過去作「酔翁の意」の続編です。
ラップランドとドクターがロドスを抜け出してズブズブと愛に落ちるお話です。
ヒトリオオカミが心から愛するつがいを得る様をどうか見届けてください。
※ドクターの容姿にオリジナルあり。ご注意を。
ドクター。
ボクを受け入れてくれた、お人好しで物好きな人。
たくさんの人の願いを胸に、理想へ突き進む人。
過去に囚われず、明日へと歩める強い人。
そして…ボクを受け止めてくれた、優しい人。
ドクターに抱いてもらったあの夜から、ボクの止まっていた時間は動き始めた。長い間ボクを包んでいた酔いが覚めて、視界や思考がはっきりとして、ずっと忘れていた自分の願いを思い出せた。
久しぶりの爽快感、サイコーだ。
こんなにも気持ちいいのは生まれて初めてかも知れない。
いつも以上に頭はすっきりしてて、いつも以上に刀を握る手に力が篭ってて、苦痛まみれだった全てが楽になった。
ずっと見えなかったものが見えるようになって、自分が前に進めているのをひしひしと感じる。
何もかもドクターのお陰だ。
彼のためになりたい、彼の歩みの果てを見届けたいと思うだけで、過去のしがらのような、ボクを捉えていたものはどこかに吹き飛んでいく。
これはもう興味や好奇心なんかじゃない。ボクは確実にドクターに恋慕している。
昔なら切り捨てていたはずの感情。
でも今は捨てるなんて到底できそうにもない。
もっとドクターのことが知りたい。
もっとドクターと一緒にいたい。
もっとドクターと愛し合いたい。
気がつけば目はドクターのほうに無意識に向いちゃうし、鼻はドクターの匂いやドクターについた匂いを鋭敏に嗅ぎ取る。両手はドクターの体の感触を未だに覚えているし、脳はいつもあの夜の情事を夢の端に映してくる。そして、未だ熱を帯び続ける体の奥。
思いは膨らむばかりだ。まるでテキサスに執着してた時みたい。いや、それ以上かもね。
心も体もドクターを愛しているそんなボクは今。
———ドクターと2人きりで、シエスタにいる。
事の発端は数週間前。
仕事前の短い逢瀬の際にボクが溢した一言だった。
「もっと一緒にいたいな」
本当は言葉にするつもりはなかったけど、ずっとしばらく任務でドクターと会えたかったせいか口から漏れてしまった。
そうしたらドクターは少し考えて、
「そうだな。じゃあ今度の連休、2人でロドスを抜け出そう」
と、とても魅力的を提案してきた。
「この前クロワッサンの口封じのついでにシエスタのホテルの宿泊券を買い取ってな。丁度いい、2人でしばらく一緒に羽を伸ばそうぜ」
周りを気にせず、ドクターと二人きり。
ライバルだらけ、護衛(という名の監視)だらけのロドスではなく、自分とドクターだけでの周りに知り合いのいない場での逢瀬。これって、その、デートってやつじゃないかな?
