※この作品はR-18です。

魔法使いとブロンド美少女   作:萩月輝夜

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お久しぶりです…しかしあまり進まない…!
それとR-18シーンは次話数で投稿します(出来るといいな…)


複合兵装開発案(画竜点睛)

「そ、そういえば蜂也くんはペア…もう決めたの?」

 

「え?ペア……………?…………あ。」

 

セシリアの機体修復改修とシャルロットとの雑誌社でのインタビューを終えて一週間が経過していたがその日の昼食時に簪に言われたことが発端だった。

今日は珍しくセシリアとシャルが山田教諭に呼び出され不在、織斑も箒達と屋上に向かったのでどうしようか?としていたところに簪が「蜂也くん、い、一緒に食堂に行こう?」と誘われたのが原因だ。

少し緊張していたがこう、誘いに来てくれるのはこうなんだろうか?奥手な妹が大好きなお兄ちゃんのために勇気を振り絞って誘いに来てくれたようで嬉し…って簪は俺の恋人だったわ。

 

簪ってこう…”妹”って感じがして良いよな、と思うのは俺だけで良い。

 

そんなこんなで食堂にて今日のメニューは簪が新作のカレートマトうどん、ピリリとした辛みにトマトの酸味が加わり良い味を出しており出汁で炊かれたおにぎりと相性が抜群だ。

俺も簪と同じメニューを頼み追加の揚げたてのかしわ天を三つ目に手を付けようとしていたが真顔になり皿に戻す。

 

「やばっ…忘れてた。」

 

「い、忙しいのはわかるけど申し込みまであと数日しかないよ?」

 

「そうなんだよなぁ…」

 

ぶっちゃけると襲撃に《モノクローム・アバター》とあの黒式の操縦者…織斑壱香だったかが来る筈だし原作だと刀奈が重症を負うので俺は束と一緒に学園の防衛に当たった方が良いと思うんだよな。

正直原作と少しずつ解離してきている気がするので知識が当てにならない気がするが…。

そんなことを考えていると簪が此方を覗き込んでいることに気がついた。

 

「大丈夫?」

 

「…ああ。ゴメン少し考え事をな。」

 

「蜂也くん、もしかしてペアを組む相手ってもういたり…する?」

 

「へ?ああいやまだ声も掛けられてないけど…。」

 

「そ、そうなんだ…よかった…って違うの!蜂也くんにペアがいなくて良かったとかそんな意味じゃなくてえと…あの…。」

 

「いや大丈夫だから落ち着いて簪…。」

 

「う、うんありがとう…で、そ、それでね…」

 

顔を赤くして勇気を精一杯振り絞って告げてきた。

 

「わ、わたしとペア、組んで欲しい…の。わたしと…君と組み立てた…ISで一緒に戦いたい。シャルロットやセシリアにお姉ちゃんとは抜け駆けになっちゃうけど…。」

 

その姿はより健気で”妹”のように見えて可愛らしく見えてしまった…まぁ実際に簪は可愛いのだが。

そんな姿をみて断れるお兄ちゃんはいるか?否、いないだろう!となり俯く簪の頭に手を乗せて髪型が崩れないように撫でる。

 

「蜂也くん…?」

 

「まぁ早い者勝ちってことで…というか簪の機体と一緒に戦いたいしそんな顔した彼女のお願い断れないだろ?」

 

「うん…!ありがとう蜂也くん。」

 

そういってはにかむ簪の表情は本当に嬉しそうだった。

 

◆ ◆ ◆

 

「んじゃまぁ早速だけど機体の調整をしよう。俺と簪が組む、ってことはセシリアやシャル、刀奈が相手ってことになるってことだから準備を進めないと。」

 

「うん。そうだね」

 

場所は変わって第二整備室、ここには俺たち以外にもメンテナンスハンガーに実体化したISが懸架され関係者が忙しなく動き回り調整に熱が入っている。

 

「そ、そういえば大丈夫だった、の?」

 

大丈夫だったの?というのは恐らくシャル達の反応の事だろう。

 

