今回のお話はゆっくりと心と体を寄り添わせていって、ついにゼロ距離になるドクターとアブサントのお話です。
アブサンの炎はきっと彼女の思い出だった
それを貴方に見せるということは──きっと貴方は彼女の一部なのだろう。
終わりまで貴方といたいという意志なのです。
どうか良ければお目通しください。
きっかけは確か、彼女の2回目の昇進の日。
アブサントからの告白だった。
「ドクター。私と…付き合って欲しい」
彼女に2度目の昇進の内定を伝えたその日の夜。
突然執務室にやってきた彼女は、白い頬を赤らめて僕に告げた。
「苦しくても、先の見えない状況でも、前に進もうとできるドクターが好きなの…私もその歩みの側で、ううん、隣で一緒に歩みたい」
「…だから、もっと、ドクターのことを知りたい」
正直面食らった。
彼女の弱音を聞いてあげたり、落ち込んでいた彼女の頭を撫でてあげたり…踏み込んだ交流が多かったのは確かだ。でも、そこまで特別なことをアブサントにしてあげたつもりはなかったつもりだった。
だから、恋という形まで好感を持たれていることに内心とても驚いた。
大企業の重役としては、一部のオペレーターを優遇するなんてことは許されないだろう。でも、耳まで真っ赤に染めて、俯きながら告白の返事を待っているアブサントを見てると、自分の良心がどうしようもなく渦巻いて、拒否という判断は取れなかった。
結局、「執務室で二人で過ごす時間を取る」という形で、彼女の告白を受け入れることにした。
…アブサントはまだ子供だ。だからきっと彼女のこの恋心は、いつか記憶の底に埋もれるような、憧れの年上への初恋みたいなものだろう。
それでも、僕がアブサントの恋を受け入れることで、今もなお自分の夢見た正義に悩む不安定な彼女の心の支えになるのなら、出来る限り付き合ってあげたいと思ったんだ。
そんな僕の思惑を知って知らずか、告白が受け入れられたアブサントは、泣いて喜んだ。
…その時押し当てられた唇の感触と初めてみた彼女の満面の笑顔に僕の下心が灯ったのは、その先の展開を予測していたのかもしれない。
それから週に1、2回、アブサントと2人きりで過ごすようになった。執務室で、彼女の部屋で、誰もいない甲板の上で…。
最初はどう接するべきか分からなかった。
それはアブサントも同じのようで、しばらくはただ2人で、同じ空間にいるだけの時間が過ぎていった。
でもその距離感は、すぐにアブサントが縮めた。僕の肩に頭を乗せるようなスキンシップから始めて、その日にあったこと、感じたことを僕に話すようになった。
久しぶりに他のオペレーターと会話ができたこと。
この前の戦闘訓練で手応えのある成果を得たこと。
また悪夢を見て寝れなかったけど、ドクターがそばにいれば怖くないということ。
関係以前では見せてくれなかったアブサントの、「過去」ではなく「今」の感情。
少し前向きになって、それを楽しそうに、嬉しそうに話してくれる彼女の顔は少し、生気が戻ってきていた。
いつしか僕もアブサントの肩を抱いて、自分の遭遇した出来事や思いを彼女に話すようになった。
気がつけば、アーミヤやケルシーにも話したこともない自分の葛藤や苦悩も、アブサントには話してしまっていて。
僕達はお互いの思いや感情を自然に共有できるようになっていた。
そうやってお互いに関係を深めていくうちに、アブサントは変わった。
目のクマが少なくなって、細かった手足にうっすらと筋肉がついた。
低かった体温が、少しずつ上がってきた。
僕だけでなく、他のオペレーターにも笑顔を浮かべるようになった。
3食残さず食べるようになった。
ボサボサだった髪の毛が整えられて、少しずつ長くなってきた。
グムやイースチナと仲良く話をしているところを見るようになった。
…とても、綺麗になった。
相変わらず、苦悩はしているのだろう。たまに弱気になって僕に泣きつくことは、今でもたまにあるから。
だけど、常に陰を纏い、いつか折れてしまいそうだったアブサントはもういなかった。
「やっとね、自分が信じる信念と、守るべきものが見えてきたの。ドクターのお陰だよ」
