Bolt in the Blue
キヴォトス各地で起こる絶え間ない抗争の経緯報告書に、あちらこちらで起こった損害、各校から上がってくる回覧に、騒動鎮圧の依頼……。シャーレ顧問のデスクには、いつも書類の山脈が形成されている。地均しされても、翌日にはまたニョキニョキと山が生えてくる始末だ。だが、戦うことを止めてしまえばこの山脈はたちまち成層圏まで届いてしまうことだろう。
一息入れようと席を立つ前、あるものに気がついた。デスクの脚のフックに下がった金色の小さな鍵だ。今まで特に気にも留めなかったが、恐らく私がシャーレに赴任(と言っていいのかどうか今もって分からないが)する前からずっとあるものだろう。デスクの引き出しにロックがかかっている様子もないし、一体どこに使うものなのか。
席を立って電気ケトルが湯を沸かすのを待つ間、室内を見て回っていると、ダクトテープが本棚の隣の壁に、何かを隠すように貼られている。おっかなびっくりそれを剥がせば、これまた小さな鍵穴があるではないか。部屋の中をゆっくり観察する余裕なんてなかったから、全く気付かなかった。
「…………」
湯沸かし中を表す電気ケトルのオレンジランプが、ふっと消えた。だが、熱いインスタントコーヒーよりも先に、少年のごとき好奇心が胃袋に湧きおこる。どこの鍵かも分からないのに、そう都合よく鍵穴とマッチするものか。どうせ一ミリたりとも回らないだろう。ところが――
"カチッ"
私の予想は見事に裏切られた。穴へ吸い込まれるように鍵がハマり、そのまま九十度くるっと回った。回転扉となった壁が、向こう側へと私を誘う。
「……何だ? 奥へ続いている……」
長らく放置されていたのだろう。流れる空気が埃っぽかった。扉の役目も果たしていた壁の向こう側へ胴を滑らせると、奥へ伸びる通路の壁にスイッチがあった。何のことはない。部室の電気をつけるのと同じ一般的なものだ。ほんの僅かの間を置いて、通路がぼんやりと視界に浮かび上がった。奥行き十数メートルはあるだろうか。薄暗い道の奥は、ここからだとよく見えない。人間二人がすれ違うのがやっと、という狭さの通路――こんなものがあるとは誰からも聞かされていない。
半ば生活空間と化しているシャーレの部室で自分の知らない所があるのが気になり、足を進める。コツコツと足音が反響し、じめっとした生ぬるい湿気が、頬にまとわりつきだした。「気を付けろ、何かがあるぞ」頭の中で動物的な警戒本能がざわめき出した。
ベルトにホルスターを提げてあるのを手で確かめて、右足を踏み出す。多少の銃弾を浴びた所で致命傷になりえない強靭なキヴォトス人の生徒達とは違い、私の肉体はあまりに脆弱だ。どのような相手であっても直接の戦闘は避けなければならない。だが、軽く一発当ててひるませ、その隙に逃走を図るのはそう困難ではないはずだ。"それは蛮勇だ"という理性の警告を頭で受け止めてはいたが、部室の壁の裏に繋がる空間には怪しさがあった。放置していてよいものでもない、と警告するのと同じ理性が囁いている。
「……ご主人様?」
「!!」
背後から呼ばれ、前のめりになっていた体が止まった。右目を隠す長い前髪にメイド服、悪戯っぽい不敵な吊り目に、人懐っこい大型犬のような、ワクワク緩む口元。C&Cの一之瀬アスナだった。
「ああ。アスナ……そうか、今日の当番か」
「うん、ちゃんと来たよ! ところで……何これ?」
「壁に鍵穴があったんだ。デスクにあった鍵を入れたら開いたんだけど、ちょっと中が気になってね」
「ふーん……面白そうっ。じゃあ、今日のお手伝いは探検だねっ!」
目を弓なりに細め、アスナが白い歯を見せた。メイド服にアサルトライフルとはずいぶんとちぐはぐで物騒な光景のはずだが、通学カバンと同時に銃火器を携帯する女子学生をあまりに目にし過ぎて、もはや何の疑問も持たなくなってしまった。心強いバディがついて、背筋に走っていた緊張が一気にほぐれる。