「ああ。大丈夫だったよ。逆に「かかってきなさい」的な…。」

 

好戦的な恋人の一言に簪は戦々恐々としていたが負けず嫌いな性格も相まって臆することなくヤル気満々の簪だった。

 

「そ、そっか…頑張らないと、だね。」

 

「だな。」

 

空いている整備調整室のブースを確認しそちらに歩を進めるとここを利用しているのは上級生が多いようでその中に原作で見たことのある機体、そして知らない機体があった。

 

「あれは…?」

 

「あれは三年生のアメリカ候補生のダリル・ケイシー先輩の【ヘル・ハウンドVer2.5】…それに二年生、ギリシャ候補生のサファイア・フォルテ先輩の【コールド・ブラッド】、それにあそこにあるのは二年生のイギリスの候補生のサラ・ウェルキン先輩のあれは…最新機体の【ガラティーン】…!どれも現物は初めて見た…!」

 

いつもと違う様子で興奮している簪。

機体の近くにはダリルとサファイアが技師達と調整をしておりこっちには気がついていない。

あいつら…というかダリルが手を引いている可能性があるから不用意に仕掛けられないんだよな。

繋がっている、という確証がないので微妙なところなのだが。

ふと気になったことがあったので質問した。

 

「あれがそうなのか…ってサラ先輩って今まで【セイレーン】に乗ってたんだよな?いつの間に第三世代機に…」

 

「うん。なんでもセシリアの機体に搭載されてる【BTシステム】の簡易操作型の試作品が開発完了した、とかなんとかで適正のあったサラ先輩が選ばれたとかなんとか。搭載されたシステム的には第三世代機体みたい。今は実地試験中って感じかも…。」

 

恐らくは俺が技術提供したからからイギリスも頑張ったらしい。

サラ先輩の【ガラティーン】は【セイレーン】からデザインを引っ張ってきているようでその姿は洗練されていた。

その国の国家代表の機体に比べると大分シンプルな見た目であり【カリバーン】とは色味がシルバーグレーに橙色のラインが各所に走り纏められており腰のフレアスカートバインダーも相まって姫騎士といったような装いだ。

 

武装もメイン装備だろう大型直剣タイプの近接ブレードが一本、良く見てみると腰のフレアスカートバインダーはセシリアの【ストライクガンナー】装着時の小型BTが6つ付いているが銃口が付いておらず刃が付いているようで俺のISが装備している【ドラグーン】のような近接装備のようだ。

 

腰部には取り回しの良いショートエネルギーライフルと左腕にはラウンドシールドタイプの物理シールドが装備されており手堅い戦闘が出来そうだ。

並んだ機体を見ながら奥へ目をやると【ブルー・ティアーズSpecⅡ】が調整されているのが目に入りセシリアとイギリス所属の整備科の二年生と三年生と会話をしており俺と簪に気がついて挑戦的な笑み向けられ俺も向け返すと頷いて調整に戻っていった。

 

「まぁしっかり準備しとかないときついな…よし、付いてないな、早速やるか。」

 

「うん。おいで【打鉄弐式】」

 

空いている作業ブースに到着し盗聴機器や機体データの外部送信機器の取り付けがないことを確認し俺が頷くと簪が機体を展開、ハンガーに懸架する。

 

「そういや打鉄弐式って白式のデータも活用されてるんだっけか。」

 

「うん。背面のウイングスラスターはその影響だね。機動力的には負けてない。」

 

「面制圧のセシリア、汎用性のシャル、特殊性の楯無…簪の機体も火力が有るんだがミサイル打ち切ると貧弱だよな。」

 

「うん。ちょっと継続戦闘能力が寂しい…だから【城鉄(シロガネ)】の汎用バックパックが使えるように調整してるんだけど…」

 

そう、この世界の日本のISは第三世代機体が登場しており【城鉄】という名前の機体で【コスモス】と同じく背面のスラスターユニットに装備を装着するシステムを採用しており元あった【打鉄】の堅牢さに汎用性を持たせたのが【城鉄】という機体だ。

 

