ルビーのお腹をポンポンするやつ 作:リリシク
思ったより時間かかった。
「おにいちゃんおはよー」
「おはようルビー、ミヤコさん。」
「アクアも起きたのね」
珍しく三人揃って朝食を囲んだ朝
元気いっぱいのルビーと顔色の優れないミヤコさん。今日のルビーのスケジュールは…
アレか、なら俺が付き添いでも問題ないか。向こうで待機してる時間もあるし、俺が連れて行けばミヤコさんもその分の空いた時間を使えるだろう。
「ミヤコさん朝のルビーの収録は俺が連れてくよ。その間に吉住さんと今後のすり合わせでもしててくれ。」
「今日おにいちゃんが来るの!」
「それはありがたいんだけど…アクアも予定があるでしょう?」
「収録の準備が長引いてるみたいで少し遅く来てくれって連絡があったから大丈夫だよ。」
「…そう。それなら頼めるかしら。」
「あぁ任せてくれ。」
事務所までタクシーを呼んでルビーと乗り込む。
「おにいちゃんとお出かけ~♪」
「あっ、どこまで一緒にくるの?テレビ局まで?それとも楽屋?もう一緒に番組に出ちゃう?」
能天気だなコイツ…お願いだから口を滑らせてとんでもない事言ってくれるなよ
「楽屋までだ。その後足りないモノが無いか確認して、それが終わったら俺は番組の人たちに挨拶してから帰る。収録が終わることには吉住さんが迎えに来てるだろ。」
「えー!ちょっとくらい収録見て行かない?最近オーラ出てきたねって褒められてるんだよ?」
「俺にも予定がある、それに最近の評判は深掘れのスタッフや共演者たちからも聞いてる。」
「おにいちゃんのけち―」
楽屋で確認作業を終えて、ルビーを置いて挨拶周りに出掛けるキャストからのルビーの評価も悪いモノではないと確認出来てホッとした。
ルビーはぶー垂れてたが、思わぬ情報も入ったし来た甲斐はあった。
翌日の昼事務所
「ぶっすー」
「食事中にむくれるな。変なことしながら食べてると気管にモノ詰まらせるぞ。」
「そんなことしないし!」
「あー、おにいちゃん見てくれると思って張り切ってたのになー」
「…評判悪くなかったぞ」
「知ってますーミヤコさんたちも褒めてくれたからね。」
「まぁおにいちゃんがみてくれてたら、もっと良くなったかもしれませんけどー」
「はぁ…何して欲しいんだ?」
「やった…じゃなくて、コホン。そんなあからさまなご機嫌取りなんて引っかったりしないんですけど」
「でもまぁ… 今から一緒に居てくれたら許してあげなくもないかな」
「はいはい、仰せのままに。」
「なんなのコイツら!磁石なの?近くにいるとくっ付いて離れなくなる磁場でも纏ってるの!?」
「まぁまぁ、かなちゃん。ルビーもアクたんも忙しいし眠れる時に眠って置くのは大事なことだから、静かにね」
「それはそれとしてこれはバズる、バズるよ~。インフルエンサーとしての私の勘が言ってる。ほんわか家族タグで数万リツイートは固いと」
「完全にそっちが本音じゃない…」
あれからタオルケット持ってきたルビーと一緒に話していたんだが…気付いたら眠ってしまっていたようだ。
有馬たちの声がする。
「有馬とメムか」
「あっ、アクたんおはよー」
「おはよう…じゃないわよこのシスコン!最近のアンタたちの距離感ヤバいわよ少しは弁えなさい。」
「え~、そう?凄い仲が良い双子って感じじゃない?」
「最近ルビーに甘えられてるのは認めるが…こいつも色々あるからな俺に出来ることなら協力してやりたい。」
肩に寄りかかって眠るルビーを起こさないようにソファーに移動させて起き上がる。
「あんたねぇ…どうなっても知らないわよ」
「ルビーもアイドルだ。そこら辺は分かってるだろ。」
「なんかあんた達見てると、そうは思えない時があるのよね…」
「あはは。まぁこれからレッスンあるしかなちゃん準備しにいこ。アクたんもそろそろルビー起こしといてね~」
「ちょっ、レッスンってまだ30分はあるじゃない!」
「今撮った写真とか加工してアップしないといけないし、かなちゃんも女優に転向するならアイドルらしいモノだけじゃなくて女優らしいモノも上げてかなきゃだからね。」
「そうだかなちゃん出てた作品幾つか見たけど、ああいう路線でいくの?」
「行かないわよ!なんかそういう愛が重い役ばっかりオファーがくるのよ!」
「まぁああいう役も良いと思うけどね。」
「あいつらも頑張ってるな」
「すーすー」
「後5分くらい寝かせてやるか。」
「終わり今日も疲れたー!なでなでしておにいちゃん」
「おわっ!今日も来たのか」
自室で本を読んでるとルビーが俺へ突撃してきた。風呂上がりだろうか?肌も火照っていて身体も熱い。
「ダメ?おにいちゃんと一緒にいるとなんか落ち着くんだよね。だからもうずっと一緒に居たい!」
「ずっと一緒は流石にな。まぁでも俺が部屋に居る時くらいは良いか」
「えへへー言質撮ったからね。」
「はいはい、けど俺ばかりじゃなくて他の人ともちゃんとコミュニケーション取れよ。最近有馬やメムとはどうなんだ?」
「あれからずっと話すようになったんだよ。先輩には演技の指導してもらったりメムちょは~」
定位置に収まったルビーが嬉しそうに先日あったことを話している。その言葉に陰りはなく内容もアイドル活動を本気で楽しんでることが分かるものばかりだ。