興奮と胸の高鳴りが止まらない。断る理由なんてなんてなかった。
そして今ボクはシエスタの歓楽街で、ドクター———普段の黒コート姿ではない私服姿の彼と手を繋ぎながら二人きりで休暇を楽しんでいる。
ドクターの私服なんて初めて見た。本当は黒曜石祭の時に一人抜け出してライブに行くために調達した、変装用の服装だったらしい。騒動の煽りで使う暇がなかったので、今回が初お披露目だと自慢げに語っていた。実際、最初会った時は匂いもほぼ消えてたからドクターって分からなかったぐらいだ。その甲斐もあって、ロドスの殆どの面子にはバレずに僕たちはシエスタにやってくることができたのだけど。
「黒曜石祭が終わって、天災の噂も流れているっていうのに相変わらず人が多い街だ」
昼飯時、レストランのテラスバルコニーで炭酸飲料を煽りながらドクターがぼやく。
「人混み苦手なんだ、ドクター」
「まぁそうだな、目が回る。あと暑い」
「…普段からもっと暑そうな服装してるのに?」
「あれには空調機能がついてるんだ…まぁ、お陰で俺たちも目立たず観光できるんだけどな」
そう言いつつポテトにケチャップをつけて口に放り込む彼は、ロドスで見るドクターとは全くもって別人だった。
細いけどしっかりした体に、それに見合わぬ大きな掌。
平凡な顔つきだけど、力強い琥珀色の瞳。
黒髪に隠れるくらい短い、サルカズの角。
…ボクだけが知る、本当のドクター。
「なんだい、そんなじっと見つめても俺のハンバーガーはやらないぞ。3個全部俺のものだ」
その姿を目に焼き付けようと見つめているボクに、ドクターはわざとらしく怪訝な表情して冗談を飛ばしてくる。
「この格好は君以外に見せる気はないよ。心配するな」
また、さらっとボクの心情を言い当てて、ドクターは運ばれてきたハンバーガーに齧り付く。
…あぁ、やっぱドクターには敵わないな。ボクの考えること、分かってるんだね。
そう思いながら、ボクも自分の分に齧り付いた。その味は今までのハンバーガーの中でも、一番美味しかった。
午後になってもドクターはボクの手を握りしめて、付箋まみれの観光パンフレットを見ながらいろんなところに連れて行ってくれた。
お互い持ってる私服が少ないからって、似合う服をかたっぱしから買って、お互い美味しそうな食べ物があったら見境なく食べて、興味に惹かれるままにあちこち歩き回った。
ドクターと体験する全てが、楽しかった。
少し前までは買い物や食事をしたってなんの感慨も生まれなかったのに、彼と一緒にはしゃいで、馬鹿やってるだけで何もかもが新鮮に思える。
楽しくて、心地良くて、幸せだ。
そうこうしているうちに太陽が沈み始め、夜が近づく頃、ドクターはホテルに戻る前に見せたいものがあるといい、ボクの手をさらに強く握りしめて湖に連れ出した。まだ人がまだらに残る海水浴場を素通りし、案内されたところは人気のない堤防にポツンと建つ、もう使われてない灯台だった。
「ここで間違いないな…入り口溶けてるし」
何か強烈な熱源で溶かされたような痕跡の残る入り口から中に入り、ドクターと一緒にさらに上へと登っていく。
階段を登るたびにドクターの握りしめる力が、ボクの指に絡めた彼の指の力がますます強くなる。ボクからすれば全く痛くないレベルではあるけど、絶対に離さない、離したくないという強い意志を感じた。
そういうボクも、なんとなくドクターが何をしようとしているかが分かってきて、心臓の鼓動が早くなってくる。
そうして階段を登り切った灯台の最上部は、もう使われてない光源のライトだけがあるだけの場所だった。
だが———
「これだ。キミにこれを見せたかったんだ」
そこには、ボクが今まで見たことのない景色が広がっていた。
雲ひとつなく、薄く赤色を讃える夕日。
それを飲み込み、光を輝かせる湖面。
