最上静香さん、男の娘化してクレシェンドブルーとえっちな展開になってしまう 作:ふりーじ屋/家庭内禁書
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ネタバレ:静香さんのアタマがまた恐怖や幸福や羞恥や快楽でめちゃくちゃになります/星梨花さんが悪質/ゲストに某富士茄子さん登板
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「どうして電車で……と、そう言われましても。痴漢って電車でするのが定番なのですよね」
「誰から聞いたのか知らないけど、でたらめよ。だいたい、痴漢の定番って何よ」
「誰に聞いたかって、静香さん、茜さん、あと恵美さんも……」
「……冗談でしょ?」
「埼京線とか痴漢が多いから気をつけなきゃ、って言ってましたよね」
「それは、確かに……でも、だからって」
「立ったままだと、落ち着いてお話しながら痴漢できません。わたしたちはこっちに乗りましょうね」
最上静香は、妹のように思っている同僚アイドル・箱崎星梨花から、磁気のグリーン券を渡されて面食らった。
「……わざわざ窓口で?」
「2人ぶんいっぺんに買うつもりでしたし。あと、目的地はまだ決めないで、ですから」
「あの、ちょっと意味がわからないんだけど」
「確か……北鎌倉か鎌倉より先まで乗っていると、お値段変わるんです」
「……知らなかったわ」
「静香さんが安い券を買っちゃうかと思って。不正乗車になったらいけません」
「痴漢しようって人が言うことじゃないわよ……」
かつて星梨花が自動改札機に向かって切符を買おうとして止められた光景が、遠い昔のように思えた。
「あと……チケット大切に持って、ってするの、ICカードより磁気がいいんです」
東京駅地下の総武線ホームから、星梨花に手をとられて、横須賀線久里浜行に引きずりこまれた。先導されて、自動ドアからデッキに入って、2階建て車両の低いフロアへ通じる階段を下りた。
昼間のグリーン車が、空気を運んでいるように閑散としていた。東京発の列車と思えないほど非現実的に感じた。
「クロスシートだと、特急とか新幹線とかみたいですね」
「クロスシート?」
「こういう座席のことですよ」
星梨花が通路でも静香を先導しつつ、車両の真ん中ほどで立ち止まった。客が進行方向を向くよう座らせる座席は、静香のイメージだと、確かに普通列車らしくなかった。
星梨花の手振りで、静香は進行方向から見て右側の座席のうち、窓側を勧められた。静香が応じると、隣の通路側に星梨花が座った。ひじ掛けや折りたたみテーブル、ドリンクホルダーなどを見ると、ますます特急列車のように見えた。
「静香さんは、電車で痴漢されちゃったこと、ありますか」
「……ないわ。なるべく、友達とかと固まって乗るようにしてたから」
「わたしもそうしなさいって言われます」
星梨花も静香も、特急列車でおでかけ、というには気楽な服装をまとっていた。
星梨花は若葉をモチーフとした色柄のゆったりしたワンピースに、白いニットのカーディガンを羽織っていた。静香にも見覚えのある私服だった。
対して静香は、レモンイエローのノースリーブに、白いストレッチパンツ姿だった。ほとんどいつもスカートを履く静香にとって異例のコーディネートで、むしろ2人を含むユニット・クレシェンドブルーのメンバーにいる北上麗花を彷彿とさせる。
「そうやって体のラインが出ちゃう服だと、いつもより男の子みたいに見えますね」
そのクレシェンドブルーのメンバーだけは、最上静香の体がある日いきなり少年のようになってしまった、という異変を知っている。アイドルとしての仕事で中欧の某都市を訪れたとき《飲むと声がよくなる泉》の水を飲んだことが原因で呪われてしまった静香は、顔や髪や肌こそ以前のままだったが――骨ばった肩や腕、目立たなくなったウエストや腰の曲線、縮こまっているペニスなど――線の細い中性的な少年、と見える姿になってしまっている。
クレシェンドブルーのメンバーに協力してもらったり、体のラインが目立たない衣装だけを選ぶなどして、静香はなんとかこの変化を隠している――家族や担当プロデューサーにさえ――なお呪いの曰くどおり声は良くなり、少女だったころより身体能力が上がり、パフォーマンスの質も上がり、アイドルとしての評判も高まった。アイドル活動に否定的であった静香の父親さえ認め始めるほど上り調子になっていた。
いっぽうで、元に戻る術を探すほうはさっぱりで、手がかりのひとつもつかめていなかった。
「私が、パンツのレディースとメンズの違いを思い知らされるなんて」
「型紙から違うんでしたっけ? こんどから気をつけないといけません」
肩のラインが目立つトップスなど呪われて以降に着た覚えがない。また呪われる以前の静香は膝丈のフレアやプリーツのスカートばかり履いて、ズボンは体操着やジャージなどゆったりひたタイプしか縁がなかったため、ストレッチパンツで歩いたり座ったりがいちいち落ち着かない。
