彼らはとある権力者からノスフェラート一家の暗殺を依頼され、かなり長期の仕事になると踏んだ当主は息子一人、娘一人と多数の執事を連れてロンドンに引っ越してくる。
やがて彼らはノスフェラート一家を暗殺していくに連れてとある一家とも親交を深める事になる。彼らは金融事業財団法人バートン家と呼ばれる歴史の表舞台にて活躍する一家である。
華麗なる一族と華麗なる暗殺一家。
歴史の糸は彼らを導くように繋がる。
これは、華麗なる暗殺一家が織りなす色と欲望と歴史の闇の物語である。
とあるロンドンの郊外にある酒場にてノスフェラート一家の者達が酒をしこたま飲んで家路につく光景があった。
彼らは非常に酔っ払っており、声も下品この上ない程に大声で大笑いしながら真夜中の路地を歩く。
「今夜も飲んだな~! よう! 次の酒もはしごしないか!?」
「いいっすね~。今夜も何事も起きそうに無いし、ジョーさんが入れば安心できますよ〜!」
所構わず騒ぎまくるマフィアの男達。
彼らはノスフェラート一家と呼ばれるマフィアの連中で、今宵、酒を飲み歩きしているのは幹部クラスの人間のジョーとその部下達だ。
そこに真正面から謎の紳士が何気なく彼らとすれ違う。
すると突然、ジョーが道路に倒れてしまった。
いつの間にか、血を吐いて白目を剥いて泡を吹いて絶命している。
「ジョーさん……!? 一体、どうしたんだ!? ジョーさん! ジョー!」
周囲のノスフェラート一家の下っ端達は何が起きたのか判らない。
もしかして銃弾にでも撃たれたのか?
……いや、拳銃の発砲音など聴こえなかった。
では酒場の酒に毒薬でも仕掛けられていたのか?
だったら同じ酒を飲んだ俺達も倒れている筈だ。
──一体、何が起きたんだ?
ノスフェラート一家の下っ端達が騒ぎ出す頃合いに500メートル程、離れた路地に一台の車が止まっていた。
その車の後部座席に迷いなく乗車するとある男性がいた。
灰銀色の短髪の青い瞳のなかなか渋いナイスミドルな男性は運転手の男に声をかけられる。
「お疲れ様でした、エリオット様」
「その様子だと暗殺は成功した様子ですね」
「まあな。ここから去るぞ、騒ぎが大きくなる前に、屋敷へ帰ろう」
「また、暗殺方法は手刀一撃ですか?」
「ああ、喰らえば一撃で仕留める手刀で殺らせて貰ったよ」
車はロンドンの閑静な住宅街へ入っていく。
真夜中の町並みは静かで、夜空には黄金色の三日月が浮かぶ。
車内でエリオットは聞いた。
「今夜の私の相手はもう来ているのか?」
「ええ。何でも初めての商売らしいです。優しくしてあげてくださいよ」
「それは相手の態度によるよ。挨拶もできない女とはいくら美女でもやりたくは無いかな……」
灰銀色の髪の毛の男性は車窓を眺めながら適当に流した。
「フェネクス。エルとケイトは?」
「流石にもう寝ていると思います。もう、真夜中の一時を回っているのですよ」
「もう、そんな時間か?」
「ご相手様には既にベッドルームにてお待ち頂いております」
15分程、車が走ると彼らの屋敷へと到着する。
真夜中というのに出迎えの執事達がきちんと律儀に待っていてくれていた。
「お疲れ様です」
「ああ、君達も御苦労だな」
傍らの執事に黒のコートを預ける。
下に着ていたスーツのワイシャツの襟を寛げると、今夜の愛欲の相手をするべく、階段を上がり当主の寝室に向かうエリオット。
ドアを開けると非常に薄着になっているイブニングドレスの女性が待っていた。
まだ若い女性はベッドの脇の椅子に座り、今宵の客を待っていた。
「おかえりなさいませ」
「待ったかな?」
「そんなには」
照れ笑いする若い女性は今宵の客が大層なセレブである事に意識して上品に対応する。
エリオットは徐ろにベッドに腰を下ろすと、今宵の相手に誘惑的に迫った。
「そんな所にいないで、私の胸に飛び込んできたらどうかな?」
その誘いに女性は乗ると、ゆっくりと唇を重ね始める。徐々に激しく唇を貪られるといつの間にかイブニングドレスが肩から下ろされて上半身裸になってしまっていた。
彼の手のひらが感触を確かめるように細い腰回りを撫で、背中も愛撫する。
ベッドに倒れる二人は己の肌を晒し始める。
息を乱す女性は魅惑的な口づけを交わして、それが段々と様々な場所にキスの雨となって降り注ぐ。
「はあっ…はあっ…エリオット様ぁ」
「ンンっ」
またキスを交わした。
舌を弄び唾液を交歓する。
彼女の手は彼の隆起した欲望を触り、丁寧に愛撫して煽るのをやめない。
「欲しいかい? 逞しい私の息子を」
「来て……ください」
大股を開き誘惑する娼婦の花びらからは愛の蜜が零れている。
彼がそれを見せると対面座位の形で繋がる二人はお互いに体を揺らしながら愛欲に溺れていく。
「アアッ! あんッ、いいッ」
「エリオット様のが深く入っている……っ」
彼も誘惑的な眼差しで女性を責め立てた。
そして彼も興奮が高まる中、徐々に段階的に高まる興奮と愛の塊が今にも解き放たれようとしていた。
「来るぞ……いっぱい流すよ……っ」
「エリオット様ぁ──っ!」
激しい絶頂を味わい全身に彼の愛を浴びる娼婦の女性──。
彼も恍惚とした顔でその快楽を味わい、気が遠くなり、眠くなってきた……。
この物語は、伝説の暗殺一家、ゾディアック家の愛と欲望と策謀の物語である。