※この作品はR-18です。

魔法使いとブロンド美少女   作:萩月輝夜

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二度刺します(迫真)
すみませんが話の構造上まだHシーンはまだ…
福音戦終わりでいれるのでお待ちを…。

感想&コメント&高評価有り難うございます。

それでは最新話どうぞ!


紅椿(箒と束)

合宿は二日目には入った。

その前の夜に千冬によって風呂へ追い出された蜂也達は部屋に残ったシャルロット達がどんな会話をしていたのかを其々に聞いていたのだがはぐらかされてしまった。

 

二日目は午前中から夜まで丸1日ISの各種装備試験運用のデータ取りに追われる。

特に専用機持ちはそれこそ膨大な量があるのだから大変であると蜂也は思った。

 

専用機持ちがズラリと一列に並べられその背後に一般生徒が並ぶといった構図だ。

しかし一人遅れてやってきたラウラに罰として千冬にISの《コア・ネットワーク》に対しての説明を要求していた。

そんな説明をしている最中蜂也の脳内に相棒(メリュ子)の声が響く。

 

『ねぇねぇ、マスター?』

 

「…っ。」

 

危うく声を出してしまいそうだったがISの個人間秘匿通信(プライベートチャンネル)の回線を開く。

 

『どうした?珍しいな何時もはあの《蒼窮》に呼び出すのに。』

 

二次移行(セカンドシフト)したお陰であの場所から通信出来るようになったんだ!…ってそれはおいておいて昨日束と話したんだけど…話したんだけどさ?』

 

通信できるようになったのを喜んでいたのだがメリュ子の表情は曇り申し訳なさそうな表情を浮かべていた。

一体どうしたというのか。

 

『何話したんだ?』

 

『ええとね…”ナニ”話しちゃった…というか聞かれちゃった。』

 

『答えたのか?』

 

『うん。』

 

『oh…。』

 

なんと言うことをしてくれたのだメリュジーヌ!と心の中で某特撮の半角カタカナで雪原に崩れ落ち(ウソダドンドコドーン!!と)叫ぶシーンが再生されてしまった。

まさかメリュ子…というよりもISの産みの親に搭乗者と相棒の情事を知られるとは親に彼女とやってるのを見られるくらい悲惨だった。

 

脳内で項垂れる蜂也。

 

『俺殺されるんじゃないか…ってどうしてあの時抱きついて名前を呼べって言ったんだ…?』

 

しかし、疑問が脳内に駆け巡る。

どうしてあんなにも密着…おっぱいを押し当てて他人には目もくれない筈の束があそこまで蜂也に好意を抱いていたのか。

そこで蜂也の脳裏に束が言っていたことで忘れていたことを思いだし個人間秘匿通信(プライベートチャンネル)の向こう側にいるメリュ子にジト目で話しかける。

 

「それよりおまえ…ISの声が他の子からも聞こえるのに塞いで聞こえないようにしてたってのは本当か?」

 

『…うっ!』

 

どうやら図星であったようで通信越しに冷や汗を描いている姿が目に浮かんだ。

 

『お前な…』

 

呆れた声でメリュジーヌに話しかけると帰ってきた言葉は意外なモノだった。

 

『だって…君が僕以外の声を聞こえることが分かったら浮気しちゃうんじゃ…ないかって。』

 

しおらしい態度に一瞬言葉を失ってしまう。

 

『…それ言ったらシャル達は良いのかよ?』

 

それを言えばシャルロットに告白する前にある意味?告白されて身体まで重ねたメリュジーヌからしてみれば彼女達こそ”浮気”している、ということになるのだが通信越しのしょんぼりメリュ子にとってそれは違うらしい。

 

『シャルロット達は”人間”、そもそもにおいて僕たち”ISコアの人格”とは在り方が違うし生身と違って老化も劣化もしない”精神体”だ。それと比べるのはシャルロット達に失礼だろう?』

 

『まぁ…そうだな。(ISの存在そのものが人間とは”別物”…って訳か。)…でもなんでそれが浮気に繋がるんだ?シャルロットは関係ないって…………あ、そう言うことか。』

 

蜂也はメリュジーヌが言いたいことが分かったらしい。

その事について話す。

 