「では、図書館で痴漢されるってことは」
「考えも……しなかったわよ」
「本当に?」
「念押しするような話かしら」
「茜さんみたいに、誰かが……例えば、わたしがいたずらしてくるとか」
クレシェンドブルーのうち、年長である北上麗花と野々原茜は、こっそりと、しかししばしば男としての静香を求めてもてあそんでいる。静香としても彼女たちの魅力に抗えず――呪われる前は考えもしなかった――性欲をぶちまけてしまっている。同い年である北沢志保にも性欲処理をしてもらった経験がある。処理してもらっているところを、年下の星梨花に見守られていた経験さえある。
静香の変化を受け入れたり楽しんだりしている麗花、茜、志保と異なり、星梨花は静香と一緒に元に戻る術を探してくれている。アイドルや学業の忙しい合間をぬって、都内の大きな図書館を渉猟している。
静香がクレシェンドブルーのメンバー以外からもてあそばれたのは、まさにその最中だった。
「このあいだ……わたし見てびっくりしましたよ、図書館なのに、あーっ! って叫びそうになるぐらい」
「星梨花は……っ、あっ……!?」
「静香さんと閲覧室の端っこで目立たないようにして調べていて、ちょっとわたしが席を外したら」
星梨花が右手を伸ばして、グリーン車の黒いひじ掛けをするりと乗り越える。ストレッチパンツに包まれた静香の左ももを指先でさらりと撫でてくる。そこはあのとき触られていないはずなのに、静香に痴漢されたときの感触も感情もじわじわ蘇ってくる。
「おっぱいのおっきい人、でしたねぇ。女の人でも痴漢するんですねぇ」
「わ、私、からは……見えなかった、わ」
「座ってる静香さんの背中や首に、むぎゅむぎゅって押しつけてました」
静香が口走った《見えなかった》は、半分本当で半分ウソである。
星梨花のいう《痴漢》が近づいてきたとき、静香は彼女を別に不審だと思わなかった。彼女はまず隣に立って小声で話しかけてきて、それに顔見知りの気がした――『お勉強ですか? このあいだは、どうも』『ぉ、あ、はぃ……』――ひそひそ会話すると完全に思い出せた。別の事務所で活動している静香より6歳年上の女性アイドルで、同じ現場で仕事をしたこともあって――『わぁ、あの、それ……英語と、あと……ドイツ語?』『は、はい、いちおう……』『近ごろの中学生ってたいへんなんですね~』『学校、というか、仕事の都合で……』――丸っこくて親しみやすい親戚のお姉さんのような顔に、ゆったりしたブラウスとスカートでも見て取れるメリハリのスタイル――『おぉ……そうですね~、確かに、学校のお勉強にしては、まがまがしい気配が……』『……っ……!?』――そしてオカルトじみた強運で有名な――『時に静香さん……呪いって、信じます?』――静香は完全に冷静さを失った。
「わたしもあのぐらいおっきいおっぱいがあったら、痴漢されちゃうかも……って、静香さんに思ってもらえました?」
「っ……っっうぅー……星梨花、落ち着いて、あなた……ぁ……」
「これが落ち着いていられますか」
もし静香が冷静であれば、軽く流せるはずの問いかけだった。現に静香が呪いに関する文献をテーブルに広げてノートを取っていた。『呪い』が世間話に出てもおかしくなかった。
しかし静香は、自分の呪われた体がすでに見抜かれている、と深読みした。
「だって静香さん、おっぱい、むぎゅむぎゅって押しつけられて、ほかにも手であちこち触られて、されるがままで」
「それは……騒ぎが起きたら、いけないと思って……アイドル、だから……」
彼女が続ける――『びっくりしないでくださいね? 私、昔っからこういうのに敏感な体質らしくって……』『そ、そうなんですね……いますよね、私もひとり知ってます……』――静香の心にも体にも、ひた隠しにしていた呪いを北上麗花に見抜かれた日のことが過ぎってしまう、いくら押さえつけても――《ぺにぺにちゃんが……女の子とえっちなコトしたいよぅ、子ども作りたいよぅ、ってうるさくなって……こっそりお話できるところで静香ちゃんとぺにぺにちゃん呼んでボディランゲージでお話してたら、がばーって押し倒されて、ぱんぱんって》――『静香さん、あの……やはり、体のご加減が』『い、いぇ、その、あの、おかまいなく……ぁ、あなたも、調べ物が』――成熟した女から男として見られている、という声も匂いも視線も感じて、しかもそれがアイドルとしてのライバルから――『いやぁ、実は……静香さんが調べ物を知ってるって目星をつけて、きょうここに来たんですよ』『……ぇ……?』『一回目でこうしてお話できるなんて、われながら運がいいなぁ、って』――柔らかい手に触れられる。
「は、ン、ァ、あ……ッ!!」
「確かにそうですけど、本当にそれだけですか」
そのとき静香は、もし男になってしまったことが完全にバレていたら、という恐怖が勝って、なんとか彼女の手を振り払った。同時に後悔した。もっと穏便なやり方で取り繕わなければならなかった。
