苦手な方はご注意下さい。
「ん―――、はぁ………んん………?」
下腹部に奇妙なむず痒さを感じて、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンは吐息と共に微睡んでいた意識を静かに浮上させた。
静かに開かれていく瞳に映り込むのは、見慣れた自室の天井。
ぼんやりとした街の灯や月の光が窓に掛けられたカーテンの向こう側から差し込み、室内を淡く柔らかに照らしている。
(あれ……、私、何、していたんだっけ?)
半ばほども眠りの中に浸りかけていた影響、なのだろうか。
目覚めたばかりの頭の中は、先程まで見ていたらしい、何かとても心地良い夢の光景と実際の記憶とがグルグルと複雑に絡まり合っていて、何処か現実味を欠いた浮遊感に包まれていた。
そんなフワフワとした不思議な感覚が心地良く、ベッドに横になったままぼんやりと天井を見上げ続けること暫く。
(そうだ、なのはが、帰ってきたんだった)
ようやく彼女は、自分が眠りに就く前の素敵な一時をその脳裏に思い描くことが出来るようになった。
ここ最近ではついぞ無かった歓喜の思いにもう一度満たされて、フェイトはくふりと、可愛らしく微笑みを浮かべる。
高町なのはが、最新鋭の次元航行艦ごと行方不明になったあの日から、既に三ヶ月以上の時が過ぎていた。
捜索隊の派遣からそう時間が掛ること無く発見された彼女であったが、それ以降、新たな乗員が発見されることは無く、その痕跡すらも見つけられていない。
その為、高町なのははただ一人事件の真相を知るやもしれぬ重要な参考人として、静養を題目とした尋問の為にミッドチルダ内の医療機関にて軟禁状態にあったのである。
如何に巨大な組織である時空管理局であってしても、いや、巨大な組織であるからこそ、莫大な資金を投入して作られた、海の花形とでも言うべき次元航行艦の消失という出来事は深刻なダメージであると同時にスキャンダルでもあり、しかもその原因が全くの不明というのだからなおさらだ。
取り急いで派遣された第一陣の捜索隊以降も、様々な分野から人材をかき集めて件の世界へと調査隊が次々に繰り出したものの、はっきりとした原因は何一つとしてわからなかった。
世論や組織内からの突き上げもあって、唯一の生存者であるなのはに対しては厳しい態度での連日連夜による取り調べが行われた訳だが――――――その結果はどうやら、当局にとって望ましいものでは無かったようである。
結局、一通りの対応を終えた管理局が取ることができた行動は、高町なのはの局員としての権限の一時的な凍結と、該当する辺境世界への立ち入りを禁止するという、臭いものに蓋そのもの。
あまりにも不可思議すぎるこの事件を理由として、海の上層部は随分と他の部署からあげつらわれる事になったというが、それはともかく、だ。
フェイト自身も、嘱託魔導師として仕事の合間を縫って、なのはと局で何度も顔を合わせていた。
しかし、やはりそれは必ず他人の監視の目が付けられてのもので、平気そうに取り繕ってはいても、どこか気疲れした様子が少女の表情の裏に存在していた事は否めないもので。
だからこそ、彼女の身柄がようやく解放されるという事を知って、家族や友人たちと共に随分と喜んだものである。
局員としての行動が制限されるというのは少しばかり納得のいかない部分もあったが、長くてもせいぜいが半年程度だということもあって、長い休暇のつもりでのんびりしてもらえればとフェイトは思う。
だから、数時間前まで翠屋で開かれていたお帰りなさいパーティーの中で、なんの気負いもなくリラックスした笑顔を浮かべているなのはの姿を思い返して。
(うん……、やっぱりなのはは、ああやって笑っている方が可愛い、な)
「――――――ん、っ?」
面会室での少し強張った表情と、屈託無く笑っていた今日の彼女の顔を脳裏で比較して、思わず吐息を吐いた、その時。
己の意識が覚醒した要因であったあの奇妙なむず痒さが、再び下腹部を駆け抜けていって、フェイトは微かに声を漏らす。
今までに経験した事が無い不思議な感覚に、彼女は半ば無意識のままにその部位へと手を伸ばした。
肌触りの良いお気に入りのパジャマの上から小さな指先がそっと触れるのは、未だ不浄の部分であるという認識の強い、両足の付け根の部分である。
(あれ、……なに、かな。これ)
布越しに感じた奇妙な手応えに、フェイトは内心で頭を捻った。
裸になった際に何度も見慣れている筈の自身のそこは、未だ義母や義姉のような体毛すら姿を見せぬ、まっさらな地帯の筈である。
けれども今の少女の指先には、柔らかな膨らみのような感触があるのだ。
大きさは、精々が親指程度のものだろうか。
不思議に思い指を動かしてみると、それはぷにぷにとした弾力を持っていて、手の動きに合わせて微かに身動ぐようであり、その度に先程感じたあのむず痒さに似た心地の良さが訪れ、じんわりとした暖かさを下腹部に生じさせていくのである。
(気持ちいい、な……)
そして、暖かさと共に胸中に芽生える、得も言われぬ安心感。
元々の眠気に加えて、新たに生まれてくる心地良さに弛緩した少女の意識は、やがてその正体を突き止めようとするのも忘れて、再びの眠りへと旅立とうとし始めた。
その時である。
唐突に、半ば暗闇の中に落ちかけていたフェイトの頭へと、先程のパーティーでのなのはの愛らしい笑い声が響いたのは。
(―――なのは)
にゃはは、と少しばかり特徴的な笑みの残響。
それが引き金であったかのように、少女の頭の中にある沢山のディスプレイが一斉に灯り始めた。
その画面に映し出される人物とは、無論、この場においてはただ一人。
愛くるしく輝く瞳、己のそれよりも赤みを帯びていて柔らかそうな頬、さらさらとしていて心地良い栗色の髪の毛、果てしないぬくもりをくれる手のひら、健康的に肉付いてふっくらとした身体のライン、柔らかく包み込んでくれるような肌の香り、心をくすぐるような甘い吐息、微かに湿った汗の匂い。
それは、これまでにも脳内で何度も何度も反芻してきた、大切な友人の、愛おしい姿の数々。
「ぅ……ん……?」
そんな幾つもの場面を想起した瞬間到来する、これまでとはまた異なる感覚。
思わず漏れ出る、微かに鼻にかかった吐息が彼女の困惑と共に宙へと漂っていった。
眠りに誘われるような安心感とは違う、何か心の奥底へと突き刺さっていくかのような、キュンともどかしいような気分。
自身の身体に走ったそれに驚いて、フェイトは反射的にその手の動きを止めてしまう。
(なに……? 今の、なんだか、すごく―――――)
未知の感覚に戸惑う少女は、訳もなく高鳴り始めている鼓動を強く認識しながら、じっと押し黙っていた。
しかし、暫くそうして先程の体験を思い起こし続けていると、奇妙な衝動がフェイトの内側で次第に大きくなり始める。
もう一度あのもどかしさを味わいたいという、今までに無い場所から生じてくるような、不思議な身体の欲求。
半ば無意識の内に、少女の指先はそれに促されるまま、ひとりでに動き始める。
しかし。
(………?)
