本編と関わらない…かな、という感じなので名前とかを深く追求しないでもらえると助かります。
それでは本編どうぞ!
一週間が経過した。
【キャノンボール・ファスト】当日は秋空の快晴で大会日和だろう。
特設会場は超満員で秋空には花火が上がっている。
既に国家代表たちのレースは終了し大歓声の中白熱した試合は終了している。
結果として一位は日本代表の千冬、二位はイタリアのアリーシャがワンツーフィニッシュで制し一位になった千冬は世界王者の地位を守護したことになる。
ちなみに国家代表枠で参加した刀奈は5位入賞という結果で終わった辺りで蜂也へ「悔しい~!」と愚痴をこぼしていた。
千冬が一着でゴールしたその様子を一夏が生徒観客席から関係者とともに歓声を上げて大喜びしていたのは記憶に新しい。
そして場所は変わってIS学園一年生の控え室にて。
蜂也達は着替えを終えて女子達に呼ばれ開始までの時間を女子控え室で過ごすことになるのだが…。
(書籍とかアニメでは他の国家代表の名前を聞いたりその姿を見たこと無かったけど本当にいたんだな。)
各国家のそうそうたるメンツが勢揃いしていたからだ。
一年生の関係であればまずは日本代表の織斑千冬、中国代表の
それぞれの国家代表は後輩たる一年女子に応援や渇を入れに来ていたのだが…。
「あ、二人とも応援しに来てくれたんだね~ありがとう~。」
特にフランス国家代表であるレティシアは”歌姫”であり”ISの操縦者”…という二足のわらじを履いているのにも関わらずいつもニコニコしておりその雰囲気は”近所に住んでいる少し年上の優しい距離の近いお姉さん”といった感じか。
しかし、その実力は操縦技術、射撃、近接格闘に関しては千冬も「あいつは強い」と認めるほどの実力者である。
試合会場や競技でまるで舞い踊り敵を屠ることから『
「ちょ、レティシアさん近いです…。」
「レティシアさん苦しいですっ。」
豊満なバストが二人の顔に当たりむにゅり、と形を変えているがお構いなしに。
「えー?久々に弟分と妹分に会ったんだからハグしたって良いじゃない。それにお姉さんにも分けてくれたってバチは当たらないわよ?あ、そうだわ。蜂也くんが設計してくれた【コスモス】、気に入ったよ!」
「ぶはっ…お気に召したのなら…よかったです。(ち、窒息する…)」
デュノア社の傑作機である【ラファール・リヴァイブ】、そのマイナーチェンジ機である【ラファール・ストライク】、そしてその系譜である第三世代機体である【コスモス】、そのカスタム機である【コスモス・ヴォールファング】がデュノア社からレティシアへ貸与されたわけだが彼女の状況把握能力は凄まじく相性がよく【フォームチェンジシステム】で国内外の試合で無双しているそうだ。
現国家代表からそういわれれば性能もお墨付き、というわけだ。
「今度フランスでライブがあるから二人とも来てね?プレミアムチケット送るから!」
レティシア含む国家代表は自国の国家代表候補生に絡んでいる光景が見られたという。
二年生と三年生の試合はこちらも終わり最後は一年生グループ、専用機持ちと訓練機に分かれてレースが始まる。
「一年の専用機持ちのレースに乱入してくるとか…関わる身になった以上に来ないでくれ!ってなるんだよなぁ…。」
「大丈夫。束さんに任せなさい!」
「大丈夫よ蜂也くん。こっちの事は博士と私に…まぁその杞憂が外れてくれるとお姉さんはとーってもありがたいけど。」
そう言って束は胸を張るとブルん…!揺れ動き視線がそちらに誘導されるが頭を振って気を取り直す。
扇子を広げた刀奈にジト目で見られたが仕方がないことだった。
「束や刀奈に限ってはそんなこと無いと思うけど…気をつけろよ?相手は束の裏を掻いたりする曲者たちだしな。それにあの黒式の存在も気になる。」
『僕も…あの機体と一戦交えることになったら完膚なきまで叩き壊すよ。』
(程程にな…ISを壊されると束が悲しむからコアはやめてやれ。)
(はぁ~い。しかしあの黒式のパイロットって何者なんだろうね?)
