紫(苗床END)
稲黍神社に届けられた依頼を受けた鏑木紫は瘴気が立ち込める山中で出くわした妖怪と交戦していた。
彼女の前に立ちはだかった妖怪『油すまし』は、弓使いの少女を見て間合いを詰めてしまえば、そのまま一気に押し倒せてしまえると考えていたが、自身の周りをちょろちょろと目障りに駆け回る小さな存在によって、その目論見を悉く邪魔されていた。
それは紫が召喚し使役する『鎌鼬』だった。
彼女自身も小柄な体型に加え、離れた相手を攻撃するための武器を持つ者にとって最も避けなくてはいけない弱点を当然熟知している。
そんな彼女の隙をカバーするために『鎌鼬』は腕の刃を煌めかせながら、飛び回り時に斬り付けたり、噛みついたりと、『油すまし』の接近を妨害し続けていた。
『えぇいっ! ちょこまかとっ。……かくなる上は――ぬぅっ……っ!?』
攪乱目的で繰り出されている『鎌鼬』の攻撃も、紫が放つ矢も数本受けたところで致命傷にはなり得ないと判断した『油すまし』は、多少の手傷を負うことを覚悟する。
強引に距離を詰めようと地を蹴ろうとした瞬間、右足を斬り付けてきた『鎌鼬』の予想外の一撃に大きくバランスを崩す。
「――そこなのっ!!」
相手が晒した致命的な一瞬の隙に紫は目を鋭く細め、狙いを研ぎ澄まし弓を大きく引き絞る。
放たれた矢が短く甲高い風切り音を鳴らし、標的に向かい一直線に飛んでいく。
『ぎいぃぃぃやあぁああぁぁぁーーーーっ!?』
彼女が放った矢によって眉間を射抜かれた『油すまし』は、断末魔の叫び声を上げながら持っていた油壺を落とす。
壺は地面にぶつかった瞬間、粉々に砕け散り中の油が地面に零れ水たまりを作る。
その上に一拍遅れて『油すまし』が仰向けに倒れこむと、絶命寸前の身体をよろめかせながら必死に顔を起こし、紫へと厳しい視線を向ける。
『お、おのれ……く、口惜しや……く、く……ぁ…………』
彼女を自分の物にできなかった怒りと悔しさと無念さを呪詛の様に呻き声を漏らし、どこまでも未練がましく伸ばされていた手から完全に力が失われる。
起こしていた上体が再び油まみれの地面に倒れ込むと、『油すまし』が二度と起き上がることはなかった。
「はぁ……はぁ……なんとか倒せたの」
番えていた二の矢を戻し、極限まで高めていた集中状態を解いていく。
戦地である以上、完全に警戒態勢を解くわけにはいかないが、鋭くなっていた目つきや、引き締められていた表情も、普段の幼さが残る顔つきと優しく温かな瞳へと戻っていた。
「えへへ。ありがとうね。ちょっと疲れたでしょ、ゆっくり休んでね」
『きゅうぅ~♪』
紫は『鎌鼬』を手元に呼び寄せる。
優しく頭や背中を撫で活躍を労うと、式符を取り出しその中へと『鎌鼬』を取り込む。
従属化させた妖怪を使役することで、一人で退魔士の依頼を受けられるし、その自信も成長の手応えも感じられる。
「ゆーくん。ちはちゃん……」
それでも、やっぱり三人で仕事をしていた時の事がすごく恋しくなる。
「まだまだ先は長そうなの……。ううん、がんばって進むのっ」
いつかまた三人で一緒に活動ができるように、その時に足手まといにならないように。
紫は気合を入れ直し、奥地へとさらに足を進めていくのだった。
***
紫が踏み入れた先には異様な光景が広がり、彼女を待ち構えていた。
ぼんやりと陽炎の様にゆらめく影が、少しずつ人の形へと変わっていく。
「……え?」
『よぅ。紫、待たせたな』
突然茂みの中から現れた南雲佑馬の姿に紫は呆然とするが、すぐに弓を構えた。
『おいおい。どうしたんだよ紫? 俺の事忘れたってのか?』
「ちがうの……ゆーくんじゃない……」
佑馬の言葉に全く耳を貸さず、紫は自分に言い聞かせるように呟く。
目の前の佑馬が偽物だということはわかりきっていた。
だからこそ、紫はそれがあまりにも残酷で許せなかった。
自分がどんな気持ちで彼を信じ、帰還を待ち続けているのかを知らずに現れた偽物を絶対に許すわけにはいかなかった。
