ヒロインを増やしすぎるとこう言う弊害が出るぞ!
次は戦闘回ですかね?
日にちは学園祭《成層祭》当日。
一日目から一般の解放が行われているので外部からの客入りは多い。
一目で分かるのは同じ歳の学生…異なる学生服を着た男が六割、女子が四割と言ったところか。
それ以外にも大人が居たりして普段のIS学園では見られない光景が広がっていた。
しかし、IS学園は国際的な教育機関であるのには変わり無く学園の風紀委員会と学園の直轄の保安部隊がボディアーマーと武装としてテーザーガンとトンファーを装備し警備に当たっている。
通常であれば保安部隊はARを装備しているのだが物々しい雰囲気をするのは憚れてので軽装になっている。
しかし、もし万が一の事を想定し俺と束が開発したISの技術を応用した
”祭り”と言うこともあってか人の波がごった返していた。嘗てないほどに盛り上りを見せている。
それと同じくして生徒の弾けっぷりは直近で試験から解放されたせいもあってかテンションが高い。
俺たちは《メイド&執事喫茶》で大盛況を見せており店内に入れずに長い列を作りながら心待にしているようだ。
「うそ!?一組であの織斑くんと名護くんの接客が受けられるの!?」
「しかも執事の燕尾服!」
「それだけじゃなくてゲームもあるらしいわよ?」
「しかも勝ったら写真を撮ってくれるんだって!ツーショットにスリーショット!これは撮りに行かない手はないわね!」
というわけで大盛況なのだ。
朝から大忙し…なのだがクラスの他メンツは普通に接客をして楽しそうにしているのだが俺と織斑は厨房にフロアに大忙し…休んでいる暇がなかったが。
(まぁ…この光景を見れただけでも良しとししよう。)
視線を向けるとソコには給仕をしている俺の恋人達が。
「いらっしゃいませ♪こちらへどうぞ、お姫様」
とりわけ楽しそうにメイド服姿で給仕をしているシャルで朝からニコニコと接客をしている。
その向日葵のような温かな笑みは来店しているお客にも受けが良いのか注文も多い。
「いらっしゃいませ。こちらへどうぞお嬢様?」
一方ではメリュ子がメイド服…ではなく執事服を改造した制服(上はブレザーで下はスカート)を着用し接客をしていた。
小柄でクールな表情とその雰囲気、そしてその制服が魅力的で接客している女性や生徒を虜にしていく。
「いらっしゃいませ。こちらへどうぞ。お嬢様。」
そしてまさかのセシリアが給仕服…というかメイド服を着用し本来ならば使用人を使う側の主人がメイド服に身を包み男性客に接客をしていた。
チェルシーから仕込まれた…というか見ていたからか所作は完璧で動きに品がある。
身内贔屓かもしれないが三人ともそれぞれに似合っておりあられもない姿を想像したのは俺だけでいい。
そして接客係を担っているのはシャルやメリュ子、セシリアだけでなく織斑の恋人と親族…篠ノ之、ボーデヴィッヒ、クロニクルにマドカ…と全員がメイド服を着用し接客に当たっていた。
しかし、全員が全員俺と織斑の接客はいつ出来ますか!という質問に眉間がぴくぴくっ、となっていたのは気のせい…ではないと思い少し嬉しくなったのはここだけの話でいい。
(しかし、なんだろうな…この高揚感…。)
メイド服が動く度にスカートが翻るのを調理場から見ているとその姿に言いようもない高揚感があった。
まぁ、俺結構コスプレ物大好きだし…この姿で迫られたら獣になる自信がある。特に好きな女の子のが着ていると言うだけで役満、倍役満になってしまう。
俺たちを除くクラスの女子は雑用担当になっており食材の補充やテーブル整理に洗い物…その中でも忙しそうなのが外で長蛇の列を捌いて列整理をしている女子達だ。
「はーいこちらは二時間待ちですー!」
「ええ。文化祭が行われている間は開店してますから大丈夫ですよー!」
各種クレーム。まぁほぼ待ち時間への対応なんだがきっちりとこなしているのを見ているとすげぇ、となって忙しそうに各自割り振られた仕事をこなしている。
そう思っていると不用意に織斑が外に出たことで大混乱を引き起こされ織斑はクラスに押し戻された。
「こらー!出るなって言ったでしょー!」
「混乱度合いが上がっちゃうから出てきちゃダメー!」
「お楽しみは最後まで取っておかないとー!」
お楽しみ…?と俺が思案していると織斑は教室へ押し戻された。
「「「いいから戻るー!」」」
そう言って織斑は仕方がないと教室に戻り接客に入った。
俺も調理場の度合いをみながらクラスメイトの調理班に指示を出しながらフロアへ顔を出した。
ふと織斑の方をみるとチャイナ服姿の凰の姿があり丁度そのタイミングだったのか接客を受けて席へ案内をしていた。
一枚布のスカートタイプのチャイナ服は真っ赤に金の刺繍に龍の模様がが入っており”ザ・チャイナ服”と言った見た目だったがエグいほどのスリットが入っておりその衣服の凰を見た織斑の表情は顔を少し赤くしてごくり、と喉を鳴らしていた。
確かに凰の姿は良く似合っていてそのスレンダーな体型は男の視線を釘付けにするのには十分すぎる魅力があった。
実際に織斑が喉を鳴らして凝視してるくらいだしな。
二人の邪魔をするわけには行かないので俺も次に教室に入ってきたお客様、もといお嬢様を受け持つ。
「いらっしゃいませ。こちらへどうぞ、お嬢様。」
「ええと…はい…。宜しくお願いします。」
そこにいる簪の格好は何故かフリフリした薄いピンク色の振り袖にその下部分がミニスカートになっているカスタム着物を着用し足部分には白いハイサイブーツ…普段簪がはいているようなデザイン違いの物を履いていた。
「ええと、簪…その格好は?」
なんだか属性もりもりな気がしたが似合っているので大丈夫だ。
が俺が質問すると恥ずかしそうに答えてくれた。