そう問いかけられても蜂也は答えを用意していないので返せなかった。
◆ ◆ ◆
ついに一年生の順番が回ってきた。
先に専用機持ちのグループが競技を行う。
真耶が一年生の専用機持ちを誘導する。
「皆さん!準備は良いですか?スタート位置に移動します。ついてきてください。」
専用機持ちが真耶からの誘導を受けて大会会場へ足を踏み入れると国家代表達のよりは歓声は小さくなるがそれでも耳をおおいたくなるほどの大音響が耳に到達する。
蜂也達はISを展開しスタート地点へ移動する。
アナウンスが会場に流れる。
『それでは只今よりIS学園一年、専用機所有者の特別レースを開始いたします。』
電光掲示板には『Ready』の文字にカウント示す三つの信号機が表示されて『発進待機』が表記される。
それぞれが機体に搭載された高速機動対応のハイパーセンサーを展開するとカウントが進む。
観客が息を飲む中シグナルランプが赤、赤…緑、『GO!』のシグナルが表示された。
大音量でブザーが鳴り響くと同時にISに装備された増設のブースターの爆音が響いたり科学燃料ロケットが点火した際の爆発音が響き専用機持ちのレースが開始された。
『マスター行くよ!』
「ああ!」
【メリュジーヌ】の装備された背面のウイングバインダーが赤色の粒子を撒き散らし他の専用機持ちを差し置いて突貫する。
一瞬にして景色が変化し第一コーナーを越えて先頭を蜂也が制してそれに連なるように列を作りレース盤面を作る。
先頭は蜂也、セシリア、一夏、箒、シャル、マドカ、ラウラ、鈴、クロエ、簪の順番だ。
「先頭は頂きますわ!」
先を走る蜂也を抜こうと加速を仕掛けるセシリアは機体のスラスターを吹かしつつてに持ったライフルで攻撃を仕掛けるがバレルロールで回避しそれを見た後続組が抜き去ろうとするが蜂也は爆発的な加速を掛けてさらに赤い粒子が舞い散って差を広げていく。
「嘘でしょ…あの状態で加速を!?」
「回避されたっ!?」
「くっ…流石は名護…相手にするのは厄介だな…!」
「やっぱり蜂也と【メリュジーヌ】は厄介…!」
鈴、セシリア、ラウラ、簪がそれぞれに反応を見せる、がただで置いていかれないのは彼女達が国家代表候補生たる所以だろう。
「先には行かせないぜ蜂也っ!」
「先には行かせぬ!」
「駄目だよ織斑くんに箒…敵は一人じゃないんだよ?」
「なっ…?!」
「くぅシャルロットめ…!」
一夏と箒が蜂也を追い越そうと大型のウイングスラスターを吹かし加速を決めていたがそれを利用する形でスリップストリームを利用し二人の前に出る。
個人間秘匿通信にてシャルロットの声が聞こえた蜂也が背面をハイパーセンサー越しに確認すると牽制用のアサルトカノンをばら蒔いて妨害したのか箒と一夏を抜いてこちらに向かってきているのが分かった。
「ごめんねセシリア。これも勝負だから…さっ!」
「くぅ…はっ、しまった…!」
「二人とも戯れててくれ…お先にっ!」
「行かせないよ蜂也っ!」
二人を抜いたシャルがセシリアに向けてアサルトライフルの一斉射が襲いかかるが巧みに回避をする…が高速状態での被弾は大きく体勢を崩してしまいメインのコースから少し離れてしまう。
セシリアを退けたシャルロットは先行する蜂也の機体をロックオンしコールした『
『メリュ子、迎撃任せたぞ。』
『了解、僕もせっかくマスターから磨いてもらったツルツルのお肌を汚されたくないから…頑張っちゃうぞ!』
蜂也とメリュ子は脳内で会話し蜂也は機体制御を行いメリュジーヌは装備を起動させる。
次の瞬間に迫っていた弾頭は全て”ビームの網によって撃墜された”
