※この作品はR-18です。

魔法使いとブロンド美少女   作:萩月輝夜

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祝日間一位…これもこんな私輝夜の妄想駄文を読んでくださっている皆様のお陰です。
本当に有り難うございます…。
万人受けする文章ではないことは分かっていますがやっぱり一位を取るのは嬉しいですね。
頑張ります。

コメント&評価有り難うございます。
誤字脱字報告も…重ねて有り難うございます。

ラウラのVTシステムの下りはほぼほぼ一緒な感じがしますが一部変更しています。

それでは最新話をどうぞ!


暗闇を切り裂く閃刀(零落白夜)

秘密裏に蜂也はシャルロットとセシリアを恋人に迎える、というブレイブ(勇気的な)ムーブをしてその当日に搾り取られ、翌日二人は艶々した顔で登校し蜂也は疲れきった表情をしていた。

 

そして、食堂や休み時間に密着する姿が見られ其を箒と遊びに来る鈴たちが羨ましそうな表情を浮かべ一夏がとばっちりを食らうという循環が出来上がっていた。

その光景を見た蜂也はこう思ったという。

 

さっさと告白して抱け、と。

 

そんなこんなで6月も最終週、学年別タッグマッチトーナメントが開催される週となった。

 

その忙しさは想像を絶しており試合開始の一時間前まで生徒会や全校生徒が雑務に追われ、特に蜂也や一夏は男手と言うこともあり重労働を強いられていたがその程度で音を上げる程柔ではなかった。

 

そんな全体の試合開始の一時間前に蜂也とシャルロットは来賓に声を掛けられていた。

特に蜂也が声を掛けられる頻度が高く、各国のVIPが声を掛けるといった普段では見られない状況に驚いていた。

 

無下にもすることが出来ず「是非うちの製品を使ってくれないか?」といった営業をしてきたり、「我が国に所属を変更しないか?」といった話を持ちかけられるが蜂也は全ていつも通りの目上の人間に接する言葉遣いで対応をしていた。

一方でシャルロットをよからぬ目で見る権力者の肥えたおっさんが言い寄ってくるが、蜂也は殺意をぶつけて撃退していた。

 

来賓誘導に駆り出された蜂也達は試合の為に更衣室へ急いでいた途中声を掛けられる。そんな蜂也達に話しかけられる相手と言えばこの人たちしかいなかった。

 

「ハイ、シャルロット元気にしていたかい?蜂也くんも元気そうで何よりだ。」

 

「社長もおかわりなく。ご夫人もお元気そうで何よりです。」

 

「シャルロット元気にしていたかしら?んもう…蜂也くんはもうウチの子みたいなものなのに他人行儀はいけませんよ?あ、そうだわ!あなたとシャルロットがウチの会社の広報になってくれたお陰で売り上げが伸びたのよ?」

 

落ち着いた雰囲気の背広をびしりと着こなすデュノア社社長のアルベールとシャルロットとならんでも姉妹にしか見えないカジュアルスーツを着用しているが少しはしゃいでいる実年齢よりも若く見える社長夫人であるマリア達が更衣室への移動中の蜂也達に声を掛けてきた。

 

「お父さんもお母さんもまたその話?」

 

「お久しぶりです社長、夫人。」

 

一応の体面を気にして普段使いの言葉ではなく目上の人間に使う言葉を選んだのだがマリアが不満げだった。

 

「もう、蜂也くん敬語はいらないっていったのに…。」

 

「そう言うわけにもいきませんよ。」

 

「まぁ待ちなさいマリア、彼はそういう性格なんだ。そうした誠実なところが蜂也くんの良いところじゃないか?…すまないね蜂也くん。気を使わせてしまって…。」

 

「いえ、社長が気になされる事ではないので…。」

 

アルベールと会話をしているとマリアとシャルロットがヒソヒソと話し始めていた。

 

「…ところでシャルロット、もうどこまでいったの?AそれかB?それともC?」

 

「ぶはっ…お、お母さん!」

 

「あら?その反応を見るにシャルロット…遂に蜂也くんと結ばれたの!?」

 