「ええと、四組の出し物が”浪漫喫茶”なの…それでこの格好…///ど、どうかな?」
制服よりもミニなスカート部分をおさえ恥じらう簪。
ここが教室でなければ今ごろセックスをしたくなるくらいには魅力的な格好で卑しい。
「どうかなって…普通に可愛いぞ?抱き締めたくなるくらいには。」
そんなことを耳元で囁くと簪は瞬間湯沸し器のように顔を赤くして湯気を出していた。
「抱きっ…!?……////」
「まぁ今は人前だからしないけど…んんっ…良くお似合いですよお嬢様。」
執事口調で軽いお辞儀をしながら褒めるとその様子がおかしいのと着物姿を褒められて嬉しかったのか笑ってくれた。
「えへへ…ありがとう。執事さん?」
「どういたしまして。それではお嬢様こちらへ。」
お客として来店している簪を空いている整備が済んだ座席へ案内し椅子を引いて準備する。
誘導された簪はその椅子に着席しテーブルに着いたのを確認した俺は持ってたメニュー表を俺が持って提示した。
因にだが内装のレイアウトを俺とシャルが調査に向かった「@クルーズ」の内装を再現しており調度品や家具はセシリアが本土から手配したものをIS学園に運び入れ今回の出し物をしている。
一体幾ら掛かるんだその家具は…と突っ込みを入れたくなったがとんでもない金額が飛び出しそうなので聞くのをやめた。
それに今お客さんに提供している食器なんかも高級すぎて流石に…となりグレードを落としたらしいのだが一つ10万円もする食器らしいので取り扱うクラスメイト達は慎重に取り扱っていた。
とてもじゃないが高校生の催し物とは思えないレベルのメイド&執事喫茶となっている。
「それで、ご注文は何になさいますかお嬢様?」
「う、うん…えーと………。………?」
高級な雰囲気…というかこの場にいる簪の格好が異世界に迷い込んだ少女のようで少し見ていて楽しいが表情には出さずメニュー表を真剣な眼差しで見る簪を観察しているとなにかが目に止まったのかこちらに視線を向けた。
「この『執事にご褒美セット』って…なに?」
お、それを選んだか簪。
「それは文字通りお嬢様を受け持っております私へのご褒美として”食べさせられる”セット御座います。」
「つ、つまり蜂也くんに『あーん』が出来る…?」
「そう言うことに御座います。」
簪はメニュー表と俺の顔を行ったり来たりしながら覚悟を決めたのか注文を告げた。
「『執事にご褒美セット』で御座いますね?それでは少々お待ちくださいませ。」
俺は胸に手を当てて腰を折ってお辞儀をしてその場を去りオーダーを受けた商品を取りに向かう。
ちなみにオーダーをカウンターで復唱必要はなく先程の場所で復唱すればブローチ型のマイクがそれを拾い通じている。こう言った細かい配慮は女子ならではなかろうか。
ちなみに先程俺が簪に感想を述べたさいにマイクは切っていた。
「はい、どうぞ。」
カウンターへ向かうと直ぐ様『執事にご褒美セット』が手渡された。
冷やしたアイスミントティーに細かく砕いた氷を敷き詰めた口の広いグラスに棒状のチョコレート菓子が数本入っているもので値段は300円ぽっきりというまぁ学園祭の値段かというものだ。
手早く受けとり恋人がいるテーブルへ向かう。
「お待たせしましたお嬢様。」
「はい、お待ちしてました。」
最初は緊張をしていた簪だったが時間と共になれたのか良くテレビで見る女優なんかの座り方(股を閉じて足を斜めに沿わせて座っている)になっており手を膝の上においていた。
更識家は日本の貴族のようなものだからかそう言った所作は本当に自然体で似合ってた。
テーブルに『執事にご褒美セット』を置いて俺は隣に着席する。
そのテーブルには方や燕尾服、方やミニスカ振り袖…一体なんだこれは?と言いたくなるような服装の男女が同じテーブルに座っている。
「ええと…それじゃぁ蜂也くん…はい、あ~ん…。」
簪はチョコレート菓子を1本手に取り落ちないように持っている手とは別にもう片方の手を皿にして俺の口元へ運んでくる。
「あーん。」
ぱきり、と口のなかで弾ける音が響きかりかり、と咀嚼するとチョコレートの甘味とビスケットの香ばしさが口の中に広がっていく。
うん。普通にうまいけど”好きな娘に食べさせてもらえる”というのがなんとも言えない優越感を感じさせた。
「ちょっと面白いかも…」
そう言って一本目を食べさせ終えられると続いて二本目…と”あーん”の施しを受けるが…これあれだなウサギにエサをやってる気分になるのかも知れない。
6本あったチョコレート菓子も残すところ1本になりそろそろ終わりかとなったときに簪からのお願いが。
「その、食べさせて貰うことって出来るって…」
簪が出来ますか?と俺に聞こうとしていたのだがその瞬間に人影が割ってはいる。
「お嬢様。当店ではそう言ったサービスは行っておりませんので~」
割って入ったのはメイド服を着たシャルだった。その朗らかな笑みの中に有無を言わせない迫力があったのは気のせい…だと思いたい。
「そ、そうなんだ…うん分かった。」
「ごゆっくりお嬢様。それと蜂也がそれをやっちゃうとパニックになるからやっちゃダメだよ?…ほら織斑くんも」
シャルが指差すと凰と織斑がいるテーブルで俺たちと同じようなことをしようとして篠ノ之に止められていた。
あれはどっちかというと”私を差し置いてあーんするな!”と怒っているようにも思えるんだが?
「蜂也、後でみんなに『あーん』してね♪」
そう去り際にシャルが俺の耳元で囁き接客へ戻っていく。
なるほどな。
それはそれとしてあーんタイミングを逃し残念そうに最後の1本をちびちび食べる簪。
なんだろうか本当に簪は庇護欲をそそるというか…うん本当に可愛い」
「///……こ、心の声も、漏れてるからっ蜂也くん////」
うん。これは俺が悪い、悪いのか?
