簪の機体のバージョンアップが完了し準備が済んだ翌日。
当然ながら専用機タッグマッチトーナメントが開催された。
「それでは開会の挨拶を更識生徒会長からしていただきます。」
虚さんがそう告げて司会進行のマイクの位置から一歩下がった。
生徒会役員である俺とのほほんさんは後ろの役員位置で待機していた。
「ふぁぁぁ…」
隣に立つのほほんさんが大きな欠伸をすると壇上下にいる顔のキツい…と言うかどこかの教育ママのような見た目の教頭先生が此方へ目を光らせているのが見えたので耳打ちする。
「のほほんさんシャンとしてくれ…教頭がこっちめっちゃ見てるんだが…。」
「うぃ~~…でも~……眠いのははっちーのせいだよ?」
「…俺?」
どうして俺のせいなんだろう、と考えていると思わず吹き出しそうになった。
俺にだけ聞こえる蕩けそうな程甘いウィスパーボイスで囁いた。
「かんちゃんの朝帰り(ぼそっ)」
「…なにもやましいことはシテナイヨ?」
「わたしは”ナニ”も言ってないよぉ~?ナニを想像したのさはっちー。………エッチ。」
「ぐほっ……!?」
その眠そうに閉じた目蓋が薄目になったのをみて俺は唐突にボディブローを食らった感覚を覚え胃が痛くなる。
「やはりのほほんさんは強者…」と認識を改めた。
まぁ実際は二人で座って録画していた特撮番組を一気見していただけなんだが…。
が、訂正する時間もないのでそのままにしておこう。
「学食のパフェおごるから内密に…」
「うへへ~分かっていますなぁ…いいよ~?」
にぱり、と笑みを浮かべるのほほんさん。やっぱりマスコットのようで可愛い。
教頭がこちらを睨んできているのを視線で理解したので俺たちは会話をやめて刀奈の後ろ姿に集中する。
今日も彼女の後ろ姿も可愛い。
「おはようございます。生徒のみなさん。本日は企業や各国の代表候補生たちの専用機持ちのタッグトーナメントとなります。試合は生徒のみなさんにとって有意義な内容になるかと思いますのでしっかりと見ていて欲しいと思います」
淀みなくすらすらと澄んだ声の発声はいつまでも聞いていたいものだったがその生徒会長然とした声色から一転し普段の”更識楯無”になった。
手にした扇子を開く、その扇子に描かれたのは”博徒黙示録!”という文字が。
おい、どこの地下労働者だ。
「しか~し!今回参加できない生徒もいる、ということなので参加できない生徒さんの事も考え生徒会である催し物を考えました!名付けて『優勝ペア予想応援・食券争奪戦』!!」
壇上下にいる生徒たちの歓声が上がった。
その反応をみて同じく生徒会役員である織斑がツッコンだ。
其れには同意であるが俺は刀奈の味方なので…。
「…ってそれ賭け事じゃないですかっ!!」
「大丈夫よ織斑くん。」
「は?」
「根回しは俺と楯無会長で既に済んでいるぞ…ほらみろ教諭もノリノリだ。」
「へっ…!?」
楽しそうに笑みを浮かべる刀奈の言葉に俺が続くような言葉を続けると満足したような表情を浮かべているが一夏はガクリ、と肩を落としている。
実際に生徒たちは喜び教師陣は反対意見を出しているものはいない。
今日はいる織斑教諭も微笑みを見せている。
反対するのは無意味だと悟った織斑は口をつぐんだ。盛り上りを見せる生徒たちを静めるように刀奈が口を開くと大人しく静かになる。
「其では対戦表を発表します!」
そこの表示されたのはーー。
「げぇ…!?」「…ほう?(ここは”解離”無し、か…しかし相手は…そうなるか。)」
投影されたディスプレイには各試合の対戦表が映し出される。
その第一試合は。
『更識楯無&織斑一夏ペア 対 更識簪&名護蜂也ペア』、の文字が。
俺からしてみればペアがちょっと変わったかなぐらいだったがまさか織斑のペアが刀奈だとは思わなかったがな。
一夏的にはいつぞやのラウラ戦を思い出しているのだろうがそれは置いておくとして”この第一戦で襲撃を仕掛けてくるだろう”ということを想像した。
◆ ◆ ◆
案の定、というかその想像は直ぐ様現実となる。
俺が男子更衣室へ歩いていると大きな地鳴りと校舎全体を揺らすような振動が直撃したのだ。
