「――っ! えいっ。えいえいっ」
幹也と桂香の驚きの声を背に受けながら、そのまま走り抜けていった初花は視界に捉えた妖怪相手に素早く矢を放つ。
一撃で仕留められなければ二の矢三の矢と放ち、矢が突き刺さったまま倒れ伏す妖怪の脇を抜けては、また矢を射ってを繰り返し奥地の霊脈を目指していた。
「えへへー。らくしょーらくしょー」
狙った通りに矢が飛び、妖怪を射抜き打ち倒せる感覚に気分も良くなり嬉しさに笑みさえ零れてくる。
正直戦うこと自体は好きではないが、それでも足手纏いだった頃と比べて自分でも手ごたえを感じられる成長。そして、姉とつい最近できた兄と一緒に戦うことができるが、初花にとって何よりも自信に繋がっていた。
勝手に先走ってしまった事にはさすがに罪悪感があるが、それでも自分の目論見通りに霊脈を抑えることができれば、二人ももっと自分を認めてくれるに違いない。
そんな想いを募らせながら、初花は妖気の発生源たる霊脈へ近づいていき、
「――ふぇっ!? ふぎゃっ!?」
泥濘に思い切り足を滑らせた。
前のめりに倒れそうになり、そのまま顔から泥に突っ込みそうになるも、女としてのプライドか、咄嗟に右手を着いてそれだけは辛うじて避けられた。
しかし両膝を付いたため緋袴は完全に泥まみれになり、さらに打ち付けて跳ねた泥も巫女装束に付着する。右手に至っては完全に手首まで泥濘に突っ込んでしまっていた。
「せ、セーフ……?」
顔面ダイブは免れたがどうみてもアウトだった。洗い流すどころか、いくら洗濯をしたところで落ちそうにない泥汚れに姉が怒り狂う姿を想像し恐怖する。
だが、なってしまったものは仕方がないと、服は諦めるが身体の汚れだけは早くお風呂で清めたいと気を取り直し、ゆっくり立ち上がろうと膝を立てる。
突如、泥の中で何かが初花の足を掴んだ。
「えっ!? きゃ、きゃぁぁぁっ!?」
奇妙な感触に恐怖を覚え、初花は身体を起こし泥濘から這い出ようとするが、泥に大部分が接してしまっている両膝から下と右腕が泥から抜けずにそれ以上動くことができなくなってしまっていた。
直後、まるで捕らえた獲物を逃がさない様にするかの様に纏わり付きながら泥濘全体が蠢き、初花の身体を引き込み始める。
突然の事態に一瞬パニックに陥るも、泥濘全体から感じた妖気から、この泥そのものが妖怪なのだと気づき、すぐさま反撃を試みる。
「――う、嘘でしょっ!?」
手元に霊弓が無かった。足を取られた際に放り投げてしまった事に気づき絶句する。
それならばと腰に背負っている矢筒から矢を取り出そうと手を伸ばすが一足遅かった。
泥濘の中から出て来た泥の手が自分を引き込もうとした時に矢筒を掴み、すでに泥の中へと取り込んでしまっていたのだった。
「いっ、いやぁぁぁぁっぁぁぁぁっ!!」
逃げる事もできず、攻撃手段をも失った初花にはこの状況を打開する術は何一つなかった。
ただ悲鳴を上げ、喚き散らす事しかできなくなった少女の身体を、泥の妖怪――泥田坊はゆっくりと伝う様に登り始めて行く。
「や、やだっ。登ってこないでよっ! 気持ち悪いよぉ」
袴の裾口から侵入し足首から、装束の袖口から手首を這う様にゆっくりと自分の身体へと近づいてくる恐怖。
そして、女を捕らえた妖怪の最終目標が何なのかを知っている初花は自分の末路を想像してしまい、全力で否定した。
「いやぁーーーーっ!! やだやだやだやだっ! あんたみたいなのに穢されるのなんて絶対いやっ!!」
全身を泥塗れにされることはもちろん、将来子を成すための大切な場所を泥で穢されるのなんてもってのほかだ。
