※この作品はR-18です。

神楽敗北記   作:gajun

16 / 32
杜崎莉音編
莉音の敗北と治療


「はぁ……はぁ……。くぅ、て、手強い……っ」

 

 杜崎莉音は隙なく刀を構えると、激しい攻防の末に乱れた息を必死に整えようとしていた。

 彼女は現在鬼と対峙している。

 自分よりも一回りどころか、二回りも三回りも巨大な体躯から容赦なく繰り出される拳や蹴り。

 それらを刀で防ぎ、捌き、あるいは飛び退きながら、必死にやり過ごし、反撃の白刃をその巨大な身体に叩き込んでいく。

 その一撃一撃によって鬼も徐々に力を削ぎ落されてはいるが、まだまだその力は健在だった。

 互いに致命的な一撃を与えられる事ができないまま、勝負は拮抗し長期戦の体を成していた。

 

「このままじゃ、まずいよね」

 

 肩で大きく息をしている莉音の様子を見て、苛立たしげだった鬼がほくそ笑むような表情を浮かべると、弱り始めた雌に向かってゆっくりと歩を進め始める。

 戦闘力は互角でも、持久力に明確な差が開き始めていた。

 森に入ってから幾度となく挑まれた戦闘や探索に常に神経を研ぎ澄ませ続けなければならなかった莉音と、たまたま自分の元へ現れた若い雌に本能のままに襲い掛かる鬼。

 鬼がまだ油断し切っている状態の内に勝負を決める事ができれば良かったのだが、仕留め切れず完全に莉音を敵と見做した鬼が戦闘体勢になってしまい、死闘を余儀なくされてしまっていた。

 

「さすがに、出し惜しみしてる場合じゃ、ないっ!!」

 

 莉音は覚悟を決めると、この後の戦闘を考え温存していた霊力を全て出し切る勢いで霊力を解放すると、その全てを刀に注ぎ込んでいく。

 高密度の霊力を帯びた刀は刀身全てが白い輝きを放ち始める。

 目の前の相手が突然霊力を高め始めたことに、一瞬鬼は怯んでしまうが、すぐに自身を鼓舞するように雄叫びを上げた。

 そして、自慢の力任せの一撃を叩き込もうと鬼は拳を振り上げる。

 これまでの戦闘中に、莉音は何度もその拳や蹴りが自分に当たってしまう事、その巨体に圧し掛かられた時の自分の姿を想像してしまい委縮しそうになることがあったが、極限まで意識を集中させた彼女はもうその姿に恐怖を感じる事はなかった。

 真剣な瞳で鬼の一挙手一投足を見逃さない様に見据えながら、じっと刀を構えている。

 鬼が莉音に向かって力任せに拳を振り下ろすと、そこから先は一瞬で勝敗が決する。

 

「――せいっ!!」

 

 自分に向かって振り抜かれた拳が命中するよりも早く振り抜かれた一撃が、鬼の腕を斬り飛ばす。

 

「やぁぁぁぁあああぁぁぁーーーーっ!!」

 

 突然肘から先がなくなり、その切断面を呆然とした表情で見ている鬼に莉音の二激目が繰り出される。

 

『ゴフッ』

 

 一刀で胴を切り裂かれ、鬼の身体は上半身と下半身に別れるが、変わらず呆然とした表情のまま吐血した鬼は自身が絶命した事すら気づかずに息絶えるのだった。

 

「………………はぁ~」

 

 残心を忘れることなく構えていた莉音は、鬼の身体がピクリとも動かずに完全に仕留める事ができたことを確信したところで、ようやく長い溜息を吐いて、構えを解く。

 極限まで霊力も集中力も高めていたこの戦闘は、莉音をかなり疲弊させるものとなっていた。

 

「疲れたなぁ~……」

 

 一瞬その場に腰を下ろそうかと思ったが、草木が一本も生えてない土の地面だったため、座り込む事を躊躇し代わりに近くの大木に背中を預けながら、これからどうするべきかを思案し始める。

 

「さすがに一度戻った方がいいよね」

 

