此処で大雑把にヒロイン登場…。
感想&評価ありがとうございます。
誤字脱字報告も重ねて有り難うございます。…本当に申し訳ない。
それでどうぞ。
IS学園にある体育館の裏側。
その物陰に一人の少女、もとい女性が一人立って何処かに通信をしている。
ネクタイの色は…もといつけられておらず代わりに”首輪”が付けられている。恐らくは三年生だろう。
辺りに人影は居ないが人が通りすぎるかもしれないと考えると声は必然的に小さくなるがその女性はそれも意に介さず通信先へ話し掛ける。
「今度の学年別トーナメントの際にまた仕掛ける気?」
『ええ。ドイツの高官を脅して特殊部隊の機体に”とあるシステム”を組み込んだのよ。まぁ、乗っている本人はそんなことは気がつかないかも知れないでしょうがね?』
そういって女性が端末に対象者のデータを送ってくるのを確認するとそれは”ラウラ・ボーデヴィッヒ”と書かれた少女の名前と機体名が記されていた。
電話口の三年生は内心で「ご愁傷さま…」と呟いた。
「で?目標は?」
通信先の声も女性だった。
『
「ん…ゴーレムは品切か?」
『生憎、先の作戦でゴーレムⅠの在庫は切らしてしまったわ?でも安心してちょうだい。今は協力者に依頼して改良した『ゴーレムⅡ』を調整中よ。まさか十機のゴーレムが
「そいつは心強いな。」
皮肉を言ったつもりだったが通信先の女性はふっ、と笑うだけで特段イラついている訳でもないようだ。
『
「分かったよ。”スコール”」
彼女の見た目は”気だるげな美人でセクシー”と言い表せるだろう。
雰囲気は一言で言い表すのなら”猟犬”と言ったところだろうか。
背中の真ん中まであるプラチナブロンドを無造作に結び前髪はウルフカットにしておりターコイズブルーの瞳でFカップのバストが特徴的で制服は上着がその豊満な胸が閉まりきらないほど空いて谷間と下着が見えておりスカート部分は下着が露出している程短いスリットとガーターベルトを着用している。
通信を終えて渡されたデータを確認しその豊満なバストの渓谷に端末を沈ませていく。
ダリルの興味の対象は蜂也へ移った。
「
微かな期待を込めて蜂也の名前を呼ぶ。
不敵な笑みを浮かべて体育館の裏側から校舎へと戻っていく。
その際に首元に手を当ててISの待機状態である首輪がキラり、と煌めいた。
◆
第二グラウンドにて。
一夏と蜂也が互いの持つ獲物をぶつけ合い火花を散らし訓練をしていた。
「はぁぁぁっ!!」
「こい!!」
『蜂也~頑張って!』
『兄さん、何をしている!相手にも隙はある。確実に狙え!』
『一夏!頑張れそこだ…ああっ!!』
観客席からシャルロットとマドカ、箒が応援をしている。
「くっ…押し込まれてる…!!」
「このままじゃ真っ二つにされちまうぞ織斑!!」
質量差がある為か一夏の持つ太刀と蜂也の大剣がぶつかり金属の軋む音がグラウンドに響く。
特殊精錬された
「(このまま距離を取ったら射撃武器で狙い撃ちにされちまう)…重すぎるっ!!」
「はっ!!」
「ぐぅっ…!!」
このまま近接で
弾かれ距離を取られた。
即ち攻撃の方法が切り替わる、ということに他ならない。
ガチャリ、と機械音がして蜂也の手には射撃武器が握られる。
蜂也の《顎》が分割しライフルモードの《双顎》へ可変して模擬戦用の低出力レーザーを発射する。
その二射は寸分狂うこと無く一夏の機体の脚部と肩部分を狙い打つ。
その攻撃で体勢を崩してしまう一夏。
「くっ…!!《零落白夜》!!」
体勢を建て直し背面の
「これでっ!!…なっ!?」