登って来た泥に太腿を撫でられる感触に初花は更なる混乱に陥る。妖怪に犯されるという恐怖に精神の均衡が崩れる限界まで来ていた。
「やだ、やだよぅ……助けてーーっ、おにいちゃーーんっ、お姉ちゃーーん!!」
自分を助けてくれると信じている二人を呼びながら、唯一残された左手を高く突き出した。
すると、その手を取る存在がいた。正確には助けを求める少女の悲痛な声を耳にした存在が、彼女の手首を力強くがっしりと掴んだのだ。
「――お願いっ!! 助けてっ助けてよぅ!!」
暗闇と目に浮かべた涙のせいで顔はよく見えなかったが、それでも自分の手首を強く握りしめている逞しい腕の感触に、自分を泥の中から抜き出してくれる事を直感し強く強く懇願した。
その存在が願い通り自分の身体が泥から引き上げられる感覚に安堵し――直後、掴まれている左腕にとてつもない激痛が走り出す。
「――いっ!? いだっ! いだだだだっ!?」
まるで骨が砕け、肩が外れてしまうのではないかと思う程の力任せで乱暴な救助だった。
「ちょっとぉっ! 助けてくれるのは嬉しいんだけど、もっと優し、く……………………うそ」
初花は引っ張り上げられたままで、ズキズキ痛む左肩を抑え、幸い外れていない事を確認し安堵する。そして、そんな雑な救助活動に抗議の声を上げながら相手を確認したところで、言葉が止まる。
一見、人の様な風貌だが、まるで仮面の様に角張った顔立ち。とりわけ鼻に関しては明らかに人のそれとは逸脱し大きく肥大化長く伸びている。
そこで初花は自分はまだ窮地を脱してはいないどころか、更に悪化していることを察してしまった。
これは泥田坊からの救助活動ではなく、新たに現れた天狗が自分と言う獲物を横取りしたに過ぎないと言う事を。
「ひっ…………っ!!」
天狗の厳つい顔と睨みつけるような眼光をまともに受け、初花は怯えた表情をしてしまうが、屈してはいけないと必死に自身を奮い立たせる。
この状況で屈してしまえば、自分は間違いなくこの妖怪に襲われてしまうのだ、それだけは絶対に嫌だと、どうにか隙を見つけて逃げ出そうと恐怖に震える頭で必死に逃げる手段を考えていた。
天狗と泥田坊という二体の妖怪に囲まれているが、それでも先ほどの様に下半身を泥で束縛されて身動きが取れなくなっているわけではない。
左手首を天狗に強く握りしめられてしまっているが、それさえ振り解く事ができれば、全力で来た道を逃げて二人に泣きつけばいい。
自分でも意地もプライドもない恥ずべき行為という自覚はあるが、そんなつまらない意地なんかよりも、自分の純潔の方が大切だ。
そんな初花の怯えながらも諦めの悪さと敵愾心を感じ取った天狗は、まずは初花の心を折り屈服させようと考えていた。
人並みかあるいはそれ以上の知能、知性を有する天狗という妖怪は、捕らえた雌が優れた霊力と生命力を有している事を理解している。
このまま強引に力づくで犯すことも可能だが、油断していると手痛い反撃を食らう事を懸念していた。
それならば、もう一押し自分に抱いている畏怖の感情を刺激してやれば、すぐに大人しくなるに違いない。
手っ取り早く握っている腕の一本でも握り潰してやれば、間違いなく戦意を失うだろうが、それは最後の手段だ。
これから長くに渡って、自分の仔を生ませるに相応しい優れた母体。それを過剰に傷つけてしまうのはできるだけ避けたい。
そんな二人のどこか駆け引きめいた無言の心理戦が続いていた状況で、天狗が行動を起こす。
未だに初花の身体を宙吊りにし拘束し続けている腕とは反対の手を、彼女の身体へと伸ばしていく。
――今だっ!!
