※この作品はR-18です。

ゴブリンスレイヤー ―灰の剣士―R-18   作:カズヨシ0509

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時間軸は、本編前夜編140話です。
灰の剣士が錬金釜を風呂代わりに使おうとしたものだから、監督官が一計を講じ彼をとある風呂設備の整った店へと案内しました。ついでにゴブリンスイーパーも同行させて。
その店とは高級連れ込み宿だった。
そこで彼女たちは彼との思い出の一つを作り上げました。
これは、そんなお話です。


第4話―監督官・スイーパーとの秘め事―

 

 

 

 

 

 

墓まで秘密にしておく積りだったけど、この際告白しちゃうわね。

実は小鬼からの凌辱だけど、破瓜の痛み以外はそれ程でもなかったの。

だって、小さいんだもん。彼の小指ほどの長さと太さしかなかったし。

寧ろ鍵士として再就職した彼女の方が、とても悲惨だったわ。

何せホブのアレを挿れられたんだし…多分もう元の形には戻らないわよね…あの娘のは…気の毒。

本当に苦しかったのは、焼きゴテの拷問よ。

あれは本当に苦しかった…。

大司教様と彼は悪夢を共有していた。少し妬けるけど、他の村娘には口外しない方が良いわね。

絶対彼に殺到すること間違いなしだから。

 

とある女鎧戦士より抜粋。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 単純に風呂施設を紹介してくれるのだろう。

灰の剣士もゴブリンスイーパーも、そう考えていた。

 

ギルド裏手の作業小屋…ライザ曰く工房(アトリエ)を出て、ギルド前で監督官を待つ灰の剣士とスイーパー。

防具は外しておいてほしい――。

予め告げていた監督官の指示に従い、二人は防具を外した私服姿で待機していた。

スイーパーは素顔を晒した状態だが、灰の剣士は相変わらずフードを深く被っている。

だが私服姿とはいえ、今日は二人とも特に着飾った服装ではない。ほぼ部屋着の様な出で立ちに、簡素なジャケットを羽織った状態だった。

少しの時間が経ち、監督官が姿を現した。

 

「ごめ~ん、待ったぁ…?」

 

「ううん、今来たとこぉ…って返せばいいのかしら、この場合?」

 

 ワザとらしく声を掛け合い演技する監督官とスイーパー。

逆に灰の剣士は無言で彼女を出迎えた。

 

「んもぅ、こういう時ぐらい洒落た言葉を返せないの?」

 

「どう返していいか思いつかぬ。あまり話術に長けておらぬでなッと言いたい処だが、コホン…。やぁ相変わらず綺麗だね、君の美しい姿には見惚れるばかりだよ☆……如何か?」( *`ω´) ドヤァ

 

「ごめん…キモイ…」( ̄△ ̄)

「うん…やめて…」( ̄△ ̄)

 

「…だろうな。強烈な違和感を感じる、私も」 ( ゚ ω ゚ )

「ハイハイ…、ま、王都のチャラ男みたいにされても逆に引くけどね…♪」

 

 薄い反応ながらもモ〇ボル並みの臭い台詞をほざく灰の剣士に、ドン引きした監督官とスイーパー。

なれど監督官の士気(テンション)が高いように思えるのは、何ゆえであろうか彼には分からなかった。

そして彼女はどういう訳か、脇に大量の布製の束を抱えている。

 

「ん?気になる?まぁ後で使うから、取り敢えず繁華街にまで行きましょうか?」

 

 風呂施設に行くだけの筈だが、監督官の荷物はどうにも不釣り合いに思える。だが彼女の話では、必要になるとの事。彼女の言う通り気にはなるが、取り敢えず繁華街に向かう事にした。

 

大半の娯楽設備は、繁華街に集中している事もあり道行く人々の密度は濃密だ。まだ昼間という事もあり、立ち並ぶ商店や露店では多くの客で賑わっていた。

しかし近い内、この光景も様変わりするだろう。…悪い方向に。

今は、多くの避難民がこの街に集っており、日増しに増加傾向にある。今のところ、物資の備蓄量にも余裕はあるが、このまま避難民で溢れ返れば遠くない内に暴動や略奪が発生する恐れも燻ぶっていた。

この街の治安が悪化すれば、この日常は脆くも崩れ去る。

繁華街の賑わいを愉しむ人々を目した灰の剣士は、フードの奥で表情を曇らせていた。

 

「ねぇ…結構進んでるみたいだけど、ここから先って…確か…その…///」

 

 一般人や冒険者たちが普段利用する風呂施設は、ある程度一区画に集中していた。だが、その区画を難なく通り過ぎる監督官に対し、スイーパーは心当たりがあるのか顔を赤らめる。

 

「ん…まぁ…そういう店が…集中してるわね…///」

 

 先頭を行く監督官も顔を赤らめつつ、止まる事なく歩を進める。

一行が進む先は、一夜の夢と春を売る店舗が密集している区画(エリア)なのだ。

灰の剣士は無論の事、二人の女性も足を踏み入れる事は滅多に無い。だが知識では二人とも、どの様な店が集中しているか位は認知していた。

つまり、これから向かう先は、そ(・)う(・)い(・)う(・)類(・)の(・)店(・)である事を監督官は示唆していたのである。

しかし灰の剣士は、敢えて彼女に問い詰める事はしなかった。こうしてまで、繁華街の遊郭通りに身を踊らせているのだ。彼女なりに考え、意を決しての事である。

 

「さて…そろそろかな。ねぇ貴方、尾行されてない私たち…?」

 

 ある程度進んだ所で、不意に尋ねてきた監督官。自分達が尾行されている可能性を危惧していた。

まぁ無理もない。

ギルド職員である監督官が白昼堂々と、遊郭通りに身を置いている。しかも彼女の傍には、執行猶予付きとはいえ流刑囚と化した灰の剣士。

これで怪しまれない方が、少々の無理があるのだ。

 

「付けられている。殆ど面識のない冒険者集団と、チンピラ紛いの連中だな」

 

「…やっぱりね…。じゃあ進路変更、コッチに続いて」

 

 ソウルを探れば、此方に明らかな意識を向けた集団が跡を付けていた事が判明した。しかも若干の悪意が含まれている。ソウルの波形からして、あまり馴染みのない冒険者やチンピラの類に違いない。

このまま尾行され続けられては、碌な目に合わないのは分かり切っていた。

監督官も予め危惧していたのか、進路を変更すべく見事な手際で路地裏に二人を誘導する。

建物が密集している割には、人が殆ど居ない路地裏。だが些かゴミの不法投棄も目立ち、清潔とは言い難い環境だ。

 

「よし、この辺で良いわね」

 

 路地裏に入り程無くして、監督官の誘導で入り組んだ建物の影に身を隠す事にした。

そうする事暫し、追跡していた集団が路地裏にまで入り込んで来る。

 

「チッ…見失っちまった…!」

「近くに居ると思うんだがな」

「どうせ、3人で愉しむ積りなんだぜ!?」

「だが証拠を抑えねぇと、弱みなんて握れねぇ…!」

「俺は、スイーパーって女に目を付けててな」

「お、そっちか!?俺は、あのいけ好かない職員だ。弱み握って追い詰めて、顔面ひっぱたきながら罵ってヤリまくるのよ…!」

「おぉう、ドSだねぇ…!」

 

 物陰に隠れた灰の剣士たちを見失い、連中は口々に思いの丈を吐露し合っていた。

 

「アイツ等…ギルドでもけっこう問題児扱いされてる連中よ」

「私に、しつこく絡んで来た人たちもいるわね。冒険者じゃない人も混ざってるみたいだけど…」

「多分、破落戸か小悪党の類なんだろうさ。よく見れば、私の偽者を演じていた者も居るな」

 

 彼等の姿に、3人とも心当たりがあった。

大した実績もない癖に大口を叩き、自分の実績と結果を過大評価させんと目論む柄の悪い冒険者一党。その一党と交流のある、小悪党の破落戸風情の小集団。中には嘗て灰の剣士の姿と名を騙り、三つ編みの受付嬢を口説こうとしていた者も含まれていた。

その冒険者一党は、ギルドでも特に問題児扱いされ何時まで経っても昇級できないような、出来損ないが揃っていた。

柄の悪さも折り紙付きで、冒険者登録したての少女を強姦目的で連れ出そうとしたり、夜な夜な街を徘徊し避難民の弱みに付け込むような軽犯罪も目立っていた。

どうやら監督官とスイーパーの肢体を狙っての行動である事が判明する。とは言え、二人とも魅力溢れる女性だ。容姿は勿論、躰の方も女の特徴を孕み、秘かに男達の劣情の的にされていたのである。

 

「近くに居るかもしれねぇ、探せ…!」

 

 一人の髭面男が、仲間に指示を出し周囲を探索し始める。

 

「俺よぉ、あの灰の剣士ってヤツ前から気に入らなかったんだよ」

「ああ、そんな事か?それは此処に居る全員の共通認識だぜ…!何人も女侍らせやがって…ムカつくッ!」

「なんか実績上げてるらしいけど、今や白磁等級に降格…!はっ…ダッセェ…!」

「ブヒャブヒャ、ちげぇねぇ…!」

「見つけたらどうすんよ?」

「決まってんだろ、先ず全員でヤツだけをボコって、女二人は俺達で輪姦(まわ)す」

「白磁に落ちたって事は弱くなったって事だよなぁ…!剣も持ってねぇアイツなら楽勝じゃね?俺はなんつっても、いや…私こそが本物の灰の剣士である、貴公ら…?」

 

「「「「「――ブワァッハッハッハハハ…ヘルバ生えるッ!」」」」」

 

皆口々に、身勝手な妄想を吐き出しアホ面を曝け出した。特に最後の台詞を吐いた男などは、灰の剣士の名を騙った問題ある冒険者だ。

別に白磁等級に降格したとて、此処に身を隠している灰の剣士本人の戦闘力が減衰する訳ではないのだ。

本人の苦労も知りもしない無責任で聞き捨てならない台詞を吐き散らし、仲間達からのウケを狙うという愚行。比較的静かな路地裏で、下品で醜悪な笑い声が響き渡る。

こんな連中が、ギルド冒険者の端くれだと思うと心の底から情けなくなる監督官であった。

 

「ハァ……、どう貴方、ああいう連中…一人で伸(の)せる?」

 