彼女をうかがうと、無礼を気にしたようすもなく――『おせっかいかもしれませんけど、なんだか放っておけないなぁ、って』『す、すみません、ちょっと、連れがいるので』『いやいや、あなたが呪いと関係ないのであれば、別にどうってことない話なんですけどね』――手をつかまれる。背中側から肩を抱かれる。彼女の豊満な乳房を押しつけられ、復活しかけた冷静さを根こそぎ吹き払われ――『ちょっと、女の人どうしじゃ感じられないぞくぞく、キちゃいますね~』『そ、そんなの、錯覚で……ひ、人を呼びますよ……?』『確かめてみますか』『勝手に……!』『……聞き分けが悪いと、幸運に逃げられちゃうかも』――呪いを見抜かれてしまったか、呪いの手がかりまで握られているのか。それより、女の匂いと体温と柔らかさが強烈すぎる――『んきゅっ、ふ……!? くっ……あっ、だ、ぇ……!』『こうしてると、私まで変な気分になっちゃいそう、いけない、人を呼ばれちゃいけないのに……』――体をいじられながら、唯唯諾諾と従ってしまう。
「あのとき、わたしが戻ってくるのが遅れてたら、どうしてましたか」
「きゃんっ……!? あ、ふ、ふぁ……ま、またぁ、せり、か……!」
「静香さんは、ああやって痴漢に困らされるのがお好きですか」
「そんな、こと……っ、ふ、ぁ、そんなことないから、星梨花、やめ」
「わたしはいけなくて、あの人はいいんですか……そういえば、女の人でも痴漢って呼ぶのでしょうか? 気になりますっ」
横須賀線のグリーン車で星梨花に触られる具合は、公共図書館の閲覧室で触られた具合よりもさらに無遠慮で押しつけがましく、口だけでなく手でも詰問するふうだった。押し殺しているはずの声が、時速100キロ前後の走行音を押しのけて響いてしまう。
「静香さん、本当は痴漢されたいんですか?」
「そんな、わけ……くひっ、ひんっ! はぁぁっ、んぅぅぅっ……!」
「大声で叫んで、助けを呼べばいいじゃないですか」
「そんなことしたら、あなた、が……やぁうっ!?」
「静香さんの話をしているんですよ」
静香になじみのあるフレアスカートと違って、ストレッチパンツではもういつ勃起が浮き上がって見られてもおかしくない。それを星梨花にくすぐられ、悶絶させられる。
「痴漢されるの、お好きですか?」
「違う、そんな、嫌い……星梨花、やめて、ぇ……」
「……《あなたを困らせたい》」
「星梨花……!?」
「《好きなら気づいてよ》……《わたしのこと見てよ》……《いい子じゃないわたしのほうが、ねぇ、好きなの?》……うふふ、ねぇ、静香さん」
「あ、ぁっ……だめ、そんな……は、あ、んあ、はっ、あああっ!」
星梨花からささやかれる。かき消すように静香が息を荒げ声を高くしても、耳朶から滑りこんで頭の中を犯してくる。
「はぅ、ほぁっ、はぁっ……あああっ!」
「こんなおふざけ、前の静香さんにしたら、カンカンになって怒ったはずなのに」
犯されて燃えるように熱くなっていた頭に、いきなり氷のように冷たい言葉も突き刺される。まったくもって星梨花の言う通りで、自分のために作ってもらった歌を性的なからかいに使うなんて……怒って見せようとして、股間近くを撫でられあっさり曲げられる。
「いまの静香さんは、《ムラムラ~ってなっちゃうと、ぺにぺにちゃんの言いなりになっちゃ》うんですか、麗花さんの言うとおり」
「ち、ちが、私、は……んひぃっ、お゙っ……!?」
「私が、おしゃべりしながら、静香さんのぺにぺにさんをいじってあげたほうがいいんですか。そうすれば、もうれいぷしちゃったりなんて」
「星梨花、ぁッ――」
「――静香さん、ステイ、おとなしくして」
星梨花の手が、いきなり静香の口をふさぐ。年下の少女の小さな手が、静香の声を止め、あわただしく離れ――「はいっ、グリーン券ですね、こちらに」「……ご乗車ありがとうございます」「おつかれさまですっ」――星梨花が何食わぬ顔と声で、2人ぶんのグリーン券を乗務員に示す。
乗務員は星梨花、静香以外のところではまったく立ち止まらず、次の車両へ去っていった。
「ダメじゃないですか静香さんっ、ほかにお客さんがほとんどいないからって……乗務員さんが来てましたよ」
「ぁ、あ……ぅ……ひ、ひっ……」
「わたしたちはICカードじゃなくて磁気で乗ったんですから、検札があるんです」
「せ、星梨花……あなた、もしかして、わざと」
「……《あなたを困らせてたくさん心配かけてごめんね》」
「やめて、電車の中よ……見つかったら、私たち……くひ、ぃ……っ……!!」
「……電車の中でなければ、って意味にとったら、いじわるですか?」
星梨花の手で、静香は頭から太ももまでの肌をさわさわ撫でられるがままにされる。星梨花によって引きずりこまれた緊張のせいで肌が過敏になって、ブラウスもストレッチパンツも下着も、もはやないも同然になっている。
「ふふ、さっきはジュニオール相手にするときみたいになっちゃいましたね。ステイ、なんて」
「ハッ、はァッ……ぁ、あ、そ、こ……! だめ、ぇ……」
「そのつもりはありませんでしたが……そのつもりでやってみます?」
