FIRST DAY 18:00~24:00
23世紀、巨大宇宙コロニーが大阪湾沖に墜落。
本来ならば地表にクレーターを築いたであろうそれは、魔力と呼ばれる異世界のエネルギーによって軟着陸し。
傾きつつも地上に突き立った形で安定した。
今や、それは堕天特区と呼ばれる超国家領域。
魔力の発現によって出現した神々と妖精の跋扈する地。
各種企業が魔力を利用し。
神々の教団がひしめいて。
犯罪組織がしのぎを削る。
暴力と欲望に満ちた、最先端の科学と魔術が共存する場所。
それが堕天特区なのだ。
傾いたコロニーの北側は日中でもほとんど陽が当たらない。昼なお暗いだけに、治安も悪く凶暴な妖精も現れやすい。
当初こそ企業も開発したが、今では事実上の廃棄区画。
無数の廃墟とバラックが並び。
空を見上げればくすんだ金属板と、鍾乳石じみた逆さ建造物が見えるのみ。
インフラも動力もろくにない、企業からも神々からも見捨てられた場所。
それでも、住人は無数にいる。
賞金首、債務者、逃亡奴隷、孤児。
居場所をなくした連中が、世界中から集まってくる。
銃声と怒声の絶えぬこの区画で、生き残れる者は決して多くないのだが……。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ショーケース通りは、宵闇区では広い道だ。
人が三人……詰めれば四人でも並んで通れる。
もう日は暮れつつあるが、近くにある港の明かりのおかげでここは比較的明るい。
ここにはいつでも、体を売ろうとする男女が立ち並ぶ。
日暮れのこの時間帯は特に多く、まさに選り取り見取りだ。
それゆえの
他に稼ぐ手段を持たない連中、体でも稼げる連中が集まる路地。
客は海賊や密輸に関わる連中、そして時には金を掴んだ貧乏人。
街娼も客も、およそろくでもない連中ばかり。
ここではカネがなくても、物々交換で相手を買える。
そしてホテルなどない。
近くの路地や物陰、さらには通りでそのまま行為に至る。
そこかしこから嬌声や悲鳴、罵声が響き……一帯が野蛮な性臭で満ちている。
「っ、相変わらずイヤな場所……」
エンドロールは廃墟の上から、通りを見下ろしている。
逆光となるその場所は、通りからはまず見えない。
媚薬まみれの肢体が人目につかぬよう、廃墟やバラックの屋根を跳び移ってきたのだ。
鍛えられた肉体に加え、助走なしで5メートル超の幅跳びを可能とする
「はぁ……っ♥ しょうがないとはいえ、媚薬まみれで来る場所じゃないでしょ……っ♥」
淫魔の媚薬母乳は乾燥し始めてもなお甘いフェロモン臭を放ち、グリースを塗ったように肌を淫らに輝かせる。
そのままショーケース通りに行けば、ろくでもない連中に押し倒されて輪姦されるのが関の山だ。
シャワーを浴びたいところだが、宵闇区で“信用できる”入浴施設は限られるし安くもない。
「それにしても、シャワーくらい、使わせなさいよ……っ♥ ふっ♥ くぅっ♥」
上気した顔に、潤んだ目で路地を見張りつつも……手は股間に伸びていた。
子宮を満たし、直腸にも塗りつけられた媚薬精液。
跳躍して体を激しく動かせば、その効果はなお強まる。
指の動きも自ずと激しくなり、さんざん犯された膣穴のみならず菊座までまさぐってしまう。
「はぁっ♥ はぁっ♥ っ♥ ふっ♥」
最初こそ下腹部を押し、胎内の精液を押し出していたのだが。
塊で溢れ出した媚薬精液がクリトリスを舐めるように流れると……もう我慢できなかった。
「よりによって、ココに、入りびたりとか……本当に最低っ♥ ……っあっ♥」
エンドロール自身、“恩人”の命令でここで客を取らされた経験がある。
媚薬で蕩けた脳裏には、その時の乱暴な客たちの記憶がフラッシュバックする。
八つ当たり気味に言いながらも、股間に手が伸びてしまう。
「相変わらず、ろくな連中が来てない……っ♥」
眼下で、みすぼらしい浮浪児の少女が、乱暴な男に眼をつけられていた。
ここでは、肉体的にも精神的にも“弱い”街娼ほど人気だ。
無理矢理犯す興奮を味わえるし……事後に動く気力を失わせれば、代金を支払わずに立ち去ることだってできる。
ここはただ勝手に身売りが集まる場所。
ルールだのレートだのといった決まりはなく。
街娼も客も、誰も守りはしない。
エンドロールがここで客をとった時も、似たような連中にさんざん犯された上に……目覚めれば代金などなく、精液まみれの体をさらに浮浪児たちに輪姦されていたのだ。
売春でも何でもない、事実上の輪姦。
あの一晩だけで何本の肉棒を咥え込まされたか、精液を注がれたか、数えきれないし……数える気にもならない。
「っ♥ ふぅ♥ くぅぅ♥ なんで、あんな嫌な記憶でぇ……♥」
個々の相手すら思い出せない、穴という穴に欲望をぶつけられただけの記憶。