大分わが社の技術に脳を焼かれた…というか元ネタが日本なのだが俺が真っ先に採用したらしく逆転現象が起こっていた。

 

簪が手に持った換装装備一式を閲覧しているが微妙な顔をしている。

 

「【紫電】は汎用的すぎて微妙…【紅蓮】はエネルギーの消費が大きすぎるし【疾風】は近接戦に持ち込まないと厳しい…。」

 

因みにここで言ってる各種武装パッケージのことであり【紫電】は背面に機動性と速度向上のために推力増設ユニット組み込み型のコンデンサー&試作エネルギーライフル、収束エネルギーブレード、耐光物シールド、【紅蓮】は背面スラスターユニット装着型のガンランチャーユニット&サブコンデンサー直結式高エネルギーランチャー、【疾風】は試製エネルギー斬艦刀&耐光物小型シールド、背面スラスター装備の試製投擲型誘導兵器…の三つのことを指す。

 

しかし、それらの装備群はこれから戦う相手には不向きで力不足だ。

思い付いた言葉を呟いた。

 

「使うなら【紅蓮】なんだろうが…なんだったらもういっそのこと新しい換装装備作るか?」

 

「え?…その手があった。」

 

キョトンとしていたが度肝抜かれた、といった表情に変わる簪をみて思わず笑みがこぼれそうになるが思案する。

 

「(簪の機体開発元って倉持技研なんだよな…となると篝火博士が関わってる…ってあの人殆ど活躍してるの見たこと無い…って赤月事件とエクスカリバー事件に関わってたなそういえば…あの人の行動理由で束にギャフンといわせたい、って理由だっけか?となるとあんまり手の内を晒すのは良くない、か…だとしたら開発俺経由で情報抜かれないようにブラックボックス化して…束に協力してもらおう)それじゃ目的として新換装装備の開発とそれに合わせた機体の調整だな。」

 

「うん。でも良いの?それってデュノア社の技術じゃ…。」

 

「日本の装備技術をリユースするだけだから問題ない。実際に使うのは今ある換装装備データだしな。」

 

「そ、そう…ありがとう蜂也くん。」

 

顔を赤らめもじもじしている簪。

うん、可愛い…こういうところは妹ムーブは他の恋人にはない所だ。

 

「はっちー、かーんちゃーん~」

 

指針が決まり動き始めるとぺたぺた、と此方にゆっくりとした足音が近づいているこのような間延びするような声と動きをするのは一人しかいない。

 

「本音?」

 

「のほほんさん?」

 

「えへへ~お手伝いにきたよ~?」

 

明らかにサイズの合っていない萌え袖をひょい、ひょいと振り回し俺に当たる、痛い。が我関せずと普段通りにのほほんとしている。

 

「かーんちゃんの機体整備手伝ってあげるー。それにはっちーの機体も~」

 

簪の機体はともかく俺のは…と思ったが整備の腕は確かなので協力してもらうのは良いことなのかもしれない。

 

「俺の機体は大丈夫だから簪の機体調整を頼む」

 

「え~?はっちーの機体には触らせてくれないの~?」

 

ゆっくりと近づき【メリュ子】に近づいてペタペタと触る…って触ってるし。

残念そうにいうのほほんさんに申し訳なさそうな気になるが一応機密情報の塊みたいなものだし…と思った矢先だった。

 

『マスター』

 

(どうしたメリュ子?…ってお前なんか声震えてない?)

 

ハンガーに懸架されたメリュジーヌが

 

『そこにいるほわわんとしてる子…すごく危ない…絶対僕を整備させないでねっ』

 

本能的にのほほんさんに恐怖を覚えたのだろうか声が震えている。

 

「んー??」

 

「どうしたんだのほほんさん。」

 

「今、この子が怖がってるような感情が伝わってきたような~」

 

「え。」

 

「え、本音分かるの?」

 

「うん。なんだがわたしはっちーのISに嫌われるようなことしたかな~?」

 

しょんぼりしながらメリュ子を見るのほほんさんにいたたまれない気分になる俺と簪。

次の瞬間にブースが淡い光で照らされた。

 