「あなたは、ゆーくんじゃ、ないのっ!!」
『うぉっ!?』
紫が必殺の意志を込めて放った矢を佑馬は持っていた刀で弾く。
『おい! 紫っ。なにを……がはっ!? ぐっ、ご、ごほっ……っ!?』
一撃目をなんとか防ぎ、慌てて自分への攻撃を止めさせようとするが、間髪入れずに放たれた第二射、三射が彼の胸を穿つ。
その光景を紫は涙を浮かべながらも、逸らすことなく強く見つめていた。
本物の南雲佑馬ならば、自分の攻撃など簡単に防いでしまうだろう。
『ゆ、か……どう、し…………っ』
最期の最期まで必死に紫の心に揺さ振りを掛けようとするが、途中で完全に変装は解け、再び黒い影となった妖怪は霧散し虚空へと消えていった。
いくら偽物とはいえ、自分にとって大切な存在の姿をしていた相手を手に掛けてしまった事に紫は心を痛めていたが、悪夢はまだ始まったばかりだった。
『おいおい、いくら何でもそれはないんじゃないか?』
『ずっと俺が帰ってくるって信じて待っててくれてたんだろ?』
『それなのに、こんな簡単に殺しちまうなんて、あいつになんて説明するんだ?』
一人、また一人と次々と新たな南雲佑馬が彼女の目の前に現れ、自分に弓を引いた少女の行為を糾弾する。
「あ、あぁ……ぃ、いや……なんで、こんなひどいことするの……」
辛うじて弓を構えて鏃を一人の佑馬に向けることはできたが、それが限界だった。
最初の一人を手に掛けた時点で大きく精神を削がれてしまった紫には、もはや偽物の言葉に耳を傾ける事なく矢を放つようなことはできなかった。
『ひどいのはお前の方だろ、紫』
『まだ俺を殺したりないってのか?』
『仕方ねぇな。お前を犯すのにいったい何人殺されなきゃいけねぇんだろうな』
「……い、いやぁっ!!」
佑馬が一歩近づいてくると、紫は反射的に矢を放ってしまった。
『――っ!? ごふっ………………』
狙いを付けられていた佑馬が胸を射抜かれると、血を吐き出しながら膝から崩れ落ちる。
倒れ込んだ状態でビクビクと痙攣をしていたが、不意にピタリと動きが止まり絶命する。
『二人目。次はどれがお前に殺されるんだろうなぁ? 紫、俺はまだ死にたくねぇぞ』
「あ、あぁ……は、はぁ……はぁ……はぁ……ひっ、は、ふ、ふぅ……ふぅ……」
少しずつ距離を詰めてくる何人もの佑馬の姿に紫は過呼吸に陥りながらも、必死に弓を強く握りしめる。
大きく痙攣する手で矢を番えようとするが、上手くいかない。
涙と動揺でぼやけ不安に揺れ動く視界の中には、佑馬の姿が否応なしに収められている。
やがて近づいてきた一人の佑馬の手が紫の巫女装束の襟元に掛かると、強引に胸元を開けようと力を込める。
直後――
「――いやあああぁぁぁぁーーーーっ!!」
極限状態まで追い込まれ高ぶった感情の爆発と同時に彼女が制御しきれなくなった霊力が一気に放出された。
その膨大な量の霊力の奔流に巻き込まれ、彼女の近くにいた三体の佑馬が一瞬で消滅する。
『うはっ。あっぶね~なぁ。迂闊に近づかなくて正解だったぜ』
『さすがに今ので打ち止めだろ』
『いーや。俺はまだあと数発はあるとみたね』
『じゃあそこで黙ってみてろよ。俺は一足お先に紫を頂いちまうからよっ』
衝動的な霊力の放出によって跡形もなく消し飛ばされると、すぐに新たな南雲佑馬が現れる。
殺された恨み言を彼女に投げかける者や、本物ならば決して彼女に向けることのない薄気味悪い笑みを向ける者。
何人もの南雲佑馬が、紫を精神的に追い込んでいく。
「やだっ! やだやだっ! 放してっ!! 放してよおっ!!」
しかし、南雲佑馬たちが紫を篭絡するのは困難を極めた。
錯乱状態に陥りながらも、衝動的に放出される霊力とがむしゃらに放たれた何本もの矢によって無理やり手籠めにしようと迫ってくる佑馬が悉く撃退されていた。
『……ちっ。紫、いい加減にしろよっ』
いつまでも自分たちに屈することなく、生意気な抵抗を続ける彼女の姿に、苛立ちを覚える者も増えてきていた。