起死回生のタイミングはここしかないと、全身に力を込め身体を大きく揺らし、思い切り反動を付けた蹴りをお見舞いしてやろう振りかぶる。
しかし、攻撃のタイミングを見切られた一撃は、彼女を掴んでいる腕を逆に振られるだけで勢いを完全に殺され不発に終わってしまう。
「食ら……わっ、きゃっ、ちょっと!! ズルいよぉ!! 大人しく食らいなさいよっ!!」
不意打ちが失敗に終わり、もはや八つ当たり気味な怒りの抗議を上げ喚き散らす初花相手に天狗はどこか嘲笑う様な表情を向ける。
まるでまだ気づいていないのか。とでも言いたそうだ。
直後、最初に初花に恐怖を与えた存在が、自分の手が届く所まで獲物が下りて来たことを目敏く察知し、今度こそ逃がすまいと彼女の足を掴む。
「いやぁぁぁぁっ!!」
草履と足袋が脱がされ、そのまま泥の中へと飲み込まれて行く光景を目の当たりにし、裸足となった初花の中で、再び泥の中に引きずり込まれる恐怖が蘇る。
少しでも高い場所へ行こうと、なりふり構っていられず、自分から天狗の腕に掴まり体を引き上げ上へと逃げる。
初花の両手、両足が完全に塞がると、再び天狗が空いている手をその身体へと伸ばすが、視覚的にも精神的余裕もない初花は気づくことができなかった。
そして天狗の手が初花の巫女装束の襟元を掴むと、腕を振り下ろしながら一気にそれを引き裂いた。
「きゃあぁぁぁぁぁぁーーーーっ!?」
布を引き裂く音と、服がはだけて露出した肌で直接感じる外気に自分の肌が曝されたことを察し悲鳴を上げる。
被害は上半身だけでは済まなかった。
「や、やだっ!? 脱がさないでよっ!!」
天狗が振り抜いた一撃は巫女装束を引き千切るだけには留まらず、緋袴の帯も無残に引き裂いてしまっていた。
縛る力を失った緋袴を泥田坊が初花からずり下げる様に脱がしていく。
「ちょっ!? そ、それは、ほんとに駄目だってばぁーーっ!?」
唯一無傷だった袴の中の純白の紐パンツすらも、結び目が袴に引っかかり一緒に自分の肌から離れて行く。
初花が悲鳴を上げている最中もどんどんと引きずり下ろされて行き、すでに覆い隠すべき局部を隠すという役目を放棄してしまっている。
最終的には、そのまま獲物を奪われたせめてもの慰みであるかの様に緋袴共々、泥の中へと取り込まれてしまった。
突然衣服を剝ぎ取られ裸身を曝され、羞恥心に初花の思考も身体も固く鈍っていく。
まるで値踏みするかのようにじっくりと舐めるような天狗の視線から肌を守る様に、全体的に身体を縮こませるように屈み、両足を固く閉じ、唯一自由な右腕で必死に胸を隠す。
「っ……ジロジロ見ないでよっエッチ!! あたしの裸は安くないんだからねっ!!」
初花自身、いくら叫んで罵倒した所で虚勢としか思われない事は自覚していたが、誰にも見せた事がない自身の肌をあろうことか妖怪相手に見られるという耐え難い恥辱を受け、叫ばずにはいられなかった。
目の前の天狗に対しての怒り、恐怖、羞恥心が入り交ざった感情に冷静さを失ってしまっている。
故に、すでに自分が泥濘ではなく固い地面の上に立たされているという事実に気づくことができなかったのだ。
依然、天狗の大きな腕が自分の腕を掴まれたままなのは変わらないが、宙吊りと大地に足が付いているのでは雲泥の差がある。
多少の火傷を覚悟すれば、色欲に溺れ始めた隙を突いて、そのまま逃げ遂せるという可能性も見えてくる。
だが、元より初花という年頃の少女が、その事に気づけることも、たとえ気づけたとしても妖怪相手に大切な身体を弄ばれるのを受け入れる覚悟などできるわけがないのは必然だろう。
そして、いざという時のためにと鍛錬している近接用の体術や合気の技を使うためには、必死に胸を隠している腕をどかし、秘所が見えないように閉じている両脚を開き、構えなくてはいけないが、自分を犯そうと考えている相手に自ら恥部を曝け出す様な真似などできるわけがなかった。