そこから伝わるのはじんわりとした心地良さのみで、それ以外の、本当に味わいたいあの感覚がやってくる気配は全く感じられなかった。
どうすれば、再びあの感覚を得る事が出来るのだろうかと、フェイトは脳裏に先程までの自分の行動を思い描いてみた。
(眠たく、なってきて。そうしたら、なのはの声を思い出して、………ぁ)
再び、身体を駆け抜けた快感。
親友の顔を脳裏に思い浮かべた瞬間に走ったそれに思わず肩が震え、それと同時に、何かとてもいけないことをしてしまったような、奇妙な申し訳の無さがフェイトの心に芽生えた。
けれども、まるでその気持ちと比例しているかのように、指先の物体から身体の方へと響き渡る未知の感覚は強まっていく。
なのはの姿を強く思い浮かべれば思い浮かべる程に、もみこむような指先の動きに合わせて生じる表現しようもない気持ちの良さ。
まるで友人を使って自分の抑え込まねばならない欲求を満たしているような後ろめたい罪悪感。
(ぇ……、これ、って―――?)
本能が求めているかのような欲求に突き動かされるまま、その手を動かし続けていたフェイトはやがて、更なる違和感に気が付いた。
今まで、自分の身体であると言われれば納得できてしまう程に違和感も無く柔らかかったその塊が、急にハッキリとした芯が通ったかのように、硬さを持ちはじめてきたのだ。
寝入りばなのふわふわとした認識も相まって今までほとんど気に留めていなかったが、流石に自分の身体にはそのような特徴を持った器官など存在していない筈である。
ここに来てようやく、戸惑いや恐怖といった感情を自覚した彼女は、思わずベッドから立ち上がり、部屋の隅に置かれていた姿見の前へと静かに移動した。
月明かりの中で、鏡面に映り込む自身の身体。
フェイトはその下半身を覆っているパジャマに手をかけ、恐る恐る膝下へとずり下ろした。
真っ白な肌の上、局部を覆う子供らしい下着の向こう側で、ほんの僅かな膨らみのようなものが、その生地を押し上げているのが分かる。
ごくり、と唾を飲んで、残されていた下着が同じようにゆっくりと下げられていき、顕になる少女の秘密の花園。
「は、ぇ……?」
そこで目にした、己の身体に起こっている想定外の出来事に、間の抜けた声を少女は零してしまった。
くすみ一つなく月明かりが映り込むデルタゾーン、その下部に一本走る控えめな筋の上部にいつの間にか現れていたのは、彼女の親指よりも小さな突起物。
(これ……おとこのこの?)
真ん丸に目を見開いたフェイトは、学校の保健体育の授業で目にした教科書の頁を思い出した。
全体を皮で覆われたそれは極めて控えめで幼さに溢れたものではあったが、男性のもつそれと何一つ変わらぬものである。
本来であれば、陰核が存在していたであろう場所から伸びるその器官は、少女の股間に後天的に生まれるなどという事は決してありえないものだ。
想像だにしていなかった光景に完全に硬直していた彼女だったが、やがて、まるで本当に実在しているものであるかを確かめるように、小さく細い指先が恐る恐る、肌と同じ色の包皮に包まれたそれに伸ばされる。
くにゃり、とした柔らかな感触は、ベッドの中で触れていた時のそれと同じ。
むしろ直に目で見ながら触っている分、より一層それが実感できてしまう。
(ど、どう、しよう……これ)
時空管理局の嘱託魔導師として第一線で活躍する彼女であっても、その実年齢は未だ幼い少女であり、性知識など教育の場以外で学んだことも無い。
己の身体に起こっているこの現象が、果たしてありふれたものなのか、それとも明らかな異常であるのか、それすらも分からず、ただ当惑するのみだった。
義母や義姉に相談するべきだろうか、とは思うものの、元よりこの部位は女性として、しっかりと隠しておかなければいけない場所なのであるという認識もあり、どうにも踏ん切りがつかない。
有り体に言えば、恥ずかしいのだ。
それはまた、友人達に対しても同じ事で。
(放っておけば、元に戻るの……かな?)