僕との2人きりの時間が終わる直前、口付けと共にアブサントが告げた言葉。
その言葉を聞いた時、彼女が少しずつでもかつて見失った自分の正義を取り戻すことができたのだと実感したんだ。
そして…僕自身も、アブサントに対する感情が変わっていた。
少し前向きになって、笑顔が増えて、とても綺麗になったアブサントを、僕は手放したくなくなっていた。
彼女の笑顔を見ると、鼓動が早くなる。
彼女に抱擁されると、体温が高くなる。
口付けを交わす度に、下心が湧き立つ。
朱が刺した肌、柔らかな体、真紅の瞳。
こんなに強く、綺麗で、可愛い女性になったアブサントが、僕を選んでくれたことをとても喜ばしいことだと感じるようになっていた。
…いつか終わる初恋だと決め付けていた僕が、だ。
終わりたくない。
終わらせたくない。
想いが高まる毎に、アブサントと二人きりになる回数と時間は増えていく。いや、僕が増やした。
内面をお互い一切合切残さず曝け出して、弱音苦悩後悔を語り尽くした頃には。
僕たちの交際が始まってから、丸1年経っていた。
◇ ◇ ◇ ◇
夜、日が変わる少し前。
「では、1周年を記念して、乾杯」
「うん、乾杯」
僕とアブサントは執務室でお酒を酌み交わしていた。
彼女はウルサス人が好き好む蜂蜜酒を、僕はアブサントがプレゼントしてくれたお酒を、おやつネットで仕入れてきたブツをツマミに、二人きりの細やかな祝杯を楽しんでいる。
….といっても、することはいつも通りだ。
お互いに日常を語り、肩を寄り合わせ、満足するまで側にいる。
最早日常の一つにまでなったとも言える逢瀬に、少し食べ物やお酒が増えた程度のことだ。
…そのいつも通りが、1年間彼女と付き合って変化した僕の思いを、僕の感情を揺らす。
(本当に今日、いつも通りで終わらせていいのか?)
何度も心の中で反芻する自問自答。
わかっている、わかっているけども、その答えを出してしまうのが怖くて、今まで何度も無視し続けて来た。
だけど。
今僕の目の前で、お酒に入れる角砂糖が、穴の開いたスプーンの上で燃えて、崩れていく様を見ていると。
——まるでそれは僕らの今の関係のようで…
「………」
「………」
お互いに、グラスに落ちて溶け消えてしまいそうな角砂糖を見つめて、言葉に詰まる。
まるで、付き合い始めた頃に戻ったかのような空気。
何を話せばいいかわからなくなる、この空気。
あの時はアブサントから動いた。
なら今度は…僕が、動く番だ。
「アブサント」
「ん、なに」
呼びかけると彼女は僕の方に視線を向ける。
1年前よりも柔らかくなって、少し赤みのかかった横顔は、僕の呼びかけにどこか期待を込めているように見える。
「綺麗に、なったね」
お陰で、心からの想いを口に出せた。
「…うん」
アブサントの嬉しそうな、上擦った声が耳に残る。
「一年前はいつか折れて壊れてしまいそうだったのに…本当に、変わったね」
手を伸ばして、柔らかくしなやかになったアブサントの肩を抱く。
「…僕は、君の心の支えになれたらいいな、って思って、君の告白を受け入れたんだ」
「だから、君が強く、綺麗になったのがとても嬉しいんだ」
「…だから、君を失いたくなくなった」
「君の笑顔に、僕も支えられているんだ」
肩に回す腕に、自然と力が入った。
アブサントは僕の腕を拒まず、ゆっくりと体をこちらに預けてくる。
「アブサント…僕は君が好きだ。沢山の中から僕を選んでくれたことが本当に嬉しいんだ。…ずっと、側に、いてくれ…」
ずっと伝えたかった想いを全て口にして、両腕で背中から彼女を抱きしめる。
僅かな沈黙。
鼻を啜る音が、それを破る。
アブサントが振り返って、そのまま僕にキスをした。
「…嬉しい、嬉しいよ、ドクター…」
彼女の両目からは、今にも溢れそうなほどの涙を湛えていた。
「…私もね、優しくしてくれるドクターから、私に道を示してくれるドクターから離れたくないから、ドクターに告白したの」
アブサントが、僕の胸元に顔を埋める。
まるで泣き顔を隠すように、グリグリと目元を僕のシャツに押し付ける。