「こ、声、出ちゃ……あうっ、うぅぅっ、あうぅ……っ」
「ジュニオールってけっこう嫉妬深いんです。ドッグランでちょっとほかの子を見てると、すぐ構って構ってってわたしを引っぱって……」
わざとらしいぐらいのソフトタッチで、もし手からしゃべれたら「いつでも悶絶させられますよ」とでも言いたげである。静香はとうとう、星梨花に股間を撫でられるがままになる。さらに星梨花の本当の口から、言葉ですらない甘ったるい吐息を浴びせられ、吐息よりもっとどろどろのはずの頭の中をかき混ぜられる。
「……わたし、ジュニオールの気持ちがわかってきましたよ」
「あッ、は、ぅ、ぁ、星梨花、ぁ……やめ、てぇ……」
「すき、きらい、すきすききらい、きらい、すき、きらきらきらい♪ ……なんて」
「ひゃんっ、あ、あっ……はぁっ! つ、ょ……ぉ、は、あ、はひゅっ!?」
ペニスは《ぺにぺに》というかわいらしい響きが似合わないほど雄々しく膨張し、ストレッチパンツのきつい締めつけを押しのけている。そのシルエットを星梨花からなぞられると、静香は思わず足先からまぶたまでをあちこちばらばらに細かく痙攣させてしまう。今すぐ目の前の星梨花を押し倒してしまいたい衝動に駆られる。
「ゃ、め、て……それ以上、されたら、私、ぃ……ひ、ッ……」
「下りたらいいじゃないですか。久里浜でもだいじょうぶですよ。どうぞ、わたしを押しのけていってください……できますよね? やろうと思えば」
「も、もう、やめて、星梨花、私……限界、に……」
静香のペニスと目以外がすっかり凍りついてしまう。星梨花が何を言い出すか察してしまう。絶対に言われたくないが、絶対に言わないでとも拒めない話を予感する。
「それは、もっとして、って泣き方ですよね……もうすぐぴゅっぴゅしちゃいますか?」
星梨花が目を細めて、これ以上ないというほど楽しそうに笑う。
「はじめて私としたときみたいに」
静香は星梨花を犯して彼女の処女を奪ったことがあった。
「……そういえば、まだご感想をうかがってませんでしたね。静香さん、どうでした、私の中は」
「ご、ごめん、なさぃ……ゆ、許されることじゃない、って、わかって……ぇううっ!?」
「どうしてそんなことがわかるんですか、静香さん、まだ処女でしょう?」
静香が星梨花を犯したのは、図書館で痴漢された帰りだった。
あれから静香の明らかにようすがおかしいと見て取った星梨花は、静香の手を引いて急いで閲覧室も図書館も離れ、静香を連れたままいちばん近かった地下鉄駅の入り口を下って、駅ナカのコワーキングブースに引っぱりこんだ――『入ってみるのははじめてですけど、やっぱり2人だとちょっと狭いですね。でも、いまの静香さんを人目のあるところには……』『……私、そんなにひどい顔してた……?』『……悪い人から目をつけるんじゃないかって』――いくら少女(?)2人とはいえ、本来なら一人でこもってパソコンで作業するためのスペースで休んでいると、痴漢で火照らされた静香の体に星梨花があまりに近く――『星梨花、ぁ……わ、私、もう、これ以上……』『……何も知らない子供みたいな言い方、しないで』――彼女とも一線を越えてしまった。
「それにしても、ぺにぺにさんが限界になると謝るのって静香さんのくせなんですか?」
「あっ、だっ……そ、こぉ……くッ、や、め……ぁ、あ……!」
「麗花さんからも聞いていましたが、わたしをれいぷしてるときも、ごめんなさいって謝りはじめて、それからすぐにぴゅっぴゅって……」
「っ……っっうぅー……ぅ……!」
「あぁ、ごめんなさい。れいぷじゃありません。同意、ありましたよね。ねぇ……ねぇ?」
星梨花とのはじめての体験を思い出す。自分があのとき、どれほどケダモノじみていたか――少なくとも、星梨花にされるがまま耐えているいまより――そのくせ言い訳のように、ごめんなさい、ごめんなさいとつぶやくだけつぶやいて、膣内射精までしてしまった。まだ呪われる前、星梨花の父親が『悪質な人間に星梨花が危害を加えられないか』心配しているようすを『星梨花のお父さんもたいへんね』ぐらいに他人事だと思っていたころ、当事者になってしまうとは想像だにしなかった。
「ねぇ、静香さんもしたかったんですよね、あのとき……!」
「んひゅ、かは、ぁ、あッ、ひっ、ん……!!」
星梨花の手がエスカレートして、静香のベルトを緩めて、ショーツ越しのペニスに襲いかかる。
「あは……ぺにぺにさんも、気持ちよくなると、濡れちゃうんですね」
「う、ぅ、ぅう……あっきゃっ!?」
「あ、ごめんなさい……先っぽ、ぷにぷにって柔らかいままのところは、敏感なんでしたっけ」
静香のショーツがすでにじわじわと濡れそぼっていて、それを認めた星梨花がにっこり笑いかけてくる。そのシミをいたずらのようにつつかれ、泣きながら嬌声を上げてしまう。
「わたし、泣いちゃってましたけど、うれしかったんですよ。わたしも、静香さんに女の子だ、って見てもらえてたんだって」
「星梨花は、前から女の子で……っきゅっ、ぅううっ……!」