『アホかお前…俺のISはメリュジーヌ、お前しか居ない。まぁ最初に触れたのがお前だった…というのは今になっちゃ結果論にしかならないけど俺はメリュ子を…頼りにしてる唯一無二の”ISでの相棒で俺の大切な恋人”だからな。』

 

『マスター……君は本当に人誑し…いやIS誑しなんだから…』

 

通信越しに聞こえるその声は非常に嬉しそうであった。

 

『今日の夜は覚悟しておいてよね…なんだか…マスターが欲しくなっちゃった♥』

 

『分かったから…今は取り合えず落ち着け。』

 

『おいおいね、って事だね?はぁ~い♪』

 

あ、今日は搾り取られると覚悟しメリュジーヌの機嫌が直ってくれた事にホッと胸を撫で下ろした。

しかし、まだ疑問は残ったままだ。

『どうして束は自分にあれ程好感度が高いのか』だ。

 

『それにしてもどうして束が俺に対して好感度が高いんだ?何か知ってるか?メリュ子。』

 

『あれ?分かってなかったんだ…。マスターと束は似た者同士って訳。』

 

俺と束が似ている…?どういう事だろうかと蜂也は頭上に疑問符を浮かべる。

 

『なに、簡単なことさ。束は大が付く程の天才でマスターは別世界から来た大の付く天才。二人とも規格外で人間ではあるけど視点が一般人とずれてるってことさ。』

 

『どういう事?』

 

『単純に気に入ったみたいだよ?”わたしより先に展開装甲作られた~!”って悔しがってたみたい。』

 

『あ、やっぱりか…。』

 

『そろそろ眼帯っ子の説明が終わるからまた後でねマスター。』

 

『ああ。』

 

そう言うと通信が終了しラウラの説明が終わりそうになっていた。

流石は代表候補生でIS運用実働部隊のリーダーである彼女は詰まること無くすらすらと説明したのに満足した千冬は専用機持ちの列へと下がらせた。

その事を確認し千冬が号令を出す。

 

「さて…諸君!各班ごとに振り分けられたISの装備試験を行うように。専用機持ちは送られてきた各種専用パーツのテストだ。一般生徒はここから少し離れた砂浜で行う。専用機持ちは機密保持のため場所を移動し運用試験を行う。それでは…開始!」

 

昨日までに浮わついていた一学年は真面目な表情になり一斉に動き出した。

流石に民間人のいる砂浜で行うのではなくIS学園、日本政府が所有する国営地に移動する。四方を天然の切り立った崖と森に囲まれている。

何故こんなことをするのかは勿論機密保持という側面もあるのだが見目麗しい少女達が露出度の高いISスーツを着用しIS訓練を盗撮しに来る輩がいたという理由だ。

 

「篠ノ之、お前はちょっとこっちに来い。」

 

「え?は、はい…。」

 

一般生徒に混ざり打鉄用の装備を運んでいた箒は千冬に呼ばれ一瞬戸惑うが直ぐ様移動中の専用機持ちの列へ向かい千冬の近くへ向かう。

 

「お前国家代表候補者の試験プログラムを受けていたな?」

 

「え、ええ。試験を受けたのは一ヶ月ほど前ですが…」

 

千冬に進められて国家代表候補者のプログラムを受けさせられていた箒だったが最初は難色を示していた。

しかし千冬の説得もあってそれを受けていたのだが…。

 

「その結果が先ほど届いてな。」

 

「…試験の結果が出るのは10月頃だった筈では?それにそもそも私の実力では落とされ、」

 

「いや、”合格”通知だ不合格ではない。」

 

「はい?」

 

「これがその通知書だ。IS学園学園長と国際IS委員会日本支部国家代表候補生選抜訓練官の判子も押されているぞ。」

 

千冬が手渡ししたのは一通の葉書の大きさの封書で確りと『IS日本代表候補者選抜結果』と大きく描かれており確りと所在を示す実印が押されている。

その裏には『日本IS代表候補者試験:篠ノ之箒殿 合否結果:合格』と描かれていた。

その結果を見てクラスの生徒達は「すご~い!」と感心している。

 

「……。」

 

思わず千冬を二度見する箒に笑みを浮かべる千冬で口を開いた。

 

「と、言うわけだ。今日からお前は日本IS代表候補者生徒として今回の専用機持ちの訓練に参加して貰う。」

 

「で、ですが私には機体が…。」

 

