ドキン、ドキンと、触れ合った肌の向こうから強い鼓動が伝わってくる。
その胸の、その柔らかさに気づいた瞬間。コハナの興奮が移ったみたいに、俺の胸の内からも、強い興奮の音が響きだしていた。
「あの…俺、あっ…ハナ、え…んっ」
唇を塞がれた。
首筋に触れた時よりも柔い感触に心が奪われる。
何か言おうとして、でも、急に近づいてきたコハナの顔を見ていられなくて、慌てて瞼を閉じてしまった。
バカッ、急に何すんだっ、離れろよっ。
言いたいことは山ほど合った。反射的にコハナの体を引き剥がそうともした。
いつものやり取り。子供扱いされたくなくて、悪態をついた事も少なくはない。
その度に言われるんだ。困ったような顔をして「ごめんね」って。
そんな事が言いたかった訳じゃない。そんな顔をさせたかった訳じゃないのに。
「あはは…ごめんね、急に。キスだなんて、ビックリしたよね、だけど…」
まただ。俺が素直になれないせいで、またコハナを困らせている。
「好きだ」って。少し前まではあんな簡単に言えていたのに、いつの間にかそれが難しくなっていた。「俺が守ってやるからな」って、それがどんなに難しいか知る程に、逆に自分が守られていた事にも気づいてしまう。
「いや、別に俺は…。それに、もう良いのかよ?」
「ううん。全然まだなんだけど…ホントに、良いの? イヤなら今言って? じゃないと僕、途中で我慢とか…」
「ハナ…。ん、ちゅっ…」
今度は俺の方から、コハナの唇を奪ってやった。
見様見真似。ただ、やられた事をやり返すだけの拙い口付け。
触れて離れて、また触れて。コハナの柔らかい唇は ただただ甘く、離れている時間さえ惜しくなると、唇を押し付けている時間だけが伸びていく。
「え、まっ…とれ、や…くん、ちゅっ…ゃ、あ、んっ…」
俺の肩に触れていたコハナの手に力が入る。
無言の抵抗。コハナに残っていた正気の名残りが、最後のお姉ちゃん風を吹かせて消えていった。
遠ざけるような、押し止めるような。でも、拒みきれなくて、だんだんと掴まれた肩から力が抜け、むしろ抱きしめるような力加減に変わっていった。
瑞々しい唇の感触に、ふっくらと押し返される。
触れ合った薄い肌と肌とが触れ合って、擦れあい、お互いのこぼした唾液でヌメリを帯びると「ちゅっ…ちゅっ」と、キスの合間に合わせる様に、水音が混ざりだす。
ドキドキとしていた。興奮で頭がおかしくなりそうだった。
頭の奥がジリジリと熱をもち、股間が痛いくらいに膨れ上がる。
それが、俺の初めての勃起だった。
いままでにも、コハナの事を想えば大きくなる事もあった。
だけど、こんなにも熱く、固くして、どうにもならない感情に支配されるのは初めてだった。
「ハナっ、ハナっ、おれ、おれっもう…っ!」
どうにかしたい。どうにかなりそう。でも、どうしたら良いかが分からない。
まるで、勃起した肉棒に操られるように身体が動き、コハナの事を押し倒そうと、掴んだ腕に力が入る。
目の前が真っ赤になっていた。
いつの間にかズボンを下ろし、取り出した肉棒をどうにかしたくて、コハナの肌に触れさせようと必死になる。
なんでかは分からない。分からないけど、そうしたら絶対に気持ちがいい事に気づいてしまう。だって、肉棒を取り出す時、自分で触った時ですら、腰が跳ねる程に気持ちがよかったんだ。
コハナの柔らかい肌に。コハナの温かい肌に。俺のモノ擦り付けたらもっと気持ちがいいのなんて、簡単に想像がついてしまった。
その衝動は、そのまま性の熱に火をつける。
このままコハナを押し倒し、足を開かせて、そうしたらそこにあるはずだから。
聞きかじった知識だけが俺を動かし、興奮に急かされる様に指が動いた時だった。
「まってっ。ねぇって、もぅっ、トレヤくんっ!」
「え、あっ…。は、な?」
そんな俺を正気に戻したのは、コハナの大きな声だった。
コツンと、おでことおでこが重なり合う。