 まだまだ先が長そうな状況で、ここまで体力も霊力も消耗してしまった以上、無理は禁物と撤退することを決断する。

 局面毎にまだ進行を続けるか、撤退するかを正しく判断できるかどうかも一流の退魔巫女になるためにも必要な事だと自分に言い聞かせると、懐から『帰還の護符』を取り出す。

 

――その瞬間、一筋の風が莉音を襲った。

 

「きゃあっ!?」

 

 悲鳴を上げながらも、反射的に動いた身体が何者からかの奇襲を避けられたのは幸いだったのだろう。

 

「……そ、そんなぁ……ど、どうしよう……」

 

 しかし、奇襲を仕掛けて来た新たな妖怪『ネコマタ』の一撃をギリギリで回避する事ができた莉音は、紙が破れる不吉な音を聞いてしまっていた。

 襲撃に失敗したネコマタが、二本の尻尾を逆立てて四つん這いの姿勢のまま、忌々し気な表情を浮かべながら威嚇している。

 

「う、うぅ……と、とりあえず、今はこいつを倒さないとっ」

 

 未練がましく『帰還の護符』だった物の破れた紙片を握り締めつつ、莉音はネコマタの討伐へと意識を向ける。

 見た目が同じ女性であるネコマタ相手に刃を向ける事に多少なりとも逡巡を感じてはいたが、負けるという選択肢だけは絶対に選べない以上、倒すしかない。

 幸い苦戦することなく討伐することができたが、気分は晴れなかった。

 普段の彼女であれば、自らの手で打ち斃してしまった女性の姿を持つ妖怪相手に謝罪の言葉を口にして感傷に浸る事もあったが、今の彼女にはそんな心の余裕は微塵も残されていなかった。

 

「えっと、え~っと……あったっ!」

 

 握り締めている紙片と対となる紙切れを拾い上げる。

 地面に落ち、泥と土が付着し汚れてしまっている『帰還の護符』だった物の紙片。

 

「二つを合わせたら、元通りに………………なんて、なるわけないよね……」

 

 破れてしまった時点で『帰還の護符』は、その効果を発揮することなく、内包していた霊力を霧散させてしまっていた。

 妖気に覆われた森は半ば異空間の様になっており、来た道を戻れば帰れるという様な単純な世界ではない。

 そんな場所から帰るためにも『帰還の護符』か、あるいは『道祖神』の力を借りて、一時的に神聖な霊力で部分的に森を浄化させることで、帰り道を確保するということが必要不可欠だった。

 しかし、現在莉音の手元には、それらは無かった。

 今までの退魔巫女としての活動時に、自分を襲ってくる妖怪はいても『持ち物』を狙ってくる様な妖怪と相対することがなかったが故に、予想外の方向から自身の詰めの甘さや油断を知る事になってしまっていた。

 熱心な指導をしていた教官からもいざという時の退路の確保の重要さを重々に教え込まれており、自身も出発の際に『帰還の護符』の所持を最優先で確認していたのだが、今回の様な不測の事態に対応するための『予備』を複数持ち込むという発想がなかった事に今更ながら気づき後悔する。

 落胆しつつも必死に帰りの手段を考えていたが、刻々と変化する状況は彼女にそんな余裕を与えてはくれなかった。

 

「ヤバっ!? どんどん妖怪達が集まってきてるよぉっ!?」

 

 鬼との戦闘が長引いていた事で、自分達の縄張りに何者かが入り込んだことに周辺の妖怪が気づいてしまったのだ。

 消耗し切っている莉音には、殺到してくる妖怪全てを祓い切る程の力は残されていない。

 行くあてもないが、この場に留まっている事ができない以上、莉音はただ闇雲に逃げることしかできなかった。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 戦闘を極力避け、帰還は無理でもまずはどこか休める場所で体力を回復させたいという想いで莉音は森を走り続けていた。

 途中で食料の匂いに引き寄せられている妖怪の存在に気づくと、慌てて最低限の食料を口に放り込み、残りは全て放り出し、必死に妖怪達の目を掻い潜り、やっとの思いで追跡を撒くことができるのだった。