「心配ない。お前には今日から専用ー」

 

「ー機体が渡されるんだな~これが!と~う!」

 

機が手渡される、と言おうとした千冬の言葉を遮った。

遮った声の主を見て千冬は頭を抱えて蜂也を除くこの場にいる専用機持ちが一斉に振り返った。

切り立った崖の上から某特撮ヒーローのようにジャンプして飛び降り着地した。

その人物を全員が呆然と見ていた。

 

「やはりお前か…束。お前もうちょっと普通に現れることが出来ないのか?」

 

「うん!無理だね!束さんは天才だから凡人と普通の登場の仕方じゃ満足できないんだぜ!」

 

希代の天才、篠ノ之束は臨海学校に乱入してきていた。

 

「やぁ!箒ちゃん!」

 

「姉さん…。」

 

箒に声を掛けるが素っ気ない態度をとられ「あはは…」と空笑いをする束。

しかし、そのおちゃらけた表情は専用機持ちの前列にいた蜂也を見つけると乙女の顔になった。

 

「あ…ハチくん…////」

 

乙女の表情を見せている束に千冬とその他の専用機持ちは驚きの表情を浮かべていたがハッとした千冬は今にも蜂也に抱きつこうとしている束に声を掛ける。

 

「…おい束。自分よりも7つも年下の男に発情するな馬鹿者。うちの生徒が困っているだろうが。」

 

「えぇ~面倒くさいなぁ…まぁいっか…私が大天才篠ノ之束さんだよっ!よろっ!」

 

そう言ってくるりと回ってよそ行きの笑顔、対外的な仮面を付けた篠ノ之束が自己紹介をしてクラスや別クラスの生徒が目の前の人物がISの産みの親にして天才科学者の篠ノ之束だと気づいたようで騒がしくなる。

 

「はいはい!みんなはこっちでISのテストを行うからこっちに意識を集中してちょうだいね?」

 

先生代わりとして他一年生の指導を受け持つことになった刀奈は持ち前の指導力を発揮して意識がそちらへ向いていた生徒を引き戻すことに成功した。

ISへ意識を集中する生徒の反対側、つまりは蜂也の方を見てウインクする。

蜂也は少し笑って親指を立てた後に労ってやろうと決意した。

そして笑みを浮かべて「束博士が何故君にあの表情を向けているのか教えてね?」と無言の笑みを向けている。

その事に戦々恐々していたがその背後にいる簪を除くシャルロット達もその感情を向けていた。

 

(これ…後でお説教かなぁ…俺悪くない筈なんだけど?)

 

そんなことを思いつつも何故かいつのまにか蜂也の腕を絡ませて真耶と同じぐらいの爆乳を押し付けている束がいてその視線はさらに強くなった。

 

(勘弁してくだしぃ…男冥利に尽きるけどさぁ!)

 

 

その慟哭は誰にも理解されなかった。

目的の場所へ到着した者達は刀奈は一般生徒のサポートに向かったためこの場には専用機持ちと束、真耶、千冬のみとなった。

 

腕に引っ付いたままの束が千冬に用件を聞かれる。

 

「それで?手配中のお前がどうしてこの臨海学校にやってきたんだ?名護に会いに来たわけではなかろう。」

 

「え?そうだよ。」

 

「…」

 

即答に言葉を失ってしまう千冬だったが直ぐ様真顔からにへらっとした表情へ切り替わった。

 

「うそうそ冗談だってば…まぁ気持ち四割はハチくんに会いに来たんだけど…本命は箒ちゃんへのお誕生日プレゼント並びに代表候補生合格のお祝いに来たって訳さ!カモン!!」

 

そう言って上空を指差す束に釣られて上を見る。

すると上空からコンテナユニットが着地し砂煙を巻き上げる。

呆然として驚く全員を尻目に不敵な笑みを浮かべた束が指をパチン、と鳴らすとコンテナユニットの壁面が展開し中身が露になる。

 

その中身とはー。

 

「じゃんじゃじゃ~ん!これぞ束さんが開発した箒ちゃん専用IS『紅椿』!全スペックが現行IS全てを上回るのさ!」

 

コンテナの中より現れ出でるのは漆塗りのような真紅の機体。

絢爛豪華なその機体は見るものを圧倒する。

正に”紅”の機体であった。

 

