学校帰りの少年は歩道を進んでいた。独りきりだった。肩を締め付けるランドセルのベルトを握り、弛緩しながら自宅へ向かっていた。
周りにはそれなりに人が居た。しかしどちらかといえば静かな雰囲気だった。次から次に誰かとすれ違うほどの活気は無かった。なんとなく街そのものが自分と同様に脱力しているような、そういう薄い雰囲気だった。
空に伸びる夕暮れの橙色が寂しさをより濃くしていた。強い気概を保たなければそちらに引っ張られてしまいそうだったが少年は丈夫だった。
それは少年の少し前を行く一人の存在のおかげだった。
おそらく女性のその人に少年は注目していた。ひたすら惹かれているというやつで、意識はずうっと女性だった。故に橙色なんて無視できた。それよりも女性の薄紫色だった。その色とは女性の長髪の色だった。薄紫は風や身体の動きに敏感に反応してさらりさらりと揺れていた。この世界の秩序から浮くほどの美麗だった。整えられた毛先の一本一本の細かい動きが魅力的で、やはり目が離せなかった。
少年は女性の行く先を連想していた。なるべく長い時間この女性を、この長髪を視界に入れておきたかった。あまりよくないことだとは思っていたが思考は止まらなかった。今のところ自分と女性の道に差異は無かったが、これがいつまでも続く保証などどこにも無かった。
すると女性の身体から何かが落ちた。ポトリと吐き出るような具合だった。落下したものは女性の足元に落ち着いたが、女性はそのことに気付いていないようだった。声をかけようとしたが喉が静止した。小さく成っていく後ろ姿は他の発声の気配すら振り落とす勢いだった。少年は小走りになった。女性から落ちた何かのそばに駆け寄りしゃがんだ。
地面の上には何やら白っぽいものが在った。少年は不思議に思って首を傾げた。しかし脳内の困惑とは裏腹に右手は動いた。
拾い上げた落とし物の形は割れた陶器の破片にしか視えなかった。裏返して探ってみるとそこには黄金色が浮かんでいた。透明な質感で奥行きが在り、宝石のようだった。
「あなた」
低い声がトンと響いた。少年は糸で上から引き上げられるように素早く向いた。
途端に身体が硬直した。目の前には女性が立っていた。髪の色と形と服装から例の女性であることがわかった。少し進んでから自分の落とし物に気付き引き返してきたようだった。
少年は女性の目に釘付けだった。薄っすらと開いている瞼の奥から視える瞳はただ仄かに浮かんでいた。ちょうど今素手の中にある黄金色が少し褪せたような静謐な雰囲気だった。視ているとありとあらゆる価値観や美意識が心地良く脅かされて律されていくのを感じた。
「あの――」
「拾ってくれたのね?」
女性は少年の声を遮るようにしゃがんだ。
「え、あの」
「拾ってくれたのでしょう? あなたが、私の落とし物を」
「……そうです」
少年は詰まる喉を強引に圧して応えた。女性はフフンとほほ笑んでいた。瞳と同様に視ていると落ち着く顔つきだった。無条件で安心できる笑みだった。右目を閉じているのが少し不思議だったが雰囲気は極めて穏やかだった。
「ありがとう。お礼をしたいから、少し向こうに行きましょうか」
女性が少年の右手を上から包んだ。五指が素手の中に押し込まれ、保持していた落とし物をグッと握り込む形になった。
あの不思議な形から放出されているしっとりとした熱が、そのまま素手の全体に染み込んできた。
路地裏は薄暗く涼しかった。
まるで街から忘れ去られているような雰囲気だった。他の生物の気配が皆無で、肌によく馴染む湿った空気に満ちていた。
音楽家・湊友希那は少年の前でしゃがんでいた。
