ここ最近の厄災は知っている。
どういう訳か、鎌倉での火事が多い。
今後の生活にも必要な物が、鎌倉にある為、俺はそこに向かったのだが。
「七花さんではないですか!」
「えぇ、なんで、お前がいるの蘭太」
俺は、思わず顔を歪ませながら答えた。
そいつは、俺がまだ家にいた頃からいる親戚で、あの家では、まだ常識的な部分がある奴だった。
比較的に、常識はあり、俺に対して、話しかける事は多くあった。
そして、俺が作り出す物に対して、興味を持っていた奴でもある。
「ここで一体何を?」
「仕事だよ、仕事。
家を追い出されたから、色々と大変なんだよ」
「そうだったんですか!」
連中の中でも、まだマシな部類ではあるが、こいつにバレると面倒だからな。
「それで、お前はどうせ仕事だろ、これでも喰っておけ」
「んっ、これはなんですか?」
「肉まん。今度売ろうか迷っていた試作品だ、やるよ」
「ありがとうございます!!」
俺はそう言いながら、肉まんを食べている蘭太。
警戒をしていない様子であり、俺はそのまま別れる事にした。
「それで、どうなんだ、メドゥーサ?」
「まったくの無防備で、本当に楽で良かったわ。
けれで、良いの?殺さなくて?」
そう、俺の後ろからメドゥーサが問いかけてくる。
実は、あの肉まんの中にはメドゥーサの魔力を僅かに混ぜていた。
未知の食べ物という事で、そちらの好奇心の方が強かった蘭太は、僅かな魔力にも気づかなかった。
最も、その魔力は殺すのではなく、あくまで探知用。
普通ならば、力が僅かに上がった程度しか効果はない。
「今、下手に殺したら面倒だからな。それに、捜し物をしてくれるんだったら、楽な事はないだろう」
「そうね、どうせ、これから実験もするのだから」
それと共に、俺達はしばらく待ち、変化が起きた。
「どうやら、動き出したみたいだな」
「それじゃ、実験を始めましょうか、といっても、私じゃなくて、あなたに任せるけどね、ハリベルさん」
そうわざとらしくメドゥーサは、言うと共に、俺の中へと消えていく。
代わりに、ハリベルは、その姿が現れる。
「信用しても良いのか?」
「さぁね、だけど、より強くなるには、こうした方が良いかもしれないだろ」
その言葉と共に、俺が取り出したのは、歯。
鋭い歯。
その歯を握り絞めると同時に、俺は構える。
「討て! 皇鮫后!」
同時に、ハリベルが変わる。
だが、それはこれまでとは違い、全身を身に纏う形で。
「これがメドゥーサの言っていた応用か」
これまで、俺が行ってきたのは、ただ単に力を使う事だけを重点的に行っていた。
ハリベルならば水を操る能力。黒歌ならば魔力の操作。ミストバーンならば身体能力の強化。
各々は能力は違うが、メドゥーサから言えば、力の基本しか使えない。
なので、その霊に関連する能力を十全に発揮するには、媒体に霊を入れる。
そうすれば、そのまま霊の力を十全に発揮した姿へと変わる。
これを聞いた時に、俺が一番に思いついたのは、シャーマンキングのオーバー・ソウルだ。
だからこそ、オーバー・ソウルを参考に、現在の姿へと変わる事が出来た。
「それにしても、奇妙な感じだ。
というよりも、衣装も変わったけ?」
『メドゥーサが、正体を隠す為に造り出したらしい』
「なるほど、だったら」
そのまま、俺達は目的の場所へと向かう。
そこは、既に火事が起きており、その中央に蘭太が構えていた。
「はぁはぁ、まさか、本当に鎌倉時代から復活した、この存在を、止められるのかっ」
そう、見つめた先。
そこには額から角。鎧を身に纏った女性が1人いた。
おそらくは、今回の騒動の原因である事は間違いないだろう。
俺はそのまま、地上へと降り立つ。
「なっ、新手!」
それに対して蘭太は驚きを隠せなかった。
同時に俺の存在を認識した怨霊は、こちらに向けて構える。
それに対して、俺もまた、周囲の水を操り、ぶつける。
炎と水がぶつかり合う事で、霧が舞い上がる。
「ガアアァァァ!!」
「さて、少しは、大人しくしておいてくれよ」
そのまま、俺は無数の巨大な水柱を怨霊の周囲に発生させ、閉じ込める。
「グウウゥゥゥ!!」
「なんというか、これはこれで厄介だな、さてっと」
同時に、俺は一瞬だけ、メドゥーサの蛇を出す。
メドゥーサの蛇は、そのままその怨霊を喰らうと共に、体内へと入れる。
これで能力の発動条件は満たした訳ではなく、相手が心から同意をしなければならない為、これはあくまでも戦線離脱の為にしか使えない。
「お前は一体っ!」
「・・・お前の家に恨みを持つ者とだけ言っておこう」
それだけ言い、俺はその場からすぐに脱出した。
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