まるで初めからそうすることが決められていたかのように、やけにあっさりとその問題を先送りする事を選択してしまうフェイト。
もしかしたらこれも、授業で学んだ大人になる為の一歩なのかもしれない、などと、そんな理屈が何処からともなく飛来して。
「ふ………、は……ん………」
少女がそんな結論を出すまでの間にも、鏡の中でその細い指先は休むことなく動き続け、小さな陰茎を手慰んでいた。
お腹の奥からそのふっくらとした塊までを、なにか熱くて柔らかな何かが行き来しているような熱を帯びた感覚。
それを生み出しているのであろう器官を実際に目にすることによって、より一層確かなものとして感じられる快感に、鏡に映る金髪の童女の瞳は、トロンと心地良さげに細められていた。
(―――で、も……)
そんな、温水の中を揺蕩うような気分を味わい続けながらも、どこか満足しきっていない自分がいる。
その事に、フェイトは気が付いてた。
つい先程、身体に響き渡った、あの突き刺さるような得も言われぬ快感。
またしても、それを強く欲している自分に。
(―――――なの、は)
だからもう、より鮮明にその顔を思い浮かべてしまうのは仕方がない事だった。
にっこりと、自分に笑いかけてくれる友人の、愛らしく美しいその笑顔が最大限に引き伸ばされて、脳内のスクリーン一杯に映し出される。
そうすれば、ほら。
ゾクン、と背筋が震えるような快感が、少女の思ったとおりに、小さな体躯の内側を駆け抜けていった。
「ふ、ぁ……っ♡」
今までで一番強いそれに、思わず声が漏れ出てしまう。
静寂に包まれていた部屋の中、微かに反響する嬌声に訳もなく恥ずかしさを感じてしまって、フェイトはその口を慌てて片方の手で塞いだ。
自分から出てきてたとは思えないくらいに、鼻にかかったとても甘い響き。
壁の向こうの義母や義兄にそれが聞かれてしまっては居ないだろうかと、ドキドキと心臓が高鳴り、同時にその鼓動に急かされているかのようにゾクゾクと背筋をくすぐったいものが何度も走り抜けていった。
気が付けば手の中のものは再び硬さを増し始めていて、彼女の指の動きも揉み込むような仕草から短い前後運動に変わり始めている。
どうしよう、どうしよう、と焦燥感に駆られて纏まらないままの思考を巡らすフェイト。
自分は今、何かとても、イケナイコトをしているのではないか、という恐れや焦り。
そういった事を考えれば考えるほど、指先に摘まれた小さな肉茎から身体に送り込まれる快感が、どんどんと強くなっていった。
「………ん………んんッ♡………っ」
一度唇から飛び出して以来、堰を切ったように抑えが効かなくなってしまった声が、押し当てられた掌の向こう側からくぐもった音となって薄暗い室内に響き渡る。
こんな声を上げていたら、家族に聞こえてしまうかもしれないね、と、脳内に思い浮かべていたなのはの顔が、どこか面白がる様な声色で警告を口にした。
それは単に、自身の胸中を脳内の像が代弁しているだけだと分かっているのに、まるで彼女に実際に耳元で囁かれているかのような感覚に襲われ、一際大きな声が漏れ出てしまうフェイト。
他人に聞かれるのが恥ずかしければ、今すぐにこの手の動きを止めればよかった。
そうすれば、自分が悩ましげな声を上げてしまう原因である気持ち良さも、終わりを迎えるはずなのだから。
そう、理解出来ているのに、止まらない。
――――止められない。
鏡の中に居る小さな少女は、まるで自分では無いかのように思えるほどの蕩けた表情を浮かべながら、腰を前に突き出して股間を弄り続けていた。
小さく、けれどもすっかりと固くなっていることが分かる肉茎は、彼女の親指ほどの大きさだろうか。
前後に指を動かす度に、白肌の皮の向こう側から、ピンク色をした柔らかそうな部分が覗いて見えていた。
それは、自身の先端から染み出した透明な液体を薄らと塗されて、申し訳程度に月明かり反射して輝きを増している。
指の動きに合わせて包皮がその部分をなぞるように上下する度、震えにも似た悦びが背筋をずくん、と走りぬけて、押し殺した声に変換されて部屋の空気に溶けて消えていった。
(どう、しよう……。とまらない、とまらないよ……。なのはぁ……っ)
なんだかもう、自分がどうすればいいのか、どうしたいのか、それすらも分からなくなってきて、フェイトはその瞳に薄っすらと涙すら浮かべ始めている。
頭の中に思い浮かべられ続けている栗色髪の少女は、しかしそうして問いかけたところで答えてくれる筈もない。
ほとほと困り果てて、もしかしたら朝が来るまで自分はずっとこの行為をやめることが出来ないのではないか、などと彼女が本気で思い始めた頃である。
「フェイト、大丈夫かい?」
「――――――ッッッ!?」
いつの間にだろうか。
廊下に繋がる扉の向こう側から控えめに掛けられたその声は、義兄であるクロノ・ハラオウンのもの。
彼の接近に気が付くことが出来なかった自分を恥じるよりも早く、とにかく何か返事をしなければいけないと焦燥に駆られるよりも早く、何よりもフェイトの精神を圧迫したのは、このまま義兄に扉を開けられてしまったら今の己の姿を見られてしまう、という限りない恐れと焦りだった。
瞬間。
「ふぁんッッ♡♡!?」
(なに……ッ? なに、これぇっ………!?)
これまで感じてきた何よりも激しく、鮮烈な快感が、脳髄を突き抜けていく。
まるで想像だにしていなかったその体験に、フェイトの指先の動きは止まるどころかより一層の勢いを帯びていった。
ここにきてようやく彼女は、自身の感じる快感をより強いものとしている原因に気が付く。
緊張や焦り、恐れや不安、そういったものを自分が覚えれば覚えるほど、この行為によって生まれる悦びは大きなものになっていくのだと。
「うなされていたようだけど、何かあったか?」
扉の向こうから掛けられる声。
彼がいきなり中に入ってこないのはきっと、年頃の義妹に対する年長者としての気遣いなのだろう。
この家を完全に己の居場所のひとつとして考えているフェイトは、就寝時であっても自室のドアに鍵を掛けることはしていなかった。
その為、仮にクロノが室内の様子を見ようとすれば、それは何の抵抗もなく開け放たれる事になる。
「う、ううんっ! だいじょう、ぶだよっ♡ ちょっと、夢見が、悪かっただけ、だからぁっ♡」
(大丈夫、大丈夫だから、お願い、入って、来ないでぇ………ッ)
ほんの一寸先まで迫っているであろうその状況が、フェイトの脳を真っ白な光で焼いていく。
こすこすという音が聞こえてしまうくらいに忙しなく前後に手を動かしたまま、彼女は義兄に向けて途切れがちな言葉を紡いだ。
そのまま去って欲しい、という願いと、自分の姿を見て欲しい、という相反する願望が頭の中で奇妙に混濁し、シェイクされる。