執拗なまでに精神を揺さぶり、霊力と体力を削ぎ落そうとしても、その膨大な霊力が尽きることなく幾度となく放出される度に、何人もまとめて消し飛ばされていく。
このまま物量に物を言わせ、襲い掛かればさすがに霊力も体力もいずれ枯渇するだろうが、もはやそれでは割に合わないレベルの損失が出ている。
これだけの被害を出して手に入れたのが、霊力を完全に使い果たした雌一匹。到底許されるわけがなかった。
「ぐすっ……ゆーくん。ひくっ……ゆーくんは、絶対に帰ってくるもん。来るんだもんっ!!」
すでに数え切れない程の南雲佑馬を葬り、紫の崩壊寸前の精神だったが、それを南雲佑馬への想いがギリギリ繋ぎ止めていた。
――そんな少女を嘲笑いながら、新たな存在が姿を現す。
『へ~。それじゃ、ゆかりんは、ここにいる佑馬はいらないんだ? じゃあ私が全部もらっちゃおっかなぁ?』
「……え? ちは、ちゃん……?」
『やっほー。ゆかりん』
場違いなまでに明るく親し気な声と共に彼女に手を振りながら現れた犬童ちはやは、自分の近くにいた南雲佑馬に熱烈な抱擁を交わす。
突然現れた親友の姿に呆然としていたが、直後の彼女の大胆な行動に紫は大きく目を見開く。
『おい。なにすんだよ』
『あはは。照れない照れない。それともゆかりんの前じゃ、恥ずかしくてできない?』
豊かな胸をぐいぐいと押し付けながら、熱い視線で誘惑してきたちはやを佑馬は煩わし気に手で払っていたが、彼女の真意に気づくとそれに応じ始める。
『……ちっ。仕方ねぇな。お前で我慢してやるよ』
『もー。そんなこと言わないのっ。そんなんだからモテないし、ゆかりんに嫌われちゃうんだよ』
『うるせぇよっ。代わりに犯してやるから、さっさと服脱ぎやがれっ』
『はいはい。ゆかりんにフラれて欲求不満でかわいそうなゆーくんをいっぱい慰めてあげるからねぇ。佑馬』
そう言うとちはやは、巫女装束の胸元をはだけ大きな乳房を曝け出す。
一瞬チラリと挑発的な視線を紫に向けると、彼女に見せつけるように佑馬と熱烈なキスを交わし始める。
『ちゅっ……んっ、あ、んっ。あんっ、もぅ……佑馬ってば、ほんとうにエッチなんだからぁ……っ』
『誘ってきたのはお前の方だろ。こんなに乳首コリコリにしやがって』
『っ、あぁんっ……ゆ、佑馬だって、お、おちんちん、すごいおっきくしちゃって……熱くて火傷しちゃいそうだよ……っ』
まるで競い合うように互いの舌を絡め、佑馬は荒々しくちはやの双丘を揉みしだき、ちはやは彼の硬く屹立した陰茎を取り出すと、その大きさと硬さを確かめるように丁寧に扱きながら、もう一方の手で自身の濡れた秘裂をなぞり始める。
「……ぁ、あぁ、い、いやぁ……そんなの見せないで……いやぁ……っ」
自分の存在をいないものの様に行為を始めた二人から紫は目を離すことができなくなってしまっていた。
目の前の二人が偽物でいることは頭では理解しているが、嫌な考えが頭を過ってしまう。
この二人は間違いなく自分にとって大切な存在で二人もそう思ってくれていることは疑うまでもない――でも……。
自分が知らないところで、実は二人は本当は付き合って――
『おいおい。普段は何も知らないし、全然興味もないです。って顔してるくせに、俺とちはやがヤってるところ思いっきり凝視してくれてるじゃねぇかよ』
「――っ!?」
佑馬とちはやの行為に完全に意識と思考を奪われてしまっている隙に、背後から忍び寄っていた別の佑馬が紫の小柄な身体を強く抱きしめる。
『そんなに興味深々なら俺とヤってくれたって問題ないだろ? 紫』
「いやあっ! 離してっ、離してぇ……っ」
『おっと。ここまで来て暴れるなって、ほら、アレをよく見てみろよ』
ようやく捕まえた紫が逃げないようにしっかりと抑えながら、佑馬はある一点を指さす。
一瞬、三人の佑馬達とその肉棒を蕩け切った表情を浮かべた全裸のちはやが女陰と両手で相手取っている姿が視界に入ったが、それ以上に衝撃的で信じがたい光景を紫を見てしまい言葉を失う。