「ああ、無論だ。武器も術も必要ないが、今からそ(・)う(・)し(・)よ(・)う(・)か(・)?」

「私も手を貸せばいい?丸腰だけど、少し位なら格闘も出来るわ」

 

「ま、いざとなったらでいいわよ。勝ったら勝ったで、余計な難癖付けられるだけだしね。今は、撒く事に集中しましょ」

 

 いっそこのまま力づくで、連中を叩きのめすという手もある。向こうは武器も所持し人数も上だが、彼が居れば何の問題にもならないのだ。

だが監督官は、武力制圧は最後の手段と判断し連中を撒く旨を告げる。

暫く彼等を探索していた連中だが、やがて一人が近付いて来た。

 

「もう少し身を寄せてくれ」

 

「あ…❤」

「やん❤」

 

 見つかる可能性は、無きにしも非ず。なるべく互いの身を寄せ合った方が見付かる危険性は低かった。

灰の剣士は、二人をやや強引に抱き寄せ身体を密着させる。その際、非常に小声ながらも女二人は艶のある声を漏らす。

 

「此処には居ねぇみてぇだな」

 

 見付からないと判断した髭面男は、やがて他方に向かい程無くして姿を消した。

 

「ふむ…行ったか。さて、ここからどうする?……二人とも、どうした…?…あっ…」

 

「あ…や…❤」

「ん…ふ…❤」

 

 取り敢えず連中は行ったようだ。

それを確認した灰の剣士は次にどう動くべきかを問うも、二人は熱を帯びた吐息を漏らし潤んだ眼で彼を見つめていた。

ここで自分が何をしているのかを、漸く認識する灰の剣士。

彼の手は、女二人の豊かな胸を掴んでいた。

しかも無意識下で手も動いており、彼女たちの胸を軽く揉んでいたのである。

地味に『剣の乙女』並みの豊満な胸を有していたスイーパー。

彼女に比べやや控えめながらも、過不足ない質量を誇る監督官の胸。

身を隠す際、咄嗟に彼女達の胸を掴み抱き寄せてしまったらしい。

 

「あ…も、申し訳ない…」

 

 彼は慌てて胸から手を離そうとするも、二人の手が彼の手に添えられた。

 

「もう少しだけ…お願い…あ…❤ハァ…ハァ…」

「触られるのって、こんなに…いいんだ…や❤」

 

 監督官もスイーパーも、顔を紅潮させ熱を帯びた喘ぎ声混じりで継続を要求する。

 

「…で…では…あと1分間だけ…」

 

「「…はい…❤」」

 

 人気の無い路地裏で建物の影に隠れつつも、女二人の要求に応える灰の剣士。

ゆっくりと規則的に、彼女達の実り豊かな果実を揉み解す。

衣服越しだが、彼の指が二人の胸に食い込み肉の弾力で指を押し返した。

 

「んぅ…ハァん…ア…あぁん…❤」

「ン…ん…んん…あん…くぅ…❤」

 

 彼の手に応えるように声を漏らし、更に体を密着させる監督官とスイーパー。

約1分間、3人は軽めの秘め事に没頭した。

 

監督官が脇に抱えていたのは、やや古びた小汚い外套を3人分。これは万が一の追っ手を撒く為の変装用に、態々持参したものだ。

昼間から繁華街の大人の店に赴くのだ。

流石にどれだけ着飾ろうとも、監督官もスイーパーも目立ってしまおうというもの。

加えて灰の剣士も、ある意味で有名で出で立ちも広く認知されていた。素顔で出歩けば幾らか誤魔化しも効くのだが、連れ歩いているのが監督官とスイーパーの二人では素性も勘繰られてしまう。

そこで監督官は予め備え、敢えて小汚い古びた外套を3着持ち込んだ次第である。

全身を充分に覆う構造で、これに身を包めば端から見ても唯の流れ者として認識されるだろう。

監督官から小汚い外套を受け取り、3人はそれを纏い変装する。灰の剣士だけは、外套の上から外套を二重に羽織るという奇怪な着こなしとなったが、それは致し方がなかった。

 

こうして再び遊郭通りに出た3人。

目的の店に向かう途中、あの連中を目撃してしまったが正体が知られる事はなかった。

 

……

 

宿にしては随分小さい小屋にしか見えない。しかも古びた外観は、いかにも廃棄寸前に朽ちている様にも印象付けた。

しかし敢えてそうしているだけで、実際は目立たぬよう措置が取られているだけだ。

此処は紛れもない連れ込み宿、しかし小屋部分はあくまで目印と受け付け専用で、利用区画は地下にて設けられていた。

 

こんな小屋で、風呂など運営できるのか?

 

到着した灰の剣士たちは、そんな疑問に駆られ入店するのにさえ躊躇っていた。

若干抵抗気味に入店した3人。

しかし中は意外にも整然とした造りで、外の古びた小屋の外観からでは想像もつかなかった。

 

「いらっしゃいませ…、どの様な御用件でしょうか?」

 

 やや狭い室内は薄暗く、小さな受付カウンターが直ぐ目に付いた。

受付担当の従業員らしき、只人よりも耳の長いの女性が彼等に応対する。

耳の長さと身長から、森人か半森人である事が窺えた。種族特有の美貌と品格を兼ね備えた笑顔を受かべている。

 

「え…えっと…、ここの御部屋…風呂付きと…あと食事付きで、お願いします…///」

 

「初めて御利用になる方々ですね?それでは説明させて頂きます」

 

 この店に連れて来たのは他でもない監督官。詳しい様でいながらも、実際は彼女も初めて利用する側なのだ。

しかしこの店は、男女が一夜の夢と恋を交わす場所なのは存じており、彼女は顔を赤らめつつ途切れがちな言葉で用件を伝える。そんなたどたどしい彼女にも、受付員は何一つ不快な表情も見せず丁寧な対応で、簡単な説明を始めた。

 

もう御存じの通り、ここは『連れ込み宿』そのものだ。

男と男、女と女といった特殊な性癖持ちも来店するが、基本的には男女が互いの性愛を交わす場と相手を提供してくれる。

また風呂設備や軽い食事付きの部屋も設けられており、より快適より快楽を得るのに一役買っていた。

当然、風呂付きや食事付きの部屋は相応の料金も支払わねばならず、大抵は上流階級や稼ぎのある人々が利用する。

最低ランクの部屋は、簡素な小部屋に机、椅子、藁寝台が設けられているのみ。使用料金も、1時間につき銅(・)貨(・)1(・)枚(・)。

逆に最高級の部屋は、風呂、食事、高級大寝台に化粧台が完備されていた。使用料金も、1時間につき金(・)貨(・)1(・)枚(・)である。

加えて原則は、お相手する娼を指名するのだが別(・)途(・)料(・)金(・)である。

娼にもランク付けされており、銀貨1枚~金貨10枚(1時間ごと)に掛かる。

 

「お客様、風呂と食事付きという事でしたが、どのランクをご希望ですか?」

 

「え…えと、出来れば…あまり音漏れしないような部屋…空いてます?」

 

「…少々お待ちを…えぇ…えぇ…分かったわ…。お待たせしました、丁度一つだけ空いております」

 

「じ…じゃあ、それでお願いします。ご、5時間で――」

 

「畏まりました」

 

 連れ込み宿にて風呂を使うという状況――。

当然だが他の客も来店しており、彼等としても外部には極力知られたくはない。

風呂、食事、そして防音対策の部屋となれば、それ相応に料金も上乗せされるのは必然。

つまり最高級の部屋に該当し、1時間の使用で金貨1枚という高い料金を支払わねばならなくなった。

だが監督官は、迷わずその部屋に即決した。

確かに使用料金は掛かるが、彼等は男1人と女2人の構成だ。つまり相手の娼を選ぶ必要はなく、その分だけ料金が浮き結果的に安上がりで済むのだ。

 

「こちらとしては、形だけでも嬢(・)を指名して頂きたいのですが…」

 

「え…どうしてです?」

 

 使う部屋は決まった。あとは料金を支払い、案内して貰うだけだ。

だがここで、受付印は浮かない顔で『形だけでも嬢を一人指名してほしい』と懇願気味に声を掛けてきたのである。

灰の剣士には、監督官とスイーパーという二人の女を引き連れているにも関わらずにだ。

 

どうやら赤黒い空の影響で他方から避難民が流入しており、中には此処で働く娼が数を増していた。

つまり経営側としても可能な限り仕事を割り振り、安いとはいえ出来るだけ給料を支払ってやりたかったのである。

貧困層が広まれば治安悪化に繋がり、最終的には店の経営にも支障が出てしまう。

今は比較的平穏だが、何時までも保っていられるとは思えない。

ならば1日でも長く、安定した経営に努めたいのが経営側の本音でもあったのだ。

 

「止めておいた方が良いですよ?彼を見れば…その理由も直ぐに分かりますから」

 

「そうなの?じゃあ最終確認も含めて、お客様のお顔を拝見させて下さい」

 

 形で一人だけでも嬢を指名してほしい店側だが、監督官が止めた方が良いと告げる。

2重のフードで顔などすっぽり隠れた灰の剣士。

監督官の話によれば、彼の顔を見れば理由も直ぐに判明すると言うのだ。

規則と防犯も兼ね、来店客の顔は晒さねばならないのが店の決まりだ。

その確認と理由も気になり、受付員の指示に従い徐にフードを外した3人。

 

「…ああ…ふんふん…成程…、男性の方…もう少しカウンターに寄り掛かってくれます?そう…出来るだけ顔を突き出して…」

 

「…?、こうか…?」

 

 フードを外し彼等の素顔を確認する受付員。

目を凝らし、手際よく紙面にペンを走らせ、灰の剣士だけに向け顔を近付けるように求めた。

彼は疑念に駆られつつも、要求に従いカウンターに乗り掛かり顔を突き出し受付員に近付ける。

ここまで顔を近付けば、互いに吐息が届く程の至近距離だ。

 

「はい、隙ありぃ…ンむ…❤」

「――!?……」

 

 顔を寄せた瞬間、受付員は大胆な行動に出る。

なんと灰の剣士の唇に対し、自分の唇を重ねたのである。

 

「ん…くちゅ…ンン…ハム…んじゅ…❤」

 

「――ちょ、チョ、ちょっと…何してるんです…店員さん…?」

「――嘘でしょ…なんで…?」

 

 半ば一方的に受付員は自分の舌を捩じり込ませ、彼の唾液と口内を深く味わった。その時間、実に30秒――。

余りの珍事に彼は呆気にとられ、監督官とスイーパーは困惑しつつも非難の声をあげる。

 