その直前で黛先輩からインタビューを受けて分かれようとしていた一夏は先輩を抱き止め転ぶのを阻止していたが俺は走りだし端末を起動する。
「束、敵は?」
不承不承、と言わんばかりに言葉を絞り出す。
『感づくの早くない?ってそうじゃないよ…敵はあのゴーレムタイプ。どうもバージョンアップしてるっぽい。』
「遠隔から爆破できないか?」
『強力なプロテクトが掛けられてて操作系統に介入できない…!うきー!ムカつく~!!私の研究資材をパクリってさぁ~!!』
「どうどう…お前は生徒の避難誘導の補助と研究の機密保持頼む。別動隊がお前を狙ってるかもしれないしな。」
『うぅ…こんなに侵入されるなんて束さん自信無くしちゃいそう……』
普段の唯我独尊の声色は何処へやら、と言った感じであったが凹んでいるのは確かなのだろう元気がない。
…しかし、ここまで束の警戒を潜り抜けて派手にヤるとなると相手側に同レベルの研究者がいるのか…?と考えながら今はこの事態を収拾するために走る。
束が解除したゲートから侵入すると改造されたゴーレム…これはⅢにしておこう。
「コッチにまで侵入してきたか…」
ゴーレムⅢが此方に気がついて腕の荷電粒子砲の銃口を此方に向け光が収束する。其れは発射…せずに爆発する。
『僕がいるのにマスターを傷つけさせるわけないよね?身の程を知りなよ。劣化品。』
自動的に『メリュジーヌ』が武装展開し砲に対してビームスパイクを発射し爆発し身動きが取れなくなったその瞬間にドラグーンがゴーレムⅢの頭部と胴体を貫いた。
その声色は若干の怒りを帯びている。
「………!!?」
貫かれた其れは小さな爆発を起こして沈黙するが意に留めずにその横を駆け抜け俺は抉じ開けられた壁の亀裂を広げて飛び降り『メリュジーヌ』を展開した。
「簪の晴れ舞台を台無しにしやがって…其れに刀奈を怪我させやがった許さねぇからな…!!」
『そうだね…さっさと蹴散らしちゃおう。』
飛び降りたアリーナには専用機持ちとゴーレムⅢたちが戦いを繰り広げていた。
が、その数は原作よりも多い。
その総数は倍以上の”二十機”であり強化された原作メンバーであっても苦戦を強いられていた。
◆ ◆ ◆
「(ちっ…スコールめ疑われるのを案じてか此方にまで攻撃対象に選んでいやがるとは…面倒くせぇことしやがる…)フォルテ、右だ。」
アメリカの代表候補生でありながら【モノクローム・アバター】の一員であるダリル・ケイシーは愛機である【ヘルハウンドVer2.5】を展開しゴーレムⅢと対峙していた。
気だるげな雰囲気…と言うよりも面倒そうにしているダリルであったが余裕そうにゴーレムⅢが仕掛ける熱線とブレードの攻撃を回避パートナーへ指示を出すとそのパートナーが動き出す。
「あいよっス先輩!…と言うか先制攻撃は普通先輩からじゃないっスか?」
そう軽口を叩きながら攻撃を防御、回避し続けているのはギリシャの代表候補生二年生のフォルテ・サファイヤと言う少女だ。
「はん?バカ言えあたしは後輩の見せ場を作ってやろうとしてんだ。感謝しな?」
「其れパワハラって言うんスっよ」
『!!?』
お互いに軽口を叩きながらゴーレムⅢの熱線とブレード攻撃を回避、受け流し途中で弾いたり、止めてかち挙げ隙を作り押したりと…最小の動きで回避した二人の行動はまさに二人で一人…一つの生き物のように動き敵を翻弄する。
ダリルはスペックを知っているとは言え共に戦っているフォルテが合わせられるのは彼女の能力の高さを示しているだろう。
この二人、今までの学内タッグトーナメントで負け知らず『イージス』の二つ名を与えられた二人をバージョンアップした程度のゴーレムⅢでは止めることは出来ない。
『…!!!』
攻撃を続けるゴーレムがまるで焦りを見せるように攻撃の速度が上がり二人に直撃を食らわせはするのだがダメージが通らない。
「………(くいっ)」
「………(こくりっ)」
いい加減飽き飽きしてきた二人は言葉を交わさずにアイコンタクトで次にするべき行動を定める。
瞬時加速をしながらブレードによる突進をあたかも予測していたかのように左右へ別れ回避する二人。
前後に別れゴーレムを挟み込むような形になった、其れを逃す二人ではない。
次の瞬間。
ズドムッ!!!!
