SGO/スローターゲイル・オンライン-情報非対称性のモラルハザード- 作:BaSH.sh
───AM 06:42───
「ねぇ、おきて……?」
「ん……?うん?あぁ……おはよ」
長考していたら眠っていたらしい。
人間が眠れるのは安心できる場所だ。
つまり、私が眠れるのは雪姫の隣だけなのだ。
「お兄ちゃん、おはよ」
「雪姫、起こしてくれてありがとう」
「ううん、いいよ」
「──────だって、お兄ちゃんだから──────」
「雪姫……!!愛してる、誰よりも愛してるよ──────」
二人を別つモノなど存在せず、その存在は許されない。
鼓動する。
脈動が止まりかける。
止まるような感覚。
どうか、君と永劫を過ごしたい。
雪が凍ってしまっても私が融かしたい。
決してあるはずのない停止と超越が反逆として練り上げられる。
そして私は反逆という剣を手にしてしまうのだ。
「お兄ちゃん、いつもありがとう」
「こちらこそだよ、いつもありが──────」
「あれ?」
「雪姫ッ!!どうし──────」
「──────おかしいの……まだ、ゲームが」
雪姫の瞳から光が消える。
現実は残酷だった。
けれども、それよりも嫌な予感がしていた。
クリアしたハズのSGOはサーバのデータごと消されたハズだった。
だが、噂では何処かでゲームの焼き増しがあったと聞いた。
フリーズしたように応答の無い雪姫を独りになんてさせない。
私は直ぐに雪姫の自宅へ向かった。
陶器のように目を見開いた雪姫を抱きかかえて私は自宅へ帰った。
私は自らのベッドへ雪姫を運んだ。
堪らず布団をかけて抱きしめる。
PCに入れてある匿名チャットツールに一通の通知が届く。
「──────大変だ、まだSGOは終わってなかった──────」
そう、これは旧世界を模した新世界が出来上がっていたということなのだ。
そして、俺はボイスチャットに入る。
何の為なのか判り切ったことだ。
既に人が何人かいるみたいだ。
「さて、みんな……言いたいことは山ほどあるだろう」
「そりゃあ勿論、そうだろ常考」
「では、結論を先に言う」
「──────SGOは、まだ終わってない──────」
「何者かがSGOの焼き増しを作って繰り返そうとしているんだ、さっき俺の妹が巻き込まれた」
「わかった、俺のツテの医師を貸してやる。だから、存分に暴れてこい。」
電話を掛ける音、緊急外来に交渉する声が聞こえ始めた。
次に口を開くのは、大群に潜む名無しの男だった。
名も答えぬ独りの男は言う。
それが何故なのか。
「俺の妹は、あのゲームのせいで死んだ。救えるなら……お前が救え。」
「あぁ、やってやるさ……!!」
18歳になった私は何になったのか。
私はホワイトハッカーになった。
SGOを憎んでいるからだ。
警察や自衛隊からSGOの帰還者として協力を申し出があったのだ。
救急車のサイレンが聞こえる。
やがて、雪姫は運ばれた。
俺たちは再び戦いが始まってしまったのだ。
SGOは終わってなどいなかった、というのも主人公の新しい成長が見れるでしょう。