どこまでいったのか、と興味津々に聞いてくる母親にシャルロットは勘弁して欲しいと思ったが、教えてくれるまでこの握っている手は離さないんだろうなと嬉々とした瞳で見てくる若い母親に若干内心で呆れながら答えた。

 

「うん…私たち先月からお付き合いすることに…。」

 

「告白は!?されたの?したの?」

 

「告白は…蜂也から…。」

 

「あらあらあらあらぁ~!!パパ!今日は日本風に言うならお赤飯よ!」

 

「ちょ!お母さん!!」

 

嬉々として娘が"一人の女"になったことを報告しようとしているのを止めるが既に遅くその事を聞いて父親が振り返る。

まだ十代の娘が性行為したなど激怒されるだろうと思ったが予想外な回答が返ってきた。

 

「そうか…やっと蜂也くんはウチの娘と結ばれることになったか…いやぁ良かった良かった。」

 

逆に満面の笑みでその事について受け入れていたのだった。

 

「はい?」

 

頭に疑問符しか浮かばないシャルロットと蜂也。

アルベールが答えてくれた。

 

「大事な一人娘をどこぞの馬の骨とも知らぬ男にくれてやるより蜂也くんのようなしっかりした男の子が貰ってくれた方が安心だよ。それに私は蜂也くんを高く買っているからね。」

 

「ははは…は、はい。(もう一人恋人がいるとは言い出せる雰囲気じゃないな…頃合いを見てお二方に伝えねば…。)」

 

愛想笑いを浮かべいずれは報告しなければならない真実に胃を痛める蜂也にたいしてシャルロットは。

 

「あはは…うん、蜂也はわたしの自慢だからね。(わたしもフォローはするけど切り出しは蜂也から…頑張って!)」

 

両者ともに胃が痛くなった。

 

「近いうちに蜂也くんフランスに帰ってきてくれ、家族で食事と行こう。」

 

「了解…いえ分かりました”お義父さん”。」

 

「君にお義父さんと呼ばれる日が来るとは…嬉しいよ。」

 

「そんな大袈裟な…。」

 

アルベールと蜂也が雑談している後ろでマリアが小声でシャルロットに話しかける。

 

「あ、そうだシャルロット、お母さん言っておかなかきゃいけないことがあるわ。」

 

「な、なに…?」

 

いきなり真面目な表情に変わりシャルロットは姿勢を正しその言葉を待つ。

発せられた言葉に思わずずっこけた。

 

「シちゃう時は必ず避妊具をつけるのよ?」

 

「お母さん、此処でいうことじゃないでしょ…」

 

「?どうしたんだいマリア。」

 

「ははは…(ヤバイ社長全然ピンと来てない。)」

 

突如として声を荒げる娘に疑問符を浮かべるが蜂也は苦笑いを浮かべることしかできなかった。

恐らく行為について注意…をしていたのだと。

 

「ヤバイ、シャルロット。そろそろ行かないと。」

 

「あ、いけない…もうこんな時間だ…あ、それじゃあお父さんお母さんじゃあね!」

 

「二人とも、頑張って」

 

「頑張ってね!二人とも!」

 

「はい。」

 

「うん。」

 

二人から声援を受けて分かれた。

 

◆ ◆ ◆

 

『ダリル、準備が整ったわ。ゴーレムⅡも納期に間に合ったわ。やはり”日本人”は時間に正確ね。』

 

「因に何機用意したんだ?」

 

ISの個人間秘匿通信(プライベートチャンネル)で通信しているダリルとスコール。

そのやり取りはこれから行う行動にしてはフランクすぎた。

 

『全部で10機よ。今回はコア付近に自爆装置が付けられているから相手から解析される恐れはないわ。それに組み合って道連れで破壊出来るほどの威力があるわ。』

 

「そりゃ…用意周到だな。」

 

通信機越しの上司がやけに慎重だったのに違和感を覚えたダリルは疑問を口にした。

 

『当然でしょ?ゴーレムはあれでも第三世代の技術を使っている無人機なの。それをほぼ一人で全滅させた名護蜂也(セカンドマン)にたいして本部は危機感を覚えている、ということよ。』