「えっ…そうかメリュ子の…やっぱりそれズルいよ蜂也!」
蜂也の周囲に砲台が浮かんでいるのを確認し一瞬呆けたシャルロットだったが恋人の機体性能を思い出して抗議するが意味の無いことだった。
蜂也が考案したのは操縦を全て蜂也が行い誘導端末の制御をISの人格であるメリュジーヌが担当し専任させることでそのパフォーマンスを高める『
「悪いが勝負事は結構真面目にやるんでね…例え相手が彼女でも容赦しない!メリュ子!」
『はいはい~無慈悲だけど…やっちゃえ!』
蜂也はウイングスラスターの展開装甲を全開にして旋風を巻き起こす。
後続するシャルロット達に対して『ドラグーン』で牽制し進路妨害を行った。
「うわっ!!」
「ちょ、容赦無さすぎじゃない?!」
妨害とトップスピードで先頭を突き進み後続は見えるが独占首位を保ったまま最終ラップのラストコーナーを曲がりきろうとしたその時だった。
蜂也に殺気が襲来した。
「……っやっぱり来たか!」
武装をコールしロングレンジライフルをラウラとマドカの直上へ向けて発射する。
次の瞬間に二人を撃ち抜こうとしたエネルギー弾が相殺されて機体が舞い降りた。
しかし、一機ではなく”複数の機体が舞い降りてきた”。
「やっぱり黒式…とゴーレムかよ!?」
舞い降りた乱入者…黒式は目元まで覆ったバイザーで口元までしか分からないがコース内部にいる専用機持ちを確認すると愉快そうに口元を歪め攻撃機械人形と共に攻撃を始めた。
◆ ◆ ◆
(やっぱり襲ってきた…といいたいところだが幾らなんでもゴーレムの数が多すぎる…!)
その数はざっと”三十”を越えていた。
(武装が変更されてやがる…これはゴーレムⅣか…?)
となればISの絶対防御が機能しなくなる量子ウイルスが発生しているかも知れない…束に通信しようにも妨害を受けているのか通信画面はノイズが走り【Not For Sound】になったままで砂嵐しか聞こえない。
観客席にゴーレム達が群がりISの絶対防御と同じシールドバリアと強固な走行に阻まれた物理シールドを紙屑のごとく破壊していく。
「(不味いな…このままだと観客が巻き込まれる…この数じゃ刀奈だけでは捌ききれない…!)…ちぃ!」
『マスター!来るよ!』
刀奈は別のゴーレムと戦闘しながら逃げ惑う観客を誘導している。
そちらに意識を向けていると機体から【ロックオン】を示すアラートが鳴り響き反射的にそこから移動するとそこを焼き払うように荷電粒子砲の射線が通りすぎていた。
「くっ…!?他の事を気にしている場合じゃないみたいだな…。」
二射目と同時に急接近してきた黒式は真っ黒な雪片に黒い零落白夜を発動し突撃してくる。
「蜂也さんっ!」
「セシリア!」
遠方にいたセシリアが蜂也に追い付き手に持ったレーザーライフルで牽制する。
「……!」
その攻撃を回避した黒式は身体を捻り接近を中断し後方へ待避し双方にらみあいの状態になった。
「俺たちで何とかするしかないな…。」
「ええ。ですがこの機体は…」
「みなまで言うなよ…実は織斑の兄妹、だったりしてな。」
「それは幾らなんでも冗談が過ぎますわよ…兄弟機?、でしょうか……来ますわっ!」
会話を割っては入るように荷電粒子の奔流が襲いかかり蜂也とセシリアは武器を構え突如として乱入した黒式と戦闘に突入した。
◆ ◆ ◆
「きゃぁぁぁっ!?」
観客の一人が悲鳴をあげる。
束の働きにより観客席に打ち込まれた荷電粒子砲の一撃は防がれたが会場を大きな揺れが襲い観客席は騒然、と恐怖が蔓延する。