炎を纏った左足と氷を纏った右足がクロスするようにゴーレムの胴体へ直撃し凄まじい破裂音が響き渡り胴体を真っ二つい蹴り飛ばした。
「うわっ!ばっちぃッスね!!」
「あーあ。機体が汚れちまったよ…(まぁ所詮はこんなもんか…俺一人でも十分だったが…)」
破裂すると同時にゴーレムの駆動部分のオイルが漏れ出たのだろう二人の機体の一部を汚しそれぞれの反応を見せるこんな非常事態の中で二人は平常運行であった。
◆ ◆ ◆
本来とは想定していない形でのタッグマッチになった蜂也と簪は凄まじい連携を見せていた。
「おおっ!!」
【
切断された断面は赤熱化しており膨大な熱量で両断されたことを示し生き物であればその光景に驚き二の足…撤退するだろうが迫り来る敵は”無人機”、感情など有りはせずにただ与えられた”名護蜂也とその関係者を殺せ”と言う命令に忠実な
『……!!』
切断された前にいたゴーレムの下半身を吹き飛ばし迫り振り抜いて無防備なった蜂也を殴り飛ばそうとその豪腕が迫るが背面からの攻撃によって中断をせざるを得ない状態に陥った。
「敵は蜂也くんだけじゃないよ…!!」
ゴーレムの背面ユニットが高性能炸薬が充填されたマルチクラスターミサイルによって被弾し推力の低下は免れず”意識を簪に向ける”と言う失態を犯してしまう。
「よそ見は厳禁だっ!!」
『!?!?』
次の瞬間、ゴーレムはコアごと胴体を巨大な杭で貫かれ吹き飛び爆発する。
【メリュジーヌ】の左腕には【
「簪っ!」
「蜂也くんっ!!」
息つく暇もなく互いに名前を呼びあって駆け出し場所を入れ換えてクロスし背後から迫っていたゴーレムⅢとそれぞれと対峙して無力化する。
蜂也の【メリュジーヌ】は手にした【
「遅い…っ!」
対する簪は手にした薙刀でゴーレムをいなして突き飛ばしミサイルを近接発動するように”その場”でプログラミングして発射、武装を吹き飛ばしたあとに荷電粒子砲を接射し破壊する。
「簪行けるか?」
「…勿論!」
隣に移動してきていた蜂也の声を聞いた簪が振り返る。
「「「「「………!!!!」」」」」
5機のゴーレムⅢたちが自分達目掛け熱線を撃っていることに気がついて怯む仕草を見せるが思い直す。
(今の私は一人じゃない…!蜂也くんが…私の大好きな
熱線の一身に受け防御している蜂也。
その光景を見て自分が今やるべきことを自覚すると簪の右手の薬指についたリングの装飾がキラリ、と輝いた。
常人では考えられない速度で投影型のコンソールを立ち上げキーを叩く。
(【画竜点睛】及び【マルチロックオンシステム】起動………!!)
格納された【パッケージ】が装着されると同時に装備群が立ち上がりスラスターに併設された大型ミサイルと増設されたマイクロミサイルユニットのハッチが順次展開されてミサイルが装填され準備される。
(…………!!)
