ごめんなさい!
変更点としてはクラス対抗戦の導入の会話が変更になっています。
投稿した後にセシリアがなぜその発言をしたのかの台詞が思いっきり抜けていたので削除したタイミングで台詞も変更してしまいました。
新しい気持ちで見てくれると嬉しい…です。
それではどうぞ!
神奈川にある江の島辺りの無人島を開発して作られたIS操縦者育成技能国際高等専門国営施設…長いのでIS学園はその扱う物体ものが特殊ゆえに様々な制約と各国家郡から干渉を受けない中立をうたってはいるがそんなことはないだろう。
ISの技術昇華を行う為の所謂”箱庭”である学園で年頃の少女達がこの場所で生活をしているのだろう。
いかなる国、機関からの関与を受けないとなってはいるが水面下ではバチバチにやりあっているのが目に浮かぶ。
そんな権力闘争の渦中に突っ込むというのだから俺も大分トラブル体質になったものだと蜂也はあきれていた。
それに表立ってはいないが芸能界と同じくISの国家代表候補生というものは下手な芸能人よりも有名でそれに付け込み権力者達が若い少女を食い物、つまりは”接待”を要求されることも少なくない。
実際にシャルロットや他国家代表候補生達のフランスのIS担当大臣と来賓達のパーティーで薬を盛られ下劣な権力者達に下世話な事、つまりは性交渉をさせられそうになったが、そこは蜂也の特異技能である《瞳》がシャルロットを見守っているので頭蓋に鉛玉をぶちこみ事なきを得た。
その出来事はシャルロットが知る由もないが。
そんなこんなで権力闘争の真っ只中のIS学園に向かう飛行機の中。
隣にいる金髪の美少女を見て一瞬夢かと思い頬をつねるが痛みがあるようなので現実だった。
「…(頬をつねってる。)」
「何してるの蜂也?」
「いや、隣にシャルロットがいるから夢かなー何て思ったけど現実だったわ…白昼夢かもしれんな。」
「?たまに思うけど蜂也ってなに言ってるか分からないときがあるよ…日本語ってやっぱり難しいね。」
「お願いだからシャルロットはそのままでいてくれ。いや、いてください。」
「どうして敬語になったの?」
そんなこんなで飛行機でフランスから日本へ数時間…ようやく到着した日本は何だが懐かしい雰囲気を身体で感じた。
そう言えば《次元魔法》でこの世界に飛ばされて約一年と半年が経過していたのだと思い出した。
隣にいる少女へ話しかける。
「大丈夫かシャルロット?」
「う~ん…!少し時差ボケかな…ちょっと眠いかも。」
腕を上に挙げて伸びるポーズをしておりシャルロットの苦しいと主張している胸元が揺れていた。
「…。」
蜂也は可愛すぎて写真を連写で取りたいレベルであるが自重した。
フランスから日本までは約八時間。
アメリカに比べれば大分マシだとは思うがシャルロットはなにぶん旅行というのははじめてだから慣れてはいない。疲労が溜まるのは当然と言えた。
隣には一緒に日本へ渡航したご主人もといパートナーであるシャルロットだった。
既に二人はIS学園指定の制服を着用している。
シャルロットは上着はそのままで下のスカートは若干短くその色白な太ももが露になっており脚線美を遺憾なく発揮していた。
蜂也の方は元々男子用の制服が想定されていなかったので突貫で作られた男子制服を改造しどちらかと言えば背広に近い見た目だ。蜂也は細いが鍛え上げられたボクサーのような体格をしているのでかなりフィットした作りになっていた。
しかしIS学園の制服は白を基調としている制服のため空港内のロビーで他の利用客からの視線が突き刺さっていた。
それだけではなく蜂也とシャルロットの見た目も相まってなのだが…。
視線にうんざりした蜂也はここから移動するように同行者へ声を掛ける。
「そういや機体ってどうなってるんだ?シャルロットの。」
蜂也がそう言うとシャルロットは首からぶら下げている待機形態のストラップトップを持ち上げてみた。
「まだ調整中かな…会社の人たちも頑張ってくれてるけど、早く見積もってもクラス対抗戦まで掛かるって。」
シャルロットの専用機は技術立証の新装備の組み入れが行われているため使用できない。