「うぅ……もういいでしょ……あたしの裸見たんだし、もう離してよぉ……」
天狗が人間の言葉を理解しているのか、そもそも会話自体ができるのかも定かではない。
今も一言も発することはせずに、威圧的な眼光を向けてくる相手に初花は目に涙を浮かべ完全に委縮してしまっていた。
無意識に後ずさりして少しでも距離を開けようとするも、掴まれた腕が解放されるわけもなく、すぐに足が止まってしまう。
強引に天狗の手を振り解いて逃げるという選択ができない。
先ほどの起死回生を掛けた不意打ちが不発に終わるどころか、泥の中に落とされそうなるという結果に終わったことが致命的だった。
幸い今だに直接的な行為をされていないこともあり、下手に抵抗したら今度こそ本当に襲われてしまうかもしれない。天狗を刺激してはいけないという恐怖が初花の心の中に根付き始めてしまっていた。
――自身に恐れを抱き、すっかり大人しくなった雌の姿に気を良くした天狗はいよいよ仕上げに掛かる。
「――きゃっ!?」
天狗が自分の方に引き寄せようと掴んでいた腕を強引に引っ張る。
突然腕を引かれた初花はよろめきながらも、なんとか天狗に倒れこんだり、転倒することなく踏み止まることができたものの、
「ひっ……やっ、いやぁ……いやぁぁぁぁっ!!」
自分の顔に近づいてきた天狗の顔に悲鳴を上げた。
純潔も大切だが、初めてのキスだってこんな相手に奪われたくない。
唇を奪われる恐怖に反射的に出た手で、天狗の顔がこれ以上自分に近づかないように押さえ拒絶する。
だが、天狗の目的は互いの口付けではなかった。
「……え? な、なに、してるの?」
自分に顔を抑えられながらも、天狗は太く長く伸びている鼻先で初花の口を何度も突いてくるという、よくわからない奇行を始める。
天狗の突拍子もない行為に初花も恐怖を忘れ、困惑する。
「……ちょ、やっ、そんなグイグイ、押し付けないで」
初花は嫌そうに顔を背け、その行為から逃れようとするが尚も鼻先を押し付け続ける。
口付けをされるよりは大分精神的にはマシではあるが、それでも鼻に口を押し付けさせられる感覚に嫌悪感が湧き上がる。
「――っ!? あ、あがっ!? んぐっ、ちょっ、ま、まさか……」
天狗が自分の鼻を咥え込ませようとしている。そんな天狗の思惑に初花が辿り着くのと、行為が実現するのはほぼ同時だった。
まるで「気づくのが遅い」とでも言いたそうに嘲笑う様な視線を向けてくる天狗の目に、初花の心の中に失われていた怒りの感情が蘇る。
こんなふざけた方法で自分の口を穢した相手に、もはや殺気が感じられる程の激しい怒りが込められた視線を叩きつける。
口の中の穢わらしい愚物を噛み千切り、即吐き捨ててやる。
初花がそう決意し顎に力を込めようとした瞬間――喉奥へと鼻先を突っ込まれ、激しくえずく。
「んぐっ!? がっ……げほっ!! ごほぉっ! やっやめっ……く、苦し、うぐっ……」
一度えずいた後も執拗に奥へと突き込まれ続け、初花が呼吸困難に陥りかけたところで、ようやく天狗は拷問めいた行為を止める。
「……うぅ、ぐすっ……こんなの、ひどいよ……」
想像を絶する苦痛から解放された初花は、結局天狗にただ弄ばれていただけだったのだとわからせられるのだった。
天狗の鼻という変則的なイラマチオを受けてから、初花は求められるままに大人しく奉仕を行うようになる。
自分が咥えさせられている物が本物の性器ではないという事が、唯一の心の拠り所だった。
完全に戦意喪失してしまった現状では時間稼ぎをして幹也と桂香の到着を待つのが最善策ではあるが、もはや初花にはその発想に至れるだけの心の余裕はない
ただ確実に訪れるであろう自分の身体が穢されるという最低最悪な結末を少しでも先延ばしにしたい。その一心で必死に行動しているに過ぎなかった。
「んん……い、いやぁ……ひっ……んぅ……っ」