「プあぁ…❤んフ…ごちそうさま❤…だって、私も偶には役得しないと♪。普段来店するお客さんといえば、不細工で脂ぎったオッサンと柄の悪いゴロツキみたいな連中が大半…。こんな好い男…ううん、噂の剣士さんが何時もフード付けてる理由…よく分かったわ。これじゃあ、滅多に素顔で街を歩けないのも頷けるわよね。…確かに、下手に嬢なんて指名しようものなら、殆どの確率で身請けや引き取り希望者(する、される、両方含む)が続出するのは目に見えているわ」

 

「う…バレちゃった…」

 

 受付員が灰の剣士に対し口づけしたのは、単純に彼女の願望から来るものだ。だがそのお陰で、彼が噂の灰の剣士である事を看破する。

また彼の容姿で店の嬢など指名し相手をしようものなら忽ち虜となり、彼に見受けして貰う或いは彼を見受けしたい希望者で溢れ返るのが、容易に想像できたのだ。

そんな事態に陥れば、店としても経営破綻に陥る恐れがあった。

監督官が嬢の使命を遠慮していた理由が、受付員にもよく認識できた。

 

「それでは、部屋まで御案内いたします。私に続いて下さいませ」

 

 次の瞬間には仕事の顔に戻り、受付員は彼等を部屋にまで先導する。

彼女が床のスイッチを踏めば、何処からともなく仕掛けが作動し地下へと続く隠し階段が口を開く。

一見古びた造りの見窄らしい小屋――。しかしその実態は、高度な仕掛けと機能を備えた先端技術の塊だった。

灰の剣士たちは、その仕掛けと構造に驚きつつも受付員の跡に続く。

地下の廊下は予想以上に広く、また魔法灯が贅沢に使われ視界確保に困らなかった。安いと思わしき部屋は防音が成されていないのか、男や女の致す音と声が赤裸々に漏れている。

 

男と女の淫音だけなら、まだいい方だ。とある部屋からは、複数の男性らしき野太い声が漏れて来るのだ。

 

『――おぉうッ、あぉうっ、イえぇッ、オウのぉッ、アメンドーズ、アメンドーズ…!イヤッフ、マァジェスティックッ…!!パン、パン、パン、パン…!』

 

 また声だけでなく、何度も肉の打ち合う音が、バァンッ、パァンッ、と引っ切り無しに彼等の耳を打つ。

 

「うう…これはちょっと……」

「これも未知なる冒険なの…?」

「……」

 

 無遠慮に届く野太い男の狂声と肉の打ち付け音に、心底不快な表情で顔を背ける監督官とスイーパー。灰の剣士も無言ではあったものの、憮然とした表情でフードを深く被り直した。

 

「此方の部屋になります、お客様」

 

 やがて廊下の最奥に差し掛かり、他よりも装飾された扉への前へと辿り着いた。確かに扉の特徴だけでも、高級部屋である事が窺える。

受付員が専用の鍵で、扉を開錠しゆっくりと開く。

 

「おお…豪勢な部屋だ」

 

 開いた扉の先に映る大部屋の内装――。

白を基調とした壁面に高級木材の柱が露出しており、床は綺麗に磨き上げられ天井が薄っすらと反射していた。

また魔法灯で部屋全体が照らされ、明るさも任意に調節できる贅沢品だ。加えて備え付けの調度品全てが、高級品で揃えられている。

この一部屋だけでも設けるのに、どれ程の資金が掛かったのだろう。

店全体の構造など知る由もないが、若しかしたら領主館よりも高値で建造された可能性も捨て切れなかった。

 

部屋に入室した灰の剣士たちは、暫し部屋全体に見惚れていた。

 

「それでは、ごゆっくりとお楽しみ下さいませ。何か御用があれば、備え付けの呼び鈴を鳴らして下されば、係の者が直ぐにお伺いしたしますので、では」

 

 案内も済み、受付員は直ぐに部屋から退出した。

この高級な部屋には、灰の剣士、監督官、ゴブリンスイーパーの3人だけが残る。

 

「と、取り敢えず座りましょうか…」

 

 未体験の環境と状況に、スイーパーは少しばかり緊張気味な声でソファーへの着席を勧めた。

上質の木材で拵えられた高給の長卓――。それを囲むように配置されたソファーへと3人は腰掛けた。

高い料金まで支払い、宛がわれた部屋だ。

時間的な余裕はあるとはいえ、無駄な時間を浪費したくはない。だが折角の優雅なひと時を無視するのも無粋というもの。

備え付けのポットには紅茶が満たされ、3人は茶で喉を潤した。

それまではまだ良かったのだが、3人とも緊張の所為か真面な会話もままならない。大抵は何かしらの話題を振る監督官でさえ、無口となり部屋全体が静まり返る。

 

「実はさっき、大司教様とお話をしたんだけどね…――」

 

 そこでゴブリンスイーパーが、剣の乙女との密談の事を話し始める。

 

「え、大司教様と?何をお話したの?」

 

 同じ至高神の信徒で一応は司祭の地位を授かっている、ギルド職員の監督官は興味あり気に尋ねた。

スイーパーはポツポツと、当時の様子を語った。

 

近日中に、この街を発ち剣の乙女と共に水の都へと赴く事。

そこで彼女の直轄で活動する事。

主に彼女の悪夢克服に寄与する為、小鬼関連で共闘する事。

 

実は以外にも知られていないのだ。

過去の剣の乙女は、小鬼相手に敗北し数々の仕打ちを受け今も悪夢に苛まれているという事実に。

 

「――ええ!?あの大司教様が、小鬼相手にッ…!?」

 

 その事実を耳にした監督官は、信じられないといった表情を浮かべ動揺した。思わず紅茶の入ったカップに力が籠る。

至高神の大司教にして六英雄の一人である剣の乙女。同時に金等級冒険者でもあり、現在もその手腕は健在なのだ。

監督官からしてみれば、情景の対象にも等しい剣の乙女。

そんな彼女も、最初の冒険で失敗し小鬼に敗北したという暗い過去。

小鬼に敗北した女性の末路など、もはや考察するまでもなく分かり切っている。

そんな事実など露知らず、監督官は絶句した。

 

「ねぇ貴方、もう全部話してもいいわよね…?」

 

「かまわない」

 

 監督官にも全て打ち明ける積りでいたスイーパー。念のため同意を求め、彼も何ら拒否する事はなかった。

剣の乙女から真実を聞かされた当初、スイーパーも言葉を失っていた。だが複雑な事情を知り、彼女は協力する事に決めたのである。

その際、剣の乙女と灰の剣士が一夜を共にしたという事実も知る事になる。

やはり想い人が他の女と寝たと知ってしまえば、スイーパーとて幾許かの嫉妬と哀しみを覚えてしまうのは致し方がなかった。

しかし自分と同じく、剣の乙女も小鬼に敗北し数々の凌辱と拷問の果てに小鬼まで出産してしまい、彼女は生き永らえたものの一生消えない傷を背負う羽目に陥った。

スイーパー自身も、小鬼に敗北し凄惨な拷問を受けている。

それ故、剣の乙女の苦しみは嫌というほど共感できてしまうのだ。

 

「…そう、そんな事があったのね…。あの大司教様に――」

 

 全てを知った監督官も、明確な言葉は浮かばず沈んだ表情でカップに視線を落としている。

そして互いの想いを確認し合った眼前の男、灰の剣士は剣の乙女と一夜を共にし男女の関係を結んだという事実も知った。

やがて彼女は、正対する灰の剣士へと視線を向ける。

 

「……」

 

 彼は何ら口を開く事もなく、此方の目を見つめていた。同時に彼は無表情で、唯々彼女と視線を交差させている。

 

「何か、言い訳する事はないの?」

 

「そちらこそ、恨み言の一つでもぶつけないのか?君もだ、私が憎かろう?」

 

 灰の剣士は覚悟していた。

どの様な形であれ、この二人を抱かないという誓いを破ってまで剣の乙女はしっかりと抱いたのだ。

それも濃厚な愛情を注ぎ、心の底から彼女と愛し合った。

一種の見方をすれば、これは二人に対する重(・)大(・)な(・)裏(・)切(・)り(・)とも言えるのだろう。…あの見習い神官の少女に対しても。

事の運び如何によっては、この時点で二人から絶交を宣言されても何ら不思議ではない。

理由はどうであれ、剣の乙女の悪夢克服を助成するためとはいえ、彼女と男女の関係を結んだという事実は変えようはない。

探りたくはなかったが、二人…特に監督官からは怒りよりも哀しみのソウルが漏れ出ていた。

もしこの場で彼女から、ありとあらゆる罵詈雑言を投げ掛けられようとも彼は全て受け止める気でさえいた。

言い訳も弁明も必要ない。

ここで関係が終わるなら、それは完全に彼の自業自得なのだ。

それはスイーパーにも言えた事だ。

彼女とて、剣の乙女と灰の剣士の関係を耳にし複雑な感情が渦巻いている。

愛情から憎悪へと瞬時に変わる事さえ、生きている限り路頭に転がっている。

ここで彼女達から関係を断絶されたとて、彼は全てを受け入れるしかないのだ。

 

「……お風呂にしましょ?…もちろん貴方も一緒よ、逃げないでよね?」

 

「ん…つまり――」

「さ…3人一緒に入るのよ…ね?」

 

「そ、そそ、そうよ…。そ…その積りで誘ったの、愛しの貴方と思い出作る為に…フゥ…ハァ///」

 

 次の瞬間、監督官から負のソウルは消え去っていた。意外にも彼女は顔を赤らめながら、3人一緒の入浴を誘う。

部屋の奥には薄いカーテンで仕切られた空間があり、其処に浴槽が設けられていた。

やはり高級部屋なだけあり、水場も清潔に保たれている。

浴槽自体は然程広くはないものの、3人が浸かるには何ら支障はない。

明確な脱衣場は区切られておらず、此処か部屋で服を脱がねばならない様だ。

 

「「「……」」」

 

しかし3人共、何故か硬直してしまい動きが止まった。

 

「は、早く脱ぎなさいよ…///」

 

「…私から…か?」

 

「そうよ…恥ずかしいのよ、私も彼女も…///」

 

「……」

 

 監督官から早く脱げと急かされた灰の剣士。

どうやら彼女たちは、自身の裸体を晒す事に抵抗があるらしい。

ならば『誘うなよ』…と、言い返したい気持ちは山々だが敢えて反抗する事なく彼は徐に衣服を脱ぎ去った。

 