 

「なるほど…それじゃあたしは楽が出来るって訳だ。」

 

『サボらないでちょうだい。作戦の起点となるVTシステムの作動は貴方に一存しているんだから。作動を貴方のISを通じて潜伏させてる洋上の偽装タンカーから射出してIS学園を襲うわ。』

 

「大丈夫だ。」

 

『タイミングは任せるわ。それじゃあねダリル。』

 

「わかった。スコール。」

 

通信を切るダリルはため息をついて相棒の元へ急いだ。

 

 

シャルロットと別れた後男子更衣室へ入ると既に一夏が着替えの準備をしていた。

蜂也に気がついた先客が話しかける。

 

「ずいぶん遅かったな?どうしたんだ。」

 

「ちょっと知り合いに捕まってな…って凄いなこれは…。」

 

「ああ。」

 

更衣室に備え付けられたアリーナの様子を確認することが出来そこにはアリーナの観客席にひしめき合う学園生徒に企業のスカウト陣にエージェントと枚挙に暇がない。

それに来賓席には各国政府関係者が勢揃いしておりソコには大企業デュノア社のアルベールとマリアがいる。

 

「しかし…なんでこんなに人が集まってるんだ?ただの試合のはずだろ?」

 

「三年はスカウト、二年にはこの一年間の成果の披露があるからだろうな。一年は今のところ関係はない…とは言えないか。」

 

「ん?どうしてだよ…ってそうか”俺たち”か」

 

「ああ。各国の男性操縦者の実働データはお前のがIS委員会を通じて世界に伝わってるが、フランスはデュノア社が独占しているからな。」

 

「え、マジかよ…。」

 

驚いた表情を浮かべる一夏に苦笑いを浮かべる蜂也はでっち上げのカバーストーリーを伝える。

 

「俺ってフランスの片田舎に捨てられてた孤児だったんだよ。日本人なんだけどな?縁あってシャルロットのお母さんに拾われてそこからデュノア社の社員として働いていた時にISに触れちまってな…もうその頃にはシャルロットやご両親と仲良くなってたから身寄りの無い俺の後ろ盾になってくれたんだ。」

 

半分は本当で半分は嘘だ。

 

「そうだったのか…大変なんだなお前も。」

 

「お前ほどじゃない…そうだ少し聞いて良いか?」

 

「なんだ?」

 

「ボーデヴィッヒとお前ってどんな関係なんだ?知り合い?こないだの訓練の際ずいぶんと仲が良さそうだったが…」

 

「へ?ラウラとの関係?」

 

「ん…”ラウラ?”ボーデヴィッヒじゃなくてか?」

 

一夏のラウラの呼び方が原作と異なり随分と親密なものに変わっているのに疑問に思った

 

「あれ言ってなかったか?俺とラウラは”幼馴染み”なんだ。」

 

「は?」

 

蜂也は告げられた事実に疑問符を浮かべるしかなかった。

 

「箒がファースト幼馴染みで鈴がセカンド幼馴染みだとすると…その間かな。サード幼馴染み?」

 

「ややこしいわ!で…いつからの知り合いなんだ?」

 

「鈴が丁度向こうに帰った時ぐらいだから…中学二年の時か。千冬姉がISの試合でドイツに行った時になんでも昔の知り合いからウチで預かってくれって言われてそこからIS学園に入学する前の二年間一緒に暮らしてたんだ。初めて見たときに『人形みたいで可愛い娘だな~』って思った。」

 

突然のカミングアウトに困惑する蜂也だったがなんとかリアクションを取る。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ…状況が追い付かない…(ちょっと待て…どうして一夏とラウラが幼馴染み?一夏の誘拐事件がなくなって織斑教諭がドイツ軍の知り合いからラウラを引き取る…もといホームステイのために預かった…ってことで良いのか?)」

 

「俺がラウラと幼馴染みだとなんか問題あったのか?」

 

「あ、いやすまんお前があんな銀髪の美少女と幼馴染みだとは思わなくてビックリしただけだ。」

 