『あぁんっ。ゆーくんっ、ゆーくんっ! もっと、もっと動いてっ。ゆーくんのおちんちんで、おまんこいっぱい突いて欲しいよぉっ』
『紫っ、ゆかりっ。お、おれ……もう、もう……っ』
『いい、いいのっ、出していいからっ……もっと、もっとっ、おちんちん、いっぱい突いてぇっ!!』
一糸纏わぬ姿で腰を突き出し、後背位で激しく佑馬を求めている自分がいた。
求められるままに腰を振り限界を迎えて果てた佑馬の精をしっかり受け止めきると、紫は少しだけ頬を膨らませて佑馬の方へと振り向く。
『もぅ。ゆーくん、さっきからちょっと早すぎるのっ』
『無茶言うなよ。これでも必死に耐えてたんだぞ? ってか、そもそもお前の締まりが良すぎるんだよ』
『うぅ……それって私が子供体型だって言うの?』
『そんなこと言ってないだろ。そもそも紫を子供だって思ってんなら、コイツがここまでギンギンになってるわけねぇだろうが』
『わぁ……ゆーくん、えっちだよぉ……』
『お前が言うなっ。ったく、あとどんだけ俺から搾り取る気だよ』
『えっとぉ……もう一回か、二回? ……ううん、三回、かなぁ?』
『……本当か?』
『う、うん。多分』
『はぁ……』
『あぁっ!? ゆーくん。今すっごく呆れた顔したよっ。ダメだよっ、ゆーくんは私のものなんだから、ちゃんと私が満足するまでシてくれないとダメなんだからねっ』
……今までに一度も考えたことがなかったと言えば嘘になるだろう。
子供のころから大好きで大切な幼馴染の彼と恋人やそれ以上の関係になった時の事を想像し、恥ずかしさのあまり彼の顔が見られなくなったこともあった。
そんな紫の胸に秘めた大切な想いを偽物達が見せつけるように振る舞い、そして踏みにじられようとしていた。
彼女からしたら悍ましさすら感じる光景に抵抗すら忘れ放心状態に陥っていると、これを好機と見た佑馬が手早く彼女の背中を抑え地面に組み伏せる。
『へへ。紫はああいう風にされるのがイイんだろ? 同じようにシてやるよ』
「いやぁっ!! やだっ、やだっやだっ……やめてぇっ!!」
必死に暴れもがき拘束から逃れようとするが、小柄で非力な少女の筋力では到底無理な話だった。
むしろ足をバタつかせると、佑馬はその足を取りさらに足を広げさせたり、腰を浮かせたりと自分の望むように彼女の体勢を変えていく。
袴を捲り上げ、指を掛けた下着が一気に下されると少女が息を飲み身を固くした。
『ほら紫。わかるだろ? 俺のモノがこんなに硬くなって、お前のナカに入りたがってんだぜ?』
「ひっ……やだっ。そんなの押し付けないで……いやっ! いやなのっ!!」
紫をいつでも犯せる状況になったのを確信した佑馬はすぐに挿入はせずに、彼女に恐怖と諦めの感情を植え付けていく。
小さな割れ目に押し当てられ、ソコをなぞる様に擦りつけられる陰茎の感触に、絶対にそれだけはダメだと紫は必死に泣き喚いた。
「――ひぐっ!? ぃ、い、いやぁっ……い、いたいっ…………いたいの……っ」
しかし、彼女の懇願と抵抗が叶うことはなかった。
魔羅が小さな膣穴に突き立てられると、あっさりと彼女の処女膜を引き裂くと、破瓜の痛みによって紫は自身の純潔が散らされた事を悟ってしまった。
『くっ、さすがに小さすぎるな。でも、さすが紫。ちゃんと俺のために処女を取っておいてくれてたんだな。偉いぞ』
「……ち、ちがっ……。ひく……あ、あなたのためなんかじゃ……ないもんっ……」
繋がり自体はまだまだ浅いが、女陰にしっかりと咥え込まれたモノから流れる血を確認し佑馬は彼女の頭を撫でるが、紫はそれを払うように頭を振り、痛みに耐え気丈に答えた。
『なんだよ薄情な奴だなぁ。紫にとって俺は大切な幼馴染じゃないのか?』
「ひっく……ぐすっ、あなたは、ゆーくんじゃ、ない…………ゆーくんは、私にこんなヒドイこと絶対しないもんっ!!」
『そうかよ。せっかく優しく犯してやろうかと思ったのに、調子に乗りやがって。なら、このままメチャクチャに犯してやるよっ』
