次でR-18回…
「やっほー、蜂也くん、織斑くん。」
セシリアの機体を改装修繕した翌日。
俺は通常通り学業に勤しんでいると二時限目に現れたのは二年生の黛先輩だった。
「どうしました?」
俺が代わりに答えると先輩は俺たちの前で手を合わせていた。
「いやー、ちょっと話があってね?」
「頼み?俺と織斑にですか?」
「うん。そう。私の姉って出版社で働いているんだけど…男性専用機持ちの二人とその恋人たちの特集を独占させて貰いたい、って思ってね?はい、これ雑誌。」
そう言って取り出したのはティーンエイジャー向けの雑誌。
俺はこういったのを全く見ないので何が何だかさっぱりだが。
隣にいる一夏を見ると俺と同じようで珍しいものを見る目だった。
一夏が声を挙げる。
「えーと…この雑誌とISって関係なくないですか?」
「あ、織斑くんってこう言う仕事は初めて?蜂也くんは?」
「俺は一応デュノア社の広報ですからね…そう言ったのに何度か出させて貰ったことがありますけど。」
織斑が不思議そうな顔をしていたので黛先輩がなぜ関係があるのかを説明していた。
その話を聞いて織斑が俺に「そうなのか?」と視線を向けるが肩を竦める。
俺は開発者と操縦者でありアイドルや俳優ではないので極力こう言ったものに参加はしたくないのだが…そもそも俺においての問題点があった。
「雑誌の特集…ってことですけど俺の場合デュノア社の広報に許可を取って貰わないと…」
「あっ…ど、どうしよう…な、何とかならない…かな?」
黛先輩が思い出したかのように此方をすがるような視線を向けるが…。
「本社に聞いてみないと何とも…。」
「お願い蜂也くんっ。」
そう頼み込まれ俺は断りづらくなってしまった。
「…分かりました。聞いてみますが…其れにインタビュー、って話でしたが俺たちは一体誰を連れていけばいいんですか?」
「あ、俺も其れを思った。」
「あ、其れなんだけど…」
その言葉の続きを言おうとした瞬間に乱入者が現れた
「蜂也「蜂也さん!?「は、蜂也くん「蜂也くん?「ハチくん?「「「「「ちょっと」」」」」「待った!」「お待ちになって!」「ちょっと待って…!」「待ちなさい!」「待つべきだよね?」
「うおっ!?」
一組のドアを蹴破る…勢いでフランス、イギリス、日本の姉妹、天才科学者が乱入し同時に一夏のほうもポニテ剣術小町、チャイナ元気っ子、少しずれてるジャーマン、銀髪不思議っ子、実姉(妹)がエントリー…って実姉は不味いだろ…。
「「「「一夏!」」」」「一夏様?」
「うわっ!?」
俺たちは取り囲まれるように包囲されてしまった。
「な、なんでシャル達が…?」
その表情に戦々恐々した。何故か。
「聞いたよ?雑誌で”恋人”と一緒に取材を受けるって。」
にこやかであるが目が笑っていないシャル。
「なんでも其れは日本での独占だとか?」
ほほほ…と上品に笑うセシリア…こっちも目が笑ってないんだが?