「まぁ、実際に最初の頃は兎みたいに警戒されて話すこともできなかったけど…ある日を境に懐いてくれてさ、そこからは俺の事を名前で呼んでくれて仲良くなったなぁ…でも俺が中学を卒業する前にドイツに戻っちゃったからそれっきりだったんだけどまさかドイツのIS部隊の隊長をやってるとは思わなかったな。」

 

一年ほど前の事だろうが一夏は懐かしむように話す。

 

「なるほど…丁度鈴とはエンカウントしなかったわけだな?」

 

「なんだよそれ、まるであったら喧嘩するみたいな…」

 

「いや、お前自分がどんな美少女から好意を寄せられてるのか分かって言ってる?」

 

そう蜂也から指摘されて苦笑いをする一夏。

 

「まぁ確かにラウラは美人で可愛いからな少し天然だけど…箒も鈴も…ってあれ?俺もしかしてとんでもなくモテてる?」

 

その発言は一夏は無自覚なのだろうがいらっと来た蜂也は辛辣な言葉をぶつける。

 

「張っ倒すぞお前。」

 

「ひどくねぇか!?…くっこれが彼女持ちの余裕か…!」

 

「お前試合で当たることになったら覚悟しろよな。」

 

「ひでぇ…。ん?対戦相手の抽選が終わったみたいだな」

 

モニターがトーナメント表へと切り替わる蜂也と一夏はそれを確認するために画面の方へ意識を集中させると特に一夏が食い入るように見つめ蜂也は目を疑った。

 

「知り合いは全員別々のブロック…」

 

「「は?」」

 

蜂也ペアはBブロック、一夏ペアはAブロック、セシリアペアはC、箒ペアはDブロックに割り当てられた。

 

一夏とラウラの関係値は大きく変わったものであった。

しかしこの流れは変更できないようだ。

 

『第一試合Aブロック織斑一夏&織斑マドカペア対ラウラ・ボーデヴィッヒ&クロエ・クロニクルペア』

 

機械によって抽選された文字が備え付けられたモニターに大きく表示された。

それは奇しくも似た者同士の戦いとなるのだった。

 

◆ ◆ ◆

 

ドイツ本国の命令で私はISの生まれた地である日本、つまりはIS学園へ転入と言う形で任務に就くことになった。

あの国には大切な人達がいる。

IS技能の全てを教えてくれた師匠である織斑千冬教官。

私という個に”ラウラ・ボーデヴィッヒ”という女の子として生きる意味を教えてくれた初恋の少年…教官の弟である一夏。

初恋の少年がいる日本にまた行けるということもあって心が踊っていた。

学校に到着すると目を疑った。

私に良く似た全盲の少女と織斑教官をダウンサイズしたような姿の少女が職員室のついたてのついたソファーで待機していたのだ。

脳内でフリーズを起こしそうだった。

 

「(は?…どう…いうことだ…?銀髪の少女はあまりに私に似すぎている…それにこの少女は…織斑先生の妹殿…か?いや、しかし、一度も”妹がいる”とは聞いたことがないな。)…。」

 

そのことを思っているとこれから学生生活を送る担任である山田真耶教諭に呼ばれて私が先頭になってついていく。

そんなモヤモヤを抱えつつ教室に到着し自己紹介をすることになる。

この場で彼女達の素性を知ることが出来るだろうと一旦その謎は置いておくことにした。

教卓の前に立って自己紹介をしようと前に出たら千冬さんも一夏も私の隣にいる妹?の姿をみて驚愕の表情を浮かべていた。

 

「(やはり他人の空似…なのだろうか?うん、そうだろう。世界には自分と似た顔のそっくりさんが三人はいるらしいからな。)…。」

 

「それでは皆さん、自己紹介をお願いします。」

 

モヤモヤを自分の中で答えを見つけて納得したところで山田教諭から自己紹介を促される。

少し固い自己紹介になってしまうが同年代の少女達がどうしているのか想像がつかなかったのでいつも軍隊で行う官名を名乗った。

 