つい先ほどまでは年上らしく毅然とした態度だったがすでにその鉄面皮は脱いでいた。逞しい歌姫は自分から無垢の下に入り、怯える男児を窺うように見上げていた。
「あの、お姉さん、なんかおかしいよ、こんなのっ」
少年は控えめな目線を友希那に投げていた。友希那のほうが目線が下だったが、少年はそのさらに下から友希那を覗いている情緒だった。
「大丈夫よ」
友希那はひらりと笑った。自信と恍惚を含んだ優雅な笑みだった。声はこの薄暗い隙間の中でもよく響いてすぐに消えていった。
「でもっ、あの――」
「変なことはしないわ」友希那のたった一つの目つきにはあの強かな意志の圧が残っていた。「本当に少しだけ、お願いがあるの」
「お願い……?」
「ええ。とても気持ち良いことよ。それにあなたにしか頼めない。あなただけよ。本当に、あなただけ」
今の友希那の雰囲気は柔らかかった。真っ当に従女らしい態度で少年の深層心理にまで介入しようとしていた。
「私のお願い、聞いてくれるかしら?」
たっぷりと含まれた妖艶な表情は少年だけを見つめて動かなかった。
「……わかった」
少年はこっくりと頷いた。熟れた顔から出てくる細い声は虚無の中に温かく響いた。
「ふふ、ありがとう。やっぱり優しいのね、あなた」
友希那は表情筋を溶かしながら口の中で声を漏らした。小さな少年がさらに小さく成っているのがなんだかおかしくて、すっかり愛玩する心地に浸っていた。
「それじゃあ、さっさそく――」友希那は少年から目をスッと動かして股間を視た。「これ、脱いでくれるかしら」
友希那がにゅるりと唇を撫でた途端、眼前の少年がびくりと跳ねて起伏した。内側からぐんぐんと披露していた。少年は無言で鼻息を荒くしていた。やがて出てきたのは真白いパンツだった。一部分がこんもりと突き出ていた。友希那はその布をためらい無く掴んだ。少年の汗でほんの少し湿っていた。
「こっちは私が下ろしてあげる」
友希那は少年の股間の頂点を見つめながらパンツをズボン同様足首の位置まで下ろした。
出てきた秘部から友希那が最初に感じ取ったのは臭いだった。股間周りに漂う臭いは少年の汗の臭いだった。男子小学生特有の活発が体液として分泌し皮膚を湿らせ、しょっぱい臭いをムンムンと放っていた。
「お、お姉さん……」
少年はひどく安定の無い声と共に腰を振るわせていた。友希那はすかさず少年の腰を左右から持って摩った。素肌と素肌が快く馴染み、緩く輪郭を撫でると陰茎はそれだけで大きく跳ねた。上に向かって肌色の肉棒がぴくついていた。根本のさらに奥から活力が浮き上がって、すでに破裂寸前に在るようだった。
「大丈夫よ」
雄の原点を前にした友希那は自分の中の雌が発火していくのを感じた。唾液が固い何かとして喉を下り、鼓動だけが野生をむき出しにしていた。
屹立しているその竿は肥えている頭の部分にも分厚い皮が被さっていた。誤魔化しているような雰囲気だった。なんだかみっともなくて恥ずかしいため、なんだか見せることにためらいを感じるため、皮を使って隠しているような見ためだった。
「これ、剥いたことはあるの?」
「剥く……? なにを……?」
少年はポツリとした声だった。
「そう……」友希那は顔の火照りが脳にまで到達するのを感じた。必死に突っ張っている皮はそれでも余っており先端の位置できゅっと固まっていた。絞られているような見ためで少し窮屈そうだった。
「ねぇ、少し見ていて」
友希那は顔を陰茎に近づけた。臭いが濃く成り熱を頬で感じた。
「ほら、ここよ、ここ……」
友希那は誘い込むような情緒で顔を少年に突き出した。左目で少年の顔を眺めながら、反対の閉じたままの右目で亀頭を捕えていた。
「おねえさ――」