「ひぎっ!? ぐっ……ぁ……ぅ、くぅぅ……ぁ……ぅぅ……っ」
佑馬が思いきり腰を突き出し、魔羅を一気に膣奥へと強引に突き入れる。
紫は身体を引き裂かれるような激痛に一瞬意識が飛びそうになるが、歯を食いしばり、地面を握りしめ必死に耐える。
身体を穢される痛みと恐怖を感じながらも、凶行に及んでいる存在が佑馬ではないと確信できたことだけが、今の紫にとって唯一縋りつける救いだった。
本物の佑馬を想い続け、彼が必ず帰ってくると言った約束を信じ、痛みと恐怖から解放されるのを待ち続けた。
しかし、一時でも目の前の佑馬の凌辱からその身が開放される意味に紫は気づいていなかった。
『初めてだけあって、すごい締め付け具合だな。いいぞ、そのまま締めてろよ』
「……ひくっ……ぅ、く……ぃ、いやぁ…………っ」
佑馬が息を荒げながら激しく腰を打ち付け、何度も彼女の膣内を犯し続けていた動きが、一段と早くなる。
狭い膣内を押し広げる圧迫感と圧力が大きくなる。
すでに逃げようのない紫を、まるで万に一つも逃さないようにするかのように、佑馬は彼女の腰を強く掴み、自分の方へ引き寄せる。
『いいぞ。紫、このまま中に出してやるから、しっかり受け止めるんだぞっ』
「――ひっ!? や、やだっ! それは絶対だめなのっ! やだやだっ!! 出さないでっ! いやっ……いやなのっ!!」
佑馬は泣き叫ぶ紫の懇願を無視し、子宮を揺らすような力強い一突きを加えると同時にその中に大量の精を吐き出し始める。
「いやあああぁぁぁぁーーーっ!!」
子を作るための大切な場所に熱い何かが一気に押し寄せてくる。
それが望まぬ男の精だと理解してしまった瞬間、紫は悲鳴を上げて必死に拒絶する。
しかし、彼女の意志とは関係なく子宮には精がどんどん注がれ、満たされていく。
「あ、あぁ……ぐす……う、うぅ……い、いやぁ……」
満足げに自分を犯していた男が離れた頃には、すでに男は精を注ぎ終えてしまっていた。
『ちょっと小さくてきつ過ぎる感じだったが……まぁ、なかなか良かったぞ』
『ぷっ。くすくす。なぁに気取ってんのよ。あんなに発情したサルみたいに夢中で腰振ってて、まるでケダモノだったじゃないっ』
『うるせぇよ。ってかお前が言うなよ。いつも何本も何本も夢中でねだりまくってよぉ。身体がいくつあっても足りねぇぞ』
『あはは、ごめんて。でもさ、わたしをこんな風にしちゃったのは佑馬なんだからねっ』
目の前の佑馬が紫を犯していた間に、自分も楽しんでいたのだろう、全身が白濁液に塗れながら、ちはやは楽し気に笑っていた。
今も前後の穴に射精を終えたばかりの二本の肉棒を名残惜しそうに締め付けながら、手は新たな肉棒を探し求めている。
「……ひくっ……ゆーくん……ゆーくん……」
『少しは懲りたか? 反省したなら、次はもう少し優しくしてやるぞ?』
精液と血が混ざりあった液体が溢れ出ている膣口に、再び魔羅が深々と挿入される。
「いやぁ……こんなの、ゆーくんじゃない……ゆーくんじゃないもん……っ」
望まぬ行為で膣が肉棒を咥え込む感触を知ってしまった事に気づいた紫は、それでも目の前の佑馬を否定する。
きっと本物のゆーくんが助けに来てくれる。
――そう頑なに信じる紫の心は再び強い揺さぶりに晒されることになった。
『あ~あ。こりゃゆかりんに完全に嫌われちゃったわね。ま、無理もないか』
『なっ!? お、俺が悪いってのかっ!?』
『当たり前でしょっ。女の子の初めてをあんな無理やりなんてねぇ……。いくら佑馬に甘いゆかりんだって怒るでしょうに』
『う、ぐっ……』
『いっそゆかりんの事は諦めてさ、わたし一筋にしてみない?』
わざと紫に聞こえるように発した言葉に、彼女の身体が一瞬ぴくりと動いたのをちはや達は見逃さなかった。
『ね? 佑馬』
『あん?』
『わたしなら佑馬のシたい事……なんでもシてあげるよ? 挟まれるの、大好きでしょ?』
(どうして……?)