警備員とスタッフが観客を誘導するが我先にと逃げ出す観客がいるのも当然であり「落ち着いてください!」との言葉を掛けるが聞き入れもせずに我先にと会場外へ向かう出入り口へ殺到する。
「きゃっ…!」
逃げ惑いすれ違う人の腕に当たってよろめいてスタンド席に倒れ込んでしまう。
立ち上がろうと椅子の縁に手を掛けて正面を見るとエネルギーバリア越しに異形の姿をした機械人形のモノアイが赤い髪の少女を見つめていた。
「………。」
「ひっ……!?」
次の瞬間に異形の豪腕に装備された射撃武装が会場の観客席を覆っていた強固な物理シールドは砕き腰が抜けて動けなくなってしまった赤い髪の少女へその異形な豪腕を振りかざした。
その豪腕が少女を肉塊へ変えた。
「え……?」
…と思われたがそうはならなかった。
「チョーっとおいたが過ぎるかもねー…貴女、大丈夫?」
「え、あ、は、はい…あ、危ない!」
「え?…おっと!?」
紫色のロングヘアーの美女が振りかざされた異形の豪腕を片手に持った可変銃剣型の『
「…!」
表情が分からないゴーレムは動揺しているように見えたがすぐさま目の前の驚異を感じとり再び豪腕を振り下ろす。
「遅いね。」
その瞬間に剣閃が煌めき豪腕が切り落とされて切断面から火花が舞い散ちる。
「…!」
直ぐ様ゴーレムは残った豪腕で襲いかかるがそれも吹き飛ばされてしまう。
ブレードではなく”片手に持った『
その光景を見て赤い髪の少女が驚きの声を漏らす。
「え…いつの間に武器を…?」
正に神業。
武装を一瞬で切り替えたのは彼女の得意技能である《
直ぐ様装備しているライフルでゴーレムの頭部とISコアのある胸部を撃ち抜いた。
「……!…!?」
ゴーレムは動作を停止し力無く後ろへ倒れ込み動かなくなって爆破したのだった。
驚異は消え去った。
とはいえまだシールドの外には同じ無人機が跋扈している。この場に留まるのは危険だ、と赤髪の少女は思ったが恐怖で動けなかったが身体が浮いて驚きの声を挙げる。
「へっ…う、うわっ、な、なにっ!?」
「もう大丈夫だよ…と言いたいところだけど
少女を腕に抱えてまるで向けられる日向のような温かい笑顔に同性でありながらドキドキする少女。
ふと思わず質問した。
「あのう…貴女は…?」
そう問いかけられて美女は普段通りに自己紹介した。
「私はレティシア・リューネハイム。フランスIS国家代表だよ。宜しくね?」
「わ、私は蘭…五反田蘭、です。」
「へぇ…蘭ちゃん…
「そ、そうですか…?」
「うん、ゴルコダみたいで。」
「…あんまり嬉しくないです。」
「ええぇ!?」
そんな少し気の抜けた会話をしながら二人は避難していた。
◆ ◆ ◆
荷電粒子の攻撃が蜂也達に襲いかかる。
「くっ…!」
「くぅ…あの機体…!」
今動けるのは蜂也とセシリアのみ。
他のメンバーや各国の代表は襲来したゴーレムを相手取っていてこちらにまでは手が回らないようだ。
黒い白式と対峙している蜂也は考え事をしていた。
「(学園祭の時に本当だとサイレント・ゼフィルスを纏ったマドカと戦ったセシリアが【
「そうですわね…わたくしの機体は装備がいつもと違いますので…それにあの機体は織斑さんの機体にそっくりですから…対IS用の装備の”あれ”を搭載してる可能性だってありますしその判断は妥当だと思いますわ…ですけど…。」
「ですけど?」
「学園祭の際に襲撃してきたアンノウン……会長含めた私たちが攻撃を与えられなかった強敵を…それもシャルロット達も援護を見込めない状況で貴方だけを一人戦わせることなどできません…と蜂也さんがわたくしに後ろに下がっていろ、と言われたなら反論して差し上げるつもりでしたが…杞憂でしたわね。」