なのに媚薬漬けになった両穴が、その記憶をたどるように指を物欲しそうに吸うのがわかってしまう。口さえも、物欲しげに舌なめずりしてしまうのだ。
男に引きずられ、すぐ脇の路地に連れ込まれる少女に……羨望すら抱きかけている。
エンドロールは、そんな自分自身が許せない。
「~~~♥♥♥♥」
自己嫌悪に苛まれながら、首に巻いたマフラーを噛みしめ声を殺して絶頂する。
子宮に溜めこまれた媚薬精液が、膣を通って射精するように噴き出した。
「~っ♥ ふーっ♥ ふーっ♥ ~~~~♥♥」
男にのしかかられ、犯される少女の姿に己を重ねながら。
夢中で指を使う。
ファンタズマゴリアの顔が、言葉が、浮かぶ。
『ねぇ、本当は私といっしょで気持ちいいコト大好きなんでしょ?』
『正直になりなさいよぉ♥ エンドロールちゃんって、淫乱の変態よねぇ?』
否定したいのに。
指は止まらず、かつての己が守るべき少女の悲鳴を聞きながらまた、気を遣ってしまう。
「~~っ♥」
ファンタズマゴリアのように。
サキュバスのように。
己の快楽を追及する生き方に憧れる己がいることを……否定できない。
懊悩し煩悶しながらも、エンドロールはさらに激しく指を使い始めるのだった……。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
狭く暗い路地に連れ込まれた少女は、乱暴に犯された。
合意の売春ではない、ただの凌辱だ。
処女なら高く売れるという知識だけで、初めて通りに立った身だった。
宵闇区でも食料こそ、チューブ入り
彼女も孤児グループ内では年長の身。
少女はカネが欲しかった。
だが。
「ハッ、本土でサツの手が回った時は焦ったが、こんなガキの初モノを喰えるなら来て正解だったなぁ。オラッ、しっかりしゃぶれよ!」
逃走生活で溜まっていた精液を、未開通だった少女の中にさんざん注ぎ込み。
何の反応も示さなくなった動かなくなった彼女の口へ、肉棒をねじ込んで喉を犯していた。
「チッ、堕天特区と言やバケモノ揃いだとか聞いたんだが……ガキはガキか。まだまだヤリ足りねぇ」
目を覚まさない少女に業を煮やし、舌打ちと共にその体を放り出した。
意識を失っていた彼女の頭が、瓦礫まみれの地面に打ち付けられ血が流れる。
男はそんな姿を一瞥すらしない。
通りに戻って次の獲物を物色すべく、立ち上がる。
と。
「おっ?」
男が立ち上がり、ふらつく。
一瞬遅れてごとんと音がし。
「あ――」
蛇のような何かが目の端に見えたと思うと、体が倒れた。
喧嘩慣れした体が、受身もまともに取れない。
転がるように路地で倒れると。
同時に傍で、どさりと音がする。
「ぐっ、なんだ、どうなって……は?」
横を見れば、腕と脚が一本ずつ転がっていた。
本土からの逃亡の命綱だった
特殊合金の義肢が、一瞬で切り落とされたのだ。
「ふーん、生身じゃなかったんだ。腕と脚を先に斬って正解ねぇ」
男の足元の方から、女の声。
エンドロールだ。
頭上から急襲し、
念入りに単分子化された刃が、サイバーアームの怪力で振るわれれば、特殊合金もバターに等しい。
熟練の暗殺者たるエンドロールの刃はまず男の腕を切り落とし、地面に突き立つ寸前で引き戻され……男の脚をも切断していた。
「っく、何者だテメェ!」
相手すらわからない中、男は必死の虚勢を張り。
急いで腰のハンドガンを抜き構える。
片腕と片脚を失い、転がった以上は格闘術など役に立たないと踏んだのだ。
その判断は適切だが……暴力は所詮、より強い暴力で押しつぶされる運命にある。
強者は、格下に対して残酷なまでに強い。
「安心してよ。本土から来たんなら聞きたいこともあるし……殺さないから」
ずむ、とエンドロールのサイバーレッグが男の股間を蹴った。
同時に脚へ仕込んだ
「ぎ――」
生身の睾丸を破壊された苦痛を味わうより早く。
高圧電流によって、男は気絶した。
標的本人でなくとも、関係者なら……聞き出したいことはいくらでもある。
まだ、殺すべきではない。
「ま、聞きたいことを聞くまでの命だけど」
肩をすくめながら、残った腕と脚も切断し。
凌辱された少女を起こして、出血した後頭部に止血ジェルを塗ってやる。
同情だけではない。
彼女にも次の作業の手伝いを頼むためだ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
それは、宵闇区では珍しくもない廃工場の中。
「なんだ……俺は……ここは……いでぇ……クソ……っ!」
目覚めた男は、サイバー化した四肢を失い全裸で鎖に縛られ吊るされていた。
「あっ、目を覚ましたみたいねぇ」
「…………」
外から漏れるわずかな明かりが、二つの影を逆光で示す。
一人は男の手足を奪ったエンドロール。
もう一つは背が低く、無言のまま。