あぁ今君は誰よりも輝いてるよ
「でね、今日のB小町チャンネルでメムちょが…(カク)…あれ?」
コクリとルビーの首が揺れ始めた。今日はレッスンに収録あったからな疲れが出たんだろう。
「ダンスもあったし疲れてるんだろ、もう寝ようか。」
「えぇー。せっかくおにいちゃんと一緒に居られるのに。もっと話したい、よ」
「瞼閉じ掛かってるじゃねぇか。ベットに横になって寝ないと休めないぞ」
「んぅー。じゃあ眠る、までおにいちゃんがお話しして…」
「分かったよ」
一緒のタオルケットに入るとルビーが抱き着いて来る。もう夢の中に片足入ってるようでむにゃむにゃと言ってるが聞き取れない。お話…子守唄を御所望なのだろう。
そうだな、病室には不釣り合いだった明るいあの子の話でもするか、面と向かって言うとこっ恥ずかしいが今ならそんな聞かれてないだろうしな。
抱き着いているルビーの背中をあやすようにトントンと叩きながら話す。
「ある病院にとても重い病気に掛かった子がいてな」(トン、トン)
「むにゃむにゃ」
「ただでさえ病気の症状が酷いのに…」(トン、トン)
「んぅ…」
「頼る人も誰もいないのに…」(ぎゅっ)
「すぅすぅ」
「それでもリハビリを頑張って…」(トン、トン)
「アイみたいになりたいって…」(トン)
「いつも笑ってて…」(トン)
「すやすや」
「そんな姿が、何よりも綺麗、だったんだ…」(トン)
「…」
「あぁ、だからそんな君が。アイドル、やってるのを…」
眠い。意識が、落ちる…
「ルビー、
「」
「・・・・・」
「?」
(ガチャ)
翌日少しルビーの様子が違った気がしたが夕方にはいつものルビーだった。
映画の撮影も近くなりルビーから演技を教えてくれと頼まれた。あの映画は復讐に直結するものだ。俺も忙しいが時間を割く価値がある。二つ返事で請け負った。
B小町の人気も爆発して凄い勢いでファンが増えているようだ、俺と有馬二人に教えられている影響かルビーの役者勘によるものかルビーの演技力は順調に上がっている。
このままファンを増やして演技も身に着いたルビーなら映画の成功は約束されたも同然だ。
一時はどうなることかと思ったが復讐計画は順調に進んでいる。
今日もルビーが俺の部屋に来ている。
今はベットに腰掛けて座っている俺の膝の上でゴロゴロしている。
「ていうかおにいちゃん最近ずっと読んでるそれなに?見るだけで目がちかちかするんだけど」
「ここ10年の過失割合の判例集」
「えっ?」
「まぁ念には念を入れてだな」
「むぅー構って!せっかく可愛い妹が居るんだよ?もっとこう撫でたり、話したり、抱きしめたりするべきじゃないの?」
またルビーが暴れ出した。時間が合う時はずっと一緒に居るのだが…甘やかしすぎただろうか?
まぁ慣れてきてからは一緒に居る時にも作業してたりするからな、でもそういう時はこれだ。
「もう少しだから待っててくれ」(ポン、ポン)
「んぅ。…5分だけだからね」
「ありがとな」(ポン、ポン)
ルビーと一緒に寝るようになってから気付いたルビーはお腹をポンポンと叩くと大人しくなると。
前から寝つきが悪かった時や魘されてる時にしていたコレが起きているときでも効果があると分かったのは一週間ほど前の事だ。
有馬の卒業ライブにだけは参加したいとB小町のグッズを整理していた時にルビーが来たかと思ったら拗ねた。
オギャバブランドの時のように喚き散らして暴れ出すわ、俺を引きずり込むわ、抱き着いて寝るまで離れないわと大変だった。
それから定位置となった脚の間にきた時に落ち着かないかと寝る時のようにポンポン撫でてみたら勢いが弱まった。これ幸いと翌日ロケがあったスイーツ店の名物プリンを差し入れることを約束して難を逃れた。
やっぱ女子ってスイーツ好きだよな、あかねもスイーツ巡るの好きだったし。
それ以降ルビーが荒ぶる度に少しでも怒りを鎮めるために活用させて貰ってる。ルビーも撫でられるのが好きなのか抵抗しない、寧ろ触りやすいようにお腹を無防備にしてることが多くなった。
まぁルビーは人との触れ合いに飢えてるところあるからな。くっ付いてくるのもそういう面があるのだろう。
(ポン、ポン)
「んん…っ」
「よしこのケースはこういう判決になりやすいと…書き終わった。」
「ふぇ…おにいちゃん終わったの?」
「あぁ。悪かったな相手出来なくて」
「それはいいっんだけど?」
「どうした?」
「(今変な感じが…)いや、それよりも今日も寝るまで付き合ってもらうからね!」
「お手柔らかになー」
何時もの指定席に座ったルビーがいつもの調子で話し始める。
「今日はね…」
「へぇそんなことがあったのか。」
結局その日も寝付くまでルビーは喋り続けた。
「それ、でね…」
「はいはい、明日も早いんだから早く寝ろ。」(ポン、ポン)
「むぅ、明日のリポーターで、おにいちゃ…びっくりさせて…やる」
「楽しみにしてるよ」(ポン、ポン)
「んぅ… お休み。おにいちゃん」
「お休み
「…っ!」
翌日の深掘れの収録では番組の内容よりも、アイに負けない輝きを纏ったルビーの事がネットで話題となるのだった。