その光が、すべての景色をオレンジ色に染め上げている。
見渡す限りくすみひとつなく、地平線の彼方まで…
それに照らされて微笑む、僕だけのドクター。
「凄い…」
今まで夕焼けなんて何度も見てきたというのに、感嘆の言葉が思わず口から漏れた。
「この前の休暇の時、スカイフレア達が教えてくれたんだ。あまりにも綺麗だったから、キミにも見せてあげたくてここに連れてきた」
ボクの肩を片手で抱いて、ドクターが呟く。
「…それにここなら周りに人、いないからな。やっと君に伝えたいことを、誰の目を気にせず伝えられる」
肩を掴んでいた掌がゆっくりとボクの腰に向かっている。半分抱きしめられて、ボクもドクターの腰に手を伸ばす。
彼の顔の方に向き直ると、目と目が合う。
その瞳の奥から、ドクターの思いと決意が伝わってくる。
「ラップランド」
ボクの名を呼んでから、少し苦しそうに生唾を飲み込んで、もう一度ドクターは続ける。
「あの夜、君の思いに対して、ちゃんと答えておきたいんだ」
期待していた言葉が帰ってきて、心臓が強く跳ねる。
「あの時はカッコつけちゃって、なんでも受け止めてやる、一緒に前に進んでほしい、だなんて曖昧なことしか言えなかったから、今ここではっきりと伝えたい」
あぁ、答えは言わなくても分かってる。
ここまでボクの手を引いて。
ここまでボクを楽しませてくれて。
ここまでボクを思ってくれて。
ここまでボクの心を幸せに塗り替えてくれた。
そんなドクターがボクのことどう思ってるかなんて、素人が見たってわかる。
でも、はっきり伝えてくれるのは、ボクの思いに答えようとしてくれるのは、とても嬉しくて、ピンと張り詰めた尻尾が気づかないうちにユラユラと揺れて、腰に回している手が無意識にドクターの服を握りしめる。
ボクのその反応を見て、ドクターはまたゴクリと喉を鳴らして、覚悟を決めたかのようにボクを抱き寄せる。
そして、答えが返ってくる。
「…俺もキミが好きだ、ラップランド。キミに興味を持ってからずっと、君の戦い振りや振る舞いに惹かれてた」
「ずっと親密になりたかった。ずっと君に気に入られたかった。だから、あの夜襲われた時、本当はとても嬉しかった」
「しばらくの間、ちゃんと言葉にできなくてごめん。でも、今は二人きりだから言える」
「大好きだ。愛している、ラップランド。ずっと俺の側で、俺の進む道を切り開いてほしい」
あぁ。
嬉しい。嬉しい。嬉しい…!
ドクターがボクを、好きって、愛してるって、告白してくれている!
ボクの思いがドクターの思いと繋がりあって、ボクら正しく恋人同士になれたんだ。
幸福の感情が止め処なく暴れて、無意識に涙が溢れてしまう。喉に沢山の思いが引っかかって、鼻をすすりながらドクターの告白に頷くことしかできない。
言葉なく唇を重ねる。舌を絡めあって、強く抱きしめあって、お互いの愛を確かめ合う。
この先ボクはこのオレンジ色に染まった景色と、ドクターがボクの思いに愛で答えてくれたこの瞬間を、一生忘れない。
———そして、その後のまぐあいも。
ホテルの個室。
湯気漂う浴室で、ボク達は裸のまま抱き合って、キスしている。
沢山灯台でキスしたお陰で、ホテルに戻ってきたときはだいぶ理性的に行動してたはずなんだけども…。でも、ドクターに一緒にシャワーを浴びようと誘われて、彼の体をを見たらまた体の火照りがぶり返して、そのままなし崩しに抱きついてこの有様だ。
「ふぅっ…んちゅ…むぅ…ドクター…♡」
ベッドまでは我慢するつもりだったのに、こんなに抑えが効かなくなるなんて思ってもいなかった。もしかしたら抑える気すらなかったのかもね。
「好き…好き…ドクター…あぁ…もっと…」
何度も繰り返す舌と舌の絡め合いの合間に、抑えきれない思いが言葉となって出て行く。
その度に、腹にあたるドクターの熱が身動ぎする。