使用できたとしても出力が大幅に低下しておりとてもではないがシャルロットの技量をもってしても第三世代機体には勝つことは難しい。
「そうか…まぁ、いざとなったら飛行機使わないで直接取りに行けるからそこまで問題じゃないか…?」
「本当に便利だよねその…『あれ』。でも何でここに来る道中に使わなかったの?」
「シャルロットと空の旅を楽しみたかったんだが?」
「…!////も、もうそう言うところがずるいよ…蜂也。」
そのコメントは飛行機の離陸音によって掻き消された。
「何か言ったか?」
「な、何でもないよ!」
「?荷物は既に学園に運ばれてるから行くぞ。」
「行くってなにで学園まで?」
「学園から迎えが来ている筈だが…ん、こっちか。」
「わわっ…!ちょっと蜂也ってば…もう…」
シャルロットの手を優しく掴んで空港のロビーから出ることにした。
大分名前を呼ぶのも片言じゃなくなってきていたのは身近に日本人がいたからなのだろうかと考え深くもなったが、逆に俺のようなちゃんとした日本語を使っていないのがいることで変な言葉を覚えていないか不安になったが気のせいだろう。
「君たちが新入生か。」
ロビーを抜けて正面入り口の自動ドアを通りすぎると目の前にはタクシーが止まるロータリーが見え、迎えの人物が立っていたのだが予想外すぎる人物が立っていた。
「へ?」
「はい?」
「ん、どうした?わたしの顔に何かついているか?」
そこには俺が小説で読んだことのある登場人物がそこにいた。
まさかの迎えに俺とシャルロットは言葉を失い真顔になる。
その様子を見た迎えに来た女性は怪訝な表情で此方を見ていた。
呆然としているシャルロットに耳打ちした。
「あ、すみませんちょっと…」
がばりと呆けているシャルロットの肩を抱いてヒソヒソと話を進めた。
「わ!ちょ、ちょっと蜂也…!?」
「すまん…。いきなりのことで状況が理解できていないんだが…なんで織斑千冬がいるんだ?」
「そ、それはわからないよ…」
「だよなぁ…なんの手違いで”ブリュンヒルデ”が迎えに来るんだよ…ガチモンの有名人じゃん。」
「う、うん…」
IS学園からの迎えを寄越す、というのは出立前に社長から聞かされていたがまさかこの人物とは夢にも思わなかった。
その人物を見て改めて俺とシャルロットも姿勢を正して日本式の挨拶をする。
「はじめまして。私はシャルロット・デュノアです。こっちが…」
「名護蜂也っす。よろしくお願いします、”ブリュンヒルデ”」
皮肉を込めてその女性のあだ名で呼ぶと苦笑されシャルロットは若干絶句していた。
「本気で言ってるのそれ?」といわんばかりに。
「その二つ名は私には過ぎた名前なんだがね…出来るだけその名前で呼ばないように。」
「了解っす。(随分と柔らかい性格だな…その名前で呼ぼうものならば”あれ”が飛んでくるものだと思ったが。)」
「ははは…分かりました。Ms織斑」
「織斑先生と呼ぶように、デュノア、名護…。さてここで長話しても仕方ないので乗ってくれ。」
そう言われ近くに停車してあった紅いクーペに乗り込んだ。
◆ ◆ ◆
「織斑先生が迎えに来るとは思わなかったんでビックリしたんすけど」
「まさかわたしの弟以外にも男性装着者が見つかるとは思わなかったよ。それにしてもお前達は恋人同士なのか?」
「へ?」
「お、織斑先生っ!?な、何を証拠にそんなことを?」
「今だって車に乗り込むときに手を繋いでいたからな…違うのか?」
「そ、そんなわたしは…蜂也とは…その…。」
紅くなってもじもじしているシャルロットを尻目に弁明する。
「あ、違うっすよ?俺はデュノアお嬢様の護衛としてこの学園に来てるわけでして。それにデュノアお嬢様のお相手にしたら可哀想ですよ…。」
そう言うとシャルロットは寂しそうな表情をしており、その表情をバックミラー越しに見ていた織斑教諭は苦笑いを浮かべている。
一体どうしたと言うのか。
「…名護もうちの弟と同じタイプか…道は険しいぞ?デュノア。」
「はい!頑張ります!」
「?」
強く宣言するシャルロットに俺は頭に疑問符を浮かべる事しか出来なかった。
◆
織斑教諭が運転するクーペは非常に静かで隣に座るシャルロットは長旅の為か眠ってしまっていて、その様子を見ていた俺は微笑を浮かべる。