「そういう話じゃありませんから」
ペニスの先端、尿道口あたりをぐにぐにと揉まれる。ショーツ越しでもわかりきっている、という手つきに、性器が吸いつくような快感が走る。妙に手慣れている。まさか麗花や茜から教わったのだろうか、と妄想する。
「だって、わたし、おっぱいおっきくないですし……静香さんに手伝ってもらったら、おっきくなれますか?」
「んっ、うっ、あぁぁっ……そん、な……っあ、あうぅーっ……!!」
こんどは指が食いこむほど竿をがっちりつかまれる。思わず射精しそうになるがこらえる。星梨花を制止しなければならないのに、むしろ星梨花をうながす声や仕草ばかりあふれてしまう。
「わたしで、興奮してくれてますよね? だから、れいぷしてくれたんですよね?」
「だ、だめ、も、ぅ……んぐぅうっ、うう……!」
「あ、ごめんなさい、また言っちゃいました。れいぷじゃありませんでしたのに」
性的な視線をさばかなければならないアイドルとして、性行為のリスクを理解しているつもりだった。
つもりだけだった。
20歳以上の北上麗花ならまだしも、星梨花や静香の年齢であれば法的にも道徳的にもすっかり禁を犯していることになる。《れいぷ》もなにもあったものではないはずだった。
「わたしの抱き心地、どうでした?」
「そ、その……ぁ、ぅ、う、あ……」
「ぺにぺにさんいじられながらだと、思いだしにくいでしょうか。いま、ぎゅってしたら、思いだせますか? 聞かせてくれますか?」
ついに思考停止に陥り、首筋もくちびるも凍りつく。星梨花が神妙な顔つきになって手をつかんで、2度3度と胸に押しつけてくる。
「……これ以上ドキドキってしちゃったら……」
「せり、か」
「どうしてなんでしょうね……ねぇ?」
ひじ掛けをあいだに挟んで抱きしめられる。逃げられない。静香のペニスがショーツを突き破らんばかりに猛る。これの欲望に衝き動かされて少女を犯してしまう自分を嫌悪しても、まったく萎えてくれない。
「ふふ、静香さんもドキドキしてる」
「……む、むしろ、心臓が止まりそう、よ……」
「ぺにぺにさん、お邪魔虫です。あちらの相手してると、静香さんとおしゃべりしにくいから」
「そう、ね……」
「気持ちよかったですか、わたしの中は」
「星梨花、あっ」
「えっちしてる最中だと聞きにくいじゃないですか、だから」
何ひとつ言い逃れできない状況、といまさら気づく。
「じゃあ……麗花さんもはじめてだったんですよね。わたしより、気持ちよかったですか」
「ぃ、言わない、で、そんな」
「聞きたいんです」
星梨花以外に犯した罪も蒸しかえされる。もしかしてこの問いをすでに麗花にもぶつけているのか、とぐにゃぐにゃにされたはずの脳が飛躍する。
「わたしのほうがちっちゃいから……中は、ぎゅーってしてあげられましたよね?」
「星梨花、お願い、やめて、言わないで……」
「やめて、って言われて止められるものなんですか?」
星梨花は、背丈が麗花や静香と比べて頭ひとつ小さい。それ相応に肩幅もウエストも腰も細い。女装すれば女性アイドルのフリができるほどの体格を棚に上げて、静香は『抱きしめたら折れてしまいそう』と感じる。それよりひどいことをしたあとになって、ますますそう感じる。
「わたしだって……やめなきゃだめだって、わかっていましたよ。あのとき」
「あのとき、って」
「はじめてのときですよ」
思わず首と肩をもぞつかせた静香に、細い腕でしがみついて星梨花がささやく――『あのままあんな狭いところで二人きりだったら……それに防音があっても、本当ならえっちなことできる場所じゃないのに……いや、オトナになるまでえっちなことしちゃいけないってママにも言われてるのに……でも……』――星梨花も自分と同じなのか、と錯覚させられる。
「……見つかっちゃったら、アイドルが……それどころか、もう2度と会えなくなるでしょうね」
「星梨花、ま、まだ、間に合う、から……元に、戻れたら、私……」
「元に戻りたいんですか?」
「せ、り――」
「――いいえ、言わないで」
抱きしめられたままくちびるを奪われる。星梨花の舌が、歯の隙間から静香の舌に絡みついてくる。口腔内で粘膜どうしがもつれあう。なけなしの気力を振りしぼって引き剥がそうとした直前、星梨花のほうからくちびるを離される。キスが終わったのに、またくちびるを奪われたかのような喪失感に目と鼻のあたりがしびれてたまらない。
「静香さんがわたしをれいぷしたのは許してあげますけど、静香さんがれいぷしたくなりすぎないようにめんどうみてあげなきゃなぁって思うんです、いまは」
静香が何か言う前に、ショーツに食いこんだままのペニスを引きずり出される。
「待て、の練習をしましょう。出さないでくださいね? 出したらバレちゃいます」
「んきゅっ、ふ……!? 星梨花、ま、待って」
「待つのは静香さんです。わたし、こういうのジュニオールで慣れてますから、他の人より上手にできると思います。期待しててくださいね」
「ぉあ、ぅうう……っ!?」
