アルベドの部屋には洗濯機がない。そのため洗濯は近所のコインランドリーを使用する。
ゴロンゴロンと音が鳴り、回り続けるコインランドリーの洗濯機。夕方になって残暑の陽射も少し和らぐ頃、アルベドはホットパンツにタンクトップというラフな格好で、コインランドリーの丸椅子に腰かけ、膝を抱いたまま洗濯物が回るのを見ている。
アルベドの服と一緒に回るのは、悟のシャツ。つい先日までは、この洗濯物の様に一緒だったのに……。何が悪かったのだろうかと思案する。
悟の絵画が評価されたこと。これは絶対的に善い事である。
その絵の題材がアルベドだったこと。アルベドにとっては嬉しい事だったが、悟にとってはどうだったのだろうか。
他にはどうだろうか。絵が高額で取引されたこと。収入ができたという点では悪いことなど何もない。
結局はアルベドが悟を甘やかしてしまっているのが全ての原因なのかもしれない。
悟の収入をあてにせず、アルベドの収入のみで生活をしている事。悟からの金の無心は一度や二度ではなかったが、その度にアルベドは現金を渡していた事。
それらの要因が積み重なって、悟は勘違いしてしまったのだろう。そう、少し間違っただけなのだ。悪意を持って、アルベドを陥れようとかではないはずだ。
そうとしか考えられない。そう思うしかない。それしかない。
悟は戻ってくる。心はまだ私と共にあるはずだとアルベドは確信する。
アルベドは煙草に火をつけて紫煙を吐き出す。そしてコインランドリーを出てすぐの公衆電話に小銭を入れて、ポケットから取り出した皴になった名刺に書かれている番号へとダイヤルを回す。
一度、二度のコール音の後に相手が出る。
「アルベドと申します。以前いただいていたあのお話、お受けさせていただきます」
アルベドは電話口で、了承を伝える。電話口からは喜びの声と共によろしくお願いしますと丁寧な受け答えが帰ってくる。
「それでお金の方は……はい。はい。そうですか。その金額で構いません」
アルベドの金策が始まった。是も非もなく、金になることは貪欲に受けていくこととした。
アルベドが受けたのは週刊誌に掲載されるヌード写真の依頼。悟の絵が有名になればなるほど、アルベドのヌードには箔がついて高額となっていた。その依頼を受けたのである。
ヴァンパイアと悟を見かけた日以来、悟はアルベドを抱くことはなくなった。優しい言葉も、微笑むこともなくなった。
只々、帰宅しても浴びるように酒を飲む。絵など描いている姿は久しく見ていない。
悟が描いたアルベドの絵は数点しかなかった。その数点の絵も、あっさりと売ってしまったために一時的なお金を手に入れたに過ぎない。
悟の絵は確かに評価された。しかしそれは『アルベドを描く悟の絵』が評価されたのであって、アルベド以外を描いた悟の絵は評価が著しく低いものだった。
アルベドの信頼と、悟の愛情が紡ぎだした結晶にこそ評価がつき、価値があるのであった。
悟はそんな世の中の評価に腹を立て、あえてアルベドを描くことを一切しなくなった。
シャルティアと会わない日はパチンコへと赴き、夜は浴びるように酒を飲む生活。最初のうちはいつか立ち直るだろうと思っていたアルベドも、この姿には辟易としていた。
悟を甘やかすシャルティアと、悟の更生を願うアルベド。
対極的な二人の愛情が、悟をさらにやさぐれさせた。
◇◇◇
「いいですよ。いいですね。はい。こちらに目線下さい」
フラッシュが幾度となく光る中でアルベドのヌードの撮影は続く。煽情的なポーズをとっているアルベドの裸体がカメラへと納められていく。
悟以外の前には晒したことのなかった肌を、肉体をあらわにしていることの抵抗は、初めの数十分でなくなってしまった。
混血児として常に差別されてきたので、ナザリックで働くようになってからも結局は男達から奇異の目で見られる事と、肉欲の視線を向けられる事はあった。
しかし、この撮影会場ではアルベドが経験したことがないような歓迎ぶりで、大事にされているのがわかる。チヤホヤしてくれるのだ。一挙手一投足に至るまで褒められる。