運転手があの織斑千冬だと言うのに眠りこけるのは随分と肝が座っていると言えるだろう。
バックミラーから見ている織斑教諭もその表情は柔らかだ。
織斑教諭は作中でも語られていたIS国際大会、『モンドグロッソ』の”ブリュンヒルデ”だ。
元、ではなく現なのだが。
だがその性格と表情は随分と原作と解離してしまっているように思えた。
疑問に思った蜂也だったが運転中の織斑教諭が話しかけてきた。
「名護。」
「なんです?」
「新入生に頼みごとをするのも可笑しな話なんだが…。」
「はい。」
「…IS学園には男性は用務員さんしかいなくてなそれで…。」
「…。」
「な、なにか言ってくれないか?」
「いや、織斑教諭が何を仰りたいのかわかんねーんすけど?」
「くっ…素直に言えないことをこいつ分かってるな?…つまりだな…その、弟を…」
「”仲良くしろ”って仰りたいんですよね。」
「そうだ。」
「お断りしますよ。」
「なっ…!?」
ここは承諾する場面だが蜂也は断った。
そもそもにおいて、彼は
ハーレム?大いに結構。ラブコメ?結構。だが彼が一番嫌いなのが《弱い》ことだ。
そもそもおいて原作でもあまり目立つ活躍をしていなかった。
『気持ち』が先行し『実力』が伴わないのであればそれは唯の『馬鹿』だ。
まぁ
しかし、ただ断るだけでは心証が悪くなってしまうと考えた蜂也は訂正をした。
「見てから決めますよ。そもそもにおいて他人から勧められたのを鵜呑みするほど馬鹿じゃないですし、付き合う人間を決める権利は俺にもありますし?」
「……」
そう言って背面を向けている織斑教諭をバックミラーを見ながら答えると笑い声が聞こえた。
「ふはははははっ!!」
「?」
「…あ~いやすまんな。まさかそんなに正面切ってそんなことを言われると思わなくてな。捻ねくれてるって言われないか名護。」
「言われたことはないっすね?」
「嘘をつくな、嘘を…まぁ他人から”仲良くなってくれ”は信じられんか…それもそうだな。ではこうしよう。『織斑一夏の姉としてのお願い』だ。」
「それは卑怯でしょうが先生…」
「ふっ、伊達にお前よりも少し大人で社会経験を早く積んできたわけではない。」
「分かりましたよ…。本当に見て決めますが。」
「ああ、それで良い。弟を頼む。」
「無理だと思ったら殴りますんで。」
「…せめてしっぺぐらいにしてやってくれ。」
織斑教諭はブラコンであるのには変わりないと言うことは分かった。
「ううん…はっ!ご、ごめんなさい織斑先生っ!!寝てませんでしたけどつかれちゃって…その…!」
「ふっ…大丈夫だデュノア。眠っていたことで怒りはせん。」
「は、はいっ!!…むぅ!」
「痛いんすけど?」
シャルロットが声を裏返して頷いているのを見て思わず笑みが出るが、それを見たシャルロットに脇腹をつねられた。
「そうか、そろそろ学園につくぞ。」
織斑教諭が首をクイッと外へ向けると挿し絵で見た光景が広がっていた。
「おお…」
「ここがIS学園なんだ…」
陸路と人工島が繋がっていて、その先には近未来な外観をしている建物が目に見えてくる。
一番高い建物で独特な形をしているタワーが目に入る。
恐らくはISのアリーナ管制塔なのだろう。
…血税使われすぎでは?
IS学園のゲート前は厳重に警備が施されており織斑教諭が手続きを行い俺たちを乗せた紅いクーペがIS学園にある決められた駐車場へと入庫し停車した。
女教師は後部座席へ振り向いた。
「ついたぞ二人とも、ようこそIS学園へ。」
「ありがとうございました織斑先生」
「ありがとうございます織斑教諭。」
「構わんさ。それよりも丁度今教室で自己紹介しているタイミングだろうから教室へ向かうぞ。」
こうして俺たちは様々な思惑渦巻くIS学園へとやってきたのだ。
織斑教諭につれられて所属する1-Aと向かうことになる。
◆ ◆ ◆
少年は愕然としていた。
ここには男一人だけ。味方はいなく孤立無援であった。
(くっ…事前に考えていた自己紹介はあまりの緊張で忘れちゃった…!ど、どうしようか…!!そうだ、箒に…って箒ぃ!?)