ひと擦りする度に、おなかの奥の方へと積み上がる様に蓄えられていく快感が、今にも爆発してしまいそうな膨満感を下腹部から頭へと訴えて来ていた。
(何っ? なにか、なにか来るのッ? なにか、なの、は………ッ♡)
「そうかい? もし調子が悪いのなら、熱でも測っておいて方が良いかと思ったんだが」
「だっ、だひじょうぶだよっ! きっと、もう、ちゃんと、眠れるから―――――ぁッッ♡♡」
扉の向こう側で、義兄の手が微かにノブに触れたような気配がして、フェイトを身を苛む焦燥が一際激しいものとなる。
思わず語気を強めてそれを否定し、息を吐き切った、その瞬間だった。
「~~~~~ッッッ♡♡♡!!」
下半身で何かが爆発したのでは無いか、と言わんばかりの衝撃が、全身を駆け抜けていく。
それまで休むこと無く前後していた手の動きが、思わず止まってしまう程の凄まじさ。
快感によってパンパンに満たされていた風船がついに破裂してしまったような、そんな感覚に、文字通り全身が震えてしまっていた。
もし、咄嗟に掌で口を覆っていなければ、紛う事無い嬌声がその喉から飛び出ていたかも知れない。
それが絶頂と呼ばれるものである事を知らない彼女は、目覚めてから続いていた異常事態の集大成とも言えるそれに、もう訳が分からなくなっていた。
けれども、もしここで声を上げてしまえば、間違いなく自分のこんな姿が義兄に見られてしまうのだという確信の中で、必死に嬌声を押し殺す。
「………分かった。それじゃ、おやすみ」
「~~~――――――ぅッ、ん。ぉやすみ、な、さぃ……♡」
義兄が一体何を納得したのか、フェイトにはわからなった。
しかしその言葉を最後に、彼の気配は扉の向こうから静かに離れていき、やがて別の部屋の扉が微かに閉まる音が廊下に響く。
そして訪れる静寂。
もう安心だ、という確信が得られるまで、中腰になったままの体勢で口を抑え続けていたフェイトは、放心したかのようにどさりとベッドの上に倒れこんだ。
始めて味わった絶頂の余韻が、じんわりと身体中に心地良い重みとなって伸し掛かる。
(―――――気持ち、良かった、よぉ……)
にへら、とだらしなく蕩けた笑みを浮かべて、フェイトは知ってしまった蜜の味を反芻するかのように股間を再び柔らかく弄んだ。
先程のあの衝撃の反動なのか、すっかりと柔らかくなってしまったそれは、しかし未だ先の快感をその内側に残しているのか、少し指を這わせるだけで自然と腰が跳ねてしまう。
ともすれば、苦しさすら感じてしまうその行為。
けれども彼女には、その苦しさすらも、たった今知ったばかりの秘め事に繋がる大切な感覚だった。
「…………ん、ぅ?」
自身の内で燻る火種がすっかりと灰になってしまうまで、何度も何度もそれを繰り返していたフェイト。
身体の中の粗熱も静かに冷め始めたその時になってようやく、少女は己の内ももがしっとりとした液体に濡れている事に気が付いた。
ベッドに横になったまま指先だけでその雫の跡を追っていくと、やがて辿り着いたのは件の器官にほど近い、両足の付け根のぷっくらとした幼い割れ目。
細い線が一本入っているだけなのは相変わらず、けれどもその隙間からは、彼女が体験した快感を物語っているように、たっぷりとした幼蜜が湧き出していた。
またしても始めて味わう人体の反応に微かに驚き、けれども少女は、その溢れ出る雫を拭き取ろうとする気力も残っていない。
すっかりと萎んでしまっている陰茎に触れている時とは、また異なる種類の心地良さが生まれる割れ目をゆっくりとなぞり上げていると、次第に彼女の意識に暗幕が下ろされていった。
生まれて初めて知った自慰という行為と、そしてそれからもたらされた快感の爆発。
同年代の子供たちが知るそれとは、些か一線を隠した異常なそれは、しかし彼女が知るよしもない。
絶頂を迎えた気怠さの中で、静かに、穏やかなものへと変わりゆく少女の吐息。
両の脚に挟まれてゆっくりと動いていたその手もやがて力を失い、後にはただ、秘め事の甘い残り香だけが残される。
満足気な微笑みを浮かべながら、フェイト・テスタロッサの初めての自慰は、こうして終わりを迎えた。
余談ではあるが、翌日、パジャマを足元までずり下げたまま寝入ってしまった影響か、風邪を引いて学校を休んでしまった彼女は、やはりな、と納得した風情の義兄の視線の元で、顔を赤くしながらおかゆを啜ることになってしまった。
フェイトは、彼女にしか分からない恥ずかしさの中”次からは”ちゃんと服を着てから眠ろう、と、静かに心に誓ったのだと言う。
◆◇◆◇
それから、私が地球で過ごす日々は、以前にも増して満ち足りたものとなりました。
最近では毎日、朝食の準備をする義母さんよりも早く起きて、ベッドの中でこっそりと気持ち良い場所をいじり続けています。
そのせいで前よりも部屋を出るのが遅くなって、朝ごはんの席に座るのも一番最後になることが多くなってしまいました。
皆がもう集まっているというのに私一人だけがこっそりといけないことをしている。
実は、そう考えてしまうと、感じる気持ち良さがそれまでの何倍にもなってしまう事に気が付いてしまったからなんです。
最近では、義母さんが私の名前を呼ぶ瞬間に合わせて気持ち良さのてっぺんに駆け上がるのがすっかり習慣となってしまって、お陰で家族に夜更かしは程々にと頻繁に注意を受けるようになってしまいました。
そうした小言を貰う度に、気持ち良くなった後に何故か冷静になる頭の中で、もうこれで終わりにしようと決意を改めてはいるのです。
いるのです、けれども、次の朝になると私はどうしても我慢出来ずに同じ事を繰り返してしまうのでした。
我慢しよう、我慢しようと思う度に、心の奥の方からなんだかとても熱い何かが昇ってきて、勝手にあそこが大きくなってしまうのです。
そして、そうなってしまうともう条件反射のようになのはの姿が頭の中に浮かび上がってきて、手を止めることが出来なくなってしまいます。
だから、毎日学校に向かう時になのはと顔を合わせるとどうしても恥ずかしさが込み上げてきて、その可愛い顔に直接目を向けられないことが多くなってしまいました。
申し訳なさと、恥ずかしさと、暗い興奮。
そんな感情に心が締め付けられてしまうから。
――――――そして、そうしたものたちと一緒にやってくる、おなかの奥の方がキュウンとする感覚に、我慢が出来なくなってしまいそうだから。
けれども流石に、家の外でそういったことをするのはどうしても怖くて恥ずかしくて、学校に居る間は今までと何も変わらない一日を過ごしています。
けれども、皆と笑い合う楽しい時間の最中にあっても私の頭の中ではいつも、気持ち良くなりたいという欲求がちらついていて、早くこの時間が終わってしまえばいいのに、とも思ってしまうのです。
だから、学校が終わって家に帰ると、私は夜が来るのをとてもとても楽しみに待つようになりました。