この状況だと言うのにセシリアは愛らしくウインクをして張り詰めていた空気が少し変わった気がして蜂也は気合いを入れるために正面を見据えて深く息を吸って頷いた。
「分かった…でも出来るだけ接近戦闘は避けて援護射撃を頼むよ。」
「分かりましたわ。」
「…っ、早速なご挨拶だな…!いくぞセシリア。」
「畏まりましたわ!」
会話の最中だと言うのに目の前にいる黒式は左手の《雪羅》から射撃を行いダメージを与えようとしていたが蜂也が大剣の腹で防ぐ。
直ぐ様蜂也は機体を翻し黒式へ突っ込んでいきセシリアは言われた通りに後方支援に徹することに決め手にした大型BTライフル《ブルー・ピアス》のターゲットスコープを高感度センサーとリンクさせ黒式を視界を捉えたのだった。
◆ ◆ ◆
「何者で何処の誰かさんなんだお前は!」
速度が乗った攻撃を回避しきれない黒式は手に持った《雪片黒型》をノーマルの刀身で受け止める。
『やはりお前は
「…
動揺した瞬間に左手の黒雪羅が射撃モードに代わり荷電粒子が襲いかかる。
寸でのところで身を捩って回避しその勢いのまま相手を捉えて大剣を振りかぶるが相手の方が体勢を建て直すのが早いようで《黒片》の刀身部分が展開し漆黒の光の刃が展開され振り下ろされる。
「くっ…!」
《アギト》を構え防御の構えを取る蜂也だったがその切っ先が触れる前に大型BTライフルの攻撃がそれを吹き飛ばす。
「ナイスアシストだセシリア!」
『迫る攻撃はお任せを!蜂也さんは目の前の敵に集中してくださいっ!』
距離があって小さな対象物に狙撃を決められるのはセシリアの狙撃センスがあってこそだ。
蜂也は手にした《アギト》で斬りかかり《黒片》で受け止めるが質量差がある為黒式は吹き飛ばされる。
『……!』
蜂也は胴体に逆袈裟で切りかかるが防がれてしまう。
切り結び接触回線でその声を聞くことになり蜂也は聞き覚えはなかった。
『やはり貴様の力は危険だ…ここで排除するべきだな!』
「何を言っているのかよく分からないが…危険なのは理解した!」
そう言って蜂也は《アギト》を振るって弾き飛ばし直ぐ様分割し《
「ちぃっ!」
蜂也が気合いの入った左からの袈裟掛けを決めるが《黒片》に阻まれてしまう。
受け流され体勢を崩されそうになる蜂也は即座に《即時旋回加速》を決めて背後に回り込み《ニレンアギト》の横一文字と袈裟懸けを見舞う。
得意技である《バックアタック》だ。
しかし、左手のクローが展開し防がれてしまう。
(こいつ、強い…!…っ!?)
次の瞬間に黒式の背面ウイングバインダーの一部が飛び立つ。
直感的に悪い予感がしたセシリアは声を荒げて回避を指示した。
「…蜂也さんっ!そこから離れてくださいましっ!」
「…くっ!」
切り結んできた刀を振り払い蜂也は《後方瞬時加速》でその場から待避すると先程までいた場所に光条が通りすぎた。
飛んできた方向に視線を向けると黒式の周囲には小型砲台が浮遊している。
「セシリアや俺のISの装備と同じ誘導兵器…(やっぱりこのタイミングでセシリア強化か…。)」
「(誘導兵器…!イギリスから装備のデータを奪われたんですの…!?)…来ますわっ!」
再びその場から飛翔すると光条が襲いかかる。
ビームではなくレーザー兵器のようで威力は押さえられているようだがその誘導兵器の数は厄介なものだった。
しかし、それだけではなくもうひとつ厄介な問題が発生していた。
「(間違いない…!)レーザーが曲がる…!?」
「まさか…そんなっ!?