友希那は右目をぐわりと解放し顔を押し込んだ。少年の嬌声が散った。つるりとした眼窩のふちが陰茎の皮に引っかかり、それでも友希那が顔を進めたため皮が簡単にずりずりと退いた。少年の腰そのものが大きく震えた。女性の眼窩特有の新鮮な熱気と柔肉を感じているようだった。友希那は少年をなだめるように摩った。敵意など無く安全であることを示した。
「不思議な感覚でしょう? ふふ、気持ち良いわね」
友希那は少年の腰を握ってクスクスと笑った。友希那の眼窩の内部にて、飛び出すように露出した男児の赤色は淑女の熟れた赤色に柔らかく包まれていた。少年の腰はぴくりぴくりと動き続けていたが友希那が制しているためどこかに避難することなどできなかった。
「続けるわよ」
友希那は顔を押し込んだ。肉棒が眼窩との摩擦にまみれながら奥まで入り込んだ。眼窩は少年の形に対応するように吸着していた。肉壁という圧倒的な倒錯を陰茎に与えていた。そうやって少年の無垢に自分そのものを擦り付ける支配の快楽が友希那をより高い優越へと引っ張り上げた。
「ねぇ、おねえさんっ、これっ、これなにっ、なにこれぇ……」
少年はまるで正常な機能そのものを喪失したように引きつっていた。
「慣れてしまえばすぐに気持ち良くなるわ。私はちゃんとあなたの味方だから、安心してちょうだい」
「うふ」
友希那は少年の腰を左右から揉むように握って頭を前後に動かした。頭部を腰に何度も押し込むような情緒だった。頭部の一番奥の一番柔らかい位置で陰茎をごりゅごりゅと揉んだ。顔が前後すると長い毛髪が揺れた。繊細な毛先が空気の中をぱたぱたと舞っていたが少年はもう一切注目していなかった。
「あっ、ううっ、おねえさんっ」
少年が細く呻きながら友希那の頭部を握った。力むのではなく置き場にしているような軽さだった。眼窩の中の陰茎も痙攣しながら大きく成った。全てが強張り裏側の筋が強調されていた。
「ああっ、なんかっ、う――」
友希那は唐突に頭を止めた。すると行き場を失ったらしい陰茎が眼窩の奥で蠢いた。必死に何かに縋りつこうとしているが何も発散できず友希那の肉孔の中をさ迷っていた。
「なんでっ」
少年は薄い声を出した。夜遅くまで母親を待つ男児のようなもどかしさが籠っていた。
「? どうしたのかしら」
友希那はにやりとしながら少年を見上げた。何も知らないふりをして目元を力んだ。機敏に下がった膜の真っ赤な裏側が少年を統べるように舐めていた。
「なんかっ、わかんない……」
「わからないのなら、もうここで終わりにしてもいいかしら。首が疲れたわ」
友希那は少し突き飛ばす口調を造った。すると少年は泣いているような声を出して友希那の頭部を拘束した。痛くは無かったが執拗な束縛だった。顔と腹が滾って喉が固く動いた。
「あなた、何か言いたいことがあるのなら、はっきり言うべきじゃないかしら。男の子でしょう?」
友希那は最小限の口の動きを演じた。
「でもっ、お姉さん、おねえさんっ」
「落ち着いて。聞いているから」腰を素手で廻っている友希那には激励が籠っていた。
「あのっ、ええと……」少年の両手と竿が友希那の中で強くなった。「もっと、これ、おめめのやつ……」
「おめめの? ああ、これかしら」
友希那は数回顔を動かした。少年が甘く鳴き、陰茎が膨らんだがすぐに制止した。
「それっ、もっとやってほしい!」
「ぐぽぐぽしてほしいの?」
友希那は喜悦で震えた声を出した。少年の弱点を思い通りに操作する感覚によって眼窩がより締まった。
「してほしいっ! ぐぽぐぽしてえっ。おねえさんっ」
「ふふ、そんなにぐぽぐぽしてほしいの? なら、ここからは自分で動いてちょうだい。そうやって持っているのなら、そのまま私の頭、自由にして構わないわ」
友希那が冷静に説明をすると少年の腰が大きくうねった。