「ごちそうさまでした。」
頼んだメニューを平らげお会計をしようと立ち上がる簪だったが乱入者によって阻まれた。
「やっほー蜂くん!遊びに来たよ!って執事服似合うね~流石はわたしの恋人だねっ。あ。かんちゃんのミニ着物も可愛いねっ。そう思うでしょたっちゃん。」
次なるお嬢様は俺の可愛い可愛い天才白兎こと篠ノ之束が来店した。
その格好は何時ものような青いアリスドレスではなく今シャル達が着用しているメイド服姿だ。
そしてもう一人。
「蜂也くーん。わたしも遊びに来たわよ?うんうん♪博士と同じ意見よ?執事服も良く似合っているし簪ちゃんのミニ着物も良くにあってるわー。」
生徒会長である刀柰も来店しこちらも同じく何故かメイド服を着用している。なんでだよ。似合ってるからいいけど。その姿に執事口調を忘れてしまう。
「二人ともいらっしゃい…というかなんでメイド服を来てるんだ?」
「え?着たかったからだけど。それよりどう?」
「着たいからよ?それより似合ってるかしら?」
束の場合はお前本当に俺より年上なのかと聞きたくなるくらいには言い方に語弊があるかもしれないが”若い”のだ。
同い年の同学年といわれたら信じてしまうほどには。服が束に着られている、という印象があった。
刀柰は俺より年上であるので少し落ち着いたような感じの印象を受ける。
やはり簪の姉…であるからかその佇まいは良く似ており更識家の長女であり当主であるからかその動きに優雅さが感じることが出来る。
「二人とも良く似合ってるよ。」
この言葉しか出ない俺を許してほしいものだが満足したのか二人とも笑っていた。
ふと簪の方を見るがいつのまにか居なくなっている。あれ帰っちまったかな?何て思っていると執事服の袖口を捕まれた。
「似合う、かな…。」
声を掛けてきたのは簪だった。
振り返るとそこにはメイド服にいつの間に着替えていた。
「うん。可愛いぞ。…実家のメイドとして雇いたい位には。」
簪は気弱な部分があるがそれはあくまでも見た目だけのことで実際は芯の強い部分があるからな。
無意識にスカートを掴むのは自信のなさが現れているだろうがそんなことはない。めちゃくちゃ似合っている。
そしてまた騒がしい女子が飛び込んでくる。
「どうも新聞部でーす!話題のイケメン執事二人を取材しに来ましたーっ」
新聞部のエースである黛薫子さんだった。事ある毎に俺と織斑の写真を取りに来るので顔馴染み…というか織斑は顔馴染みかもしれないな。俺は写真撮るのキャンセルなのだ。
「あ、薫子ちゃんだ。やっほー。」
「わお!たっちゃんじゃん!メイド服も似合うわねー…って篠ノ之博士もメイド服っ!?こ、これはお宝な匂いがしてきたでー!」
口調変わってんじゃないっすか…。そんなことを思いながら俺はフラり、と黛先輩の前から立ち去ろうとしたんだが…
「(にこにこ)」
「(にこにこ)」
俺は刀柰と束に両腕を拘束されて退路を断たれてしまった。
なんということだ…もう助からないぞ?
「はーいこっち向いて…はーいチーズっ!」
いつの間にか俺と簪、俺と刀柰、俺と束で写真を撮られていたが撮影会の雲行きが怪しくなっていった。
黛先輩が奥で接客をしているシャル達に気がつき電流が走ったのかはっとなっていた。
「ちょっと待って…!ここに蜂也くんの恋人全集合って訳…!?こうしちゃ居られない!そこのメイドさん達こっちに集まって!写真を撮っちゃうから!」
こっちの意見無視っすか…。まぁ家族写真だと思えばいいか。
黛先輩の掛け声で集まったシャル達三名。黛先輩はメリュ子がここにいることに疑問に思っていたが近くにいた束がそれとなく伝えると驚いていたがいい笑顔を浮かべていた。
こうして何故か俺が座らされ俺の背後にシャルそこから正面から右にセシリアにメリュ子。
その反対側、左に向かって簪、刀柰に束…という後の人が見たらビックリする集合写真、もとい家族写真を撮る羽目になったがまぁ…たまにならいいなとはなった。
そして集合写真からのそれぞれのツーショットをサービスで撮ってくれた黛先輩はその写真を後で焼いて渡してくれるとのことなので楽しみにしておこうと思う。
黛先輩は一夏の分も撮ってホクホク顔で何度もデジカメのプレビューを覗いていた。
「や~一組の子達は写真映えして撮るこっちも楽しくて仕方ないわね~。」
そんなこんなで唐突な写真撮影会は終了した。
◆ ◆ ◆
本島とIS学園を繋ぐ陸地には検問が設けられておりそこでは持ち物検査に身体検査がある。
そのパスを通過して許可証を首から下げ一人の女性が辺りを見渡す。
”電光掲示板”や手書きのPOPスタンドがあり辺りはお祭り一色になったIS学園の敷居を跨ぎ校門にすぐ入ったところのベンチの影にしゃがみこみ小型の通信機をオンにする。
『状況は?』
「侵入完了だ…どんだけ平和ボケしてんだこいつらは…。」
通りすぎる生徒や一般市民を横目に蔑みの視線を向けている。
巻紙礼子…もといオータムが学園祭の様子を見てそう思った。
そんなことを思いつつ通信越しにスコールへターゲットの所在地を確認し『”IS装備開発企業のビジネスウーマン”として織斑一夏に接触する』という任務の元に人でごった返す学園祭の雑踏の中へ踏み込んでいった。
しかしこのときスコールは気がついていなかった。
このIS学園に踏み入れた時点、つまりは様々なもの特に”電光掲示板”に目をやってしまった時点で蜂也と束の策に嵌まってしまっていたのだ。
それに気づかず礼子…もといオータムは歩みを進めた。
◆ ◆ ◆
(引っ掛かってくれたみたいだな…これならしばらく織斑や篠ノ之…俺と束に接触することはないだろう。)
やってくる刺客…もといオータムが網にかかった。
なんで知ってるのかというと《瞳》のちからを一瞬だけ悪用して他人の目を通じて見ていたからだ。
俺の魔法と束の技術で掲示板に本来の目的を狂わせる精神科干渉魔法を仕込んでおいたのだ
これによりオータムは織斑と篠ノ之たちと遭遇しても”ターゲット”であると認識できなくなっている。
まぁ外される可能性はあるが万が一に解除する方法はない。