家族との幸せな晩御飯を食べて、お風呂に入って、寝支度を整えて自室に戻って。
そうするとようやく、日中はずっとあそこの部分に掛けていた不可視化の魔法を解く事が出来るのです。
教科書で見た、男の子の、お、おちんちんにも似た不思議な何か。
冷静になって考えれば考えるほど、本当は私についているのはおかしい筈のものなのに、不思議と誰かに相談しようという気にはなりません。
もし何か身体に良くないことが起こってしまったら、その時にどうするかを決めればいいと、私はいつしかそのように考えるようになっていました。
だって、そう、これはとても、気持ちが良いものだから。
家族にも友人にも内緒の、私一人だけが知っている秘密のもの。
お布団の中に入ってからは毎晩、眠くなるまでずうっと、男の子の場所と女の子の場所を一緒にいじり続けています。
気持ち良くて、くすぐったくて、少しだけ後ろめたくもる、たまらない感覚。
そのてっぺんにある、身体が爆発したようななんとも言えない高まりへと、身体を震わせて、声を押し殺して、何度も何度も昇りつめるんです。
これがいやらしいことである、という自覚はあります。
本当は、今すぐ義母さんや義兄さんに身体の異常を相談するべきだ、と言うことも。
けれども、駄目なんです。
知ってしまった気持ちの良さを、自分から手放すことを決断出来る気がしないのです。
私はきっと、いやらしい子、になってしまったのでしょう。
だから多分、神さまはそんな私に罰として新しい悩み事を増やしたのです。
今まで考えもしていなかった、どうしようもなく辛い悩み事を。
「それでね、そうしたらお母さんがねー?」
にゃはは、と笑いながら、なのはは昨日のお家でのお話を教えてくれています。
彼女を先頭にして、いつものように連れ立って学校へと向かう私達。
なのはの後に続くのは、なんだか最近はいつも手を繋ぎ合っているアリサとすずかです。
二人はどこかぼんやりとした瞳をしていて、けれども足取りはすごく綺麗に整っていました。
聞くところによれば、アリサは暫く前からご両親の都合等の色々な事情が重なって、すずかの家で暮らしているようです。
きっと一緒の家に住んでいるから、仲の良さも更に深まって、あんなにぴったりな動きが出来るのでしょう。
なんだか少し、羨ましいなぁ、と思ってしまいます。
「へ、へぇ。そ、そうなんか…………ぁッ……」
列の最後尾にいるはやては、なんだかずいぶんと赤い顔をしています。
熱でもあるのではないかとみんな心配したのですが、気にすることは無い、の一言で押し切られてしまいました。
守護騎士の皆に尋ねてみると、身体的な異常ではなく、練習していた魔法のちょっとした副作用であるらしいと言う事がわかったので一安心です。
とは言え、時々何かに耐えているように俯きながら身体を震わせているので、あまりに辛そうなら保健室に連れて行くべきかもしれません。
そう、なのはとこっそり念話で相談していた時でした。
「う、にゃあっ!」
何もない平坦な道だというのに、彼女が唐突に足をもつれさせて転んでしまったのです。
「なのは!」
私は急いで駆け寄り、手を差し出そうとしました。
けれどもその足は、思いもよらない光景を目にして、とたんに固まってしまいます。
なんという事でしょうか。
ばったりと、腰を突き出すような形で前のめりに転んでしまったなのはの制服のスカートが、とても丁度いい具合にめくれあがっていて、その可愛らしいお尻が露わになっていたのです。
しかも、その場所を覆っている下着は、私が知っている限りでは今までなのはが身に着けているのを見たことが無い、大人、としか言いようがないデザインをしていました。
時折、お家に遊びに来たエイミィがこっそりと着けているのを、一緒にお風呂に入った時に目にしたことがあるくらいの、面積のとても少ない、黒と紫色をしたレースのショーツ。
なのはが身につけるにはあまりにも大人びていて、けれども逆にそれが独特のいやらしさや美しさを醸し出しているように思えてしまいます。
固まったままの私は、その下着がきゅっと食い込んで、半分ほども露わになっている小さなお尻から、目が離せなくなってしまいました。
私自身の下着の中で、透明化された小さな男の子と、お腹の奥の方が同時に柔らかく締め付けられるようなもどかしさが襲ってきます。
(―――――すごい、なのはの下着……、なんだか、とっても)
心臓の鼓動が一気に激しくなってきて、触ってもいないのに例の部位がどんどんと硬くなっているがわかりました。
心の奥の方から込み上げてくる衝動は思わず呻いてしまいそうなほど凄まじいもので、どうしても今すぐにそれを慰めたい、という切ない気持ちが、一気に押し寄せて私を打ち据えるのです。
「………ッ、大丈夫? なのは」
「あたたた……、ごめんね、フェイトちゃん。ありがとう」
勿論、そんなことが出来るはずもありませんし、他の人が通るかもしれない場所でいつまでも彼女の下着を見せたままにしているなんて出来ません。
私は平静を装って、倒れたなのはに腕を差し出しました。
きゅっと握られるお互いの手。
その掌に触れる彼女の体温を感覚してしまうと、おなかの奥の切なさ倍増してしまったような気がして、思わず甘い色が混ざった息を吐き出してしまいます。
「うぅん、最近あんまり身体を動かしてないからかなぁ。なんだか、運動神経がさらに鈍くなっちゃったみたい」
「無理、しないでね」
「うん、気を付けるよぉ。―――ふふっ、折角だし、私たちもアリサちゃんとすずかちゃんみたいにして学校まで行こっか」
「えっ、えぇ、と、ぅん。そう、だね………」
にこやかに、そんな嬉しくも辛い提案をしてくるその笑顔を拒む事など、私には出来ませんでした。
だから、なのはと二人で手を繋ぎながら、背中に並ぶ三人を導くように一番先頭を歩きます。
まるで繋ぎ合った指先から私の中へと、際限なくなのはの熱が入り込んでいくかのように、身体が熱く火照っていくのがわかります。
そう、これがこそが私の、新しい悩み事でした。
なのはの事を意識するだけでどうしようもなく身体が昂ぶってくるというのに、それに輪をかけて、最近の彼女は、その、事あるごとに私に触れてくれるです。
以前であれば、なんの問題もありませんでした。
誰かに触れられる事はとても安心できることで、ただそれだけだったから。
けれども今は違うのです。
特に、その相手がなのはだった時に私が感じてしまうのは、安らぎだけではなく、もっと熱くてドロドロとした何か。
その熱い何かは、やがておなかの奥へと集まっていって、痒い所を掻きむしりたい気分にも似た辛いもどかしさとなって私を苦しめるのです。
なのはと触れ合うという事はとてもとても嬉しいことの筈なのに、今は同時に非常に辛いことでした。
本当に、本当に、辛いことでした。