その熱はあの夜の時よりも熱くて、大きくて、ボクの下腹部辺りに押し当てられている。
フラッシュバックする快感。
かつてボクの中を蹂躙したドクターのものから目が離せなくなる。
ふつふつと湧き上がる欲望が堪えられない。
「ぷはっ…ね、ドクター、ここで、一回、したい、我慢できない、の、お願い…」
ボクのおねだりに応えて、ゆっくりとボクの入り口に熱い塊を充てがうドクター。
先端が触れ合っただけで体が震える。
幸福感で胸が圧迫されて、涙が出てくる。
ドクターの肉棒がずぶずふと入り込むたびに、あの日感じた感情と同じものが身体中を駆け巡る。
「あっ、ああ、あ、これ、これ、いいっ、イくっ…♡」
「はぁっ、は、入ったぞ、ラップランド、大丈夫か」
「ううん、大丈夫、早く、もっと、動かして」
ゆっくりと優しく動くドクターのものが、ボクの体の奥を揺らす。その度に視界がぼやけて、甘い声が止まらない。
「あっ、はっ、いいっ、きもちいい、おく、つかれるの、いいっ」
この前の時よりも気持ちいい。
罪悪感も不安もなく、ドクターと繋がれているからか、この前の逆でドクターがボクを犯してくれているからなのか。
とても優しい律動なのに、一突きされるたびに軽く達してしまう。
「ああっ♡イくっ♡あはっ、ふぅっ♡くぅ♡好きっ♡好きぃ♡」
背中に擦れる冷たいタイルの温度があっという間にボク達の熱に浸食されていく。
腰を掴まれて、さっきより激しく攻められて、思考が何度も弾け飛ぶ。
「いやっ、ひぎっ、いいっ、つよいの、いいっ♡」
あぁ、攻められて、求められるの、すごくいい。
全ての衝撃が快感に変わってるみたいで、強引に壁に押し付けられて、キスされるのが、体がくっつくのが、ドクターのもので体の最奥を突かれるのがきもちいい。
「あぁ♡ふうっ♡いいっ♡いいっ♡どくたぁ♡どくたぁ♡だいすきっ♡だいすきっ♡」
「くぅっ…可愛い、声、だしやがって…」
「あ♡いやっ、はげしいっ♡ひぐっ♡ダメっ♡ダメっ♡ダメっ…♡あ、あ゛ぁ…♡」
ボクの嬌声に即発されたドクターに耳を甘噛みされて、繋がっているところ撫でられて、奥までねじ込まれる。
その瞬間感じるわずかな暖かさと、ドクターの律動。
「あぁ♡でてる…♡ドクターの、せいえき…♡」
トクトクと注がれる愛に、興奮は覚めるどころかさらに熱を上げていく。
もっと、もっと、欲しい、注がれたい…♡
すっかり冷め切った浴室の空気の中、お互いに荒い呼吸のまま見つめあって、舌を絡め合う。
言葉がなくても、お互いにまだ愛し合いたいって、確認し合う。
日が変わるにはまだ早い、からね。
「あぁ♡ふうっ♡すごいっ♡すごいっ♡」
真っ暗で、街の光だけが光源の部屋。
そのままベッドまで連れて行かれて、ボクは両腕を後ろから掴まれて、後ろから攻められてる。
「ふかいっ♡ふかいっ♡きもちい♡あぁ♡ふうっ♡すきぃ♡」
向かい合ってする時よりも深く、強くドクターのものが当たって、乱暴に求められて何回も甘く果てるのを繰り返してる。
「けっこう、あるな、ラップランドの胸」
「あ゛♡むね、だめ、揉まないで♡おかしくなるっ♡びりびりしちゃう、からぁ♡」
後ろから伸びてきた左手に胸を鷲掴みにされて、抱き寄せるように揉みしだかれて、身体中がびりびりした戦慄が走ってお腹の奥が切なくなる。
「ああああ♡先っぽ、ダメぇ♡あふっ♡イくっ…♡♡♡」
先っぽを爪先で弾かれて、摘まれて、その度に快感が全身を駆け巡って、身体中の力が抜けていく。
その度にドクターは妙に動きを止めて、考え込むような唸り声を上げる。
「あ、は…♡ふーっ、ふーっ♡はぁ…♡…?どうした、の、どくたー?」
「あ、あぁ、いや、その、大したことじゃないがな、ラップランドが達するたびに、尻尾が顔に当たってな」
「あぁ…ごめん…がまん、出来なくて、こんとろーる、できないや」