「ささっ!箒ちゃん!今からフィッティング(適正化)パーソナライズ(個人設定)を始めようか!私が補佐するから天井のシミを数えるより」

 

「ふざけないでくれ姉さん!」

 

拳を震わせ俯き突如として怒号をあげる箒に言い掛けていた言葉が止まってしまう束。

その大声に全員が困惑と驚愕を示している。

 

「っ!…ど、どうしたのさ箒ちゃん…。」

 

妹である箒に怒号をぶつけられるとは思わず思わず何時ものようなおちゃらけた感じではなく本当に困惑している。

 

「姉さん…あなたは何時もそうだ…自分以外のことを省みず後先のことを考えずに行動する…ISを作ってから私たち家族はどうなったか分かりますか?…家族なのに一家離散して今お父さんとお母さんは日本政府にほぼ軟禁状態で会うことすらままならない…私は”篠ノ之束の妹”ということで各地を転々とさせられて安息の地はない…無理矢理入学させられたIS学園で姉さんが考えていることを知りたいからやりたくもないISの事を学んだ…でも分からない。わからないんだ…姉さんが何を考えているのか…妹、なのに…なぜ、どうしてわたしになにもいってくれないんだ!」

 

「箒ちゃん…。」

 

砂浜に座り込んでしまい涙を流す箒を見て束の声のトーンに張りがなくなる。

どう反応してよいのか分からない専用機持ちだったが動いた人物が一人いた。

 

「それは当然だろ。血は繋がっているからと言ってそいつは”束”であって”箒”じゃない。逆もしかりだお前は”箒”であって”束”ではない。他人の意思を理解するなんてのは今の人類には不可能だ。」

 

「あっ…ハチくん?」

 

固まる束の手をとって砂浜を踏みしめ崩れ落ち座り込む箒の前に蜂也が立った。

 

「…名護?」

 

箒を見据えて蜂也が語った。

 

「言葉で分からないのなら”コイツ”を使えば良い。…だろう?束。」

 

待機状態のISを見せると束の表情は明るくなったが箒は頭に疑問符を付けたままだ。

蜂也は目を閉じてメリュジーヌへ個人間秘匿通信(プライベートチャンネル)を繋ぐ。

 

『メリュ子、この二人の姉妹仲を修復するために手伝ってくれ。』

 

『それは良いけど…どうするの?』

 

『お前が”紅椿”のISコアにコンタクトをとってくれ。恐らくは生まれたばかりのコア…だからお前の言うことを聞くんじゃないか?』

 

『うわぁ…行き当たりばったり…まぁマスターのその考え方は嫌いじゃないけどね…ちょっとまってて…うん。今”紅椿”のコアにアクセスしたけど鋳造年月日は僕よりも…というより生まれたのは1ヶ月ほど前だ。話しかけたらとっても良い子だったよ。僕が外部から心象風景にアクセス出来るようにするからマスターはそこで座り込んでる娘を紅椿に乗せてちょうだい。』

 

『分かった、早速取りかかるぞ。』

 

『うん。それより、どうしてこんな面倒なことを?赤の他人でしょ?』

 

『ああ。赤の他人だ。だけどなメリュ子もう既に束も箒も俺の知り合いでそんな表情を見るのは真っ平御免なんだよ…まぁ強いて言って親父の言葉を使うとするならば…『自分自身の精神衛生上の健康を保つため』だ。』

 

『分かった。』

 

メリュ子は笑って通信を切る。蜂也は座り込む箒へ手を伸ばす。

 

「自分の姉がどんなことを思っているのか知りたくないか?」

 

「…どういう、事だ?」

 

「知りたいのなら”紅椿”に乗れ。対話のお膳立てをしてやるよ。」

 

困惑したままだが蜂也が意図したことを察し機体の方へと向かっていく。

後ろにいる千冬に一言謝罪をいれる。

 

「すみません織斑教諭…少しお時間いただいても?」

 

「ふっ…あの束に好かれている理由を問いただしたいが今は篠ノ之の心の慟哭をどうにかする方が先だろう…少し早いが”今は休憩時間”だ好きにしろ。」

 

みなまで言うな、と言わんばかりの男気溢れる千冬の対応に頼もしく覚えた。

 

「…ありがとうございます。」

 

