※この作品はR-18です。

ケモミミの女の子+異種姦ときどき おねショタ   作:霧里

7 / 17
白い花…(Hシーン1

手足が縛られ身体が引きづられていく。

 

いま捕まる訳にはいかない。せめてトレヤくんが逃げるまで時間を稼がなきゃ。

 

「にげ、て、トレヤくん…走って!」

 

僕の事を助けようなんて思わなくて良い。君だけでも逃げてくれれば、僕はもう、それで満足だから。

 

ナイフを握り直し、触手を切り捨てる。

 

一本、二本と、だからって、片腕の自由を取り戻した所で何も変えられず、すぐに別の触手に腕を絡め取られると、それでおしまいだった。

 

「このっ! 離せっ、離してってばっ!!」

 

普段ならこんな蔦程度、引き千切るくらいは出来たのに。

身体に力が入らない。洞窟に飛び込んでこの方、ずっと続く甘い匂いに感覚を狂わされている。

 

身体が火照って、肌がむず痒くなって。

力を入れる度に、ビクリと反応する身体から気が抜けてしまう。

 

手首を縛られ、太ももにまで巻き付かれ、服の隙間から覗くお腹に、細い首筋に、触手に触れられた肌が性感を訴え、胸がドキドキと高鳴ってくると、それは快感へと変わっていった。

 

発情させられてる。

 

もうすぐに、心の栓が外れてしまいそう。

 

もっと早くに、この洞窟から出るべきだったんだ。

 

でも、我慢できなくて、欲望に流されて。

 

こんな状況なのに、どうしても思い出してしまう。

 

勃起したおちんちんの感触。精液の熱い迸り。

恍惚とした感情に心を奪われ、何も考えられなくなっている間は、ただただ幸せだった。

 

「だめっ、いやっ…ちがうの、こんなの…っ、いたっ!!」

 

ぎっと、鈍い痛みに手首を縛られた。

 

力が緩み、取りこぼしたナイフを拾おうとして手を伸ばす。

「あっ」と、声を上げている間にも、ナイフの切っ先は指を掠めて落ちていき、僕はただそれを見ているだけしか出来なかった。

 

ナイフを掴もうと伸ばした手が、蔦に巻かれて縛り上げられる。

開いた腋の中へ、袖の内側にまで触手が入り込んでくると、ドキンっと胸が大きく高鳴った。

 

だってそこには、僕のおっぱいがあったから。

 

胸に巻き付かれ、乳首を弄られて、その先を想像しただけで興奮の音が強くなる

 

甘い、甘い匂いがする。

 

ポタリと、切りつけた蔦の先から雫が溢れていた。

 

濡れた肌がヒヤリとする。肌を流れ、乾いていく雫は、強烈な甘い匂いを生み出し、僕の頭の中を淡く染めていく。

 

これだ、この匂いだ。この匂いに僕たちはおかしくさせられて。

 

でも、わかった所で、どうしようって言うの?

 

悔しいくらいに全身が熱い。この匂いが連れてくる快感を、僕は知ってしまっている。女の子を意識させられて、気をやるくらいに気持ちよくさせられて、イヤとか、ダメとか、意地の問題じゃないんだ。

 

もう、そういう所に立っていられない。

 

お腹の巻き付いてきた蔦に身体を引き上げられる。

 

遠のく地面を少しでも近づけようと手を伸ばし、だけど、掴んだ小石は頼りなく、指先からこぼれ落ちていく。

 

振り返れば白い花。

 

白くて、大きな花が咲いていて、それはまるで、口を開けた獣の様にも見えた。

 

「トレヤくんっ、あ、だめ…僕…もう」

 

花弁の中に飲まれる瞬間。僕を見上げる彼と目が合った。

「逃げて」聞こえたかどうか分からない。ただ、足を止め、声を上げ、それが最後に見た彼の姿だった。

 

ー

 

お尻に濡れた感触が伝わり、倒れ込んだ背中にそれは滲んでくる。

バシャンっと、尻もちに、手を付いて、手首が浸かるくらいには、その液体は花の奥で溜め込まれていた。

 