目の前の存在が自分以外偽りの存在だということは理解している。
それでも紫は頭の中でそう呟かずにはいられなかった。
自分はこんなにも辛く悲しい想いをしているのに……。
目の前のゆーくんとちはちゃんは、こんなにも楽し気に語り合っているのだろう。
『あはは。わたしと佑馬だけズルい。って思っちゃった?』
「――えっ!?」
抱いてしまった感情をちはやにピタリと言い当てられてしまったことに紫は動揺を隠せなかった。
『ゆかりんがどうしたらいいか、教えてあげよっか?』
「……………………っ」
一瞬頷きかけてしまい、寸でのところで踏み留まる。
たとえ何を言われようと絶対に聞き入れてはいけない言葉だからだ。
『簡単だよ。目の前の佑馬達を認めてあげるだけ』
「ちがうっ。ゆーくんじゃ――」
『佑馬だよ。バカでスケベで乱暴で、でも本当にたま~には優しい。佑馬だよ』
「……ぅ、ぁ、あぁ……ぐすっ……ひく……だめ、だめ、なのに……」
『認めてあげなって。そうしたらまた三人…………一人何かいっぱい増えちゃってるけどさ、楽しく過ごせるんだよ?』
その言葉を聴いた瞬間、紫の心は完全に折れてしまった。
「うぐっ……ひぐっ……ご、ごめん。ごめんなさい、ゆーくん……」
『ほら、佑馬。これでしくじるんじゃないわよっ』
『わかってるって。あー、その、紫。……悪かったな。無理やりシちまって』
「……ごめんなさい……ごめんなさい……」
紫は、うわ言の様に佑馬への謝罪を口にし続けるが、すでに目の前の存在を拒絶する意志は失われてしまっていた。
『おい。紫の奴、大丈夫か?』
『ま、少しは気持ちを整理する時間は必要でしょ』
『まさかこいつをこんな簡単に手玉に取っちまうとは、大したもんだな』
『ふふん。そりゃとーぜん大親友ですからっ』
こうして類稀な才能を秘めた一人の退魔巫女が妖怪の住処へと連れ去られてしまうのだった。
「ちゅぷ……れろっ、ちゅぱっ……ぴちゃっ、ちゅぶ……んぶっ」
『うっ……くっ、い、いいぞっ。なかなか、上手くなってきたんじゃないか……うっ』
「――うぶぅっ!? ……けほっけほっ。もぅ、また奥の方まで入れたぁ。まだ苦しいからダメって言ってるのに……」
『悪い悪い。つい腰が動いちまってな』
拙いながらも懸命に口で奉仕をしている最中に、予想外の挙動を受け大きく咽てしまった紫は目に涙を浮かべて、彼を叱責する。
『――うおっ!? ちはやっ、出るっ、もう出すぞっ!!』
そのすぐ横で異常なまでに切羽詰まった声を上げた佑馬が絶頂を迎え、ちはやは口の中で大量に吐き出された精液を一気に飲み干していた。
ごくりと喉を鳴らして最後の一滴まで嚥下すると、咥えていた肉棒から口を離し、勝ち誇った顔を紫に向ける。
『ふふん。口の奉仕はわたしの勝ちね、ゆかりん』
「あぁーっ!? 今回は、ちはちゃんに勝てると思ったのに……うぅ、もうー。ゆーくんのせいだよっ」
『それじゃ、次はフリースタイルでやろっか。これはさすがに、わたしの方が有利すぎるから……わたしが四佑馬イかせられる間にゆかりんは一佑馬イかせられたら、ゆかりんの勝ちでいいよ』
『人を単位にするんじゃねぇよっ』
『あはは。だって、いっぱいいるんだし、それとも佑馬1、佑馬2って顔に書いてあげよっか?』
「うぅ……またちはちゃんが、いっぱいゆーくんを独り占めしようとする……」
『ゆかりんには、まだ早いって。一度に何人も同時にするのは結構体力使うし、それに一対一の方がすごいラブラブって感じしない? それにその方が絶対佑馬だって優しくしてくれるわよ』
「……ゆーくん、本当?」
ちはやの言葉に恥ずかし気にチラリと横目で佑馬に視線を向ける。
どこか期待が込められているような潤んだ瞳に、思わず佑馬は顔をそらしてしまう。
『う、あ、ま、まぁ……紫がそうして欲しいって言うなら、考えてやらんこともないぞ……?』
『あっはは。佑馬ったら、なに照れてんのよっ。ウケるーっ』
『うるせぇよっ』
「もぅ……また二人だけで仲良くしてる……」