目の前には少し怒って見せるコハナの顔。だけど、怒りなれてもなく、そもそも本気でもない表情に凄みは感じられず、むしろ拗ねているような可愛らしさもあった。
「あ、おれ。ごめん、キスしてたら、なんか訳わかんなくなって…ハナ」
「大丈夫。大丈夫だから、僕は逃げないから…。慌てないで、落ち着いて?」
コハナに頭を撫でられる。
「大丈夫、大丈夫だから」と何度も撫でられ、恥ずかしくて、くすぐったくて、でも、イヤではなかった。
その感触が心地いい。
撫でられている内に、ささくれだっていた心が落ち着いてくると、それに気づいてしまう。
コハナの指先が震えていた。頭を撫でる手の動きも、いつもに比べてぎこちない。
「ハナ? どうしたの?」
「ん、まぁ…僕だって、緊張くらいするよ。だってトレヤくん、おちんちん そんなにするなんて思わなかったし?」
「え、あっ」
指摘され、慌てて腰を引っ込める。
「ごめん」と謝ろうとした俺の唇が、コハナの指先に塞がれてしまう。
ゆっくりと顔を横に振った後に「くすっ」と浮かんだ表情は、コハナお姉ちゃんの温かい笑顔だった。
「太ももの上って…こうでいいのか?」
「おいで?」と、言われるままに身体を寄せると、コハナの太ももに跨るようにして足を開く。
勃起した肉棒の根本に感じるコハナの肌。柔らかくて、温かい。触れているだけなのに、もうどうにかなりそうで、興奮を強めた肉棒につられて、腰が揺れてしまう。
「うん、そう。あははっ、おちんちんビクってしたね?」
「う、うるさいなっ! 良いから、早くしてよ…俺だって、恥ずかしい」
「うん、ごめん。じゃあ、もう少し前にきて? えっと、トレヤくんの膝を僕の、その、お股に当てる感じで」
「う、うん…。こうで、良い?」
体を重ね、絡め合う。
コハナの太ももの上に跨り、言われるまま腰を寄せる。膝の上に彼女の股間が押し付けられると「んっ…」と、漏れた声が悩ましかった。
「あ、ゴメン。痛かった…?」
「大丈夫、痛くなんか。少しドキドキしちゃっただけで」
ドキドキしていたのは俺も一緒だった。くすっと微笑むコハナの顔に、どうにも堪らない感情が駆け抜ける。
何か叫びたい。
今すぐにも抱きしめたくなり、震える指先を抑えるのに必死だった。
「だから、笑うなよ…」
「ああ、違うんだよ。おかしかったんじゃなくって、今日は素直だなって思うと、ちょっと可愛くて。そう言ったら君はイヤがるんだろうけど」
「イヤがってなんか…。俺は別に、今までだって…」
「ん…そっか」
深くは聞かれなかった。ただ、何かを察したように頷いたコハナは、どこか安心したように ほっと吐息をこぼす。
本当なら言わなきゃいけない。
嫌がってない。嫌だった訳じゃない。ただ素直になれなくって、どうしたら良いか分かんなくなってただけで。本当はもっと一緒にいたかったんだって。たったそれだけを言うのが こんなにも難しい。
言葉を探して、言葉を選んで、何度も口ごもって。結局は形にならないまま、次に俺が口に出した声は、自分でも聞いた事のないような甘く上ずった声だった。
「あっ、っぅ、ひぅっ…!?」
背筋が震え上がる。ぱっと、頭の中がそれ一色に染まってしまう。
腰が跳ね、股間から甘い何かが這い上がってくる。
これは、なんだ? 何だって、こんな…。
おちんちんが熱い。おちんちんが固い。
膨れ上がった肉棒が今にも弾けそうで、それがどうにも窮屈で息苦しい。
コハナの指が、俺の肉棒を撫でていた。
たったそれだけ。くすぐるよりも優しい刺激は、それだけで勃起した俺の肉棒を喜ばせるには十分だった。
ドキン、ドキンと、心臓が跳ねる度に、ドクン、ドクンと、肉棒が震え上がる。ムズムズして、モゾモゾして、腫れ上がったみたいになった肉棒を撫でられると、甘い痺れに囚われた。
「ハ…ナっ。やめっ、それ…あっ、変に、俺、だめだよこれっ、こんなの」
「やめないよ。やめられないよ。分かるでしょ? トレヤくんだって、お股いじられるとさ? 気持ちいいの、止まらないでしょ? 僕だって、一緒だもん」
気持ちいい?