甘い匂いが鼻につく。強烈な花の香りに、頭がおかしくなりそうだった。

 

琥珀色のその液体に浸かった肌が、かぁっと色めき立っていく。

ドクンっと、心臓が強く打ち、どんどんと肌が火照っていくと、甘い匂いは強さを増していった。

 

ひんやりと、肌寒いくらいの液体が、僕の体温に当てられて生ぬるいものへと変わっていく。まるで、アルコールで肌を拭かれた時の様に、ドロドロとした液体は、すぅっと冷たく感じた後、濡れた肌が今まで以上に熱くなる。

 

熱を持ち、火照った肌の上で蒸発した液体が甘い匂いに変わると、鼻から、口からと入り込み、身体の中から快感で溶けていきそうだった。

 

「はやく、でないと…でなきゃ…っ。トレヤくん…トレヤくん…」

 

もう声も聞こえない。触手に囲まれてて、それでも上手く逃げて欲しいと願う。

 

開いた花弁の窓からは、まだ洞窟の天井が見えていた。

 

でも、よじ登ろうにも花弁は深く、琥珀色の液体が染み付いた壁は、手を掛ける場所すらも見つけられない。爪を立てて、引っ掻いて、なんとか花弁に穴を開けようとも敵わなかった。

 

所詮植物なんだろうと思っていても、その花弁は分厚く、傷をつけた所から琥珀色の液体が滲み出すと、もうどうしようも無い。

 

手が滑る。それだけならまだ良くて、濡れた肌が熱くなり、爪の隙間にさえ性感の熱が灯る頃には、まともに力も入らなくなる。

今すぐにでも自分を慰めたい。彼の事を考えていないと、もうとっくに自分の体に手を掛けている所だ。

 

「このっ、このっ、出してっ、出してってばっ、この…はぁっ、はぁっ…!!」

 

引っ掻いて、殴って、自棄になって蹴飛ばして、でもダメで。

睨みつけるように上を見ても、手が届く事もない。

 

足を曲げて、力を溜めて、もしかしたら届くんじゃないか、そう思った時だった。

 

ぐっと、手首が引っ張られる。

 

飛び上がろうとした不安定な体勢のまま、足が滑り、背中から花の底に倒れ込んでしまう。

 

広がった性感が、背中に熱を広げていく。

琥珀色の液体に浸かった肌が、ムズムズと落ち着かなくなる。

 

でも、それが気持ちいいと感じてしまったんだ。

 

もっと触れて、もっと擦って。

 

反射的に身を捩り、蜜に浸った背中を擦り付けると、ゾワゾワとした快感に身体が悦んでしまう。

 

もっと、もっと…。

 

声になりそうな感情を慌てて飲み込み、なんとか振り絞った理性で身体を起こそうとするけど、それもダメ。

 

「え、なに…?」

 

手首が縛り付けられている。

 

外で僕を縛っていた蔦のような触手とはまた別の。

先端に、黄色い房を実らせたその触手は、どこか見覚えのあるものだった。

 

それは、たとえばそう、植物の、花の、雄しべにも似ていて…。

雄しべの形をした触手たちに縛られた僕は、植物の、花の、雌しべの様だった。

 

そんな想像に身震いする。

 

お花の真ん中で身体を開かされて、これから自分がどうなってしまうのか。

 

怖いのに。でも、それ以上に僕は…。

 

花の底。滴った蜜溜まりから、触手が次々と伸びてくる。僕の手足を縛っただけではまだ足りず。大きいのから小さいのまで、身体に絡みついてくると、剥き出しの肌の上を舐め、服の中にまで入り込んできた。

 

雄しべの形をした触手たちは、撫でるように僕の身体を這い回りながら、琥珀色の液体を、甘い香りのする花の蜜を塗りたくってくる。

 

首元、袖の内側、上着の裾、衣服の隙間から入ってきた触手達に肌を撫でられる。

胸元を、腋を、お腹の上をくすぐられ、敏感になっていた肌が性感を強くすると、嫌でも身体が熱くなっていく。

 

だって、しょうがないじゃない。

 

これは、この液体のせいだから。

 