「恋って感情で、ドクターのこと、縛ろうとしたんだ。離れたくない、捨てられたくないって思いで、一心で…」
「だけど、ドクターと付き合って、ドクターと私たちの苦しい事、辛い事、お互いに話し合って、それで気付けたんだ。ドクターみたいな優しくて強い人でも、たくさん悩んでいるし、苦しんでいるんだって…」
「そう思ったら、色んな事が許せるようになったんだ…幸せそうな人たちもみんな、表に出さないだけで悩みをみんな抱えているんだって思ったら…」
「悩んでいるのは私だけじゃないんだって、気持ちが楽になれたんだ」
胸元に埋めていた顔を上げて、アブサントが微笑んだ。
穏やかで、真っ赤で、涙が拭いきれてないけども、綺麗な笑顔だった。
「ドクターは私の心に翼をくれた。何処にでも行けるように…今なら私、ドクターがいなくたって挫けない。自分の正義を信じられる」
「…でも、それでも、私はこれからもドクターの側にいたい…!ずっと苦しみながらそれでも進んできたドクターの支えになりたい…!」
「…私もドクターが大好き…うん、大好き…!ずっと離れない…!」
アブサントの瞳から、拭ったはずの涙が再び零れ落ちる。その涙を見ていると、自然と僕も涙が流れていた。
お互いの泣き顔を見つめ合って、自然とお互いに笑みが溢れて。
同時に、唇を重ねた。
触れるだけのキスを何度も角度を変えて、次第に貪るように舌を絡め合う。
1年間の交際の間、お互い侵さなかった領域を破った。
本当の意味で、僕らは恋仲となったから。
息が続く限り、意識が続く限り、この胸の中で僕と同じぐらいに夢中なアブサントと口付けを交わし続けた。
あれから何分たっただろうか。
絡めていたお互いの舌から透明な糸が落ち、荒い呼吸が治まってきたあたりでアブサントが呟いた。
「…今日、ドクターと一緒に…朝まで、一緒にいても、いい?」
その表情は真っ赤で、同時に艶やかで。
願いの真意は僕でもすぐに理解できた。
「勿論だ、アブサント…おいで」
彼女の手を取り、僕は執務室の奥───寝室に案内する。
心も、体も、密着させて。
アブサントをベッドに寝かせて、ドクターは覆いかぶさるように彼女にキスをする。
ついさっきまで、執務室で息が切れるほどにしていたのに、二人とも飽きずにまた舌を絡め合う。
「ふうっ…んんっ…ぷはっ…ドクター…」
「アブサント…本当に、綺麗になったな…」
恍惚な表情を浮かべるアブサントの頬を撫でながら、ドクターはその手を下に下ろしていく。
長く伸び、既に腰まである灰色の髪の毛を撫でながら、彼女の胸に触れる。
「あ、はっ…」
反射的に、アブサントから声が漏れる。
いつもの低い声ではなく、快楽を帯びた甘い声。
初めて聞く彼女の嬌声に、ドクターの理性は一気に溶けていく。
彼女を異性と意識し始めた時から視線が向くようになったアブサントの胸を、抱擁の度に柔らかく体に押し付けられていたその胸を、両の手で揉みしだく。
「あ、あっ、固い、ドクターの、手…あっ♡」
アブサントの甘い声が徐々に大きく、高く響く。ドクターの掌に収まらない乳房は彼が想像していた以上に柔らかく、そして大きい。
もっとその柔らかさを堪能したいと言わんばかりに、ドクターはアブサントの上着のファスナーに手を伸ばし、そのまま一気に下ろした。
「…え」
脱がした上着の下にあったのは、色気のない白地のタンクトップ。だが、薄らと小高い山が、ピンク色の隆起が汗ばんだ布地から透けて見えていた。
「…下着、つけて、ないのか、アブサント」
「い、いつもはしてる…でも、ドクターと会う時はいつも夜だし…それにドクターになら抱かれてもいい、って思ってたから…。恥ずかしい、けど…どう?」
彼女の衝撃的な着込みに少し理性を取り戻したドクターの問いに、アブサントは恥ずかしそうに、消え入りそうな声で答える。
彼女が自分のために、恥を捨てて下着をつけずにいた。
その事実が、ドクターの理性を再び溶かしていく。
「あ、ああっ!?あっ♡は♡だめ、どくたー、摘んじゃ、ダメっ」