 

 

***

 

 

「うぅ~……疲れたよぉ~……帰りたいよぅ~」

 

 石ころが転がってる地面にも構わず腰を下ろし、自分の身体よりも大きい木の幹に背中を預け、莉音はようやく束の間の休息を得ていた。

 そして、ようやく落ち着いて考える事ができるようになった頭で、唯一の帰還手段の方法に複雑な心境となっていた。

 

「あぅぅ、他の退魔巫女さん達に迷惑かけちゃうよぉ~。ただでさえ、私まだまだ駆け出しなのに~。うぅ~恥ずかしいよぉ~、申し訳ないよぉ~」

 

 基本的に討伐等の任務中の退魔巫女が拠点を離れてから長くても二、三日以上帰還がなかった場合は、救援部隊が編制され追加で派遣される事になっている。

 実力ある退魔巫女であれば、迅速な解決のためにあえて拠点に戻らずに、そのまま山や森に籠ったまま元凶の霊や妖怪の討伐を果たすこともあるが、それはかなり稀なケースだろう。

 たいていは妖怪の力が増し活発になる夜更け前には一度撤退し、日を跨ぎながら少しずつ霊障を祓い解決していくという性質上、帰還できないということは苦戦あるいは敗北してしまっている可能性が高いとされていた。

 まして新米である莉音の帰還がないとなれば、すぐにでも救援部隊が送り込まれる事になるだろう。

 莉音が自力で帰還することがほぼ不可能となってしまっている以上、救援が自分を見つけてくれる事だけが彼女に残された唯一の帰還手段だった。

 とはいえ、莉音自身もただ救援を待つだけでいいというわけでもない。

 いつ妖怪に襲われるかもわからない状況下で、必死に自分の身体と命を守り抜かなければならない。

 知性を有するいずれかの妖怪が自身の拠点で苗床として慰み者にしてしまっていれば、それだけ救援も遅れ、救出活動自体も困難な物となってしまう。

 そう言う意味でも莉音が鬼と激戦した場所から、すぐに離脱してその後も戦闘を極力避けていたのは退魔巫女として正しい判断だったのだろう。

 息を潜めて、その場で蹲り体力と霊力を温存し、莉音は救援を待ち続けるのだった。

 

「すぅ……すぅ……ん」

 

 穏やかな寝息を立てながら、浅い眠りについていた莉音が、パチリと目を開ける。

 

「近づいてきてる。ここから離れないとダメだね」

 

 妖怪の気配を感じ取ると、ゆっくり身体を起こしながら周囲の様子を確認する。

 方向感覚が当てにならない以上、勘と運任せで移動しなければならなかった。

 

「あぅぅ~、おなか、空いたよぉ~……」

 

 逃走中に口に放り込んだ食料を最後に何も口にしていない。

 さすがに飢え死ぬということはないだろうが、それでも最低限の戦闘や逃走ができるだけの体力を維持するためにもできれば食料を手に入れたい。

 しかし迂闊な物は口にはいれられない。

 

 その状況でたまたま食料となる果実を見つける事ができたのは僥倖だったのかもしれない。

 疲労と空腹のためか、莉音は知らず知らずの内に、甘い香りのする方向へと足を進めて行くと、ふと一本の木が目に付いた。

 瑞々しい緑の葉っぱに覆われている中で、わずかに顔を出している赤い果実存在に気づいたからだ。

 莉音は、木から果実をもぎ取ると、それをじっと見つめる。

 

「……これ、食べられないかな?」

 

 近づいた時点ですでに鼻孔に甘い香りが漂ってくる果実にそんな想いを頂くのも無理のない事だろう。

 毒の可能性を頭で理解してはいても、それでも空腹を刺激する甘い香りの誘惑を断ち切る事もできない。

 

「……ん。もぐもぐ。うん、大丈夫そう、かな? すっごく甘くて美味しいし、多分……大丈夫だよねっ」

 