けれども、私がこんなにいやらしい気持ちになってしまっているということ表に出したら、きっとなのはに嫌われてしまいます。
だから、ただじっと我慢するしかないのです。
「………ぁ………はぁ………ぅう…………」
結局、手を繋いだことで生まれてしまったその火照りは、学校に到着しても、朝礼を終えても、全然冷める様子がありませんでした。
私はもう、どうしようもなく打ち寄せてくる来る衝動に耐えるように唇を噛みしめながら、悶々とした授業時間を過ごす事になります。
そして、そんな私に追い打ちを掛けるかのように、同じ教室に居るみんなの口から溢れていく吐息が、訳も無く心をかき乱していきます。
教科書に顔を伏せながらちらりと様子を伺ってみれば、どことなく熱っぽさそうに頬を染めて、潤んだ瞳と、湿った息。
アリサとすずかは二人ともどこか嬉しそうに、交互に身体を揺らしていて、はやてはじっと顔を俯かせるようにしながら、けれどもその肩が小気味良くぴくぴくと震えているのが分かります。
三人の姿はまるで私と同じように、必死で何かを我慢しているような―――――。
いえ、きっとそれはこの熱に浮かされた私の勘違いなのでしょう。
だって、いやらしい子なのは、私一人だけなのですから。
(我慢、我慢しないと……。家に帰ったら、帰ったら一杯出来るんだから、するんだから、我慢しないとぉ……ッ)
こんな事では、授業など耳に入る訳がありません。
机を抱え込むようにして必死で自分の欲求と戦っている間に、気が付けばもうお昼休みの鐘が鳴っていました。
もう、半ば条件反射のように席を立ち、いつものように皆とお昼ごはんを食べようと場所を移動しようとした、その瞬間です。
「うひゃあッ!?」
またしても唐突に、頭の後ろの方から可愛らしい叫び声が聞こえてきました。
聞き覚えのある声に咄嗟に振り返ると、視界いっぱいに広がったのは慌てた表情のなのはの顔。
「ぇええッ!?」
あっ、と思った時にはもう遅くて、柔らかなその身体にぶつかられた勢いそのままに、どすんと、私達は教室の床に倒れ込みます。
頭の中にちかちかと星が瞬いて、背中の痛みに涙が滲む目を開いた時、私は駄目押しのような本日二度目の衝撃に再び硬直してしまいました。
「あぃたたたぁ………、またやっちゃった。フェイトちゃん、大丈夫?」
「――――――ッ」
「………フェイトちゃん?」
「ッ――――――ぅ、うん! 大丈夫、大丈夫だひょッ!」
だって、床の上に仰向けに倒れている私の身体全体に伸し掛かるように、なのはが密着していたのですから、当然です。
吐息と吐息がぶつかり合うような距離で見つめ合って、身体全体に感じてしまう、なのはのぷにぷにとした柔らかな肉体の感触。
手を握る、どころの話ではありません。
五感の全てで、なのはの存在をこの上なく感覚しているかのようなその現状に、唯でさえ硬さを持ったままだった私の秘密が、より一層はっきりと起き上がり始めてしまいます。
いけない。
そう思った所で、それは私の意志なんて関係なしに大きくなっていって。
「あれ、なんだろう。なにか、硬いものが」
止めは間違いなく、それでした。
幾ら不可視化の魔法で誤魔化しているとはいっても、布の裏地を別空間に繋げてでもいない限り、下着の中で膨らんでしまったものを無かった事にすることはできません。
きっと私の身体にぴったりとくっついていたなのはには、そのふにふにの太ももに触れてしまっているおちんちんの感触を、はっきりと認識してしまったに違いありませんでした。
もうすっかりと慣れきってしまった私とは違う、何か不思議なものを触るような、そんな辿々しい手つきで、布越しに指先がそれを撫で上げたのです。
「んひぅぅッッ♡」
その瞬間、私の口からは、信じられない程に甘い嬌声が漏れ出てしまいました。
自分でするのではなくて、他人にそれを触られる、という初めての体験。
しかもよりにもよって、いつも一人で気持ち良くなっている時に頭の中に思い浮かべていた友達からの、なのです。
感じた感覚が果たして気持ち良さなのか何なのかすらもあやふやで、ただもうどうしようもなく、おなかの奥で沢山の粒が破裂しているような衝撃が叩きつけるように押し寄せてきます。
それを意識してしまった時、私の中で、ぶつりと、何かが切れる音がしました。
「なのは、ごめんね、ちょっと、どいてほしいかも」
「あっ、うん、ごめんねフェイトちゃん、重たかったでしょう?」
「ううん、全然。それより私、今急にお腹が痛くなっちゃったから、先にみんな、ご飯食べててね。それじゃあっ」
自分でも驚いてしまうほどにすらすらと言葉が口から飛び出して、起き上がった私はまるでバリアジャケットを纏っている時のように、素早く教室を飛び出します。
脇目もふらずにその場から逃げだした私には、だから、目にすることは出来ませんでした。
残された四人が、それぞれ浮かべていた表情を。
アリサとすずかは相変わらずお互いの手を握り合って熱い吐息を漏らしながら微笑み、はやては何処か悔しげに、けれどもきつく腕を回した自分の身体を細やかに揺らし。
そしてなのはは、とても楽しそうにその目を細め、静かに舌舐めずりをするのです。
私の秘密に触れた自分の指先を、ぺろり、と舐めながら。
(無理だよ……っ、もう、我慢出来ない―――ッ!)
口にすることが出来ない叫びを頭の中で上げながらも、今までに無いくらいに冷静さを装って、私は校舎の中でも比較的使う人が少ない、特別教室の集まる場所にあるトイレへと早足で駆け込みました。
お昼の時間ですので当然の事かもしれませんが、綺麗に掃除されたトイレの中はとても静かで、誰かが居る様子はありません。
せめてもの理性を働かせて入り口から一番奥の個室に、一目散に飛び込みます。
私は背後でその扉が閉まるか閉まらないか、といったタイミングであっという間にスカートから下着をずり下げて、便座に座り込みました。
制服のスカートを押し上げる数センチほどの硬さ。
ばさり、とその真っ白な布をも取り払って、私はためらう事なくそれに手を伸ばしてしまいます。
「ぁッ―――! ~~~~ッ、~~―――ッ♡」
(気持ちいい、気持ちいいよぉッ、なにこれえっ―――!)
握りしめた、火傷しそうなくらい熱いおちんちん。
独りでに指が激しく上下してしまって、そこからやってくるのは今までに無かった位に物凄いの快感でした。
あの日の夜と同じように声を必死で押し殺して、けれども抑えられない甘い声が漏れ出て、それが静かなトイレの中でとても明朗に響き渡っているように感じられます。
朝からずっと、我慢し続けていた欲求が解消される爽快感。
学校でいやらしいことをしている、という状況への倒錯感と、焦燥感。
気持ち良さの理由は、沢山、沢山挙げることが出来ます。
けれども、なによりも私にとって衝撃的だったのは。
(なのはが、なのはが私のッ、私のをッ、私のを触ってくれたよぉ!)