容赦なくドクターはアブサントのタンクトップの隆起を摘み上げる。硬さと柔らかさを併せ持った彼女の乳首を、二本の指で摘み、挟み、親指で押し込む。
「あ、いやっ、押し込むの、だめっ、おかしくなる」
布地越しでも確かに伝わってくる刺激に、アブサントは身動ぎしながら甘く喘ぐ。
その喘ぎ声がたまらなく愛おしく、ドクターは再び彼女と唇を重ねる。
塞がってもなお漏れるアブサントの喘ぎ声。
くぐもった音色が更にドクターの興奮を誘う。
キスは続けたまま、タンクトップの中に手を入れて、そのままゆっくりとたくし上げていく。
白い乳房が重力に逆らえずたゆんと溢れ、その白目の肌に浮かぶ鮮やかな突起をドクターは容赦なく口に含む。
「あ、あ、ふぅっ、や、すっちゃ、やだ…」
口ではいやと漏らすアブサントだが、その表情にはわずかに笑みが漏れていて、与えられる刺激とビリビリするような快楽に興奮していた。
「あ♡はっ、すごいっ、噛まれるの、すごいっ、ぞくぞくするっ、きもちいい…♡」
乳首を甘噛みされて、溜まらず声が漏れ出す。身体中に気持ちいい刺激が走って、お腹の下がじんわりと疼いて、堪らない。
いつのまにか、彼女も両手でドクターの太ももを撫で回していた。
「あっ、は、どくたー、どくたーのも、触らせて…」
アブサントがズボンに手をかけ、下着ごと強引に下ろすと、熱を持った欲望が姿を現す。
「わ…すごい…」
初めて見るそれに、アブサントは思わず感嘆の声を漏らす。
知識でしか知らなかったそれに触れると、心臓のような律動と火傷しそうな熱が伝わってくる。
「くっ…う、アブサント…」
半身を起こし掌で撫でると、ドクターが体を震わせて呻き、アブサントの手の中で熱と律動が更に高まっていく。
「ドクターも、興奮してる?きもち、いい?」
「あぁ…してる、よ…ぐっ」
アブサントのぎこちない愛撫と上目遣いが、ドクターの下半身にこの上ない情欲を与えてくる。
「なんだか…へん…すごく…どきどきする…ん、んちゅ…」
そして、彼女がおそるおそるその先端に口づけした瞬間、彼の体は感情と関係なく暴発した。
「うぐっ、あ、やばい、あぐっ…」
跳ねて、白濁が飛び出して、アブサントの顔を汚す。
「ひゃっ…!?あ、これ、これが…」
彼女は少し体制を崩したが、すぐに立て直して、顔についたドクターの白い体液を掬う。
指先に絡むその液体が、なぜか堪らなく愛おしい。
「ごめん、アブサント、我慢できなくて」
「…ん、大丈夫…」
ドクターの謝罪に上の空で返事をしたアブサントは、そのまま指の精液を啜った。
「あ、お、おい、アブサント!?」
驚くドクターを尻目にアブサントは構わず口に含んだ白濁を転がす。
僅かに感じる熱、絡みつくような粘り、鼻をつく匂い、引っかかるような苦味。
不快に感じるような感触ばかりなのに、アブサントはその全てが愛おしく、そして切なかった。
(これが…私の、中に、注がれるんだ…)
そう思うと、さっきからずっと感じていた下腹部の疼きがじんじんと増していく。
目から自然と涙が溢れ、下着が湿っていくのを感じる。
「…っ」
ドクターも、妖艶な雰囲気を纏い、恍惚な表情で自分の精液を丹念に味わっている彼女を見て、生唾を飲み込む。
既に一度ぶちまけたはずの欲望がぶり返して、反射的にアブサントを抱き寄せる。
彼女の下腹部に、ドクターの熱が当たる。
「あ…♡」
ドクターの意図を理解して、アブサントも反射的に体を震わせる。
彼の手が彼女の下着を強引に抜かしていく。
下着から糸を引くほどに、アブサントの秘部は濡れていて、既に受け入れる準備ができていた。
「あ、そうだ、ゴム、しないとな」
そのままアブサントの腰を持ち上げようとしていたドクターは、脱ぎ捨てたコートに手を伸ばそうとする。
だが。
「…いや」
「え、ちょっと、アブサント?」
アブサントがその手を制し、そのまま自分の腹部に当てがわせた。
「どくたーの、欲しいの…」
「で、でもな、流石に、避妊はしないと」
予想外の行動に慌てるドクターに構わず、アブサントはドクターの先端を自分の入り口まで導く。