蜂也の背面を一夏は捉えたはずだったのだが既に一夏の背後へ回られて二丁のライフルの銃口から赤い閃光が迸る。
「くっそぉ…!!」
レーザーが一夏の残り少ないISのSEを削り取り
◆
「くっそぉ…また負けちまった。」
「筋は良いんだが…織斑は詰めが甘いな。」
ISを装着したままグラウンドで立つ二人の近くにISスーツに着替え専用機を見に纏うシャルロットと…何故かイギリスの第三世代機体BT二号機《サイレント・ゼフィルス》を装備したマドカがいた。
お前その機体何処で…となっていたが実はイギリス政府と束博士が”公正な取引”を行ってマドカが試験評価中のBT二号機でデータ取りを行っている、ということになっている。ということをマドカ本人の口から伝えられた。
しかし、実際にはマドカの病院襲撃の際…その場所が日本の病院のため
マドカは国家所属の専用機持ちではなく束博士の護衛、として専用機を持つ形らしい。
因みにBT二号機の生まれ国であるセシリアはなにも聞かされていなかったようで奪取された機体を展開したマドカに最初はライフルを突きつけていたがその事をそのタイミングで通信してきたBT計画の担当者から聞かされて怒りながらライフルを下げてマドカに謝罪した、という経緯もある。
BT二号機の分のISコアは束博士が補填した…ということになっている。
それはさておき、4月から訓練を行っているが一夏は一度も勝てていない。
唸る一夏。
「うーん…どうして勝てないんだ?」
その問いにはシャルロットが答えてくれた。
「それ織斑君が射撃武器の特性を把握、といっても君の機体には射撃兵装で使用するための
「つまりは欠陥機体だ。近接戦闘しか出来ないお前の機体は。」
そう、ストレートにマドカに言われて撃沈する一夏。
「だーっ!!なんで俺の機体そのオプションがついてないんだよ!?一応これ開発倉持技研だったはずだよな?だったら打鉄のソフトウェア使えば良いのに…。」
全くもってその通りなのだがデータの変更も出来ないという。
嘆く一夏にマドカが声を掛けた。
「嘆いても仕方がないだろう。人間与えられたもので最大限の成果を出さなければならんのだ。それにお前の機体はスペックデータで見れば最高の破壊力と機動性を持って第三世代機の中では頂点に立つのだ。射撃武器が使えないのならその特性を理解しておけばそれでよかろう。姉さんが扱っていた同じ名前の”獲物”がその手に握られているのだ。言わば専用機…
マドカが正論を言っているようで言わないようなそんな不思議なことを言っていたがそのコメント貰った一夏は発破を掛けられたのかやる気が出たようだ。
「そうだよな…それしかないよな…千冬ねえと同じ名前の武器を使ってるんだ…此処で躓いてちゃ男が廃るってもんだ。よし…!マドカ姉俺に射撃訓練をしてくれ!」
「まったく…此処ではマドカと呼べと言ったのに…いいぞ!後悔するほどしごいてやる」
「あの…」
「どうした?箒。」
「マドカさん…わたしも訓練に付き合ってもよろしいですか?」
「ああ。未来の嫁候補の事も見ておかなければならんしな?」
「なっ…ま、マドカさん…!」
悪戯な物言いで微笑むと箒は顔を真っ赤にして慌てるが意に介せずグラウンドの端の方に移動し三人で早速特訓をし始めた。
一夏と箒がマドカの厳しい扱きに心身共に疲労し今回はこれまで、と言うことで本日の自主連は終了し先に戻った一夏達を追いかけるために男子更衣室へ向かおうとピットへ向かおうとした。
その時だった。
ドゴォーン!と何かかが爆発する音が上空から聞こえる。
(なっ…!?どうしてあの娘が!?)