…よっぽどのイレギュラーがなければだが。
さてその事を確認しながら仕事をしていると時刻は午後に差し掛かろうとして人の入りが多くなったが相変わらずクラスの女子が頑張って回してくれている。
その間に抜けて…というのは心情的に憚られた。
しかし思わぬ鶴の一声が俺にかかった。
「あ、蜂也くんしばらく休憩してきたら?ずっと働き詰めだったじゃない。」
クラスメイトの鷹月さんが食器を洗いながらそう告げた。
「いいのか?今から昼時だけど。」
「大丈夫。まぁ流石に織斑くんもいなくなっちゃうと辛くなるから一時間で戻ってきてほしいけどねっ」
流石にずっとは無理だろうな…。
「分かった。お言葉に甘えるよ。」
「あ、それとフロアの女の子全員連れていっちゃダメだよ?動ける人がいなくなっちゃうからねっ」
まぁ、そりゃそうだ。
それに流石にぞろぞろと恋人を引き連れて歩き回るのもな。
順番をどうしようかと迷っているとまさかの鶴の一声が上がった。
「よーし蜂くんの恋人の皆~!じゃんけんで決めよう!勝った人が蜂くんと最初に学園祭を回れる権利がゲットできるゾ!」
束がシャル達に声を掛けて集まる。
全員が真剣な表情でまさかの「じゃんけん」をし始めた。
ちょっと面白い。
「「「「「「最初はグー!じゃんけん…」」」」」」
一瞬の静寂が教室を包み込んだ。
見つめ合う六人の少女たちは真剣な面持ちで自らの勝利のための手を出す。
「「「「「「ぽんっ!!!!!!」」」」」」
勝敗が確定した。
「ええと…わたしが勝ったから…わたしでいいんだよね…?」
勝者はシャルで全員がしょんぼりしてしまっている。そんな大袈裟な…。
「しかし…まさかシャル以外が全員パーを出すとは…。」
じゃんけんの結果としてシャルがチョキを出してシャルを除く全員がパーを出すというミラクルが起こった。
「うー…まさかこの束さんが負けてしまうとは…くぅ…先に蜂くんと見て回るのはシャルちゃんでいいんじゃないかな?」
まさかの束、いやじゃんけんで負けただけだろ…?
「この僕が負ける…だって…?…そうだねお義母様。シャルロット達には悪いけど下見をしてきて貰おうよ。」
メリュ子が俺を下見のパシりに使うな。あと悔しがりすぎて顔がヤバイことになってるからなお前。
「オルコット家当主のこのわたくしが敗北するなどと…くぅ…!…ですが…そうですわね…まず最初に蜂也さんと回るのはシャルロットで宜しいかと。」
セシリアが不承不承ながら承認し…いやいやただのじゃんけんでそこまで…。
「悔しい………。でもそれがいいかも知れない。わたしはクラスに戻らなきゃだし。終わってから必ず、だよ?」
心の籠った悔しさを滲ませる簪。でも最後のお願いは素直に可愛いと思いました。(率直)
「むー…負けてしまったわ…まぁそれでも勝ったのはシャルちゃんだから異論は無いからそれにはわたしも賛成よ?お楽しみは最後に取っておくって奴ね。」
刀柰が扇子を出して『大器晩成』の文字を表示する。
うん、何か違う気がするけどいいか。
「え、本当にわたしからでいいの?…どうしたの皆。普通なら我先に…だと思うんだけど…。」
シャルが困惑するのも無理はないのだが全員本心からの言葉のようで嘘をいっているようには聞こえない。
困惑するシャルだったが一番手を決めたチョキをそのままピースに変えてにへらっと嬉しそうな笑みを浮かべていた。
学園祭の出店を見て回ることになったのだった。
◆ 《シャルロットとのデート》
「しかし本当に人が多いな…」
「うん。いっぱいだね…どこもかしこも盛況だよ。」
一組から抜け出しそのまま別の出展場所をめぐっていた。
「しっかし…これだけ多いとはぐれてしまいそうだな…シャル。…じゃなかったお嬢様お手を」
「ふふっ…うん。エスコートを宜しくお願いしますね執事さん?」
俺はシャルの手を取って歩き始めると周囲がざわついていた。
(うぁ…メイドさんと執事さんがいるぅ…)
(なんだあのメイドさん…めちゃくちゃ可愛いぃ…)
(あの執事さん凄くかっこいい…!)
(なんだろう「リア充爆発しろ」!…って言うところなんだろうがめちゃくちゃお似合いだなちくしょー!)
(あ、というかあの執事さんとメイドさんって名護蜂也とシャルロット・デュノアか!すげぇ有名人じゃん…さ、サインとか貰えないかな…。)
となにか有名人を見るような目で見られていた。どんな感想を持たれているのかわからないけどな。
まぁ、シャルが可愛いから注目されるのも当然か…
(恐らく、わたしたちそのままの格好だからじゃないかなぁ…ちょっと恥ずかしくなってきた。)
手を引きながら学生たちの出店を見て回る。
やはりというか俺とシャルが手をつないで尚且つ執事服とメイド服で歩いているので生徒と一般解放の人たちに見られていた。
というか普通に生徒から声を掛けられる。
「あ、蜂也くんだ~!やっほー!」
「後で絶対お店行くからね!」
それから一般解放の人たちからも。
「うわっ本物のなごはちやだ!ねぇねぇサインちょうだい!」
「うわーデュノアさん写真で見るより生で見た方が可愛い…しゃ、写真いいですか!?」
子供にサインをねだられ中学生ぐらいの男子生徒や女子中生に写真をねだられたりしていたので結局回れたのは昼休憩をかねた食事の時間だけだった。
なんでIS学園の出し物で家系のラーメン屋があるんだ…。
しかし、間だ時間はあるのでもう少し見て回ろう。
「昼飯食いそびれちまったよ…。」
「うんでもまぁ…仕方ないよ。凄かったよ?ちっちゃい子供たちに囲まれてる蜂也。漫画のヒーローみたいだったよ。」
「それを言うならシャルだって女子中高生に囲まれてたじゃないか。」
「たはは…少し複雑かも…。」
”可愛い”よりも”かっこいい”の声が少し多かったのが不満らしい。そりゃそうだ。
俺のシャルは最高に可愛いのだから。
「さてお昼ご飯を…っとあ、ここ”料理部”だ。」
いつのまにか文化系の部室棟に来ていた。
改めて意識してみると通りすぎた部室の前からいい匂いが漂っている。
「料理部?」