どうやらボクの尻尾が、イく度にドクターの顔を無意識に叩いていたみたい。体の力は入らないのに、ここだけ元気いっぱいに吊り上げてて、まるで興奮したケダモノみたいに今もドクターの顔を撫でている。
「…そうだ、こうするか」
「えっ、あっ、ダメっ」
「そら、よっと」
そう思ってたら、その尻尾をドクターに掴まれた。
多分、悪気はない。揺れないように軽めに握って、顔に当たらないように押し込もうとしたんだと思う。
でも、今の体にその刺激は、ダメだった。
「あ゛っ!?ふっ、わふっ、クるっ、きちゃうっ…♡あ゛、あああっ…♡」
「うわっ、ラップランド、お前っ…うぐっ…」
ドクターの掌の熱が、硬さが、強烈な刺激に、甘美な快楽になって尻尾から全身に駆け巡って、きもちよすぎて、ドクターを強く締め付けてしまう。
ぼやける視界、蠢くドクターのもの、じんわりと感じる白濁。
お互いに、果ててしまった。
「どくたー、しっぽ、ダメっ…♡おかしくなる、おかしくなっちゃう、弱いからぁ、ダメっ♡」
「………」
「えっ、あ゛あっ♡ダメだってぇ♡なでちゃ、いやぁ!あ゛っ♡ひいっ♡わふっ♡あ♡ダメぇ♡」
未だ射精しているのにドクターは腰をボクに叩きつけて、ボクのしっぽを指で梳かすように撫で上げてくる。
きもちいい、が、とまらない。
もうずっといきっぱなしにされちゃう。
こわれちゃう。まけちゃう。
「いいぞっ、ラップランド、凄くいいな、しっぽ撫でると、きもちいいな、きつくなって」
「よく、ないっ♡よっ♡あ゛っ♡わふっ♡ひぃっ♡あ゛っ♡ダメっ♡イクっ♡わふぅ♡ふっ♡ふーっ♡わふっ♡」
犬みたいな喘ぎ声が止まらない。
全身の力が抜けて、しっぽを掴まれて、胸を乱暴に揉みしだかれて、トロトロの顔、みられちゃってる。
「ほらっ…もう、少しだ、もう少しでっ、俺に、勝てる、かもしれないぞ?」
「あはっ♡わふっ♡むりっ♡むりぃ♡そんなの、むりっ♡あ゛、あぁっ♡」
いつぞや戦場で口走ったボクの独り言を真似されて耳元で囁かれても、抵抗も反論も出来ないで負けてしまう。
もう、心も体も、ドクターに2度と勝てないって、敗北を認めてて、受け入れてて、愛されるのを、孕まされてしまうことを、望んでる。
「どくたぁ、どくたぁ、いつか、産みたいっ♡どくたーの、こどもっ♡でき、たらっ、いい?いいよねっ♡」
「…っ、あぁ、いいぜ、ラップランドが欲しいならっ…俺は、永遠に養ってやるよ!」
「あぁ♡うれしいっ♡うれしいっ♡だいすき♡あいしてるっ♡どくたー♡」
力の入らない上半身をも抱き寄せられて、尻尾の根元を強く握られて、逃げ場なく密着させられて、体の奥底を執拗に突かれながら、ボクたちは懸命に舌を絡め合う。
「いくぞ、ラップランド、奥に、できるように、してやるからな」
「うん♡うんっ♡きてっ♡ボクに♡注いでっ♡」
その瞬間、ドクターのものが一番奥まで突き刺さって。
いろんなものが、はじけとんだ。
「あ゛あ、あああっ♡あ、あ…♡ああっ…♡」
お互いの、今日一番の大きな絶頂。
体の中を膨大な熱が満たしていく。
ボクの心も、幸せと喜びに屈服して、声にならない幸福に溺れゆく。
「ふーっ…ふーっ…はぁっ、わふぅ…ん…♡」
お互い力尽きて、シーツに身を委ねて、それでもお互い抱き合いながら口づけを交わす。
そのまま長い間、ボクたちは繋がったまま余韻に浸っていた…
◇ ◇ ◇ ◇
「ラップランド…起きてる?」
「ん…なんとか…」
しばらくして、お互いに落ち着いてきた頃にドクターが口を開いた。
「さっき約束したこと…嘘じゃないからな。絶対、キミの願いを叶えてみせる」
ボクの体表の鉱石を撫でながら、もう片方の手で抱き寄せてくる。
「そのオリパシーだって絶対治して、キミの中の狂気も癒して、なんの心配もなく安心してキミが幸せになれるようにしてやる」