千冬に一言感謝を述べて後ろを見ると聞きたいことは山のようにあるシャルロット達だったが蜂也の真面目な表情に堪えて見守っている。

それに感謝しつつ束達の方へ視線を向ける。

そこにはぎこちないながらも会話をしながら機体の設定を行う姉妹の姿が見える。

その姿を視認しつつ機体を展開する。

 

(行くぞ、メリュジーヌ)

 

(了解だよ。)

 

拳銃型の待機形態のトリガーが引き絞る。

何時も通りの姿の機体に相棒が空気を読んだのだとほっこりした気持ちになりセッティングが終わった紅椿を纏う箒の姿を見て少し感動していた。

 

(おお…箒が紅椿纏ってる…なんだか感無量だな…ってよく考えて見たら俺、束に抱きつかれてたのか…いかんいかん。今はこの姉妹の誤解を解かなくては…)

 

蜂也はそんなことを思いつつ接近し束に手を差し出し箒に指示を出す。

 

「篠ノ之は姉の手を握れ。束は俺の機体のマニュピレータを掴んでくれ。…これから俺がやることは内緒にしててくれよな。」

 

「「?」」

 

姉妹が不思議な顔をするのは当然だった。

 

「行くぞ。(メリュ子頼む。)」

 

『了解。』

 

蜂也の黒い瞳が金色に輝く。最大稼働した物質構成魔法(マテリアライザー)と蜂也が持って生まれた能力《瞳》の力とISの機能がリンクし普通の人間ならば到達できないISの心象風景へと誘う。

次の瞬間に箒の紅椿とメリュジーヌから淡い燐光が発せられて束と箒は精神世界へと移動した。

これは”魔法師”いう人種の名護蜂也が演算領域を用いて行われる力業だった。

 

◆ ◆ ◆

 

(ここは…)

 

目が覚めると淡い光が溢れる空間へ居た。

 

(…ってどうして学生服?)

 

箒は学生服を着用していた。

先ほどまで着用していたISスーツは見当たらず地面もない空間に漂っていた。

ふと漂いながら前方から立体映像のようなものが流れてくる。回避は出来ずにその映像を潜り抜ける箒。

次の瞬間にその束の想いが脳内に溢れる。

 

(これは姉さんの想い…?小さいわたしと姉さん?)

 

箒がまだ小学生の頃、両親に誕生日に買って貰った筆箱を壊してしまい怒られるのを恐れたので束に直して貰おうと持っていったらそのデザインは同じだったが魔改造されて修理から戻ってきた場面だった。

箒に泣かれた束は笑っていた。

 

『箒ちゃんのために壊れても大丈夫なように作ったんだけどなぁ…失敗しちゃった。』

 

(姉さん…)

 

家族が離散する原因となったIS作成で日本政府からバラバラに暮らすことを義務付けられて遠くに離れていく車両に乗る家族達、箒を衛星を通じて見ている束の気持ち。

 

『ゴメンね。わたしがもっと上手く”あの子”をお披露目出来てれば良かったんだけど…横槍が入らなければ…ってもう遅いか…ははっ、箒ちゃんにきらわれちゃったかなぁ…わたしの研究に巻き込んじゃってゴメンね…』

 

(違う、違うんだ姉さん…貴女は…!)

 

『うーん…できたー!!!』

 

どこかのモニターだけが明かりになっている一室でブルーのワンピースと頭には機械式のウサギのカチューシャを付けた一人”不思議な国のアリス”状態の束が完成を喜び大声を上げていた。

そしてその表情は少し罪悪感を抱いているようなものに変わる。

 

『箒ちゃんには一度謝らないとね。罪滅ぼしじゃないけど…受け取ってくれるかなお姉ちゃんからの”誕生日プレゼント”をさ。』

 

束の視線の先には技術を詰め込みに詰め込んだ規格外仕様(オーバースペック)最高傑作(ハイエンド)。白式と併せて作成された先程装着した紅椿が置かれている。

 

『それを言葉にしろぉ!一言!たりないんだぁっ!』

 

『ぶべらっ!』

 

思わず椅子に座り一人ごちている束にストレートパンチをかましているから転がり落ちる束に捲し立てるように言葉を紡ぐ。

 

『大体姉さんは何時も一言足りないんだ!妹だから?家族だから?そんなの分かるわけっ…ないでしょうが!』

 

『あいだだだっ!箒ちゃんギブ!ギブだからあっ!』

 