文字通り手も足も出ない状況では、強気の言葉に何の意味もない。
男とて、本土ではそれなりに裏で荒事に関わっていた身なのだ。裏社会での立ち回りはそれなりにわきまえている。
「ま、待て、さっきのガキの身内か? カネなら払う! 手持ちで足りなきゃ――」
「ちがうちがう、ちょっとしたインタビューがしたいのよ。本土から来たんでしょ?」
「な、なんだ? だったらなんだってんだよ……」
男の声に震えが混じる。
本土からの追っ手か、あるいは警察の依頼を受けたかと怯えたのだ。
「アンタの手引きをしたヤツの居場所、知ってるんでしょ? 本土の犯罪者相手に新手のブローカーで派手に動いてるヤツよ。このへんにいて……さっきの通りにも出入りしてるはずなんだけど?」
「は……? ま、待てよ。わかるだろ、俺だってヤツの世話になってんだ。今も荷物はほとんどヤツの用意した宿に置いてる。俺の宿なら教えるから、それで――」
わずかな安堵と共に、別の焦りが生まれる。
男は堕天特区には何のツテもない。いわばブローカーが唯一の後ろ盾。
それなりのカネを持って逃げてきたが、コネクションはブローカーを介して作るしかないのだ。
ブローカーを裏切れば、この新天地でカネを失うよりまずい事態になる。何の信用もないまま、裏切者のレッテルを背負っては居場所など作れはすまい。
「そんなこと言われてもね……あ、そいつが持ってた銃とナイフはあげるわ。殺さなかったら何してもいいわよ。殺しちゃったら、銃もナイフも没収するからねー」
肩をすくめたエンドロールが、傍らの影に言った。
「…………」
小さな影が無言で近づいてくる。
暗がりに慣れた男の目に、それがさっきさんざん犯した少女だとわかった。
「ま、待てよ! お前だって気持ちよかっただろ? 後ろも体験できてよかったじゃねぇか!」
「…………」
容赦なくナイフが振るわれる。
浮浪児たちにとって、銃弾の入手は難しい。
こんなときでも、貧しい彼女はたくましく合理的に――復讐する。
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「思ったより粘ってくれたわね……え? ああ、殺していいわよ」
「待て! はなしが違――」
「…………」
妖精や魔術対策に、刀剣類が再び注目される時代。
今や刃は血や脂では、切れ味を損なわない。
特に
さんざん肉を抉り血塗れになったナイフだが、男の喉を一閃するだけで深々と掻き切っていた。
「本土の連中はいい武器使ってるのねぇ。その銃もこのへんの裏量産品よりかなり上物だから、見せびらかさない方がいいわよ」
「…………」
少女はこくんと、無言で頷いた。
「ちゃんと聞きだすまで殺さなかったし、財布の半分はあげるわ。しっかり腕を磨けば、アナタもハンターとしてもやっていけるようになるわよ」
10クレジット(1クレジットは約1万円)入っていたサイフから5クレジットだけ抜き取って、少女に投げ渡す。
エンドロールは死体と少女を残し、廃墟を出た。
標的の居場所も状況もそれなりにわかった。
とはいえ、
まだ臭いが落ち切っていない媚薬も洗い流したい。
深々とため息をついて、エンドロールは己の自宅でもある“恩人”の工房へと向かうのだった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
一方、その後。
「…………」
少女はじっと、己を凌辱した男、己が殺した男を見て。
その首を切り落とした。
そのまま首を抱えて隠れ場所に戻り、食事と休息で体力を回復すると……宵闇区を出て、陽の当たる外壁区に向かう。
本土から逃走してきた犯罪者なら、えてして賞金がかかっている。
調べられる範囲で手近な、そしてマシなハンターショップに向かい、男の首を渡した。
違法薬物売買、強姦、殺人、傷害……そして本土犯罪組織からの資金持ち出し。
男は100クレジットの賞金首だった。
エンドロールの存在を隠したまま、犯されてナイフで首を切り落としたと報告し。
少女は100クレジットを入手する。
そして肉体改造や武器のカスタマイズを行い……翌朝には、ハンターとなった。
エンドロールは最後まで、己が無力化した男が賞金首だという可能性に気づかなかった。
これは両者の育ちの違いであり……また、ハングリー精神の差でもある。
根本的にエンドロールは育ちがよく善良で……裏社会に向いていないのだ。
エンドロールさんは肉体改造しまくってて奇襲特化型で強いけど、裏社会的には新顔です。
また、前話の挿絵を見ていただければわかりますが、エンドロールの衣装は股間をギリギリ隠しているだけなので、下腹部の隙間から手を入れていじれます。
かなりアレな衣装ながら、堕天特区基準では特に痴女衣装というわけでもありません。
わりと普通に見かける衣装です。