「ほぇ?」

 

「め、メリュ子?」

 

「メリュちゃん?」

 

「はぁ…かわいい女の子にそんな顔をさせるのは正直僕の趣味じゃな、ってうわぁぁぁぁっ!?」

 

機体から具象化して人間体になったメリュ子が現れたのだがそれは突如として遮られた。

 

「あなたがめりゅめりゅ!?かわいい~!!」

 

おいどこの○○ロだよ?○イなの?といいたくなったがあれほど『僕は最強なんだぜ?フフン♪』と自信満々のメリュ子がのほほんさんが想像だにしない機敏さで確保されてなすがままにされている光景は脳がフリーズしていた。

 

「あ、ひょっとひょっぺたをムニムニするなぁ~!あ、ちょっとそこは触っちゃ…ひんっ!?」

 

「すごぉい!ISの人格があるっていうのは各国のIS研究で言われてたけど本当に存在したんだぁ!機械の時も格好よかったけど人の形…ほっぺたむにむに…お肌ももちもちで…ずっとさわっていられるよぉ~」

 

「ま、ますたぁ~……た、た…けて」

 

のほほんさんというまさかの天敵に遭遇してしまったメリュ子はあの自信満々の姿は見る影もなく某猫ミームのようなショボくれ具合だった。

 

「本音、メリュちゃん怖がってるからステイ」

 

「大丈夫かメリュ子?」

 

「ぐすっ…だ、大丈夫さ。ちょっとスキンシップが激しいだけさ…ひいっ!?」

 

「はぁ…はぁ…めりゅめりゅ~♥」

 

なんかもう…明らかなトラウマを植え付けられたのか俺の後ろに隠れるという始末…完全にメリュ子のほほんさんにトラウマ植え付けられたなこれ。

避けられたせいか少ししょんぼりするのほほんさんを見たメリュ子。

 

「き、君がISを愛しているのはよく伝わったよ」

 

「え、ほんとう~?じゃあもっと仲良くなっても良いよね?」

 

「本音、ほんとうにいい加減にしないと怒るよ?」

 

「うへ…ごめんなさいかんちゃん…それにめりゅめりゅも…嫌だったよね?」

 

簪に窘められてしょんぼりするのほほんさんを見かねたメリュ子が俺の後ろから恐る恐る出て目の前に立つ。

 

「いや、そうじゃない。ただ素直に好意とスキンシップに困惑しただけで…うわっ!」

 

「うん~!ありがとうめりゅめりゅ。仲良くしてくれるとうれしいなぁ~。」

 

そう言って再び抱きつくのほほんさんであったが先程のような執念深い?ハグでなく女子がスキンシップで抱きつくような感じになっていた。

 

…が。

 

「めりゅめりゅかわいいよぉ~。」

 

「だからそこを触るなぁ!…ひんっ!?」

 

再びメリュ子がのほほんさんに襲われて引き剥がす作業が始まっていた。

 

◆ ◆ ◆

 

俺、簪、のほほんさんの三名で集中して調整していると火器管制、制動システム、シールドエネルギー、新装備の互換性のチェックが殆ど終わってしまった。

やはりのほほんさんの整備技術が凄まじいのがあった。

普通にデュノア(ウチ)に引き入れたいぐらいだ。

 

「え~?わたしがデュノア社に?」

 

「どう?」

 

「う~ん…三食お昼寝週休三日なら考えてあげるよ~。」

 

「はっはっは、その程度の労働環境など俺に掛かれば造作もないぞ?それだったらウチに将来嫁に来る筈の簪と一緒にウチに来るか?」

 

「お、お嫁さん…///」

 

「あれ~?わたし惚気をきかされてるかな~?」

 

「と、まぁ冗談はさておいてのほほんさんがウチに就職したいなら歓迎だ。デュノア社には日本支部もあるしそっちに勤めてもらうってのあるから実家から通えるぞ?」

 

「え、ほんとう?…かんちゃんがお嫁さんに行っちゃうならわたしもついていっちゃおうかな~。」

 

「本音っ」

 

