ふわっと身体が中に浮かぶ。
あれ? と思った時にはもう、空の青さと緑の大地がクルクルと入れ替わるように回りだしていた。
失敗したな。
気づいた時にはもう遅く、受け身を取ろうにも身体は上手く動かない。
だってそう。
いくら獣人だっていっても、ただの人間よりも幾らか頑丈だっていってもだ。自分の何倍もあろうかってクマの化け物に体当りされて、そうそう無事でいられる訳がなかった。
ましてや弓を放った直後。
当てられると信じて、ギリギリまでクマを引き付けていたせいで、ろくな構えも取ることもなく吹き飛ばされてしまっていた。
「ぐはっ!? がっ…あぅぅっ…!!」
背中から地面に落ちる。肺を叩かれ息を吐き出す。強かに打ち付けた頭から強い痛みが響いた後、一瞬、意識が何処かへと飛んでしまう。
すぐに起き上がって逃げなきゃいけないのに。
痛みに引きつった身体はチグハグな反応ばかりを返し、何処が痛むのかさえ分からなかった。
せめて呼吸だけでも取り戻したい。
空っぽになった肺に空気を送り込もうとして、パクパクと口を動かしている間にも、僕の耳は近づいてくる嫌な音を聞いていた。
のしっ、のしっ…。聞こえてくる大きな足音。
パキッと小枝が弾けると、僕の頭上に大きな影が落ちる。
ぐるぅぅるぅるぅるぅるぅ…っ!!
強烈な血の匂いの中に漂う獣臭。空腹を訴えるように、口の端から涎が溢れ、血走った眼に睥睨された僕は、ビクリと身体を震わせてしまっていた。
怖い、怖い…。
傷つけられるのは平気でも、殺されるのには耐えられない。
まして、生きたまま食われるかも知れない。
どんなに鍛えていたって、その恐怖に耐えられる人なんてどれだけいたもんか。
「やだっ…!? くるなっ、こないでっ、こないでぇぇっ!!」
恐怖に負けて、ナイフを引き抜き、やたらめったらに振り回してしまう。
狙いも何もない。
駄々をこねる子供の様に振り回したナイフの刃は、クマが腕を払うだけで簡単に、僕の小さな体ごと吹き飛ばしてしまった。
「がうっ…!! あ、くっ…あっぁぁぁっ…」
痛みで身体が縮こまった。逃げ出そうにも重たくなった手足は、その場で藻掻くばっかりで前にも後ろにも進めない。
ゆっくりと、クマが近づいてくるのが分かる。
近づいてきた鼻面を蹴り上げようと足を突き出し、次の瞬間には、振り下ろされたクマの前足が、僕の足を踏み潰してしまっていた。
「ぐぁっ、いっ…!! あ、あ、ぁ、はぁぁぁっ、あぁぁっ、あつ…く」
折れてしまったのだろうか? 悲鳴も上げられない。
喉元までせり上がっていたそれは、あまりの痛みに形を崩していく。
痛みと、恐怖と、混乱と、パニックに陥った身体はますますと言う事を効かなくなり、足を掴まれた野ウサギみたいに暴れまわるしか出来なかった。
もう一度。
今度は脇腹から殴りつけられ、浮き上がった僕の身体は、ゴロゴロと地面を転がっていく。
「はひっ、はぁ、はっ、はっはっ…!!」
息が出来ない、続いてくれない。
呼吸をしようとしただけで全身を強い痛みに襲われ、細かく息継ぎをするので精一杯だった。
のしっ…のしっ…。
ろくに動けなくなった獲物を追いかけるまでもない。
仰向けに倒れたまま、細かい呼吸を繰り返すだけの僕に向かって、クマは悠然と歩いてくる。
鼻先が近づけられ、首元に息を吹きかけられた。