「うまくがまんできるようになったら、もっといろんなところに2人だけでもいけますね。がんばりましょうっ」
星梨花の指が、ついにむき出しのペニスの先端を包みこむ。がまん汁があふれっぱなしの尿道口もくすぐられて、さらなる先走りがぬちぬちと音を鳴らす。
「ステイ、静香さん、ステイ。ほかのお客さんとか、乗務員さんに聞かれちゃう」
「んっ、ふぁぁっ……そ、そこっ……んっ、んくっ……ぁっやっ!?」
「わがままなぺにぺにさんに負けないで」
「えぅ、うううーっ……! だめ、せ、星梨花、めっ……そんな、つよすぎ……ふあ、ぁあっ」
制止を聞くそぶりだけで流しながら、星梨花の手が上下にスライドしてペニスをしごく。すべらかな指が裏筋やカリを巧みに刺激して、ショーツがシミどころかぐっしょり濡れてしまう。
「気持ちいいですか?」
「き、きもち、ひ……よ、よすぎ、だから、あっ」
「わたしがいちばん気持ちいいですか?」
「ぃ、いちばんだから、星梨花が、だから、もう……ゃ、め……!」
「じゃあ、わたしでがまんできたら、誰に痴漢されてもだいじょうぶってことになりますね。わたし、責任重大ですっ」
星梨花が心底うれしそうに笑いながら、容赦なく竿をしごきあげてくる。かと思えば、静香の肩に手を回して、腕の付け根をゆっくりとなぞりあげる。
「ひゃ、あ、うっ……」
「静香さんをひとり占めしちゃいけないって……わかっているんですけど、なんだかうれしくて」
「星梨花、私は……」
「だってわたしだけじゃ隠しきれませんもん」
ペニスが解放されて、あわててショーツのなかに押しこむ。大きくなりすぎてしくじるようすを、星梨花がおとなしく見守っている。落ち着きを取り戻して、忘れられていた理性が戻ってくる。くすぶったままの欲望にさらされる。星梨花がさっきまでペニスをもてあそんでいた手をもたげて、静香の耳のそばまで持ってきて、先走りまみれの指をにちにち鳴らす。
「こんなに濡らされちゃいました」
「あっ……うぅっ……」
「なめて」
「星梨花……?」
「きれいにしてください」
一も二もなくしゃぶると、まるで不意打ちのように生臭く塩辛い味に襲われ泣きたくなる。
「んちゅっ、ちゅぱっ、ぢゅる……っ」
「あぁ、別に静香さんが汚いって言うつもりはなかったんです。ただ、これじゃ気づかれちゃうって……ふふ、くすぐったぁい」
星梨花が静香のくちびるを指でこじ開けて、舌をもてあそびはじめる。えぅ、あぅ、と情けない声を漏らしながら、細くて小さい星梨花の手と指を思う。ヴァイオリンは手が小さくても不便ではないのだろうか、ピアノだとどう練習しても弾けない曲が出てきて……などと現実逃避する。
「んふ、口の中も熱いですね……」
「んぢゅっ、ちゅ……はぷっ、んはぁ、あんっ……」
「休憩のつもりだったんですけど……こうされてると……わたしも、ますますドキドキしてちゃいますよ」
「れぅ、はむ……んくっ、ちゅ、ちゅっ……」
「もし……ここでえっちなことしちゃったら」
「むぢゅっ、んんぐ、ぁぷ……っ!」
「ぜったいしちゃいけないんですけど……それは、あのときだって同じでしたよね」
「せり、か……あっ、あっ……あーっ……!」
「また、がまんできます?」
尋ねる口振りで、すでに星梨花の手が再びペニスに降りてきて、静香のショーツにもぐりこんで、唾液と先走りをくちゅくちゅ混ぜあわせる。ショーツで指先が隠れて、静香は攻めに予想も覚悟もできなくなる。全身にぞくぞくとただれた快感が走る。静香のペニスがますます硬くなって、絶頂前のあの不安感も盛り上がってくる。もう口をふさいでもらっていない。自分の手で口を抑えるしかない。
「ダメです」
「ゃ、あ、ひっ……」
「がまんできなくなったら、言ってください」
止めて、と言えば星梨花が止めてくれるのだろうか。もしそうなら、すべて星梨花に委ねて気持ちよく浸っても良いのでは。
「星梨花、もう、終わりに……本当に、私」
「ステイ」
「ぁっきゃ……ッ……!?」
「ただ待て(wait)と言ってるんじゃないんです。もちこたえろ(stay)って言ってるんです」
「ぁ、ぅ……も、ぅ、わた、し……」
「まだがまんできますよね、静香さん? こっち、見てください」
クロスシートに並んで腰掛けて、星梨花の右手で手コキされながら見つめあう。無理のある体勢で胴体がねじられて苦しいのさえ興奮を高める。
「やっぱり……やりにくいですね。ほかのところで続きをします?」
「だ、だめ、そんな、の」
「もうがまんできないんですか?」
「また、私……星梨花に、乱暴な、こと」
「ステイ」
「くひっ、ひんっ!? はぁぁっ、んぅぅぅっ……!」
「がまんのしどころです」
静香は星梨花のリズムに翻弄され、声をあげないよう手で口を塞ぐので精一杯になる。車内に他の客も乗務員も見当たらないが、いつこの姿を見られるかわからず、しかし姿を見られる心配がなくなったら星梨花をレイプしてしまう。