 莉音はおそるおそる齧りついた一口目を口にすると、蕩けるくらい柔らかな果肉と、甘い蜜が口の中いっぱいに広がっていくのを感じた。

 思っていた以上に熟していた甘い果実は、彼女の疲労や空腹だけでなく、豊富に含まれていた果汁で喉の渇きすらも癒していく。

 反面、その異常なまでの甘さが取り込んだ彼女の体内で残留し、少しずつ彼女の身体に火照りという形で表れる始めていく事をこの時の莉音はまだ知らなかった。

 

「……もう一個くらいないかな?」

 

 確かに飢えは凌げたが、それでも空腹を満たすには一個では全然足りない。

 頭上を見上げながら、木をぐるりと一回りし、葉の隙間や枝に同じ果実が成っていないかを探し始める――結果、莉音は逃げ道を失った。

 今、必死に食料を求めていた莉音と同様に、弱い妖怪達にとって、この木の果実は貴重な食料だった。

 他の妖怪を喰らえる程に強力な存在であればその限りではないが、弱い存在であればあるほど、捕食できる対象は少なく、自然と限られてくる。

 

 一体の小型の犬型の妖怪が、莉音の前に現れたのがきっかけだった。

 戦う分には問題の無い相手だったが、その妖怪が『遠吠え』をした瞬間、莉音が恐れていたことが現実となってしまう。

 徐々に集まり出す妖怪によって逃げ道を塞がれ、戦う事を余儀なくされてしまった彼女が取り押さえられてしまうのはもはや時間の問題だった。

 

「いっ、いやぁぁぁぁっ!! 離してっ、離してよぉっ!!」

 

 捌き切れなくなった分だけ、手足に絡みつき更に莉音は動きを鈍らせられていく。

 必死に振り払い抵抗を続けるが、彼女の元へと向かってくる妖怪の数は十、二十と、どんどんと増えている。

 

「離してってばぁっ!! は、はやく逃げないとっ」

 

 まだ弱い小型の妖怪しかいない今の内に振り切らないといけないのだが、数が多すぎた。

 普段の莉音ならば例えこの物量であっても余裕で対処できているのだが、消耗している状態ではあまりにも分が悪すぎる。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 致命傷とはならないものの、手足や体に爪や牙を受け、体当たりを喰らい、少しずつだが確実にダメージは蓄積していく。

 巫女服も袴もところどころ破け、土埃や泥に塗れ、放たれた妖怪の粘液や体液で汚れて行く。

 なんとかギリギリで持ち堪えられてはいるが、強い妖怪に見つかってしまえば、それまでだろう。

 腕が痺れ、握力が無くなりかけた手で莉音は刀を振るい必死に抗い続けた。

 

「うぅ……なんなの、さっきから身体が、熱くなって……はぁ、はぁ……」

 

 戦闘による気の昂ぶりから来るものは別の熱感。

 息を荒げる度に、自分を襲おうとしてくる、いくつもの雄の鋭い眼光を浴びる度に委縮しそうになる気持ち。

 自分の身体に触れられるたびに、痛みとは違った痺れる様な刺激に力が抜けそうになっていた。

 

「――きゃあっ!?」

 

 自身の身体の不調に莉音が戸惑っていると、その隙を狙った一匹の小型犬が彼女の胸に向かって飛び込む様に体当たりをしてきた。

 犬の一撃はたいしたダメージにはならなかったが、胸を刺激された莉音の身体は強い快感を受けると、がくりと脱力し、そのまま押し倒される様に尻もちをついてしまう。

 すぐに犬を手で払いのけるが、その顔は羞恥心で真っ赤に染まっていた。

 

「あぅぅ……ぜ、ぜったい、あの実のせいだよぉ……」

 

 胸に刺激を受けた瞬間、まるで失禁してしまったかと思うぐらいの大量の淫液を漏らしてしまった莉音は、自身のべっとりと濡れてしまった下腹部の不快さと羞恥心の原因にようやく思い至る。

 座り込んだまま、食料を見つけたと浮かれていた少し前の自分に恨めし気に呟くが、彼女がそんな事をしている間にも取り囲む妖怪達は少しずつ彼女の元へとにじり寄っている。

 