ずぉっと音がするほどに匂いを嗅がれた後、味見でもするみたいに、伸びてきた長い舌に頬を舐めあげられる。
生暖かくて、生臭い。
吹きかけられる吐息は熱く、クマが興奮しているのだと分かってしまう。
それは、空腹を前にした時の、久しぶりの食事に対するものだと思っていた。
いっそ、喉笛を噛み切って欲しい。
手足から食べられるなんて、そんなのは耐えられない。
諦めたいわけでもないけど、抵抗するにはもう無理だった。
窒息寸前の身体は目眩を続け、空気の行き渡らない指先は震えたまんま。
せめてと捧げるように首筋を反らして情けを願っても、それがクマに通じるかは分からない。
だからこそ、困惑してしまっていた。
食べられるって、覚悟なんかなかったけれど。そうなる未来に震えていたのに、首元に迫っていた鼻先は、僕の喉笛を噛みちぎることも無かった。
身体を押さえつけられて伸し掛かられる。硬い毛に肌を引っ掻かれ、屈強な胸元に頬を埋められると、強烈なクマの獣臭に鼻が曲がりそうだった。
何のつもりなのか、僕を押さえつけたままグイグイと身体を押し付けてくる。
その度にクマの吐息は荒くなり、血走った瞳は明らかな興奮の色を強くしていた。
「へ? あ、や、やだぁ…やめっ…うそ、でしょ…」
不意に、太ももの上を熱い塊が滑っていった。
ヌルヌルとした何かを擦り付けながら、その先を狙うように何度も繰り返して肌の上を舐めていく。
分かる、分かってしまう。
獣が興奮する理由。ううん、それは人でだってあまり変わらないのかも知れない。
食事の時と、敵がいる時。
でも、クマは一向に僕を食べようとはしないし、敵というには、余りに無抵抗だ。
食べられる恐怖。それとはまた別の恐怖が僕の身体を支配し始めていた。
「いやっ、いやっ、やめてっ…ど、どいてよ…やだ、やだぁぁっ!」
残った力の全部を使って、クマの身体の下で暴れてしまっていた。
震える手で拳を握って、痛む足を蹴り出して。傷ついた身体に余計傷を増やすだけでも、クマの下から逃げようと必死だった。
けれど、弱った僕の力で出来る事もなく、あんまりな体重差は覆しようもない。
熱い肉の塊が、太ももの内側に入り込んでくる。
厚めのホットパンツ。動きやすいからって、それだけで。もしかしたら、スカートよりはマシだったのかも知れないけれど。クマからすれば、それがどれほど変わったものか。
ズルズルと滑っていく。ヌルヌルと滑り込んでくる。
太ももの付け根。肌とズボンの境目を広げながら、膨らんだクマの肉棒が潜り込む。
そのまま、狭い布地の中を掻き分けるように動く肉棒に、だんだんとズボンがズレ始め、厚手の布地からはビリと、悲鳴の様に嫌な音が聞こえてきた。
そこから先はもう、何も無いのも同然だった。
強引なクマの動きに、太ももとズボンの隙間は広がり続け、ビリ、ビリ、と、嫌な音が繰り返されるたびに、肌を引っ張る力が弱くなっていく。
ズボンの中に入り込んできた肉棒を前に、残った下着程度の薄い布じゃ、何を防げたものじゃない。
破れたのか、捲れてしまったのか。
それはすぐにも用を無くして、クマの肉棒の感触を、直に感じるのに時間はかからなかった。
「ひっ! や、やだ…ほんとに、この子、僕の事…」
犯すつもりなんだ。
だけど、だけど。
分かっていて、理解して、それで?
今の僕に何が出来るっていうの?
殺されるよりマシだって?
それは何と比べてなの?