その方向に視線を向けるとISの脚部ユニットのスラスターから煙と炎が吹き出していた。
そのパイロットは蜂也が一度遭遇し保健室へ連れていった原作で一夏のヒロインとなる内気な美少女が制御を失いかなりの高度から落下してきていた。
(あの娘が本格的に現れるのはもうちょい後の話だろ…それとも機体がもう飛行訓練まで行えるようになっていたが…やっぱり筋書き通り、脚部周りの制御システムが他のシステムと衝突を起こしてエラーが出たのか?)
その間にも少女はシステムの書き換えを行っているようだが冷静な判断を下せない今では常時と違いタイプミスが多発し取り返しのつかないことになっていた。
ISが落下してきているのに気がついた自主練をしていた生徒達が悲鳴を上げながら避難をする。
生徒達が動き出す前に蜂也が動いた。
「おおっ!!」
蜂也は迷うこと無く愛機のブースターを吹かし
◆
「…いきますっ。」
グラウンドに併設されたピットから機体が射出される。
加速する機体にGがかかり体に襲う…感じがするだけでISの保護重力制御機構で逃がされているがどうしても反応してしまう。
例えるならばテレビゲームの中の自分が操作するキャラクターが敵に攻撃を受けると反応する…という感じだろうか?
そんな小さな反応を浮かべながら大空へ飛翔する打鉄弐式は機体の腕部ユニットが現在パイロットに装着されておらず代わりにパイロットの手と指が投影型のキーボードを二枚すさまじい速度でタイピングしている。
「背面スラスターのポジショニング数値コンマー2…姿勢制御ウイング空気抵抗を加味してプラス3…脚部スラスター電力配分を+20…」
整備室でのコンピューターでのデータだけの調整では限界があるだろうと判断した少女は仮組した機体を実際に飛ばしてみることにして現場で調整することにしたのだ。
ISは調整と操縦の二分野で分かれていて彼女のように自分で整備して操縦するというのは非常に高度なテクニックなのだがそれでも”自分の姉には敵わない”と少しどころかかなり卑下しているところがあるのだが…
しかし、そんなことを指摘できるものはいない。今のところは。
「よし、行ける…このまま
自分が作成した制御モジュールのプログラミングがうまく行ったことに安堵し更なる加速を掛けようと脚部スラスターを点火させるが左脚部の出力が低下した。
「…?出力分配が違った…?それなら…っ!??」
ガクリ、と機体がパワーを失ったように失速していく。
「くっ…そんな!?」
投影されたディスプレイから右脚部から発生したエラーが連鎖するように各所へエラー表記が出てしまう。
警告音が鳴り響く中急ぎプログラムを修復する。
「キャ、キャリブレーション取りつつゼロモーメント・ポイント及び
急いでプログラムを修復したのが功を奏したのか出力が低下していた脚部ユニットが持ち直した、はずだった。
「きゃぁああっ!!?」
ドゴォーン!と爆発と衝撃音がパイロットを襲う。
「うそ…!左脚部ユニット破損…?どうして!?くっ…ニューラルリンゲージ・ネットワーク再構築…メタ運動パラメーター更新、起動制御プログラム再起動、伝数関数、コリオル偏差変更完了…!姿勢制御再接続、ブーストトラップ起動…!?エラー!?そんな…!きゃああっ!!」
激しく揺れて制御を失い高度から落下するIS。
その中で更に絶望的な知らせが追加された。
「うそ…ISの絶対防御が解除されてる…っ!」
死ぬ。
そう少女が確信すると頭の中で再認識すると走馬灯が流れ始めた。
脳裏に思い浮かぶのは姉の姿、そして”あの時の少年”だった。
(お姉ちゃん…ごめんね。それにまだ、保健室に連れていって貰ったあの男の子にお礼言えてない…)
背後には茶色の地面が近づいてきていた。
激突する、そう思い目を閉じた。
『おおっ!!』
誰かの声が聞こえた後に自分が地面に叩きつけられる音はいつまで経っても聞こえてこなかった。
(あれ…どうしてわたしその音が聞こえてるの…わたし死んだんじゃないの?)