「わ、私なら特にそういった雑誌契約してないから直ぐに…出れるよ?」
上目使いに此方をチラチラ見る簪、卑しい…。
「あら?其れを言ったら私は国家代表だからそういうインタビューにうってつけよ?」
手の扇子を広げ『適材適所!』と表示しドヤる刀奈。ウザいけど…可愛いなおい。
「ちっちっちー…其れを言ったら束さんISの産みの親だから今まで不明だったことも話しちゃうから増刊号の特大付録で重版決定しちゃうなー?」
「えへん!」と言わんばかりの笑みと何時ものようにアリススタイルの服装で胸を張るとバルン!と効果音が聞こえそうな程豊満なバストが揺れて得意そうな表情を浮かべる束。
…いや、お前がそんなのに出たら業界大騒動の大変なことになるから辞めてくれ。
俺はシャル達に囲まれ織斑が篠ノ之達に「誰を選ぶんだ?」と問い詰められている誰が言ったか。
「全員で取材を受ければいいんじゃないか?」
とその鶴の一声で落ち着きを取り戻したかに見えたが黛先輩が非常に申し訳なさそうに告げた。
「そ、その事なんだけど…ご、ごめんっ。ひ、ひじょーに魅力的なんだけど…予算とかの都合で出来れば1ペアずつでお願いしますっ」
「「「「「「「「「「えっ…?」」」」」」」」」」
十名+一名の「えっ」という輪唱に時が止まったのかと錯覚するほどの静かさ。
しかし、次第に目に見えない熱意が溢れ出す。
「みんな仲良しで恋人だと思うけど譲れないなぁ…。」
「おほほ…これはわたくしも譲れませんわ。」
「わ、わたしも…譲りたくない。」
「あら?こう言うときの勝負事はお姉さん、強いわよ?」
「あははは…。束さん皆には言ってなかったけど独占欲強いんだぁ…」
「わたしも…姉さんと同じく独占欲が強くてな…。」
「やるなら買ってあげるわよ?その勝負…。」
「ドイツ軍人は狼狽えない…。」
「一夏様とのツーショット…一夏様とのツーショット…」
「一夏は私のものだ…誰にも渡さん。」
「(目が笑ってねぇ…!?)(目がマジなんだけどぉ!?…ってマドカ、お前は違うだろ!)」
目の前にいる恋人たちに戦々恐々として今にも最終決戦の火蓋が切られそうになったその瞬間に全員の頭に衝撃が降り注いだ。
「「「「「「「「「「!?!?!?」」」」」」」」」」
驚くシャル達と俺らは後ろを振り返ると其処には不機嫌そうな表情を浮かべる織斑教諭、そして苦笑いを浮かべる山田教諭の姿が。
「研究室に引きこもってると思えば…年下の男子高校生にがっつきおって…盛りのついた兎かお前は。」
「失礼な!兎はいつでもハチくんの子供を孕む準備万端の発情、あいったぁ!?」
再び出席簿アタックを喰らって頭を押さえて踞る束。
其れを一瞥した教諭がじろり、と視線を向ければ蜘蛛の子を散らすようにそれぞれの教室や座席に戻っていく。
「あ、この話は放課後に…またね蜂也くん、織斑くんっ」
「思春期の少年少女のまえでなに言っとるんだお前は…!ほら、お前達もさっさと教室に戻って席に着け!」
そう言って黛先輩も刀奈と一緒に逃げるように二学年の教室に戻っていった。
…後が怖いんですけど?
◆ ◆ ◆
「で、蜂也は誰と一緒にインタビューに出たいの?」
「出たいの?…ってそりゃ全員と出来れば出たいけど黛先輩も言ってたじゃないか。”全員は出れないから1ペアずつ”だって。そもそも俺たち勝手に外部の取材を」
「あ、広報に確認したけど大丈夫だって。」
「さいですか…。」
いつのまにか本社に確認してたのね…手が早いなおい!