「いいわよ。そのままちゃんと掴んで、私の動きを真似するみたいに――」
友希那の声は少年の野生的な動きによってかき消された。友希那の後頭部に回っている二つの小さな素手が急速に力み、同時に友希那の頭部が友希那ではない力によって前後に動き出した。
「はぁっ、ううっ、おねえさんっ、おねえさんっ」
短く息を漏らし続ける少年は何度も何度も友希那を動かした。前かがみになりながら自分の奥に執拗に友希那を叩きつけて快感を得ていた。ほぼ脱力状態にある友希那は首だけではなく上半身そのものががくがくと流れていた。長い毛髪がゆさゆさと揺れていた。少年は何も気にせず動き続けた。まるで友希那の所有物を友希那自身に示してわからせるような情緒だった。幼さ故の必死さだった。
「あううっ、ううっ……」
友希那を出たり入ったりしている陰茎はその内部で湿っぽく散っていた。硬さと熱で柔肉を次々と開拓し、友希那の眼窩を自分専用に組み替えていた。その野生的な勢いに友希那は背筋が逆立つほどの愛おしさを得ていた。頭部と眼窩を貸し出しながら少年に寄り添っていた。荒々しい肉と粘液が淡々と頭部の奥で混ぜられており、その音が二人きりの路地裏世界に響いた。
「うううぅぅ……」
少年は低くざらついた声を出した。息を吸ったり吐いたりする方法そのものがもうわからなくなっているようだった。友希那は過激な動きの少年の腰を再び撫でた。すると眼窩の中の陰茎がさらにドクンとうねった。少年の悲鳴が劈き、眼窩の中で竿の筋が浮き出た。亀頭が友希那の奥の奥まで到着してさらに強烈に蠢いた。
「ううっ!」
友希那の内側で粘ついた熱が炸裂した。視界がぬるい何かで埋まった。友希那は腰を固持した。前のめりになって引っ付いた。眼窩の中の陰茎がさらに肉壁に触れて擦れた。少年の嬌声が上がって奥底で二度目の炸裂が発生した。友希那は脳に最も近い位置で少年の亀頭の形と粘液を意識していた。そのまま舌を突き出した。向かう先は少年の睾丸だった。掬い上げるように触れると波打つように動いた。眼窩の中の陰茎がさらに膨張して粘つきが飛び出した。友希那は舌で睾丸を押し続けた。ポンプと同じ要領で少年の欲望の原液を絞り出した。自ら男児の急所に接近し、幼い獣欲を吐露させる快感に吐息を漏らしていた。
少年は良くも悪くも遠慮が無かった。自分の腰の位置で友希那の頭部という巨大なボールを抱えていた。薄紫色の毛髪を雑にぐしゃりと抱きしめ、股間のその中心にぐりぐりと圧し付け、その中に漏らすべき獣欲をとろとろと漏らしていた。
男児の下の友希那はその半身に絡みついていた。尻を腕そのもので覆って腰の左右を後ろから掴んだ。少年に突っ伏して接近し、そのままぎゅーっと一体化した。
少年の素手がぐにゃりと緩んだ。友希那は顔を離した。眼窩から熱量が抜けて解放されていくと、友希那は自分のその孔のぽっかりとした雰囲気を改めて強く意識した。
「気持ち良かったかしら」
友希那は少年に抱き着いたまま左目で顔を窺った。右目は弛緩しており先は黒色だった。全身が汗で滲んだ男児はハァハァと疲労していた。一応立っているが太腿の筋肉は小刻みに震えていた。
「……満足したみたいね」
友希那は少年に向かってにっこりと咲いた。黒色が広がる右の眼窩の奥から濁った白色が垂れ出た。粘つきは頬を流れて口角にまで到達した。友希那は少年を見上げたまま舌をにゅるりと出してそれを舐め取った。
「もう、一回……」
幼い獣はドクリと喉を鳴らして友希那を掴んで眼窩に亀頭を刺した。とっくに再起している硬さが友希那にめり込み脳を震撼させた。
少年の真下に在る友希那は両腕をぐっと強めて少年を引き寄せた。
互いの粘膜が一斉に蠢き出した。