「う、うぅ……な、なんとか……なんとかしないと……」

 

 戦闘で激しく動き回ったせいで毒が一気に回ってしまったのか、毒物が体内にあると自覚してしまった事もあり、毒に蝕まれた身体の動きは目に見えて鈍くなっていた。

 全身が痺れ、力が入らず徐々に感覚も薄れつつあった。

 このままだと襲われる。莉音がそう思うよりも早く、それは現実となった。

 

「や、やぁ……脱がさないで、入ってこないでよぉ……」

 

 身体の状態に比べて比較的まだはっきりとしている意識が、莉音に彼女自身の身体に起きている状況を伝えてくる。

 乱暴に巫女装束を脱がせようとして来る者もいれば、服の隙間からヌメる身体で這うように侵入してくる者。

 我先にと秘処を目指そうとする者もいれば、品定めするかのように全身を撫で回す者と様々な妖怪が戦利品として手にいれた雌の身体を思い思いの方法で扱い始めていく。

 

「いやぁ……やだよぉ……気持ち悪いのに……身体、へんなのに……いやなのに……」

 

 毒に冒された莉音の身体は、まともに動く事なくただ妖怪のなすがままになっている。

 身体に掛かる刺激の全てが性感となり、火照り、疼く少女の身体を発情させ、彼女の意志関係なく雄を受け入れる準備を着実に整えてしまっていく。

 

「んっ!? んんっ!! んぐぅ、んむぅぅぅんっ!?」

 

 不意に莉音の口に『なにか』が突っ込まれた。

 異様なまでのヌメりと生暖かさを持ったそれが、触手なのか魔羅なのか、妖怪そのものなのかはわからないが、激しい嫌悪感に彼女は必死にそれを吐き出そうとするが、それが叶う事なく、その『なにか』から滲み出てくるドロりとした液体を流し込まれてしまう。

 苦しみと悲しさから涙を流しながらも、窒息を避けるために否応なく液体をしばらく飲まされ続けると、一瞬下腹部にじくりとした痛みが走るのを感じたが、苦しさのあまりそれを気にする余裕はなかった。

 

「……げほっ、ごほっごほっ……はぁ……はぁ……う、うぅ……」

 

 ようやく満足したのか口元を解放されたタイミングで、純潔を奪われてしまった事を察するが、それを悲しむ事ができる時間はわずかしか許されていなかった。

 

「はぁん、ん、く、あ、あぁ……う、ぁ……っ」

 

 弛緩し切ってしまった身体は初めて膣内に受け入れてしまった異物を拒む事もできず、何度も何度も粘液を擦り付けながら膣内を往復し蹂躙され、その度に快楽物質が莉音の脳を堕落させようと蝕んでいく。

 大量に飲まされてしまった液体によって意識と思考力を奪われ、朦朧とした意識の中で莉音は膣内で蠢いていた物体が大きく膨れ上がっていくのを感じ取る。

 

「う、ぁ、ぁ、い、いやぁ……」

 

 直後その肥大化した物が何度もビクビクと躍動し、その度に自分の体内のさらに奥深くへと何かが放たれると、耐えられる快楽の限界を超えた彼女の身体は一度大きく跳ね、何度もビクビクと痙攣しながら絶頂する。

 

 妖怪に犯され、任務を失敗した退魔巫女は、解放される事なく絶え間ない凌辱を受け続けながら、意識を失うのだった。

 

 

「――ちっ。やはり遅かったか」

 

 できることなら避けたかった状況に直面し、今も彼女を発見した救援者の目の前で、ぐったりとした状態で犯され続けている姿を見て、男は忌々し気に舌打ちを放つ。

 強大な妖怪の拠点に連れて行かれて苗床にされているという最悪な状況ではなかったのが幸いではあるが、目の前の光景を目の当たりにしては、それを素直に喜ぶ事もできない。

 激情に任せて奪い取るにも彼女に群がる妖怪の数が多く、いかに実力者である彼でも単独での救出は無理だと判断せざるを得なかった。

 彼女の無残な姿を極力人目に付ける事は避けたかったが、一番重要な目的が彼女の救出である事を彼自身も理解している。

 杜崎莉音に対して特に意欲的で熱心な指導をしていた『教官』は、周囲の妖怪に気取られない様に注意しながら、他の救援者たちを集め始める。

 程なくして『杜崎莉音の救助』は達成され、参加者全員が無事に森から撤収し帰還を果たすのだった。

 