ちがう、そんなもんじゃない。確かに似ているかも知れないけれど、これはもっと暴力的な感覚だった。
否が応にも引きずり込まれる。抗おうにも難しい。
止められない、それは分かる。
初めて感じた官能を、どう受け止めて良いか分からない。
触れられて、感じて、腰が跳ねる。
それは同時に俺の足を揺らしていた。
コハナの口から甘い声が漏れてくる。それは、股間に押し付けていた太ももを震わせる程に上ずっていき、俺の耳に纏わりついてきた。
「はっ、あっ、やっ、はぁ、はぁっ。トレヤくん、それっ、それもっと、お膝、僕のお股に押し付けて、ぎゅってもっと、激しくて良いからっ」
「くぁっ、あっ。そんな、こと…言われたって、ハナの指、がっ、んぁ」
1本、2本と、触れているだけだったコハナの指が、大きく膨らんだ肉棒に折り重なった。形を確かめるように撫でられて、包み込むように動かされると、ジリっと重たい官能が膨らんでいく。
気づけば、コハナの指先が肉棒の先に触れていた。
まるで果物の皮でも剥くみたいに、被っていた皮を剥かれ、肉棒を丸裸にされる。
初めての快感だった。
今だって、あんなに気持ちが良かったのに。
皮を剥かれた先端の柔い部分が、コハナの指に撫でられただけで、勃起した肉棒の根本から、何かが競り上がってきそうになるのを必死で耐える。
「ほら、トレヤくん。もっと、近くにきて? 僕の太もも、使っていいから…んっ。そう、おちんちん押し付けて、スリスリさせて。い、いいよ、うん。気持ちいいよね? 僕ので気持ちよくなれてる?」
ちゃんと言葉にして上げたかった。「気持ちいい」って言って、安心させてあげたかった。だけど、俺はカチカチと歯を鳴らすばっかりで、何か伝えようにも言葉が出ない。
繊細な指の感触に包まれながら、勃起した肉棒の頭を抑えられる。
手の平と太ももと、コハナの肌に挟まれながら、柔い太ももに肉棒が沈み込んでいく。絡みついてくる指先が不規則に動き、弄ばれた肉棒が硬さを増すと、その根本にぐっと力が入っていく。
「あっ、くっ! これっ…ハナっ、まって、俺…なにか出て…おしっこが」
「ううん、良かった。トレヤくん、僕で気持ち良くなれてるんだ…」
「何が良いんだよっ。こんなの、汚いってばっ。変態なのっ、ハナはっ」
「変態って…酷いな。別に汚くなんか無いしさ、ほら、ヌルヌルしてるでしょ? おしっことは違うんだから」
ガクガクと腰が揺れてしまう。手の平と、太ももと、柔らかい肌に擦られていた肉棒から、目眩のするような快感が流れ込んでくる。
女の子の肌に挟まれて、その間でビクン、ビクンッと肉棒が跳ねる度に、先っぽから溢れた何かが、コハナの綺麗な肌を汚していった。
ドロドロしている、ネバネバしている。
腰が動いて、おちんちんが前後に擦られると、コハナの肌の上にヌルヌルと拡がって、どうしても彼女を汚しているんじゃないかって、とっても悪い事をしているはずなのに、自分の出した何かでコハナが汚れていくと思うと、妙な興奮が湧き上がり、肉棒が更に気持ち良くなっていく。
「気持ちいいっ、気持ちいいんだよねっ。トレヤくんもっ。お願い、もっと擦って、僕のお股もっ。気持ち良くして欲しいんだっ」
分からない。コハナが何を言ってるのか理解できない。
ただ彼女の甘い悲鳴が鼓膜を揺らし、頭に響く。
いつの間にか、俺の膝の上にも温かい何かが染み出していた。
それがヌルヌルと滑りを良くしながら、コハナの興奮も伝えてくる。
ヌルリと、濡れた太ももを持ち上げる。
コハナにせがまれるまま、反射的に跳ねているだけだった足の動きに、どうにか意識を向けていく。
太ももをゆすりながら、コハナの股間を刺激する。
快感から逃げるように背中を揺らしながら、ゆっくりと彼女の身体が持ち上がっていく。
次の瞬間。
ズルリと、コハナの身体が滑っていった。