頼みの幼馴染みである篠ノ之箒は此方を一瞥して申し訳なさそうな表情を浮かべて視線をはずした。
(すまない一夏…わたしではお前をこの窮地から救ってやれん…非力なわたしを許してほしい…だが一夏なら切り抜けられる筈だ…!)
そんな箒の一方的な思いは一夏には伝わっていない。
だが教室内の視線…人間には目が二つがあるから箒と自分を除いて合計七十六の視線が一夏へ突き刺さっている。
物珍しそうに、何を言ってくれるのか期待しているように一夏を見つめる。
まるで針のむしろの気分だった。
(覚悟を決めるしかないのか…)
視線を一身に受けて少年は覚悟を決めた。
なおかつ早く自己紹介を進めてほしいと期待したメガネを掛けた童顔な教師の為にも答えなくてはならぬと意を決して一番前にある自分の座席から立ち上がり振り返る。
「…」
真剣な表情でクラスメイト全員を見つめる一夏に思わずクラスメイト達はごくり、と息を飲んだ。
そして、一夏はその言葉を発した。
「え~と…以上です!」
ガラガラガッシャーン!!
「え?駄目だった?」
しかし、その回答は無情であった。
1-Aに所属して顔合わせをしていた新入生である織斑一夏は自己紹介をするつもりだったのだが、あまりの緊張に発言する内容を忘れてしまいクラスメイトの女子達が椅子から崩れ落ちるという光景が広がっていた。
「自己紹介も満足に出来んのか馬鹿者め。」
その言葉を耳にした瞬間風切り音がなって衝撃が一夏を襲う。
「はっ!?」
バシィン!
教室にいつの間にか入室し一夏のふがいない自己紹介にあきれつつ、いつの間にか手にもっていた出席簿を一夏の頭に軽めに叩きつけていた。
「いっつ!!…な、なんでここにいるんだ…っ!?」
その教師は黒のスーツにタイトスカート、すらりとした長身、鍛えられている者特有の肉厚だけではなく女性としての柔らかさを備えた筋肉で美しい均等の取れたボディーライン。
狼のように鋭いつり目の女性である一夏の姉である織斑千冬がそこにいた。
突然の登場に驚く一夏であった。
バシィン!バシィン!
呆けている一夏へ千冬からの愛情の連撃が炸裂した。
その光景を見ていた少年と少女。
「わー痛そう…これが日本式の体罰ってやつかなぁ…」
「間違ってるからなシャルロット。てかどこの昭和の世代…。いやあれでも大分加減してるな。」
「わかるの?」
「ああ。あの叩きかたは衝撃は出るが痛みはないだろう。」
出席簿による二連撃、がヒットし頭を押さえていたが一夏的にはここに千冬がいることが驚きなのだろう。
「な、なんでここに千冬姉がいるんだよ!?」
「織斑先生だ、馬鹿者。」
あきれた表情を浮かべて教卓で止まったままの状態である副担任…山田真耶に話しかける。
「すまないな山田くん、HRを任せてしまって。」
「ああ、いえ大丈夫です。それよりも学園長からのご依頼は…?」
「無事に終わって今そこの扉で待機している。よし、二人とも入ってこい。」
一夏が頭を押さえて着席し、千冬が扉に向けて声を掛けると二人の男女が入室してきた。
教室内がざわつく。
「男の子…?」
「もしかして噂のセカンドマン…?」
「あの女の子見たことあるなぁ…」
「あの金髪の女の子、男装させたらすっごく似合いそう…高まる!」
「ファーストとセカンドマン…薄い本が厚くなるな…!」
「入ってきた男の子の眼差し…とっても良いわ!あたしのなにかが目覚めそう!」
「厨二病は卒業したんじゃないのか~?」
などと言った会話が聞こえて来るくらい教室内は盛り上がっていた。
少女は少年の耳元でささやいていた。
「…ねぇ蜂也。このクラスの子達が何を言っているのかわからないんだけど…不味いかな?」
「…頼むからシャルロットは純真でいてください。」
「だからなんで敬語なの?…まぁでも蜂也がそう言うなら深く突っ込まない方が良いのかもね。」
「そうしてくれ。」
千冬が咳払いをすると、先ほどまで熱狂に包まれていた教室が静まり返る。
「んん!二人とも自己紹介を。」
そう促され蜂也とシャルロットは千冬と真耶の間に立つ形となる。
第一声を発したのはシャルロットだった。
「シャルロット・デュノアです。フランスから来ました。この国では文化の違いから不馴れなことも多いかと思いますが皆さん宜しくお願いします。」