「うん。あ、どうもここだと日本の伝統料理…”お袋の味”を作ってるんだって…うん。ここに行こうよ蜂也。ここで勉強をして料理作れるようになりたいし。」
「シャルは料理旨いもんな。…さらに勉強するつもり?」
「そうりゃそうだよ…将来の旦那様に”美味しい”って言って貰いたいからね」
俺を見ながら若干伏せ見がちにそんなことを言うものだから可愛くてしょうがない。
そんな将来の新妻に対して思わず握っている手を少し深く握ってしまったほどだ。
イチャイチャを繰り広げながら部室へ入ると出汁の匂いや醤油のいい匂いが漂っている。
「これ…凄いな。」
「うん。ここ本当に学園?って思っちゃうね。」
部室内には定食屋のように大皿が置かれそのなかに部員が作ったであろう料理があるのだがその量は凄まじい。
肉じゃがにおでん、きんぴらに和え物、焼き物に煮付け…まるでオードブルのような量だが全てが全て美味しそうだ。
「あ、これはもしかして肉じゃが?」
母さんが昔作ろうとして爆発させてた思い出しかないんですがそれは…。
『えぇ…?どうなったら肉じゃがを爆発させるんですかねぇ…お前さんは。』
『お義姉ちゃん…本当に?』
呆然とする親父に小町叔母さんがあきれた表情を浮かべていたのを思い出したわ。
「蜂也?」
「え、ああ…昔だと女性の必須料理だったみたいだな。」
「え、なんで?」
「肉じゃがを上手く作れる女性と結婚しろって風習だったらしい…知らんけどな。」
「蜂也の生きてる時代に伝わってるのが凄いね…そ、そうなんだ…。蜂也は肉じゃがが上手いお嫁さんは欲しい?」
肉じゃがを食い入るように見つめるシャルからそんなことを聞かれたので率直な意見を返す。
「肉じゃがだけじゃなくて料理が上手い女の子がいいなぁ…俺は。」
「そ、そっか…うんわたし頑張る!」
「???」
シャルは料理が上手いので別に頑張らなくともいいと思うのだが…まぁさらに美味しいご飯を食べさせてくれるというのなら彼氏的には嬉しいからな。
そんなことを思っていると料理研の部長が声を掛けてきた。
「おお!名護くんにデュノアさんだ!ようこそ我が料理研へ。」
「どもっす。」
「ど、どうも…。」
そんなこんなで大皿に盛られた保温装置で温かいままの肉じゃがを小皿に盛られ一口頂く。
口のなかに出汁の風味と溶け出した食材の旨味がジャガイモに染みていた。
所謂これが”お袋の味”というやつなのだろうか?まぁ俺はお袋の味とやらは知らんけど米が欲しい。
「旨い。」
「ホントだ…。」
「これは圧力鍋を使って調理してるのよ時間短縮だけじゃなくて味も染みやすくなるのよね。」
「圧力鍋かぁ…他にコツとかあるんですか?」
「ふっふっふー。それ以上は秘密かなあ…でも貴女ならもう知ってると思うけどねっ。」
「料理部かぁ…入部してみようかな。」
「俺はシャルの料理が上手になってくれるのは素直に嬉しいぞ?」
「そ、そっか…えへへ///」
「おうおう熱々だねー。流石はIS学園でも指折りの美少女と才女をタラシこんだ名護くんはよぉ~。胸焼けしてきちゃうわ。」
「ははは…。」
なんか言葉にトゲがあるような気がしないでもないがまぁ…否定が出来ないのだから質が悪い。
隣を見るとシャルがにこにこと皿に残った最後の一口を頬張った。
俺もそれに釣られて残った一口を頬張り俺とシャルの休憩は終わった。
◆ 《セシリアとのデート》
「お待ちしておりました蜂也さん。それでは参りましょう?」
「それじゃ行こう…ってこうか。エスコート致します”お嬢様”」
「ふふっ…それではエスコートをお願い致しますわ?」
雑踏の中を二人でならんで手を繋いで歩いていると音楽が聞こえてきた。
「吹奏楽部か…?」
「フルートの音色ですわね…。」
たまたまに通りかがった教室には『吹奏楽部の楽器体験コーナー』と書かれた教室があった。
「蜂也さんは楽器を嗜われますか?」
「うーん…楽器はピアノが小さいときに親戚の姉さんに教えて貰って以来であんまりないかも。どっちかというと武道とかの方面にちからをいれてたし。セシリアはなにか出来るの?」
「バイオリン。それとピアノも少々ですが。」
バイオリンを弾いている姿を想像したら予想以上にかなり似合っていた。
木漏れ日のなかでささやく風のなかで金色の髪と青いサマードレスが翻るなかでバイオリンを奏でるセシリア…。
うん、めちゃくちゃ絵になりすぎるな。この子が未だに彼女なのが信じられないんだが。」
「……蜂也さんはその…思っていることを素直に口に出しすぎですわ///」
どうやら俺の思っていたことが口出ていたらしく顔を真っ赤にして恥ずかしがっている。イカンイカン。
「せっかくですし楽器に触れてみるのはいかがですか?」
「そうだな…久々に楽器にさわってみるか。」
俺とセシリアは教室に入ると閑古鳥が鳴いているのか部長だけが教室の中央で楽器の整備をしていた。
グリスを差してはキコキコ、と調子を確かめている。
「すみません。」
俺が声を掛けると「んにゃ?」とした表情を浮かべてお客さんが来たことを認識して慌てて顔を上げた。
「おお!六人目のお客さん…って名護くんとオルコットさんじゃない!さぁさぁこちらへ!って二人の写真貰っても良い?」
「良いですよ?」
「やったー!」
携帯のカメラのシャッター音が聞こえ満足げにしている部長さんだったがすぐさま意識を切り替えて訪れた俺たちに説明をしてくれた。
「ああ。そうだそうだごめんね。それでうちにある楽器は全部使えるからどれでもどうぞ?ピアノにバイオリンにユーフォニアムにフルート…選り取りみどりだから好きなのを試してみて!」
そういって教室内を見渡すと公立高校ではあり得ないほどの充実した楽器の数々があり度肝を抜かれてしまった。
俺は一通り見た後に久々にピアノに触れた。
「それじゃあ…このピアノを借ります。」
「お、名護くんは経験者かな?」
「いえいえ…。」
部長が興味津々に問いかけてくるがさっきセシリアに話したときのような回答をする。
ピアノの前の座席に座り指を開いて白と黒の鍵盤に指を置く。
………そうだな久々にあの曲でも弾くかな。昔ゲームで聞いたのを完コピしただけだけど…覚えてるかな?