その時だった。
クマの肉棒の先、熱い肉の塊が、僕の身体に引っかかってしまう。
大事な女の子の部分に先端が沈み込むと、ピタリと閉じていた割れ目の筋が、捲られるように開かされた。腰をずらして逃がそうとして、だけど身体は動かない。痛いのもあったし、力がうまく入らないのもそう。
何よりも、クマと僕との体重差は大きすぎて、まるで大きな木の幹に押しつぶされているみたいで、身じろぎ一つ、身動きなんて出来やしなかった。
それが何の拍子にだったのか。
クマの力にズボンの布地が耐えきれなくなったせいなのか。
先端の引っ掛かりを頼りに動いていたクマの肉棒が、ついには入り口を見つけ、僕の中に向かって明確に動きを変える。邪魔なズボンを押しのける様に強引な力が加わり、耐えきれなくなった布地が、ビリっと大きく裂けた瞬間だった。
「はひっ!? あっ、ひぅっ。いぃぃっぃっぅ…ぃ、ぃゃ…っ!!」
最初に感じたのは、ただただ強い衝撃。
背中から地面に落ちた時の様に、強烈な衝撃がお腹の奥を突き上げる。
目が回り、息を吐き出し、身体が竦む。
何が起きたか一瞬理解できず、それが分かった上でも理解を拒んだ。
痛い、痛い、痛い…。
やがて、遅れてきた痛みが下腹部に広がり、その鋭い刺激が口を開かせた時、ようやくと僕は声を上げて叫んでいた。
「いやぁぁぁぁっ!! やだっ、やだよっ! 抜いて、抜いてよぉぉ、僕は君の番なんかじゃ、君と僕とじゃ、あ、あっ、いたっ、やめ、動いちゃ…!!」
ビクっ、ビクッと、強い刺激に身体が震えた。
だけど、クマの大きな体は、暴れる僕の身体すら簡単に押さえつけてしまう。鼻息を荒くしながら、ようやくたどり着いた女の子の部分を、躍起になって責め立ててくる。
ぐぅぉっ、ぐぅっぅぅ。ぐふるぅぅぅぅっ!!
血走った眼が興奮の色を濃く映す。口の端からこぼれた涎が、僕の顔にボタボタと落ちてくる。
快感を、感じているんだろうか?
繰り返される抽挿は、際限なくクマを乱暴にさせ、興奮の度合いを加速させていた。
身体が壊れそうだった。
元々、サイズも形も全然違う相手に伸し掛かられるようには出来てない。
エッチの準備も出来ていない身体を無理矢理に使われ、お腹の奥が痛めつけられる。ギチギチと、音がするんじゃないかってくらい強引に女の子の部分を開かれて、今にも裂けちゃうんじゃないかって、それだけでも辛いのに。
肉棒の先から溢れた汁と、傷つけられて流れた血が、辛うじて中を湿らせてはいた。だけど、それでも多少はマシと言う程度。
元々が違いすぎる肉棒の大きさに、準備のできてない身体は悲鳴を上げるしか出来ない。
ズキズキとした痛みが お腹の奥で暴れ回る。
それはもう、単純な暴力でしかなかった。
「くっ、ぃぃぃぃっ。やめて、もう…うごかないでっ、僕、こわれちゃっ…ぃゃっ、ゃぁ、やだぁぁぁっ…!!」
歯を食いしばって耐える。拳を握りしめて我慢をする。
それでも涙は溢れて止まらない。絶望が悲鳴に変わる。折れたかけた心を守ろうとして、必死に声を上げて泣き叫んだ。
せめて痛みだけでも。刺激の薄い所に肉棒を誘導しようとしても、そんな所は何処にもない。ギチギチに開ききった割れ目の中は、何処をどう逃しても肉棒の刺激に苛まれる。乱暴な抽挿と共に、僕の中をこじ開けながら、更に奥へと肉棒が沈みこんでいく。
余りの痛みに、快感すら浮いてこないのは良かったのか、悪かったのか。
クマに襲われて、気持ち良くなるなんて。それこそ、恐怖以外のなにものでもないけれど。それでも、この痛みが少しでも和らぐなら、そんな最低な感覚にも縋りたくも合った。
半分から、根本に向かって、クマの肉棒が僕の中へと沈んでいく。
まだ挿るの? まだ奥があるの?