だんだんとアルベドは大胆になっていき、カメラの前で腰をくねらせ、舌を出して男を誘うようなポーズをとっていく。
絶え間ないフラッシュとシャッター音がアルベドの気分を段々と高揚させてゆく。
「はい。ありがとうございました。お疲れさまでした」
そういって撮影が完了したのは数十分後だった。
ふうと息をつくと、アルベドにガウンが手渡される。
カメラマンの男が近づいてきてアルベドに囁く。
「アルベドさん、どうだろうこの後……サキュバスの方は撮影が終わるとかなり火照ると聞いています。もし、嫌でなければ……」
アルベドの身体は確かに高揚していた、火照っていた。下腹部が熱くなり吸精欲求を強く感じていた。
しかし、アルベドは悟以外に抱かれることの後ろめたさがある一方で、このまま帰宅しても悟には抱いてもらえないという寂しさがアルベドを悩ませる。
そんなアルベドの葛藤を知ってか知らずか、カメラマンはこう続ける。
「もちろん、お手当は別途出させていただきますこのくらいで……いかがですか?」
カメラマンが提示してきた金額は、満席になるほどの盛況を見せたナザリックの総売り上げの二倍。撮影代と合わせればこれで確実に秘薬を買うだけの金額になる。
「お食事……と考えてみてはいかがでしょうか?」
カメラマンは更に揺さぶりを続ける。
「本当は、撮影の後に打ち上げをするのです。これはその予算なのです。お食事会の予算。だからアルベドさんにとってお食事なら、用途は何でも構わないのですよ」
「食事……」
暫く吸精は出来ていない。悟が抱いてくれなくなってから、あの甘美な食事ができない分、アルベドは食物を通してしか栄養補給が出来ていない。
栄養の補給のみを目的としているため、味など吸精に比べればどれも大差はなかった。
目の前に吸精のチャンスが転がっている……。
「お食事『会』としていただけると幸いです。スタッフみんなの願いなので」
スタッフは何人いただろう。五人か、六人か。それ以上かもしれない。一度に複数の吸精などアルベドは経験したことがない。どうなってしまうのかを考えただけで身体の疼きが止まらない。
「少し……少しだけなら」
そういってこくりとアルベドは少女のように、俯きがちにうなずく。
「そうですか。それはよかった」
そういってカメラマンはアルベドの手を優しく取ってエスコートする。そして撮影で使用したベッドへと誘われる。
ベッドの上でガウンを脱ぎ、その裸体をあらわにするアルベド。
おぉとスタッフから歓声が上がる。カメラマンは優しくアルベドの頬に触れると、ゆっくりと顔を近づけキスをする。触れるだけの優しいキス。何度も何度もキスをされるたびにアルベドの気分は高揚していく。
アルベドがカメラマンの首に腕を回すと、カメラマンの舌がアルベドの口内へと入ってくる。
舌と舌を絡め合い、唾液を交えて激しいキスとなる。
カメラマンはギュっとアルベドを抱きしめてキスは続く。
少しだけ身体を離してアルベドは、カメラマンのシャツのボタンを少しずつ外していくとその胸に優しく手を当てて熱を感じる。カメラマンはアルベドの豊満な乳房へと手を伸ばし指の一本一本を埋め込むようにその柔らかさを堪能するように揉みはじめる。
もう戻れない……
そんな考えが一瞬アルベドの脳裏によぎるが、サキュバスとしての本能が勝る。
カメラマンはそのままアルベドの首筋、乳首へと舌を這わせてゆく。それにつられる様に別のスタッフが、アルベドの顔の横へとペ〇スを近づけてくる。男性特有の匂いがサキュバスの本能をくすぐり、狂わせる。アルベドは迷うことなくそのペニスを咥えて舌を這わせる。ジュポジュポと下品な音をたててペ〇スを吸い上げる。
カメラマンはアルベドの秘所へとたどり着く。
「アルベドさん、とても綺麗ですよ」
そういってカメラマンは上着を脱ぎ捨てて、アルベドの秘所へと舌を伸ばす。
既に熱くなってしまった下腹部が、更に反応し秘所を濡らす。
「んふっ……んんっ……」
