※この作品はR-18です。

華麗なる暗殺一家   作:翔田美琴

13 / 16
13話 暗殺者一家の目的

 バートン家の屋敷の応接間に今、裏社会にて伝説の一家と喩えられている暗殺者一家の当主がその姿を、表の世界の住人である彼らに見せている。

 灰銀色の短髪、乳白色の肌、丹精に整えられた口髭、そして深い青色の瞳を持つ、漆黒のスーツを纏う、独特の貫禄を持つ男性。

 纏う空気は彼としては軽くしているつもりでも漂う重厚感は隠しきれない。独特の貫禄を感じさせる。

 唇は穏やかに微笑み、優雅すら感じる。しかし放たれる空気は何処からでも襲われても絶対に生き延びてやる気迫みたいなものもあった。

 一目では資産家の当主という文言が似合う。しかし伝説の暗殺者一家の当主と言われると、頷いてしまう説得力もある。それはけして表の世界で活動している人々では出し得ない空気が静かに物語っている。

 バートン3姉妹の女性達も、目の前の紳士がとても殺しを生業にしているとは思えない。それほどまでに血の匂いを感じさせない隠遁術は見事なものである。

 そういえば、ジョニーは最近、新しい友達ができたと喜んでいたが、その子はこの灰銀色の短髪の紳士の息子という。あの少年もあの年齢で暗殺に関わっているのだろうか?

 明るく振る舞ってはいるが、どこか切なげに物思いに耽っている事もあるとジョニーは話していた。

 その紳士は今、バートン家の当主、レンブラントとにこやかに語り合っていた。

 

「息子のエルからあなたの一家の話を色々聞いているよ。ジョニーとアリシアって女の子と学院で一緒にいる事が多いって」

「ジョニーも私に新しい友達ができたと嬉しそうに話してくれているよ。まさかあなたの息子さんとはね」

「ゾディアック家の事をご存知と伺っているが、何処まで知っておられるので?」

「私の祖父、エリアス・バートンの代から噂程度には聞き及んでいました。祖父は確か、こう言ってました」

 

『ラファエルとは持ちつ持たれつの関係だ。彼らは殺しに関しては絶大な信頼をおける。お前達もいずれ直に会う時が来るだろう。その時は歓迎をしてやれ』

 

「歓迎……ですか」

「蛇の道は蛇の要領で、私達バートン家にも通じるものがある。時にはそういう者達の事を知るのも一つの勉強と」

「……で、実際にその目で観た感想は?」

 

 エリオットはまるで茶化すような軽い感じで聞いてみる。

 何気なく腕を組んで、脚もさり気なく組む。

 レンブラントは一息置いて、感想を述べた。

 

「上手く溶け込んでいるよね。とても裏の道を生きる者とは思えない。だけど、放たれる空気は張り詰めているから、殺しに関わる人間がいたら気配で気付くかもだね……」

「表の世界の者達にも同業者みたいな者がいると?」

「今夜のパーティーにも来ているはずだよ。その男は元アメリカ海兵隊の隊員だったけどね」

 

 その彼はアリスに連れられ応接間に向かっている。この二人は今や夫婦でもあるので、バートン家とも親戚みたいな関係になっている。

 

「アリス。今夜のパーティーに何処かの大物が来ているんだって?」

「ええ。しかもお父様にそっくりなダンディな方なの。どうしよう〜、お父様並にいい男だったら、ノロケてしまうかも〜」

「おいおい……そいつはレンブラント並にいい男って事はレンブラント並に危険な男でもあるぜ。抜き身のナイフが二人いるっていうのは俺としては安心できないな……」

 

 そうして、レンブラントが話した彼が応接間へと入ってくる。

 

「入るぞ、レンブラント……。……ん?」

 

 見かけない銀髪の男性の背中が見えると同時にジョンは少し身構えてしまう。

 向こうには殺気は感じないが、暗殺者の殺気はその瞬間にしか出さない。

 警戒はしておく方が得策と彼は踏んだ。

 その銀髪の漆黒のスーツの男性は深い青色の瞳をジョンに向けると一目でジョンが何者かを見抜いた。

 

「君は……パーシバル・ヴィンセントだな」

「……やはり、伝説の一家の人間か」

「パーシバル・ヴィンセント。指折りの射撃の名手にして、裏の業界でも噂になる名うての殺し屋。バートン財団もなかなかの人材を用意しているね」

「レンブラント。まさか俺を呼んだのは、この男がここにいるからなのか?」

「とりあえず知り合いなのだろう? 今は彼も事には及ばないよ。敵意を感じないからね」

「……確かに敵意は感じないな」

「こちらも今は客人としてお邪魔しているからね。でも始末して欲しい者がいるなら特別価格で承っていいぞ」

「意外と商魂がたくましいな」

「そうでないとこの仕事は成り立たないのでね」

 

 エリオットは肩を竦ませて、皮肉を込めて呟く。彼らの談笑にジョンも加わり、酒を飲みながら、表の世界に来た理由をレンブラントは聞いた。

 

「で、このタイミングで我々の世界へ来た理由は何か聞かせてくれないかな。何か目的があるから来たはず」

「……とあるアンティークを探しているんだ」

「骨董品(アンティーク)?」

「とある刀鍛冶が制作した暗殺者用のナイフ。名前はレンズナイフ。そのシリアルナンバー13番の品物を探している」

 

 グラスに注がれたウイスキーを飲みながら、エリオットは表の世界に来た理由を話し始めた……。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。