「あとで、くすり、のむから…お願い」
荒い息、甘さを含んだ声色、溶けてしまいそうな赤い頰で、アブサントはドクターの耳元で、振り絞るように懇願する。
「私にどくたーのぜんぶ…刻んで」
その瞬間、ドクターの最後の理性が弾け飛んだ。
「あ、ああっ!?ふ、ふぅっ、ひゅ、あ、ああっ…♡」
腰に添えていた両手に力を入れて、触れ合っていた熱を強引にねじ込む。
なんの障害もなく、二人は一つになった。
「はっ…はっ…どうだ、お望みどおりだ…きもちいいか?」
「あっ、あ、あは、わかんない、わかんない、けどっ、すごい、熱くて、固くてっ、幸せ、いい、いいっ…♡」
自分の体にドクターの一部が入り込んでいる、自分が犯されているという事実が、アブサントの体と思考に熱を与えていく。
ドクターが彼女の体を激しく揺する。
「あ゛、いやっ、あ、ふ、はっ、はげしっ」
荒い息で目の前の雌を蹂躙する。
「あぁっ♡いや、いいっ、おくっ、当たるの、いいっ♡」
彼女の奥深くまで、己を突き立てる。
「あ゛、いやっ、むね、だめっ、おかしくなるっ」
激しく揺れる双丘に口付けし、片手で彼女の体を抱え、長い髪を振り回しながら甘美な刺激に溺れるアブサントを堪能する。
「あ…ふぅっ…好きっ…どくたー…好き…♡」
アブサントも両腕をドクターの体に回し、懸命に抱きつく。絶対に離れないように、出来る限りの力を振り絞って、体を密着させ、彼の激しい抽送に合わせて腰を動かす。
固く、乾燥したドクターの胸板が胸の先端を潰すたびに、彼の鼓動がアブサントに響いてくる。
彼の腰と自分の腰がぶつかり合うたびに、肺から何度も甘ったるい声がでて、下腹部の奥底の切なさが止まらなくなる。
激しくて、早くて、心地よくて、気持ちいい。
「くっ…ぐ、アブサント…ッ、そろそろ、やばいっ…」
ドクターの表情が歪み、アブサントを強引に抱き寄せる。
律動が激しくなり、膨れ上がるような感触に、彼女はドクターが限界に近づいていることを悟った。
反射的に両脚をドクターの胴体に絡ませて、強く締め付ける。
ドクターの全てを、余す事なく受け取るために。
「ドクター、っ、あ、どくたー、きて、ぜんぶ、ぜんぶ、ちょうだい」
「う、ぐっ…いいん、だな、アブサント、本当に、いいんだなっ?アブサント…ッ」
「うん、うんっ、どくたーならいいっ、最後まで、さいごまで、いこうっ…♡」
「わかった、君がいいならっ…ぼくも…アブサントの中で…ッ」
お互いの両腕と両脚が相手の体を強く締め付けて、腰を深くぶつけ合った瞬間。
アブサントの中で、ドクターの熱がぶちまけられた。
「あ、あっ!?あ、あああああっ!?でてるっ、わたしの、なかでっ、でてるっ…♡あ、あぁ、あああぁっ…♡」
自分の中で膨らみ、爆発したかのような熱と確かに伝わってくる白濁の注がれる感触に、アブサントの意識はチカチカと弾け飛ぶ。
絶頂し、強張る体での快楽の逃し方がわからなくて、ドクターの肩に顔を預け、噛み付いてしまう。
それでもなお際限なく流れ込んでくる歓喜と快楽から逃れられず、強く巻きつけた両腕の指を彼の背中に食い込ませてしまう。
「ぐっ…う、ぐっ…は、あぐっ…」
ドクターも自分を強く、きつく抱きしめるアブサントの膣内に欲望を注ぐ度に、腰が抜けてしまいそうな快感に襲われて、アブサントの背中と頭を強く抱きしめる。彼女の歯が齎す痛みすら気に留めず、その掌で何度もその背中と長く伸びた髪を撫で回し続ける。
「ふっ…♡あ、は…♡あっ、んっ…♡」
アブサントの喘ぎ声と、ドクターの荒い呼吸音、お互いの心臓の鼓動だけが煩く響く。
先に力尽きたのはドクターだった。
アブサントの体に脱力した彼の体重がかかり、ドクターに抱きつくだけの力しかなかった彼女はそのまま押し倒される。
ドクターが抱き潰すような体制。
それでも二人とも、お互いの体は抱きしめあったまま、繋がりあったまま。
未だ燻る快楽の余韻に浸り合っていた。
「はーっ…ふ、ぐ…くそ、ちから、はいらない、な…」
ようやく意識の浮遊から戻ってきたドクターは、己の下にいるアブサントを解放しようと腰を持ち上げるが、力は未だ抜けたままでなかなか立ち上がれない。