俺がシャルからの質問にそのまま言われたことで返答するとシャル、セシリア、簪、刀奈、束、メリュ子がそれぞれに部分展開して武装を取り出し一触即発の雰囲気…ってまてや。なんでメリュ子までいるんだよ。
「だって僕は君の相棒なんだぜ?其れを差し置くなんてヒドイなぁ?」
言う前に言いたいことが伝わったらしく得意気にこっちを見てくる。
どや顔うぜぇ…でも可愛いから許す。
とは言ったものの一触即発の状態は解決しておらずこのままでは一組を中心として戦争が起こってしまう。
武力による解決、言葉での和解が無理ならば日本古来から伝われている”あの方法”で決着をつけるべきだ、と俺の脳裏に天啓的にひらめいた。
「みんな…”あれ”で決着をつけよう。」
俺が切り出し動作を見せると全員が落ち着きを取り戻し武装を仕舞う。
全員が円陣を組んで不敵な笑みを浮かべている。
「じゃあ、一回勝負ね。」
シャルの一言に全員が利き手を構える。
勝負をつける、となれば平和的に解決するのはこれしかない。
「「「「「「最初はグー!!!!!!」」」」」」
掛け声を合わせ全員が拳を【グー】にした。
「「「「「「ジャンケン!!!!!!」」」」」」
一瞬の刹那、出した形で勝負が決まるその形は相対する同じ立場の恋人がどれを出してくるのか複雑に考察し出力する準備をする。
「「「「「「ぽんっ!!!!!!」」」」」」
次の瞬間、差し出された勝負の形が勝敗を決した。
◆ ◆ ◆
「えへへ♪」
「楽しそうだなシャルロット。」
「其れを言ったら箒もでしょ?」
「っ、ま、まぁな…。」
「ほら箒。笑わないとせっかくの可愛い顔が台無しになっちゃうよ。」
「ひゃ、ひゃるろっと…!ぷはっ…何をするんだっ」
取材を受ける出版社へ向かう道すがら結局取材を受けることになったのは日本古来からの決着方法”ジャンケン”によって決まり勝者はシャルだった。
一方で織斑の方も同じ考えに至ったらしく勝利したのは篠ノ之だった。
奇しくもある意味で俺たちが最初に好きになった女の子達と雑誌取材を受けることになった。
楽しそうに雑談するシャル達を見ているとシャルが篠ノ之のほっぺをむにむにと摘まんでいる光景が目に入る。
その光景に俺たち彼氏組はほっこりした顔を浮かべる。
「楽しそうで何よりだな。」
「ああ。でも…鈴達の”ご機嫌取り”が怖い…。」
「確かにな。」
結局だがシャルが俺と取材を受けることになってハブれてしまった恋人たちは当然だが拗ねてしまったので後で”ご機嫌取り”をしなくてはならないので少々気が重いがここは男としての甲斐性を見せないといけない。
それは織斑も同じことを思っているようでげんなりしているが諦めの表情ではない。
「それより織斑は篠ノ之の服装を誉めたのか?」
「褒めたよ…やっぱり箒って美人で…俺の彼女なんだよなぁ…って思うと…誇らしいわ。」
「そっか…(原作とは解離しすぎて誰だお前、ってなるけど…この二人がイチャついてる…エモし。)」
自分の彼女を見て誇らしげにする織斑。
今日の箒の衣装は原作でも見た黒のミニスカートに白のブラウス、アウターに薄手の蒲公英色のパーカーを羽織り年頃の少女らしいガーリーな格好をしている。
「それを言ったらやっぱりデュノアさんは遠目で見ても美人だよなぁ…まぁ箒に比べたら俺の彼女の方が可愛いけど」
ドヤる織斑。
「うぜぇ…確かに篠ノ之は俺の彼女に負けずとも劣らないと思うが人種が違うしな。見る人の捉え方だろ。」
そんなシャルロットはそんなシャルロットの服装は七分丈の薄いライムグリーンのブラウスにシックな色のホットパンツのしたにはカラータイツを着用しスニーカーを着用しこちらもガーリー…というか活発的な雰囲気を与えていた。
わいわいやいやい、と男二人で言い合っていると彼女二人が気がついてこっちに振り向く。
「蜂也っ何してるの?約束の時間に遅れちゃうよ!」
「一夏っ!か、彼女を放って何をしているっ。早く来いっ。」
「…いくか、お呼びだぞ。…今行くよシャル!」
「…そうだな。ああ。箒、今行くっ!」
俺たち二人で目の前で待っている彼女達に掛けよって雑誌社のあるビルへ向かうために改札を通る。
俺とシャル、織斑と箒は前者が普段通りに手を繋ぎ、後者は辿々しく恥ずかしそうに手を伸ばし繋いでいた。