「これでいいか?」

 

「ひゃっ…///」

「やッ…見えてる///」

 

「貴公らな…」

 

 今度は脱いだら脱いだで、女二人は手で顔面を覆ってしまう。

彼の全裸姿を目の当たりにしてしまい、二人は羞恥に耐え切れなくなったのだ。

両手で顔を覆い隠し顔を背け、そんな彼女たちに少々苛ついた灰の剣士。

 

「お二方、よもや服を着たまま入浴するのではあるまいな?私の前で脱げぬと言うなら、強引に脱がせても構わんのだぞ?」

 

「ま…ま、ま、待ちなさい…!?脱ぐわよ、ちゃんと脱ぎます…!乱暴は止めてよ…!」Σ(・□・;)

「そ…それ…仕舞って…仕舞って下さい…。そんな脈打ったモンスター…ダメ///」(/ω\)

「モンスターとは失礼な…!」( ゚Д゚)

 

 業を煮やす灰の剣士。半ば強引に衣服を剥ぎ取る旨を告げられ、監督官とスイーパーは慌てながらも衣服を脱ぐ仕草に移る。

またスイーパーは、彼の陰茎が視界に映ってしまい目を閉じながらもチラチラと盗み見ていた。本当は興味津々(むっつりスケベ)なのだろう。

 

あまり御洒落でもない羽織り物(アウター)を脱ぎ、衣服のボタンを一つ一つ外し、スカートをも脱いだ。

そして若干躊躇ながらも、ブラジャーとショーツをも手に掛け、とうとう二人とも全裸を晒した。

だが羞恥に染まっているのか、手で乳房と陰部を覆い隠しており顔も朱を帯びたままだ。

 

「あのね…貴方も前くらい隠しなさいよ///」

「さっきから…ずっと、確か…膨張って言うの?それ///」

 

 女二人は羞恥に晒されているというのに、彼はというと陰茎をも隠す事なく堂々と佇んでいた。

しかも完全に勃起状態で、これからの展開を容易に想像させてしまう。

 

「そんな事よりも、まだ私に言い足りない事があったのだろう?」

 

 灰の剣士と剣の乙女との一夜の関係。スイーパーはまだしも、監督官は何とも言えない表情を浮かべながらも動揺を別の行動で打ち消そうという素振りが見え隠れしていた。

恐らく溜め込む積りなのだろう。だがそれは、いただけない。

吐き出す機会もないまま心の重石を抱えては、これからの活動にも尾を引くのは目に見えていた。

況してやギルド職員という街の行政に関わる要職に就いているのだ、監督官という女性は。

ここで彼を見限るなり、より深い関係を望むなり、思いの丈を全てぶつけるなり、何らかの形で吐き出して貰いたいのが彼の本音であった。

出来ればすっきりとした形でケジメを付けたい。それを両者とも望んでいる筈なのだ。

 

「分かったわよ。別に貴方を非難しようなんて思ってないの、そりゃあ、ちょっぴり羨ましいなぁ…なんて思ったけど。ただ私はね、そのぉ…さ…、だ…大司教様と同じ様にシテって…うう、恥ずかしい――」

 

 彼に対する悪感情というよりは、剣の乙女に対する羨望の感情を抱いていた監督官。

そして彼女の口振りから、ある程度予想が付いていた。つまり彼女達にも、剣の乙女と同じ様に抱いて欲しいと望んでいる訳だ。

 

――そう…なるよな。

 

心の中で彼もある種の同感は抱いていた。

この二人を差し置いて、剣の乙女を先に抱いてしまった灰の剣士。

正式な手順を踏むのなら、互いの本心を包み隠さず真っ当な形で伝えあった、彼女たちを先に抱くべきだ。

交際関係ではないものの、相思相愛にも等しい互いの間柄。

もう誓いなど綺麗サッパリ捨て去り、この場で関係を結んでしまうという選択肢も決して邪悪ではないだろう。

 

「そうだな。そうする――」

「――なぁんって言うと思った…!?」

 

「――!?」

 

 剣の乙女との一夜、いや、それ以上の愛情を二人に捧げよう。そう決めた矢先、監督官の口調が急に変わり出す。

 

「貴方は誓いを立てたの…!それが高尚であれ低俗であれ一度決めたんだから、ちゃんとした形で決着を付けなさい…!こう見えて私は至高神の信徒、不誠実は許しません!だ・か・ら…大司教様と同じ事をしろなんて言わないから…えと…その…ね…、ホラ…神殿のあの子と湯浴みしてるんでしょ?その子と同じ様にしてよ…何度も一緒に…ちょっとぐらいは、エッチな事もしたんでしょ…///」

 

 最後の方は語尾が途切れ気味となったが、彼女は見習い神官と同じ事をしてほしいと望んだ。

確かに灰の剣士と見習い神官の少女は、何度も湯浴みを交わした仲なのは事実だ。

 

「同じとは言わず、それ以上の卑猥な行為で応えてしんぜよう。フフフ、知らぬぞ?今度こそ、私(・)か(・)ら(・)離(・)れ(・)ら(・)れ(・)な(・)く(・)な(・)る(・)かもよ?」

 

「んなッ…い、言うじゃない…!や…やって御覧なさいよ…、でも優しく…お願いします…。貴女も、それでいい?」

 

「え…え…ああ私?そ…それでいいんじゃない…かしら…?そ、そうよね、まだちょっと早いわよね?慣れてからでないと」

 

 監督官にとって、どの程度が卑猥の範疇に入るのかは本人しか計り知れない。

見習い神官との湯浴みだが、回数を重ねていく内に少々は淫靡な行為にも発展した。

だが彼女と同じ湯浴みを再現するだけでは、監督官やスイーパーにとっても少々物足りないだろう。

どうせ、そ(・)う(・)い(・)う(・)宿(・)に身を置いている状態だ。ならばいっその事、見習い神官以上の行為を二人に施す意思を伝えた灰の剣士。それを受けた監督官とスイーパーは、しどろもどろになりながらも受け入れる形で応えた。

もうすっかり二人とも裸身を晒し、乳房も陰部も手で隠す事を忘れている。二人の豊かな胸と程よい色合いの乳首そして下半身にも女性の象徴が、彼の視界を捉えて離さなかった。

 

「それでは、宜しくお願い致します…!」

「私たちを、目一杯可愛がって下さい!」

 

「こ、此方こそ…最善を尽くす…準備はいいな!?」

 

「「は、はい❤」」

 

 何故か形式ばった挨拶を互いに交わし、3人は湯浴みを行う。

 

……

 

本来なら、先ず身体を洗浄し浴槽に浸かるのが公衆の作法というものだ。

だが此処は貸し切りで、連れ込み宿の高級部屋。

多少の無作法ぐらい許されてもいいだろう。普通に使う分には、大して汚す事もないのだから。

 

彼等は、掛け湯もそこそこに直ぐ湯船に身を浸けた。

 

「この香り…薬用入浴剤が使われてるのかしら?…って、ちょっと早過ぎない貴女?」

 

 浴槽に身を浸し、張られた湯には薬用剤が溶け込んでいた。

部屋の魔法灯と溶けた薬剤で、何とも不可思議な色合いの湯に見える。

また独特の香りが彼等の鼻腔をくすぐり、監督官は手で湯を救い改めて香りを楽しんでいた。

だが彼女とは対照的にスイーパーの方はというと、湯船に浸かるや否や彼に寄り掛かり身体を密着させていたのである。

監督官は貴族出身である故、上流階級特有の教養も備え、こうして状況を楽しむという寛容さも培っていた。

しかしスイーパーは、村出身の田舎娘、唯の庶民である。

読み書き計算は出来るものの、大した文化を嗜む教養など併せ持っておらず早速彼との交流に勤しんでいたという訳だ。

 

浴槽に背を預ける灰の剣士に対し、スイーパーは抱き着く形で身を任せ豊かな乳房を押し付けていた。

 

「ふあぁ…そこも…なんか、いい…❤さすって…撫でて…ひゃん…ゆびぃ…❤」

 

 彼女を抱きかかえる体勢で、彼の手は彼女の尻を往復させ何度も撫でていた。

時には摩り、時には丁寧に撫で、時折りは尻の割れ目に指を潜り込ませ何往復も繰り返す。

 

「あ、あひぃ❤ひぅ、い、あ、ハン❤ヒ、ンひ、ひぃん❤」

 

 尻の割れ目を指でやや深くなぞり上げる度に、スイーパーは何度も身体をビクンと仰け反らせ悲鳴にも似た声を漏らす。

 

「ウひゃんっ!?そんな…ひぁん…❤そんなとこ…つつくの…ダメ…ひゃうんッ❤」

 

 また尻の割れ目をなぞるだけでなく、指で肛門をも何度も突(つつ)いては攻め立てた。

指が肛門に触れる度、彼女は身体を癒じらせクネクネと奇妙に踊り出す。

特に肛門は過剰な反応を見せた。

身体をクネリと捩じらせ、熱い吐息が彼の顔に吹きかかる。彼女特有の匂いが彼の鼻を突くが、決して不快な匂いではなかった。

 

「あフ…❤お、おしり…お尻…変なの…ハァう❤ひん、ひぃん、ひゃぁん❤」

 

指を潜り込ませ尻の割れ目をなぞり、肛門を何度も指で突(つつ)きながらやや浅めに差し入れ、尻肉の弾力を揉み解し、彼女はその度に刺激と快感に翻弄され早くも息が荒く乱れていた。

 

「ち、ちょっとぉ…私もぉ…仲間外れにしないでぇ…!」

 

 監督官が湯の成分や湯船の構造を楽しんでいる間に、スイーパーはちゃっかり彼との情事に耽っていた。

完全に先を越された形となり、彼女も慌てて割って入る。

先ほどまで主導権を握りある意味で仕切っていた監督官だが、いざ行為に及ぶ段階となればスイーパーの動きは早かった。

やはり戦士職である事が、こういう状況を作り上げるのだろうか。

スイーパーは戦士職だが、体全体でいえば肌も白く女性特有の柔らかさも誇っている。

また容姿にも優れ、性格も男勝りではなく非常に女性味に溢れていた。

そんな女性に抱き着かれているのだ。

灰の剣士も性欲を掘り起こされ、陰茎は完全にそそり立っていた。

 