『ごめんて、ゆかりん。それにしても、やっぱりこの佑馬かぁ。やっぱ初めてを捧げた相手だから一番のお気に入りなのかな?』
「ち、ちはちゃんっ!? も、もぅ~違うもんっ。ゆーくんはみんな同じゆーくんだもんっ」
『紫、そんなにも俺の事を……っ』
「もー。ゆーくんまで。いつまでもふざけてたら、わたしだって怒るんだからねっ」
この辺りが、彼女を揶揄える限界だろう。というところで、ちはやと佑馬は笑いながら彼女に謝る。
偽りの存在が紛れ込んでいる。その一点を除けば紛れもなく三人にとって幸せなひと時なのだろう。
「んっ……ぁ、はぁん……っ」
佑馬に抱き抱えられていた紫が腰をゆっくり下ろすと、そのままズブズブと彼の屹立した陰茎を膣が飲み込んでいく。
『だいぶスムーズに動けるようになってきたんじゃないか?』
「えへへ、そうかなぁ」
『締まり具合もすごくちょうどいいぞ』
「もぅ、やっぱりゆーくん、エッチだよぉ」
佑馬の言葉に嬉しそうに返事をすると、不意に紫は身を寄せるように彼の身体を抱きしめた。
いつものように甘えて来たのかと思ったが、どこか様子が違うように感じられ、佑馬は紫の頭を優しく撫でながら尋ねる。
『どうかしたのか?』
「……ごめんね、ゆーくん」
『ん? なんかあったか?』
紫からの突然の謝罪の言葉にまったく心当たりがない佑馬は首を傾げる。
「……あの時」
『……あの時?』
自分の中にある記憶を探ってみても、ピンとくる出来事がまったく見つからない。
「ぐすっ……ひくっ……あの時、わたし……いっぱい……いっぱい……ゆーくんを……っ」
紫が佑馬の胸の辺りを何度も何度も優しく撫でる。
その場所は確か、と――そこで佑馬は紫の謝罪の意味に気づく。
佑馬が気づいた瞬間、彼女が撫でていた場所に穿たれた跡の様な傷跡が浮かび出してきた。
彼女を手に入れるために何体が矢で胸を射抜かれ、暴走した霊力の奔流に飲まれ消し飛ばされただろうか。
……だが、別にそんなことは自分には関係のないことだった。
しいて言うなら、せいぜいその中の一人にならなくて良かったと思うくらいだろう。
『別に紫が気にすることじゃねぇだろ?』
「そんなことない……わたしのせいで……わたしが……」
もはや目の前の佑馬を認めてしまった時点で、紫にとっては何人もの南雲佑馬をこの手で殺したというのは変えようのない事実となってしまっているのだろう。
だが、それを実際に自分の口で言葉にしてしまったら、その瞬間彼女の精神が壊れ兼ねない。
そんな状況を知ってか知らずか、何気なく口にした佑馬の言葉が、彼女の決意を固めさせてしまう。
『なら、その分だけ紫にはがんばってもらわねぇとな』
「え?」
『いなくなった分だけ、俺の子を産んでもらうぞ?』
「それで……それで、ゆーくんは許してくれるの……?」
『当たり前だろ。俺と紫の仲じゃないか』
「……うんっ。がんばるのっ」
佑馬の言葉を聴いた瞬間から紫は一心不乱に腰を振り、ただひたすらに搾精を行為に没頭し始めるのだった。
『バカ佑馬っ。どうしてくれんのよっ。このままゆかりんがおかしくなっちゃったら、本気で怒るからねっ』
『悪かったって。俺だってまさか紫がここまで必死になるなんて……』
『バカっ!! なるに決まってるでしょう。ゆかりんがどんだけ真面目で責任感あると思ってんのよっ』
その日から紫は佑馬の精を求め続けた。一人でも多く佑馬との子を産むためだけに。
碌に食事や会話をすることもなく、四六時中狂ったように佑馬に行為を求め、一日でも一分一秒でも早く彼の子を孕むために。
彼女が元来の明るさと優しい感情を取り戻すのは孕んでいる時と、出産直後のわずかな間だけだった。
「うっ……はぁ……はぁ……う、生まれそう、なの……っ」
新たな命が宿り大きく膨らんだ自身の胎を愛おし気に撫でていると、紫は出産の予兆を感じ取る。
そして少しでも楽に大切な我が子が、産道から這い出て生まれることができるようにと必死にイキみ始めた。
「あ、あぁ……あぐっ……う、うぅ……はぁ、はぁ……も、もう少し、なの……」