ところが、アスナを伴っていざ堂々と通路を進んでみるも、程なくして行き止まりだった。シャーレの建物同様の年代と思われる壁には縦に真っすぐな裂け目が入っており、まるでエレベーターのようだった。実際に裂け目の周りを調べてみると、それらしきボタンがついている。
「ねぇ、ご主人様……この甘い匂い、何かな?」
「匂い? いや、何の匂いもしないけど……」
「そんなことないって。なんか、キャラメルみたいな匂いしない?」
アスナに呼び止められて注意深く鼻で息をしてみても、何も感じない。漂ってくる甘い匂いはスイーツのようなものではなく、どちらかと言えばアスナの長いアッシュグレーの髪から香る女性の匂いだ。振り向いてみれば、リボンの吸い込まれる深々とした谷間――今にも零れてしまいそうな豊満に視線が吸い寄せられる。左胸の根元にぽちっと息づくホクロが、もちっとした肌の白さを際立たせていた。
いやいや、私は先生で彼女は生徒なのだ。いくら魅力的でも
邪な心を振り払い、埃をかぶったボタンに手を伸ばす。
……が、何も起こらない。
「あれ~? 動かないね」
「通電されていないんだろうね。他にスイッチもないみたいだし……とりあえず仕事に戻ろうか」
「なーんだ……ちょっと拍子抜けだな~」
ガッカリしているのをアスナは隠そうとしなかった。それに関しては私も同感だ。扉があれば開けたくなる。ボタンがあれば押したくなる。それがヒトの普遍的な心理というものだろう。部室からエレベーターまでは、特に何かがあるわけでもなかった。また後で、一人になった時にもう少し丁寧に見てみるとしよう。
いずれにしても、いい気分転換になった。コーヒーよりも、却って目が冴えた。だが、アスナの言う"キャラメルのような匂い"とやらは一向に感じられない。アスナの嗅覚がそれだけ優れているのだろうが、もしかしたら私の鼻が鈍いだけかもしれない。
「それにしても、シャーレの部室にこんな隠し扉があったなんてね。もう少し部屋のあちこちを探ってもいいかもな」
「…………」
「……アスナ?」
返事が無い。私の声には、いつも弾んだ声で答えてくれるはずなのに。
「……!!」
振り返って背後を見ると、異様な光景に一瞬息が詰まった。
「ふぅ……ふぅ……!」
「な……何だ、どうしたの、アスナっ」
くわっと見開かれた目は血走り、鮮やかな青緑の瞳がぼんやりと輪郭を滲ませている。どこか攻撃的な目つきもさることながら、瞳と同じ青緑のヘイローが、変色していた。生々しいショッキングピンクに発光し、鼓動のリズムで明滅している。
「ご……ご主人様……っ」
かつ、かつ……とヒールの硬い足音がにじり寄る。
「アスナ……うわっ!」
肩を掴まれた、と思いきや、視界がぐわんと回転した。背中に衝撃が走る。咄嗟に脳裏に浮かんだのは、アスナが謎の不調に見舞われた一件だったが、その時とも様子が違う。言葉をかけても通じないかもしれない。咄嗟にそう直感した。
「はっ、はっ、はっ……はぁ……」
馬乗りになったアスナは、私の両腿を尻で抑えつけていた。
「どっ、どうしたんだ、アスナ」
「うぅ……ご、ご主人様、ご主人様が……」
逆光になった顔の中でギラついた視線が、脳の底まで品定めしているようだった。まるで、今から捕食する獲物の味を想像しているかのような――。
「ご主人様が、食べたい……」
「……っ!」
バリバリバリッ。シャツの襟に手がかかったと思ったら、まるで
……が。
「……ご主人様の、ハダカだ……♡」
分かりきっていた。生命体としてのパワーがまるで違うのだ。自分よりも細い腕を持ち上げるどころか、押さえつけられたままビクともしない。
――どうする……?