シャルロットはそう告げてにこやかな笑顔を浮かべ一礼した
バトンタッチするように次は蜂也の自己紹介になる。
若干、いやかなりの注目を受けていると自意識過剰ではない蜂也は、視線から読み取り内心苦笑しながら自己紹介をお決まりのフレーズで話し始めた。
「名護蜂也です。なんの因果かわかりませんがISを動かすことになり”デュノアお嬢様の護衛を兼任する形で”このIS学園に入学することとなりました。若輩者ですが宜しくお願いいたします。」
あくまでも自分はおまけ、そう強く主張するようにコメントを残し浅く一礼をする。
二人の自己紹介が終わると再び熱狂が戻ってきた。
思わずシャルロットの教育上悪い言葉が飛び交っていたので思わず耳を塞いでやりたくなったがわざわざ燃料を投下する必要もないと考えスルーすることにした。
その光景に真耶は苦笑いを浮かべ千冬は呆れた表情を浮かべている。
「全く…毎年よくもまぁこんな問題児ばかりよく集まるものだな…感心してしまうが。それとも問題児が集まるようにそう仕向けられているのだろうか?」
その呟き…というよりもぼやきは心が込められており蜂也は思わず声を掛けていた。
「その問題児を更生して使い物にするのが織斑教諭の役目じゃないっすかね?」
「胃が痛くなるな…」
「まぁ、頑張ってください。」
「名護は私の胃に優しい生徒になってくれよ…」
「切実すぎません?」
胃痛に悩む二十四歳の美人女教師とか見たくない…というのが蜂也の印象だった。
それに原作と性格が大分軟化しているようなので出来るだけ気には留めておこうと思った蜂也であった。
◆ ◆ ◆
騒いでいた教室のクラスメイト達は千冬の鶴の一声により鎮火された。(というよりも弟の一夏が出席簿アタックの犠牲となって『今度騒いだらこうなるぞ』と身をもって知らせていた。因に千冬のあの叩きかたでは衝撃があるだけで痛みはない。)
本来ならレクリエーションがあるはずだがここはIS学園。そんなものはなくSHRが終わると同時に直ぐ様授業と相成った。
そして授業が終わり。
「……」
「ぜっっっっっっんぜん分からん…」
そんな呟きが思わず耳に入った蜂也だったが無視することにした。
隣の席に割り当てられているシャルロットへ声を掛ける。
「思ったよりもゆとり教育じゃないんだな。」
「そうだね。まさかSHRが終わってすぐに授業だと思わなかったけど…まぁ初歩の初歩だね。」
「…そうだな。」
その言葉をあえて自席で撃沈している男に聞こえるように話しているとビクリ、と反応して立ち上がり此方へ歩を進めてきた。
蜂也は遂にか、と少し心が踊った。
蜂也の前で立ち止まったが、その表情は緊張しているようで切り出しづらそうだったが目の前にいる少女が柔らかな表情を浮かべているのが効いたのか、踏ん切りがついたようで少年に話しかけてきた。
「…しっかりとした自己紹介が出来てなかったから改めて、俺は織斑一夏。宜しくお願いしまう。」
噛んだ。
「くすっ」
そして少女が小さく笑い。
「ふっ…」
少年に微苦笑された。
「最悪だ…」
そして一夏は落ち込んだ。
すかさずシャルロットがフォローに入った。
「ま、まぁ!初対面だと緊張しちゃうから…!ね!そんなに落ち込まないで織斑くん!」
「ありがとうデュノアさん…俺ちょっと泣きそうだよ。」
シャルロットの優しさに一夏は涙しそうになった。
「まぁ、笑って悪かったな、織斑…。それで?俺たちの元に何しに来たんだ?」
「あ、いやISを扱えるようになって女子だらけのこの学園に入学することになっただろ?出来ればその仲良く出来たら…いやその知り合いになって欲しいなんて…。」
少し言いずらそうにしている一夏に蜂也はここに来る前に千冬に言われていたことを思い出した。
『弟とは仲良くなって欲しい』
だがしかし、この事を聞くまでは蜂也は馴れ合うつもりはない。
「因にだが…ここに来る前に予習はしてきたか?IS関連の事。」
唐突に『勉強してきたか?』と聞かれれば戸惑ってしまうのは無理はないが一夏は頬を描いて観念したように切り出した。
「あー…一応…」
「一応だと?」
蜂也の語気の強さに思わず萎縮してしまう一夏だったがちゃんとした理由を答えた。