脳内にあまり詳しくない楽譜を思い出し鍵盤を弾いた。
流れる音の旋律は音楽経験者の二人の耳に届いた。
「『月光…』」
「すっごぉ…。」
数分ほど響いていた音の旋律は次第に弱まり教室には静寂が広がる。
うん、意外と弾いてみるもんだな。
鍵盤から指を離すと拍手が聞こえた?なんで?
「蜂也さん…素晴らしいですわ。」
「凄いねぇ名護くん。めちゃくちゃ上手いよ!名護くんならすぐにレギュラー入り出来ちゃうね。どう?入部しない?」
「ただまぁこれしか上手く弾けないので遠慮しときます。」
「そっかー残念。あ、オルコットさんはどんな楽器が弾けるの?」
「バイオリンですけれども…。」
「それなら二人でセッションしてみなよ。ほら、こっちに《月光》の楽譜があるからさっ。お二人の共同作業してみたくない?」
そういってセシリアにバイオリンと楽譜を渡す部長さん。
その表情は「音楽を奏でているのを見たい」とワクワクしている。
セシリアはなにか意思を固めたようで頷いていた。
「え、ええ?…はぁまぁ…(でも蜂也さんとの共同作業、というのは心動かされるものがありますわね。)分かりましたわ。蜂也さん宜しくお願いします。」
「足を引っ張らないように頑張るとしますかね…。」
互いに執事服とメイド服でピアノとバイオリンを奏でる、という奇妙な休憩時間になってしまったが楽しかった。
それにセシリアの表情が柔らかな微笑みをずっと浮かべていたのが印象的で忘れられない思い出となった。
◆ 《簪とのデート》
「あ、いらっしゃい蜂也くん。」
「四組は”浪漫喫茶”だっけ?しかしこれは…凄いな。」
一組に戻りセシリアと分かれた後に四組に来た。
出迎えた簪の格好はメイド服姿ではなくサイハイブーツを履いたミニスカ着物とさっきまで被っていなかった軍帽を斜めに頭に乗せている。
「うん…とりあえず中へどうぞ?」
簪に誘導されて教室内に入る。
「おお…これは…また。」
教室内に入ると大正浪漫薫る雰囲気の内装が出迎えてくれた。
簪のような格好をした女子生徒が接客をしており人も結構入っている様子だ。
「あ、蜂也くんだ!」
「え、嘘!」
「我らが簪殿のお婿殿がきたぞぉぉぉぉぉ!!」
「「「おぉ!!」」」」
…やたらとテンションの高い簪のクラスメイトは一体何なんだろうかと思っていると簪が顔を真っ赤にして「や、やめて…!」と懇願していたのを見ていじめられているのかと心配になったが《瞳》で見ても悪意は感じられず逆に好意しかない。
と一人のクラスメイトが俺の肩を叩き声を掛ける。
「ねぇ、ねぇ蜂也くん。」
「ん?」
「どうしてうちの簪さんを恋人にしたの?」
「どうしてそんなことを?」
「教えてよ~簪さんってば教えてくれないんだもん。」
「そうだったのか?…そうだな…。」
まぁ別に教えても減るものじゃないし良いか。
「人一倍頑張り屋で負けず嫌い…気弱かと思ったら芯の強さがあって…笑った笑顔が可愛いところ…かね?」
「「「「おおおぉ…!!!」」」」
なぜか俺がその子にだけこっそり教えていたはずなのだがいつの間にか女子に囲まれその事を聞いていたらしく輪唱のように大きく頷いていた。
いや店の仕事は?
「「「「「わかりみが深い…。」」」」」
いや全員かよ。
その回答を聞いてしまった簪は顔を真っ赤にしてクラスの女子を追いかけるが本当に四組の女子は簪のことが好きらしいのでひと安心した。
さっきの一人が再び声を掛けてきた。
「いやー簪ちゃんの相手が名護くんって聞いたときは少し驚いたけど…君なら任せられそうだ。簪ちゃんを泣かせたら四組全員でお礼参りにいくからねっ!」
一体どこ目線なのだろうか…親なの?と聞きたくなったがここで俺は答えた。
「ああ。必ず幸せにするよ。」
そう告げると四組女子からの黄色い悲鳴が飛び交い簪が「あう…」と小さくなり真っ赤になっていた。
あとお客さんいるから騒ぐのやめような?
その後頼んでもいない四組の浪漫喫茶特製『大正ロマン二帝都ノアラシ』というカップル専用のパフェを奢られてしまい二人で食すことになったのだが…。
「蜂也くん…その…『あ~ん』して欲しい…。」
簪もクラスメイトに発破を掛けられたかそれとも振りきったのか俺に『あーん』を要求してきた。
そんな可愛いお願いを拒むはずもないので俺はスプーンに一口分のパフェを掬い簪の口へ運ぶ。
「はい『あ~ん』…。」
「『あ~ん』…。んぐ…んぐ…。」
「美味しい?」
「…(こくり)////」
((((ニヤニヤニヤ…))))
その光景を見られて簪が赤くなっていた。可愛い。
◆ 《束とのデート》
「はぁーやっとわたしの順番だよー。長かったなー。」
織斑と入れ替わるように厨房とフロアを回し休憩と言う名のデートを済ませてきた織斑と入れ替わるように俺と束が学園祭を見回る形になるのだがその当の本人は少し不機嫌だ。
「いやいや…全員平等にしなきゃ行けないでしょうが……。」
「つーん。」
年柄にもなく拗ねるその様子は本当に俺よりも年上なのかと聞きたくなるが女性に年齢を聞くのはご法度だしな。
仕方がない。
俺が束と同い年の同学年なら少しは違ったんだろうけど。
「そうだ!蜂くんこれを着けてよ。」
「これは…機械のウサミミ?」
どこからから取り出した機械のウサミミを手渡されて装着すると束が満面の笑みを浮かべている。
これはあれだな…”不思議な国のアリス”で出てくるアリスを導くモノクロを掛けたウサギ執事のようだ。
ならばと形式に則り束の色白な手を引いて告げた。
「それではお嬢様参りましょう。」
「うんっ。」
束の手を取り機嫌の良くなった不思議な国のアリスを案内するために手を引いて雑踏へ入り込んでいく。
しばらく進むととある出店が目に入った。
「剣道場…ん…『占いの館』…?」
「ここって箒ちゃんが所属してる部活動…なんだよね?なーんかスッゴク怪しい邪教の館みたいになってるんだけど…。」
剣道場が遊園地にある幽霊屋敷…というか吸血鬼が住んでいそうな外装に変わっている。
「占いかぁ…少し面白そうだね。」
興味を持った束に意外に思ってしまった。
「意外だな…こんな非現実的な科学に基づいた診断結果じゃないのに。」
「たまには良いじゃない。いこっ。」
暗幕の張られた武道場へ入ると紫のベールを着けた剣道部の部長が出迎えた。
水晶が置かれていたり…なぜかタロットカードではなく”花札”が置かれている。なんで?