この遊びを覚えてから今までずっと、興奮を盛り上げるためだけに頭の中に作り上げてしまっていた大切な友達。
何故、彼女の顔を思い浮かべるだけで私はどうしてもおなかの奥からやってくる要求に我慢できなくなってしまうのか。
その理由にはもう、知識や経験に乏しい私でも薄々気が付くことが出来てしまっていました。
言葉にするのはとても恥ずかしくて、はっきりとそれと見つめ合う事はとても怖いけれども。
そう、だからきっと私は今、こんなにも狂おしいほどに興奮してしまっているのでしょう。
冷静にそう考えようとしている思考も、もうマルチタスクすら難しいくらいにぐちゃぐちゃに乱れています。
なのはに触られた時に響いたあの快感と、そして得も言われぬ幸福感が、自分自身で慰めている今この時になっても、全く頭の中から離れてくれないのです。
何度も何度も何度も何度もリフレインされ続ける頭の映像は、熱に茹った私の頭の中で、次第に妄想へと変わっていきました。
二人以外には誰も存在しない空間で、先程と同じようにに、仰向けに倒れ込んでしまった私。
初めからピンと勃っていたその小さな肉棒を、なのははとても蠱惑的な表情を浮かべながらそっと触れてくれるのです。
「ひ、ぁぁ―――ッt♡♡」
そんなどうしようもない空想上の一場面だけで、現実のものとなって背筋を駆け抜けていく快感。
これまではただ漠然と思い浮かべるだけだった彼女の顔が、ただ一度触れられたあの体験を元にして、更に具体的で、濃密な物へと変わっていくようでした。
早鐘の様に鳴る心臓の音と、荒く吐き出される吐息、そして、只管に私の秘密が扱かれる微かな摩擦音が個室の中に響いています。
妄想の中のなのはの指の動きも、それに合わせるようにして動かし方が変化して、私はただただ快感を受け止めるしかありません。
「はッ、はぁっ……ぁ、………んふぅっ……んッ♡」
(あ……♡ わたしっ……、わたしぃ♡ なの、はッ―――!)
それでも尚、私に優しく笑いかけてくる頭の中のなのはに対して、言葉にすることが出来ない感情の奔流が溢れ出ました。
もう、頭の中にあるのはただそれだけ。
ふと気付いた時には、女の子の方へも伸ばされていた指先が、くにゃくにゃとその柔らかなお肉を弄り回していて、滑らかな液体がその奥の方から染み出してきます。
ぽたん、ぽたん、とそれが水の中に垂れ落ちる微かな音が、新しく個室の中に加わりました。
「――――――――ッ!」
どれくらい、経ってからでしょうか。
私自身の身体から生まれる音だけに満たされていた室内に、唐突に飛び込んでくる大きな鐘の音。
それは、午後の授業が始まる五分前を告げる予鈴でした。
お昼休みが始まってからこれまで、時間の感覚というものを忘れてしまっていた私は、ハッと息を呑みます。
(う、そッ……、そんな、もう、そんな時か――――――はぁっ、ぁあッッ♡♡)
そして当然、焦りを感じれば感じる程に、やってくる快感は強烈なものとなってしまうのです。
これまでの経験ではっきりと悟っていた事実ですが、ここに来てそれはさらに私を高い場所へと突き上げようとしていました。
「ふっ―――ぁあッ♡――――――ふぁああ―――っっッッ♡♡」
(だめだよ、なのはっ、そんな、そんなにされたら、わたし、わたしッッ♡)
もう、全力と言って良いほどに、この日一番の速さで手が上下に動きます。
それに伴って妄想の中でも、愛らしい笑顔を浮かべ続けるなのはに、私はとても激しくそれを扱かれていました。
あまりの気持ち良さに開きっぱなしになってしまっていた唇から、たらり、と涎が垂れ落ちます。
けれども私はそれに気が付く事も無く、ただひたすら、あり得るはずが無い快感の辿り着く先を目指していました。
そして、予鈴が今まさに鳴り終えようとするその瞬間です。
(くるよっ! きちゃうよっ、なのは、なのはっ、なのはぁぁっっっ♡♡♡)
「ふッ、ぁ゛ッ、んんんんん―――――――――ッッッッッ♡♡♡♡!!!!」
ぎゅううっと、身体が私の手の中にすべて収まってしまったかのような錯覚。
かつてなのはの砲撃を直接受けた時にも似た、とてつもない衝撃が全身を襲います。
けれどもそこからやってくるのは、痛みや苦しみとは全く無縁の、どうしようもない気持ち良さと幸福な気分だけなのです。
口を塞いでいなければ、個室の中はおろか廊下全体に響いてしまったのではは無いかと言う位の大きな声が、私の口からは漏れ出ていました。
響き渡る予鈴の残響の中で、荒々しい吐息のまま、びくびくと震え続ける身体を抱きしめます。
今の自分はきっと、どうしようもなく満ち足りた幸せの顔をしている。
そんな自覚がありました。
本当に、私はどんどんと、いけない子になってしまっているようです。
こんな事で幸せな気分になってしまうなんて、絶対にいけないと分かっているのに。
義母や義兄や、頼れる皆に、この身体のことを相談するのは、今からでも決して遅くはない筈なのに。
けれどもこの時、甘くふやけた私の頭の中を満たしていたのは――――。
(どうしよう……、学校で、するのも、すごく気持ちいいか、もぉ……♡)
そんな、次への期待だけ、でした。。
◇◆◇◆
「あ、フェイトちゃん? こんな時間にごめんね。今、大丈夫かな?」
『うッ――――ううん、大丈夫だよ、なのは。丁度今、寝ようと思っていたところだったから』
「そっかぁ。あのね、そんなに長いお話じゃないんだけどね。今度の日曜日、時間あるかなーって思って」
『え……っと、うん、特に仕事が入ってる訳でもないから、大丈夫だよ』
「わぁ、よかった。実はさっき、映画の招待券を貰ったの。ペアチケットなんだけど、もしよかったら日曜日、一緒にどうかなって」
『ペアチケット、ということは、二人で?』
「そうそう、二人っきりで。皆は、ちょっと都合がつかないみたいだし。ダメ……かな?」
『―――う、ううん、そんなこと! 私なんかでよければ、ぜひ』
「にゃはは、ありがと、フェイトちゃん」
『ううん、そんな、こちらこそ。誘ってくれてありがとう、なのは』