ショーツのなかでペニスは尿道口をぱくぱく開閉して、先走りの汁を滴らせる。星梨花の瞳だけを見ていても自覚できてしまうほど自分が無様で、混乱する。それを星梨花に見つめられている。
「あぁっ、ひゃぁっ……だ、めぇ……も……っお、っ……!」
「ぺにぺにさんに負けちゃだめ」
「あっ、あっ、あっ……!」
吐精寸前で執拗にいじくり回される。星梨花はいったいどこでこんなテクニックを身に着けたのか。テクニックなどなくても、静香のすべては星梨花にお見通しなのか。
「がんばって、静香さんっ」
「ひっ、ひゃいっ……!」
「気持ちいいですか?」
「ひっ、ひもひぃ、れす、ぅ……」
「気持ちいいのだったら、なんでずっとこのままでいるのがたいへんなんでしょうね」
「う、あっ、あっ、はひっ、はっ……!」
「なんでなんです?」
「あひっ、んひぃぃっ、んやっ、ああっ、にゃっ、やめっ……!」
「わたし、気になりますっ」
問いかけに考えすらできず、星梨花の手で絞られて腰が震える。涙をぽろぽろとこぼし、ついに目を反らして顔を左右に振って、背すじを反らして喘ぐ。
「こっち見てって、静香さんっ」
「やめてぇ……ふあっ……きゃうっ!? ひっ……あぁあぁ……っ!」
「わたしのこと見ててよ」
「ひっ、ひゃぅっ……!」
「わたしのこと、好きなんですよね?」
「すきっ! すきだからぁ……やめてぇ……!」
「だからえっちしたくてがまんできないんですよね?」
「ぁ、え……あ、ああぁ……」
「静香さん?」
快楽に蕩かされながらその問いを否定したのは、静香の中に残る最後の乙女心だったかもしれない。かつて静香が男に夢を見ていたころ、誰かから借りた少女漫画にかぶれてちょっぴりそう期待していた――好きだから体を求めてしまう、求めてもらえる――そう期待していた心のどこかが、いまは泣いているらしい。
「わ、わたしは……ダメ、なの……あぁあぁあぁ……ッ……!? ダメ、本当に……よく知らない、女の、人でも……えっち、したく、なっちゃったら……だから……星梨花、もう……」
「……静香さん……」
「もぅ……私に、近づいちゃ……また、私、星梨花に……」
「それをがまんできるようがんばりましょう、って言ってるんですーっ!」
「あ……あ、あっ、あ、だ、めぇっ、来るっ、くるぅっ」
「わたしだって、こうしてるの、つらくてこわいんです。でも、静香さんを放っておくほうがもっとつらくて、こわくて……万が一、わたし以外に……」
「ひっ――ひぁ、あ、へぅ、あ、えっ」
「……そうなるぐらいなら、わたし」
「い……っく、い、い、い……ッ!」
ぶじゅ、ぐじゅ、と濁った水音がショーツから漏れて、水を差す。さすがに星梨花も手を止める。
「……静香さん」
「あ、はッ、アッアッ……お、ねが……とめぇ……えああっ!」
すぐに手コキを再開する。ショーツのなかに精液を塗りひろげる。
「おもらし、がまんできませんか?」
「ご、ごめ、ぁ、さ……あ、もうむぃ……むりぃぃいっ、おかじぐ、なっちゃ……!」
「じゃあおもらししてもいいですから……わたしが、すき、きらい、って歌うから……すき、って歌ったタイミングで、出してくださいね」
「な、な……! えひゅっ!? いゅ、ぴぃっ……」
「いいですか。きらい、じゃだめですからね? では……」
「えぅ、あ、あっ、ぁ、め」
「……すき、きらい、すきすききらい……きらい、すき、きらきらきらい……♪」
秘所と下着をぬるぬるした体液まみれにされる。おねしょのような、日常では絶対に避けるべき非日常に静香の弱り切った心が染め上げられる。
「……しーっ、おとなしく、して」
「はぅ、ほぁっ、ぅ……っ……!」
「いい子、いい子、その調子です」
声を押さえつけると、その反動のように腰がびくんっびくんっと否応なく震えてしまう。ぐちゅぐちゅと濡れた音がおさまり、電車の走行音が意識に戻ってくる。精液の生臭さを感じて、本当に隠しきれるだろうかと恐れる。
「まだ、おっきいままですね……わたし、れいぷされちゃいますか?」
「ち、違う、の、やめて、おねが、ぃ……っ……ぁ、ぁあ……っ」
星梨花がこんどはショーツごしに静香の股間をまさぐる。布ごしなせいか遠慮が減って、ごしごしとこすられ悶絶する。少女のぷにぷにすべすべした指先によるじかの刺激と違って、ショーツの生地で刺激がぴりぴり分散され、よけいに感じてしまう。
「静香さんは、わたしで興奮してるんですよね」
「ん、ぅ、あっ……! し、してる、から、ゃ、め……は、あっ……!」
「わたしじゃなくても、こんなことされたら興奮するんじゃないですか。麗花さんとか、茜さんとか、あと……」
「こんな、の……星梨花にしか、された、こと……!」
静香がふるふるとかぶりを振って否定すると、星梨花は肯定も否定もしないまま、噛みしめるようにくちびるをもごもごさせる。やがて、おもむろに手を静香のショーツから引き抜く。安堵にほっと息を吐こうとする寸前、星梨花が座ったまま自分のスカートの裾をつまんで、めくりあげていく。妙につやつやした白い太腿までがあらわになる。スカートの中にこもっていた甘ったるい汗に、脳内が殴られて出血したような血のめぐりを感じる。