腕が自由になる瞬間、拳銃を抜いて撃つ。
――できるわけがない。
大切な生徒を銃で撃つなんて。そもそも10mmの弾丸一発程度でノックアウトできるとも思わない。仮に眉間に当てた所で「痛い」の一言で終わる可能性が高い。マシンガンの斉射を食らった早瀬ユウカの煩わらしそうな表情はまだ記憶に新しい。それ以前に私は、射撃場の的にだってまともに当てられた試しがないのだ。
万事休すか。
このまま、人生の幕引きなのか。
ああ、どうか……みんな健やかに……。
顔が近づいてくる。
綺麗に並んだ歯。
エナメル質の白さが、私の覚悟を嘲笑う。
「はぐ……っ……」
首の根元に、尖ったものが刺さった。
頸動脈を食い破るのか。拳を固める。
皮膚に食い込んだ犬歯がぷつりと肌に穴を開けた……が、それ以上に侵襲してくることはなかった。首から肩口へ、甘噛みが横断していく。噛んだ痕をマーキングするかのように、ぬめっとしたものが肌を滑っていく。出血しているのだろうか。何かを啜る音がした瞬間、ぞくっとする悪寒が背筋に走り、思わず首を掻きむしりたくなった。だが、手の甲は床に磔にされたままだ。
「ん、れる……ご主人様、ぁ……♡」
「あっ……アスナ……やめ、っ……!」
首の付け根から、ちゅっちゅっと吸い付かれる感触が上ってくる。さらさらした髪がカーテンになって顔を覆い、トロピカルフルーツのような甘い香りに鼻が閉じ込められる。柔らかくてずっしり重いものが胸板で潰れ、谷間の根元からホクロが私の顔を見上げていた。酒を脳に直接まぶされたかのような酩酊感が、舌の触れた所から広がっていく。
やがて、アスナの舌は顎を這いあがり、口元に迫ってきた。発情した妖艶な目つきで、ぺろっと舌なめずりをして、顔が近づいてくる。首を捻ってみるが逃げられるはずもなく、しっとり濡れてぷるんとした唇が重なった。
「あふ……ふ、んっ……♡ んん~……♡」
"ぷちゅっ ちゅる ちゅっ"
「ふふ……ご主人様とチューしちゃった……♡」
超えてはならない一線はいとも簡単に踏みにじられ、この強硬なアスナを止められる唯一の手段だった言葉すらも、その出入口を封じられてしまった。執拗に唇の裏をまさぐってくる舌に対し、歯を食いしばって抵抗したが、残念なことに、顎の力ですら私は少女に敵わなかった。
"くちゅ くちゅっ くちゅ……"
口腔の中へ侵入を許してしまい、アスナの舌が私を蹂躙する。じいんと脳が痺れ、原始的な昂ぶりが強烈に揺さぶられる。
「はふっ♡ んふ♡ むちゅ、れりゅ♡ ふ~♡ ふ~♡
舌を伝って流し込まれる唾液は微かに鉄臭かったが、ほんのりと甘みを帯びている。それを飲み込んでしまうことに抵抗を覚えていると、ぢゅるぢゅると音を立てて、全て吸い上げられた。舌を吸われる快感がズンと下腹部に響く。鋭すぎる動物的なカン同様
執拗に絡むナメクジに溶かされていく私の理性は、まだ一縷の望みに縋りつこうとしていた。一之瀬アスナはまだウブで、男女の交わりをこれ以上は知らないのではないか。生身の男性らしき存在が僅少極まりないキヴォトスにおいて、異性については幼児のように無垢なのではないか。
だが――
その願いも無残に打ち砕かれた。
股にかかる体重が、ずりずりと動いている。
「あは……♡ ご主人様、この硬いの、何~?」
「お股を擦りつけてたら、どんどん太くなってくるよ~♡」
「ん~……♡ ほしい……これほしい……♡」
性欲を煽り立てる上擦った声。アスナが甘えた言葉で耳を責めてくる。布地越しになすりつけられているのは、恥丘に違いない。何枚かの布の向こう側には、どんな色の粘膜が潜んでいるのだろう。陰毛の濃さはどのぐらいなのだろう。しとどに雌肉を濡らして男を欲しがっているのだろうか。
女性から性交をねだられるのは、本来ならば男として誉れ高きこと。私とて一匹のオスだ。魅力的なメスとネバネバを絡めあい、温かく柔らかな肉に搾られる――その甘美な高揚感を欲しがらないと言ってしまえば嘘になる。しかし、今目の前で起こっているこれは、先生たる大人として決して許してはならない禁忌。守らなければならない倫理の砦なのだ。
「ん、んっ♡ んむ、んぢゅ、ぢゅる……♡」