おかしいと思い恐る恐る目蓋を開く。
そこには思いもよらない光景が広がっていたのだ。
「…大丈夫か?」
「あ、あなたは?」
少女からは助けてくれた人物の顔は
「どうしてもなにも…君が飛行訓練をしていたグラウンドで訓練してて上を見たら突然火を吹き出すISが見えてな…それで機体を動かして…って訳だ。」
「あっ…。」
少女を抱き抱えながら話す。
どうも少女を地上に激突させないように機体全体のバーニアを噴射して空中で漂っている。
余程スラスター出力と機体のパワーエクステンダーが強靭なのか機体を受け止めても地面に激突していない。
「ご、ごめんなさいわたしのせいで…」
「いや、大丈夫だ。それよりピットで機体を解除しよう。ISの動力補助が切れかかってるみたいだ。飛ぶぞ?」
「う、うん…きゃっ!?」
見知らぬ人物にお姫様だっこされながら飛翔しグラウンドのピットへと入っていく。
到着した少女はISを待機ハンガーへ掛けて腰周りの着脱ユニットを解除しパイロットは硬質な床に降りた。しかし
「きゃっ…!?」
ふらついていたのか足元が着地した瞬間に挫いてしまい転倒しそうになる。
しかし、それを察知していた人物は直ぐ様支える。
「大丈夫?」
「う、うん…ありがとう。」
しっかりと硬質な床に立つことを確認し少女を助けた人物はISを解除する。
その姿を見て少女は驚いていた。
「うそ…貴方…だったの?」
「え、そんなに驚くことか…ってフルスキンだと見た目が分からんよな…素面に改造するか…って」
そんなことを呟くと少女が蜂也の手を取ってその事について全否定してきた。
「だ、ダメ!
「やっぱり君も思うよな?どうしてISの操縦者は素面が見えるようになっているのか…ロマンがないよな。」
「うん!わたしもそうおもう…あっ。」
自分がどんなに大胆な事をしているのか把握したらしく顔を紅くして離れた。
蜂也の手を取って眼前にまで近づき鼻息荒く得意なジャンルで喋ってしまっていたことに気がついたからだ。
「まぁともかく無事でよかったよ。」
「うん、助けてくれてありがとう…あ」
「どうした?」
「名前…言ってなかった。わたしは更識簪。」
「知ってるよ。(まぁ、知識としてだが。)」
「っ…!」
蜂也が知っているといった瞬間、簪の表情が曇る。
その表情をする理由に心当たりがある蜂也は彼女に先んじて弁明した。
「因にだが、君を助けた理由に今君と仲が悪いお姉さんは関係ないぞ?」
「っ!?」
どうして知っているのだ?という表情を思い浮かべていた簪に説明しようとした蜂也は正直に「原作で見た」とは言えないのでいい説明は無いものかと思案して一つの言葉を思い出した。
「それは…俺が
そう言って仮面某の決めポーズを見せるとそれが面白かったのか簪はクスり、と笑ってくれた。
「ふふっ…変なの。」
「いやいや、笑わないでくれよ…俺は大マジなんですけどね…まぁいいか。…それよりいい機体だな。」
不意に蜂也は待機ハンガーに掛けられた機体へ視線を移す。
簪もその視線につられてそちらを見る。
「うん、わたしの作った機体…でも…。」
その表情が曇る。
恐らく先程の事故の件が引っ掛かっているのだろう。
その表情を見た蜂也は少しだけ微笑んで機体へ近づく。
彼女がこの機体を一人で作成していることは知っていたがあえて知らない体で問いかける。
「未完成…だな。どうしてこの状態の機体で飛行訓練を?」
「学年別タッグマッチまで時間がないから…それで急いで出来上がったところの箇所のテストを行ってて…。」
「”作成チーム”は止めなかったのか?知ってたらこんな無茶は…」