 

***

 

 

「彼女の様子はどうだ?」

「とりあえず身なりだけは整えてあげたけど……ごめんなさい。私の力不足で完全に浄化してあげられるには至らなかったわ」

「そうか……」

 

 最初に莉音を発見し救助した教官は雉杜神社に戻ると、さすがに男である自分が彼女の身を清めるわけにはいかず、親しい女性指導官であり退魔巫女である遠野舞歌に彼女の身を託していた。

 発見時の状況から薄々予感はしていた事ではあったが、実際に状況が芳しくない事を告げられると、教官は表情に影を落とす。。

 

「辛いのはわかるわ……でも、助け出せたことだけでも良しとしないと……」

「あぁ。それは言われるまでもなくわかってはいるんだがな……」

 

 もしかしたら死亡したり妖怪化してしまって取り返しがつかない事になっていたとしてもおかしくはなかったのだ。

 それに比べれば、かなり早い段階で保護でき、元通りとまではいかずとも穢れを払う事もできるのだから、かなり運が良かった方であるのは言うまでもない。

 しかし、それでも彼の心の中では深い悔しさが渦を巻いていた。

 

「……いかんな。特別扱いしてたつもりはないんだが、少しばかりあいつの指導に熱を入れ過ぎてしまっていたみたいだ……」

「複雑な気持ちなのはわかるんだけど……お願い。早くあの子の治療をしてあげて……その、今すぐにでも」

「今すぐって、いくらなんでも性急すぎじゃないのか?」

 

 そんな中、莉音の治療をまるで……ではなく実際に急かしているのだろう事を言われ教官は聞き返さずにはいられなかった。

 治療目的での異性との性交は必要ではあるが、せめて落ち着いて気持ちを整理させてからでも遅くはないだろうという彼の言葉に、舞歌は言い辛そうに答える。

 

「……あんまり詳しく言うのは、ちょっと憚れちゃんだけど……彼女、かなり厄介な毒を盛られちゃったみたいなの」

「……毒、か」

「うん。多分見たらわかると思うから……あの子のためにも、早く治療してあげて」

「わかった」

 

 退魔巫女としてのかなりの実力と知識を持つ舞歌が言い淀みながらも治療を急かす事態。

 概ねの予想がついてしまった教官は、自身が抱く複雑な心境を一端心の片隅へと追いやると、舞歌と別れ莉音がいる治療室へと向かうのだった。

 

 

***

 

 

「んっ、あっ、はぁ、ん、んぁぁっ、あっ、あぁぁあんっ」

 

 教官が莉音がいる治療室のドアを開けると、彼女の淫靡な嬌声と、ぐちゅぐちゅと粘り気を帯びた水音。

 そして、そこから発せられる甘ったるさを感じる発情した雌の匂いによって迎えられた。

 

「あっ、はぁん、んぅ、あ、あ、あ、んんぁあああ……っ」

 

 彼は自分が入った事にも気づかずに、着替えさせられた襦袢をはだけて肌を露出させながら、一心不乱に局部を刺激し自慰行為に夢中になっている莉音の姿に痛ましさを感じていた。

 少しの間、彼は悲痛な表情を浮かべながら、呆然とその光景を見続けてしまっていたが、その間も彼女の自慰行為は休むことなく続けられる。

 

「あっ、あ、あっ、あっ、あっ、ん、あぁ、んあああああぁぁぁぁっぁああああぁぁっぁぁぁっ!!」

「――っ!? くっ、馬鹿か、何黙って見てんだよ」

 