慌てて閉じた太ももは、だけど、自分の流したヌルヌルで滑って止まらない。持ち上がっていた彼女の身体は下へとずり落ち、押し付けられた股間が膝の頭に引っ掛かると、彼女の敏感な部分を引っ掛けていた。
「きゃふっ!? あ、いまっ、すご…。ああっ、あっ、もっともっとっ」
縋るようだった。股間を擦り上げる度に、何処かで残っていたお姉さん風が消えていき、一人の女の子が俺の膝の上で弄ばれている。
抱きしめられる、抱き寄せられる。お互いの膝の上に股間を押し付け合って、思うままに刺激を与えあうと、二人分の快感が重なっていくみたいだった。
「ああっ、んふっ、あっ、きゃんっ!? それ、あっあっ、きもちいっ、気持ちいいっ。イッちゃ、僕、ぼく…もうっ」
「いくってなに? やだよっ、コハナ姉ちゃんっ、俺と一緒にいてよっ、どこにもいったら」
「あはっ♥ ちが、そうじゃなくって、何処にも行かないよ、僕は。あ、はぁ…トレヤくんと、一緒に、一緒がいいから、だからっ」
肉棒を押さえつけていた手の平に重みが増した。
さらに強く、深くに沈み込んだ 肉棒が太ももとの間で震えると、根本から何かが吹き出しそうな衝動に言葉を奪われる。
「いいよっ、そのまま。出しちゃって? 出そうなんでしょ?」
「で、出るって、何が…俺っ、こんなのッ、はっ、んくっ、知らなくて」
「大丈夫だよ。ほら、僕と一緒っ、お姉ちゃんが一緒にいるから、二人で、ね? はぁっ、やだっ、もうっ、あ、んっ、ふぁぁ。気持ちいいの、二人でしよ?」
何が何だか分からない。快感で思考が焼き切れそうだった。
絶対にまずいって思っているはずなのに。それが正しいことのように思えてしょうがない。肉棒が今にも爆発しそうな程に膨れ上がっている。このまま溜め込んだ何かを吐き出したら、絶対に気持ちがいいって分かってしまう。
コハナに、お姉ちゃんに、大好きな人の体に、自分の気持ちいいを全部預けられる。その欲望に抗えるほど、今の俺は強く出来てはいなかった。
「ハナっ、ハナっ…。きもち、きもちいいんだっ、俺も、だから、一緒に、わかんないけど、一緒に気持ちよくなりたっ、あぁっ、くっ、そ…」
「うんっ、うんっ。僕も、トレヤくんと、一緒がいいよぉ。一緒に気持ちよくなろうねっ」
抱きしめ合って、抱き寄せ合って、お互いの股間を押し付け合った。
すでに俺の膝の上はベチャベチャで、コハナの太ももの上もグチャグチャで、お互いのドロドロをズルズルと擦りつけあっているだけで、気が狂いそうなほどに気持ちがいい。
ドクンっと、肉棒が跳ね上がった。その瞬間、頭の後ろ側で理性が焼き切れたように、瞼の裏でバチバチと快感が弾け飛んでいた。
訳が分からない。
衝動のまま声を上げ、肉棒の先から、その奥から、快感が噴き上がってくる。
それを気持ちいいと言うには、あんまりにも強烈だった。
自分の全部、心とか魂とか、そういう形の無いものまでも丸裸にされた気さえする。
白く濁ったそれは、白濁色と、確かにそういう色合いだった。
大量に吹き出た白濁液は、コハナの指の隙間からも溢れ出る。
ビクン、ビクンと、肉棒が跳ねる度に、自分の中から何かが抜け出して、空っぽになった隙間には、すぐにも新しい快感に埋め尽くされていった。
体が震え、声を上げ、強く抱き返されているのに気づくと、コハナの甘い悲鳴に頭を揺らされる。
「んっ、ひゃっ。ふぁぁっ♥ あ、あ、あっ、いい、これ、すご…ぼく…」
ぎゅぅっと、苦しくなるほどに抱きしめられて、ふとした瞬間にコハナの体から力が抜けていく。慌てて支えようにも、力が入らないのは俺も一緒で、未だに震え続ける肉棒に全てを持っていかれたまま、お互いに寄り掛かるしか出来なくなっていた。
ズルリ…。
力の抜けたコハナの手が滑り、押さえつけられていた肉棒が跳ね上がった。
同時に、白く吹き上がった液体はコハナの顔にも降りそそぎ、その健康的な肌の上から、つぅっと糸を引きずり垂れ落ちていく。