守らなければ――
「あ……ふ……こすれる、の、きもちいい、よぉ……♡♡」
守らないと――
「フー♡ フー……♡ フ~……ッ、
――――…………
体に力が入らない。唇だけでなく、顔の至る所にキスの弾幕が押し寄せ、頭蓋骨の中がドロドロだ。口の中でまぜこぜになった唾液のカクテルが全身に回っている。じんじんと痺れる疼きに股間は目一杯に張りつめ、摩擦に反応してビクビク震えている。鈴口をこじ開け、どろりどろりとカウパーが滲み出て下着を湿らせているのが、自分で分かってしまう。
「ね……食べちゃってもいい? いいよね……♡」
枷が外れた。アスナが隙を見せた。
それなのに。
だらんと脱力したまま、私は服従したケモノのごとく、胴を晒したままだった。「やめなさい」と上っ面だけの言葉で止めようともしなかった。
ベルトの金具が外され、ファスナーの下ろされる事務的な音が、通路の天井に反響した。下腹部に当たるひんやりした空気に現実を突きつけられる。ねっとり糸を引いた白いショーツがパサッと胸の上に落とされるのも、ただ見送るばかり。
「う……あぁ……♡」
股間で蒸らされていた精臭を嗅ごうと、アスナの鼻がひくひく蠢いた。途端に、吊り目が恍惚として目尻を下げていく。ぶるり、ぶるりと胴体を震わせて、臭いを嗅いだだけで快感を覚えてしまったようだ。私の感知できなかった甘い匂いを感じ取っていたのだ。敏感な嗅覚にさぞ深く刺さったのだろう。かあっと頬を紅潮させた表情の艶めかしさはもはや少女のそれではなく……円熟した淫魔とでも言うのが相応しい。
「はぁ……なんか蒸し暑いなぁ……出しちゃお、えいっ♡」
"ぶるんっ"
"だぽっ……♡"
巨大な乳肉にぶら下がっていた胸元の布が、ブラジャーごと無造作に引き下ろされた。十数センチ先で、ぶつかりあったゼリーみたいに跳ね回る女性の象徴。若々しいハリのある肌でも上向きに支えきれないほどに長い、もっちりした大型メロンが、メイド服の抑圧から解き放たれた反動で二度三度と弾んだ。先端で尖った乳嘴は哺乳瓶の飲み口さながらで、興奮に血を集めてぷっくらと膨らみ、男の視線を奪い取る。思わず涎が出そうになってしまうぐらいに蠱惑的な眺めだ。
「あ、おっぱい見てる♡ えへへ~♡ おっきいでしょ♡ やわらかくて
私の視線を悟り、アスナが口角を上げた。無邪気に歯を見せて笑い、力なく横たえた両手を鷲掴みにする。
掌がぬぶっと沈み、飲み込まれる。色々な意味で
「あっ♡ ん♡ あは……ご主人様に、モミモミされちゃってる♡ うう♡ コーフンするよぉ……♡」
始めはアスナに導かれていたが、極上のふわふわクッションに四回も
ぎゅう、とめいっぱいに肉を掴むと、うっとりした声が上がる。自分の意思が働いてしまったことに、遠く遠く離れた所で小さく、絶望が割れた。劣情を催す自身をまだ信じられずにいると、突如として、ひんやり柔らかいものが股間を包んできた。
「わぁ……♡ すっごい熱だよ?」
"しゅっ しゅっ しゅっ しゅっ"
"にゅこ にゅこ ぬちっ ぬち"
「先っぽのこれ、ネバってしてる……へ~♡」
根元から先端へ搾るような圧力がかかる。指先に付着した先走りが糸を引くのを目で確かめながら、ニコニコとアスナの
「手の中でビクビクしてるね……あ、またトロッとしたのが出てきた……♡」
無自覚なのかもしれないが、感じやすい裏筋に掌が当たり、人差し指と親指で作ったリングがきゅっきゅっと締め付けてくる。力加減が絶妙なことも手伝い、与えられる刺激はどこまでも肉欲を甘やかしてくる。
両手を包む乳房の幸せな温もりは抗い難く、ぷよぷよと弾む弾力とずっしりした重量感は、眠たい体に被さる羽毛布団のようだ。一方、馬乗りのまま巨乳を揉みしだかれるアスナも"はぁ、はぁ"と浅い呼吸を繰り返し、興奮に顔を赤らめていた。
「ご主人様、おっぱいに夢中だねっ♡ ……あっ、いいこと思いついちゃった♡」
アスナがぺろりと舌を出すと、突然両脚を掴まれた。強い力で下半身を引っ張られ、尻がアスナの両腿に乗せられる。
「うーん、サンドイッチかな、ハンバーガーかな、それともホットドッグ? ともかく、挟んじゃおーっと♡」