分かっていてどうにかなるものじゃない。

 

触られれば触られるだけ気持ちが良かった。

 

もっと触って欲しいとまで思う。

 

気づけば、触手は太ももの付け根にまで伸びていた。ズボンの隙間に入り込み、僕の女の子の部分にまで触れてくる。

 

得体のしれない触手達に、身体を弄り回されていた。

 

下着の上からでも、大事な割れ目の縦筋にまで触れらると、確かな快感が下腹部に広がり、期待の音が胸を打つ。

おっぱいに巻き付き、乳首を弄られ、下腹部に触れる触手にドキリとさせられる。

 

滴る花の蜜が性感帯に塗り込まれていく。

 

濡れた肌は感度を上げて、火照った肌に快感の火が灯る。育ちきった性感が熱を生み、あまりの気持ちよさにフワリと身体が揺れてしまう。

 

「ひゃっ、あっ、あ、あぁぁぁ、くっ、ぃゃ、ひうぅっ、あっ…♥」

 

声が抑えられない。どうしたって感じてしまう。

 

快感が心臓の音を大きくして、胸の内から叩かれた乳首が固さを増していった。

脇腹を刺激され、くすぐたいのが気持ち良くなる。

 

身体のあちこちから生まれる快感に身悶えていると、おへその中にまで触手の先端が入り込んでくる。グリグリと、短い刺激に腰が震えて、緩んだお腹が解けそうになってくる。

 

同時に、全部同時にだ。

 

順番に可愛がってくれるような気遣いは、触手達は持ち合わせていなかった。

 

ズボンの隙間から入り込んだ触手が、遂には下着の中にまで食指を伸ばすと、僕の女の子の部分に直接触れられ、甘い蜜の冷えた感覚の後、すぐにも割れ目が熱くさせられる。

 

「あ、やだ、そこ、は、ぁぁっ。いっ、ひっ、ふぅ…ふぁぁぁ、あ、ゃ、なのに…んっ♥」

 

吐息が熱い。甘い声が出てしまう。

 

女性を示され、快感を植え付けられて、どうにもならない興奮に期待が募る。

 

そのまま乳首を扱かれたい。彼のおちんちんにしたみたいに、乱暴にされたら、それはきっと気持ちがいい。

 

そのままおへそを掻き回されたい。身体の中に一番近い場所を、ほじくられながら、グリグリと触手の先で掻き乱されたら、それもきっと気持ちがいい。

 

そのまま、そのまま…。

 

それから、それから…。

 

僕の、女の子の部分を…。

 

考えようとして、考えたくなくて、それはきっとやっちゃいけないことで、でも耐えきれなかった。我慢なんて、もう無理だった。

 

お腹の奥が、かぁっと熱くなる。

 

奥から奥から溢れてくる。花の蜜とは違う、僕自身の蜜が溢れて止まらない。

 

そのまま犯されたい。早く僕を気持ち良くして欲しい。

 

男の子の、動物のおちんちんですら無い。

 

何か、よくわからない、得体の知れない花の化け物の性器を自分の中で受け入れる。想像するだけで、おぞましい光景だった。でも、想像しただけで、身体が熱くなってしまう。

 

もう、気持ち良い事だけで一杯だった。

 

トレヤくんと肌を重ねた時より、気持ち良くなれるんじゃないかって。

最低な期待に、そんなのだめなのに、でも考えてしまう。思うだけでもう、下腹部からくる疼きを止められない。

 

「んちゅっ…ぁ、ん、う、にゅぅ…んんぅぅっ…あっ」

 

唇に、触手の先が、そこに実った黄色い房が押し付けられる。

それは果実のようで、気泡のようで、ブヨブヨとしていた。

 

唇の上に押し付けられ、擦り付けられ、だんだんと膨らみ、風船の様に張り詰めると、パンっと、あっけない音と共に僕の口元で弾け飛ぶ。

 

溢れた白濁色の液体は、まるで、男の子の精液みたいにドロリと流れ、黄色い果実から飛び出した花の精液は、僕の顔をベタベタと汚していった。

 

あ、ダメだ。これ飲んだら、絶対ダメになる。

 