「ドイツ軍特殊部隊『黒ウサギ(シュヴァリア・ハーゼ)』隊所属並びにドイツ代表候補生、ラウラ・ボーデヴィッヒだ。日本のIS乗りは練度が高いと聞き及んでいる。宜しく頼む。(…こんなもので良いだろうか?…ふふっ一夏め驚いているな。)」

 

一夏の方を向いて自己紹介をするとかなり驚いた表情を浮かべていた。

もう会うこともないだろうと思ったがこれも運命だろう。

 

その後私に続き自己紹介をする二人。

一人はクロエ・クロニクルと名乗っていたが恐らくは偽名だろう…今度聞くとしよう。

二人目が問題だった。

 

「”織斑”マドカだ。私も”姉さんと弟”共々宜しく頼む。」

 

その不遜で高圧的な物言いはまさに千冬さんの親族…というか今一夏をみて弟といったのか?

つまりはこの人は私の義姉になる…いやいや私と一夏はそう言う関係ではスイーツに脳を支配されそうになったが私はドイツ軍人。この程度のことでは狼狽えないのだ。

 

初日は周りのクラスメイト…特にのほほんとした少女に”らうらう”と渾名を付けられ纏わりつかれたがまぁ嫌な気分ではなかった。

…柔らかくて大きいものが当てられて少し心にダメージを負ったが問題ない、致命傷だ。

その日は結局一夏に話しかけることが出来ずに学校が終わってしまった。

心残りがあったが一夏は胸のでかい女に連れられてアリーナに向かってしまった。ギルティ。

 

次の日はようやく話しかけることが出来た。

丁度昼休みを取りに行くタイミングだったため昨日の胸のでかい女と私ぐらいの大きさの細かいことは気にしなさそうな女と一緒に食事を取ることになった。

二人の視線が此方に向けられていたが無視することにした。

一夏と一緒に居て喋ることが出来るなら問題ない。…出来るならばこの二人を除きたかったが一夏に嫌われたくないので自重することにしていたのだが一夏が私のことを昔のように親しげに話していると胸のでかい…ではなかった篠ノ之と凰が突っかかってきた。

 

「お前は一夏とどういう関係なのか」と。

 

私はそのままを告げた。

 

「なにとは?一夏は私の幼馴染みで初恋の人で私に生きる意味を教えてくれた大好きな男の子だが?」

 

そう言うと一夏は顔を赤くして俯いてしまった。

む、なにか不味いことを言ったであろうか?一夏は他人の好意には疎いと千冬さんに聞いていたので私の思っていることをそのまま伝えただけなのだが…。

 

すると二人は顔を見合わせたあと一夏を恨めしげにみていた。

私はそこで察した。

「この二人も一夏の優しさと強さに惹かれ好意を抱いている女」だと。

目の前の二人も此方をみて苦笑していた。

この二人とは仲良くできそうだ。

その後は一夏の姉を名乗る”マドカ”、いやマドカさん?になるのだろうかにも話す機会があり実は千冬さんと双子の姉妹であることが判明して私の今世紀一番の驚きかもしれない。

将来の義姉になる可能性もあるので丁寧な対応を心がけよう。

 

そして転入時に一緒に居た銀髪の少女クロエとやらと話をしたかったのだが何故だか避けられてしまう。

嫌だから、という感じではなく申し訳ないといったような感情が感じられた。

転入してからついぞ話す機会はなかったが学年別タッグマッチでペアを組まねばならず第一希望であった一夏は既にマドカ…さんとペアを組んでいたの残念だが断念した。

結局ペアは見つからず抽選で当日ペア決めをすることになったのだが…その相手がなんとクロエ・クロニクルだった。

 

しかもだ、第一試合の織斑兄弟と当たることになってしまった。

対戦が決まりISスーツに着替え発進するピットに移動した。

時間はまだあるので私はペアになったクロエ・クロニクルに疑問に思っていたことを質問した。

 

「少し質問良いだろうか?」

 

「…なんでしょうか?ラウラ・ボーデヴィッヒさん。」

 

この少女にフルネームで呼ばれると妙に心がざわつくのは気のせいだと言い聞かせて質問を続ける。

 

「貴様は一体…何者だ?」

 

私が質問するとクロエは思案し口を開く。

 

「『遺伝子強化素体(アドヴァンスド)』…。」

 

何故この少女がドイツの最重要機密である遺伝子強化素体(アドヴァンスド)について知っている…!?