箒は倒れ込む束にキャメルクラッチを決める。

タップしてしばらくするとその拘束が弱まる。

 

『家族を…わたしを大事に思ってるなら正面切って言葉にしてよ…圧縮言語ですらないじゃないか…それじゃあつ伝わらない伝わらないよ…”お姉ちゃん”…』

 

『箒ちゃん…。』

 

拘束が解け背中に乗った箒を下ろした束は妹の涙姿に心が痛んだ。

 

『わたしとお姉ちゃんは姉妹でしょ?…ぐずっ、姉さんほど頭が良い訳じゃない…でも悩みを聞くくらいには役に立つと思う。』

 

『ううん…箒ちゃんはわたしの大切な妹だからさ…居てくれるだけでもお姉ちゃん嬉しいんだ。』

 

『姉さん…』

 

『まぁここは紅椿の心象風景…思っていることはぜーんぶ丸裸、さ。ほら。』

 

『あれ…ここは…』

 

そこは周りを木々に囲まれ神社の境内に道場があるというなんとも不思議な立地をしていた今はもう戻れない懐かしの姉妹が過ごした実家の光景が広がっていた。

 

『うん、紅椿が箒ちゃんの一番印象に残っていた風景を心象世界として採用したみたいだね…。懐かしいね。』

 

『ああ。姉さん。』

 

『…箒ちゃんをIS学園に入学させたのはわたしだったんだ。』

 

『え?…日本政府ではなく?』

 

『わたしが日本政府のお偉方脅したんだ。何時までもわたしのせいで箒ちゃんに肩身の狭い想いをさせたくなかったからねー…一般の学校だと警備が甘くてさ、だったらちーちゃんやまやっちが居るIS学園に入学させたのさ。』

 

『…。』

 

『それに箒ちゃんがしっかりISについて学んでいることはクーちゃんやマーちゃん達から聞いていたから知ってるよ。だからこそ箒ちゃんを立場ある人間にさせるために国家代表候補生プログラムを受けさせたんだ。代表候補生になるってことは専用機が持てるようになる。その立場にならないでわたしがISをあげちゃったら周りからは依怙贔屓の身内びいきって後ろ指刺されるのが鬱陶しいからこの手をとったんだ。実際に箒ちゃんはIS技能は今の世代の代表候補生よりも上だしね。見てたよ、タッグマッチであのどこのだれかが送ってきた木偶の坊一人で倒してたしね。お姉ちゃんは鼻が高いです。まぁ?そんなことをしなくてもわたしが黙らせとけば良いんだけど…それだと箒ちゃんの印象と箒ちゃんのわたしへの印象が悪くなっちゃうじゃん?』

 

最初は真面目に話していたのに結局は妹が大事、という文書になっていることに箒は吹き出した。

 

『ぷっ…』

 

『むっ?どうしたの箒ちゃん?』

 

『いや、姉さんどれだけわたしのことが好きなんですか…』

 

『あう…///い、いいでしょ!箒ちゃんのわたしのかわいいかわいい妹なんだからちーちゃんところみたいにシスコン発動させても良いでしょ!』

 

『はいはい…わたしも…”おねえちゃん”が大好きだから。それと…言葉はもっとちゃんと伝えてくれ。”これからは”』

 

『箒ちゃん…うん…うんうん!!』

 

『姉さんくすぐったい…。』

 

『えへへ~うりうり~。あ、箒ちゃんおっぱい大きく、あいたっ!』

 

『殴りますよ?』

 

『殴ってるじゃん!』

 

がばりっ、と束が箒へと抱きつく。

その表情は心から笑った”本当の笑顔”だった。

色々なやり取りがあったが解決したようだ。

その光景を遠くから見ている蜂也とメリュジーヌ。

 

『姉妹の仲は修復…出来たな。ありがとうなメリュ子。』

 

『それは良いけどマスター大丈夫なのかい?随分と無茶をしているようだけど』

 

『…ああ、結構きつい。生身の人間二人をそのまま意識体にダイブさせるのはな」

 

『出来ればこれっきりにして?なるべく君を他の意識体の目に触れさせたくないんだから。…あ。』

 

『ん?…君は?』

 

『…。』

 