自分ですら知らない部分を、クマの肉棒に暴かれる。
奥に、奥に、奥へと向かって、閉じていた僕の中を無理矢理に拡げ、その熱い肉の塊が子宮の入り口を叩いた時、僕は初めて痛みとは違う感覚に襲われていた。
「あひっ! あ、かっ、や、そこ…は、だって…はぁぁっ、はぁっ」
気持ち良くない、気持ちいいはずがない。
だけど、それでも、繰り返される暴力的な抽挿に大事な所を刺激されると、僕の身体は、ようやくと気づいたように、エッチの準備を始めてしまう。
鼓動が早くなり、呼吸が荒くなる。
肌が火照り、敏感になると、お腹の奥に、痛みとも違う熱が灯る。
まるで、お仕置きをされているみたい。
ぼんやりと、まだ小さな頃。悪い事をしてお尻を叩かれた時の事を思い出す。
お腹の奥、赤ちゃんの出来る所、子宮の入り口を、クマの肉棒に叩かれる。
ゾクゾクと身体が震え、その度に頭の中が真っ白になった。
「たすけっ…。ごめんなさい、ごめんなさいっ、僕もう…しないから、君たちを、狩るだなんて、悪いことしないから…もう、ゆるしてぇ…おねがっ、あひっ!!」
許して、許して、何度も口にしながら、身を焦がす感覚に身体を震わせた。
ただの逃避だった。
現実には逃げ場はなくて、自分を守る為には、心を折ってでも許しを請わずにいられない。
グチャグチャと、音が聞こえてくる。
乾いていた僕の中が、次第に潤ってくるのが分かる。
引き攣るような痛みは薄れ、それでも、無理矢理に拡げられたお腹は、相変わらずに苦しいまま。クマの太い肉棒に犯されて続けていると、目の前が霞んでくる。
「あぐっ、んぁっ、ぉっ、あ、はっ、はっ、ふぅ、ふひぃっ、つっ、ひゃっ…あっ!」
自然と声が上ずってくる。腰が抜けたみたいに身体に力が入らない。
気持ちいい訳がない、感じてるのは痛みだけ。
だけど、エッチの準備を終えた身体は、段々とクマの動きに付き合い始め、それが、ビクンッと僕の中で跳ね上がった時に、終わりが近い事にも気づいてしまう。
出される。
その予感だけで、お腹の奥から焦燥感のような感情が湧き上がってきた。
恐怖からなのか、興奮からだったのか。その判断もつかないまま、僕の身体はクマの興奮に引きずられる形で熱を上げていく。
「ひぐぅっ、ひっ、くっ、い、や、やめて…ださ、僕なかぁ…あっ、んっ」
ゾクゾクと背筋が反り返る、ビクビクとお腹の奥が痺れだす。
意識が明滅を繰り返し、大事な所を叩かれる度に、プツプツと何かが途切れていく感覚があった。
クマの腰の動きが大きくなっていく。
どんどんと、深くに沈み込んでいく。
挿らない。もうやめて。深い所から僕を叩かないで。
そんなのもう行き止まりだから、これ以上は無理だから。
やめて、やめて、やめてよ…。
それでも、肉棒は沈み込んできた。
大事な所をギチギチとこじ開けながら、もっと深くに入り込むと、ついには肉棒の根本まで僕の中へと埋まっていく。
それと同時に、クマの肉棒が震え上がった。
ぱっと、下腹部に熱が広がり、その熱が入り口の向こうにまで届くと、まるで何かを身籠ってしまったように、僕の中で存在感を増してくる。
出されてる。
僕の、女の子の、一番大事な所に。
赤ちゃんを作る場所に、クマの精液を直接吐き出されて気が遠くなっていく。
ブツンと、何かが途切れた。
ビクンッと、身体が大きく跳ね上がり、お腹の奥がきゅぅっと締まる。
ドクン、ドクンと、精の熱を送り込まれる度に、ビクン、ビクンと身体を震わせて、それを受け止めてしまう。