「かんちゃん顔真っ赤だぁ~…およ、はっち~この設計図は?」

 

そんな冗談を言いながら休憩をしていると俺の近くにある

 

「ああ。デュノア社のフォームチェンジシステムのコンペで弾かれた機体の装備だよ…そのままだとつけられないけど少し調整してやれば付けられる。どうだ?」

 

「…うん、すごいよ蜂也くん…この装備なら火力不足、速度、継戦能力も上がるし打鉄弐式(この子)の長所も伸ばせるこの装備…画期的だよ。」

 

「やっぱりはっちーってアハトの主任研究者だったんだ…こりゃーすごい。」

 

二人から誉められて妙にむず痒くなるがおべっかではなく心からの発言だと理解した俺は得も言われない「まぁね」とだけ短く答えたにとどまった。

 

とりあえずこの日は打鉄弐式の調整を終えて寮の部屋に戻った。

 

◆ ◆ ◆

 

「やっぱり初期フォームで敵を倒すのは…燃える。」

 

「だよな。最近だと俺○イバー好きなんだけど。」

 

「穴におとされた時もうだめかと思ったけどまさか友達を得たプリミティブが助けてくれるとは」

 

「だよな…簪は?」

 

「わたしは○グゼイドが好き、OPのカットと一話の場面を回収するとは思わなかった。」

 

簪の機体を調整したのち俺、簪、のほほんさんの三人で夕食をとった後寮へ戻り一風呂浴びたあと簪が訪れ一緒に勝手に付けた大型モニターに特撮作品、某ライダーのアーカイブを映し鑑賞していたのだが…。

 

「簪?」

 

「どうしたの?」

 

「俺を背もたれにして膝の上に座ってるけど…座りづらくない?」

 

状況としてはベッドに設置したダメになるソファーに腰掛け胡座を掻く俺の膝に座り体を背もたれにして預けている簪の姿があり知らない人が見ればぎょっとしていることだろう。

 

「座りにくくないか?」と問いかけると簪は普段のように顔を赤らめて小さく答えた。

 

「蜂也くんの膝に座りたかったの…だ、め?…きゃっ///」

 

顔を隠しながら俺にすり寄る簪のその声と行動に思わず抱き締めてしまっていた。

 

「そんなこと言われたら彼氏としては断れないなぁ…いいよ。俺を座椅子扱いしてくださいな簪。」

 

簪とは普通にエッチなことをしたいと思うが今はただ抱き締めるだけでもその飢えた空白が満たされている気がするのは俺だけじゃなく抱き締められている簪もそうらしい。

 

「…///うん。この…まま抱き締めて一緒に…見よ?でもその前に…んっ…」

 

「欲張りさんだな。…んっ」

 

こちらに顔を向け唇を付き出すような素振りを見せる簪に答えるために口付けを交わす。

短いリップ音がテレビの音に掻き消されるが関係ない。

 

その日は眠るまで二人で特撮番組を見ながら話し合ってベッドに抱き合いながら眠りに着いたが次の日にのほほんさんへ口止め料としてお菓子の詰め合わせを送って事なきを得た。

 

意外に人がイチャついているときは割って入ってこないのがメリュ子である。

…そろそろメリュ子を目一杯可愛がってやらないと拗ねそうだな。

 

◆ ◆ ◆

 

休みを取った翌日。

のほほんさんが来る前に《次元魔法》に格納していたデュノア社【アハト】のチームに作って貰っていたデータを実体化させコンテナに置いていく。

 

「これが…新しい装備…でも早すぎると思うんだけど…?」

 

「ああ。実は夕食の前に会社のチーム依頼して作って貰ってたんだ。」

 

「いつの間に…って蜂也くんならなんでもありだね。」

 

クスり、と笑う簪を見ているとのほほんさんが遅れてゆっくり歩いてやって来た。

 

「お~はやいよ二人とも~ふわぁ…。」

 

「本音が遅すぎるの。」

 

「だって~今日は土曜日だよぉ~?…おお、これって昨日はっちーが提案していた装備?もうできたんだー。」

 