天狗の両手が初花の形の良い双丘を鷲掴みにする。
初花の身体がびくりと跳ね、反射的にその手から逃れようとすると、口腔内だけを往復してたモノがわずかに喉奥の方へと向かう。
激しい苦痛を経験した身体は硬直し、慌てて口を窄ませそれ以上の侵入を止めるよう懇願の意志を伝える。
その様子に天狗は鼻の動きを緩めると、再び初花の胸をこねる様に揉み抱く。
「んっ……んぁぁっ、はぁ……あっ、あぁ……んっ」
元々感じやすい体質だったのか、胸を揉まれる度に走る痺れる様な快楽に無意識に嬌声が零れ始める。
天狗も自身の愛撫によって雌が喘ぐ反応には寛容なのか、奉仕が疎かになった初花にこれまでの様な催促をすることはせず、逆に愛でる様に慣れた手つきで胸に断続的に様々な変化を付けながら、初花を悦ばせる。
「あっ……んぅ、駄目、そんなに揉まな、んんっ!? 摘まんじゃ、はぁ……はぁ……こ、擦られると……だ、だからそんなに強く揉まな……っ!?」
ハッと我に返るが、自分でも手遅れだと自覚してしまったのだろう。
あれだけ嫌悪していた妖怪だというのに、完全に天狗の愛撫に夢中になってしまっていた自分が信じられなかった。
好きでもないどころか敵そのものである相手に身体を弄ばれ、それに快感を覚えてしまっていた。
天狗はそんな初花の葛藤を助長するかのように、彼女の口腔内を堪能し終えたのか長い鼻をずるりと引き抜くと、べったりと付着した彼女の唾液が全体を厭らしくテカらせていた。
先端部から糸を引きながら零れ落ちる液体と、そのフォルムにまるで自分が本当に天狗の性器を嬉しそうに咥え込んでいてしまったような錯覚に陥る。
「はぁ……はぁ……あ、あたしは、気持ちよくなんか、なってないもん……」
ようやく息苦しさと口腔内の異物感から解放され、息も絶え絶えながら快楽に堕とされていないと自分に言い聞かせるように発した。
元より好きでもない相手にどれだけ身体を弄繰り回されたところで、それで相手に好意を抱けるわけなどない。
例え一時的な張りぼての様なものであっても、必死に奮い立て持ち直した心とは違い、身体の方は初花の意志から離れつつある。
対峙している天狗や泥田坊から肉体的にも精神的にも受けた度重なる揺さぶりを受け、興奮と弛緩を繰り返しすっかり疲弊し切っていた。
「……やぁ……い、いやぁ……」
天狗は、すでに足腰にまともに力が入らず立っているのがやっとの状態の初花の身体を抱き上げると、そのまま地面に押し倒す。
左右の太腿を手で掴むと大きく開脚させ、わずかに開き湿り気を帯びている彼女の女陰にぐいっと顔を近づける。
マジマジと覗き込まれる行為に、恐怖と羞恥心から必死に陰唇を閉じようとヒクつかせているそこは、まるで今の初花の心境を投影しているかのようだった。、
「……っ!? や、やだっ……やだよぉ……」
無遠慮に伸ばされた天狗の手が割れ目を広げ、秘処の全貌を曝け出された。
剝き出しにされ、どこか生暖かく不気味な空気を感じる外気が直接当たる感覚。
妖気塗れの手と欲情した雄の視線を受け、ただそれだけで穢されて行く様な嫌悪感。
天狗がゆっくりと反応を確かめながら行為を行っていく事により、初花も衝動任せの強い抵抗ができなくなっていた。
どこか淡々と自分を犯すための準備を整えていく天狗に、明確な拒絶や強い抵抗の意志を見せるとそれ以上の報復が返される事を頭も身体も覚え込まされてしまっていたのだ。
そんな少女がどんな報復も恐れずになりふり構わっていられない心境になれるのは、まさに純潔を失う破瓜の間際と、その先に確実に訪れる膣内に精を放たれる寸前くらいだろう。
「お願いだからもうやめてよぉ……」
もはや自分相手に懇願することしかできない少女の願いを当然天狗が聞き入れられる事などなかった。
執拗な胸の愛撫に多少の湿り気はあるものの、まだまだ十分に潤ってはいない未開通の膣。
