転生先は美少女秘書の居る魔法図書館でした。寂しがり屋でちょっぴりえっちな美少女司書と毎日イチャラブセックス三昧 ~陰キャ童貞からの逆転勝ち組人生~ 作:味のないお茶
第十話
「……な、なんで君がここに居るんだい?てっきり僕はまだ寝てるものだと思ってたんだけど」
俺の朝の挨拶に対して、サーシャから返ってきた言葉はそんなものだった。
まぁ、当然だよな。彼女の中では誰にも気が付かれないまま、転生の扉で元の世界に帰るつもりだったんだろうし。
「まぁ、昨夜のサーシャの様子がおかしかった。きっとここでの生活に『罪悪感』を感じていたんだろ?」
「……っ!!」
軽くサーシャの表情が歪んだ。図星だったんだろうな。
俺はその様子を見て、言葉を続けていく。
「怪我も治って、美味しいものを食べて、前の世界では出来なかった娯楽を楽しんで、お風呂に入って、柔らかい布団で寝る。魔王に負けた自分が、元の世界の人々を放ったらかしにして、こんな生活を続けることは出来ない。そう考えたんじゃないか?」
「……あはは。君は読心術の魔法の使い手なのか?」
「いや、一日しか過してないけど、そんなことは見ればわかるよ」
真面目で優しくて責任感が強い。そんな女の子だと思ってるよ。
俺がそう言葉を掛けると、サーシャの顔が赤く染った。
「はぁ……そうだよ。全部君の言う通りだよ」
そして、サーシャは軽く息を吐きながらそう言った。
「君たちのおかげで魔王オルフェに付けられた傷も癒えた。鎧も直して貰った。転生の扉を使えば元の世界に戻れる。ここまでお膳立てをしてもらっているんだ……僕は戻らないといけない」
「……また負けて、ボロボロになるかもしれない。今度は死ぬかもしれないぞ?」
彼女にとって、目を背けていた部分。
俺はあえてそこを聞くことにする。
「そうだね。勝てる可能性は限りなく低い。前回は命を見逃してもらったけど、次は無いと思ってるよ」
「……だったら、止めておいた方がいいんじゃないか?」
俺がそう聞くと、サーシャは少しだけ寂しそうに笑う。
そして、俺にそのまま言葉を紡いだ。
「僕は勇者だ。負けるからと言って、戦いから逃げる訳にはいかないんだよ。平和な世界でぬくぬくと過ごして君には分からないと思うけどね」
これは、俺に対しての『挑発』だな。
今の言葉で俺を感情的にするのが目的だろう。
だから俺はその挑発には乗らずに話を続ける。
「そうだな。俺は平和な世界でぬくぬくと生きてきた。ここに来てからも可愛い女の子二人と幸せに暮らしてるよ」
「あはは。まさかそんな言葉が返ってくるとは思って無かったよ」
「なぁサーシャ。これは俺からの『提案』なんだ」
軽く表情を緩めたサーシャに、俺は腹案を話すことにした。
「提案……いったい何を提案するんだい?」
俺は軽く息を吸ったあと彼女に話をした。
「魔法図書館。ここはとても特別な場所でな。大きな特性がある」
「大きな特性……」
よし。彼女の興味を引き出せたな。
話を聞いてくれる体勢になったことを心の中で喜ぶ。
「そうだ。それはな『自分が望んだものが何でも出てくる』ってことだ。サーシャが食べた料理の材料やゲーム、それに寝ていたベッドも呼び出した物だ」
「そ、そうだったのか……すごい場所なんだね。で、それがどうしたんだい?」
「俺には想像が出来ないが、君が必要としてるような『伝説級の武具』が手に入ったりもするんじゃないか?」
「……っ!?」
「それに、今のままで勝てないなら『鍛錬を積む為の道具』なんかも呼び出せる。君が望むならそれが全て揃う」
「そ、そうか……でも、悠長に鍛錬を積んでいる時間は無いんだよ。僕が居ない間。元の世界では人々が魔族の驚異に晒されているんだ」
確かに。サーシャならそう返して来ると思っていた。
だから俺は彼女に問いかけた。
「サーシャ。元の世界の人々は『そんなに弱い』のか?」
「……え?」
「君が魔王に勝てるように鍛錬を積む。その程度の時間稼ぎも出来ない。君は自分の世界の人々を信じられないのか?」
「ち、違う!!僕の世界の人々はそんな弱くなんか無い!!」
目尻をつり上げるサーシャ。
そんな彼女に俺は笑いかけながら話をした。
「だったら……確実に魔王に勝てる強さを得られるように、しっかりとここで鍛錬を積むべきでは無いのか?」
俺の言葉に、サーシャは長い時間思案した。
そして下を向いて小さく呟いた。
「…………あはは。そうだな。君の言う通りだよ」
サーシャはそう言うと、軽く肩を落として言葉を続けた。
「このまま魔王オルフェの元に向かっても無駄死にだ。だったら……鍛錬を積んでから行くべきだよね」
「そうだな。幸い、ここには魔法のエキスパートもいる。美味しい食べ物を食べて、しっかりと休息も取って、鍛錬を積めばいいと思う」
「……わかった。タキモトさんの言う通りだな。僕は焦ってたみたいだ」
彼女はそう言うと頭に被っていた兜を脱いで、カウンターの上に置いた。
そして、素顔を晒して俺に笑いかけた。
「もう少しだけ……ここでお世話になってもいいかな?」
「もう少し。なんて遠慮するなよ。好きなだけいて構わないよ」
「あはは……本当に、ありがとう。タキモトさん。君に会えて本当に良かったよ」
「俺は何もしてないよ。ただ、サーシャとまだ一緒に居たかったから、こうして君を引留めるために言葉を尽くしただけだよ」
「い、一緒に居たい……君はまたそういう事を言って……」
サーシャは少しだけ視線を外しながら、顔を赤くて何かを呟いていた。
そして、一つ咳払いをしてからこちらを向いて、手を差し出してきた。
「ん……タキモトさん。よろしくお願いします」
「あぁ。こちらこそよろしく。サーシャ」
俺はそう言葉を返し、彼女と握手を交わした。
こうして俺は、サーシャがこの世界から居なくなってしまうことを阻止することが出来た。