「い、いや俺もここに入学するからには巻き込まれたとはいえちゃんと学ぼうと思って1ヶ月前から勉強をしてた…してた筈なんだけど…」
「筈なんだけれども…どうしたの?」
シャルロットが優しい口調で一夏に問いかける。
「実は参考書が来たのが…一週間前でしてね…その…本当に触りの部分しか学べてないんですよ…」
苦い顔を浮かべそう弁明する。
「なんでそんなに遅れてたんだ?」
「いや、手違いで俺の参考書の荷物が配達先を間違ったとか千冬姉が言ってたんだけど…ほら、ここにちゃんとあるぞ、参考書。それにただ時間を無駄にしていたわけじゃない。」
「?」
「そこのホテル、トレーニングルームがあってずっと体を鍛えてたんだ。」
「なるほどな…」
一夏の脇に抱えられていた六法全書ほどの厚さがあるISの教導参考書が確かにそこにはあった。
それに参考書が届かないと言ってただだらだらしていたわけではないようで筋トレと体力トレーニングをしていたようだ。
その事を確認し、ついでに先ほどまで一夏がいた机をチラ見する。
そこには分からないながらも必死に先生が書いた内容を書き写し纏められているノートがそこにあった。
その事を確認したことで蜂也は立ち上がって手を差し出した。
こいつは今までの
「宜しくな、織斑。俺もここに男一人で不安だったんだ。」
その言葉を聞いて一夏は喜色を浮かべて勢いよく握手をする。
「こっちこそ宜しくな蜂也!」
早速名前呼びする辺りそこは原作と変わっていないのだと蜂也は安心して微笑を浮かべると教室内と男性操縦者を見に来た外にいる生徒が盛り上がっていた。
「?」
「??」
蜂也は「燃料投下しちまったな」と後悔したが、一夏とシャルロットはなぜ周りが騒いでいるのか理解できていなかった。
◆
人影が目の前を覆う。
「ちょっと宜しくて?」
(お、遂に来たか…てか俺の所に最初に来るのな)
次の授業に備え準備を自席で行っていると声を掛けられた。
そのソプラノの声は聞く者を魅了するだろう。
意識を教科書からその人物へと変更した。
「ええ、一体なんのご用だろうか?セシリア・オルコットさん。」
《
実際に蜂也は会うことになりそのビジュアルの高さから人気になるのも頷けると思った。
しかしその性格は第一印象としては悪い部類だろうと蜂也は思った。
しかし蜂也の反応に満足したのかヒステリックなことを起こさず二度、三度と言葉を交わしたのちにもう一人の男性操縦者の所在を聞かれたが
「ああ、一夏なら昔の幼馴染みと雑談してる。伝えておこうか?」
「いえ、大丈夫ですわ。同じ教室内ならお話しする機会もありますでしょうし。」
「そうか。」
「ええ、ではまた。」
そう言葉を残し満足げに自分の席へ戻っていった。
そして入れ違いでシャルロットがお手洗いから帰ってきた。
しかし、なぜだか不機嫌になっている。
「…蜂也さっきの娘と楽しそうに話してたね。」
「なんで怒ってるんだ?」
「…怒ってなんか無いよ、それよりもさっきの娘は?」
「いや、お前も知ってるだろ。イギリスの国家代表候補生だよ。」
そう言うと思い出したかのようなハッとした表情を浮かべる。
「あ、代表候補生のオルコットさんか。」
「そそ、折角だし現役のIS乗りの話を聞いときたいと思ってな。」
「そんなこと言って楽しくおしゃべりしてたんじゃないかな?」
どうもコメントに棘があるように感じて蜂也は思わず苦笑する。
ここでシャルロットを宥めておかないと面倒くさいことになりそうだと直感で感じた蜂也は説得に入る。
「あのなシャルロット、俺はお前の護衛でここに来ているんだ。分かるな?」
「それは…そうだけど。」
「俺が大事にしてるのはシャルロットだよ。」
「…////!?」
その事を告げるとシャルロットの乙女回路が爆発し顔を真っ赤にしてフリーズしてしまった。
そんなことに気にも留めず蜂也は説明した。
「お前に危害が加えられないように俺がお前から目を離すわけ無いだろ?それに他の女子生徒とお話しに俺が夢中になると思うか?」
「う、うん…///わ、わたしをずっと見てくれるってこと…?」
「まぁ、要約するとそうなるな。(まぁ社長に頼まれてる…それに物語の登場人物だとしても”万が一にシャルロットがそんな目に合うのは見たくない”しな)」