未だ眠いようで袖で顔を擦るのほほんさんだったがISの整備のマシンアームに挟み込まれた昨日までなかった装備があることに気がついて眠そうな表情ではなくなっていた。

 

「既製品のパーツを改造しただけだからそうでもないぞ?…っと早速だが組み込み作業と装備制御システムをBパターンに変更調整を頼むよ。」

 

「あいさ~はっちー。射撃兵装の高感度センサーリンクパターンは通常で?」

 

だぼだぼの袖で敬礼をするのほほんさん。

俺と簪は顔を見合わせて笑いながら作業に手を付け暫くすると新たな装備を得た新生【打鉄弐式】が完成した。

 

「できたね~!」

 

「うん…!」

 

「そうだな。」

 

「蜂也くん、メリュちゃん、本音。機体の試運転、手伝ってくれる?」

 

声を掛けられ具象化するメリュ子を含めて全員で頷いた。

 

「もちろん。」

 

「当然さ。」

 

「もっちろ~ん。」

 

「俺たち三人でコントロールルームで観測と演習機操作するから。」

 

「うん。」

 

◆ ◆ ◆

 

「簪、準備はいいか?」

 

『うん、大丈夫だよ。』

 

場所は変わって学園の第六アリーナのカタパルトデッキ。

セシリアの時と同じく簪は組上がった【打鉄弐式】を実体化させて装着、搭乗し普段のようにシステム、OSを立ち上げていく。

 

『パワーフロー正常、全兵装機体とのリンクを確認…シールドバリア、PIC制御、駆動各所、流体パルス・ハイドロ正常…システムオンライン』

 

簪の身体ごと機体が電磁カタパルトによって宙に浮かぶ。

俺は電磁力によって弾き出されるカタパルトの制御と発進を操作し指示を出した。

 

「射出推力正常、電磁力キャパシタ臨界確認…”九十八式・改”発進、どうぞ。」

 

『更識簪、【打鉄弐式・改】行きますっ…!…っ』

 

勢い良く弾き出された【打鉄弐式】、もとい生まれ変わった【打鉄弐式・改】がアリーナに舞い上がる。

 

『さぁ…【打鉄弐式・改】…わたしと蜂也くん…本音とメリュ子ちゃんとで組み立てたアナタの力、見せて…!』

 

背面の大型ウイングスラスターのバーニアと追加された小型ブースターが連動し火を吹いて大空へと舞い上がる。

数秒も掛からず中央管制塔の頂点部分に到達したのは背面スラスター追加された連続小型ブースターの推力の恩恵、そして消費のエネルギーも最少で済んでいるのは俺がこっそり仕込んだ小型コンデンサーが仕事をしている。

 

『凄い…今までのスラスターレスポンスが格段に上がってるし消費も少ない……其れにこの精密度合い…流石。』

 

「簪準備はいいか?新装備のテストを開始するぞ?」

 

「がんばってね。かんちゃん~」

 

俺は端末を操作しコアの無い”打鉄”を魔法とメリュ子の協力で操作する。

その総数はセシリアの時より多い”三十機”

ターゲットが多いのは簪の期待に搭載されているシステムが関係している。

 

「全兵装をグレードイエローで設定。機体レベルをプラクティスレベル最大に変更。簪、気を抜くとやられるぞ?」

 

『うん、今のわたしはと打鉄弐式・改(この子)は…一味違うよ』

 

スラスターを吹かし周囲を取り囲むの【打鉄】達はそれぞれに武装を展開し襲い掛かり無数の弾丸と斬撃を浴びせるために攻撃を仕掛けていく。

同じく演習機の機動プログラムは過去に《ヴァルキリー》と呼ばれていた選手達を参考にしているので気を抜けば直ぐにでも《活動限界(リミットダウン)》するだろう。

四方からの攻撃に曝される簪の《打鉄弐式》の対抗手段は中距離のミサイル・速射荷電粒子砲、そして追加された腰部短距離マシンキャノンのみ。

 

このままでは撃墜判定を食らってしまうことになる。

しかし、今の簪と【打鉄弐式・改】に隙はない。

 