「あ、あ、や、でて…クマの、だめだって、ぼく、やだぁぁっ。こんなのって…僕、クマの赤ちゃん…ゃぁっ」
小刻みな吐息に声が詰まる。
余りの事に悲鳴も忘れ、ただ呆然と、震える下腹部に目をやってしまう。
薄っすらと、膨らんでいるようにも見えた。
一瞬、もう身籠ったのかと錯覚している間に、ズルリと、肉棒が引き抜かれる。
「あひっ!」
急な刺激に声を上げ、体が震えてしまう。
ぽっかりと開いてしまった僕の穴の奥からは、入り切らなかった精液が、ダラダラと流れ出し、僕はただ、そんな光景を、ただただ呆然と、眺めているしか出来なかった。
ー
ズルリ、ズルリと、身体を引きづられていた。
それが、彼の巣穴だったのか。
洞窟の中に放り込まれた途端、彼の獣臭を掻き消すほどの甘い匂いに包まれた。
頭がクラリとした。心臓が強く脈を打つ。
あれだけされて、ようやくエッチの準備を終えたのか。
僕の身体は、甘い匂いに誘われた様に興奮を覚え始めていた。
彼に痛めつけられて、犯されて、もう抵抗する気力もなくなって。
地面に転がる僕の上に、彼が再び跨ってくる。
あれだけ出したのに、まだ犯し足りないんだ。
そんなにまで僕の事を孕ませたいんだ。
強く脈打つ心臓は、いつしか愛情にも近い音を響かせていた。
「あっ! きっ…ひぅ…いぃぃっ、あ、はぁぁっ、んっ…んんぅ!!」
後ろから伸し掛かられ、彼の肉棒が再び僕の中へと入ってくる。
2度目は簡単だった。引きずられている内に脱げたのか、丸出しになった僕のお尻に隠すものなんてなく、彼の肉棒は、あっさりと僕の中を一杯にしてくれた。
遠慮なんて無い。
パンパンと、ただ性欲をぶつけるだけの性交。
快感なんて感じる暇もなく、強く勃起した彼の肉棒が、ひたすらに僕の中を貪り続けると、一際強い衝撃の後、ドロッとした精液の塊が僕のお腹を膨らませていた。
「あっ、あっ…また、でて、だされ…ぼく、はぁぁぁっ、んっ♥」
お酒を煽った時のような酩酊感に目が回る。
お腹を膨らませる精の熱に心を掻き乱され、理性が散り散りになって溶けていく。
鼻をくすぐる甘い匂いが、精の熱をより強く感じさせ、それが頭の中一杯にまで膨らむと、僕の中で何かが弾けていた。
「あひっ♥ あ、やっ…な、なにこれ…ぼく、あ、あ、あ…」
洞窟に響き渡った嬌声に耳が潰れそうだった。
彼のくぐもった興奮をかき消す程の声を上げ、お腹を満たす精に打ち震える。
射精を終えた肉棒は萎えることを知らず、一度絶頂の味を覚えてしまった僕の身体は、もうどうしようもなく感じるようになっていた。
精の熱に、快感に溺れ、彼が満足するまで、何度も何度もイかされて、吐き出された精を掻き出されては、もう一度、お腹の奥を白で染められる。
「い、いやっ、やめっ、しんじゃ、じんじゃうっ、僕、ぼく…ひっ、あ…♥」
何度目かの絶頂を迎え、意識がまどろみに溶けていく。
お腹の中に、肌の上に、熱いものを浴びせかけられながら、僕は恍惚と、熱い吐息を吐き出していた。
ー
のしっ…のしっ…。
どれくらい経ったのだろう。
薄ぼんやりと戻ってきた意識の中、彼が近づいてくる音がする。
餌でも取ってきたのかな?
甘い匂いの中、僅かに混じった血の匂いに鼻が動いてしまう。
ぐぅ…と、自然とお腹が鳴ってしまい、自分がまだ生きてることに驚かされた。
ドサッと、彼の口から放られた肉塊が、僕の前へと転がってきた。
でも、どうしてだろう?
感じた血の匂いは僕が知ってる匂い似ていた。
目の前に転がった男の子の姿。
ああ、でもそれは。
僕が知っている子と、似ても似つかないものに変わり果てていた。