転生先は美少女秘書の居る魔法図書館でした。寂しがり屋でちょっぴりえっちな美少女司書と毎日イチャラブセックス三昧 ~陰キャ童貞からの逆転勝ち組人生~ 作:味のないお茶
第四話
風呂場を後にした俺は、用意された寝間着に着替えたあとノエルから言われていた冷蔵庫の中の牛乳をコップに注いで飲んでいた。
俺のサイズに合う寝間着が用意されている。
俺をこの世界に呼ぼう。と思ってノエルが色々と準備をしていたんだな。という考えが現実味を帯びてきた。
まぁ、トラックに跳ね飛ばされて命を失うのがこちらに来るための条件だったとしても、この世界に来てノエルと一緒に暮らせるのなら必要な事だったと思えるよな。
そして、牛乳を飲み終わり、コップを軽く水で洗った後俺はソファに座って手元のリモコンでテレビをつけてみた。
すると、これまた俺が元いた世界でやっていたクイズ番組が映し出された。
東大生とクイズバトルをする番組だ。
「あはは。何だよ。本当にここは異世界なのか?」
パソコンがあり、テレビがあり、夕飯はハンバーグ、お風呂に入って、風呂上がりには冷えた牛乳を決める。
もう完璧に元の世界のような気持ちだな。
テレビで漢字のオセロ対決を見ていると、ノエルが風呂から出てきたようで寝間着姿で居間へとやって来た。
「ふふふ。楽しんでくれてるようで何よりです」
「そうだな。異世界に来たような気持ちにはならないけど、自分の家のような気持ちにはなってるよ」
「そう言ってくれると嬉しいです。それと先程も言いましたけど、ここはもうリュウトさんの家でもあるんですからね。自由に使ってください」
「了解だ」
そんなやり取りをした後に俺とノエルはソファに座って二人で並んでテレビを見ていた。
そして、ふとしたタイミングで時計を見ると二十二時を回ったところだった。
時間を意識したら何だか眠くなってきたな。
「ふぁ……そろそろ寝ようか、ノエル」
「そ、そうですね……それでは寝室に向かいましょうか」
軽く欠伸交じりで俺がそう言うと、ノエルは少しだけ緊張したような表情で言葉を返した。
何か大きな決意をした。そんな様な表情だった。
そして、俺とノエルは洗面所で歯を磨いたあと、寝室へと向かった。
先にダブルベッドに腰を下ろしたノエルは、自分の隣を軽く手で叩いた。
「その……お話をしたいことがあるので隣に座って貰っても良いですか?」
「あぁ、構わないぞ」
俺はそう言うと、ノエルの隣に腰を下ろした。
それを見たノエルは、俺に向かって深々と頭を下げた。
「リュウトさん……大変申し訳ごめんなさい」
「ど、どうしたんだよノエル!?いきなり頭なんか下げて」
俺が焦ったような声でそう言うと、ノエルは瞳に涙を浮かべながら理由を話し始めた。
「何となく、リュウトさんはわかっているかも知れませんが、貴方がこの世界……魔法図書館に転生した理由は、私が呼び寄せたからです」
「……だろうな。軽く見たパソコンにはそんな履歴があったし、この家にある備品なんかを考えると、俺を呼ぶことを前提にしたようなことが多かった」
「そうですよね。独り身なのにクッションが二つもあったり、後は貴方のためにテレビなんかも用意しました」
「あはは。そうだったんだな」
軽く笑いながら俺がそう言葉を返すと、ノエルは本当に辛そうに話を続けた。
止めてくれ。君のそんな顔は見ていたくない。
そう思いながら、俯く彼女の話の続きを聞くことにした。
「……リュウトさんを異世界転生をさせる為には、元の世界で命を失ってもらう必要がありました。つまり、トラックに跳ね飛ばされて……貴方が向こうの世界で死ぬようにしたのは……私なんです……」
「うん」
「ひ、人殺しと呼んでもらって構わないです……本当なら向こうの世界で幸せになるはずだったリュウトさんを、独りで暮らすのは寂しい……と言う、私の都合で呼び寄せたんです……っ!!」
「……そうか」
「……こ、この話を聞いて、リュウトさんのお気持ちが変わったのなら、転生の扉で違う世界に向かっても構わないです……こ、こんな人殺しと暮らせないと……」
「ノエル」
「……え」
俺が少しだけ強く彼女の名前を呼ぶと、ノエルは涙に濡れた瞳でようやくこちらを見てくれた。
「先に言っておくよ。俺は色々と察していく中で、向こうの世界で死んでも一向に構わないと思ってたし、君と一緒に暮らすためにそれが必要だったというのなら、向こうの世界での命なんて惜しくもなんともない」
「……ど、どうして」
「そもそも、なんでノエルは俺を呼ぶことを決めたんだ?完全にランダムだった訳じゃ無いだろ?」
俺がそう問いかけると、ノエルは少しだ視線を逸らしたあと理由を話し始めた。
「寂しい気持ちが限界を迎えた私は……ここ数ヶ月ほどは誰をこちらに呼び寄せるかを考えていました」
「……なるほどね」
「そして、リュウトさん。貴方を見つけました」
ノエルはそう言うと、寂しそうな笑顔を浮かべながら言葉を続けた。