「いらっしゃい…って名護くんに…篠ノ之博士ではないですか。妹さんにはお世話になっています。」
「あ、どうも箒ちゃんがお世話になってます。」
そこはしっかり返すのな。
「なんで剣道部なのに占いを?」
「最初は剣道体験コーナーにしようと思ったんだけどねぇ…それだと票が取れないから急遽占いへ変更したってことなの。あ、わたし結構占い得意で当てられるから結構口コミで人が入ってるんだ。」
そういわれ隣を見ると占いの対面部屋には人が入っていて盛況な様だ。
…しかし、紫色のベールに剣道の防具とはごった煮が過ぎませんか?
「それじゃぁ占いを始めましょうかねー。あ、一人五百円ね。」
俺と束の分の料金を払い占って貰うことになった。しかし花札で占うのか…。
「さ~占わせていただきましょう…もう必要ないと思うけど恋愛運から行きましょうか。ふむふむ…ほほう。」
部長は手付き良くカードをシャッフルし素早くカードと振り分けていく五つに分けたカードとの束を五枚オープンして結果を見て頷いていた。
というか花札の占いなんか聞いたことないんだけどなぁ…。
結果が出たのか教えてくれる部長氏。
「出たよー。名護くんは猪鹿蝶…恋愛運は最強だね。流石は現代ハーレムの王様。うん、他の女の子達とも非常に仲が良い、って出てる。」
嬉しくないんだけど。名にその不名誉なあだ名。
「篠ノ之博士も…うん同じ結果で恋愛運最強ですね。恐らく蜂也くんとがベストマッチ!ですね。これ以上の相手は今生現れないと思います。」
俺万丈で束が戦兎だった…なるほど俺と束で二人で一人、Be The Oneでクローズビルドだったわけか。
確かに俺のISがドラゴンモチーフで束が兎だからな…あってるのか?
しかし良いことばかりを告げるのが占いではない。
「同時に名護くんは女難の相が出てるね…。新しい女性の影がありだ。下手したら今年中に接触するかも。」
それを聞いた瞬間に束が俺の脇腹を摘まんでくる。いってぇ…!てか具体的だなおい。
その表情は少女のように「面白くない!」といわんばかりの表情を浮かべている。
「それでは最後に相性占いでもしますかね。お二人とも手を握って十秒間見つめ合ってください。」
これは占いに関係あるのだろうか?そんなことを思いつつ指示された通りにお互いに顔を見つめ合って左手を上に上げて合わせて十秒間見つめ合った。
「これで具体的に何が…。」
「うん。嫌な人だったら手も合わせないし目も合わないよね?人間の心理描写に基づいてのまぁ試験みたいなものだと思っていただければ。嫌じゃなかったでしょ?博士も名護くんも。」
「な、なるほど…。」
「なるほどなぁ…あははっ。」
めちゃくちゃ嬉しそうな束と共に占いの館を出る。
「あ、ちょっと待って。」
出ようとしたところを部長に止められる。どうしたというのか。
「写真を一枚良いかな?」
「ええ。良いですけど。」
写真の一枚くらい安いものだ。
ぱしゃり、とシャッターを切られる音が聞こえ部長さんは占いの館へ戻っていった。
「ねぇ蜂くん?」
不意に束に声を掛けられて横を向くと腕に柔らかいモノを当てられて近づく姿が。
その表情はなんとも言えない顔色を浮かべていた。
「さっきの占いで”新しい女の子”…言われてたけど…浮気をしてないよね?」
その瞬間にハイライトが消えて俺の背筋が冷たく感じる。怖いんだけどぉ!?
「束達意外に許可無く恋人増やしてる訳無いだろうが…。」
これは事実なので信じて欲しいのだが…。
「本当かなぁ…束さん心当たりがありすぎるなぁ…まややんとかナターシャとかの視線が怪しいんだよねぇ…。」
「ちょっと待て。あの二人は先生だぞ?そんなわけが…。」
「蜂くんだけだよ?そう思ってるのは。まぁその際は恋人全員で審問会を開くので。他の女の子に目移りしないように一杯君を愛さなくちゃ♪」
「絡める腕のちからが強いんですけど…?」
耳元で囁いた。
「蜂くん?ウサギは寂しくても弱らないそうだけど…」
「お前はウサギじゃないだろ…。」
「わたしはウサギじゃないから”待て”されちゃうと…我慢できなくなって…襲っちゃうよ♥」
耳元でいつまでも聞いていたい束の甘い声が脳に響く。
あれ、話が通じてない?