◆ ◆ ◆
「どうぞようこそいらっしゃいました。私は雑誌『インフィニット。ストライプス』の副編集長の黛渚子よ。よろしくねお二組さん達。今日は宜しくね。
「名護蜂也です。本日は宜しくお願いします。」
「シャルロット・デュノアです。宜しくお願いします。」
「あ、どうも。織斑一夏です。」
「し、篠ノ之箒です。宜しくお願いします。」
雑誌社の受け付けに進みアポイントメントを確認し編集社があるフロアに案内され応接室に通された俺たちは座りの良いソファーに腰を掛けているとメガネを掛けたお姉さん、といった女性が現れる。
確かに黛先輩にそっくりだな。
俺たちは雑誌取材になれてはいるが織斑と篠ノ之は緊張しているようで少し固い。
「それじゃあ取材の部屋に移動しましょうか?」
立ち上がり黛さんに誘導され白の壁紙で覆われたトマトを半分に切ったような特異な形をしたソファーが二つ、対面に一つ用意されておりここに座ってインタビューを受けるのだろう。
「えーとそれじゃあインタビューから始めましょう。どちらか先に…って経験的には名護くんとデュノアさんの二人が経験あるから先にやってもらいましょうか?そっちの方が織斑さんと篠ノ之さんもきがらくでしょうしね?」
そう告げて先にインタビューを受けるのは俺とシャル。
ソファーに腰かけるように座り小さなテーブルにはストローが刺さった水が入ったペットボトルがおかれている。
そんなことを確認していると黛さんも腰かけ胸ポケットからペンタイプの少し太めのボイスレコーダー取り出してくるり、と回して見せる。
彼女の格好はモノトーンのチェックスーツにシンプルな淡いブルーのカラーワイシャツにタイトスカート、といった出来るオフィスレディーといった感じの見た目で実際に仕事が出来るからこそ副編集長なのだろう。
タイトスカートから覗くタイツに覆われた長い脚がすらり、としていて様になっている。
レコーダーのスイッチが押されてインタビューが始まった。
「それじゃあ…まず質問。名護くんは日本人だけどフランス国籍になった理由…教えてくれる?」
いきなりそれかよ…と思ったが噂で俺が日本国籍でないことに疑問を持っているのが結構いる、というのを聞いたことがある。
正直に…とは言えないだろう、俺は本来ならばこの世界にいない異邦人で魔法師なのだから。
「いきなりですか…そうですね…」
ここで俺は予め社長と打ち合わせしている内容を伝えた。
「実は俺、捨て子なんですよ。」
「えっ?そ、そうなんだ…」
心配そうな表情をしているのは記事に出来るか?とその事をしゃべって大丈夫なの?という二つの意味だろうが俺は構わず告げた。
「ああ。心配しないでください。物心ついたときにはデュノア社の社長に拾われててシャルロットとは兄妹同然に育ってますしそれに社長や夫人には良くさせて貰ってるので気にしてないです。」
「そ、そうなんだ…でも名前は日本人のものよね?」
「ええ。なんでも社長が拾った際に俺の名前がゆりかごに書いてあったらしいのでそのまま名付けた、ってことらしいですけどね。」
「そ、そうなんだ…うーんゴメンね名護くん。聞いておいてなんだけどこれはちょっと記事には…」
「ああ。別に良いですよ。そちらに任せます。」
まぁぶっちゃけ嘘なんだが。
「そ、そっか…それじゃあ名護くんISが動かせるようになって女子高に入学することになったけどどうだった?」
「そうですね…最初は視線が凄い突き刺さってましたけど私がシャルロットと恋仲だったのもあってあんまり気にならなかったですね。あと学食がレストランぐらい美味しくてビックリしました。あと男子が私と織斑と用務員さんが数名いるぐらいなので使えるトイレが少なくて困ってます。」
俺がそういうと黛さんの後ろにいる織斑がうんうん、と頷いている。
その事を告げると黛さんは笑い声を上げた。
「ぷっ、あはははっ!妹の言ってた通りね。なるほどー最初からデュノアさんとは”そういう関係”だったから他の女子からの熱視線は気にしなかったと。いやはや一途な天性のハーレム王ね名護くんは。」
「一途でハーレムって…それもう言葉として成立してないですよね?」
雑誌記者としてそれはどうなのだ?