「換装パッケージ【画竜点睛】…起動…っ!」

 

新規作成された複合増設パッケージ【画竜点睛】が起動した。

 

弾幕を掻い潜り振り下ろされた近接ブレードを即時旋回で回避して次の瞬間に背面のウイングスラスターに装備された追加パッケージが起動した。

量子化した試製エネルギーライフル(双天)・シールドを呼び出し振り下ろした打鉄に叩き込み撃墜し反対側から射撃を防ぎエネルギー弾を打ち込み連続で2機撃墜する。

 

接近する打鉄が近接ブレード()そ装備し接近戦を挑んでくるが対物シールドで受け流し素早く複合腰部サイドバインダーから収束エネルギーブレードの発振器を引き抜くと両断されて《打鉄》は落ちていく。

 

味方機がやられた演習機はタイミングを合わせて簪目掛け攻撃を行う。

 

「…当たって!」

 

攻撃を物理シールドで防いだ簪は手にしていた武装を腰部にマウント、シールドを縮小させ背面から身の丈ほどある砲身を取りだし薙ぎ払うように発射、次の瞬間に打鉄が防御の体勢を取るが吹き飛ばされてしまった。

取り囲もうとする《打鉄》が大型の物理シールドを装備、突撃を仕掛ける。

 

『そうは行かないよ…!』

 

その行動を確認した簪はエネルギーランチャー(空牙)を背面の格納をにフレキシブルアーム任せ手放し右手で背面ウェポンラックからエネルギー高速振動薙刀(夢幻)を引き抜き両手で構えスラスターを吹かす。

 

盾を構えた《打鉄》ごとバターのように両断され爆発する。

次の瞬間には2機目の機体も両断され防御を担うものが撃墜していた。

 

簪の目の前に残る機体数は”二十機”

 

『【マルチロックオンシステム】起動…!』

 

牽制しつつ距離を取り素早くシステムを立ち上げる。

背面のミサイルコンテナが起動し【山嵐】、そして追加された【画竜点睛】のパッケージであるミサイルコンテナに搭載されたマルチミサイルエネルギーランチャー、荷電粒子砲、マシンキャノン、手にしたエネルギーライフルが敵を捉えていく。

 

従来の【打鉄弐式・改】の火線は単純に倍加していた。

 

【打鉄弐式・改】は確かに高性能ではあるが十全に【マルチロックオンシステム】を使いこなせるのは高度でリアルタイムに変化する戦場を把握するのは情報処理能力の高い簪でなければこのシステムは無用の長物と化すだろう。

 

簪が投影キーボードのEnterキーを押したその瞬間。

 

数多の火線が火を吹き迫り来る無人機体を無慈悲に貫く。

貫かれた無人機体は糸を切られたマリオネットのように地面へ墜落していき大空に佇むのは簪の【打鉄弐式・改】だけだった。

 

◆ ◆ ◆

 

「お帰り簪」

 

「ただいま蜂也くんっ…!」

 

試運転で終了しピットに戻ってきた簪にカタパルトデッキで待っていた蜂也はISを解除した簪に近づかれ抱きつかれてしまい反射的に受け止めるとその勢いで倒れそうになるが踏み留まった。

鼻孔を簪の本人の匂いがついた。

 

「ご、ごめんなさいっ」

 

自分が大胆なことをしていることに気がついたのか顔を真っ赤にして恥ずかしそうに離れていたが蜂也的には名残惜しく声に出してしまった。

 

「もっとくっついてても良かったのに…簪の匂い俺は好きだからさ」

 

「ま、真顔でそんなこと言わないで…」

 

恥ずかしそうにする簪の姿を見て『もっと苛めたい』、『もっと恥ずかしがる姿を見たい』と思ってしまった。

が、今はメリュ子とのほほんさんがいるためその妄想は実行できなかった。

 

「おめでとうかんちゃん~すごかったよぉ!…ってなんで二人そんなにはなれてるのー?」

 