熱を発する攻撃によってミサイルの照準が狂わさせるが今の簪にはその調整は朝飯前であり難しいことではない。
一機、また一機…と次々に投影されたロックオンサイトに捉えられて行く光景が簪の赤紫の瞳に映し出す。
背面のミサイルコンテナが起動し【山嵐】、そして追加された【画竜点睛】のパッケージであるミサイルコンテナに搭載されたマルチミサイル、そしてエネルギーランチャー、荷電粒子砲、マシンキャノン、手にしたエネルギーライフルが敵を捉えていく。
ついに其れは最後のゴーレムⅢを捉えた。
「
簪が投影キーボードのEnterキーを押したその瞬間。
数多の火線が火を吹き迫り来る無人機体を無慈悲に貫く。
反撃は許されず無数のミサイルが、無数の火線が。その暴力的なまでの殲滅力が襲いかかってきていたゴーレムⅢたちに無慈悲に突き刺さる。
「「「「「!?!?!?!?」」」」」
アリーナに大きな振動が伝わり揺らし土煙と爆発が舞い上がる。
「はぁ…はぁ…か、勝てた…。」
「お疲れ簪。君のお陰で余計な被害が出なくて済んだ…っておい大丈夫か?」
同じタイミングで他の生徒たちもゴーレムを撃破したのか攻撃の予兆は感じとれず会話していたのだがエネルギーが切れた【打鉄弐式・改】は簪を解除し地面へぶつかるその瞬間に抱き止めた。
手には簪の柔らかい感触が伝わり俺は内心で「役得だな…」と場違いなことを思っていた。
「あ、ごめんなさい蜂也くん…ちょっと…疲れちゃった。」
「ああ。大丈夫だよ簪は一杯頑張ったもんな。」
「ねぇ…蜂也くん…」
「なんだ?」
顔を赤くして簪は恥ずかしそうに耳打ちした。
「私は…蜂也くんに相応しい…女の子かな…?」
そう問いかけてきた簪に言葉で伝えるのではなく俺は思ったことを即座に行動で実行した。
「勿論…」
「んっ…んんっ…ちゅう…んんっ♥…ふはっ…蜂也くん…///えへへ…」
俺は簪の唇を奪った。
その意味は”簪は俺の大切な人だよ”と言うものだが。
「さぁ、後片付けに行こう。」
「うんっ…あ、でもこのままじゃ…恥ずかしい///」
戦闘の音が止まった方向へ歩いていく。
下ろしてくれない俺に形ばかりの抵抗を見せるが離す気はないので笑うだけで簪も腕の中で顔を赤くして大人しくしている。
『マスターは大人しい顔をしているのに結構卑しいよね…まぁそこが良いところで可愛いのだけれどね!そう思うでしょマスターの恋人様』
突如として声が聞こえた。
「……ッ!」
「?どうしたの…」
声がする方向、即ち簪の方向を向くのだが問いかける声色と聞いた声色が異なっていることに気がついて俺は思い当たる節があった。
「いや、なんでもない…(まさか今の声は【打鉄弐式・改】の意識か…?)」
簪が機体と意識相互も遠くないな、と思ってしまった。
他で戦闘をしていた生徒たちも驚いていたが煙が晴れたときにはその中心付近で疲れきった表情を浮かべる俺とエネルギーを使いきってISを解除されお姫様抱っこをしている簪の姿があるだけだった。
その光景をシャルとかが羨ましそうな、妬ましそうな表情で見ていたが其れは其れとして…専用機持ちタッグマッチトーナメントは負傷者の一人を出すことなく終息した。
◆ ◆ ◆
何処かの研究所の一室。暗闇に照らされた室内にはディスプレイの明かりだけが煌々と輝いている。
「ふむふむ…なるほどなるほど…!いやぁ~送り出した【ゴーレムⅢ】が全部ぶっ壊されちゃったとかお笑い話にもならないねぇ…」
笑みを浮かべていたがすぐさま真顔に戻った。
そのディスプレイの光に照らされた室内に掲示されている記事やポスターは千冬や束の関連…と言うか二人のものしかなくそれらが室内に所狭しとあるのは狂気だった。
一瞬の怒りを見せたその部屋の主はすぐさま普段の表情へ戻る。其れは女だった。
「ふむ…やはり壱香ちゃんの嘆雨のデータだけじゃあ束を守る戦士は倒せないか…まぁ育成コンピュータの経験値稼ぎになったとでも言えば良いか。」
そう呟き手にしているのは”ISコア”。
其れは篠ノ之束が所有している技術の一つ、手にしているコアは”新規に製造されたものだった”
すなわち、束の技術を再現できるものがいる、と言うことになる。
「まぁそもそもにおいて束も言っていることだけど”ISは人間が乗ってこそ真価を発揮する”と言っていたのは誠に遺憾だけどその通りだからねぇ…デチューンされるのはしかたない、か。まぁこれをどうにかしないとスポンサー様からお小言貰っちゃうんだから困ったものよ。其れに今回結構な数を投入したんだけど千冬も重い腰を挙げないのは予想外だったね。」