割って入った監督官。

開いたスペースに身体を割り込ませ、彼の首元に手を回し抱き着いた。

そして豊かながら程よいサイズの乳房と乳首を擦り付け、小刻みに身体を何度も揺らす。

 

「あ、ひん、こ、擦れる…❤ンフ、ンん…❤え…あの…そこはァあぁン!?」

 

 彼の肌に、桜色ではない薄い茶系色の乳首を擦り付け、その刺激で乳首を硬くさせピンと張りつめさせた。

胸を擦り付ける事に夢中となっていた監督官だが、彼はその隙に彼女の陰部へと手を這わせていた。

 

「ハァ…ハァん…❤あ、あ、あ…❤ん…ん❤、ン、んく…アぅん❤」

 

 彼女の股座に存在する女性器、盛り上がる双丘の間に奔る一筋の溝、その溝に彼の指が滑り込みススっと撫でられる。

生まれて初めての体験だった。

思春期を得た女という性を自覚し、やがて成人となり性行為という概念を学ぶ機会も得た。

経験こそなかったが、別に自分は無縁でも構わないとさえ考え役人として人生を歩む積りでいたのだ。

何故なら家族の殆どが性に奔放だったからだ。

父は本妻と数人の側室を設け、男女の営み精力的に励んだ結果、自分を含めた多くの子を授かった。

そして兄や姉たちも複数の恋人を作り、性行為へと励んでいた。

当然、自分にも恋人候補を紹介される事はあったのだが、その気にはなれず全て断っていたのである。

本当に人生は、何が起こるのか分からないものだ。

一生、性に縁も無いだろうと踏んでいた自分が、こうして想い人が出来よもや肌まで重ねる事態に発展しようとは。

恐らく本行為までには至らない筈だ。

彼は妙な誓いを立て、自分も彼に対しそれを守らせる事を告げた。

そこに関しては少々残念だが、この愛撫と身体を重ね合わせているだけでも充分な程の刺激に翻弄されていたのである。

 

「ア、ン、んく❤ン、ン、ん、あフ❤、いん、アン…❤」

 

 彼の指が更なる往復を繰り返す。

割れ目を繰り返しなぞられ、包皮越しに陰核を刺激され膣口をも触れられた。

その度に、女性器がヒクンと収縮し下腹部から全身へと感覚が伝達する。

彼女は全身を仰け反らせビクビクを震わせた。また彼を抱きかかえる手には力が籠り、その爪は彼の皮膚に食い込んだ。

 

「やッ…!?ダメ…何…こ…レ…?ア…あぁッ…❤」

 

 目を見開き、呼吸を小刻みに途切れさせた彼女。

彼の指には、ヌルッとした感触が纏わり付いていた。

浴槽の湯ではない、もっと粘性の高い液体が彼女の膣口から溢れていたのだ。

 

「ハッ…ハッ…ハッ…ハ…❤ア…頭…まっしろ……❤」

 

 ダラリと脱力した彼女は、そのまま彼にしな垂れかかり熱く荒い吐息を何度も吹き掛ける。

 

「イッたんだな…?」

 

「イく…?ごめん…よく分からないわ…ハア…ハァ…」

 

「自分で触る事は…?」

 

「ないわよ…ハァ…フゥ…こんな変な所…貴方に触られたのが初めてよ…ハァ…ハァ…」

 

 昇天(イく)という体験を初めて味わった監督官。

性に奔放な家族とは違い、彼女自身は何かと消極的で自慰の経験すらなかった。

自分も知らず知らずの内に、家族のそういう部分を反面教師にしていたのかも知れない。

 

「でも…凄く…なんか気持ち…良かった…❤ちょっと、休ませて…貴方…❤」

 

 先ほどの昇天は、彼女にとっても未知なる体験という事もあり思いのほか体力を消耗してしまった様だ。

暫し呼吸を整えるべく、彼に身を預け目を閉じた。浴槽の湯と彼の体温が合わさり、彼女は極上の幸福感に包まれる。

 

そしてスイーパーと目を合わせた灰の剣士。

 

「ア…ふ…❤ん…ひぃッ…!?」

 

 監督官の陰部を攻めていた間、スイーパーの尻部を何度も撫で回していた。

それだけでも彼女は刺激を感じていたのだが、そろそろ慣れてきたのか反応が薄くなり始めていた。

だが彼と目を合わせた瞬間、彼女は不意に声をあげビクッと身体を震わせる。

案の定、スイーパーの女性器にも彼の指が到達していた。

ヌルンっと指を這わされ、媚肉と割れ目の溝を丁寧且つ何度も往復され、彼女もビクン、ビクン、と身体を小刻みに震わせた。

 

「――んぅ…ア…❤あ…はぅ…あぁフ…❤」

 

 小鬼の凌辱とは何もかもが違う別次元の刺激と快感だが、彼女にとっては少々強過ぎたのだろうか。

彼の指から逃れるべく腰を受かせ、膝立ちの状態に映る。

しかし彼の指は執拗に彼女を追い駆け、女性器の肉唇を何度も掻き分けた。

 

「――アひぃん…くぅ…❤ゆ、ゆるし…ひィヤァんッ…❤」

 

 途切れる事のない攻めと快楽に、彼女は許しを懇願しつつも新たな刺激を味わう事になる。

膝立ちになった事で、彼の顔に豊満な胸が迫る位置関係となっていた。

彼の目の前で桜色の乳首が、ブルン、ブルン、と揺れ動き更なる劣情をそそる。

 

「ヒぅうぅ…!?い…❤ひ…ア❤…ん❤」

 

 目の前で揺らされる突起物を逃すなど愚の骨頂。

彼は透かさず、スイーパーの乳首に吸い付き口に含ませた。

そして舌で乳首を味わいながらもコロコロと転がし、口内の筋肉を駆使し吸い上げる。

 

「あ、ひ、んく❤、あ、あ、ん、んぅっ…❤」

 

 吸われ、転がされ、弾かれ、突(つつ)かれ、スイーパーの乳首を丹念に味わう灰の剣士。

同時に女性器を攻める事も忘れない。膣口浅めに指を侵入させ回転させるように何周も掻き回す。

性器と乳首の同時攻撃に、スイーパーの目は焦点を定めておらず喘ぐ事しか出来なかった。

また片方の乳首だけでなく、もう片方の乳首にも口内に含ませ丹念に攻め上げる。

 

「ふ…う…❤く…あ!?、あぁあぁぁああッ……!」

 

 彼女の中で急激に高まる性感と快感の荒波。

途切れ途切れの喘ぎの中、彼女の脳内に弾け飛ぶような錯覚に見舞われた。

そして瞬時に身体が反り上がり、そのままダラダラと力無く崩れ落ちる。

 

「ハッ…ハッ…ハァ…ハァ…ァ…ふ…フゥ…」

 

 スイーパーも漏れなく絶頂を迎え、脱力しながら彼に体重を預け荒い呼吸を繰り返した。

 

「気持ち…良かったんだな…?」

 

「ハァ…ハァ…、は…はい…最後…よく分からなかった…けど…凄い…過ぎた…ハァ…ハァ…」

 

 彼の胸に凭れ掛かり熱く熱を帯びた吐息をぶつけるスイーパー。

女性器と乳首の同時攻めを味わい、彼女の表情はダランと緩み切っている。

 

「ねぇ…コッチ向いて貴方ぁ…❤」

 

 今度は監督官から声が掛かった。

普段とはまるで違う艶のある声音で、自分に向くように呼び掛ける。

先ほどの攻めが、彼女の隠れた色香を目覚めさせたのだろうか?

そう思える程に今の彼女は、女(・)の目付きで彼を見つめていた。

 

「うむ…ん…❤」

 

 彼が振り向いた途端、口づけを交わす監督官。

 

「ンチュっ、ちゅっ、ちゅ…ん…ンン…❤」

 

 未経験なのも手伝い、彼女の口づけは互いの唇を押し付け合うだけで稚拙なのは否めない。

だが彼女なりに愛情を捧げてくれているのは明確で、彼は舌を彼女の口内へと押し込んだ。

 

「――ん…ンむ!?ん…フゥ…ん…ふ…ふぁ…む…ンう…❤ゴクン…コクン…❤」

 

 彼女の唇を舌でこじ開け、戸惑う彼女の舌を捕らえ、逃がさぬよう舌を絡め捕り、彼女の唾液と自らの唾液を混ぜ込んだ。

当然驚いた彼女は顔を離そうと身じろぎするも、彼に頭部を抱き寄せられ逃れる事は叶わなかった。

そして互いの混じり合った唾液が口内から溢れ、口端から零れ落ちる。初めて味わうディープキスに翻弄されつつも、彼女は想い人の唾液を受け入れ喉の奥へと流し込んだ。

 

「ンン…ちゅう…❤ん…フゥん……❤ぷふぅあ…ハァ…ハァ…❤」

 

 数分間の濃厚な口づけを味わい、漸く口元を離した彼女は乱れた呼吸を繰り返す。

 

「……」

「……///❤」

 

 そして言葉を交わす事なく、見つめ合う二人。

互いの瞳が交差する中、気恥ずかしくなったのか彼女は顔を赤らめ視線を外してしまった。

 

「ほ…ほら…私だけじゃなく、彼女にもシテあげて…///」

 

 隣にはスイーパーも熱を帯びた視線で彼を見つめていた。

 

「…ん」

 

 そして徐に目を閉じ、唇を差し出している。

 

「んく…む…ンむ…ンン…❤」

 

 スイーパーとも口づけを交わし、彼の舌で何度も彼女の口内を暴れさせた。

今度は彼女の唾液を吸い上げ自らの喉へと通す、そして何度も彼女の口内を吸い上げた。

 

「ん…フゥん…むぅ❤…ん…ンチュぅん…❤はぉむ…ンンふ…ゴクン…ゴクン…ふぷぅ…ハァ…❤」

 

 彼女の唾液を一頻り吸い上げ、お返しにと自分の唾液を送り込み、彼女も戸惑いがちながら受け入れ喉へと通し飲み込んだ。

そしてお互い口を離し、熱い吐息を浴びせあった。

 

「貴方…❤」

「貴方ぁ❤」

 

 彼女たちと視線を交わし合う灰の剣士。

セックスなど至らずとも、彼等は視線で互いの身体を射抜き交わっている(視線でセックスしていた)。

その後、ごく自然の流れで3人が舌を絡ませ合い暫く感触を楽しんだ。

 