その事について知っているのは当事者である私と上官しか知るものはいないはずなのにどうして…。

 

その事について知っているのだとしたら彼女も”当事者”と言うことになる。

似すぎている。彼女と”私は”姉妹のような錯覚を覚えるが私は試験管で育てられたデザインベイビーだ。

故に姉妹などいるはずもない…そう思っていた。

 

「貴女と私は似たような境遇ですね。人間によって勝手に産み出されて”失敗作”の烙印を押されて処理される。でも私たちは導いてくれる大人が居たからここに今生きている。私達は”似たもの同士”ですね。」

 

そう言われて自然と笑みが浮かんだ。

 

「…ああ。私も”不適合者”と言われて部隊の爪弾きも者にされたが…千冬さんに拾われて一夏にであって私は生まれてきた事に意味があったんだと、そう理解できたよ。」

 

「ええ。私もです。まさか生きているうちに”妹”に逢うことになるとは思いませんでした。」

 

その発言に私は虚をつかれた。

 

「な、なに?貴様が”姉”だと…?妹の間違いでなくてか?」

 

「私の方が実は年上なんですよ?」

 

にっこりと笑うクロエに思わず認めたくなかったが抗議するが頑なに認めなかった。

どうやらその頑固さは認めたくないが姉妹と確認するには十分だった。

 

「さて…姉妹の再会を果たし打ち解けたところで行きましょう。相手はあの”織斑兄弟”です。」

 

「…それは良いが戦えるのか。」

 

「私は直接的な戦闘は苦手なのでもっぱら相手の妨害行動しか出来ません。荒事は貴女に任せます。”ラウラ”」

 

「…了解した”クロエ”。私の邪魔だけはするなよ。」

 

互いに不敵な笑みを浮かべISを展開する。

ラウラは《シュヴァルツェア・レーゲン》を。クロエは束より与えられた新造機《ホロウクレイドル》を装着する。

こうして出撃しAブロック第一試合を開始したのだった。

 

試合が進み、接戦も接戦でありラウラからしてみれば新兵と変わらない一夏が自分と同じかそれ以上の実力で斬り結んでいることに素直に驚きつつ喜んでいた。

 

白熱する激戦を楽しむ二人に突如として悪意が襲いかかった。

 

「うおおおおっ!!」

 

一夏が斬る瞬間だけ『単一仕様(ワン・オフ・アビリティ)《零落白夜》』を発動できる様にまで特訓し得意技である瞬時加速(イグニッション・ブースト)も合わせてラウラを追い詰めていた。

 

「くっ…!」

 

対するラウラも一夏の連続の白刃にSEを削られこれ以上削られれば活動限界(リミットダウン)してしまう。

咄嗟にラウラは機体に備え付けられた慣性停止能力(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)を発動させるがそれよりも早く一夏が背後に回り込みその白刃が到達する。

 

ラウラはその瞬間、やられる…!そう思ったその時。

別の場所でその状況を試合中にモニタリングしていたダリルが手に収まる大きさの長方形のカバー付きのスイッチのケースを開き赤いボタンを押した。

 

『そろそろだな…お前さんには恨みはないが…悪いなドイツの『遺伝子強化素体(アドヴァンスド)』さんよ。』

 

白刃が到達する…その瞬間ラウラに異変が起こった。

 

彼女の脳裏には”千冬を師として尊敬し大会二連覇できる筈だった大会を愚鈍な弟のせいで取り逃しその栄光に泥を塗った織斑一夏に憎悪を向ける”…という彼女の中に存在しない記録が脳内に浮かび上がる。

自分も辿るかも知れなかったifを記憶にある自分の姿を見るラウラ。

 

「うぐっ…!?あああああああああっ!!!」

 

その醜悪さに酷い吐き気がして頭を抑えるとその隙を一夏の『零落白夜』が直撃する。

その攻撃によってSEが活動限界(リミットダウン)ギリギリまで減らされ壁にアリーナの壁に激突する。

次の瞬間にそれがトリガーとなりラウラの機体に異変が生じる。

紫電が走り苦悶の表情を浮かべた。

 

