※この作品はR-18です。

ケモミミの女の子+異種姦ときどき おねショタ   作:霧里

6 / 17
出口

洞窟の奥へ進む程に、甘い匂いは強くなっていった。

 

息を吸い込むだけでクラクラと視界が揺れ始め、堪らず熱の籠もった吐息を吐くと、嫌でも自分の官能を自覚させられてしまう。

 

トレヤくんと繋いだ手が汗ばんでくる。

 

ただ手を繋いでいるだけなのに、そこにある異性が気になってしょうがない。

 

正直、あそこで踏みとどまれたのは奇跡みたいなものだった。

次はキスでもダメだろう。きっと僕は正気を無くして、トレヤくんをどうにかしてしまいそうだ。

 

そういう意味では、トレヤくんの我慢強さに救われたのかもしれない。

 

もし、押し倒されてしまっていたら僕には抵抗が出来ない。

もし、少しでも求められてしまったら僕には拒めない。

 

盗み見たトレヤくんの顔が赤く染まってる。

歩く度に腰が引け、刺激から逃れるような動きはどうにもぎこちなかった。

 

また、おちんちんが固くなり始めてるんだ。

また、僕とエッチな事したくなってるんだ。

 

もう、何がきっかけになるか分からない。

 

トレヤくんの心配をする振りをして、一秒でも長く彼の事を見ていたくなる。

 

匂いがした。

 

甘い匂いの中、彼のおちんちんから感じる精の匂いが強くなる。

 

ドキドキした。ソワソワと身体が落ち着か無い。

 

二人で慰めあって、少しは身体が楽になったと思っていたのに。

中途半端な行為が、快感への欲望を余計に強くしてしまっていた。

 

じっとりと、下腹部に生まれた熱が全身に広がっていく。

トレヤくんのおちんちんがココに入ってくるんだって、チラリとでも考えると、舞い上がった興奮が官能の音を響かせた。

 

「あ、ハナ。アレって…」

「え、あっ。なになに?」

 

トレヤくんの声に顔を上げ、慌ててピンクに染まった思考を振り払うと、努めていつもの声音を演じてみせた。

 

風に頬を撫でられる。

 

熱くなっていた肌を冷ましながら、流れ込んでくる空気の中に、草木の匂いが混ざり込んでいるのに気づく。

 

外の匂いだ。

 

嗅ぎ慣れた森の空気に鼻を鳴らすと、洞窟の出口を月明かりが照らしていた。

 

よかった。

 

僕が、しっかりしなきゃいけないのに。

出口を見つけた途端にどうしても気が抜けてしまう。

 

まだ、出られるのかも分からない。甘い匂いだって強くなる一方だ。

それでも、どうしたって浮かれる気持ちを抑えられず、出口へと急いだ僕は、その手前で慌てて足を止めていた。

 

「止まってっ」

「え、なに?」

 

いきなり足を止めた僕の背中に、トレヤくんが鼻の頭をぶつけていた。

ゾクリと、それだけの事に背中をくすぐるような性感が広がってくるが、今はそれに気を揉んでる程の余裕がない。

 

「なに…あれ?」

 

花だ。

 

一見すれば確かにそう。

 

穴の空いた天井。月明かりの下で咲き誇る白い花弁は確かに美しい。

けれど、それはあまりに大きすぎた。

お花のベッドでお昼寝をする。幼心に考えた空想をそれはきっと叶えてくれるだろう。

 

それだけならまだ良い。それだけなら僕もまだ、月明かりに照らされる巨大な花びらを、綺麗だと言えたのかも知れない。

 

勘っていうのかな。

 

今まで狩人なんてしてきたから、なんとなくでも気づいてしまう。

 

アレは、待ってるんだ。

 

獲物を捉えるために息を殺す、狼にも似た気配。

何よりも、甘い匂いで誤魔化されていた違和感の中に、死臭が漂っているのに気づいてしまった。

 

きっと皆、この匂いに誘われてしまったんだろう。

 

性欲に直接訴えかけてくるような甘い匂い。僕だって、トレヤくんの事がなければフラフラと近寄っていたかも知れない。

 

「トレヤくん。走れる?」

「走るって? ていうか、アレはなに? デカいけど、ただの花だろ?」

「分かんないけど。多分、動くよアレ」

「マジ…」

 

僕の後ろから、トレヤくんが顔を覗かせていた。

 

遠目に見れば確かに花だ。だけれど、白い花弁の中で揺れる雄しべは蜜でヌメリ、揺れる姿は風とは違う蠢き方をしていた。たとえばそう、僕にはそれが、獲物を前に舌なめずりでもしているみたいに映って見えた。

 

深い森の樹木のように、張り巡らされた根が足元にまで広がっている。

あと一歩か。すんでで止まれてよかった。

試しに一つ、拾い上げた小石を花に向かって放り投げれば案の定だ。

 