これは…ヤバイかもしれない。
◆ 《メリュジーヌとのデート》
「やっと僕の出番だねマスター。待ちくたびれちゃったよ。」
廊下で待っていたのはメリュ子だ。
「いやいや…すまん。それじゃ行くか。何処に行きたいんだ?」
「うんそうだね…それなら茶道部に行きたい。」
「茶道部?渋いな。」
メリュ子の手を引いて茶道部がある教室まで歩くと目的の場所へ到着した。
教室に入ろうとすると着物を来た女子生徒がこちらを発見し声を掛けてきた。
「はーい。いらっしゃい。おお!蜂也くんにその相棒のメリュちゃんじゃない。」
うん。やはりIS学園にいる女子生徒はどれも美人だ。
着物を着こなすメガネを掛けた美人な先輩の誘導で茶道部へ誘導される。
室内に入ると教室は畳が敷き詰められい草のいい匂いと抹茶の匂いが広がっている。
(しっかし設備整いすぎだよなぁ…。)
茶道部の部室にちゃんとお茶を起てる道具も完備されている。
世界中からIS学園に入学を希望するのも何となく分かった気がした。
「それじゃぁこちらに正座でどうぞ。」
靴を脱いで指定された場所へ正座をする。がメリュ子は正座が出来ないのかぺたり、と女の子座りをしている。
「うちはあんまり作法に五月蝿くないから気軽に楽しんでちょうだいね?」
そういって部長は俺たちの前に茶菓子を寄越す。
それを受け取って一口味わうと上品な和三盆の甘さが口の中に広がる。
「うん。旨いなこれは…ってどうしたんだ?」
隣をふと見るとメリュ子が何やら難しい顔を浮かべている。
「こ、これはどうやって食べたらいいんだろうか…。」
メリュ子が受け取った和菓子が龍の形をしておりなかなかに愛嬌のある形をしており受け渡された茶菓子をじぃーと見ている。
まるで茶菓子がメリュ子を見つめているような錯覚すら覚え龍が「我輩を食べよ!」とか「情けを…情けを…!」「フェイタリティ…」と言っているように聞こえるのか動けないでいる。
うん最後のは違うな?
ともかく、メリュ子の反応を見る限りでは後者な気がするが…。
「メリュ子。」
「ん、な、なんだい?」
「食べないと抹茶飲めないぞ。」
「うぐっ……」
俺に促されて意を決してメリュ子は一口で龍の茶菓子を頬張る。
…なるほど、自分モチーフの龍に歯形を付けたくないから一口で食べたのか。
「あむ…んぐ…。うんやっぱり和菓子は美味しいね。」
先程までの葛藤は何処へ…と言うくらいにしっかりとお茶菓子を堪能したようで満足した顔をしていた。
「どうぞ。」
お茶菓子に口を付けた俺たちの前に点ててくれたお抹茶が差し出される。
「お手前いただきます。」
一礼してから茶碗を取り、二回回してから口を付ける。
口の中に抹茶の苦味が広がり茶菓子の和三盆の甘さが流されていく。
しっかりと点てられた抹茶はだまること無くスッキリとした喉越しは心地よく俺とメリュ子はほっ、と一息吐いた。
「「結構なお手前で。」」
お決まりの台詞を二人で締めて一礼する。
本来ならお茶碗を褒める所なんだろうがそこまで本格的な茶道ではなく『お抹茶をいただく』というというのが重点を置かれている様だ。
「良かったらまたきてねー。」
最後に俺たちは部長に見送られ茶道教室から退出する。
「結構良かったな。」
「うん。出来れば着物が着れれば良かったんだけどね。」
と言われ脳内で着物を着るメリュ子の姿が思い浮かび「似合うな…」と想像する。
「確かに…興味深いな。」
「見てみたい?」
小悪魔な表情を浮かべるメリュ子。
うん。確かに黒銀の艶やかな髪色に整った顔立ちで着物を着れば非常に良く似合うだろう。
それに胸も控えめだしな。脱がしたときにめっちゃ興奮する…いてっ…脇腹を掴むな。
「もう…マスターのえっち♥新年の時に見せて上げるよ。」
こうしてメリュ子との休憩時間兼デートが終了した。
◆ 《刀奈とのデート》
「じゃんじゃじゃーん!楯無おねーさんの登場です。」
ラストは刀奈。
メイド服ではなく二年生の刀奈のカスタムされた制服を着用している。
「それで?何処に行こうか?」
「そうね…あ、そうだ蜂也くん。お姉さんのお願い少し聞いてくれるかな?」
「お願い?」
刀奈が俺の腕を取って近づいてきた。お願いとは一体?
「蜂也くんってとっても女の子顔よね?」
うん。
「とっても髪が更々だよね?」
両親ともに癖っ毛なんだが俺だけはサラサラなんだよな…ちなみにアホ毛は親父で黒髪の艶々したのは母親譲りだ。
「意外に線が細いわよね?」
達也叔父さんや親父みたく俺はあんなにガチガチなボクサースタイルな体格をしていない。…ん?
「これを着て生徒会の出し物に参加してくれないかしら?」
そういって掲げられたモノに俺は目をひん剥いた。
「なんでやねん!」
思わず関西弁が出てしまった。回りにいた通行人に怪訝な表情を浮かべられて声をひそめる。
「まぁまぁそう言わずに。君のクラスの出し物を手伝って上げたんだから生徒会の出し物に協力してよ。」
「疑問系じゃないんですが。」
「うん決定だし。」
次のその一言で俺は逃げられなくなった。
「わたし会長、君副生徒会長。おk?」
「それを言ったら逃げられないじゃねーか!…して本心は?」
「君の……○○○姿が見てみたいから。それに?わたしは君のクラスの出し物を手伝ってデートが最後なんだからこのくらいお願いしてもバチは当たらないわよね?」
こうして俺は刀奈に連れられて生徒会が主催する全員参加型の演劇”シンデレラ”に参加させられる羽目になってしまった。
デートとは一体…というか俺原作に巻き込まれたなこれ。
そんなことを思いつつ俺は連行されていくのだった。
(ええと…俺って何処に向かってるんだっけか…。)
学校内でターゲットと接触するために動くが仕掛けに翻弄され。
(オータムからの連絡がない…何をしている。)
時間が経っても作戦の成否がいつまで経っても来ないので制服に変装したなぞの少女がフランクフルトを頬張りながら待機し。
(オータムからの定時報告がないわね…何をしているのかしらあの二人は…。)
その二人からの報告がいつまで経っても来ないことに少し苛立っていた。
完全に蜂也と束の魔法と技術に翻弄されていた。
山田先生をヒロインに追加…?
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して欲しい
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しなくても良い