしまった為に体は正直で逸物はギンギンにそそり立っていた事に、彼女は喜んでくれたので本場に移ろうと思う。
次回、ザ・濡れ場。