その間も、彼等は互いの身体を弄り合い愛撫し合い濃厚な口づけを交わし、愛情を深め合う。

とはいえそろそろ次の段階へ進んでもいい頃合いだろう。

身体を洗浄する事となり、3人は一旦浴槽から這い出た。

 

相変わらず女二人の身体は色香に溢れ、見る者の劣情を煽る。

豊かな乳房に、くびれた腰部、そして肉付きと細さを兼ね合わせた大腿部――。

これなら他の男に狙われても納得できる程に、女の魅力に溢れていた。

また年若い男女が裸身を晒し合い、今もなお色事に没頭している真っ最中。

真面な洗浄になる筈もなく、3人は互いの身体を密着させ合っている。

全身に石鹸を塗《まぶ》し身体を擦り付け、その摩擦で互いの身体を洗浄し合っていた。

また彼も彼で、女二人に手を回し腰や大腿部のみならず胸や股間部まで満遍なく手を這わせる。

石鹸の滑る音と身体の摩擦音が重なり、ヌチュリ、ヌチュリ、と淫靡で卑猥な音を掻き立てていた。

 

「もう…あの子にもこんな洗い方してるの…?アン…❤」

 

 彼の指がスイーパーの膣口に触れ、彼女は不意に喘ぎ声を漏らす。

 

「まさか…、ここまで過激な洗い方はしない。あの子も少しばかり声を漏らす事はあったがな…」

 

 確かに見習い神官との湯浴みでも、性器に触れる事は多々あり彼女も随分喘いだものだ。

だが流石に、今のような洗い方など出来る筈もない。あの神殿では――。

 

「そうよね…、あの子はまだ未成年なんだし、こんな事はちょっと早いわ。あん、もぅ、くすぐったいてばぁ…❤」

 

 濡れタオルなど使わず、互いが互いに手で直接身体を摩り合っており、洗浄というよりは愛撫も同然だ。

彼の手が監督官の脇腹を摩り、彼女は身じろぎしながらも彼への洗浄を続ける。

またお返しにと、胸を圧し付け何度も身体を上下させ全身で彼の体を洗う。

彼女の柔らかい胸の感触が何とも心地よく、彼も上気していた。

 

同時にスイーパーも胸を密着させつつも、彼の大腿部を両脚に挟み込み股間部へと押し付ける。

そして腰を何度も前後に往復させ、女性器を彼の大腿部へと擦り付けていた。

 

「ん…❤あ…❤あふ…あ…❤ねぇ…貴方のソレ…全然治まらないわ…」

 

 股間の摩擦で快感を得ながらも、彼の陰茎が未だ勃起したままの状態に気付くスイーパー。

医学的には非処女となった彼女だが、性の知識に長けてはおらず鎮める方法など思いも付かない。

 

「本当、それ…射精しないとダメなのよね…?」

 

 監督官も彼の陰茎へと目をやり、恐る恐る撫で上げた。

 

「…あとでやり方を教える。洗い終わったら、私の言う通りにしてくれないか?」

 

「「は…はい…///」」

 

 互いの身体で洗浄しながらも、女二人は彼の陰茎から目を離す事ができなかった。

 

幾許かの時間も経過し愛撫同然の洗浄(毛髪の洗浄も含む)も一通り終え、いよいよ彼の陰茎を鎮める段階へと移る。

 

「私のモノの上に跨ってくれ……そう、性器を擦り付ける様に…」

 

「え……、わ、分かった…わ、や、やってみる…ね…?」

 

「もう一人は、私の顔…口元に股を押し付けるように跨るんだ…、ウブ…ほぉれでふぃい(それでいい)…」

 

「思い出したわ…、兄さまや姉さまたちが、昔こんな事してたっけ…。これを意味してたのね…んく…❤」

 

 スイーパーを陰茎の上に跨らせ、監督官を口元へと跨らせた灰の剣士。挿入ではないもののスイーパーが素(・)股(・)の役、監督官を顔(・)面(・)騎(・)乗(・)位(・)へと導いたのであった。

過去の記憶を思い出した監督官、女性器と彼の口が接触した瞬間から微かな刺激に見舞われ声を増らす。

彼女の父は複数の妻や愛人を囲っている家庭環境だが、兄や姉も複数の恋人を作っており、性の現場に出くわす機会も多かった。それ故、彼女自身も経験こそないものの多少の知識は備えていた。

一方スイーパーは、性に関して乏しい知識しか有しておらず、彼の陰茎に女性器を擦り付け跨ると行為に多少の抵抗感を催している。

小鬼の凌辱を受けたとはいえ、男女の営みなど今日が初めてなのだ。彼の陰茎に跨りながらも、彼女は羞恥に顔を紅潮させ上気させていた。

 

「――んキャンっ!?合図ぐらい…ひゃうっ❤…しなさい…バカぁ❤…やぁハァんッ…❤」

 

 いきなり膣口に刺激が奔り、素っ頓狂な叫び声を上げた監督官。

何の前触れもなく膣口と陰核に加え尿道口まで舐められたものだから、彼女は全身をビクンッと飛び跳ねんばかりに仰け反らせ抗議した。

 

「ど、ど、どうしたの、だいじょう…ブ…!?」

 

「あ、や、ハン❤、グゥ…ハァん❤、ひぃん、アン……❤、ア…貴女もぉ…アうん❤、貴女も…腰…前後ぉ…あぃ…前後させるのぉ…おぉぅん…❤」

 

 スイーパーから見れば、突然に態度を豹変させた監督官。彼女は血相を変え、喘ぎ声を上げる監督官を気遣った。

そして監督官はというと、全身をガクガクと震わせながらもスイーパーに腰を前後させ擦り付けるように指示を出す。

監督官の女性器は、彼の舌の往復と捻じ込みを繰り返され溢れんばかりに粘性の高い蜜を垂れ流している。

また彼女は無意識のうちに腰を無秩序に動かし、彼の舌に動きを合わせていた。監督官の口端から涎が垂れ、瞳は上向きに宙を泳ぎ喘ぎつつ行為に没頭している。

それを呆然と眺めていたスイーパーも、彼の陰茎と自分の女性器を擦り合わせるべくゆっくりと腰を動かし始めた。

 

「…ん…ふ…く…❤ン、ン、ん…ふぁ…❤」

 

 監督官とは対照的に、控えめな声を口元から零すスイーパー。監督官の激しい喘ぎ声と、グチュリ、グチョリ、と卑猥な水音に掻き消され彼の耳には届いていないが、スイーパーも表情が緩み始めていた。

自然に口が半開きとなり上気した表情を浮かべ、腰の動かし方にも徐々に熱が入る。

監督官の声と擦り付ける水音に掻き消されるも、スイーパーの女性器と彼の陰茎の摩擦音は確かに淫音を奏でていた。

 

「ア、ン、あ、あ、あ、ン、ン、ん…❤あ…ああ…あぁん…ハァん…はぅん…❤んぅふぅん❤…アぅ❤あぅ❤はぅ❤ぁぅ❤うはぅうん…❤」

 

 腰の前後運動と共に淫声にも勢いをつけるスイーパー。素股という行為にも徐々に慣れが生じ、女性器と陰茎の摩擦による快感の波を享受した。

包皮越しの陰核が擦れ、陰唇が掻き乱され、浅層の膣口と陰茎が摩擦し合う度に、彼女の女性器から全身に向け果てには脳にまで快感の奔流が押し寄せた。

既に監督官を凌駕する声量で快感に喘ぎ叫び、腰の動きに一層の磨きをかけつつあった。

 

「――やぁハァ…❤舌ぁ…貴方の舌ぁ…いい…イいんッ…❤ずぼずぼぉ…ズボズボしてぇ…アぅ、あぅ❤あぅ❤あぅ…❤アぅうんッ…❤」

 

一方、監督官の膣口には彼の舌が出し入れされていた。いわば彼の舌が陰茎を代行し、彼女の膣口に捩じり込ませていたのである。

そして彼女も彼の舌の動きに合わせ、腰を上下に動かしながら舌と膣口の摩擦を愉しんでいた。

 

「やぁん…❤凄いぃ…凄いぃんッ…、セックス…セックスぅ…気持ちいぃよぉ…アォァゥン❤」

 

 実際はセックスではないのだが、それと変わりない程の快感を甘受する監督官。彼の舌も然程深い部分まで浸透する事はない。その為、彼女の純潔の膜までは到達しておらず破瓜の痛みを感じる事もない。今彼女に齎(もたら)されているのは、未知なる快楽と多幸感であった。

気さくながらも貴族の気品も忘れない彼女だが、此処は外部の目も届かない密封された空間。外部からの介入など皆無で、彼女はありのままの自分を曝け出し彼との情事に没頭していた。

彼の舌の抽挿と彼女の腰の動きが見事に媚肉と膣内を摩擦し合い、女性器からは大量の愛液が彼の口内へと流れ込んでいた。若干の潮味が、彼の舌に浸透し喉奥から食道へと流れ込む。

 

「私もぉ…気持ちいいよぉ…腰ぃ…腰止まんないぃ…変な声一杯出るぅ…❤あ❤あ❤あ❤ん❤ん❤ん❤んぅん…❤」

 

 またスイーパーも同様に、腰の動きを加速させ更なる快楽を引き出そうと躍起になっていた。

この事からも、二人の絶頂が近い事を示唆していた。

 

「――あ…や…❤何か…何か…来る…ゾワァって…来る…、…あ、ヤバ…デ…出る…!?――あぁアァァひゃあやぁァアアアんッ……❤❤」

「――あぁぁあアぁぁ……!?、な、な、なにこれ…!?なになに…ゾクゾク……❤ゾクゾクって…ひぃぁやゃぁぁハァあぁんッ……❤❤」

 

 限界まで高められた快感に、二人は人生初めての絶頂を受け入れた。

目一杯に身体を仰け反らせ口と目からは涎と涙を流し、白目を剥きながら絶頂に身を任せる。

 

「う…おぶ…ング、んぐ、ゴク…」

 

 彼の方はというと、監督官が絶頂時に噴出させた潮を飲み込んでいた。所謂、女性特有の『潮吹き』という現象だ。

 

「「ハァ、ハァ、ハァ、はぁ……」」

 

「ふ…二人とも…、大丈夫か…?」

 

 絶頂を迎えた事により、二人は脱力し崩れ落ちてしまった。そんな二人を気遣う灰の剣士。

女二人は暫し息を整え、やがては幾許かの落ち着きを取り戻す。また汗なのか風呂の湯なのか区別もつかない程に、大量の水滴が二人の全身に付着していた。

 