「そっか…えへへ。(そっかぁ…蜂也は”わたしだけ”見てくれてるってことかぁ…ふふっ!)」
「?(なんで笑顔になったのか分からんけど…機嫌が良くなったからいいか。)」
二人の考えは若干食い違っていたがそれを指摘できる者は誰もいなかった。
むしろこのやり取りを聞いていた女子生徒は盛り上がったりしていたと言う。
◆
そのやり取りを終えて自分の席につくと同時に織斑教諭が入室してくる。
…そうかそのタイミングだった。
「再来週行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めないとな。」
そう、原作でもあった一夏とセシリアの言い争いから始まる『クラス代表戦』が始まるわけだ。
しかし、ここにはフランス国家代表候補生のシャルロットと
しかし、それは千冬の口から
「…因にだが物珍しさで《男子生徒》を推薦しないように。推薦するならば責任をもってクラス代表の補佐をすることとそれなりの理由が必要だ。今手を挙げたもの『誰』を推薦しようとした?それとも自薦か?」
まるで鷹のような鋭い視線がノリで挙げようとしていた女子生徒に突き刺さりその眼光を受けた生徒は風船から空気が抜けるかの如く手を挙げた勢いはしぼんでいった。
(素直じゃないっすね…)
思っていた事を感ずかれたからか、わざとらしい咳払いをして少し頬を赤らめている。
弟思いではあるが素直でないというのが再認識できた。
「んん!…やれやれ今年の新入生は勢いが無いな?居ないのか?自分でやりたいです!と言うものが…それだと我々で決めることになってしまうぞ。いないか?」
「「「…」」」
織斑教諭がそんなことを言うものだから案の定自薦と他薦の挙手がなくなった。
完璧に「どうぞどうぞ」状態になっていたのだが…
一人の少女が手を挙げた。
「織斑先生。」
「ん、デュノアか。」
千冬の声色はこの状況の打開をしてくれると期待しているようにも聞こえた。
「私はオルコットさんを推薦します。理由としては代表候補生だから…ではダメですか?」
シャルロットの意見は真っ当で、推薦を受けたセシリアも少し得意気だ。
一般の先生ならばそれでOKを出していただろうが千冬は違った。
「それならば自薦でよかったのたのではないかデュノア?」
直接的な表現はしていなかったが暗に『お前も代表候補生なのだから推薦ではなく自薦でいいだろう』といっているようなものだ。
シャルロットは千冬へ理由を述べる。
「はい、わたしが自薦でもいいのですが生憎専用機が本国で装備換装中でして…言い訳に聞こえるかもしれませんが、無調整の機体ではオルコットさん程の実力者には及びませんし…本気が出せない状態で挑むのは失礼だと思うので。」
見事な言い訳…もとい意見だと千冬と蜂也は思った。
その意見に納得した千冬は進行を続ける。
「そういう理由ならば認めよう…。他にいないか?いなければオルコットに決まるが。」
代表決定まで秒読み、としていたところにもう一人挙手する者がいた。
「はい、織斑先生。」
声を挙げたのはセシリアだった。
これには千冬も虚を付かれたのか少しの間があった。
「…どうしたオルコット。」
「わたくしは…名護さんを推薦いたしますわ。」
「ん?」
蜂也は自分の名前を挙げられて少し困惑している。
「それはなぜだ?」
千冬も何故彼を推薦したのかが気になっていた。
「デュノアさんの護衛、と自己紹介の際に仰っていましたのと実際にお話をしてみてISに対する造詣が深い、という事が分かりましたので実際のISにおいてどのくらいの強さを持っているのか…」
そこでセシリアの言葉が途切れ躊躇っていたようだが踏ん切りがついたのか説明してくれた。
「身も蓋もない言い方をしますと本国より『男性操縦者との交戦し、戦闘データとその脅威度を提出せよ』とのお願いを受けておりますので。」
ISの操縦者の立場は軍人に近い。
そのようなことを求められるのは仕方がないことではあるがそれを堂々と言い切ってしまうのは流石としか言えない。
「よかろう、その推薦は認めよう。それではクラス代表者は…。」
千冬もその嘘偽りのない説明に納得せざるを得なく二人でISでの模擬戦を行ってもらおうかと考えた。