だぷ……と乳房が持ち上がり、迫ってくる。極上の柔らか肉布団に包まれる感覚を想起して、竿に巻き付く血管が一回り膨張した。胸の大きい女性が好みな私には、見るだけで精神を犯す電子ドラッグのような光景だ。だがそれを味わうだけの猶予もなく――
"どちゅん♡"
「あ……全部隠れちゃったね、えへへ♡」
ワニが獲物を食らうが如く。
「こうやって……おっぱいでごしごし……っと♡」
"たぷんっ たぱん たぱんっ"
「えいっ♡ えいっ♡」
湿っぽい空気の中で、アスナは谷間に汗をかいていた。そこへ先走りのぬかるみが加わって、擦れる音に水音が混ざるまではそうかからなかった。手コキで昂っていたペニスは乳脂肪の牢獄でもがき、反りかえって逃れようとするが、長く深い乳肉にすぐさま囚われてしまう。
"もちゅんっ ぬちゅっ ぱちゅ"
"たぽっ たぽっ たぽっ たぽっ"
カリのくびれ目に柔肉が入り込み、まろやかな触感が竿を擦りあげる。快感に声が漏れ出てしまうのを堪えきれず、それを見たアスナは満足気に口角を上げて、無邪気で淫靡な乳遊びに熱を入れていく。餅のように変形する膨らみの先端で、勃起した乳首がぷるんぷるんと揺れている。その上下動は、催眠術のようだ。心の蓋が緩み、手コキで既に昂っていた陰茎が、カウントダウンを開始する。
「ご主人様……なんだか、ぷく~って、膨らんできたよ?」
「う……も、もうよそう、アスナ。出ちゃう、から……」
「えっ、
「え? あ、うっ……!」
"だぷ だぷ だぷ だぷ"
"たぱんたぱんたぱんたぱん"
持ち上げてから落ちてくる肉の重量が、鼠径部をリズミカルに叩く。みっちり寄せられて狭くなった穴にずぶずぶ挿入する感触と、亀頭を引っこ抜かれるような感触が交互にペニスを襲い、込み上げた焦燥感が熱せられていく。ふっくらもちもちの壁が、カウパーと汗の混じったヌルヌルを纏ってペニスを扱く。そして……弱点に集中砲火を加えられ、我慢することも敵わず限界を迎えてしまった。
「っ……!!」
「あっ……♡」
"ぶぴゅ♡ びゅぶぶ♡"
"とく、とく、とく、とく♡"
「わ♡ わ♡ あつい……♡」
拘束された空間に射精の熱が広がっていく。景気よく放たれる精液は外へ飛び出ることも許されず、全てアスナの乳内に閉じ込められてしまう。肌のぬくもりに包まれたままの吐精には、このまま溶けてしまってもいいと思えるような、圧倒的安心感があった。先生と生徒という現実の関係が頭から抜け落ちてしまうほどに。痙攣して白濁液を垂れ流すペニスの裏側に、アスナの鼓動が伝わってきた気がした。
長いオーガズムが終わり、腰の震えも収まった頃。一戦終えてぐったりと脱力しようとするそれを、アスナはまだ谷間で弄んでいた。鈴口から零れ落ちる雫も、そのまま拭き取られる。ぎゅうっと乳圧がかかって尿道の残り汁を絞り切り、それからひとしきり捏ね回すと……長く深く、びっちり閉じられていた扉が開いていった。
「……こんなに出ちゃうんだ♡ すごいね、糸引いちゃってるよ♡」
アスナの言葉通り、幾筋ものネバついた橋が、左右の乳房を繋いでいる。乳房の根元にべっとりと付着した糊はまるでマーキングだ。アスナは鼻をヒクつかせて上ってくる青臭さを嗅いでは、目を潤ませている。ふしだらな眼差しは「まだ足りない」と貪欲な鈍い輝きをたたえていた。
べとべとの付着した陰茎を手で拭き取り、アスナはそれをぺろぺろ舐め取っていく。指の股を舐めるはしたない仕草を隠そうともしない。一瞬眉をしかめたが、喉を蠕動させると、アスナはニヤリと笑って、また私のペニスに手を伸ばしてきた。
「ご主人様……♡ ふにゃっとしたご主人様も、可愛いね♡」
しなやかな指が絡みついてくる。魔力を纏ったかのような指先が、そよ風みたいに亀頭を撫でていく。射精を終えて硬さを失いつつあったペニスを包み、握手を交わすようにぐにぐにと竿を揉まれる。
アスナが後ろ髪をかきあげると、うなじの辺りから、目には見えない何かが漂ってきた。汗の湿気を帯びた空気が鼻を通り過ぎて、脳がじいんと温まる。フェロモン、だろうか。その空気を吸うと、じりじりする疼きが込み上げてくる。
"ぐぐっ……びき……!"