「フゥ…ハァ…、ご、ごめんなさい…、変なの出ちゃった…お顔…凄い…汚れてるね…」

「大丈夫だ、別に軽蔑などせぬ」

 

「じゃあ、私が綺麗にしてあげる❤れろ…❤んにゅ…❤」

「あ、スイーパーったら…、私が汚したんだし負けてられないわ…ニェロ…レろん❤」

 

 絶頂の際に吹き出した監督官の体液――。彼の口元にも付着していたのだが、スイーパーが先駆けて舐め取り監督官も負けじと彼の顔に舌を這わせ舐め取ってゆく。

 

「「ア…❤ンチュ❤…チュゥ…❤はむ…レロ…❤」」

 

 途中で濃厚な口付けも交えながら、3人は互いの顔面と舌を舐め合った。互いの顔を舐め合った事で、3人の顔から唾液特有の匂いが漂っていたが気にも掛けてはいない。

 

「よし…それじゃあ交代しよっか…って、貴方…まだ治まっていないじゃない…?」

 

「す…済まぬ…もう少し協力してくれ…」

 

「ごめんなさい…私の力不足で…」

 

 監督官の顔面騎乗位、スイーパーの素股を経て尚、彼の陰茎は膨張したままだ。

女二人の跨りに、彼も快感は感じていたのだが射精には至っていなかった。

その事に謝罪するスイーパー。だがそれも無理はない。彼女達も性や経験には乏しく、気が付けば快楽に没頭し彼の射精の事など完全に頭から離れていたのである。

二人は交代する事にした。

 

「舐めて貰うのって、どんな感じなのかしら…?ドキドキする…❤」

 

「この世とは思えない程に凄かったわよ…❤さて…私はちょっとアレを試してみようかしら…?上手く出来ればいいんだけど…?」

 

 女性器を男の口に合わせるという行為に、未知なる好奇心を寄せていたスイーパー。先ほどの絶頂と期待感が相まり、彼女の女性器からも愛液が糸を引き大腿部を伝っていた。

そして監督官はというと、家族の性行為を覗き見していた記憶を呼び起こし、ある行為を試そうとしていた。

 

「それじゃあ失礼します、貴方❤」

「私も…失礼して……はむ…❤」

 

「ん…ンぐぅ…!?」

 

 スイーパーの全体重が預けられる事で女性器に口元を塞がれ、くぐもった声しか出せない灰の剣士。

実は監督官が、彼の陰茎を口に含んでいたのである。所謂、口淫(フェラチオ)という行為だ。

監督官自身、この様な行為に詳しい訳ではない。だが家族の性行為を何度も目にする機会もあった為、この行為を試してみる事にしたのである。

 

――これで…いいのかしら…?

 

とは言え、不慣れで知識も碌にない彼女。陰茎の亀頭部に舌を不規則に這わせるだけの拙い繰り返し。

 

「――きゃんっ…!?キャフンッ…!?突然何…!?…ア❤ヒ❤フ❤ひん❤アン❤」

「――んッ…もごっ…!」

 

 しかし彼には充分過ぎる程の刺激を、お見舞いしていた様だ。

スイーパーの性器に口は塞がれていたが、陰茎から伝わる快感に呼応するように舌を縦横無尽に動かし彼女の膣口を乱暴に舐め上げる。

その影響を直(モロ)に受けたスイーパーは、ビクンッと身体を跳ね上げ困惑と快楽に喘いでいた。

 

「ん…ふちゅ…レろん…んひゅ…❤(変な味と匂い…でも好きかな…これ…んフフ❤)」

 

 未だ有効な刺激法を見出せない監督官だが、彼の陰茎から醸し出される匂いと亀頭部の味の虜となりつつある。

時折り、陰茎がビクッビクッと痙攣する事に気付き彼女は舌を動かし口内に含むという行為も試してみた。

だが此処で、彼は不意にスイーパーを持ち上げ声を掛けた。

 

「え…どうしたの…貴方…?」

「すまぬ…、歯を立てないでくれ…。少し痛くてな…」

 

「う…嘘…そんな事になってたの…!?許して、次から気を付けるわ、貴方…許して…!?」

「怒ってはいない…、もう一度…頼めるか…?」

「が…頑張るわ…、貴方の為だもん…!」

 

 戸惑うスイーパーを余所に、彼は陰茎に歯が当たり痛覚を感じていた事を監督官に告げる。それを知った彼女は忽ち顔面蒼白となり、慌てて謝罪した。だが彼も彼で抗議の声など上げず、再び試してほしい事を焦燥する彼女に伝えた。

一旦中断された行為だが、監督官は奮起し再び口淫へと勤しむ。

そして持ち上げていたスイーパー降ろし女性器に再び舌を這わせた。戸惑うスイーパーだが再び押し寄せる快楽の波に、彼女の性感は高まり喘ぎ声を上げる。

 

陰茎の亀頭部を中心に舐め上げる監督官。少しずつ要領を覚えつつあるのか、尿道や前立腺なども丹念に舐め上げ亀頭部の傘(カリ)部分にも舌をヌメリと這わせていた。

 

「――ぬ…うぐ…フッ…!?」

 

 その度に、陰茎のみならず彼の漏れる声が彼女の耳に届き身体もビクリと反応している事に気付く。

 

――これは…反応しているって事よね。痛みならちゃんと伝えてくれるし、このままいけるかも…❤

 

ズブリ、ジュブリ、と淫靡な水音が繰り返し紡がれる。それはスイーパーの女性器から出た淫音なのか、監督官の口淫によるものなのか、果ては両方なのか定かではなかった。

だが一つだけハッキリしている事は、3人は存分に男女の秘め事を全力で愉しんでいるという点は間違いない。

 

「あ❤あ❤あ❤アン❤アン❤はぅん❤あぁはん❤ひぃん❤すごいスゴイ凄い…❤これ…好きぃ…❤」

 

「フゥ…フゥん…はも…ん…ぐちゅ…んぅぶ…❤」

 

 繰り返される舌の愛撫と往復に、スイーパーの喘ぎ声の感覚が短くなりつつある。また声量も声音を高みを増し、絶頂が近い事を示していた。

そして監督官も、口内の動きを加速させ陰茎の亀頭部に更なる刺激を与え続けていた。未だぎこちないながらも、彼の反応を敏感に感じ取り有効なポイントを見付けていた様だ。

3人とも反応に変化が見られ、より高みに達する寸前だ。

 

 

「――あッ!?貴方ぁぁああぁああぁああアンッ……❤❤」

 

「――ぐ…グふぅッ…!!」

 

「――おっ…ンぶ…ぶふぅ…ゴク…ゴクン、ゴキュん…ぷふぉあぁ…!」

 

 彼の舌による女性器の刺激で、またもや絶頂を迎えたスイーパー。灰の剣士の名を叫び、全身を過剰に仰け反らせ目を見開き天井を仰いだ。

監督官の口淫で、とうとう射精に達した灰の剣士。陰茎の尿道口から大量の白濁液を吹き出し、監督官は困惑しながらも口内に溜め込み徐々に喉を鳴らし飲み込んでゆく。

また監督官の口元からは彼の精液が漏れ出ており、飲み疲れたのか彼女は息を吐きながら陰茎から口を離した。

 

「ぐぇっぷ…あらはしたない…。ちゃんと綺麗にしなきゃ…レロ…ぴちゃ…❤」

「私も…ジッとしてて…❤ん…くちゅ…はむん…ンチュぅ…❤」

 

 飲み切れず口から零れた分の精液を綺麗に舐め取る監督官。

自分の愛液塗れとなった彼の口元と口内に、舌を潜り込ませついでに濃厚な口づけを交わすスイーパー。

とうとう彼も絶頂に達した事で、3人の秘め事は取り得ずの終わりを迎えた。性行為そのものは無かったが、お互いは充足感に満たされており、3人は仲睦まじく身体を洗浄し合い再び浴槽へと身を委ねる。

 

「んもう、あの子にさっきみたいな洗い方してたの?また気持ち良くなっちゃった…❤やん…❤」

 

 湯船に浸かりつつ、彼に乳首を摘ままれていたスイーパー。

行為も一区切りを迎え、こびり付いた体液を流すべく、もう一度身体を洗浄し合った3人。

だがこの段階で、彼は見習い神官にした洗い方を実践したのである。

(R-18版 第1話参照)

洗浄用のタオルではなく石鹸を付けた手で愛撫まがいに直接洗う事で、女二人の胸や女性器を再び刺激したのである。

遂には彼女たちを抱きかかえ、またもや互いの性器を擦り合い再び絶頂に達していた。

 

「あの子…、その時は確実にイったわよね…。そんな湯浴みを何回も繰り返して、よく理性を保ったわね…。あの子も凄く可愛いからさ…って、もぅ…悪戯駄目ぇ…アン…好きぃ❤」

 

 彼の指で乳首を弾かれていた監督官も、神殿での湯浴みについて言及していた。

最初の行為に比べれば少々物足りないものの、女二人に対し当時の湯浴みを再現していた灰の剣士。

結局最後の段階で、彼女たちは絶頂を迎えていたのである。

 

「そういう二人も、先ほどから私のモノから手を離さんではないか」

 

 浴槽内でも彼に乳首を刺激されていた監督官とスイーパー。しかし彼女達も、ちゃっかり彼の陰茎を掴み手を離す気は毛頭ない。

 

「貴方、まだ一回しか出してないでしょ?」

「そうよ、せめてあと一回は出して❤」

 

「ぐッ…そうだな…二人とも…顔を近付け舌を出してくれ」

「「はぁ~い、貴方ぁ❤」」

 

 女二人は彼の陰茎を上下にゆっくりと扱(しご)きながら、顔を近付け舌を出す。

そして3人で互いの舌を絡ませ合いながら、穏やかな行為に没頭した。

 

「「ん…ンチュ…ぬりゅぅ…んく…ちゅ…❤」」

「ンぐ…く…これは堪らぬ…出すぞ…!ぐふぉっ…!」

 

 舌の絡ませ合いと手淫(手コキ)相乗効果は、予想以上に彼の性感を刺激した。

先ほどの激しい行為とは比較にもならない程に穏やかで涼やかな愛撫――。だが彼女達の深い愛情を感じ取り、彼は数分もしない内に性を吐き出した。流石に量自体は少ないものの、彼は脱力し湯船の背に身体を預け大きく息を吐いた。