蜂也の近くには箒を幼くしたような見た目の少女が立っており腰ぐらいの背の高さしかない。

その少女が紅椿の人格であり女の子が蜂也の制服の脇腹の裾を掴んでいる。

なにかを伝えたいようだが言葉が見つからないようで地面と顔への視線が行ったり来たりしてる。

妙に愛らしいその姿に蜂也は頭に手を置いて撫でる。

 

『姉妹喧嘩で君の世界に連れ込んで悪かったね。』

 

『(…ふるふる)』

 

そう告げると否定の意味で横に首を降る紅椿が口を開いた。

 

『ありがとう、蜂也さん。私のマスターとお母様を仲直りさせてくれて。しゃがんでくれる?』

 

『え?なに。』

 

『良いからしゃがんで…これは…お礼。…ちゅっ。』

 

『あっ………マスター?』

 

『いやこれは俺が悪いわけじゃなくて!?』

 

その光景を見てメリュジーヌは嫉妬で蜂也に詰め寄り必死に弁明するがプリプリと怒っていた。

限界が来たのか心象風景が薄れ始めていく。

隣に並ぶ姉妹は昔のように笑いあっていたのだった。

 

『ばいばい…またきてね。』

 

◆ ◆ ◆

 

「っあ…!?」

 

ISの心象風景に人間二人をつれていく、という荒業をしたお陰で蜂也は酷い激痛に襲われていた。

意識から弾き出されたあと蜂也は装着していたISを解除して後ろへと倒れ込む。

 

(やばっ…。)

 

いくら頑丈とはいえ地面が荒れた岩場。

怪我ではすまない場合がある。

倒れ込む姿を確認したシャルロット、セシリア、簪が駆け寄るが”遅かった”。二重の意味でだが

 

「おっと~!」

 

もにゅん!と思わず擬音が出てしまいそうなほどにその者が持つおっぱいが潰れて一番近くにいた女性が蜂也の背後に周って受け止めていた。

 

「束博士…?」

 

見上げる形となるので逆さまになり束が倒れる蜂也を受け止めてその勢いのまま膝枕をする形となる。

視線的には束のおっぱいを見上げている。

 

「大丈夫ハチくん?無理させちゃったね。」

 

「おっぱいが喋ってる…俺、脳をやられたかな?」

 

「んもぅ…ハチくんのエッチ///このまま休んでて?今立ち上がれないでしょ?」

 

「博士、ゴメン…少し寝かせてくれ…。」

 

おっぱいに遮られて束の顔が見えなかった蜂也だが恐らく顔を紅くしているんだろうな、とそこで蜂也の意識は途切れた。

 

なにか言いたそうなシャルロット達だったが千冬が釘を刺した。

 

「休憩時間は終わりだ!データ取りを開始しろ?企業や国から怒られても良いならサボっても良いが。」

 

「「「「「「「「「うっ!」」」」」」」」」

 

その事を指摘されて顔をしかめる少女達は不機嫌になって渋々と準備を始める。

千冬によって各種装備パッケージのデータ取りを開始のために動き出す。

一夏と箒だけは嬉しそうにしている束を見て微笑んでいた。

箒の機体特性を説明しながら眠る蜂也を膝に乗せて投影式キーボードを叩き指示を出す。

 

「束。」

 

「ん?どーしたのちーちゃん。」

 

千冬に呼ばれながら投影式のキーボードを叩く手を止めなかったが次の言葉でピタリと止まってしまった。

 

「お前、名護に惚れたか?」

 

「…うん。」

 

顔を赤くして乙女な表情を浮かべ膝下で眠る蜂也に視線をあげる様子を見て呆れた表情を顔で見ている。

 

「お前達が”向こうの世界”でどんな体験をしてきたのか知らんが…それよりも名護は一体…。」

 

「束さんの口からは説明出来ないけど…一言で言うと”わたしと似た者”かな。」

 

「そうか、まぁ…名護は既に恋人がいるけどな。」

 

「え゛」

 

その一言で何かを察した千冬はそれ以上は深くは追求はせずにその場から離れた。

 

「…ううん。」

 

「…あ。起きた?」

 

「博士…俺どれだけ寝てました?ってなんで不機嫌なんです?」

 

蜂也が起き上がるとそこにはおっぱいが眼前に広がって…ではなく束がいた。

 

「べつにー?それと呼び方戻ってるんだけど?」

 