根本に落ちたそれに向かって、何処からともなく無数の触手が伸ばされていく。

けれど、それがただの小石だった事に気づいたのか、触手はただの根に戻り、白い花弁は素知らぬ顔でその身を揺らしていた。

 

「ね?」

「ね? じゃないよ…これ、もどろうよ。ヤバいって、絶対」

「戻りたいけど。僕たちが落ちてきた穴は今の装備じゃ登れないし、他の道も無かったよ」

「…か、肩車とか? 俺を踏み台にしてくれたって」

「僕に思いっきり蹴られて骨折しない自信ある? トレヤくんを放り投げたって同じだよ? お手玉してる間に君が死んじゃうって」

 

そもそも、後戻り出来る余裕も無い。きっと途中で我慢が出来なくなって、きっと二人でダメになる。それならもう、暗い穴に向かって手を伸ばすより、まだ分かりやすい出口の方がいい。

 

花の向こう側とは言え、幸いにも距離は離れてはいない。

根を踏まないように、は無理だけど。僕が囮になってる間になら、幾らか現実的に思う。

 

「いい? 僕が気を引いてる間に、トレヤくんは出口に走る。OK?」

「でも、それだとハナが」

「君が逃げてくんないと、僕も逃げられないんだって。ほら、毎日僕とかけっこしてたのは、こういう時のためなんだから。ちゃんと走る」

「う、うん…」

 

小石を拾い上げ、トレヤくんに視線を送る。

不安は残る。だけど、しっかりと反応を返してくれたのを確認した後、僕は握り込んだ小石を出口の反対側へと放り投げた。

 

転がった小石に向かって触手が伸びる。

 

気を抜けば次は自分がああなる番だ。背中に冷たいものを感じながらも、触手の気がそれた隙きに、僕はトレヤくんを抱えて地面を蹴った。

 

なるべく遠くに、壁を蹴って更に向こうへ。出来るだけ安全に距離を稼ぎ、一足も二足も飛ばして出口へ向かう。

 

着地の瞬間、地面が、足の裏がグニャリと歪んだ。

生肉を、生き物を踏みつけた様なその感触に足元が波を打つ。

 

小石に気づいた触手達は、すぐに狙いを変えると、僕に向かって一斉に伸びてきた。

 

「行ってっ!」

「うんっ!」

 

トレヤくんの背中を叩き、先に走らせる。

伸びてきた触手の先をナイフで切り裂き、不安定な根の上で転けないよう、一歩二歩と足を下がらせた。

 

「くっそっ、このっ…!!」

 

まるで下手なダンス様に、張り巡らされた根の上で踊らされてる。

ステップを踏み間違えたらそこでお終いのダンスを、失敗しないように踊るだけで精一杯だった。

 

甘い匂いに敏感になった肌は、服に擦れただけで性感を刺激してくる。

飛んだり跳ねたりと、触手を切り払っているだけでも、自分を愛撫しているのと何も変わらない。

 

つい、気が抜けしてまう。

つい、力が入らなくなる。

 

後少し。もう少しだけ。

 

出口に近づくトレヤくんを横目で確認して、その背中に伸びていく触手に肝を冷やされた。

 

「まずっ。トレヤくんっ!」

 

慌てて触手に追いすがった。

 

彼の背中を押しのけて、振り返りざまに触手を切り払う。

だけど、不安定な体勢のまま強引にナイフを振り抜いたせいで、足元にまで気が回らくなっていた。

 

踏みつけた根が蠢いた拍子に足が滑る。体勢を立て直そうとしても間に合わない。

吸い込んだ甘い匂いに身体がピクリと震え、一時の性感に動きが止まると、その一時が僕から時間を奪い取る。

 

横滑りに、花の根の中へ、触手の蠢く地面へと倒れ込んでしまった。

 

起き上がろうと掴んだ蔦が、触手の様に手首に絡みつく。後ろから襲ってくる触手を蹴り飛ばしたまでは良いが、伸び切った足首に巻き付かれ、ものすごい力で引き寄せられてしまう。

 

空いた手でナイフを握り、足首に巻き付いた触手を切り落とす。

 

だけど、そんな無防備な体勢を晒した僕に、触手は次々と伸びてきて、暴れる僕の身体は、蜘蛛の巣に絡み取られた羽虫みたいに、段々と身動きが取れなくなっていった。

 

手首を縛られ、足首を掴まれて。

 

お腹に、首元に、伸びてきた触手が次々と絡みついてくる。

 

「トレヤくん、逃げてっ!」

 

そう叫ぶのが精一杯、せめて彼だけでも逃したい。

その覚悟だけが、迫ってくる死の予感から僕を抗わせていた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。