Damage Level…D

Mind Condition…Uplift

Certification…Clear

 

《Valkyrie Trace System》……boot

 

「ラウラ!?」

 

「一体何が…。」

 

「ラウラ!!」

 

その姿に一夏達が驚愕する。

機体内部に仕込まれた《VTシステム》が発動してしまう。

ラウラのISが泥のようなものに飲み込まれ”変態”していく。

黒く、どす黒い心の奥底から沸き上がる”怨念”のようなものが包み込んでいった。

 

泥人形が形作られるとその手に持つ獲物が一夏の視界に入る。

その正体に直ぐ様気がついた。

 

「《雪片》…」

 

一夏はその銘を継ぐ愛刀の柄を握りつぶさんとしようとする勢いであった。

理性よりも本能が勝り刀を構え突貫する。

その時一夏の攻撃体勢に気がついたのか向こうから仕掛けてきてその攻撃に咄嗟に防御で対応したがそれが正しい選択だった。

黒い機体は二刀一閃の攻撃で一夏の刀を弾き飛ばし一夏の命を刈り取ろうとするが咄嗟にガードを行い致命傷を避けることが出来たが今の攻撃で左腕部が使用不可能になってしまった。

回避と同時に一夏とマドカの個人間秘匿通信(プライベートチャンネル)に通信が入る。

それは同時に他アリーナでも襲撃を受けていることを知った。

 

◆ ◆ ◆

 

VTシステムが起動したと同時に学園にゴーレムが送られてきていた。

 

「(ちっ…結局VTシステムの事件は起こっちまったか…だが…これはどういう事だ?何故ゴーレムⅢ…じゃない。本編でも出てこなかったゴーレムⅡと呼ばれる連中が何故…?しかし、狙いは俺か。)シャルロット!行けるな?」

 

「勿論!でもこいつらは一体なんなの?」

 

尤もらしい疑問を覚えるが蜂也はその問いへの回答を持ち合わせてはいなかった。

 

「わからん…。だがこいつらは俺たちの敵らしい。このままだと社長達に被害が出る。食い止めるぞ!」

 

「うん!!」

 

第二試合中に突如として乱入してきた”ゴーレムⅡ”は蜂也達のアリーナだけでなくセシリア達の所にも現れ混乱の原因を作っていた。

案の定観客席、来賓席は大混乱。

クラス対抗戦と同じくアラートが観客席で今ごろ鳴り響いているだろう。

 

ゴーレムⅠとは違い腕に蜂也対策の近接用のプラズマブレードを装備し高度に育成された戦闘支援AIでインファイトを行うが無意味だった。

 

「遅いな!」

 

通信をしながら片手間でゴーレムをいなしながら《アギト》を変形させ『ロングレンジビームライフル(崩顎)』で後方に弾き飛ばしながら撃ち抜き爆発させて処理した。

 

対するシャルロットもミサイルランチャーと《セラヴィー》の高出力モードのビームを発射し鉄屑に変えていく。

同じアリーナで対戦相手の一般生徒が逃げ回っていたが組みつかれてしまい身動きが取れない状況になっているのを確認したシャルロットはゴーレムを撃ち抜き拘束を解除、無力化し動力源を撃ち抜いていないはずなのに大爆発を巻き起こし近くにいた生徒が巻き込まれてしまった。

幸いにもISが解除されただけ命に別状はなかった。

 

その光景にシャルロットは驚き蜂也は冷静に思案する。

 

「嘘…!?動力は撃ち抜いていないのに…誘爆した?」

 

「いや、自爆装置がついていたんだろう。…だとすると…ちっ。」

 

舌打ちをしつつセシリア達に通信すると同じく戦闘を行っているようで合計でゴーレムⅡはそれぞれのアリーナに投入されていたようだ。

要点だけを簡潔に伝え距離を取って撃破してくれ、という内容だったを伝えた後に第一アリーナで戦闘を繰り広げている一夏に通信をするとやはりと言うべきかラウラのISに巧妙に隠されたVTシステムが作動しラウラが取り込まれてしまっているらしい。