「あ……かたくなってきた……えへへ♡」
数分前にオーガズムを迎えたばかりだというのに、あっという間に肉塊は反りかえり、アスナの掌を振り払おうとすらしているようだった。唇を妖しく吊り上げ、硬度を取り戻すペニスが、手コキに煽られる。本能が逸る。ぐん、ぐんと持ち上がるそれを見て、アスナは左手で下腹部を擦りだした。
「う、ん……♡ お腹が熱くて、じんじんする……♡ この太くて硬いの、ほしいなぁ……♡」
アスナが身を乗り出す。スカートの裏側で幹の裏側に擦りつけられたのは、じっとりと涎にまみれたアスナのメスだ。潤滑油をたっぷりと塗りこまれ、背徳的なぬくもりが股間を包む。頬をかっと上気させ、発情してトロンとした目が、私を見下ろしてくる。
「あっ……あっ♡ あっ♡ いれ、たい……♡ ね、ご主人様……下のお口で、食べちゃうね♡」
「あ……っ、アスナ、それは……だめ……!」
「あふ、ん……♡ がまん、できないよぉ……♡ い……いただきま~す……♡」
"ぬぷぷ……ずにゅ……♡"
"ぬりゅんっ♡"
「!! ……っ♡♡」
腰が沈み切った。肺の中の空気を全て吐き出すようなじっとり熱い溜息と共に、アスナは男を一呑みにしてしまった。摘ままれたスカートの裾が捲れあがっていたから、結合部が丸見えだ。罪深いことに……てらてら輝く赤みを帯びたピンクの粘膜も、柔軟に広がって男を咥え込む膣口も、裂け目の頂点でフード越しに陰核がぴくぴく痙攣しているのまで、私の目はしっかりと見据えてしまっていた。
姦通を果たしてしまった。
取り繕いようのない現実。
とうとう私は、決定的な禁忌を犯してしまった。良心ががっくりと肩を落とす。その隙間を縫うようにして、亀頭と竿の双方を包み込む咬合の悦楽がどうっと流れ込んできた。アスナの頭上で爛々と輝くピンクに変色したヘイローは、肉欲に溺れた私を見下し、高笑いしている。みじめな気分すら覚えているのに、挿入を果たしたペニスは張り切って頭を持ち上げている。
「あぁ……ご主人様、すごい……♡ 挿れただけなのに、頭、とろけちゃうよ……♡」
ドキドキしているらしい。膣肉の蠢きと、ヘイローの明滅が物語っている。
「ンッ……♡ んぁ、あっ……♡」
飲み込まれたままじっとしている内に、アスナの内壁はオスの形を学習してぴっとりと吸い付き、摩擦係数を最大限に高めていた。ゆっくりと腰を持ち上げられただけで、襞の内側に潜むザラザラに容赦のない責めを受け、声を出してしまった。情けない男の喘ぎを聞いて、とろんと緩んでいた両目がギラつく輝きを取り戻した。
"ばちゅっ ばちゅっ ばちゅっ"
"ぢゅぽ ぶじゅる ぐじゅっ"
結合部で粘つく悲鳴が上がっている。アスナの膣は入口が狭く、出入りする度に竿の根元から圧迫され、尿道を満たす体液が搾り取られていく。優しく包み込む内部を奥へ進むにつれて締め付けが強くなり、複雑に捻じれた膣壁が、最も敏感な亀頭をしゃぶってイジめてくる。細かな粒が裏筋に擦れ、理性を磨り潰す快感に腰が浮いてしまう。
"たんっ たんっ たんっ たんっ"
「あ♡ ごしゅ、じん、さまっ……♡ きもちいい? えへへ、きもちいいよね……♡」
「
アスナの言う通りだった。言い返せない悔しさすら、粘膜の摩擦に溶け込んでしまう。掌を包み込む肉布団は、ピストンの度に縦横無尽。アスナの腰が沈み込み、挿入が深くなると、ずっしりした重みが肘にのしかかってくる。
アスナは私を見下ろし、婀娜な笑みを浮かべて巧みに腰を使っている。目を逸らしたら許さないと言わんばかりに、じっと私の目を覗き込んでいる。虹彩の輪郭がうっすらと桃色に染まり、嬌声と共に目蓋がぴくりぴくりと動いている。
「っあァ……♡ 深いトコにあたるの、きもちいい……♡」