「細かいことは気にしない。でもそんな名護くんは大切なある意味での幼馴染みのデュノアさんの他にも恋人がいるんでしょ?そこのところ貴女はどうかな?」
マイクを向けられるシャルは柔和な笑みを浮かべ答えた。
「そうですね…今じゃ私の他にイギリスの代表候補生に日本の候補生、それにロシアの国家代表にISの産みの親と聞いただけで卒倒しそうな美少女に美女ばかりでしたけど…。」
「でしたけど?」
「最初に蜂也から告白されてお付き合いをはじめたのはわたし、ですから。」
自信たっぷりに言い放つそれは凄かった。
なにかこう…いいようの無いオーラが出てた。
「おおう…とてつもないのろけを聞かされてる気がするけど…でもどうなのかしら?恋人が一夫多妻制が認められてる唯二の男の子だけど…そこのところはどうなのかな?」
「そうですね…蜂也に惹かれるのは当然なのかな、と思います。抽象的ですけど暖かいですから。」
満面の笑みを浮かべ言い切るシャルロット。
質問は俺へ飛んできた。
「成る程…これだと名護くんの恋人はまだまだ増えそう、ってことね~。それじゃあこんな質問をしてみましょうか。名護くんはこんな可愛い子に思われてるけど今ここにない恋人さん達がピンチに陥ったとき、一人しか救えない、となったときどうする?」
意地の悪い質問だ、と思った。
だがその質問は言うのは易し、実行するのは難しの局地だが…俺にはそれを実行できる”力”があるのだから。
「俺には勿体ない全員良い子だと思ってます…こんな不埒な男を慕って愛してくれてる彼女達を全員救います。俺が死んでもです。」
「蜂也…。」
少しキザな台詞だっただろうか?
「流石は”可愛い顔してるのに行動が男前な男の子”なだけはあるわね。言葉だけじゃない意思をその一端を感じることが出来たわ。」
初めて聞いたぞ。
「うん。それじゃ名護くんとデュノアさんはISどっちが強いのか?ってことなんだけど…。」
その質問に顔を見合わせてシャルが頷いた。
「あ、自分ですね。」
俺が即答する。
「あ、そうなのねやっぱりいっぱい彼女がいる男の子は誰よりも強くなきゃダメ、ってことね。」
黛さんの言葉にシャルが頷く。
実際に模擬戦闘で俺の方が勝ち越ししている。
「流石はヒーローね。強くてかっこいい男の子は女の子全員ときめいちゃうわよ?」
「ははは…。」
「でも大変ね。こんなの間近で見ちゃったら女子高生は脳焼かれちゃうんじゃない?ライバルが増えちゃうわよデュノアさん。」
「蜂也に惹かれるのは良いですけど…その輪に入りたい、って言うのなら私と束博士(相棒のメリュ子)以外にも仲良くしてくれないとダメですね?」
満面の笑みで言い切るシャル。
「こ、怖いわねそれ…名護くんの恋人になりたいのならその二人を突破しないと行けないわね…うーん無理!」
その返答に戦々恐々…のポーズを見せる黛さんに笑みを浮かべる俺たち二人。
「それじゃあ名護くん、雑誌にこのインタビューが載ると思うんだけどなにか一言…そうね”恋人に言いたい台詞”をデュノアさんに向けて言うような台詞をお願いっ」
「えっ、無茶振りですね。」
「大丈夫!…それじゃ行くわよ?3、2、1…キュウ」
ゴーサインを出され咄嗟にシャルの顔をみる。
思い付いた言葉…というか常日頃から思っていることを口にだした。
「…じいさんとお婆さんになっても一緒にいてください。」
「は、はい……///」
「はーいオッケー!…ってそれってプロポーズなのでは?」
「…やっぱやめませんこれ?」
顔を真っ赤にするシャル。
やっべぇ…!すっげぇ黒歴史だろこれ。
「おお…ちょっとキュンと来ちゃったわ…良いわね!」
俺は思わず黒歴史を産み出してしまったことに後悔しながらインタビューが終了した。
◆ ◆ ◆
織斑達のインタビューも終わって次は写真撮影になるために更衣室で別れ用意されていた衣装を確認し目を疑った。
なんでこれがここにあるんだ?…しかしあれだな。一夏の場合は待機状態がガントレットだからあまり目立たないが俺のIS待機状態は”拳銃”なので指摘されそうだが…手放すわけにも行かずホルスターをつけたまま上着をハンガーに掛け衣装に袖を通す…いつも着ていた服装だから新鮮味がないが。
「蜂也の格好ってあれだな」
「あれって?」
「刑事ドラマに出てくる刑事みたいでかっこいいな。」
「そうか?それ言うなら一夏も似合ってるぞ?ホストみたいで」
「…なんかチャラついてるみたいで嫌だな。」
失礼な…ホストの人たちだって全員が全員お前の思ってるような人間じゃないぞ?ある種のサービス業だから奉仕の精神がないとやってられない超ストイック職業だぞ。
「蜂也はハーレーとかに乗ってショットガンとか撃ってそう。」
何処のあぶ○い刑事だそれは俺はた○ひろしじゃないだが?
