※この作品はR-18です。

華麗なる暗殺一家   作:翔田美琴

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15話 無銘のナイフを探せ

 顧問弁護士、ルーファス・ウォルターがバートン財団の本社ビルに久しぶりに姿を現した。この頃の彼は押しも押されもせぬ敏腕弁護士として知られており、相も変わらぬ忙しい日々を送っている。

 その彼は実は骨董品(アンティーク)に関する知識もかなりのものを持っている。彼自身が骨董品(アンティーク)好きでもあるし、ネットオークションサイトなども閲覧している。

 本日は少し息抜きを兼ねてバートン財団本社に姿を現した。今は喫煙スペースにて煙草を嗜んでいるはずだ。2030年ともなるといわゆる煙草というものは電子タバコになっているが、ルーファスは従来の煙草に拘っていた。

 そんな彼に会いに、レンブラント・バートンも本社ビルへ久しぶりに通勤する。今のレンブラントの立場はバートン財団会長として理事会などで活躍の場を移した。代表取締役社長はレイス・バートンに正式に授与される事になっている。

 

「ルーファス、久しぶりだな」

「よう、レンブラント。この間、レイスの代表取締役社長就任前夜のパーティーを開いたんだって?」

「ああ。ようやく後継者にこのバートン財団を引き継ぐ事が出来そうだ」

「そのパーティーに裏の社長の大物が来たんだって?」

「そうなんだ。あのゾディアック家の当主だよ」

「超が付く大物だな」

「ルーファス、そのゾディアック家の人物から珍しい物の話を聞いた。レンズナイフと言うが聞いた事はあるか?」

「レンズナイフ……。耳にした事は無いかな。そのレンズナイフがどうした?」

「ゾディアック家の当主がそれを捜しに来ているらしい。このイギリスにな」

「へぇ〜……単にレンズナイフ捜しに来た訳でもなさそうだな……」

「恐らくは標的もこの国にいるのだろう。去り際に彼はこう言って警告していた。『この所、マフィア共の動きがやかましい。バートン財団も気を付けた方がいい』と」

 

 二人は窓際の喫煙スペースにてソファに座りながら軽く煙草を嗜んだ。

 白い煙がゆっくりと部屋を漂う。

 ルーファスは彼にレンズナイフの所在をどこのオークションサイトで検索をかけたのかを聞いた。

 

「とりあえずどこに検索をかけた?」

「メジャーなサイトはほぼ」

「捜し物の特徴は?」

「無銘の刀鍛冶が制作したという暗殺者用のナイフで、シリアルナンバー13番の品物を捜しているとか」

「制作された年代がわかればだいぶ探しやすいんだが……」

「年代としては16世紀から17世紀頭頃の物らしいがね……刃の形が特徴的だと説明された」

「ふむ。そうなると普通の骨董品(アンティーク)を扱う市場よりも刀剣マニアがよく観る市場を当たる方が早いかもな」

「暗殺者用のナイフだからか?」

「後は『刃の形が特徴的』も刀剣マニアには受けがいい。しかも毒を仕込まれたナイフなら、刀剣マニアなら魅力的な品物だな」

「……しかし、刃の特徴的なナイフもかなりありそうだな」

「シリアルナンバー13番も目印になりそうではあるな」

「そういうサイト、ルーファスは知っているのか?」

「そこは検索をかけるしかないだろう。私は刀剣にはあまり詳しくないのでね」

「ただ、無銘の刀鍛冶という情報は大きい。極稀にそういうものが発掘されて話題になる事もある。無名の画家が贋作を本物以上に再現した事で死後に売れた話は有名だよ」

「こちらでも検索をかけるがルーファスも協力の頼めないかな?」

「……たまには刀剣を捜してみるのも暇つぶしには良いか」

 

 煙草を数本、吸い終わると手持ちの灰皿に煙草を収める。そしてルーファスはその無銘のナイフを探す事を了承して、そして仕事が二つ程、片付いた事も話す。

 

「ああ、そう言えば、頼まれた案件の二つは片付いたぞ。こちらの勝訴だった。裁判沙汰はエネルギーをやたらと使うから、そろそろキツくなって来たな」

「仕方ないだろう。最近、裁判に及ぶ輩が実に多い。企業側の責任にしようと躍起になっている輩が多いからな。そろそろ後釜を用意する事も検討するよ」

「後釜ね……私並に腕の立つ弁護士を捜すのは骨董品(アンティーク)を捜すよりも大変かもな」

「じゃあ……生涯現役を続けるのか?」

「できるならね」

 

 ルーファスはニヤリと笑い、喫煙スペースから出ていく。

 レンブラントはまだ煙草を咥え、白い煙を目で追いながら彼の後釜となる弁護士について、誰に相談するかを考えていた。

 そして、決断としてとある名前を挙げた。

 

「こりゃあ、リアン・ウォルターに当たるのが話としては早そうだな」

 

 ルーファスはバートン財団本社ビルから去ると手近のネットカフェを見つけて、その無銘のナイフを刀剣オークションサイトにて検索してみる事にした。

 

(特徴的な刃の、制作時期が16世紀から17世紀初頭のナイフ……。そんな物が本当にあるのかね……。レンズナイフという名前だっけ)

 

 様々な刀剣が扱われているとあるネットオークションサイト。

 何気なくコーヒーを飲みながら、検索を続けると、その条件に合致するナイフが画面に表示された。

 恐ろしいまでに特徴的なナイフだ。異常な程に刺々しいデザインに、斬れ味も良さそうだ。制作時期も同じだ。

 概要を見ると16世紀末に活動していたという無銘の刀鍛冶で、主に暗殺者用の武器を鍛造していたとされる刀鍛冶の作ったナイフと説明がされている。

 

(これか?)

 

 値段とシリアルナンバーを確認する。

 

(値段は……5億ドル?! シリアルナンバーは……22番か)

 

 レンブラントが捜す実物ではないが、そこの概要には確かにこの文字があった。英語表記で【レンズナイフ】と……。

 

 ルーファスは手帳にサイトのURLと名前と概要を書き込み、実家にて、この品物の詳しい情報をこのサイトの管理者に聞き込みしてみる事にした。

 後はリアン・ウォルターにも聞いてみる事にした。彼なら物識り博士みたいなところがあるからこういう物の調査もやってくれるかもと考えた。

 ネットカフェから去る。まだ15時、リアンならこの時間はまだ仕事はしているな……。その足でリアン・ウォルターの事務所へと向かった。

 レンズナイフの一つの手掛かりを得る為に。

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