そこに散々自分の口腔内を犯した太く長い鼻先を突きつける様に向けられ、半ば確信めいた予感に初花は戦慄した。
まさかそんなふざけた方法で自分は処女を奪われてしまうのか。
「いやぁぁぁぁーーーーっ!! やだっ、入れないでっ!! 入れちゃ、やだあぁぁっ!!」
天狗が太く逞しい両腕で太腿をがっしりと押さえつけながら、膣口に鼻先を押し付け始める。
初花は自分の下腹部に迫る天狗の顔面を両手で抑え、膣内への侵入を必死に拒む。
薄い膜に圧力が掛かり、押し拡げる様にして狭い膣内へ異物が入り込もうとする恐怖。
「っ! やだっ! やだやだやだやだっ!! やだよぉーーーーっ!!」
泣き喚きながら侵入を拒むが、ジワジワと少しずつ入り込んでくる一物。
しかし、その侵入が不意にピタリと止まった。
まるで急に気が変わったかのように、膣内へ押し入ろうとしてくる圧力も消えた事に安堵しつつも猜疑心は拭い切れない。
初花がどこか警戒する様な眼差しで天狗の動きを観察していると、顔を上げた天狗と視線が合うも、それでも何を考えているのかが読み取ることができなかった。
「ひくっ……やめて、くれるの……?」
嗚咽交じりの初花の問い掛けに返事はなかった。
天狗は初花の下腹部から顔を離すと、身体をわずかに起こし再び互いの顔と顔を近づけようとして来るのを見た初花は、また自分の口に入れるつもりなのだろうかと、気を緩めてしまった。
――鼻が嫌ならこれしかあるまいて
不意にそんな声が聞こえた気がした。
「ひぎっ!? ぐ……が、あ、あぐっ……っ」
直後、初花は下腹部に激しい痛みを受け、一瞬呼吸が止まる。
そしてわずかに痛みが和らぐのと同時に思考よりも先に本能が自分の身に起きた悲劇を察知してしまった。
頭の中で自分が必死に見てはいけない。気づいてはいけないと警鐘を鳴らし続けるが、視線は痛みを感じた下腹部の方へと向いていく。
そして、その先には悪夢とも言うべき惨状が広がっていた。
鼻よりも太く肥大化している天狗の魔羅が自分の股間に突き刺さっていた。
「いやぁぁぁっぁぁぁぁっ…………っ!? ぎ、がっ!? いっ、や、やめっ」
突然の破瓜のショックに上げた悲鳴は、さらなる激痛を与えられて強制的に中断した。
固くゴツゴツした陰茎が、濡れが不十分の膣壁を削りながら入ってくるかのように強引に奥へと侵入してくる。
膣奥を思い切り突き上げては下がってを繰り返し、初花の処女を失ったばかりの狭い膣を無理やり自分のサイズに適応させようとしているかのようだった。
「――……っ!! ぁ、……っ…………ぃ」
まともに声を発するこ事さえできない程の激しい痛みが初花を襲い続ける。
破瓜の瞬間に匹敵する程の激痛を伴う強引な膣開発。そんな突貫工事に初花は意識を飛ばしそうになる。
いっそ意識を失えた方が幸せだったのかもしれない。しかし激痛により飛び掛けた意識を、間髪入れず与えらえた激痛が気付けとなり、気を失うことすらも初花には許されなかった。
朦朧とする意識の中、不意に自分の意志とは関係なく身体がびくんと跳ねるのを感じた。すると何故か急に全身が弛緩し苦痛が幾分か和らぐ。
それは気遣いなど一切なく、ただ自身の快楽しか考えていない天狗の苛烈な責め苦を受け、初花自身の身体が危険を感じ膣内に多量に淫液を分泌させ強制的にイったためだった。
「あ……うぅ……あたし、犯されちゃってる……初めて……穢されて、いやぁ……っ」
意図せずに迎えた絶頂と、その間も延々と続けられている天狗の激しい生殖行為に初花は力なく呻きながら拒絶の言葉を口にすることしかできなかった。
体力を消耗し、まるで全身が痺れた様に感覚もほとんどない。身体が思う様に動かせない。
それなのに薄れゆく意識と感覚の中、自分に覆い被さり夢中で腰を振る天狗の姿が嫌でも視界に入ってくる。
強引に膣内を自分の形に押し拡げながら膣襞に擦り付ける様に蠢くおぞましい肉棒の感触。