すぐに出ようとした俺たちだったがメイクを施されたりして少し遅くなったがそれを終えて写真撮影するスタジオへ入ると俺たちは恋人たちの姿心奪われたりぎょっとした。
「なんでその格好…?」
「……おお…おお?」
シャルは白を基調としたタイトなノースリーブのワンピースに緑と白のラインが入ったジャケット?を羽織っており半透明のカーティガンは秋桜の花が描かれておりピッタリだった。
…シャルが魔法科にいたらエリカ姉さんみたいに人気出そうだな。
一方で篠ノ之は普段の様子からは想像できないガーリッシュな格好で胸の開いたブラウスにアウターのデニムジャケットとミニのスカートに膝上のブーツ、と非常に似合っている。
ちなみにだが俺たちの格好は俺が学生服…なのだが白を基調とし各所に薄緑色が使われたブレザーにその下のワイシャツはダークグレーで下は同じくダークグレーのスラックス…と完全に魔法第一高校の制服だ。
一夏はライトブラウンのスーツ上下になぜかボタンを2個上開けている藍色のワイシャツに黒のベストを着用しており俺たちの格好をみた黛さんは称賛していた。
…正直俺のは真新しくもない。
「因みになんで俺の格好とシャルのが似たような衣装なんでしょうか?」
「へ?ああ。それね。制服デザインの新規案件があってね?それを貴方達に着て貰おうって。いやーしかしだけどなんか初めて着たって感じがしないのはどうしてかしらね?」
そりゃそこに通ってる一生徒だからな…とは言えずに苦笑し頷いているとシャルが近づいて小声で話しかけて来る。
「ねぇ蜂也。」
「ん?」
「この衣装って…」
シャルも気がついたらしく俺は素直に答えた。
「まさかの俺の母校の制服…どうしてだ?」
驚くシャルだったがすぐに苦笑に変わった。
「あはは…でもIS学園の制服と違ってなんだか新鮮…でもけっこうタイトで動きにくい…かと思ったけどそうでもないね。ちょっと胸とお尻が窮屈かもだけど…。」
そういって回ってみせるシャル。
薄い秋桜柄のカーディガンふわり、と揺れる。
同世代の女子に比べるとやはり一部が”大きい”ので少しこう張ってる感じになるのでエロい…と思っていると胸の位置に腕をクロスしてガードされ囁かれた。
「エッチな目になってるよ蜂也…。」
「ゴメン、なんか新鮮でさ。」
「もう…。」
そんな雑談をしていると写真撮影の準備が終わったのでブースに入り写真を撮る。
最初は俺たちでありカメラマンに指示されポーズを撮っていく。
「じゃあ魔王さまのポーズで!」
どんなポーズだよ。と思いながら脳内に父親の姿を浮かべて装着していたホルスターから待機状態の拳銃…CADを取りだし無造作に構えた。
それで大丈夫だったらしく「いいねぇ~!」と言われながら写真を撮られた。本当にこれでいいのか?