子宮口に亀頭が接触した時はぎゅっと目をつぶり、うっとりと舌なめずりをしていた。心を鷲掴みにするような妖艶さと、絶えずもたらされる蜜壺の締め付け。導火線にはもう火がついていて、爆発までの猶予がアスナの責めでどんどん削り取られていく。
「ね……ご主人様……おっぱい、先っぽもシて……♡」
親指と人差し指を掴み、ぷりんと張った乳首へあてがわれた。外側から押され、コリッとした弾力が指の間で潰れる。瞬間、アスナの肩がビクッと跳ね、仰天した膣がギチギチとペニスを締め上げる。
「う゛っ♡ あく……これ、すっごい、ひびく♡♡ ううぅっ♡ う♡ あ、あ、ああ……ッ♡」
圧搾された拍子に指が力んでしまったが、アスナの体は悦んでいるみたいだった。蛇口のように捻ってあげると、蕩けたよがり声が頭上から降り注ぐ。乳輪の根元から乳首の芯を扱かれ、騎乗位のアスナは狭い膣奥をひくひく震わせて悶えた。全てにおいて圧倒されてばかりだったが、これが反撃の糸口になるか……と思いきや、やはりそうはならなかった。私の首の横に両手をつき、正常位で男が女を責めるみたいにして、アスナが激しく腰を振りだした。
"ぱんっ ぱんっ ぱんっ ぱんっ"
"ぱんっぱんっぱんっぱんっ"
肌の弾け合う音が、間隔を狭めていく。
「はー♡ はー♡ はー♡ はー♡ ごしゅじん、さまぁっ……♡ イッ、イキそ……♡♡ ふっ♡ うぐ、んんん♡ ね、いっしょ♡ いっしょにイこ? アスナ、ごしゅじんさまといっしょにイきたいぃ♡♡」
重たい尻がばすんばすんと打ち付けられる度に、視界がチカチカする。もう射精欲求は我慢できる限界を振り切ってしまっており、どんなに力を込めて堪えても濁流を抑えるのは不可能だ。ロープにしがみつく想いで乳首を握っても、にゅるにゅるトロトロの肉により強く搾られるだけだ。睾丸が持ち上がり、尿道がぶくっと膨れ上がる。トリガーが引かれ、
だが何も隔てていないナマ挿入――
――このまま果てては……!!
頭の片隅で、空しい叫びが霧散した。
「……ッッ!!」
「あッ♡ いっ……♡ いく、イく、っ♡♡ っっ……♡ ッ~~~~~♡♡♡」
どくん。
"ぶびゅるるるるっ♡ どぷ、どぷぷっ♡ どぷっ♡"
"びゅくん♡ びゅん♡ びゅぱっ♡ ごぽっ♡"
オーガズムの炎が神経を焼き尽くす。熱いものが尿道を押し広げる度に、白い光が頭の中で弾ける。濁流のような快感に飲み込まれ、精を放つ以外の何もかもがシャットアウトされていた。
射精の最中にあるペニスが、ちゅうちゅうと膣奥で吸われている。内壁がねじれて竿を扱きあげ、尿道の中に溜まった残滓を一滴残らず搾り取っていく。
弾倉の中身を全て吐き出す勢いでの激しい吐精に、余韻も中々冷めない。噴水が止んでも鈴口はパクパクと蠢き、肉竿は痙攣を繰り返していた。
「……あ~……♡ ごしゅじんさま、の……あつい……♡ すごい、いっぱいだされちゃった……♡」
アスナの唇から涎が一滴垂れ落ちて、顎を濡らした。それを舐め取るついでに唇をまた奪われて……上の口でも下の口でも、互いの体液の交換が行われた。舌を絡めあっている間もアスナは細かく腰を揺すり、交尾の完遂を誇るようにザーメンを貪っていた。射精直後の敏感な剛直はそれに錯乱して、二、三回胴を震わせてまたオス汁を垂れ流した。
「んむ……んちゅ……♡ ぷはっ……はぁ、きもちよかった……♡」
アスナの掻き上げた前髪の根元が、情事の汗で湿っている。眼差しは法悦にうっとりと蕩け、上気した頬から色香がむわっと立ち上る。
――やってしまった。
背中に冷や汗がこみ上げる。
その時だった。
ヘイローが、元の淡い光を取り戻したのだ。
「……あ……っ……!」
「え……嘘、そんな……ッ!!」
瞳孔が一気に収縮して、アスナが青ざめる。
「わ……私、私がやったんだ……これ……」
裂かれたシャツを見下ろすアスナ。
華奢な肩がやにわに震わせだした。
「ど……どうしよう……ご主人様に、乱暴しちゃった……」