どうにかしようと四苦八苦するドクターの体に、再びアブサントの脚が絡み付いてくる。
彼女の顔を反射的に見つめるドクター。
未だに赤く上気し、無数の涙の跡が残る頬を緩めて、アブサントは微笑んでいた。
「だめ…はなれちゃ、だめ。このままでいいから…」
そのまま両手をドクターの顔に当てて、唇を重ねてくる。その手は彼の髪の毛をなぞり、首に回っていく。
「ぷ、はっ…ふ、ふふ…すごく、よかった、ドクターとの、セックス…」
アブサントは何度もドクターの顔中に唇を当てて、甘い吐息を吐きながらポツポツと呟く。
「んっ…ドクターがこんなにも、私を求めてくれて…ふふっ、強く、抱きしめてくれて…全部愛してくれてる…」
アブサントががドクターの下で体制を変えるたびに、お互いの気持ちいいところが擦れ合って、再び治りかけていた熱が戻ってくる。
「…私、ドクターのこと、守りたい。命だけじゃなくて、心まで…全部」
「だから、怖かったら叫んで欲しい」
「辛かったら、全て吐き出して欲しい」
「悲しかったら、泣きついて欲しい」
「私があなたにしてもらったように…私の折れた心を治してくれたように…私もドクターの心の支えになりたい…」
「だからドクター…遠慮せず、私に…身も心も、預けてもいいから、ね?」
「あなたと寄り添い合って、支え合って…終わりまで…ずっと一緒に、いたいから…」
唇が微かに触れ合う距離での、アブサントの独白。
迷いの消えた真紅の瞳は、力強く、けれども優しく、涙で揺らめきながらドクターのことをまっすぐ見つめている。
ドクターはその言葉と瞳に、揺るぎない確かな信念を感じた。
彼女のために、肘と背筋でわずかに浮かしていた体を全てアブサントに委ねる。全体重をアブサントにかけて、腕に力をまわして抱きしめる。
言葉通り、全て彼女にもたれかかって、深く唇をも押し付ける。
「アブサント…好きだ、大好きだ…全部、大好きだ…」
「ドクター…私も、んっ、好きっ、愛してるっ…あっ♡」
お互いに心の底から湧き上がる感情を口に出して、いつのまにか体を擦り付け合って、再び二人は混じり合い合っていた。
「あっ、は、ふっ♡あ、いいっ、擦れるの、いいっ♡」
大きな胸がドクターの腕と体重で押しつぶされ、先端ががドクターの固く乾燥した肌に引っかかるたび、アブサントの身体に先ほどの貪り合う交尾以上の快感が駆け巡る。
腰を押し付け合えば結合部は深く絡まり、彼女の奥底の大切なところを押しつぶして、お互いの劣情と熱が加速していく。
肌が触れ合っている全ての場所が愛おしく、熱い。
体も心も融けて、一つになっていくような感覚に二人は溺れていた。
「ぐっ…は、やばいっ…これ、さっきよりも…きもち、いい…」
「うんっ…あっ♡ほんと、だねっ、きもちいいっ、しあわせ、とまんないっ♡」
静かで、ゆっくりで、けれども情熱的な混じり合い。
お互い体をわずかに擦り合わせ、残った力を腰に回して、繋がり合う熱を堪能する。
いつしか二人分の体重に耐えられなくなり、アブサントの体から離れたドクターの手が彼女の手と触れ合い、指先が絡み合う。
その手を固く握りしめ、二人は上り詰めていく。
ドクターが足でベットから落ちかけていたブランケットを引っ張ってきて、お互いの体に被せる。
まるで今生まれている熱を逃さないようにするかのように。
あっという間に薄布の中は淫靡な熱が籠り、お互いの体を汗ばませていく。
「っは、あついっ、あったかいっ、しあわせっ…♡」
熱に浮かされたアブサントの喘ぎ声で、再びドクターの欲望が膨れ上がる。
2回目の絶頂を感じた二人は、最後の力を振り絞って、全体重を、全ての体力を腰に集中させる。
熱が弾ける。
「あ、ぐっっ、ぐっ、う、ぐっ…!は、ぐっ…」
「あ゛あっ♡あ、あぁ♡あ、あついっ、すごいっ、あ゛っ、イ、くっ…♡あああぁっ…♡」
深く、隙間なく繋がり合って注がれる愛。
1回目と遜色なく、激しく、噴火のような脈動に、二人は歓喜の声を漏らす。
もはや声にならないほどに疲弊していた彼は