「じゃあお二人さん立ち上がって並んでちょうだい」
そういわれ座ったポーズの後にシャルと並んでいたのだがそのままでは芸がないと思った俺はシャルの手を握り腰に手を回す。
シャルはちょっとビックリしていたが俺の意図を汲み取ったのか手を握り俺の胸板に手を這わせ上目使いでみておりアメジストの綺麗な瞳が俺の視界に入る。
…やっぱり可愛いな俺の彼女」
「…もう///」
俺の考えが声に出ていたらしく頬を赤く染めて若干呆れられたが嬉しそうで良かった。
「お!いいわねぇ~絵になってるわよ~」
フラッシュが焚かれて俺は向こうの世界にシャルがいたのならどんな学生生活を送っていたのだろうか?と想像していた。
その後、「それだとコスプレっぽくなっちゃうからお色直ししましょうか?」と言われて更衣室に戻り再び用意された衣装を着用し写真撮影をした。
なんで用意したんだよ…!
結局俺も織斑と同じくスーツ(こっちは黒のカジュアル)でシャルロットの衣装は白の膝上のワンピースにペールブルーのカーディガンを羽織り良いところのお嬢さんといった様相で良く似合っていた。
着替え直した俺たちは再び写真を撮り雑誌社でのインタビューを終えた。
◆ ◆ ◆
「いやはや疲れた…肩が凝る。」
「あはは…苦手だよね蜂也。」
このような雑誌取材は苦手だ、というか写真があまり好きじゃない。
「でも着た衣装プレゼントは太っ腹だね。」
「ああ…取材料は恐らくデュノア社の方に入ってるけど俺たちの報酬は
「セシリア達には悪いけど…楽しみだね。」
「そうだな。でもそれだと少し不公平だからなにか考えておくよ。」
「…そうだね。それよりもさっき入ったお店のお寿司美味しかったなぁ…。」
「?…しかし本当に寿司屋…ってか回るチェーン店だったけど良かったのか?」
「わたしは蜂也と一緒に回るお寿司屋さんに行きたかったから良いんだよ?」
時刻は秋口というのもあって日が落ちるのも早く今から戻っても食堂が閉まっている可能性があったので外食をすることにしたのだがシャルが「回るお寿司屋さんに行ってみたい」と言ったので某チェーン店に入店し回る光景に喜ぶ恋人に可愛らしさに見とれてあんまり食べれなかったのはここだけの話。
店を出たときには夜の帳が落ち既に街頭が道を照らしている。
「そ、そっか…シャルも臆面無くそういうこと言うのは…ずるくね?」
「普段から蜂也にされてるからお・返・し、だよ?」
隣に並び微笑むシャルに俺は視線を逸らさざる得なかったの無性に恥ずかしかったからかもしれない。
「……。」
「……。」
IS学園へ乗り継ぐための駅へ向かう二人は無言、しかし嫌な無言ではなくそれを心地良い、と感じているのはきっとシャルも同じだろう。
言葉や合図を出したわけではないが歩道側を歩くシャルロットへ手を伸ばすと触れて握り返していた。
手全体に伝わる温もりは少し冷え始めた秋の夜には丁度良く気持ちが良い。
「…ねぇ、蜂也?」
「ん?」
駅までもう少し、と言うところでシャルロットが歩みを止めたので釣られてその場に立ち止まる蜂也。
後ろにいるシャルロットの表情は少し複雑なもので一言では表せない、強いて言うのなら「不満」といった方が適任だろうか?
「我が儘、かもしれないけど今日は…わたしの事だけ…考えていて欲しい、な…それに学園へ外泊届け出してるから…ね?その…」
「シャル…。」
恐らくは先程の会話が原因だろうと理解した頭を掻いた蜂也は次第にシャルロットのその表情に朱色が差し込まれて行くのを感じ取った蜂也は手を取る。
「え、は、蜂也?」
「今日俺がシャルを独り占めする。良いよな?」
「う、うん…///」
駅を目前にして進行方向を変える二人はそのまま別の場所へ向かった。
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