※この作品はR-18です。

湊友希那リョナシリーズ。   作:美肉。

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湊友希那が餅つきで事故死する猟奇小説。


湊友希那、餅つき。

 それは事故だった。

 男は湊友希那と二人きりで餅つきを企画した。木製の重たい、円柱型の臼を用意しハンマーのような形の専用の杵を用意した。糯米などの他の用意も行い、一月一日に『ツーマン餅つき大会』は実施された。友希那が臼の傍に膝をつき、男が杵を両手で構えた。臼の中にはすでに糯米と水が用意されており、男は杵を振り下ろした。重たい衝撃音と共に糯米が打ち込まれた。男は杵を持ち上げた。先端部分には何も付着していなかったが、木製のその箇所は若干湿っていた。男が杵を十分に持ち上げた。すると男から視て右側に膝をつく友希那が臼に手を入れた。白色のブラウスを着用し、下半身は黒色のタイトスカートだった。男は群青色のツナギ姿だった。

 ぬるま湯で湿っている友希那の右手はまさしく合いの手のように差し込まれ、糯米はひっくり返された。男はその臼の中めがけて杵を打ち下ろした。

 その時事故が起こった。

 友希那が目を見開くと、その緊迫した表情に杵の影が差し肥大化していった。

「え――」

 その重量を利用して降下する杵の先端部分は臼から少しずれた、糯米ではなく友希那の頭頂部に激突した。

「ぐげっ?!」

 友希那は奇妙な声を上げ、同時にその細い全身から力が抜けていった。膝の上に添えられた両手がつるりと垂れ、肩幅が揺れると上半身が前に倒れていった。薄紫色の長髪が揺れ、ちょうど顔面が臼の中に被さった。それは臼に対し突っ伏しているような見ためで、間もなく股間から黄色い尿がしたたり落ちた。

「うわあああっ!」

 混乱した男は杵を持ち上げ、何か放り投げるように振り下ろした。猛烈に降下する杵の先端部分はもう一度友希那の後頭部に激突した。ミシッ、という何か軽いものが割れる音が響いた。それは友希那の頭蓋が崩れる音だった。男は杵を持ち上げ、再び勢いよく振り被った。男はもはや眼前で何が発生しているのか理解していなかった。認識の速度より素早く男は杵を動かしていた。ゴッ、という鈍い音が鳴り、友希那の頭蓋がさらに臼の中で崩壊した。杵が激突したその後頭部から赤黒い筋が垂れた。擦り切れた頭皮からの大量出血で、それを目にした男はさらに錯乱し杵を猛烈に動かした。

 重力に従って降下する杵は友希那に激突し臼のふち部分と首元が食い込んで皮膚が裂けていた。

「ああ友希那っ、友希那あっ!」

 叫び散らしながら男は杵を動かしていた。ペッタン、ペッタンと連打していた。杵が激突する度に友希那の身体は微細に震えた。少量の血がどこからともなく飛び散り、それらは男の頬にも付着した。崩れた頭蓋の奥から脳漿が垂れていた。脳漿は臼の中の糯米と混ざり、男はそれら全てを杵で叩き込んだ。ペッタン、ペッタンと運動し続けると、男の動きに応えるかのように臼の中で糯米に粘り気が付与されていった。餅米は友希那の脳漿や頭蓋、潰れた眼球などを混ぜ込みながらさらに粘性を増し、男は引き締める両腕を酷使して餅をついていった。

 それから男が杵を下ろしたのは数分後だった。

「友希那……?」

 男は周囲を見渡した。『ツーマン餅つき大会』の相手である友希那がどこにも居なかった。男は眼前を視た。臼があり、近くに屈んでいる女性の姿があった。男は「すみません」と声をかけようとした。愛する友希那がどこに居るのか訪ねたかった。そこで男は臼の中を視た。臼の中には桃色の餅が完成していた。中央部分にねっとりとまとまっているその餅は歪だった。ところどころにまだ白い箇所があったが大部分は桃色で、さらに、何かゼリーのような質感の不純物も少量だが混ざっていた。

「え……?」

 薄紫色の毛のようなものも混ざっており、それは食用の餅だと呼べる代物ではなかった。

 しかし男は、その餅のようなものを前にしてどういうわけか食欲が刺激されていた。

 男は手元を視た。両手に杵を握っていた。木製のそれは持ち手部分が細長く、先端は前方向に突出していた。その突出した箇所のさらに先端部分は薄桃色に濡れていた。みつめていると、ドロッ、とした質感の餅が垂れて足元に付着した。

「友希那……?」

 男は杵を床に置き、臼を視た。臼には女性が突っ伏していた。女性は臼の右側から首を伸ばし、顔面を臼の中に突っ込んでいた。その頭部は崩れていた。頭頂部や後頭部は大きく割れており、粉々になった頭蓋は餅に混ざっていた。男は臼に歩み寄ってしゃがんだ。女性とは友希那だった。男が今まで全力で愛し、崇めてきた唯一の女性だった。愛すべき歌姫は男の手により頭部を損壊させて絶命し、臼に突っ伏して微動だにしていなかった。

 ふと、男は臼の中に異質なものをみつけた。

 男は臼の前でしゃがみ、まるで餅つきの合いの手のように中に手を伸ばした。指先が柔らかいものに触れた。それは餅ではなかった。友希那の脳漿が混ざった、薄桃色の餅の中に植え付けられたような様相で埋まるそれを男は拾って口に運んだ。

「うまい」

 薄らほんのり餅の味、友希那の舌はやはり絶品だった。

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