転生先は美少女秘書の居る魔法図書館でした。寂しがり屋でちょっぴりえっちな美少女司書と毎日イチャラブセックス三昧 ~陰キャ童貞からの逆転勝ち組人生~ 作:味のないお茶
桜 side ②
瀧本くんから借りたコートのお陰で寒い思いをせずに済んだのと、異性のみならず同性からも煩わしい視線で見られる身体の一部が目立たなくなったので、私は快適に家まで帰ってくることが出来た。
「本当に、瀧本くんには二日連続でお世話になってしまったわね」
折り畳み傘のお礼として用意したお手製のクッキーは、彼との勉強会の時におやつ代わりに食べてもらったわ。
勉強会を始めて一時間くらい経った頃かしらね。
私も彼も少しだけ集中力が落ちてきたのを感じてきたので、休憩を入れようかという話になったのよね。
『昨日のお礼としてクッキーを作って来たの。本当は学校で渡そうかと思ってたんだけどね』
『……え?それは嬉しいな!!俺は結構甘い物が好きなんだよね!!』
『ふふふ。そう言ってくれると嬉しいわ。お菓子は趣味で良く作ってるの。プロ顔負けだと自負してるわ』
私はそう言ってカバンの中から袋に入ったクッキーを取り出したわ。
彼は食器棚から空のお皿を持ってきていたのでそこに移していったわ。
『それは楽しみだね!!……お、確かに美味しそうだね。チョコチップクッキーじゃん』
瀧本くんが目を輝かせていたから、私は少しだけ胸を張りながら『手作りの利点』を教えてあげたわ。
『既存のクッキーとは違って、チョコチップをたっぷり入れてあるわよ』
『マジで!!じゃあ……いただきます!!』
そう言って瀧本くんはクッキーを一つ手に取って口に運んだわ。
『サクサクしてて美味しいな!!チョコチップもたっぷりで幸せの味がするね』
目尻を下げながらそういう瀧本くん。
本当に彼は美味しそうに物を食べてくれるわね。
『あはは。そんなに美味しそうに食べてくれると作ったかいがあるわね』
『ありがとう南野さん。折り畳み傘のお礼としては貰い過ぎに思えちゃうよな』
彼が少しだけ申し訳なさそうにそう言ったから、私はそれを否定してあげたわ。
『そんな事ないわよ。本当に助かったんだから。……さて、それじゃあ勉強の続きをしようかしらね』
『そうだね。よし。じゃあまたよろしくお願いします!!』
こうして私と彼は、また勉強に戻っていったわ。
「ふふふ。あそこまで喜んでくれるなんてね」
瀧本くんの反応はとても良かったので、作ったかいがあったわね。
家の玄関の前に立った私は、帰宅を知らせるためにチャイムを鳴らしたわ。
するとパタパタと言う足音が近づいてきて、ガチャリと鍵が解かれたわ。
そして、すぐに玄関の扉が開いて、中からお母さんが顔を出したわ。
「おかえりなさい、桜。寒かったでしょ……あら。素敵なコートを着てるわね?」
「ふふふ。ただいまお母さん。瀧本くんからまた借りてしまったのよね」
「そうなのね。なんだか申し訳ないわねぇ」
「そうね。また彼にはお礼をしようかとも思ってるわ」
「ふふふ。良かったら今度はうちに招待したらどうかしら?私も会ってみたいと思ってるもの」
「それは良いわね。瀧本くんに聞いてみることにするわ」
私が玄関で革靴を脱いで居ると、お父さんの革靴があることがわかった。
「あら、お父さんが帰ってきてるのね」
「ふふふ。そうよ。今日は定時で帰って来れたみたいでね」
「珍しいこともあるのね。まぁでもたまには早く帰れないと疲れちゃうわよね」
洗面所で手洗いとうがいをした私は、そのまま居間へと向かったわ。
自室で着替えてこようかとも思ったけど、先にお父さんと少し話しておこうと思ったからよ。
そして、居間の扉を開けると中ではお父さんがテレビを見ていたわね。
「ただいまお父さん」
私がそう声をかけると、お父さんがこちらに視線を移したわ。
「おかえり桜。……おや、素敵なコートを着てるね」
柔和な視線で私を見たお父さんは、着ていたコートを褒めてくれたわ。
怒ったことなんてほとんどない、優しいお父さんよ。
「瀧本くんから借りたのよ。彼のお母さんの物らしいわ」
「そうなのかい。……そうか。彼からはたくさん借りてしまってなんだか申し訳ないね」
「そうなのよ。だから今度うちに招待してお礼をしたいと思っていたのよね」
夕飯の準備を終えたお母さんが台所からやって来て、会話に参加したわ。