「作成チームは…貴方のところにいる織斑一夏の”白式”の開発に取られちゃったから…それに…。」
「それに?」
優しい声色で簪の回答を待つ蜂也。
そのためか声を荒げないで説明をしてくれた。
「わたしの…姉は…一人で自分の専用機を組み上げていたから…。」
視線を下へ下げて下ろしている拳に力が入る。
原作でもそんなことを言っていたがこの世界にきてISに関わることになった蜂也はその事について断言できた。
”一人で行うのはどんな天才であったとしても不可能”であると。
もし、一人でそんなことはできるのだとしたらそれはもう”天災篠ノ之束と同じレベル”ということになるだろう。
複雑な感情を抱いている簪に近づき声を、正論を突きつける。
それは裏付けがあっての発言だったからだ。
「それは無理だぞ?」
「え?」
「そもそもおいてだ…ISがどのくらいのパーツ数で作られてると思う?」
「えーと…たしか1000以上だった、かな。」
「それを一介の高校…いや当時中学生か、その人間がだった一人で組み上げられるとは到底思えない。」
「でもそれはお姉ちゃんであるからで…。」
「だとしたら君のお姉さんは篠ノ之束博士と同じ頭脳を持つことになるな?だが断言しよう。”それは無理だよ”」
「どうして、そういえるの?」
不思議そうに聞き返す簪に蜂也は答えた。
「”博士のような人間がそう何人も居てたまるか”ってはなしだ。それだと俺みたいな技師が食いっぱぐれちまう。」
おどけたポーズをしてみると簪はそれが面白かったのか口を抑えて上品に笑っている。
「ぷっ…ふふふっ…そうだね…ふふっ!」
「それに、俺が『アハト・ワークス』の研究主任ってのもあるから断言できる。」
「え!?蜂也くんって『アハト』の関係者…ってあの『アハト』!?」
「ああ。」
蜂也からの肯定に先程言われていた理由に合点が行ったようで納得したらしい。
「それに君の家は…日本政府に仕えてきた家系なんだろ?だからこそ現当主である君のお姉さんは”自分一人でISを組み立てた”っていう箔が必要だったんじゃないか?」
「…!?そこまで知ってるんだ…。」
「まぁ、これは俺独自の調べ物なんだけどな。」
簪は意を決して蜂也に質問してきた。
「蜂也くんは…どうしてわたしに構うの?お姉ちゃんに言われたの?」
「だから言ったろ。君のお姉さんは知ってるけど話したことはない。此処にいるのはさっきの事故の際にちょうど話す時間が出来たから、だよ。それに一人でISを組もうとしている君に興味があって話してみたかったんだ。」
「そう、なんだ…///」
簪は照れて視線をまた硬質な床へと落とす。
打ち解けられるまでもう少しだな、と考えた蜂也は追撃した。
「君はお姉さんの影に隠れる必要は無い。君は十分すぎるほど優秀だ。」
「え?」
「君は日本代表候補生の席を自分で勝ち取って専用機まで与えられた…まぁそれを投げた企業は絶対に許さないとして…スタッフが途中で投げたISをほぼ一人で完成させた。これが凄くなきゃ俺はただの凡人になる。」
「言い過ぎ…ほ、誉めすぎじゃないかな…///」
「いや、事実だし。」
実際に簪は優秀なのだ。
日本代表候補生でIS関連の知識や精密機械の扱いに長けている。
そして特撮・アニメが好きで話せてこんなオタク受けがいい少女が人気がでないわけがない。
「更に美少女でメガネキャラだ。」
「や、やだ…その…そんなに…褒めないで…恥ずかしい…うん、ありがとう蜂也くん///」
しかし蜂也の中でその姿を見せた簪に対して”褒めて恥ずかしがる姿が妙に嗜虐心をそそる”と若干変態じみた感情が沸き出てきたので雑念を振り払った。
しかし、これを機に簪と仲良くなりたい蜂也はある提案をする。