 

「こっちもサプライズがあったがなんとか片付いた。今からそっちに行ってラウラを…」

 

『いや…蜂也達は生徒の避難誘導に向かってくれ。此方は俺が片をつける。』

 

「…ずいぶんと頭に来ているみたいだな。」

 

『当たり前だ。真剣勝負に水を差された挙げ句に千冬姉の模造品…それにラウラが巻き込まれた事に俺はムカついているんだ。止めるなよ。』

 

怒気を孕んだ声は彼の怒りのボルテージを表しているようだった。

止めても無駄だろうと判断した蜂也は続ける。

 

「…エネルギーは大丈夫なのか?」

 

『あと一発、『零落白夜(ワン・オフ・アビリティ)』撃てるぐらいは残ってる。大丈夫だ。お前から通信とマドカに一発ビンタされて冷や水打たれたくらい冷静さ。』

 

最後には少しお気楽な感じで喋っていたのを感じた蜂也は通信越しに微笑を浮かべた。

 

「それだけお気楽に行けるなら問題ないだろう。だが万が一のこともあるシャルロットとセシリアを連れてそっちに行く。そっちの事は任せた。」

 

『ああ。』

 

通信を終了するとアリーナに真耶達教員部隊が突入し生徒達の救助を開始する。

後の事を任せて蜂也達は一夏がいる第一アリーナへ飛翔した。

 

 

「…全く姉さんと言い一夏と言い…お人好しめ。」

 

「織斑様…御武運を。ラウラを…助けてください。」

 

背後にはISを纏った状態のマドカとクロエが一夏の背中を見ながら話しかける。

一夏は振り返ることはせずにただ正面のラウラを見据える。

 

「それが俺だからなマドカ…それとクロエも待っててくれラウラは俺にとっても大切な存在なんだ…必ず救い出す。」

 

右手に持った愛刀のスライドギミックが展開する。

イメージする。洗練された振り抜きやすい打刀拵のような長さに収斂されていく。

全てのエネルギーを消滅させうる必殺の一刀がここに出来上がった。

 

一夏は居合をするように腰に《雪片弐型》を持っていき機体のウイングスラスターを点火させる。

全身に掛かる重力は相殺されているはずなのだがそれを感じさせるほど今の一夏の神経は研ぎ澄まされていた。

微細な動きを感じとる。それは今取り込まれてしまっているラウラの機体にも言えることだった。

黒いISが刀を凄まじい勢いで振り下ろす。

常人では捉えきれない一撃を一夏には見えていた。

袈裟斬りを居合の一刀で弾く。相手一夏のその反撃に反応できずにいた。

 

「ラウラは返してもらう!偽物野郎!!」

 

素早く頭上に構え幹竹割りからの一刀両断。

 

「……」

 

黒いISが一刀両断されて中から生まれた姿になってしまって解除されたラウラを武器を手放し抱き抱える。

 

「お帰り、ラウラ。」

 

「すまない…一…夏…。」

 

「気にするな…今は…寝とけ。」

 

「ああ…」

 

ラウラは一夏の腕の中で気を失う。

黒いISが崩れ落ちラウラを一夏が抱き抱えると同時に蜂也達がアリーナへ集合する。

マドカに声を掛けた。

 

「終わったのか?」

 

「ああ、姉さんの模造品とは言えまさか勝ってしまうとは…末恐ろしい弟だよ。全く。」

 

「本当だな…それに援護は要らなかったらしい。」

 

上を見上げるとセシリアと簪、鈴と箒も駆けつけた。無事にゴーレムを処理し終えたらしい。

 

セシリアと簪は多少は手こずったようだが三体を遠距離武器で処理し鈴の方もアリーナに出現したゴーレムを箒と協力し片付けたようだ。

 

結果として《VTシステム》での事件は起こったが被害はアリーナのバリアーがズタズタにされただけでISの盗難や死傷者が出たわけではなかったので一先ずは解決したのだった。

 




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山田先生をヒロインに追加…?

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