偏向射撃は蜂也だけでなくセシリアにもその牙を向いた。
攻撃を回避しながら《ニレンアギト》をガンモードへ変形させツインビームライフルに切替て距離を取りながら射撃を行うが黒式の左手に装備された《霞衣》によってエネルギー攻撃が無力化されてしまう。
「(マドカのイベントがキャンセルされてこいつが使うのか…!)くっ…!?やっぱり実体実弾で攻撃しないと意味ないか…上手い奴が一夏の機体を使うと厄介だな!」
『マスター!これじゃあ拉致が明かないよ!《ドラグーン》の制御権を僕に回して!』
(頼むぞ相棒!)
【メリュジーヌ】からドラグーンが飛び立ち縦横無尽に駆け巡るが最小の動きで回避し直撃をシールドで防ぐ、と言った堅実な戦い方をしている。
しかし、それは基本に忠実な動きと言うことになり蜂也に付け入る隙を与えることになる。
再びロングレンジライフルを斬撃モードの《アギト》に変更し黒式が展開した誘導兵器の偏向射撃の弾幕をウイングスラスターの大出力にものを言わせて突破しそのまま突き刺すように突貫する。
『バカめ…!』
抜けた先には瞬時加速を掛けた黒式の《黒片》が展開した零落白夜の切っ先が向けられていた。
しかし、そのまま刃先がめり込むように突進する。
『なんだと…!?』
しかし、刃先は蜂也を捉えることはできずに驚愕する黒式だったがそれは誤りだった。
直前で瞬時加速と即時旋回加速を掛けた【メリュジーヌ】、蜂也は手にしたバスターソードに赤い粒子を纏わせて
一気に振り下ろした。
「おおおおおっ!!」
その一撃は捉えた…とまでは行かず背面の大型ウイングスラスターの上部と誘導端末のプラットフォームを破壊するだけに至った。
「(浅い…!?)不味っ…!?」
次の瞬間に黒片から発生した《零落白夜》により咄嗟に防御した左手のラウンドシールドを木っ端微塵に砕け散らせた。
「うおっ!?」
勢いそのままに吹き飛び体勢を崩しきりもみ状態で地上に落ちていく蜂也に黒式の誘導端末兵器の《偏向射撃》が迫る。
『終わりだ、
「くっ…!?」
死の光条が蜂也と【メリュジーヌ】へ襲いかかった。
◆ ◆ ◆
「蜂也さんっ!」
激戦を繰り広げているのを確認したセシリアは手にした大型BTライフル《ブルー・ピアス》を構え狙撃しようとするがまだ展開している誘導端末がこちらに攻撃を仕掛けており回避で精一杯であった。
「(蜂也さんがピンチですのに何も出来ていない…そればかりか
その事に精神的に追い詰められるセシリアは目の前で起きている状況の変化に気がついていない。
それは視界を狭めてセシリアに冷静な判断を下すことが出来なくなっていた。
わたくしは…このまま指を咥えて見ているしか出来ないのですか…!?