唇の隙間から滲んできたその味は、とても優しい甘さを含んでいた。

もっと飲みたいと自然と舌が勝手に動き、蜜の味がする精液を舐めてしまう。

 

一度味わえば止まらない。

 

舐める度、飲み込む度に、身体の中から熱が生まれ、強く刻む鼓動の音が全身に快感を巡らせていく。

 

最初にちょろっと、でもそれじゃ足りなくて、滲んでくる精液を舐めているだけだった舌先は、次第に唇の外へと向かって伸びていった。

 

ポタリ…ポタリ…。

 

触手の先端から滴り落ちる白濁色の果汁。

口を開き、少しでもその雫を受け取ろとして、伸ばした舌先にまた、黄色い果実が触れていた。

 

別の触手の、まだ果実を実らせた先端が僕の口の中へと入り込む。

 

「んふっ、あっ、んぅぅ、ぺ、ちゅっ…れろっ、ん、あはぁぁっ、あっ」

 

黄色い果実を舌にのせた僕は、子供の頃、貰った飴玉を舐めるみたいにして舐め回す。けど、噛み砕きはしない。だってそれが楽しみだったから。

 

飴玉の、甘いお砂糖の、固まった部分が溶けてきて、それが薄くなっていくのがわかる。その奥にはさらに甘い、練乳の白い幸せがあるのを知っていた。

 

噛み砕けばそれはすぐに、お口を幸せにしてくれるのは分かっている。

 

でも、それはなんというか、せっかちな気がしてもったいない。

 

外側の甘い部分も楽しんで、一杯一杯舐めて遊んで。

 

もう少しかな、もう少しかなって、薄く、小さくなっていく飴玉を舌で転がした。我慢に我慢を重ねて、噛み砕きたい衝動を押さえつけて、ふと舌先に溢れた練乳の甘さと一緒に噛みしめるのが好きだった。

 

口の中が溶けていく。甘い甘い、幸せが広がっていく。

 

甘い甘い飴玉は、でも、あの時の様に小さくならず、むしろ僕の口の中で大きく膨らんでいた。

 

それは子供心に感じていた幸せよりも膨らんで、僕に大きな期待を抱かせるには十分に実っていく。

 

最初は余裕のあった口の中も、すぐに膨らんだ果実に塞がれてしまう。

顎が疲れるくらいに開かされ、押し出そうにも、飲み込もうにも、僕の口からは動かせなくなる。

 

口の中で一杯に膨らんだ果実。

 

パンっと弾ける瞬間が待ち遠しい。

 

堪らなくなって、自分で噛み潰そうとして、けど弾力のある表面に弾かれる。

果実の表面に傷が付き、甘い雫が滴って、それが口の中に広がると、もう拷問の様にも感じていた。

 

早く、早く、それが飲みたい。

 

黄色い果実の奥、白い果汁で喉を潤したい。

 

「あ、くっ、んっ、んっ、あぁぁ…んんぅぅっ」

 

潰れろ、潰れて…はやく、はやく。

 

閉じれなくなった口を動かして、果実の表面に少しでも傷をつけようと歯を立てた。甘い果汁に誘われる。もうそこに滴る汁が、何だったのかも覚えていない。

 

グチャグチャになった口の中。

 

唾液と、琥珀色の花の蜜。そして、滲み出した白い果汁で口の中が溢れ返る。

 

パンっと、何の前触れもなくそれは弾けた。

 

ドロリとした甘さが口の中を埋めつくし、ドロドロと流れて喉奥へと消えていく。

 

「ごく、んくっ…ぇ、ほっ、あっ、んんぅぅっ、んくっ…んくっ」

 

エヅイてでも喉を鳴らす。一滴だって漏らしたくない。

喉に張り付き、流れ落ちていく感覚でさえ気持ちがいい。

 

ごくり、ごくりと、白濁液を飲み込んで、食欲と性欲にお腹が満たされていく。

 

果実の潰れた触手が口から引き抜かれる。

 

口元から溢れた白濁液を惜しむように、白く汚れた舌先が追いかけてしまう。

ペロリと舐め、ゴクリと最後の雫を飲み干して、僕は深い深い溜め息を吐いた。

 

身体がふわふわする。心が幸せだった。

 

気持ちがいい。全身が気持ちよくって幸せで、自分が置かれている状況でさえ忘れていた。

 

何かしていたはずで、何しなくちゃいけないのに。

でも、僕はどうしてこんな所に居るの?