 

「わぁ…また出たわね…❤」

「湯に浮いてるわ…❤ま、後で掃除するでしょ、係員の人が」

 

 浴槽の中で出した彼の精液は、湯の温度で凝固し白い塊を成し浮いていた。

まぁ使用後は職員が清掃するのだ。それは何処の職場でも同じで、看板商品とも言える高級部屋ともなれば尚更の事だろう。

湯船から出た3人は、最後に掛け湯で身体を簡単に洗い流し再び衣服に身を包む。

残り1時間ほどに迫っていたが、3人は軽い食事を注文し胃袋を満たす。メニューは肉厚のベーコンを挟んだトーストと、野菜具のたっぷりと詰まった煮込みスープ、そしてカットフルーツ。

 

「はぁい貴方ぁ…口移しぃ❤」

「ズルい…私のも…ん❤」

 

 この様な場所と状況で普通の食事などする気はない、特に女二人は――。監督官とスイーパーは口に咥えたまま彼に迫り、口移しで食物を口内へと運ぶ。

 

「何照れてるのよ、裸じゃあるまいし」

「今度は私たちに食べさせてぇ…あ~ん❤」

 

 とても他には見せられない光景を繰り広げていた灰の剣士たち。亡者の穴倉に籠もっていたい程の羞恥を覚えていた灰の剣士だが、彼女たちと同じように口移しで何とか応えた。

そして食事時間でも3人は互いに身体を弄り合い口付けしながら、使用時間ぎりぎりまで愉しんだ。

 

……

 

「だからよぉ…あの3人組が此処に来たの間違いねぇんだって…!」

「悪いこたぁ言わねぇ、とっとと出しな…!」

 

「失礼ですがお客様、3人組の客と言われても誰の事を仰っていますのやら?」

 

「とボケんじゃねぇよ!ギルド職員と冒険者の男女だ!」

「灰の剣士、ゴブリンスイーパ―って知ってんだろぉ…!?ケガしねぇうちに出しな!」

 

「お客様の素性を外部に漏らさないのが規定ですので、お引き取りを」

 

「こっちはギルドの依頼受けてんだ!あの連中を出しやがれ!」

「迷惑してんだろぉ?アイツら直ぐ問題起こすからな…。俺達が解決してやるってんだ…出しな!」

「他人の悪口を流す職員、ヤリチンで強姦魔の灰の剣士、見境ないセックス狂いのスイーパー…、俺等が確保して穏便に済ませてやるからよ、素直に聞いとけって…よぉ!?」

「いつもこの店利用してやってんだ、俺達と繋がりを強くするチャンスだぜ!?」

「アンタら店にとっても悪い話じゃないと思うがね?」

 

 一方その頃、店の受付では少々の揉め事が発生していた。

冒頭で灰の剣士たちを尾行していた集団が、この店に押し寄せていたのである。

そして受付員に迫り『灰の剣士たちを出せ』と喚いていた。

口調からして品格に欠けた典型的なチンピラといった風情がしっくりくる、育ちと柄の悪さを纏った集団だ。実際、小悪党のチンピラも数人含まれていた。

 

「失礼ですが、ギルドの依頼という事であれば証明書をご提示ください。確か規定でしたよね?」

 

 しかし受付員も彼等の凄みを軽く受け流し、あくまで営業口調でギルドの依頼証明書の提示を要求する。

 

「チッ…ったく手間かけさせやがる…ホラよ…!」

 

 面倒くさそうに求めに応じた柄の悪い男、仕方なくカウンターの上にクシャクシャの羊皮紙を置く。

 

「ふむふむ…、…まぁ随分と汚い文字で…誤字脱字だらけ…書体も美しくない…一体何処の種族が書いたのやら…。もう少しマシな偽造を施して貰いませんと、私にもギルド職員の知り合いが御座いますので…ハァ…」

 

 一瞬で偽造された物だと見破る受付員。そもそも彼女は職業柄、多くの客に応対してきたのだ。この手の客と接するなど日常茶飯事で、店側も何の対応策を講じていない訳がないのだ。

因みに彼女こそが店主でもあり、多くの広い交流を持ちギルド職員も含めローグギルドや領主とも繋がりを持っていた。

当然、この連中はそんな事実など知りようもない。

 

「あとギルドの依頼証明書は、パピルス紙で羊皮紙など使いませんので。…ですがそれ程まで御求めなら、彼に対応させましょう」

 

「へっ…さ…最初から素直にそう言やぁいいだよ…!(脅かしやがって…)」

 

 連中の偽造など分かり切っていたが、彼女は一計を案じ応じる事にした。

彼女の僅かな含み笑いに気付く事なく、柄の悪い髭面男は鼻を鳴らす。

カウンターの呼び出し鈴を何度も鳴らす受付員。普段鳴らす事のない低い音色のする鐘の音を聞きつけ、一人の男性職員らしき狼型獣人がカウンター奥から姿を現した。

数秒ほど受付員との小声を交わし、狼職員は連中に応対する。

 

「どうぞ此方になります、お客様。私めに続いて下さいませ」

 

「へっ…そうそう、素直に応じてくれりゃぁ、俺等も手荒な真似はしねぇ…」

「俺等はこれでも、御仏の一派って呼ばれた集団だしよ」

 

「左様でございますか?頼もしい事です」

 

 狼職員が床のスイッチを踏み、床から隠し階段が姿を見せる。連中の中には店を利用経験のある者も含まれており、どうやらこの手に仕掛けには慣れており驚く事はなかった。

連中は職員の誘導に従い、地下の領域(エリア)へと降りてゆく。そして彼等の姿を見届けた後、床の仕掛けが解除され下り階段は消失した。

その様子を確認した半森人の受付員は、煙管で一服し煙草の煙と共に大きく溜息を吐く。

 

「全く、あの連中にも困ったもんだわ…。お金落とさない割に問題ばっかり起こすし、ちょっと…お灸を据えてやらないとね♪」

 

 素行も柄も悪い客には事欠かなかったが、取り分け今の連中が最も問題と迷惑を起こす劣悪な客そのものだったのである。

 

最安値の部屋と嬢しか指名しない癖に、権利とサービスの主張を喚き散らし、果てには嬢に暴力まで振るう始末。

また取り押さえに来た用心棒にさえ噛み付き、店から追い出される事など実によく話だ。

 

彼等の素行の悪さは此処だけでなく、ローグギルドでも少々噂になるほど酷いものだった。

だが然したる大物悪党でもなく、治安維持部隊にも監視対象として扱われるのが精々だ。何せ、街では軽犯罪を犯すだけで済ませているのだから尚質が悪い。

 

受付員は何食わぬ顔で、カウンターの奥から管状に繋がったカップらしき物を取り出し耳に当てた。

すると程なくして、地下から男たちの悲鳴が彼女の耳にまで届いて来た。

 

『いやぁ~ッ…止めやがれェ…止めてぇッ…、俺のぉ…俺の穴がぁ……ぎゃぁぁッ…!!??』

『オラぁッ…大人しく淫乱にケツ穴差し出しなぁッ…!おぅ❤おぅ❤おぅ❤おぅ❤…いい穴じゃねぇか、あぁんッ!?』

 

『ぎぃやぁぁああッ…!?サケ…裂けるぅうぅ…!?俺の穴がぁ…ッ!』

『うわっほぅッ!?その反応いいわねぇん…、どうよぉ処女を捧げた気分わよぉん!?あたし、アンタの反応すきよぉん、オラオラオラオラぁ…気合い入れて腰振りなぁ…!ぎゃぁッはッははハァ…!』

 

『ウホッ…いい男❤実はアタシ、受け専なのよ❤ホラホゥルァア…!これ以上指折られたくなかったら、気合入れてしっかり腰振れよぉッ…!ゴルァ、もっと激しくだぁ、あぁんッ!?』

『ヒ、い、いヤダぁッ!?俺まだ、童貞なんだよぉ…あぁぁあアぁ……』

 

 地下では彼等の宴が繰り広げられていた。

 

「またの御利用お待ちしています!此度のプレイに関しましては、お代は頂きませんので、サービスしておきます❤改めて、ご利用有難う御座いましたぁ!」

 

 暫くして営業スマイルで、彼等を見送った受付員。品性と素行に欠けた彼等とて大事な客には変わりないのだ。

 

「うるせぇ…こんな店二度と来るかぁッ…!」

「ちくしょう…なんで俺がこんな目にッ…!」

「俺の…俺のニンジンさんがッ……!」

「初めの相手が…男の…鉱人だなんて…」

「男色家に…男色家に…イかされてしまったぁ…!」

「もう、お婿に行けねぇ…」

 

 美人で気立ての良い半森人の受付員に、満面の笑顔で見送られた連中――。

彼等はこれ以上ない程の嬉(・)し(・)涙(・)を浮かべ、逃げるように店を後にした。

少々足取りが重くふら付いていた処を見るに、かなりのサービスが提供されたのだろう。

 

この日以降、連中は暫くのあいだ街でも大人しくなったそうな。

 

 

 

 

 

   デエェェ ―― ご愁傷様 ―― ェェェエン

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

大司教様との件、まぁ今回は認めてあげましょうか。ただ単に、欲情した訳でもなさそうだし。

ホントはシテ欲しかったけどそれはそれ、これはこれ。

私は仮にも至高神の信徒にして司祭――。誓いは守らせなきゃ。

え?複数妻を持つ事に抵抗は無いのかって?

うちの家族はそれが当たり前だし、貴族界隈では寧ろ普通なの!別に認めても良いでしょそれ位。

もし周りがギャアギャア叫ぶんなら、有無を言わせない程の功績を彼に挙げさせればいいだけよ。

もう私の心は決まった。あとは少しずつ深めていくだけ。

どんな家庭にしようかなぁ…。

 

西方辺境街の冒険者ギルド所属、とある職員から抜粋。

 

 

 

 

 

 




チョット前置きが長くなってしまい、必然的に文章全体が長くなってしまいました。
本番行為は無しですが、それに至らずともとも極力エロくした積りです。
ちょっと灰の剣士がキャラ崩壊しているかも知れませんが、彼とて性欲はあるんです。
今は真っ当な生者ですし…。

良ければ感想、高評価などを頂ければ更なるモチベ向上に繋がります。

如何だったでしょうか?
少しでも楽しんで頂けたら幸いです。  
デハマタ。( ゚∀゚)/

さて、本編の方も書かねば…。
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