「だから、これから先も俺の歩みを手伝ってくれ。キミと一緒に、幸せになるために…」
あぁ。
ドクターは本当にボクを愛してくれているんだね。
こうやって二人きりで抱き合ってるだけでも十分幸せなのに、まだボクの願いを叶えようとしてくれる。
嬉しくて、また体がほてってしまいそうだ。
「うん、うんっ、ボクも、ずっとキミのそばにいるよ…キミの夢を叶えるために、キミと幸せになるために…」
「…愛してる、ラップランド」
「…ボクも、愛してる、ドクター」
何度目かわからない愛の誓いと、濃厚なキス。
そのままボクらは、睡魔に負けるまでお互いに口づけを交わし続けた。
ボクらは短針と長針のように重なり合って、愛に落ちた。
ドクターのお陰で、前に進むって決意したけども。
この瞬間だけは、永遠に続いて欲しいな、って思ってしまった。
———重なった時針からいつか、秒針が生まれてくる時を、待ちわびながら。
おまけ
〜二人がシエスタにいる頃のロドス…ペンギン急便の溜まり場〜
「…つまり今頃、あの二人はシエスタでいちゃいちゃらぶらぶしている訳、と」
「まぁ、そうなるだろうな。お陰で鬱陶しいのに絡まれなくて済む」
「えー?最近あの子変な絡み方してこないから、そんなこと気にする必要ないのに」
「………」
「それに、クロワッサンから聞いたよ?あの子に私服を提供したの、テキサスなんでしょ?わざわざオーキッドさんにまでお金渡して、見繕ってやってくれって」
「…さぁ、なんのことやら」(あとであの口の軽い守銭奴は折檻だ)
「ふふふ、まぁドクターに押し付けようとしたことにしてあげるよ。あたしが入り込むところじゃないしね」
「…勝手にしろ」
「でも、じゃあテキサスさん…ドクターがロドスから抜け出しているのなら、今ここにいるドクターって誰なの?」
「あぁ、あれか?あれは…」
「僕です!!!」
「えっ!?あっ、本当だ、バイザー外したらバイソンくんだ!?なんで!?」
「ドクターに!危機契約のトランスポーターの仕事を融通してもらう代わりに!引き受けたらこのザマです!」
「そういえばバイソンくんやりたがってたもんね、危機契約のお仕事…」
「もう散々ですよ…シークレットブーツは硬くて痛いし、声は出したらバレるから喋れないし、カーディさんは抱きついてくるし、モス姉にはバレてからかわれるし、挙げ句の果てアーミヤさんになんだかよくわからない濁った瞳で見つめられるし…引き受けるんじゃなかった…」
「うわぁ…ご愁傷様…」
(ドクターも折檻しておくか)
※ドクターなりきりセット…ドクターとラップランドの関係を知っているクロージャとクロワッサンに、ドクターが高額の口止め料…もとい、投資を行って完成した代物。一応、研究目的はドクターが狙われた時の陽動・影武者用。ワルファリンが密造していたのでドクターが没収したドクターのフェロモンを活用。鼻の効くペッローやループスすら欺くいつもの白衣と黒コート、着用者の身長に合わせて靴底を変えられるシークレットブーツ、声をかけられたときに対応できるドクターのボイス100種類。
※後日ドクターはテキサスにキャメルクラッチを喰らい、ラップランドとテキサスの本気の殴り合いに発展するのだが、それは別の話。
これにてラップランドのお話は一区切りとなります。
長針と短針が重なるのはたった一瞬。しばらくすれば二人とも己の戦場に身を投じるのでしょう。
ですが二人の愛と絆は決して絶たれることはありません。二人は永遠を誓ったつがいなのですから。
──願わくば。
重なる二つの針からいつか秒針が産まれ、二人の意志を継ぎ、世界を救う英雄にならんことを。
次回更新は8/22、0時予定です。
ヒロインは正義感にあふれたポニー警察、グラニです。
次回作『引かない!』、どうかお楽しみに。