何度も何度も最奥を突き上げ、大切な子を宿し育むための子宮を揺らしてくる感覚だけが、鮮明に感じられていた。
延々と続けられる地獄の様な時間が過ぎて行く。
やがて最悪の瞬間が間もなく訪れるのを初花は察した。
「……い、いやぁ……駄目、
不意に天狗が腰を振る速度を上げた。同時に膣内の魔羅も更に肥大化し膨れ上がるのを感じ、直感的に射精が近い事に気づいてしまった。
残されていたわずかな力を振り絞り、両手で天狗の身体を押し退けようとするが、天狗の動きは止まらない。
初花の弱々しい最後の抵抗をまるで意にも介さず、膣を犯し続けていると、やがて一度大きく腰を跳ねさせると同時に、妖気塗れのおぞましい精液を膣内に吐き出す。
「あ、あぁ……
子宮口に押し付けられた先端部が何度も膨れ上がると、その度に穢れた汚濁が子宮に流れ、中を満たしていく。
天狗の魔羅に突かれた分だけ、子宮に精液を注がれた量だけ、自分がどんどんと穢れた存在に堕ちて行く恐怖に自分はもう手遅れなのだと絶望した。
「ぐすっ……もういいでしょ。あたしを犯したんだから、さっさと抜いてよ……」
完全に諦めの境地に達してしまったが故に生まれた心の余裕と言うよりは、もはやただ自暴自棄になったのだろう。
守っていた純潔を失い体力も霊力も枯渇し、穢された身体の中にあるのは自分を犯した妖怪の穢れた精液と妖気のみ。
目的を果たし終えたのだから、さっさと自分の目の前からいなくなってくれる事をだけを初花は望んでいた。
――しかし、用がないと思っていたのは初花の方だけだった。
天狗の方は、手に入れた雌の身体にまだまだ大事な用が残っていた。
初花の膣内で射精の余韻を堪能し終わると、膣からゆっくりと魔羅を引き抜く。今だに勃起状態を維持している魔羅の先端部からは吐精した残滓が糸を引きながら少女の身体へと零れ落ちた。
(……もうどうでもいいよ。あたしの身体全部、あんたに穢されちゃったんだし)
犯した雌の反応を楽しもうと、わざと見せつける様に行われた厭らしい行為だったが、芳しい反応を表さなかった初花の様子に天狗も興味を失う。
そのまま二度目の行為を楽しむための準備をしているかの様に、再び初花の太腿を掴み始めた事で、冷め切っていた少女の心に動揺が蘇る。
「……え? な、なんで離してくれないのよ。もう終わったんだから帰ってよぅ……」
不意に沸き上げる猛烈な嫌な予感。。
そして初花が感じた予感は更にそれ以上の汚辱行為という形で現実の物へとなった。
両足を大きく開脚させるだけでなく、押し込むように抑えつけられ、腰が浮きそうになる。
天狗の視線は、ぽっかり開いてしまった穴から、必死に出された精液を吐き出そうとする膣口ではなく、その下の更に小さな窄みへと向けられていた。
「……ひっ!? や、やだやだっ! そ、そんなの絶対に無理に決まってるでしょっ!?」
直前の激しい責め苦を味合わされた初花からしたら、再び穢される恐怖よりも純粋に死への恐怖をより強く感じてしまうのは必然だろう。
穢れ切った身体を尚も穢そうと迫る天狗の姿に初花の心は崩壊寸前まで来ていた。
女としてどころか人としての尊厳をも凌辱しようとする行為にただただ恐怖することしかできなかった。
「やめてっ!! やめてよっ!! いやーーーっ!!」
腰を揺らし足をバタつかせ抵抗するが、もはや天狗にとってそれは抵抗にはなり得なかった。
今度は鼻を入れる様な素振りさえ見せず、最初から肉棒を菊門に宛がい始める。
そして、今まさに天狗が腰を突き入れる直前――
「――貴様ーーーーっ!!」
間一髪のところで割り込んだ幹也が渾身の力を込めて天狗の顔面を蹴り飛ばし、二人の身体を引き離す。
とてつもない霊力と衝撃を無防備な状態で受け、天狗の身体は本人も訳も分からぬまま地面をゴロゴロと転がり続けた。