 

ああ、でも、ここはこんなに気持ちがいい。

気持ちがいいなら、もうなんだって良いじゃない。

 

見上げた花弁の隙間から、洞窟の天井が見える。

覗いた月明かりに照らされて、一瞬だけ呼び起こされた野生の勘みたいなものが、頭の片隅で警笛を鳴らしていた。

 

そうだ…。早く、ここから出ないといけないんだった。

 

起き上がろうとして、でもダメで。腕を伸ばそうにも巻き付いた触手は離してくれない。そんな事をしている内に、身体の疼きは強くなると、いつしか逃げることさえも忘れて、僕はもっと、気持ち良くして欲しいとさえ願ってしまう。

 

ああ、洞窟の天井が狭くなっていく。

 

眠りの前。瞼が落ちる様にゆっくりと、意識を手放すみたいに花弁が閉じていく。

 

いや、だめ、たすけて、だれか…。

 

本能的な恐怖が実を結び、快感に染まっていた身体に絶望を呼び起こしていた。

 

「あ、とれ、や…くん? にげ…ぃゃ、たすけ、たすけてよ…ぼく」

 

ふと口から出た名前。心を奮い立たせる音階も、唱えた先から形を無くしていく。

言っちゃダメなのに、縋っちゃいけないのに。彼が無事なら僕はそれでいい。それでいいのに、その顔を思い浮かべてしまう。好きだった男の子の顔を、最後の瞬間くらい思い出したくって。

 

その時だった。

 

ごぉっと、聞き慣れない音がしたのは。

 

チリチリと、メラメラと、甘い匂い掻き消すほどの焦げ臭い匂さが立ち込めた後、閉じた花弁の一部が ごっそりと焼け落ちた。

 

赤い炎が舌を伸ばすように花の内側へ入ってくる。

 

白い花びらが黒く染まって崩れだす中。広がった穴の向こうから、ぐっと腕が伸ばされた。

 

「ハナっ! こっちにっ、手をっ!!」

「へ…とれ、や…くん? あっ、トレヤくんっ!!」

 

その声にハッとさせられる。

 

大好きな男の子の名前を口にして、快楽に溶けていた頭がハッキリと理性を取り戻していた。

 

彼に手を伸ばし、彼に手を掴まれて、その腕の中に抱きしめられる。

 

「逃げるよっ! 早くっ!!」

「うん…。でも、まって、僕…からだ。あっ…動けなくって、君は先に」

 

花の中から引きずり出され、トレヤくんに支えられながらも、地面に崩れ落ちてしまう。

 

快感に緩みきった身体は、生まれたての子鹿よりも酷い有様だった。

文字通りの足手まとい。彼の身体に捕まりながらも、震える足は立つことさえもままならない。

 

「バカっ! 置いてけるかよっ。急がないと、この辺ヤバいんだって」

「ヤバいって、え?」

 

気づけば燃えていた。

 

何がという訳じゃない。

 

何でもかんでもだ。

 

この洞窟に根を張っていた、あの白い花の全てが燃えている。

 

「これ、全部…トレヤくんが、やったの?」

「良いからっ、話は後っ。力入んないなら俺に掴まっててよ!」

「あ、ちょっ…きゃっ!!」

 

どこにそんな力があったんだろう。

 

抱かれたその腕は、記憶の中のトレヤくんと代わりはないのに、僕を抱き上げる力は強く、抱きしめられていると、どうにも安心してしまう。

 

たんたんと、燃え盛る洞窟の中を駆け抜けていく。

 

それ、僕の仕事だったのになって。思いながらも、ただ、腕の中で揺すられている。それはまるで、揺り籠に抱かれているような心地で、疲れ切っていた僕の身体は、ついウトウトと、彼の腕の中で力を無くしていった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。