「ふふ、詳しい予定は、明日学校でお話しようね。それじゃあ、おやすみなさい、フェイトちゃん」
『わかった。おやすみなさい、なのは』
ぷつり、とスピーカーの向こう側で途切れる通話音を最後まで聞いてから、なのはは己の携帯電話を耳から離した。
画面に表示されるつい先程までの会話相手の名前を指先で愛おしげになぞり、はふぅ、と婀娜っぽい吐息を吐き出す。
月光の差し込む部屋の中、巨大なベッドの上に横になる彼女は、一糸纏わぬ生まれたままの姿だった。
そして、その茫洋とした銀の輝きを受けてより一層艶めく褐色の肌の上を、一時も休む事なく行き来する、二組の舌と唇。
くぐもった吐息と、粘つく水音。
「二人とも、随分上手になったね」
労うようにそう言って、なのはは己に添い寝る両者の柔らかな髪をそれぞれ梳いていく。
「ふ、……ふぁんっ! わ、私達にかかれば、これくら、い、当然よ、ねぇ、すずかぁっ?」
「う、ん。ふたりで、たくさん、れんしゅッ、う、してたもの、ね、アリサ、ちゃんっ」
ただ、それだけの事だというのに、彼女に奉仕する二人の少女――――月村すずかとアリサ・バニングスは、まるで全身を激しく愛撫されているかの如くその身を震わせ、互いを感じ合うかのように熱に浮かされた視線を交し合う。
その瞳は、暗闇の中においても妙にギラついた輝きを放ち、それと同時に酷く濁った情欲の色を湛えていた。
未だ発達途上の幼い身体は、けれども完全に発情した雌のそれであり、真白の肌から吹き出す汗や幼い蕾からしとどに溢れ出る愛蜜らが混じり合った、甘く馥郁たる少女香が部屋全体に濃厚に満ち満ちている。
脳髄を痺れさせるようなその香りを胸一杯に吸い込みながら、なのはは未だたどたどしさの残る、けれども真摯な両者の奉仕を受け入れながら柔らかく微笑んだ。
「これなら私も、御主人様に胸を張って二人を紹介できるよ」
今頃は己の母親を、その腕の中で散々に悶えさせているであろう主の姿を思い浮かべ、ぞくりと背筋を震わせる。
「その時まで、もっとちゃんと、上手になっておくんだから」
「うん、だからもっと沢山、私達に練習させてね、なのはちゃん」
すずかとアリサもまた、未だ相見えぬ、自分たちが真に仕えるべき主人をそれぞれその脳裏に思い描いて、なのはに対してより一層熱の籠った愛撫を施す。
舌や唇だけに限らず、滑らかな素肌全体を絡ませるようなその奉仕は、とめどなく吹き出す欲情の汗を潤滑剤にして、三人の境界線すらもあやふやにしてしまうかのようだった。
心も、身体も、繋がり合っているのだと思わせられるような幸福と快楽に満ちた充足感。
あぁ、私はなんて幸せな女の子なのだろうか、と甘い息を吐くなのははもう一度、手にしていた携帯電話へと視線を向ける。
消灯されたディスプレイについ先程まで浮かび上がっていた名を持つ少女へと、唇の中で再びおやすみなさいと声を掛けた。
自分たちも、そして彼女も、きっとまだまだ眠りに就くことは無いというのはわかっているけれども。
「早く、一緒になりたいね」
呟き、その光景を想像して、けれどもまだ、と湧き上がる衝動を押し留める。
もっともっとゆっくりと時間をかけて、徐々に快楽に堕ちていく彼女の姿を、御主人様に楽しんで頂かなければいけない。
それが、なのはの中に植え付けられた絶対の前提条件。
しかし、それに加えて最近の彼女の内側には、また新たな意思が芽生え始めていた。
今すぐにでも、フェイトを同じ場所に連れて来たい、という気持ちは残っている。
だが、彼女が未知の快感に翻弄される様を見ていると、何故かとても愉快で素敵な気分になってしまうのも事実であった。
そんな自分が、なのははどうにも不思議で仕方が無い。
人が困っている姿を見るのは、少し前であれば一番嫌いな事だった筈なのに。
今はそれが、とてもとても楽しくてしょうがないのだから。
もしかしたら自分は、本当は酷く意地悪な性格をしていたのかもしれない。
あるいは、御主人様に頭の中を気持ち良くされてしまったときに、そういう風に作り変えられてしまったのか。
何度目とも知れぬ問いかけを頭に浮かび上がらせて、けれどもそれは一瞬の事。
なのはは別に、どちらでも構わない、とこれまでと同じように結論付けた。
愛おしい親友は、己の意思を原動力としてゆっくりと深みへと堕ちていき、その姿を鑑賞することで己が主の喜悦は満たされる。
そして、その両方ともが、高町なのはにとっての紛うこと無き幸福なのである。
それは、シュミとジツエキを兼ねた、とても素晴らしいお話である、と少女は淫靡で邪悪な笑みを浮かべた。
――――だからね、フェイトちゃん。私、日曜日がすごく待ち遠しいよ。
携帯電話をベッドサイドの机の上に置きながら、呟く。
彼女の頭の中には、その一日を鮮やかに彩る為の沢山のプランが、これでもかと言わんばかりに山積みにされて、今か今かとその時を待ち望んでいた。
なのははその一つ一つを楽しんで検討し、同時に己の身体を昂ぶらせてくれる二人の友人達へと、お返しのようにその手を伸ばす。
ニ者ともに殆ど大きさの変わらない平坦な胸の先端が、褐色の指先にきゅっとつまみ上げられた。
「ぁっ、はぁッッ♡♡」
「ひゃぅうッッッ♡♡」
これまで以上の鼻にかかった嬌声が、なのはの極めて巧緻な指使いに導かれるように、広いベッドルームの隅々までを甘く震わせていく。
少女達の長い夜は、未だ始まったばかりだった。
準備段階です。
正直全くと言っていいほど実用度が無い気がします。
どうしようか迷ったんですがやっぱりフェイトちゃんには生やしてしまいました。
多分苦手な方、百合ネタに生やすのは厳禁と言う方もいらっしゃるかと思われます。
それもこれもまともに展開を考えられない作者の力不足です。
今後は、出来れば最近増えてきた百合エロラノベを読んで勉強しようと思います。
表現、設定等について間違いがありましたら申し訳ありません。
百合調教悪堕ちものがもっと増えるといいですね。
それでは、よろしくお願いします。