気持ちが良かったんだ。
ぼぅっとしている。
柔らかくて、温かくて、コハナの顔にそんな表情は何処にもない。
強い快感に晒されて、恍惚としながらも、ただ呆然と、熱い吐息を繰り返すだけの、エッチな顔に見惚れてしまう。
「ん、はぁ…ぁ。はぁ、あっ…いっぱい、出したんだ?」
「わ、わかんないけど…。ゴメン、汚しちゃって、俺」
「良いよ。エッチなことしたんだもん、このくらい汚れるよ…それに汚くなんか」
ペロリと、コハナが指先を舐めていた。
綺麗なった指先で頬にかかった白濁液を拭い、再び白く汚れた指先の上で遊ぶように舌が動く。
細い喉がなる。コハナの身体の中に、それが落ちていく光景は、とんでもない罪悪感に満ちていながらも、堪らなく俺を興奮させてくれていた。
「ほら、ね? トレヤくんも…あーん」
コハナの指先に、彼女の流したヌルヌルが纏わりついていた。
つぅっと、それは糸を引き、俺の目の前で雫がこぼれ落ちると、それはぷつっと途切れて消えていく。
そんな光景から目を離せなかった。
誘われるように、口が開いていってしまう。
どんな味がするんだろう。性的な好奇心、なんとも言えない未知の興奮が拒めない。
コハナの指先が俺の唇に触れ、入り込んできたそれを、指先と一緒にペロリと舐めあげる。味なんて分からない。妙な興奮と、恥ずかしさに耐えるので精一杯だった。
「ね? 汚くなんかなかったよね?」
「ん…うん、それは。あ…ハナ、ん、ちゅっ…ぁ」
頷いて、それでも戸惑いを隠せないままの俺は、コハナに唇を奪われていた。
最初の時とは違う。戸惑いも、恥ずかしさもまだ残っているけれど、コハナの事を一番に感じられる距離から、愛おしさが伝わってくる。
「ふぅ。ははっ…。落ち着いたら、ちょっと恥ずかしいね?」
「う、うん…」
短いキスを終えて、コハナの体が離れていった。
夢のような時間。それが終わってしまうのが惜しい。
もっと一緒に、もっとこのまま。
ゆっくりと解けていく俺の心のなかに、ふと甘い香りが混ざり込んでくる。
お菓子のそれとはまた違う、花の様な、生々しい生き物の香り。
混ざっていく。二人の体から立ち上る性の匂いに、甘い香りが混ざり合う。
汗と涙と、俺が吐き出した精液と、コハナの流した愛液がより一層芳しく感じ始めた瞬間。
ドキンっと、強い衝動に胸を叩かれた。
今すぐにもコハナを押し倒したい。
頭の中が真っ赤に染まり、肉棒に血が巡りだす。それからどうしてやろうかと、考えるより先に衝動が暴れ出し、ギリと奥歯を噛み締めた。
「トレヤくん、大丈夫?」
「はぁ、はぁっ。え、あ、俺…うん、平気。ちょっと、ハナがエッチすぎて、さ」
「あ、うん、そう…なんだ。それは、よかった、のかな? にひひ…」
「知らないけど、うん」
コハナが浮かべてくれた照れ笑いに気が抜けた。
それと同時に、酷い罪悪感に襲われて吐きそうだった。
今、自分が何をしようとしていたのか、思い出すのも嫌になる。
「続き…はさ? 帰ってからしよう、ね?」
そんな俺の我慢も知らないで、そんな誘うような事を言って。
エッチな事をしたあとで、なんかおかしくなるのは分かるけど、今すぐ押し倒したって文句は言われないんじゃないかって、無防備なコハナの言葉に苛立ちさえも感じていた。
「続きって…ハナ」
「約束、絶対帰るんだって…。なんか、ある方がやる気出るでしょ?」
照れ隠しの混じる、はにかんだ笑顔にドキッとさせられた。
続きだって、何とは言わないけれど。曖昧なその表現が、余計に生々しい想像をさせてくる。
帰ったら…か。
コハナの言う通り、たしかに、俺はその気にさせられてしまったみたいだ。
「さ、行こ? トレヤくん」
「うん」
最低限の身支度を終えた後、伸ばされたコハナの手をしっかりと握り返し、俺たちはさらに洞窟の奥へと潜っていった。