 彼女が目の前で盛大に果てた姿を目の当たりにし、教官はようやく我に返ると自身の行いを恥じた。

 彼女が決して人に見せてはいけないし、見られたくないと思っている姿を見てしまっているのだから、これ以上彼女が恥ずべき姿を晒さずに済む様にしなくてはいけないというのに。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……んぅ」

 

 絶頂し完全に体力を使い果たしたこの時だけが、今の彼女の束の間の休息の時間なのだろう。

 額から汗を、目からは涙を、口からは涎を垂れ流しながら、熱っぽい荒い息を吐き、絶頂の余韻に浸っている。

 すでに莉音が寝ていた布団は彼女の全身から吹き出ている玉の様な汗や、自身の指が突き入れたままの秘部から溢れ出ている淫液によって、じっとりと大きな染みを作り出してしまっていた。

 

「っ、ん、あ、あ、あぁん、んぁっ」

 

 疲労よりも性欲の方が上回り始めると、莉音は再び指をせわしなく動かし自慰行為を始め出す。

 大きく育った豊かな胸を荒々しく揉み抱き、膨らみ硬く尖った乳首を強く摘まみ、膣奥深くに指を突き入れ、陰核を激しく刺激する。

 

「莉音、俺が今その苦しみから解放してやるから……悪く思うなよ」

 

 自分の姿すら認識できていないであろう莉音にそう告げると、彼女の腕を掴み、そのまま膣口に突き入れられていた指を引き抜く。

 そしてぽっかり空いた膣口に彼女の痴態を目の当たりにし否応なく反り返り硬く屹立してしまった自身の肉棒を押し込んでいった。

 

「あっ、はあぁんっ、お、おっきい、おっきいぃのぉっ!!」

「うっ、く、想像以上だな、これは……っ」

 

 彼女の膣があまりにも男を悦ばせる状態に整い過ぎてしまっていて思わず呻き声を上げてしまう。

 焼けそうなくらいに熱く、潤み柔らかく解れ、自身の肉棒の形に合わせる様に膣襞が絡みつき、精を絞り出そうと締め付けてくる感触。

 気を抜けば一瞬で果ててしまいそうな快感に教官は必死に抗う。

 幾度となく込み上げてくる射精感になんとか耐えながら、陰茎を突き動かし、彼女の膣内を探り続ける。

 彼女の膣奥かあるいは子宮内に流し込まれてしまった妖気塗れの体液こそが、今もなお彼女を発情させ蝕み続けている毒の正体だった。

 そこに彼の陽の気が込められた精液を放つ事によって、初めて彼女の身体から妖気を完全に浄化する事ができる。

 妖気の場所を見つけられずに、耐えられずに射精してしまえば、それはただ発情し苦しんでいる彼女を妖怪と同じく悪戯に犯してしまっただけになる。

 

「んぁぁっ、はあぁぁぁあんん、も、もっと、もっと硬いの、奥まできてぇぇええぇぇんっ」

 

 極力余計な部位には触れないようにとしていた教官の配慮は、かえって莉音の湧き上がり続ける性欲を焦らし、刺激してしまうことになっていた。

 教官は彼女の両足だけを掴み、その足の間に自身の身体を入れながら性交する所謂、正常位で行っていたが、彼の硬く肥大化した陰茎と他者の肌の温もりが彼女の性欲に拍車を掛けてしまったのだった。

 

「うわっ!? お、おいっ、ちょっと待て。落ち着くんだっ!」

 

 突然莉音に手足で腰や背中をがっしりと掴まれ、一気に動きを制限された彼が戸惑っている間にも、彼女の行動はエスカレートしていく。

 極力意識しない様にとしていた大きな乳房が惜しげもなく胸板に押し付けられ、むにゅりと圧し潰されながらその柔らかさと火照った体温の温もりを伝えてくる。

 胸板いっぱいに広がる柔らかな乳肉の感触の中、刺激を求めて擦り付けられる硬く尖った乳首が押し当てられているのがわかってしまう。

 

「はむ、ちゅぷ、んちゅ、くちゅ、ぴちゃ」

 

 口付けをすることだけは辛うじて避けられたが、口元に寂しさを感じた莉音が、教官の首筋に甘噛みをするようにしゃぶりつく。

 