『終わりだ、
「くっ…(次元魔法を使って回避するしかねぇ…あんまり手の内は見せたくなかったけど…)…なんだ!?」
向けられた攻撃に奥の手を使う覚悟を決めていた蜂也だったがセシリアの狙撃により踏み留まる。
「(セシリア!?…流石のスナイピング…だ)!!」
『その攻撃は通しませんわよ?』
あわや撃墜の危機に瀕したがアシストをうけて回避し墜落している状態から復帰し黒式へ飛翔する。
しかし、向こうの攻撃可能な端末が【メリュジーヌ】の多くないSEが削られていく。
蜂也の機体もSEが生産よりも消費の方が上回ってしまっている為《アギト》で防御しながら黒式へ向かい攻撃を仕掛ける。
『蜂也さんっ!』
「セシリアサンキュー!助かった。……任せろっ!」
『!?…お願いしますわっ』
蜂也とセシリアの視線がぶつかる。
同時に刃物がぶつかり結び会う度に火花が散る。
黒式の持つ近接ブレードと蜂也の持つ大剣では明らかな質量差があるためかまともに受けようとしていない。
明らかに圧されているのは黒式であり何度目かの切り結びの際は大きく体勢を崩していた。
『ぐっ…貴様ぁ!!』
「その仮面剥ぎ取って正体を見せてもらう!」
『その前に貴様を殺す!』
互いのSEは猛攻による猛攻で生産量より減少したSE、アラートがなっており止めを刺すために蜂也は《アギト》へ紅い粒子と纏わせ黒式は《黒片》の刃先がスライドし《零落白夜》が発生した。
一度、二度…と剣撃を繰り返し均衡を崩したのは黒式だった。
「不味っ…!」
バスターソードの脆い部分を切りつけられ切り裂かれてしまい武器としての機能を失ってしまう。
『終わりだ。』
再び《黒片》の漆黒の黒刃が禍々しい威圧感を放ちその切っ先を蜂也に押し込もうと突きつけようとしていた。
しかし、絶体絶命の中で諦めてはいなかった。
「忘れてねぇか?」
『なに?』
「ここにいるのは俺だけじゃないんだぜ。」
『…!?』
戦ってるのは”蜂也”だけではなく”セシリア”もいると言うことを。
セシリアの直線上で戦っていた蜂也はスラスターを絞り降下させることで迫っていた黒式とセシリアが直線で並ぶように仕向けていたのだ。
「狙い通りですわね…わたくしにも”切り札”がありましてよ!喰らいなさい…【ティアーズ・フルバースト】!!」
次の瞬間に”閉じられていた筈”の砲口からの一斉射撃、【ティアーズ・フルバースト】を行った。
本来の仕様にはない使い方のため”空中分解”する恐れがあるため開発陣からの使用を厳禁されていた解禁したのだ。
距離にして十メートルもないこの距離では回避することは不可能だった。
『ぐぅぅぅぅ…!この尻軽がぁ!!』
「きゃああっ!…ライフルが…!」
迫り来るレーザー射撃を手にした《黒片》で《零落白夜》を展開しながら掻き消すが全てを消すことは出来ずにダメージを与え止めに《ブルー・ピアス》の攻撃により体勢が崩れる。
反撃を受けて攻撃端末のレーザーによってセシリアのライフルが破壊されてしまう。
隙を逃さずに蜂也はバスターソードを構え突貫する。
しかし、手負いの獣ほど危険なものはいない。
黒式が瞬時加速を仕掛け蜂也に《零落白夜》の一撃を浴びせようと行動したのだ。
その反撃速度は蜂也が《アギト》以外の武装をコールするより早いものだった。
「これは不味いっ…」
思わず呟く蜂也、この一撃を喰らえば機体は停止して絶対防御を貫通しその刃は自分の命を奪いかねない。
一方で無理な使い方を行い機体が分解しかけ失速し落ちていく。
アラートがけたたましく鳴り響いて危機に瀕しながらもそれを離れていく視界に納めることしか出来ないセシリア。
「そ、そんなっ……あぐっ!!」
黒式の攻撃端末は有効であり放たれたレーザーによってセシリアの機体の腕パーツを破損、それにより二の腕を負傷した悲鳴をあげる。
攻撃のオプションは既に無かったが無意識で無事な方の腕を向けて左手でピストルの形を作る。
「(このままでは蜂也さんが傷ついてしまう…そんなのは嫌ですわ…!!)…お願い、ブルー・ティアーズ…。」
次の瞬間にセシリアの意識が切り替わった。
◆ ◆ ◆
(ここは…?それに先ほどまで私はあの黒いISと戦っていた筈では…?)