「すまない、アスナ、私は――」
「ああああああっ!! ああぁぁぁぁぁあぁあぁぁ……!!」
悲痛な叫び声をあげると、アスナは糸が切れたように、がっくりと項垂れてしまった。目から光が失われ、だらんと力なく倒れこんでくる。その肩へ、咄嗟に手を伸ばした。
「うぅ、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……!!」
今までに見たことが無いほどに、一之瀬アスナは取り乱していた。力づくで組み伏せられ、年下の異性に犯された屈辱や衝撃よりも、全身に走る痛みよりも……その痛々しい姿こそが、ただただ辛かった。
「アスナ、大丈夫。大丈夫だよ」
「ごめ゛んなざい……ごしゅじんざま゛ぁ……」
アスナの股からはドロドロの混合物が垂れ落ちてくる。
顎を伝う涙は、ひたすらに塩辛かった。
* * * * *
「……落ち着いたかい、アスナ」
「…………うん……ぐすっ」
自分で服を直せないぐらいに茫然自失としてしまったアスナの体を拭いてやり、手伝って身だしなみを整えさせた。冷たい水を少しずつ口に含ませてあげると、ようやくアスナは徐々に落ち着きを取り戻した。
「……シャツ、破いちゃったね」
「ほつれてたから、却ってちょうどよかったよ」
「でも……うぅ……」
「ほら、もう泣かないで。綺麗な顔がぐしゃぐしゃじゃないか」
ティッシュを優しく添えて、涙を拭う。精巧に作られた人形みたいに整った顔立ちは、まだくすんでいる。しかし、掌でそっと頬を包んであげると、照れくさそうにアスナははにかんでくれた。
「あの……ご主人様は、大丈夫なの?」
「ああ、私は何とも……。でもアスナ、何だか尋常じゃない様子だったけど、何があったんだい」
手首に残った赤痣がアスナはどうしても気になるらしく、ちらちらと視線が泳いだ。しかし、私の問いかけにはきちんと応じてくれた。上半身だけTシャツとジャージに着替えさせてもらい(一応、アスナには後ろを向いていてもらった)、事の次第に耳を傾ける。
「あのね……あの匂いが頭の中にぽわーって入ってきて……そうしたら、いきなり体がカーーーーッて熱くなったの。それで、ご主人様の姿を見てたら、何も考えられなくなっちゃって……ごめんね、そこから後は、なんか、途切れ途切れなんだ……」
自分の身に起こったことを説明しつつ、アスナは自分の言葉に戸惑っていた。私も似たような気分ではあった。シャーレに上がってきた書類には様々な出来事が記されているが、催涙ガスを撒き散らす騒動の話はあっても、今回のように奇怪な事例は無い。アスナの変化がスッと治まってしまったのも謎めいている。
「今はもう、何ともない?」
「うん……怖いぐらいに、頭がスッキリしてる……」
「……ちょっと、アスナの今の状態を調べておきたいな。医務室に行って、診てもらおうか……」
「あの、血を採るヤツ、するの?」
「ミレニアムの検査機器は痛くないけど、注射とかは苦手?」
「ううん、ご主人様が言うなら、ちゃんとやるね」
言葉のやりとりを続けている内に、アスナの声色には張りが戻ってきた。医務室に向かうエレベーターの中で外の景色を眺める顔つきには、いつもの不敵な余裕すら感じられたぐらいだった。ほっと胸を撫でおろすばかりだ。だが、このまま安心してはいられない。血液検査をしたぐらいで解決への糸口が見つかればいいのだが。
「アスナ、一つ約束。今日あったことは口外しないこと。いいね?」
「うん、オッケー……! ……あはっ、えへへ……」
「えっと、本当に言っちゃダメだからね?」
「大丈夫、そこは心配しないでいいよ! ……へへ~♪」
エレベーターの扉が開くなり、アスナが先に外へ出た。軽快な足取りでニコニコしていたが、私はその笑顔に、不穏な胸騒ぎを覚えずにはいられなかった。
Case 02へ続く