「お、お前、ほんとに意識ないのかっ!?」

 

 彼自身も今の莉音にはっきりとした意識がないことは分かりきってはいたが、そう叫ばずにはいられなかった。

 好意の有無の真偽に関わらず、抱き合っている相手から全力で精を絞り出そうとしてくる女の絞精行為に男が抗えるはずがなかった。

 

「……うっ。く、あ、あぁ…うぁ…………っ」

 

 すまん、莉音。

 頭の中で謝罪しながら、せめて彼女の身体を抱き返さないという彼なりの最低限の意地だけを残し、彼女の熱い抱擁を受けながらビクビクと痙攣し膣内で大量の精液を放ってしまった。

 

「んっ、はぁあん、はぁ、はぁ、あついの、も、もっとぉ……っ」

 

 陽の気の霊力がほとんど込められてもいなければ、まったく関係のない場所で放たれた精液が、陰の気である妖気を相殺できるはずもなかった。

 実際、男側が暴発してしまうミスは決して少なくはない。

 基本的に男はそこまで強い物ではないがある程度の禁欲を求められている。

 今回の様に万一治療が必要になった際に、ある程度の量と濃さがないと浄化に必要な陽の気を込める事ができないからだ。 

 

「――くそっ。こうなったら、もう毒も皿も食らってやる。あとで好きなだけ俺を責めろっ」

 

 注がれた熱い精液だけでは、自分の性欲はまるで満たされないと言わんばかりに、莉音は彼に腰を強く押し付け、未だ膣内で硬さを維持している射精直後に肉棒に追加を求めている。

 やらかしてしまったミスをいつまでも引きずっていれば、その分だけ彼女の治療が遅れる。

 一度失敗してしまった程度で、治療に支障がでるほど衰えているわけでもない。

 そう割り切ると、莉音の求めに応じる様に、彼は腰を打ち付け改め治療行為を再開するのだった。

 

「あっ、あんっ、んんぁああん、い、いいのぉっ、もっと、もっと激しいの、ほしいよぉっ」

「はぁ……はぁ、くっ。そういう、かわいい声は、今後は本当に愛している男だけに、聞かせてやるんだ、ぞ……っ!」

 

 さすがに二度目を失敗する事はなかった。

 無事に莉音の膣奥から子宮へと自身の陽の気を込めた精液を送り込み、今度こそ妖気を完全に浄化するのだった。

 

「ふぁぁぁあ、んっ。すぅ……すぅ……」

 

 妖毒の影響が消えると、莉音は今までの様に盛大に果てることなく、そのままゆっくりと穏やかな寝息を立て始めた。

 教官は莉音に注いだ精液が零れない様に、繋がった状態で膣口を上を向かせたまま、しばらく彼女の様子を観察していたが、様態が安定したと判断するとゆっくりと彼女の中から陰茎を引き抜く。

 彼なりに反省点は多々あったが、ひとまずは無事に浄化が完了したことに安堵の溜め息を吐くのだった。

 

 そして、その後――

 

 

「ふぅぅぅぅぅん? そういうのをわざわざ私にお願いしちゃうんだぁ?」

「……う、本当にすまないとは思っている。……だが、あいつを起こすわけにもいかないだろう? かといって俺がやるわけにも……」

 

 自分の情事の後処理を頼む事が非常識なことぐらい、彼も重々理解している。

 しかし、未だに目を覚ますことなく穏やかな寝息を立てている少女の身支度を男がするわけにもいかない。

 と、なると彼が唯一頼れる存在は、やはり舞歌しかいなかった。

 彼が珍しく困り切った表情を浮かべると、その様子に満足した舞歌が笑いながら快く引き受けてくれるのを見て、彼はひたすら頭が下がる思いでいっぱいになる。

 

「……あと首のそれ。よっぽど熱々だったみたいで少し妬けちゃうけど、ちゃんと隠した方がいいわよ」

 

 どうやら当分の間、彼女には例えどれだけからかわれたとしても、決して逆らえない日々を過ごす事になるだろうと確信するのだった。

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