そう思ったセシリアだったが身に付けているのは普段IS学園で自分が着用している制服でありISスーツではない。
そして景色は大会会場のアリーナではなく暖かい日差しが降り注ぐ何処かの屋敷の大きな木が植えられた一角だった。
(何故でしょう…とても懐かしい気がしますの…。)
セシリアはその光景を何処かで見た気がしたが思い出せずに頭を抱えていると気がついたときには木の前に身なりの良い金髪の少女が木に向かって手を伸ばしていた。
「貴女…何処から、そしてここは一体…って貴女は…!?」
その少女に問いかけると振り返るとその少女は”自分自身”の幼い頃にそっくりだった。
戸惑うセシリアだったがその少女が口を開く。
「ねぇ、貴女はどうしてブルーティアーズに乗ったの?」
「!…それは……それより貴女は一体何者なのですか?」
「どうして?」
その少女は”それ以外の事は答えない”と言わんばかりでありセシリアを見つめるサファイアの瞳が射貫いた。
「わたくしが…《ブルー・ティアーズ》に乗ったのはお父様とお母様の大切な思い出を守るため…。」
「それもあるけど…最近思ったことがあったでしょ?」
「最近…《ブルー・ティアーズ》に乗る決意…。」
その事を考え瞳を閉じる。
セシリアの脳内に浮かぶは一人の少年の微笑み顔。
最愛の人物であり強がる自分の弱いところを纏めて包み込む父性を持つ少年。
彼の力になりたい、彼を守り守られたい、愛したいし愛される女になりたい。
そして何よりも”彼と家族になりたい”という強い意思。
その事がセシリアの脳内に浮かんだ瞬間に世界に、心の中に雫が落ちて波紋が広がる。
『思い出したね。』
(ああ。そうでしたの…簡単なことでしたわ貴女の正体それは…。)
『また会えると良いね。”セシリア”頑張ってね。今の貴方なら出来るよ。』
少女の声が木霊しセシリアは微笑を浮かべその事を自覚しセシリアの意識は外へ弾かれる。
目の前には黒いIS。
ケガを負ってISの操縦者生命維持装置が働いて痛覚は遮断しているものの不快感は拭えない。
自分がその黒いISに左手をピストルの形にしていることを自覚したセシリアは”教わったこと”を実演した。
「バーン…。」
「!?」
次の瞬間に再び一斉射撃した”4本のレーザー”が軌道を変えて黒式の背面へ降り注ぐ。
『なんだと…!?ぐぅぅぅっ…!?』
突如の攻撃に驚き背面のウイングスラスターの片翼が完全に破壊され体勢を崩す黒式。
しかしそれはセシリアにも言えることで無茶な射撃を行った事と機体を維持するためのエネルギーと攻撃に転換したことで推進力が失われたことで機体はその姿を維持できずフレームが崩壊しそしてセシリア自体が空中に投げ出されてしまった。
腕の痛みと慣れない【
「セシリアありがとうな…。」
「ふふっ…当然ですわ…わたくしは蜂也さん…恋人、なのですから。」
それだけ呟いて気絶してしまい命の危機に瀕していたセシリアを抱き今度は落ちていく黒式を見つめるとゴーレムの包囲網から抜け出してきた一夏達が駆けつけるのに気がついた。
『……。……!……っ。』
数的に不利だと判断した黒式は誰かと連絡を取っているようで残存するゴーレム部隊を引き連れ戦闘空域から離脱、駆けつけた国家代表達から逃げおうせて残骸となったゴーレムをリモート操作したのか動かし爆破し目眩ましに使用した。
「…。ちっ、逃げられたか。」
煙が晴れた頃には”彼女”らは海の彼方へと消えていた。
結果としてセシリアが【偏向射撃《フレキシブル》】を習得し【キャノンボール・ファスト】での事件は幕を閉じた。
ちょくちょく日刊ランキング乗ってるの嬉しい…。
感想&活動報告、評価していただけると執筆の励みになります。
山田先生をヒロインに追加…?
-
して欲しい
-
しなくても良い