「私と同じ独り身のリュウトさんなら、この気持ちを理解してくれるかもしれないと勝手に希望を抱いていました。そして、元の世界での貴方の行動を見ていると『とても優しい人』『誰も見ていないところでもキチンとしている人』『困ってる人を見過ごせない人』であることがわかりました」
「……めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど。見られてたのか?」
「あはは。はい、そうですね。変な人を呼びたくなかったですからね」
そして、軽く目を伏せながらノエルは言葉を続ける。
「……最初は、この図書館の管理を任されて、使命感に燃えていました。ですが、それは最初の一年で無くなりました」
「あまりにも人が来ないから。だな」
「はい。一年経っても、三年経っても、五年経っても誰も来ません。ですが、ここでの暮らしは『快適』の一言です。それでも私にとっては『苦痛』でしかありませんでした……」
「外に出る理由をことごとく奪ってるようにも見えたからな」
「はい。『私が望むものは全て用意される』そういう仕組みになっていました。そして誰も来ないまま……十年が経ちました……」
ここまで話されて、俺はノエルと自分の『決定的な違い』に気が付いた。
俺は独り身で過ごしてきたけど『人との触れ合い』があった。
多少なりとも会話をすることはあった。
コンビニに行けば店員さんから『温めますか?』とは聞かれる。
だが、ノエルには『それすら無い』という状況だ。
誰とも会うことがなく、ただ一人でこんな本しかない場所で十年も過ごして来た。
そんな状況下なら『向こうの世界での命を奪ってでも』こちらに呼び寄せたい。
そう考えても仕方ないだろ。
「……パソコンで異世界転生について調べた結果は、リュウトさんが見た通りです。向こうの世界で命を失わせて『魂』をこちらに引っ張ってくる。そして、こちらで用意した『素体』にその魂を収める。素体は収めた魂に準じた姿になるので、リュウトさんの身体は向こうの世界と遜色無いものになってます」
「なるほどね。まぁ、ノエルがどうして俺を呼び寄せたのか。理由と方法は理解したよ」
俺はそう言うとノエルの頭を軽く撫でた。
「リュ、リュウトさん!?」
「よく我慢したな。偉いよ、ノエル」
俺がそう言うと、ノエルの両目から大粒の涙がこぼれ落ちた。
「ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさ……んむぅ」
謝り続けるノエルの唇に、俺は自分の唇を押し当てた。
キス……向こうの世界でもしたことが無い行為。
歯をぶつけるようなことがなくて良かったと思う。
軽くノエルの身体を抱きしめながら、十秒程の時間を過ごす。
そして、唇を離すと、ノエルが驚いたような目でこちらを見ていた。
「リュウトさん……」
「俺の気持ちを聞いてくれるか?」
コクリ……と首を縦に振るノエルに、俺は自分の気持ちの話をした。
「さっきも言ったけど、俺は向こうの世界での命に未練なんか無い。この世界でノエルと過ごすために必要な事だったのなら、別に構わないと思ってる」
「リュウトさん……」
「だからさ、ノエル。もう謝らないでくれ。君に謝られるような理由なんかない。そうだな……俺からは『呼んでくれてありがとう』って気持ちだよ」
「リュウトさん……ありがとう……ございます……」
そう言って、ノエルはようやく、笑ってくれた。
「そうだな。ノエルは笑ってくれてる方が可愛いよ」
「えへへ……ありがとうございます、リュウトさん。大好き……です」
女の子から『大好き』なんて言葉を言われたのは、生まれて初めてだよ。
「ありがとうノエル。俺も……そうだな、まだ会ったばかりで何言ってんだって話だけど、ノエルが好きだ。俺がここに居る限り、君に寂しい思いはもうさせたくない」
「嬉しいです……嬉しいです……嬉しいです。本当に……貴方を呼んで良かった……」
俺は彼女の身体を抱きしめて、二度目のキスをした。
今度は不意打ちじゃない。
目を閉じて、愛を確かめ合うように、ノエルと唇を重ね合わせる。今度はより深く彼女を感じられるように、舌を絡め合う。
静かな寝室に、俺とノエルの唾液が絡み合う音が響いた。
そして、どちらともなく唇を離すと、俺とノエルの間に唾液の橋が出来た。
「リュウトさん……」
「ノエル……」
お互いの名前を呼び合い、瞳を合わせて、視線を絡ませる。
俺がそっとノエルの身体をベッドに押し倒すと、彼女からは特に抵抗がなかった。
ノエルの美しい白銀の髪の毛が、まるで天使の羽根のようにベッドに広がった。
「……私、初めてなんです」
「……俺も初めてだよ」
お互いに未経験。だから正解なんてわからない。
最初の行為は多分……失敗に終わるかもしれない。
でも、いつか、そんな日もあったねと、笑い合えるように。
ずっと……ずっとずっと一緒に居よう。
こうして、俺とノエルは『初めて』を迎えた。