ISの無人化技術…これは束が再現できなかった技術だ。
その人物はその点において束より優れた技術力を持っていると言うことに他ならない。
「まぁ全ては”彼女”の完璧なる器を作り出すためのプランでしかないからね…今回の襲撃はそのため…だが…”君”の存在は邪魔だな」
彼女は室内の一角へ視線を向けるとそこには培養液につけられたような緑色の光を放つ人一人が入れる大きさのカプセルが設置されている。
その発言から専用機持ちのタッグマッチトーナメントに襲撃を仕掛けたのはこの女だった。
女はディスプレイに投影した蜂也の姿を見て不気味な笑みを浮かべる。
「”彼女”の…その為にも彼の持つ【メリュジーヌ】を手に入れるためには…少し乱暴な手段で手荒に迫ってみるとしますか…」
女は白衣から端末を取りだし誰かに連絡を始めた。
『…なんだ?』
「あ、もしもし壱香ちゃん?ちょっと頼みたいことがあるんだけど…」
『断る。』
「え、嫌だって?そんなこと言わないでよ。君の大好きな”家族”と
『其れ以上言うな博士。その締まりのない口を閉じろ。殺すぞ。』
「ハイハイ、君はツンデレだね。其れに君の機体のバージョンアップもしないと行けないから累計経験値を貯めてきて頂戴。」
『ちっ…用件をさっさと言え。』
悪態をつくが素直に従う壱香が彼女は
「その場所なんだけど…」
歪んだ笑みを浮かべる美女は告げた。
「IS学園、地下特別区画にね?」
◆ ◆ ◆
事情聴取と言う名の聞き取り検査を終えて疲労困憊で戻ってきた俺は寮のベッドへ倒れ込んだ。
「疲れた……」
天井を見上げてぼそり、と呟く。
「其れにしてもやっぱり介入してきたな…其れにしてもこれを指示したのは誰なんだ?」
今日の出来事を思い出して呟く。
だんだんと原作と解離…いや、俺がいるからかと少し自嘲気味になったがその背後に誰がいるのか把握できなかった。
部屋に戻る前に束と会話…と言うよりもショボくれ兎になってしまった束を慰めをしてきたばかりなので疲労し思考が纏まらない。
「まぁ少なくとも…束クラスの黒幕がいたと考えた方が妥当かな………。」
目蓋が重い、が妙に目が冴えている。
少し暇を潰すために仕事用のPCでも開こうかと思った矢先に其れは霧散した。
コンコン。
「誰だ…?扉は開いてるよ。」
時刻は就寝時間前であったが出歩いている生徒は今日の出来事で精神的に疲労し少ないはずだ。
ベッドに寝転びながら開ける許可を出すと入ってきたのは知っている人物だった。
「お、お邪魔します…」
鈴の鳴るような声を聞いて体を起こし入ってきた方向へ頭を向けると制服姿の簪がいた。
「簪?どうしたんだこんな夜遅くに」
起き上がってベッドに腰かけるように座ると簪は目で「そっちに行っても良い?」と問いかけてきたので「ああ」と頷くとそそくさと近づいて俺の隣に、ベッドに腰かけるのは信頼されているからだろうか。
「………」
「…………。」
無言が続く、が其れは不快でもなければ居心地が悪いわけでもない心地のよい無言が室内を支配し環境音だけが響き渡るが其れを破ったのは簪だった。
「えと…その蜂也くん?」
「なんだ?」
少しぶっきらぼうに返答したのだが簪は怯むことなく俺の手を取ってこう告げた。
「…今日は一緒に居ても…良い?」
そう告げる簪の顔を見るために横を向くと色白の頬に朱色が入っているのは恥ずかしかったのか自分が大胆なことを言っているのに気がついたからかはわからないが兎も角恥ずかしいのだろう。
簪は表立って感情を露にするような子じゃないからな。
「ああ。今日は一緒に居てほしいかな。」
俺は小さな柔らかい手を握り返すと簪は嬉しそうにしている。
やはり簪の笑顔は万病に効くのだろう、眠気が吹き飛んだ気がした。
と、同時に簪を味わいたい、という欲望が沸々と沸き上がってくる。
「はち、く…んんっ…んちゅ…むちゅ…れろぉ…んんっ…♥…んちゅ…ぷはっ…へぇっ?」
簪と趣味を共有する時間は勿論大好きだが。
其れと同じくらい今は簪を抱きたくてしょうがない。
「この間一緒いた時は特撮見てたから”そんなこと”する暇なかったけど…」
思わず俺は簪の唇を奪ってしまう。
突然の事に驚く簪は身をビクリっ、と震わすが小さな下を俺の口腔内に滑り込ませてきた。
話したときには目は潤んでいた。
「うん…♥…一杯、ください…♥」
俺は疲れなど何処かへ吹き飛んでしまったと言わんばかりに簪をベッドへ押し倒し体を重ねた。
山田先生をヒロインに追加…?
-
して欲しい
-
しなくても良い