「だ、め、星梨花……手、洗わなきゃ、汚れちゃう……!」
「自分のぐしょぐしょになった下着を先に心配しましょうよ」
つい星梨花の太ももに釣られてしまった視線を、歯を食いしばりながら引き上げる。星梨花と目が合いそうになると、どうにも上げられなくなる。
「ほら、静香さんの……トロトロのおつゆが、じゅわぁってなって、くちゅくちゅって」
ペニスをいじられてもいないのに言葉を失う。自分の呪われた体液が星梨花を汚してしまっているのが辛くて、そんなところさえ受け入れてくれる星梨花にもっと甘えたくてたまらない。
「これをわたしのあそこにぴゅっぴゅってされちゃったら、赤ちゃん、できるんでしょうか」
「で、できちゃうから、だめ……ぁ、ぇ……きゃんっ!」
「わたしが赤ちゃん産んであげたら、例のカストラートさん、成仏してくれるでしょうか? 仏教徒じゃない人に成仏はおかしいでしょうか」
「あぃっ、ひ、ぁ、おぉぉ……っ」
カストラートは、静香たちが呪いについて得た数少ない手がかりであった。麗花から聞いたところによると――『あのね、あの泉にはカストラートさんの幽霊がいたの。カストラートっていうのはボーイソプラノが声変わりする前にタマタマを取られちゃった男の子、っていうか男の人のことだよ。昔そういうのあったんだって。私は女の子だけど話だけでぞくぞくしちゃうよ。で、その幽霊さんは……自分は歌手としてヨーロッパのあちこちの劇場で歌って大人気になったけど、それでも女の子に自分の子どもを産んでほしかったなぁ……って悩んでいたら偶然あの泉のところで死んじゃったんだとさ。それから100年以上も経って、はじめて泉にやってきて水を飲んだ女の子である静香ちゃんにとりついちゃったんだって!』――それが正しければ、星梨花が静香の子を妊娠・出産すれば、呪いが解けるかもしれない。
また星梨花の手が襲いかかってくる。
「ねぇ、試してみる気、あります……?」
「そ、そんなの……星梨花、は、せめて……もっと……ちゃんと、あなたを、思ってくれる……っひぃっ!」
「わたしとは、もうお嫌ですか。1回だけでいいや、となるぐらい」
星梨花の手が静香のショーツごしに、ひくつくペニスをぺちぺちと弾く。静香が必死に首を振る。首を振り続けていないと「星梨花を妊娠させてはいけない」という最低限さえ1秒後にどこかへ消えてしまう。ありえないはずの快感によろこばされ欲望に支配されてしまう。
「ひっ……ち、ちが、ぁ……だ、め、も、ぅ……!」
「責任、取ってくだされば、いいんですよ……? 前は、アイドルを一緒に続けたい、って思ってたんですけど、あんなことが起きるようじゃ……もう、わたし」
「星梨花、ぉ、ねが、ぃ……っ……とめ、て、落ち、ついて、っあっ」
「わたし、もう子供じゃありません……みんなが……パパも、ママも、星梨花には早いって……でも、静香さんは……」
「……せ、りっ……!」
静香が星梨花の手をつかんで止められたのは、ほとんど偶然だった。
「……離して、もらえますか」
「みんな……そう言うの、たぶん」
「静香さん?」
2回か3回の呼吸のあいだ、2人の耳に荒い息遣いと横須賀線の走行音だけが響いた。
「お父さんも、お母さんも……娘にはそう言うの、きっと」
「……お父様の話は……えぇと、その……確かに、わたしが、パパって言いだしたんですが……」
「そう言われると、腹も立つ、けれど……最近、少しは……」
車内放送が次の駅を告げた。
「……大船、ですね」
「ごめんなさい……駅名で言われても、どのあたりだか」
「京浜東北の終点で聞いたことは……鎌倉から少し北と言ったほうが、イメージしやすいでしょうか」
「鎌倉なら……まぁ、なんとなくは」
「降りましょうか」
静香が手を離すと、星梨花が右手を引いて、こびりつく先走りと精液をハンカチで拭った。
「埼玉のほうに一本で帰れますよ」
「それ……洗ってくるわ、トイレかどこかで。私も、このありさまだし」
電車が減速していくにつれ、静香はねちょねちょとしたショーツへの嫌悪感を思いだしてきた。ようやく冷静さを取り戻していける気がした。
「あ、帰る前に、改札をくぐらなきゃダメです」
「トイレなら、中に」
「乗ったぶん精算が必要です。夢色トレインのとき教えていただきました」
星梨花とともに階段を上がってデッキに出て、ホームに降り立った。冷房が効いていたはずの車内よりも、汗ばんだ肌に涼しく感じられた。
「ちょっと休憩していきましょう」
「洗ってから、ね」
「では、そのあいだに帰りのぶんを買っておきます」
「このぐらいの駅なら……ICぐらい使えるでしょ」
「グリーン券を買っておくんです」
「帰りはふつうの席でいいじゃない」
星梨花はにこやかに、しかしはっきりと首を振った。
「帰りは……わたしが静香さんに痴漢してもらう番で……お願いしますね?」
静香は、妹のように思っている同僚アイドル・箱崎星梨花から、磁気のグリーン券を再び渡されて押しきられた。
(おしまい)