「ここは、本当に、何が起きているのやら」
その一言と共に、俺は周囲の様子を見る。
偶然であった。俺が海で生活に必要な材料を探っていた時に津波に襲われてしまう。その時に気を失ってしまい、目が覚めた時には見知らぬ島にいたのだ。
人が生活したと思われる痕跡はあるのだが、人がいない。
だが、この島には奇妙な気配を感じた。
「とりあえず、どこか寝泊まりが出来る場所を作らないと……」
そう呟きながら周囲を探索する。
すると、そこには屋敷があった。
屋敷というのは、少しおかしいかもしれない。なぜならそれは廃墟だったからだ。
おそらく地震か何かの影響で、壁が崩れ落ちてしまったのだろう。それでも、屋根があるだけでありがたいと思うべきだろうか。
そんなことを考えていると、声が聞こえてきた。
「ほぅ、こんな場所に客人が来るとはなのぉ」
「誰だ」
聞こえて来た声、それと共に振り返って、見つめた先にいたのは1人の女性。
貴族を思わせる豪華なドレスを身に纏い、黄金に輝く金髪の女性がいた。
「あなたは?」
「なに、この屋敷に住んでいた魔女、まぁベアトリーチェとでも呼んでくれればいいじゃろう。それでお主は何者じゃ?」
「俺は七花だ」
「くくっ、そうかそうか、では七花よ。ここに来た理由はなんぞや?」
俺の言葉を聞いた瞬間、彼女は笑う。まるで全てを見通しているかのように。
「俺はここに来た理由なんて知らない。気がついたらここに居たんだ」
嘘をつく必要は無いと思い正直に答える。
「ふむ、なるほどのぉ……ならば七花よ。汝に聞きたいことがある」
「なんだ?」
「その身体、一体どうなっているんだ?」
それは、まるで、俺の身体の内側を見透かせたような言葉だった。心臓が大きく跳ね上がる。
だが、動揺してはいけないと自分に言い聞かせる。まだバレてはいないはずだ。
しかし、目の前のベアトリーチェには、全て見通されているのではないかという不安感がある。彼女の瞳に見つめられるだけで冷や汗が流れる。
「その身体には、一体何があるのか、という事だ。普通ならありえんだろう。人間の肉体の中に異物が入り込み、それが定着するなど……」
「…………」
「しかも、それを制御できている事もおかしいぞ。そもそも、何故そんな事をする必要があるのだ?自分の体ではないではないか」
「復讐する為だよ」
そう告げると、一瞬、ベアトリーチェは驚いたように目を開いた。
だが、同時に。
「くっくっく」
と笑い出した。そして。
「いいだろう。お前の話に乗ってやるよ」
と言った。
「話だと?」
「なに、妾自身は魔女であるが、どうも暇で仕方ないからな」
「暇って」
「ここにいた奴らは、既に殺してしまったからな」
そう言ったベアトリーチェは、そう何気ない一言と共に言う。
おそらくは、それは嘘ではないだろう。
追求しても、無駄だろう。
「俺には、何をするつもりだ?」
「復讐劇を、最後まで見せて貰う。それが提案だよ」
そう言ったベアトリーチェは、俺はある意味、魔女らしい提案だった。
「まぁ、妾がここに出るには、どうやら、その能力が必要なようだがな」
「どういう事だ?」
「妾は、ここに強く結ばれている。だから、ここから出るには、お前の身体の中に入る必要があるからのぅ」
「そこまで分かるとはな、まさに魔女か」
俺はそう言いながら、これから起きるだろう出来事にため息を吐く。
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