「更識さん。」
「な、なに?」
「君のISの組み立ての手伝いをさせてくれないか?」
「え?ど、どうして?」
「君の機体がちゃんと飛んでいるのが見たいんだよ。『アハト』の研究主任として技術の提供は出来ないけど手助けぐらいにはなると思う。」
「…そ、それに?」
「まぁ、こっちが本命かな…俺は君と仲良くなって友達になりたい。のこの二つじゃダメかな。」
「……!?////」
少し顔がいい蜂也が真面目ではあるが少しおどけた表情で簪の瞳を見ながら告げたその言葉は簪の他人に対してのATフィールドを打ち破るには十分すぎた。
やはり少しでも顔がいいのは正義だった。
「……。」
「…更識さん?(黙ってしまった…うーん強引だったかもしれないな…)」
「か、簪…って呼んで?」
「はい?」
「と、友達…なんでしょ////」
控えめにISの待機形態の指輪がつけられた左手を差し出す。
その仕草を見て無性に頭を撫でたくなったがそうしてしまうと何処からともなく簪の姉がやって来て『天誅!』されてしまうことが脳内再生余裕!だと思った蜂也は自重し差し出された手を優しく握った。
「よろしくな。簪。」
「う、うん、よろしくね蜂也くん。」
その後簪に怪我がないかだけを調べ調子が悪くなったら保健室に行けよ?とだけ言い残しその場を去ったのだが連絡先を交換していないことに気がつき
「まぁ、四組に行けばいいか…。」
そんなことを思いつつ蜂也はピットを後にして男子更衣室へ向かうのだった。
◆
「蜂也くんが…友達……友達かぁ…」
蜂也が去った後にISを待機状態の『指輪』に変換して少し嬉しそうにしている簪。
「お父様やお母様以外かも知れない…わたしを”更識簪”として見てくれる人は。」
簪の脳内で先ほど蜂也が言った言葉が再生される。
『君はお姉さんの影に隠れる必要は無い。君は十分すぎるほど優秀だ。』
この言葉が彼女にとってどれだけ心強い言葉になったかは言われた本人しか分からない。
「IS…組み立て手伝ってくれるって言ってたけど…つ、つまりは…整備室で二人っきり…////!?」
簪は蜂也に対して若干脳内でピンク色な事を想像したが頭を振りかぶる。
「そ、そういうのじゃないから…そう蜂也くんとわたしは友達…友達…!あ…連絡先言ってない…こ、これはわたしが一組に行かなきゃ行けないってことだよね…ううっ…来てくれないかな。蜂也くん。」
簪は若干人見知りの気があるので出来るならば自分の教室まで来てほしいと思ったが友達にそんなことをさせるのはなぁ…と思った。
「でも、わたしから教室に行くのも…アリだよね?…よし、そうしよう。でもその前にISを整備しないと。」
そう決意しピットから整備室へ向かう簪。
それを遠くから見ている影があった。
「簪ちゃんのあの表情…嬉しそうに笑うのなんて見るの何年ぶりかしら…。」
久しぶりに見る妹の笑い顔に思わず笑みが溢れてしまうが同時にその表情は陰りを帯びる。
「…彼がこの国にとって有益な人物なのか見極める必要も…接触する必要も有るしね…それに…」
扇子を閉じて溜めた後にこう言い放った。
「簪ちゃんにあんな…恋する乙女のような表情をさせるだなんて…お姉ちゃんは許さないわよ名護蜂也くん!」
手に持つ扇子がパシャっと開き「絶許ッ!」と描かれていた。
「この私…IS学園生徒会長更識楯無が見極めてあげるわ…貴方が”こちら側”なのか”あちら側”なのかをね。」
先程のお気楽な表情から一変しその表情は真面目なものになり視線は鋭い。
パチン、と扇子を閉じて楯無は踵を返してその場を後にした。
山田先生をヒロインに追加…?
-
して欲しい
-
しなくても良い