「おお、それは良いアイディアだね。昨日桜から話を聞いて僕も彼に会ってみたいとは思っていてね」
「ふふふ。変に緊張とかさせてしまわないかしらね?」
「会話をした感じだと緊張して喋れなくなるような人には見えなかったわね。きっとお母さんもお父さんも気にいると思うわ」
私がそう言うと、お母さんとお父さんがかなり驚いたような表情でこちらを見てきたわ。
その様子に驚いた私は思わず声を上げてしまったわ。
「な、何よその視線は……」
「いや、桜が男の子のことをこんなに良く言うのは初めてよねって驚いちゃって……」
「僕もびっくりしたよ。会って二日の男の子にそこまで気を許すってのはね……」
そう言って目を見開く二人に、私は自分の気持ちを話していったわ。
「べ、別に『まともな男の子』って思ってるだけよ……」
「桜がそういうこと自体が稀なのよね……」
「そうか……僕もちょっと『未来の息子に会う覚悟』を持っておく必要がありそうだね」
「そ、そんな覚悟はいらないわよ!!」
しみじみとそんなことを言うお父さんに私は声を荒らげて否定をしたわ。
「と、とりあえず。瀧本くんに変な事を言うのは辞めてよね」
「あはは。あぁわかったよ。僕も会ってすぐに嫌われたくは無いからね」
すると、お母さんが思い付いたように私に言ってきたわ。
「あぁ、そうだ桜。もし良かったら瀧本くんのご家庭の電話番号を教えて貰えるかしら?」
「え。構わないけど……何かあるの?」
変な事を言ったりするとは思えないけど、どんなことを話すつもりなのかしら。
「そのコートは彼のお母さんの物なのよね?だったら直接お礼をしたいと思ったのよ」
「あぁ……そうだったのね。でもそれは無理だと思うわ」
私がそう言葉を返すと、お母さんが首を傾げたから、理由を教えてあげたわ。
「彼のご両親は出張で居ないのよ。瀧本くんは一人暮らしらしいわ。凄いわよね」
居間しか見てないけどきちんと掃除が行き届いてるのが見て取れたわ。
しっかりとした性格をしてるのがよくわかるわ。
すると、お母さんが気になることを言ってきたわ。
「あら、そうなの……旦那さんの出張に着いていくのに、そのコートは置いていったのね」
「……え?」
私が首を傾げると、お母さんが軽く笑みを浮かべながら手を振って言葉を続けたわ。
「いえ、まだ寒いから旦那さんの出張に着いていくなら、コート持参してもおかしくないかな?って思っただけよ。別に大した話では無いわよ」
「あはは。別に出張先が暖かい場所なら要らないからね。それにしても旦那さんの出張に着いていくのは夫婦仲が良いね」
「そ、そうね……」
『……あはは。両親は出張で居ないんだ。今は俺のひとり暮らしなんだよね』
ご両親は出張で不在だから、彼はあの広い家で一人暮らしをしている。
そう考えると、なんだか瀧本くんには『隠し事』があるようにも思えた。
でも、そんな事は考えても仕方ないことだし、詮索するのも趣味が悪いわね。
そう結論をつけた私は、自室へ戻って着替えてくることにしたわ。
「じゃあ私はちょっと着替えてくるわね」
「もう夕飯は出来てるからすぐにいらっしゃい」
「今日の夕飯はカレーだよ。楽しみだね!!」
「ふふふ。そうね。カレーの良い匂いがしてるもの」
そして、自室の中に入った私は彼から借りたコートとブレザーの上着をハンガーに掛けたわ。
「あ、そうだ。瀧本くんにLINEをしておかないと」
彼には先程メッセージを送っておいたわ。
すぐに既読が付いて返信が来たわね。
やり取りはそれっきりになってる。
瀧本くんには家に着いたら連絡をすると言ってあるから、しないと心配をさせてしまうわね。
『無事に家に着くことが出来たわ。瀧本くんに借りたコートのお陰で寒い思いをしなくて済んだわ。ありがとう』
私がそうメッセージを送ると、彼からすぐに既読が付いて返信が来たわ。
『それは良かったよ。南野さんが心配でスマホとずっとにらめっこをしてたからね。これで安心してお風呂に入れるかな!!』
「……あはは!!本当に彼は面白いわね!!」
『心配させてしまってごめんなさいね。ゆっくりお風呂に入ってちょうだい。私はこれから家族とご飯を食べてくるわね』
そして、私はスマホをベッドの上に置いて一つ息を吐いたわ。
「瀧本くんが何か隠し事をしていたとしても、彼から話してくれるまで待つことにしようと思うわ」
そう心に決めた私は、自室を後にしてお母さんとお父さんと夕飯の待つ居間へと向かっていったわ。