そのまま数メートル程転がり続け、ようやく勢いが止まった頃には、蹴りの直撃を受けた自慢の鼻はどこかに千切れ飛んでしまっている。
天狗が自身の象徴とも言えるそれを失い、夥しい出血をしている顔面を上げると、
「よくも初花を――っ!!」
自分が犯していた雌と似た霊気を感じる別の雌が、激昂のままに振り下ろした刃が迫っていた。
刃が肩口から入ると、胸まで深々と切り裂いた一撃は、間違いなく致命傷となる。
桂香の怒りどころかもはや憎悪すらも込められた一撃をまともに受けた天狗は、そのの場で仰向けにばたりと倒れる。妖怪故の強靭な生命力か、即死を免れたもののすでに意識は完全に絶たれていた。
血を吹き出し続けている胸を中心に身体がビクビクと蠢く様に痙攣していたが、それもすぐに停止することだろう。
その風前の灯に等しい生命に対して、
「――っ!!」
桂香は容赦なくその胸に刃を突き立てた。
胸を貫き、完全に行動を停止した天狗だった物が撒き散らした血を浴びながらも刀を引き抜くと、ゆっくりと刀を構え直す。
「そこまでだ桂香さん。もう死んでる」
幹也は桂香の刀の柄を取り、すでに息絶えた天狗の死骸を修羅さながらの鬼気迫る表情で、さらに切り刻もうとする彼女の行動を止める。
「止めないでくださいっ!! こいつは初花をっ!!」
「気持ちは痛いほどわかるが、今は初花ちゃんの方が優先だっ!」
幹也が自身の襦袢を脱ぎそれを差し出しながら告げられた言葉に、ハッとした桂香は姉の顔に戻るとすぐさま大切な妹の元へと駆け出し介抱を始めた。
おそらく普段の桂香なら、まず間違いなく真っ先に初花の元へと走っただろう。
しかし大切な存在を穢した元凶が、尚も初花を嬲り続けている様を見せつけられて怒りと憎しみの感情が先立ってしまったのだろう。故に先程の凶行に及ぼうとしてしまった事を幹也は理解していた。
「……こういうのはわざわざ桂香さんみたいな人がするような事じゃない」
幹也は桂香が自身にも汚れが付着するのも構わずに、必死に初花に声を掛けながら彼女の身を整えているその背中に向かってポツリと呟く。
そして桂香にはいつまでも厳しくも優しい姉でいて欲しいという願いを込めながら、続きを引き受ける。
右手に極限まで霊力を集中し、それを更に凝縮させ高密度の霊力の球体を掌に出現させる。
「……消え失せろ。俺達の前に二度と出てくんじゃねぇぞ」
悪態を付きながら、その球体を死骸に叩き付ける様に放つと、天狗の身体は粉々になり完全に消し飛んでしまった。
こんな事をしても初花の身体が元通りになるわけでもない。仮に元通りになると言うのならば、これまでに同じ目にあった女性達の分も含めて何百回でも何千回でもいくらでもやってもいい。
幹也自身も無意味な八つ当たりなのは理解しているが、こうせずにはいられなかった。
神職に就く者としては直ちに浄化するのが筋なのかもしれないが、ここまでふざけた真似をしてくれた奴にそんなことをする義理はないと感じていた。
一流のベテランの退魔士からすれば、この行為は修行が足りない未熟者と言われたり若いと思われる事なのかもしれないが、身内同然の大切な存在を穢されてまで自分は温厚でいられなかった。ただそれだけの話だ。
幹也がそう考えていると、近くに息を潜めていたもう一匹の妖怪の気配を察知する。
そして、そいつは事もあろうに少女が大切に扱っている装備と衣服をその泥状の身に包み込んでいた。
その事実に気づくや否や、幹也は踏み付ける様に泥の中に片足を突っ込むと、一気に大量の霊力を放出し泥の妖気を消滅させた。
妖気と水分をほとんど失いただの土塊の塊となった中から初花の所持品を回収した幹也は二人の元へと向かう。
まだまだ穢れが残ってしまっているが、初花に現状でできる応急処置を終えた所で、三人の所持品を桂香が持ち、身も心も疲弊し切って意識を失い眠りに落ちている初花を幹也が背負い今回の探索を切り上げ帰還するのだった。