初めての内は驚きと不安と恐怖でしかなかった、この胎から産道を蠢く動きも、今となっては彼女にとって間違いなく元気な子が生まれる証となっていた。
「――っ!!」
やがて彼女の膣から這い出た異形の赤子は産声を上げながら、乳を求め母体をよじ登り始める。
「はぁ……はぁ……う、生まれ、た、の……。えへへ、おっぱいおいしい? いっぱい飲んで大きくなってね」
へその緒が繋がったまま乳を吸いに来た我が子を優しく抱きしめ、紫は幸せに浸っていると赤子に交じって彼女の乳を求めた男がやってきた。
「あんっ。もぅ、ゆーくんは甘えんぼなんだから。おっぱいはこの子のためのなんだよっ」
『片方くらいいいだろ? 二つあるんだし、両方使わないともったいないぜ?』
「そんなこと言って…………あぁ、もう。またゆーくんがどんどん集まって来ちゃってるよぉ……」
『そりゃ、待たされまくって、ようやく空いたんだしよ。早く自分の子をお前に産んでもらいたいだろうさ』
「んっ……ぁ……んぁ……ゆ、ゆーくん、ちゃんと……じゅんばん、守らないと、だ、だめなの……」
何本もの魔羅が彼女の全身目掛け殺到する。
あわよくば膣への挿入を果たし抜け駆けをしようとする者さえいた。
『――ダメなのっ!!』
しかし、それを彼女が一喝すると、一瞬で静まり返った。
決して逆らってはいけない。そう感じさせるほどの圧倒的な強者の威圧感に紫以外の全ての存在が動きを止めていた。
「むぅ。そういうズルい事しようとするゆーくんは一番最後にしちゃうんだからねっ。順番は守らなきゃダメなのっ」
ルール違反を犯そうとした佑馬を厳しく叱りつけると、途端に表情を一転させ次の相手と決めていた別の佑馬に甘え始める。
『……ねぇ佑馬』
『なんだよ』
『ゆかりんを怒らせるとか、あのバカ何考えてんの? 同じ佑馬ならわかるでしょ?』
『知らねぇよ……大方、まだ生まれたばかりの新入りで、紫の決めた順番を守るとか、生まれた赤子には手を出さないとか、そんな暗黙のルールを知らなかったんじゃねぇのか?』
『だったら、ちゃんと教えときなさいよ。ゆかりんがマジギレしたら、どうなるかわかったもんじゃないわよ。本気で縮み上がったんだからね』
そんな二人の危惧を他所に当の本人は女陰だけは決めた一人の佑馬だけに使わせ、菊門や手、口などのそれ以外は自由に使わせている。
「んじゅっ、ちゅぶっ、じゅるるっ……ぷはぁっ……んぁ、もぅ、ゆーくんったら本当にエッチで甘えんぼなんだからぁ。いいよぉ、わたしが、ゆーくんみんなの赤ちゃん産んであげるのっ」
そして自分に群がってくる佑馬に満更でもなさそうな表情を浮かべながら、腰を振り、手で先走りが滴る肉棒を扱き、口で大きく頬張り舌を這わす。
『まぁ最近は落ち着いてきてるみたいだし、衝動で力が暴走したとしても死ぬのはバカなそいつだけじゃねぇか?』
『それもそっか。一人二人減ったところで、どんどん増えるもんね、佑馬は』
『人を虫みたいに言うんじゃねぇよっ』
『あはは。ごめんて。それじゃ、わたし達も佑馬を増やしちゃう?』
『はぁー。お前らに好かれる俺って本物はどんだけヤベェ奴なんだろうな』
伝説級の大妖怪にも、それを祓える程の退魔士にもなれる可能性を秘めた鏑木紫は、南雲佑馬の姿を模した妖怪達の苗床として人としての生涯を終えるのだった。
書いていて、もしかしてちはやは本物の可能性があるのでは?という考察が捗りました。
追記
書いている段階では公式の誤字や表記ゆれ程度と思って特に気にしていませんでしたが、一応公式の本人の人物紹介では佑馬となっています。
だけど作品によっては祐馬になってるパターンがあり、傾向的にだいたい本人未登場だったり不在の展開だと祐馬になってることが多いのではと気づき、図らずも祐馬=UMAなのではという説が急に浮上。
完全な悪ノリになりますが、ちはやも本物でさらに佑馬と祐馬がいたから、何体ものなりすましが一度に大量に同一人物になりすませたのではという謎理論が展開されました。