のほほんとした声がカタパルトデッキに響き二人は急いで離れたことで不思議そうに思う本音だったが近くにいたメリュ子が呆れたような表情を浮かべているのを見て苦笑いを浮かべるしかなかった。

 

それはそれとしてこうして対抗するための簪の新たなるISが完成した。

喜ぶのほほんさんを笑みをメリュ子も微笑を浮かべ蜂也と簪は見ていた。

 

◆ ◆ ◆

 

ISの試運転を終えて自室に戻ってきた蜂也の自室のドアがノックされた。

「誰だろう?」と思って扉を開くとそこには簪の姿があった。

 

「お、お邪魔しても良い?」

 

手には小さなバスケットが握られており甘い匂いが鼻をくすぐった。

 

「簪か。どうしたんだ…って随分美味しそうな匂いを漂わせて…って正体はそれね。」

 

その手に持っていたバスケットに掛けられた布を取ると出来立てのカップケーキが数個入っていたのがそのいい匂いの原因だった。

 

「う、うん!カップケーキ作ってきたんだ…その一緒に食べない?」

 

蜂也が時計を見ると時計の針は夜間の見回りの時間に達するまでには時間があった。

で、あるならばその誘いを断ることはなかった。

 

「ああ、御馳走になるよ。入ってくれ。ちょうど会社の方からいい茶葉が入ったんだ紅茶を淹れるよ」

 

そう言って簪を部屋へ招き入れベッドに座らせようとすると少し緊張しながら部屋の奥へ進み普段使っているベッドへ腰かけたのを見て入口付近に移動し台所で紅茶の準備をするべくお湯を沸かす。

その手慣れた手付きに思わず簪は見入ってしまっていた。

 

「………」

 

室内には時計の音と紅茶を淹れる為のヤカンに掛けられた水が沸騰しようとしている音が響いている。

日の前に立っているときに不意に後ろから衝撃が来た。

 

「簪…?」

 

「え、ええとあの…ね」

 

蜂也は困惑しながら後ろを振り向くと簪が背中に抱き着くように密着している。

先ほど迄座っていた簪だったが何かの衝動に突き動かされて蜂也に抱き着いてしまった簪は事情を説明しようと思ったが「作業している貴方が魅力的でつい抱き着いてしまった」と言うのは憚られたし恥ずかしかった簪は顔を真っ赤にして黙り込んでしまい動きを止めてしまったが抱き着く手は力強い。

 

「簪。」

 

「え…きゃっ…は、蜂也くん…?いつの間に正面に回って…?そ、そんなに強く抱き締めちゃ…ダメ、だよ?」

 

そう考えている背後を取っていた筈の蜂也が正面を向いて簪を抱き締めている状況になりその体は蜂也の腕のなかにすっぽりと埋まってしまっており逆に身動きが取れずにいる。

今簪が聞こえる音は蜂也の鼓動しか聞こえない。彼女にとっての精一杯の思いを口に出す。

 

「先に抱き着いてきたのはどこの誰かさんでしたっけ?簪?」

 

「う、うう…イジワル…で、でも私…今日迄いっぱい頑張ったと思う…ISも…カップケーキを作るのも…友達にお願い、するのも…」

 

そう言って上目使いで蜂也の顔を見ると優しげな表情で簪を見つめておりそれが潤む瞳に映し出す。

その色々な感情が彼女を動かし大胆な言葉を口からこぼした。

 

「だから…ご褒美に…蜂也くんに…いっぱい褒めて…欲しいなって…」

 

熱を帯びた視線と頬は紅潮しただただ上目使いの先にいる大好きな男の子にのみ注がれる。

少年は困ったような笑みを浮かべながら答えた。

 

「簪は本当に可愛いなぁ…全くもう…」

 

「んっ……///ちゅっ…」

 

次の瞬間に互い目蓋を閉じて少女の唇と少年の唇が重なり水が沸騰する音と環境音以外に濡れたリップ音が響き渡った。

 




やはり簪は羞恥プレイが似合うと思うんですよね?(唐突)皆さんはどうでしょうか。
簪みたいな女の子を恥ずかしがらせたいですよね…?

山田先生をヒロインに追加…?

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