ペ〇スを咥えたアルベドから甘い声が漏れる。それでもペ〇スを口から離すことなく舌を這わせて味わうことを止めない。
カメラマンは秘所から溢れ出す愛液を舌ですくいあげ、味わうと共に絶えず刺激を与え続ける。その刺激に耐え兼ね、アルベドの腰が動く。カメラマンはアルベドの秘所を広げて、更に指と舌で刺激をしてくる。
「ああっ、いいっ……」
その声に気を良くしたカメラマンは、秘所へと指を入れて優しく、時に激しく刺激を与えてくる。
「ダメッ……イクっ。イっちゃう……」
アルベドは腰を細かく痙攣させると、潮を吹きだして全身を痙攣させる。
「出ちゃう。出てる……止まらない……」
シーツにシミを作ったアルベドは、細かく痙攣を続けて余韻に浸る。
カメラマンはズボンを脱ぎ、ペ〇スを出して、アルベドの秘所へとあてがう。
「アルベドさん、挿れますよ」
アルベドは只々頷くしかなかった。そしてゆっくりと、悟以外のものがアルベドの秘所へと侵入してくる。サキュバスは自己コントロールで妊娠と吸精を切り替えることができる。
そのためどんな時でも男性側に避妊は求めない。アルベドが食事と思えば吸精になるからである。
久々の挿入、久々の吸精、久々に男に抱かれることの充実感がアルベドの中で駆け巡る。
「あっ、ああっ……」
アルベドはカメラマンに抱き着き、腰を動かしてペ〇スを迎えに行く。ゆっくりと根元まで挿入されたペ〇スの硬さと熱さがアルベドを狂わせる。
「動いて……動いてください」
カメラマンはしっかりとアルベドを抱き寄せて、キスをしながら腰を動かす。その度に押し寄せる快楽は、更にアルベドを酔わせていく。
顔もとに左右から差し出されるペ〇スをそれぞれ手でしごきつつ、交互に舌を伸ばして先を舐める。
秘所からは愛液が溢れ、腰を動かす度に水音と、パンパンと乾いた肉のぶつかり合う音が響く。
そんな中、アルベドの咥えているスタッフが「うっ……」という低い声と共にアルベドの口内へと射精する。ドクンドクンとアルベドの手の中で脈打つとアルベドの口内には甘美な精子が放出される。アルベドは愛おしそうに舌先でゆっくりと精子を味わうとそのままごくりと飲み干す。
射精が終わった後のペ〇スも離すことなく、優しく手でしごき尿道に残った精子もすべて出し切り飲み干す。
カメラマンは背中に汗をかきながら、腰の動きをさらに早めてくる。
「中に……中にたくさん下さい」
アルベドはそう懇願すると、カメラマンは頷いて腰を振る。絶え間ない肉と肉のぶつかり合う音が響き、やがてカメラマンは限界を迎える。
「出るっ……」
その言葉とほぼ同時に、一番深くまで挿入されたカメラマンのペ〇スからアルベドの子宮へと精子が放出される。
舌で味わうのとは全く異なる、快楽と共に得られる充足感がアルベドを包みこむ。子宮が精子で満たされることの喜び、全身に満ち溢れるサキュバスとしての力を感じアルベドはベッドで脱力する。
アルベドの膣からペ〇スを抜いたカメラマンがアルベドの口元へとペ〇スを寄せてくる。
じゅぼじゅぼと音をたててそのペ〇スを咥えて精子と愛液の混じったものを味わう。
アルベドは口からペ〇スを離すと、秘所から垂れ落ちる精子をすくって舐め上げ、秘所を開いて男達を誘う。
「まだまだ、楽しませてくださいませ」
そういうと、スタッフの一人がアルベドをひっくり返し、膝で立たせて後背位の体勢で乱暴に膣へとペ〇スを挿入し腰を振り出す。
背面から揺れる胸を痛いぐらい揉みしだき、乱暴なくらいに腰を打ち付けてくる。角を掴まれ、喉奥までペ〇スを挿入される。その男達の必死さが、アルベドにとっては微笑ましく、自分の身体が、自分自身が魅力的なものであると実感させた。
いったい何度、絶頂を迎えただろうか。いったい何度絶頂を迎えさせただろうか。
アルベドの身体は汗と精子でまみれているが、表情は喜びに満ちていた。
死屍累々と横たわる男達。なおも、その男に跨り、腰を振り続けているアルベド。その姿はまさにサキュバスそのものであった。