、せめて今湧き上がり続ける感情をアブサントに伝えるために、己の口を彼女に重ねる。
アブサントも応えるように舌を絡ませ、二人はそのまま意識がなくなるまで、口付けを交わし続けていた…。
──
────
──────
『…要救助者1名。飢餓状態だが感染はしていない。誰でもいいから医療班を回してくれ』
『…聞こえるかい?助けに来たぞ』
『…っ』
『…違う。違うよ。私は君の…お父さんじゃない』
『…でも、私は…僕は、君を助ける』
『例え君がここで死にたいと私の手を拒んでも…必ず救う。君の命も、心も』
『必ず、僕の手の届く範囲の命は、できる限り多く救ってみせる』
『これが僕の、決意なんだ…』
◇ ◇ ◇ ◇
《どうしてあの時、自分が父親だと嘘をつかなかったのかって?》
《…それは、君を呪いたくなかったからなんだ》
《僕の仲間に、その呪いに縛られた親子がいた》
《二人は強い絆で結ばれていたけども、最期はお互いすれ違い、報われずに逝ってしまった》
《…二人が出会った時に、そっくりだったんだよ、あの時》
《…言葉は時に人を縛る。さっき話した親子のように…君を僕という存在で縛りたくなかったんだ》
《…いや、いいんだよ。今の関係は全然、呪いなんかでも縛りなんかでもないさ》
《だって、あの時から時間をかけて考えた上で、僕と何回も交流した上で、僕の事を知りたい、側にいたい、って選んでくれたんだろう?》
《それならきっと、君の今の想いは縛られたものなんかじゃないさ》
《アブサント自身の、心の底からの、偽りない願いだ》
──────
────
──
光を感じて、目蓋を開ける。
カーテンの隙間から漏れた光だけの部屋の天井と、そして私の上で静かな寝息を立てるドクターの肩が視界に入る。
ぼんやりとした思考に昨日の情事が思い浮かび、脳が覚醒していくと同時に、繋がっていた部分が熱くなる。
そして、ついさっきまで見ていた夢…チェルノボーグでドクターに救助された時のやりとりを思い出す。
今思い返せば、ドクターはずっと、初対面の時から、私の事を思ってくれていたんだ。
私が何かに縛られる事なく、生きていられるように。
私はその優しさに救われた。
同時に、私の事を慰めて、手を差し伸ばしてくれるドクターのそばから離れたくないとも思った。
彼のそばじゃないと、息ができないと思うほどに。
ロドスには私よりも優秀なオペレーターは沢山いる。
いつか私は用済みになって捨てられてしまうんじゃないかと、心が弱っていた私は考えた。
今思えば、私はだいぶ…ドクターに依存、していたんだ。
だから恋って感情を偽って、ドクターのことを縛ろうとしたんだ。
ドクターの側にいられるのなら、心も体も捧げていいと思った。
それ以外の場所で生きるという選択肢を選ぶのが怖かったから。
やっと少し信じることのできた自分の正義をまた見失った時、ドクターに頼れないのが怖かったから。
優しいドクターは私のために、私の告白を受け入れてくれた。
二人きりの時間を設けて、私の他愛のない話を聞いてくれた。
そして、夢で見たように───私の依存を、許容してくれた。
私とドクターの関係を、縛りでも呪いでもないと言ってくれた。
それから胸につかえていた罪悪感が消えて、それで…やっとドクターに、自分の過去を打ち明けることができた。
ドクターは一つ残らず私の話を聞いてくれた。
そして、ドクターも話してくれた。一部の人間しか知らない、ドクターの過去を、そして誰も知らないドクターの苦悩を。
過去過ちを犯したこと。
ロドスの前身組織の、大切な人を自分の手で消したのかもしれないこと。
挙句、血も涙もない指揮をして、たくさんの人を失ったこと、恨まれたこと。
なによりも辛いのは…それを全て忘れてしまったことだと。
平静を保つ振りをして、唇を震わせていたドクターを見て。
私はやっと気づくことができた。
どんな人でも、消せない過去や苦悩があるということを。
例え、父さんとは違う強さと優しさを秘めたドクターでも…悩んで、苦しんで、それでもそれを隠して生きているのだと。