「教諭。俺も推薦いいですか?」
「今度は名護か…どうした。」
「俺は織斑を推薦します。」
「へっ!?」
「なっ!?」
一夏は自分が物珍しさで推薦されないと油断していたのかすっとんきょうな声を出していた。
「…因に理由は?いや答えなくて良い…」
千冬は蜂也に梯子をはずされたようで驚いていたが恐る恐る聞いた。
「いや、そんなに身構えないでくださいよ…いたって真面目な理由です。」
「真面目な理由?」
「一夏には実際にISの事を知ってもらう必要があるからです。そもそもにおいて恐らく、というよりも起動は最初と試験の時に起動させた以来でしょうし…それに。」
一拍をおいて蜂也はその必要性を千冬に解いた。
「”事前練習”ですよ。知っているのと知っていないとでは対応が違いますからね。」
「「「「????」」」」
「!?」
オブラートに包んだその台詞はクラスメイト達は何の話しか分かっていないようだが千冬やシャルロットは気がついたようだった。
IS学園は外的権力からの干渉を受けない、というのは完璧な意味では存在しない。
”学園の外”という物理的な行動によっては干渉されてしまう。
今のままでは取り返しの付かないことになるだろうと蜂也は思った。
「…」
千冬が苦い顔を浮かべている。
だからこそ”一夏は戦わせる力を付けさせる”必要があるのだ。
しかしその言葉に千冬も納得はしていないだろう。弟に”人を殺しうる力”を与えるのだから。
「分かった…名護の推薦を受け付けよう。」
「あの俺の意見は…?」
「(きっ!)」
「横暴だ…!」
そんなことを呟く一夏だったがその呟きは千冬の一瞥で封殺されて机に突っ伏した。
(悪いな一夏…巻き込んでしまうようで悪いがお前のためだ)
「…成る程。そう言うことでしたらわたくしも協力することも吝かではありませんわ。」
蜂也の言った意図を理解したのかセシリアは話しかける。
「話しは決まったな。オルコット、名護、織斑の三名総当たりで1-Aのクラス代表を決める模擬戦を一週間後に行う。三名ともそれで良いな?」
「はい、つまりは”決闘”ということですわね。」
「はい。」
「ああ、こうなったらやってやる…!」
どうやら蜂也もそのセシリアのいう”決闘”とやらに巻き込まれることになったらしい。
一夏は吹っ切れたのかやる気を見せている。
しかしここに来てセシリアが失言をしてしまう。
「名護さん?貴方はデュノアさんの名代でこの模擬戦…言い換えるならば”決闘”に参加されるのですから無様な姿はさらさないでくださいましね?期待しておりますわ。」
その言葉にシャルロットの機嫌が悪くなる。
俺は不味い、と思いオルコットの発言を留めようとしたのだがもう遅い。
「もしよろしければわたくしの家で雇わ」
俺のとなりで笑顔のシャルロットがセシリアの言葉を遮った。
言わせないと。
「勝手に人の護衛を引き抜こうとしないでくれる?そんなにイギリスは人不足なのかな?」
「そんなことはございませんが…それに優秀な人材はリクルートするのは当然でなくて?どうでしょうか名護さん」
「いや、そんなこと言われても…」
急に敵対企業からの引き抜きをするぞ的なことを言われて困惑している蜂也を視たとなりにいるシャルロットが立ち上がりへ問い詰める。
「だ、ダメだよ蜂也!(むんっ!)」
”蜂也は渡さない”といわんばかりにセシリアの前に立つシャルロットは可愛らしい睨みを効かせておりその様子を見たセシリアが微笑ましいものを見ていた。
「絶対にオルコットさんに負けちゃダメだからね!だって蜂也はわたしの…!」
最後まで言い切るまで蜂也が遮ってしまった。
「わかったから落ち着いてください…みんな驚いていますよお嬢様。」
「…はっ!…ううっ。」
その事に気がついたのかクラスメイト達がシャルロットと蜂也を生暖かい目で見ていたのを気がついて顔を赤くして着席した。
結果として三人総当たりのクラス代表戦が開始される。
山田先生をヒロインに追加…?
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して欲しい
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しなくても良い