どうも敬称で呼んでしまったのが気にくわなかったらしい。

 

「束…さん。」

 

「さんも要らない!」

 

ずいっ、と整った束の顔とおっぱいが触れる事が出来そうなくらいに迫真であった。

 

「た、束。」

 

「うん!それでよろしい…あ、そうだハチくん。」

 

「なんですか?」

 

「その…箒ちゃんと仲直りさせてくれて…ありがとうね。」

 

束の感情が山のように変わるなと思いつつその笑顔はよそ行きの仮面を被った笑顔でなく好意を寄せる人物にのみ見せる破壊力がとてつもない少女のような笑顔に蜂也はときめいてしまった。

 

「…はい。」

 

「あ、それでなんだけどねハチくん。」

 

「はい?」

 

気軽な感じでぶっ込んできた。笑顔で。直球で。

 

「束さんは君の遺伝子じゃなきゃ子供作りたくないから嫌だから恋人になってよ。」

 

「は、ちょ、なに言ってんの?成人女性がそんなことを言うんじゃありませんってあの俺、彼女いるんですけど…」

 

「うん。しってるよ?本当だったらあの子達から君を奪ってたけどそれしちゃうと君に嫌われちゃうから…それはしないでおくね?…それに束さんが君を好きになったのは…君の才能は私と同じぐらいなのさ!凡人に奪われて利用されるのが我慢ならないかな~。それにIS達とコンタクトをとれるのがちーちゃん以外にいなかったから嬉しかったんだ。見つかったのがまさか男の子で無茶してISの心象世界へダイブしたじゃないかその…他人が自分の意思で打算なく束さんを助けてくれた君にキュンってきちゃった。まさかISのその機能を使うとは束さん盲点だったぜぃ!…君は天才だよ…束さんほどじゃないけどね!」

 

あはは!と笑う束に楽しそうに笑うなと思った蜂也は自分と束に認識阻害の魔法を掛けた。

柔らかい触感を惜しむように太ももから頭をはずして立ち上がり束の手をとって立ち上がらせ、

 

「えへへ!隙あり~!…はぁむ♥あむ…ちゅるちゅる♥…あむ…んちゅ…ちゅぱぁ♥」

 

た途端に束によって口を封じられてしまい先程の困惑した表情じゃなくて真面目な表情になった蜂也に口元から離れた後イタズラな笑みを浮かべる束。

 

「大成功~!これで君は束さんのモノ!そして~…束さんは君のモノ、だよねっ?」

 

「俺が受け入れる前に告白してキスするの止めてくれない?」

 

「だって君断っちゃいそうなんだもん。」

 

「しないよ…束に本気の好意を抱かれてたら断る理由がない…でも本当に良いのか?俺はもう彼女…むごっ」

 

「あむ…ちゅるちゅぱ♥…あむ…んちゅ…ちゅるぱぁ♥…大丈夫、それを君の事大好きな子達とは上手くやっていけそうだしなんとかなるよ。…それに」

 

「ぷはっ…それに?」

 

「束さん大人だし学生なあの子達と違って在学中に生セックスして妊娠しちゃってもリスクを考えなくて良いから束さんが一番だよね?ハチくん」

 

小声でボソり、とウィスパーボイスで呟く。

 

「とんでもないこと言い始めたぞこの人…。」

 

妊婦になった束を想像して少し良いなと思ってしまっている自分がいると蜂也は少し罪悪感を覚えた。

 

「束さんは天才なので常識にはとらわれないんだよ?えへへ…これからよろしくねハチくん!…それと束さん触れて感じて愛して後世に遺伝子を残すために交わって良いのはハチくん?君だけなんだから!」

 

満面の笑みで抱きつく束の柔らかさとかなりのシスコンである束は非常に魅力的な女性だと蜂也は思ったのだった。

後の説明は後の時間の自分に任せようと決めた。




束ヒロイン入り…!
口調難しいんですけど…。こんなんだったかなと原作を読み返してもアップダウンが激しいので「あ、これだ」となって続行しました。
そして導入が結構雑かもしれませんがお許しを…。

刀奈の扱いが便利キャラになってるのでいちゃラブをもっと増やしたいけど四巻辺りですかねぇ…(もちろんHシーン書きたい。それぞれのヒロインのを。)

頑張ります。

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山田先生をヒロインに追加…?

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