いつも飄々として、厨房の食事を盗み食いするサヴラの子も。
いつも厳格で、責任感の強いペッローの教官も。
いつもニタニタ笑っていて、悪巧みばかりの爆弾魔も。
そして…あの高校の制服の子たちも。
みんなその内に悩みや苦悩を持っていて、それを表に出さずに、今を生きているんだ。
苦しんでいたのは、悩んでいたのは、私だけじゃなかったんだ。
そう感じてから、私は自分自身を少しづつ許せるようになっていった。自分だけじゃない、周りの人達のことも、あのウルサスの子たちのことも。
ドクターのお陰で私の凍えていた心は溶けていって、自分でも驚くぐらいに変わっていった。久しぶりにドクター以外と話して、笑えるようになるぐらいに…
同時に…ドクターのことを支え、守りたいという願いが生まれた。
あの人の周りには私を含めてたくさんの人がいる。
でも、その心は一人ぼっちだ。
ロドスのトップの一人として、みんなを導かなければならない彼は、誰にも頼ることができない。
それでも、彼は身に覚えのない過去と罪を背負って、懸命に歩み続けている。
その歩みを支えたい。
いつか折れてしまいそうな体に鞭打って必死に、その体で生きていこうとしているドクターの背負っている重荷を、私も背負ってあげたい。
私の思いを、過去を、感情を受け止めてくれたドクターの全てを、私も受け止めたい。
私のドクターへの思いは確かに、依存から別のものへと変わっていった。
だから、ドクターから私と会う機会を増やしてくれたり、私の笑顔や伸びてきた髪を褒めてもらえたりした時はとても嬉しかった。
そして…昨日の、ドクターからの告白。
私の笑顔に支えられていると、ずっと側にいて欲しいと抱きしめられた時。
私もドクターの支えになれたんだと、願いが叶ったんだと、涙が止まらなかった。
ドクターの胸元に耳を当てる。心臓の鼓動が確かに、力強く伝わってくる。そのリズムは、また私を安らかな微睡みを誘ってくる。
私が守れる人は少ない。
けども私の心を救ってくれたドクターは、これからもたくさんの人を救っていけるドクターのことだけは絶対に守って見せる。
きっとそれが自分の目指した正義に繋がると思うから。
ドクターの体に腕を回して、もう一度目蓋を降す。
私に春がまたくるかどうかはわからないけど。
それでも今は、寒くなかった。
[基地スキル強化]
応接室配置後、捜索された手がかりがウルサス学生自治団でなかった時、ウルサス学生自治団の入手率が更に増加する
ウルサス学生自治団があるのなら、所持していない手がかりの入手率が上昇する
ドクターと信頼タッチ後、体力が0になるまで手がかり捜索速度30%アップ
【????????】
執務室で、ドクターが、誰かとキスしている。
なんで。
なんでドクターとアブサントお姉ちゃんがキス、してるの?
どうして、二人とも幸せそうなの?
グムが、先に、ドクターのこと、好きになったのに。
いや、行かないで、ドクター、行かないで…!
だめ、そんなのダメ、嫌だ、いやだ、いやだ…!
グムは頭を抱えて執務室の前から走り去る。
初めて感じる感情に、初めてできたズィマー達以外の友達への感情に、胸が張り裂けそうになる。
…その晩から、グムは酷い空腹に苛まれるようになった。
食べても食べても、治らないほどの空腹が…
…To Be Continued?
こうしてドクターと心身ゼロとなったアブサントは強い傭兵となるでしょう。
大切なドクターを守るため。二人の家を守るため。
決して消えない蒼色の炎がアブサントの心には宿っているのですから。
──願わくば、彼女がいつか過去を乗り越え、かつてあこがれた軍服にそでを通せる時が訪れんことを。
グムちゃん?いつか書くかもしれませんね……?
次回更新は8/25、0時です。
ヒロインはお伽噺の住人、アイリスとベナです。
今までのお話と違い、ラブラブとはかけ離れたお話です。
過去を忘れたドクターに夢を見せようとして、逆に虜にされてしまう夢の住人……。
彼女たちは悪い魔法使いから逃れられるのでしょうか?
次回作『妖精の堕落』、お楽しみに。